2018年02月20日

[朝日新聞] 技能実習制度 人権への目配り怠れぬ (2018年02月20日)

人権がおろそかにされてきた状況を、新たな仕組みによって改善できるのだろうか。

働く現場に外国人を受け入れる技能実習制度で「適正化法」が施行され、3カ月が過ぎた。

監督機関として外国人技能実習機構を新設。受け入れ窓口となる商工団体などに報酬や労働時間を記した実習計画作りを求め、認定する。団体傘下の事業者に対して機構が実地検査できるようにし、罰則も設けた。

厚生労働省によると、旧制度だった16年、指導監督の対象となった5600あまりの事業場のうち、7割で法令違反が見つかった。労働時間や安全基準、賃金の支払い状況など、問題は多岐にわたる。

適正化法でようやく対策に乗り出した格好だが、不安は尽きない。

まずは機構の陣容だ。実習生を受け入れている事業者が4万に及ぶのに対し、機構の職員は三百数十人にすぎない。

そもそも、監督や規制の強化と同時に受け入れを拡充したことは理解に苦しむ。同一外国人の受け入れ期間は原則3年だが、優良な事業者では5年まで可能とし、初の対人サービスとして介護事業を加えた。

海外協力を目的にうたう技能実習制度は、人手不足への対策になっているのが実情だ。第2次安倍政権の発足後、建設分野などで受け入れを広げてきた。厚労省によると昨年10月時点で26万人近くに達し、4年間で12万人も増えた。

国際的にたびたび非難されてきた制度である。今回の監督強化も、受け入れ拡大ありきと見られても仕方がない。状況を改められるのか、厳しい視線が注がれていることを忘れてはならない。

注目されるのが、政府による人権の行動計画作りだ。

ビジネスに伴う人権侵害を防ごうと、国連が11年に原則を示し、国ごとに計画を立てるよう求めた。欧米を中心に20カ国ほどが既にまとめ、日本も外務省を中心に作業を進めている。

人権を巡る課題は山積みだが、NGOなどが特に問題視するのが技能実習制度である。

最近は、日本を代表する大企業からも懸念の声が相次ぐ。原材料や部品の仕入れ先から作業の委託先、製品の販売先まで取引全体への目配りが求められつつある。自らが把握しきれない末端の業者でも、問題があれば批判されかねないためだ。

計画作りではNGOや企業の声を聞くことが不可欠だ。行動計画が試金石になることを自覚し、作業を急がねばならない。
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[読売新聞] ロシア疑惑 米政権は混乱を収拾できるか (2018年02月20日)

トランプ米政権を巡るロシア疑惑が新たな局面を迎えた。内政の混乱が拡大し、北朝鮮政策など外交・安全保障分野で、政権の目が行き届かなくなる事態が懸念される。

疑惑を捜査しているモラー特別検察官が、2016年の米大統領選に不正介入した罪で、ロシア人13人と露企業3社を連邦大陪審が起訴した、と発表した。

起訴資料によると、被告らはツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で、民主党のヒラリー・クリントン候補の評判を落とし、共和党のトランプ候補を支援する投稿を重ねた。

米市民を装った数百ものアカウントを作り、架空の「オピニオンリーダー」として情報を発信していたという。

政治集会を呼びかける広告も、SNSに掲載していた。移民や人種などの問題に関する議論を過熱させ、有権者の政治不信を高める狙いがあったとされる。

ロシア側の関係者が起訴されたのは初めてだ。プーチン露大統領に近い人物もいる。何人かの被告は、トランプ陣営の要員らに接触していたという。ロシア側と陣営の共謀疑惑の解明につなげられるかが、捜査の核心となろう。

モラー氏は、トランプ大統領の司法妨害疑惑も捜査中だ。本人への事情聴取を検討している。

一連の捜査の行方が政権運営に影響を与えるのは間違いない。

トランプ氏は、ツイッターで疑惑を全面否定し、オバマ前政権の対応やクリントン氏、民主党などを連日、攻撃している。11月には米連邦議会の中間選挙を控える。政治的対立と亀裂が一段と深まるのは避けられまい。

看過できないのは、ロシア側のメッセージや広告が、発信源を隠したまま、米社会に拡散していたことだ。SNSを通じてロシア側の偽情報に接した米国人は1億5000万人に上るという。

日本など各国にとっても、対岸の火事ではない。偽ニュースの蔓延(まんえん)を防ぐため、SNS事業者が果たすべき役割は重大だ。

フェイスブックは、ユーザーの信頼が高い報道機関や地元ニュースを優先して表示する仕組みに切り替えると発表した。

ツイッターは、ロシア側の情報戦に使われたとみられるアカウントの閉鎖を進めている。

自らの中立性を維持し、自由な発信を保証しつつ、いかに悪質なメッセージを排除するか。真摯(しんし)な取り組みが欠かせない。
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2018年02月19日

