2017年05月19日

[東京新聞] 高浜原発再稼働 置き去りにしたままで (2017年05月19日)

二転三転の高浜原発再稼働。国も司法も電力会社も自治体も、その責任を負えないまま、福島の事故究明や避難計画の実効性、何より住民の不安を置き去りにしたままで、原発が次々息を吹き返す。

昨年春、大津地裁は滋賀県住民の訴えを入れ、関西電力高浜原発3、4号機の運転を差し止めた。

原発を動かすならば、事実上のゼロリスク−、すなわち福島の事故原因に基づいた、完璧に近い備えがいるとの判断だった。

前年の暮れ、福井地裁は「絶対的安全性は想定できず、危険性が社会通念上無視できる程度まで管理すべきだ」と、真逆の決定を下していた。

再稼働のよりどころとなったこの三月の大阪高裁の判断も、これと同様、ゼロリスクの追求はできない、しなくてもいいという考えに立つと言えるだろう。「想定外」なら仕方がないということだ。

従って高浜原発は、重大事故の危険を残したままで、再び動き始めたということだ。

福島の事故原因は、究明されてはいないのだ。

ならば、万一の事故の備えはどうかといえば、やはり万全にはほど遠い。

日本の原発は、元々往来の不便な海辺に建てられる。

国は周辺三十キロ圏の自治体に、避難計画の策定を義務付けた。だが、渋滞は、車両の確保は、船は、介助の人員は…。自治体側の悩みは深い。

原子力規制委員会は、避難計画にはかかわらない。政府も了承するだけだ。

被害の補償はできるのか。

民間では世界最大の東京電力にさえ、福島の事故の負担は到底負いきれない。関電や政府に十分な補償ができる保証はない。

それでも、立地地域以外の住民の声は聞こうとしない。

周辺住民にとっては、ないないづくし。運営する電力会社も立地地域も最大のリスクを抱え続けることになる。これで「安心しろ」と言うのは無理だ。

この状態が、「社会通念上無視できるほどのリスク」だとするならば、この世に危険なものなど存在しない。

何か起きればすべて「想定外」で済まされる−。安全神話が復活した、というしかないではないか。

福島の事故に関して明らかなことが、少なくとも一つはある。それは、安全神話こそ、すべてのはじまりだったということだ。
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[東京新聞] 日本の平和主義 憲法主権者ここにあり (2017年05月19日)

憲法を改正するに当たっては、主権者たる私たち自身が、将来に負うべき責任の重さをしっかりと自覚しておくことが、まず肝要ではなかろうか。

とりわけ九条には、この条文をよすがに戦後日本の平和主義が七十年も、脈々と守り継がれてきた重さがある。それを改めるということは、例えば九条の空文化で、まだ見ぬ将来世代の人々を、戦地へ送ることになるかもしれない。そういう先も見据えての、歴史的な選択の重さである。

これほどの重大事だからこそ、改憲の選択を国民に求める手続きも、よほど厳重でなければなるまい。そもそも改憲は、憲法の主権者の責任において国民が主体的に判断することだ。手続きの基点には何世代にもわたる議論の末に、国民の過半が改憲を望むような世論の醸成がなければならない。

この本筋に立てば、安倍晋三首相が唱えた九条改憲の道筋がいかに無理筋か、見えてくる。

二つの側面から指摘したい。

一つは、立憲主義の本旨に照らして、だ。憲法に縛られる側の権力者が、恐らく縛りを緩める方向で改憲の議論を率いる。しかも自らの政権運営に都合よく議論の期限を切るというのでは、国民主権の本筋に真っ向から逆行する。

もう一つは、国民投票への国会発議に関して、憲法上「全国民を代表する」国会議員の本分を、はき違えていることだ。

首相には、改憲派議員が発議要件の「三分の二」を超す今のうちに、発議を急がせたいとの思惑があるのだろう。だが国会は無論、一権力者の意向を代表するだけの多数決機関ではない。国民の代表者である議員は、まず改憲を望む世論の広がりを受けてこそ、その民意を代表して発議にも動く。それが本来の手順ではないか。

今ある「三分の二」超も、改憲をあえて“争点隠し”にした選挙の結果であって、改憲を望む民意の反映とは到底言い難い。その国会が発議を先行させ、短時間の議論で国民に重い選択を迫ることになれば、国民は責任ある判断を尽くせず、歴史に取り返しの付かない禍根を残す危険性も高まる。ここが問題なのである。

国会発議に向けては、首相の期限切りにも「縛られることなく」幅広い合意を目指している憲法審査会の議論を、粛々と積み上げるべきだ。開かれた議論がいつか、私たちの責任ある改憲判断の素地にもなればと期待したい。
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[日経新聞] 獣医学部新設の経緯を示せ (2017年05月19日)

学校法人「加計学園」(岡山市)が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画をめぐり、民進党が首相官邸の圧力をうかがわせる文書を入手したとして追及している。政府は否定するが、特区での運営事業者の選定には不透明な部分も多い。政策判断の経緯を明らかにしていく必要がある。

民進党は17日、文部科学省が作成したとする文書を国会で明らかにした。加計学園の2018年4月の獣医学部の新設をめぐって、国家戦略特区を担当する内閣府側が「官邸の最高レベルが言っていること」「総理のご意向だ」と発言したと記録されている。

菅義偉官房長官は記者会見で、安倍晋三首相をはじめ官邸側の関与を否定し「首相は一切指示をしていない。こんな意味不明のものについて、いちいち政府が答えることはない」と強調した。

現時点で文書の真偽は不明だが、文科省や内閣府は折衝の有無や発言内容を早急に確認すべきである。官邸から直接の指示があったのか。内閣府側が首相の意向を忖度(そんたく)したのか。それとも学部新設に消極的な文科省を動かすために「官邸の印籠」を使ったのか。事実が知りたい。

首相は加計学園の理事長との個人的な関係を問われて「友人だから会食もゴルフもする」と説明しつつ、事業への協力は否定している。野党は獣医学部の52年ぶりの新設が急に実現したのは不自然だと訴える。特区の指定を受けて愛媛県今治市は加計学園への建設用地の無償譲渡を決めた。

国家戦略特区は、地域限定で規制を緩和して経済活性化を目指す仕組みだ。岩盤規制に風穴を開ける意味は大きいが、運営事業者の選定で不公正な政治的配慮が働いたとしたら問題である。

今国会では学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地の売却問題も焦点となっている。財務省は交渉経緯の調査に後ろ向きな態度をとり続けている。政府は様々な疑惑を自ら払拭する姿勢で事実を明らかにしてもらいたい。
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[日経新聞] トランプ大統領はまっとうな政権運営を (2017年05月19日)

米政権のごたごたが収まる気配をみせない。不安定な政治はマーケットにも動揺を与えており、影響は米国内にとどまらない。トランプ大統領は威圧的な政権運営を改め、政権中枢とロシアとの不明朗な関係などの解明に協力すべきだ。このままでは政権の遠心力が加速するばかりである。

選挙戦以来、物議を醸し続けるトランプ氏だが、9日に米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官を突然、解任して以来、政権への批判は野党の民主党だけでなく、与党の共和党でも目立ち始めている。

解任に先立ち、トランプ氏は自身がFBIの捜査対象になっているのかどうかをコミー氏にじかに尋ねたそうだ。解任は、ロシアが昨年の米大統領選に関与したとされる疑惑を封印するための捜査妨害との見方が出ている。

ギャラップ世論調査によると、トランプ氏の支持率は14日時点で38%と政権発足以来の最低タイを記録した。低支持率が続けば、来年ある議会の中間選挙をにらみ、与党でも「トランプ離れ」の動きが出てこよう。そうなれば、政権はますます弱体化する。

政権がうまく機能しないせいで、税制改革などの課題の多くは放置されたままだ。いま必要なのは、さまざまな疑惑をきちんと解明し、政策遂行に専念できる体制をつくることだ。