[産経新聞] 【主張】専守防衛 国民守れぬ戦略は見直せ (2018年02月19日)

戦後日本の防衛の基本戦略として絶対視されている専守防衛について、安倍晋三首相がその危うさを率直に指摘したことを評価したい。

首相は14日の衆院予算委員会で「専守防衛は純粋に防衛戦略として考えれば大変厳しい」と語った。「相手からの第一撃を事実上甘受し、国土が戦場になりかねないもの」という認識からである。

歴代首相で、専守防衛の欠陥をここまで認めたのは安倍首相が初めてではないか。極めて妥当な見方だ。政府・与党はこれを機に、専守防衛の問題点を国民に対して積極的に説明すべきである。

相手から攻撃されたとき初めて日本が防衛力を行使し、整備する防衛力は自衛のため必要最小限に限るというのが専守防衛だ。

これにこだわれば、有事の際、国民や自衛隊員の犠牲をいたずらに増やしてしまう。先の大戦でとらなかった「本土決戦」にも等しい誤った戦略である。

侵略される可能性はかえって高まる。外国からすれば、原則として自国の領域が自衛隊から攻撃を受けることはなく、低いリスクで日本を攻撃できるからだ。

首相が問題点を認めながら、「専守防衛は憲法の精神にのっとった防衛の基本方針」として堅持すると表明したのは残念だ。

憲法のどこにも専守防衛をとるとは書いていない。国民や自衛隊員の命を守ることではなく、日本を弱くする点に重きを置くおかしな憲法解釈の弊害である。

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日本を取り巻く安全保障環境の悪化が進む中で、そうした考えに縛られていては、自衛隊が国民の命と国の独立を守り抜く上で重大な障害となる。

首相が専守防衛に言及したのは、長距離巡航ミサイルの導入方針に対して「専守防衛違反」という批判が出ていることに反論するためだった。

今回の導入は専守防衛の範囲内として位置づけられる。しかし、将来は侵略国の中枢を叩(たた)く装備体系へと発展させ、侵略を阻む抑止力とする必要がある。

強固な日米同盟を保っていくことは極めて重要である。それでも専守防衛にとどまっていては不十分であることを直視すべきだ。

国民を守りきれない戦略を見直し、侵略国に対する一定の反撃力を自らもつ「積極防衛」に転じるときにきている。
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[東京新聞] 週のはじめに考える 「専守防衛」変質への憂い (2018年02月19日)

「専守防衛」は戦後日本の基本方針ですが、安倍内閣の下で変質しつつあるようにも見えます。専守防衛とは何か、原点に返って考える必要があります。

専守防衛とは、日本独特の用語です。二〇一七年版防衛白書は次のように記しています。

「相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則(のっと)った受動的な防衛戦略の姿勢をいう」

つまり国連憲章で認められた自衛権のうち、個別的自衛権しか行使しない、というものです。


◆軍事大国にならぬ誓い
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日本には、先の大戦の反省から戦争放棄と戦力不保持を定めた憲法があります。その下でも、火力を有する自衛隊の存在を正当化するための便法でもありました。

先制攻撃をしたり、必要以上に相手に打撃を与えることがなければ、憲法が禁じる戦力には当たらない、という理屈です。

専守防衛という言葉を国会で初めて口にしたのは会議録を検索する限り、一九五五(昭和三十)年七月の杉原荒太防衛庁長官。自民党が誕生する保守合同前の鳩山一郎民主党政権でした。

「わが国防衛の建前はあくまでも受身で、侵略を受けた場合に守る。名目のいかんにかかわらず、外に出て行って侵略することでない。言葉は少し固苦しいかもしれないが、専守防衛、専ら守る、あくまでも守る、という考え方だ」

五五年といえば自衛隊創設の翌年。国内外に多大の犠牲を強いた戦争の記憶も生々しいころです。専守防衛は自衛隊創設に当たり、再び他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないことを誓い、国民の反発を避けるために生み出された政治用語でもありました。


◆戦後日本の基本方針に
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その後、主に自民党が担ってきた歴代内閣も専守防衛政策を継承し、日米安全保障条約とともに、戦後日本の安全保障政策を形成する基本方針となっていきます。

一三年十二月、安倍内閣が初めて定めた国家安全保障戦略は「専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守る」という戦後日本の平和国家としての歩みは国際社会で高い評価と尊敬を得ており、より確固たるものにしなければならない、と記しています。