その意味で、司法省が強力な捜査指揮権を持つ特別検察官の設置を決め、コミー氏の前任の長官だったロバート・モラー氏を任命したのは妥当な判断だ。12年にわたり長官を務めた同氏には与野党とも信頼感を抱いている。

次にトランプ氏が取り組むべきは、政権内の指揮系統をはっきりさせることだ。側近同士の足の引っ張り合いによって、ものごとへの対応がばらつく場面もあり、政権の方向性がわかりにくい。

中央省庁の中枢がほとんど空席なのも、政策遂行の停滞を招いている。500以上ある政治任用ポストのうち、8割超が議会の承認待ちどころか、指名もされていない。行政府の体をなしていないといって差し支えあるまい。

世界のリーダーたるべき米国の政治の機能不全は、アジアの安全保障にも影を落としかねない。トランプ氏はあつれきを生む言動を慎み、政治を前に動かすことを考えてほしい。言い換えれば「まっとうな政権運営」である。
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[毎日新聞] トランプ政権のロシア疑惑 特別検察官は徹底捜査を (2017年05月19日)

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米トランプ政権とロシアの不透明な関係を調べるため、米司法省はモラー元連邦捜査局(FBI)長官を特別検察官に任命した。米国の民主主義は健在と感じさせる、きわめて妥当な措置である。

疑惑は昨年の大統領選挙期間中からくすぶっていた。サイバー攻撃などで選挙介入を図ったとされるロシアとトランプ陣営の関係者が癒着していたのではないかとの疑いだ。

疑惑を捜査していたFBIに対し、トランプ大統領は今月、コミー長官を解任した。捜査をやめさせる政治的圧力との見方がもっぱらだ。

しかも、次々に浮かぶ疑惑についてトランプ政権の説明ははっきりしない。特別検察官の設置に消極的だった与党共和党も、もはや設置に反対しきれないと判断したのだろう。

解明すべき問題は多い。米メディアによれば、ロシア当局者との不適切な接触で更迭されたフリン前大統領補佐官について、トランプ氏はコミー氏に捜査終結を求め、機密情報を報じた記者は投獄すべきだとも主張したという。

また、過激派組織「イスラム国」(IS)について、同盟国イスラエルが慎重な扱いを求めていた機密情報をロシアに渡した疑いもある。

無論、司法省幹部が言うように、特別検察官の設置は国民の関心に応えるもので、犯罪や不当行為が確認されたわけではない。

だが、トランプ氏は反省すべきである。不都合な報道をするメディアを「フェイク(偽)ニュース」と決め付け、自らの説明責任を真剣に果たそうとしない同氏自身が特別検察官の設置を招いたといえるからだ。

トランプ氏は大統領選での得票や就任演説の聴衆の数についても強硬に異を唱え、「代替的事実(オルトファクト)」という奇妙な言葉が米国から世界に広まった。強弁すれば客観的事実も変えられるという危険な思い込みがトランプ氏にはあるようだが、捜査当局には通用しまい。

特別検察官のモラー氏は2001年から13年までFBI長官を務め、捜査経験が豊富だ。今回の事件は、ニクソン大統領の辞任につながったウォーターゲート事件を意識してロシアゲートと呼ばれる。広がりを見せる特異な事件に、客観的で冷静なメスが入ることを期待したい。
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[毎日新聞] 大規模サイバー攻撃 安全策の徹底迫る警鐘だ (2017年05月19日)

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コンピューターウイルスの破壊力を見せつける出来事だった。先週末から世界で被害をもたらした大規模サイバー攻撃である。

影響は終息しつつあるようだが、警戒を緩めてはならない。むしろ、新たな攻撃への危機意識を高め、備えを万全にする必要がある。

米マイクロソフト社の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の古いバージョンで見つかった欠陥が攻撃の標的になった。ウイルスに感染すると、コンピューター内の情報が暗号化されて使えなくなり、復元に金銭を要求される。

たちまち約150カ国に被害が拡大する異例の事態となった。英国の多くの病院やスペインの大手電話会社も含まれる。ただ、警察や専門家は、はるかに深刻なサイバー攻撃があり得るとして、企業経営者らに対策を呼びかけている。

対策といっても、日常の基本動作が中心だ。ソフトの更新を怠らず、データは必ずバックアップを作成。欠陥への修正ソフトが配布されたら速やかに適用し、不審な添付ファイルは開かない??などである。

今回は、マイクロソフトが3月に修正ソフトを配布していたにもかかわらず、被害が続出した。予防策が迅速に実行されるにはどうしたらよいか、知恵を絞る必要がある。

日本国内の被害は18日現在で20件あまりと欧州に比べて限定的なようだ。しかしその結果、危機感が募らないというのでは困る。政府や企業は、今回の出来事を貴重な警鐘と受け止め、安全策を強化してほしい。

被害を拡散させた原因が、米国家安全保障局(NSA)から流出した攻撃目的のソフトウエアである可能性にも注目したい。

NSAはウィンドウズの欠陥を発見しながら、即座にマイクロソフト社へ通告するのではなく、自ら欠陥を突くサイバー兵器を開発した、と非難されている。

テロ対策という言い分もあるかもしれない。しかし、国家がサイバー兵器の「軍拡」を競えば、兵器がハッカーの手に渡り、最終的に私たち一般市民の日常や安全が脅かされる危険も高まる。

サイバー兵器の管理や制限などについて、国際的な議論を活発化させる契機とすべきだ。
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[読売新聞] 高浜原発再稼働 仮処分が招く混乱に終止符を (2017年05月19日)

原発の再稼働は、電力の安定供給に大きく貢献する。その恩恵を消費者に実感してもらうことが大切である。

司法判断などで停止を余儀なくされた関西電力高浜原発4号機が再稼働した。近く発電を始め、6月中旬にも営業運転に移行する。3号機は7月からの営業運転を目指している。

敷地内では1月、大型クレーンが倒れる事故が起きた。原子炉に影響はなかったが、地元の福井県は厳しく批判した。関電は安全確保に万全を期さねばならない。

2基が営業運転した後、関電は電気料金を値下げする方針だ。火力発電の燃料費などを、月に70億円抑制できるためだという。

関電は東日本大震災前まで、発電量に占める原発の比率が約50%と高かった。全原発が停止した震災後は、2度にわたって料金を上げざるを得なかった。

現在、関電の電気料金は東京電力や中部電力より割高だ。値下げが実現すれば、消費者や企業の負担感は軽減される。結果として原発の重要性が再認識され、他の原発の再稼働へ追い風となろう。

関電では、大飯原発3、4号機も、再稼働の前提となる安全審査などの手続きが大詰めだ。

西日本では既に、四国電力伊方原発3号機と、九州電力川内原発1、2号機が再稼働した。九電玄海原発3、4号機についても、地元が再稼働を了解している。

懸念されるのは、司法リスクである。大津地裁は昨年3月、高浜原発の2基に対して、運転差し止めの仮処分を決定した。大阪高裁が今年3月、決定を取り消したため、再稼働にこぎ着けた。

同様の仮処分申請は各地で出されている。再び停止命令が出る可能性は捨て切れない。高浜原発に対しても、福井地裁敦賀支部に改めて仮処分が申し立てられた。

仮処分は元々、急迫した危険などを避けるために設けられた司法手続きである。迅速に審理を進めることが重要視される。

広島地裁は3月、伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分申請を退けた。原発に関する司法判断には「慎重な認定作業が必要」で、仮処分手続きは、これに「なじまない」との理由からだ。

原発は、規制当局による厳しい審査に合格して、初めて稼働できる。広島地裁も指摘するように、差し止め請求は、審査データや専門家の見解などを基に、本訴訟で丹念に審理されるべきだろう。

拙速な司法判断で、電力供給を混乱させてはならない。
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[朝日新聞] 日韓関係 首脳交流の早期復活を (2017年05月19日)

意見の違いはあれど、互いに前向きな関係を築いていきたい。その明確な意思は確認できたといえるだろう。

韓国の文在寅(ムンジェイン)政権が発足して1週間あまり。文大統領の特使らが来日し、安倍首相や岸田外相らと会談した。

特使は首相に、日韓首脳が両国を相互訪問するシャトル外交の再開を求める文大統領からの親書を手渡した。首相も再開に前向きな姿勢をみせたという。

シャトル外交は2004年、小泉純一郎、盧武鉉(ノムヒョン)の両首脳(当時)によって始まった。

靖国神社参拝を含む歴史問題や竹島問題など両国間には様々な懸案がある。世論が過敏に反応し、政治の選択肢の幅を狭めることもしばしばだ。そんな関係だからこそ、両首脳が気兼ねなく定期的に会おうという賢明な試みだった。

いまも脆弱(ぜいじゃく)さが残る日韓の絆を強めるうえで、シャトル外交の復活は効果的だろう。韓国で新政権が発足したのを機に、早期の再開を目指すべきだ。

その際、双方が気をつけなければならないことがある。

シャトル外交は、諸懸案を乗り越えるための枠組みだったはずが、実際は振り回され、先送りや中断を繰り返した。両国は政治的な問題を経済、文化など他分野と切り離し、たとえ関係がこじれても、対話の窓は閉ざさないと肝に銘じるべきだ。

シャトル外交は6年前、当時の李明博(イミョンバク)大統領の訪日を最後に止まっている。この時は、慰安婦問題をめぐって決裂した。

文氏は、大統領選の公約の一つとして慰安婦問題をめぐる日韓合意の再交渉を掲げたが、今回来日した特使はそれを求めなかった。ただ、韓国国内に情緒的に受け入れがたい雰囲気が強いことを説明した。

日本国内には、元慰安婦を支援する財団に政府予算を拠出したのだから、義務は終えたという意見がある。一方、韓国にもソウルの日本大使館前などにある少女像は民間団体が設置したため政府は関与できない、といった指摘がある。

いずれも「日韓両政府の協力」がうたわれた合意の精神に反する主張だ。今後も互いの立場をふまえた十分な配慮と行動を重ね、国民的な合意に育てていく以外に道はない。

安倍首相は特使に「日韓合意を含む二国間関係を適切にマネージしていく」と語った。

ナショナリズムをあおる動きを抑え、隣国との友好の価値を積極的に国民に説く。日韓のリーダーには、そんな思慮に富む外交姿勢が求められている。
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[読売新聞] 国連拷問委勧告 慰安婦合意見直しは筋違いだ (2017年05月19日)

慰安婦問題に関する事実関係や日韓両政府の外交努力への理解が欠けている、と言えよう。

国連の拷問禁止委員会が、慰安婦問題を巡る2015年末の日韓合意の見直しを韓国政府に勧告した。

勧告は、慰安婦を「第2次大戦中の性奴隷制度の犠牲者」と決めつけた。日韓合意は「被害者に対する名誉回復や補償、再発防止が十分でない」とも批判した。

勧告に強制力はない。ただ、韓国の朴槿恵政権の結んだ日韓合意の履行に消極的な文在寅大統領が合意の「再交渉」を日本に求める口実とする恐れも否めない。

日本政府は、慰安婦を「性奴隷」とする勧告の誤りを指摘し、反論する文書を委員会に近く提出する方針だ。当然の対応である。

日韓合意は、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した。当時、韓国出身の潘基文国連事務総長や米政府など、国際社会から高く評価された。

日韓合意に基づき、日本政府は昨年8月に元慰安婦を支援する韓国の新財団に10億円を拠出した。存命する韓国人元慰安婦の7割がこの現金支給を受け入れた。

そもそも日韓間の財産・請求権問題は、1965年の国交正常化時の協定で国際法的には解決済みだ。人道的支援として日本政府は「アジア女性基金」を設立し、元慰安婦に「償い金」も渡した。

委員会は、こうした経緯や戦時中の慰安婦の実態を正確に理解せず、偏った考え方の元慰安婦支援団体や個人の主張に依拠し過ぎているのではないか。

国連総会で採択された拷問等禁止条約に基づき、委員会は88年に発足した。各締約国が拷問や暴力的な刑罰を行っていないか、などを定期的に審査している。

政府は昨年2月の国連女子差別撤廃委員会で、慰安婦問題について初めて包括的な説明を行った。強制連行を裏付ける資料は発見されておらず、「性奴隷」の表現は事実に反する、と指摘した。

しかし、遅きに失した感は否めない。女子差別撤廃委は翌月、「犠牲者の立場に立ったアプローチが取られていない」と日韓合意を批判する報告書をまとめた。

国連人権委員会には96年、慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏の虚偽証言を引用したクマラスワミ報告が提出された。報告は様々な機会に取り上げられ、日本の名誉を傷つけている。

一連の誤解や曲解をきちんと正すため、政府は国際的な発信を積極的に続ける必要がある。
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[朝日新聞] 関電の原発 再稼働に展望あるか (2017年05月19日)

福井県の関西電力高浜原発4号機が再稼働した。関電の原発が動くのは16年3月以来で、3号機も来月上旬に続く予定だ。

2基の運転を禁じた大津地裁の仮処分は大阪高裁が取り消した。大飯原発3、4号機も原子力規制委員会の審査が事実上終わっており、関電は今年秋の再稼働を目指している。

ただ、事故時の住民の安全確保や使用済み核燃料の処分といった、根本的な問題は何ら解決されていない。なし崩しの再稼働に改めて反対を表明する。

高浜原発の30キロ圏には約18万人が暮らす。関係自治体と国は事故の発生に備えた広域避難計画をまとめている。

しかし昨夏の避難訓練では、悪天候時にヘリや船が使えず、一部地域が孤立する恐れが浮かんだ。いざとなれば避難者の車が殺到し、渋滞で逃げ遅れるのではとの懸念も根強い。

朝日新聞の調べでは、高浜周辺の住民が身を寄せる避難所のうち126カ所が、土砂災害などの警戒・危険区域にあった。

福井県には廃炉が決まったものも含めて15基の原子炉が集中する。複数の原発で同時に事故が起きたらどうするのか。対策はほとんど手つかずだ。

使用済み核燃料をめぐる難題も方向性が見えない。

原発敷地内の貯蔵プールは満杯が迫る。関電は、電力消費地の関西への立地を念頭に、「20年ごろに中間貯蔵施設の場所を決める」と福井県に約束した。しかし関西側の警戒感は強く、いっこうにめどは立たない。

高浜原発では、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を用いたプルサーマル発電が実施される。使用済みになったMOX燃料は青森県六ケ所村に建設中の再処理工場でも扱えないため、当面はプールに保管し続けるしかない。

関電は、運転開始から40年を超す3基を含め、現有する9基の原発を使い続ける姿勢を変えないが、重大な課題の解決を先送りにしたままの再稼働は無責任だ。

福島第一原発事故から6年。節電の定着や電力自由化の影響で電力需給は安定してきた。関電は原発が動けば収支が改善し、電気料金も値下げできるとするが、そうした経営面のメリットを除けば、再稼働を急ぐ理由は乏しくなってきている。

大株主の大阪市と京都市は今年も「脱原発依存」を求める議案を6月の株主総会に出す。消費地の視線は依然厳しい。

原発頼みの経営構造でどこまで展望はあるのか。関電は脱却の道筋を真剣に考えるべきだ。
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2017年05月18日

[産経新聞] 【主張】ミサイル撃ち続ける相手に対話か 安保理警告無視する北朝鮮に日米韓主導で強い措置を (2017年05月18日)

北朝鮮の「新型中距離弾道ミサイル」発射への対応をめぐり、国連安全保障理事会が緊急会合を開催した。

安保理はこれに先立ちミサイル発射を強く非難する報道声明を発表し、「さらなる重大な措置を取る」と警告した。

北朝鮮に対する非難声明は、今年に入って6回を数える。だが、北朝鮮は過去の声明を完全に無視したうえ、挑発を繰り返している。

暴挙に即応して安保理が声を上げるのは当然だが、問題は北朝鮮が聞く耳を持たないことである。追加制裁を含む新たな決議を早急に採択すべきだ。

現行の制裁は、北朝鮮の主な外貨収入源である石炭輸出に上限を設けるなど、内容的には厳しいものとなっている。これが十分な打撃を与えられていないのは制裁に「抜け穴」があるからだ。

報道声明には「安保理メンバー国が制裁の完全履行を誓う」とも記された。常任理事国である中国、ロシアなどに向けられていると考えるべきだ。

完全履行を前提とすれば、追加制裁は北朝鮮への一層の圧力となり得る。新決議をまとめる過程で抜け穴をふさぐことに重点を置けば、どの国がこれに抵抗するかも明らかになるだろう。

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緊急会合の開催は、日米と安保理の非メンバー国である韓国が要請した。3カ国の国連大使は会合前にそろって会見し、さらなる圧力が重要との共通の立場をアピールした。

韓国の文在寅新政権は対北融和政策を掲げている。トランプ政権も、元政府高官が北朝鮮外務省の高官とノルウェーで接触した。

対話は、北朝鮮の核戦力放棄が前提であり、ミサイルを撃ち続ける相手はそれに値しない。新決議に向けて、日米韓が改めて足並みをそろえる意味も大きい。

ここ数日、日米や日韓の外相、防衛相らが電話協議するなど、さまざまなレベルで意思疎通を図ったのは適切な動きだ。

ヘイリー米国連大使は、対北制裁強化に向け、中国と協議を始めたと強調した。北朝鮮の擁護に回ることが多かった中国やロシアを制裁の環(わ)に加えねばならない。

今月、イタリアで開かれる先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)でも、日米首脳が協力し、欧州首脳らと北朝鮮の暴走を止める議論を主導してほしい。
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[産経新聞] 【主張】眞子さまご婚約へ 慶事を心よりお祝いする (2017年05月18日)

うれしいニュースが届いた。秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまが婚約される。近く宮内庁から正式発表されるはこびだ。

お相手は大学時代の同級生で、法律事務所勤務の小室圭さんだ。ともに25歳のお二人に心からお祝いを申し上げ、幸せな家庭を築かれていくことをお祈りしたい。

眞子さまは平成生まれで天皇、皇后両陛下の初孫である。両陛下も報告を受けられたという。ご結婚は来年になる見通しだ。

菅義偉官房長官が「静かに正式発表を待ちたい」と述べたのはもちろんであるが、国内外で心配なニュースが目立つだけに、皇室の慶事を国民あげて喜びたい。

報道などを通し、眞子さまを幼いころから知る多くの人は、もうそうしたお年ごろか、と感慨を抱いたかもしれない。

眞子さまは国際基督教大(ICU)を卒業後、現在は東大総合研究博物館の特任研究員として、博物館学を研究されている。

成年皇族としてご公務にも熱心に取り組まれている。日本テニス協会の名誉総裁は秋篠宮さまから引き継がれた。大会視察の際、選手がリズムを崩さないよう、プレーの途中では席を立たないなど、気配りを示されるお人柄だ。

海外への公式訪問もこなされ、近くブータン訪問が予定されるなど、忙しい日々である。

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小室さんは、現在、法律事務所に勤務しながら一橋大大学院で経営法務を学んでいる。

眞子さまとは、5年ほど前、大学の共通の友人を介して知り合ったという。語学堪能で、神奈川県藤沢市の観光をPRする「海の王子」を務めた経験がある。イメージぴったりの好青年と周囲の評は一致し、お似合いのカップルとお見受けする。若い世代の結婚への関心も高まることだろう。

結納にあたる「納采の儀」、結婚式の期日を伝える「告期の儀」などの行事が続く。改めて皇室の伝統を知る機会にしたい。

眞子さまは結婚後、皇籍を離れられる。引き続き、国民と皇室との橋渡しの役目を果たされるよう期待したい。

両陛下を支える皇族が減る中で、皇室を守っていく方策を真剣に考えなければならない。その際、125代の天皇が男系で続いてきた歴史を踏まえ、旧宮家の皇籍復帰を含め、皇統を厚くする検討が必要である。
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