専守防衛は日本国民の血肉と化し、これまでも、そしてこれからも守り続けるべき「国のかたち」になった、ということでしょう。

気掛かりなのは安倍政権の下、専守防衛の中身が変わりつつあるのではないか、ということです。

例えば、一五年九月に安倍政権が成立を強行した安全保障関連法です。この法律により、日本は直接攻撃された場合だけでなく、日本と密接な関係にある国への攻撃が発生した場合でも、武力が行使できるようになりました。

日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、という条件付きですが、これまで憲法が禁じてきた集団的自衛権の行使に該当するものです。

さらに、自衛隊が保有する防衛装備の「質」も変化しつつあります。これまでは専守防衛を逸脱する恐れがあるとして保有が認められてこなかった装備まで持とうとしているのです。

代表例はヘリコプター搭載型護衛艦の「空母」化構想と、一八年度予算案に関連費用が計上された長距離巡航ミサイルの導入です。

防衛省はいずれも離島などの自国防衛が目的だとしていますが、打撃力である空母や、射程の長い巡航ミサイルを保有することは、海を越えて外国の軍事基地などを攻撃できる能力を持つことにもなります。

自衛のための必要最小限のものという範囲を超えれば、歴代内閣が憲法上禁じてきた「敵基地攻撃能力の保有」につながります。


◆変更なしと言うけれど
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安倍晋三首相は「専守防衛は、憲法の精神に則ったものであり、わが国防衛の大前提だ。この点には、今後ともいささかの変更もない」と語り、自らが主張する自衛隊の存在を明記する憲法改正が行われても「自衛隊の任務や権限に変更が生じることはない」と強調しています。

しかし、歴代内閣が堅持してきた政府の憲法解釈を一内閣の判断で変え、集団的自衛権の行使を可能にした安倍内閣です。専守防衛は変わらないと言いながら、その中身を徐々に変質させていくとしたら、国民を欺く行為にほかなりません。断じて許されない。

専守防衛は二度と戦争をしないという決意表明です。為政者の言動に惑わされず、専守防衛の本来の意味を、国民一人一人が確認し続けなければなりません。
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[産経新聞] 【主張】米民間ロケット 開拓者精神を見せつけた (2018年02月19日)

米宇宙開発企業スペースXが6日、世界最強の自社ロケット「ファルコンヘビー」打ち上げに成功した。

アポロロケットやスペースシャトルが飛び立ったケネディ宇宙センターからの離陸は、宇宙開発競争の最前線へ、米国が本格的に復帰したことを印象づけた。

その主役が、米航空宇宙局(NASA)ではなく、移民が創業したベンチャーであることに驚かされる。

開発に約10億ドルを投じたファルコンヘビーの積載能力は、現役で最大のロケットの2倍もある。再利用を目的とした第1段ロケット回収にも成功した。宇宙輸送に価格破壊を起こし市場を切り広げる試みは称賛に値する。

最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏はアメリカンドリームの体現者である。南アフリカ出身で、母親の母国カナダに渡った後、米ペンシルベニア大に入学し、米国移住を果たした。オンライン決済会社を起こし、2002年にスペースXを設立した。

マスク氏は火星への有人飛行計画も発表し、アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏も有人宇宙飛行を目指す。

一方でトランプ米政権は昨年末、有人月面探査の再開を指示した。宇宙空間は官民がしのぎを削る時代にあり民間開放に後れをとる日本も座視してはならない。

米国の宇宙開発は挫折と挽回の歴史だ。ソ連が世界初の人工衛星打ち上げに成功する1957年のスプートニク・ショックに続き、有人飛行も先を越されると、ケネディ政権はアポロ計画を発表し、69年に月面着陸に成功した。

以降もスペースシャトル、国際宇宙ステーションと失敗をバネに前進を続けた。転機はブッシュ政権下の2004?06年、老朽化したシャトル退役の表明に続いて、民間企業による宇宙輸送計画を発表したことである。

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指導的地位の終焉(しゅうえん)を批判する声もあった。現実に宇宙輸送の主役はソユーズのロシアに譲り、中国も有人飛行に乗り出した。しかし民間の創造力と資金力に委ねた政治決断が競争を促し、スペースXの成功に結びついたのだ。

将来の民間有人飛行には安全性など課題は大きいが、未知の開拓へ誰もがチャレンジできる精神は見習いたい。それが本当の「米国第一主義」ではないか。
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[毎日新聞] ロシア大統領選まで1カ月 選択肢なき選挙の危うさ (2018年02月19日)

3月18日投票のロシア大統領選挙まで1カ月となった。

通算4期目を目指すプーチン大統領の再選は確実だ。直近の世論調査では国民の約70%が支持している。

経済は低迷し、国民の不満は高まっている。政権は打開への処方箋を示していない。それなのに、プーチン氏の人気は高い。

政見の異なる複数の候補者の中から、有権者が代表にふさわしい人物を選ぶのが民主的な選挙だ。今回、中央選管に登録された立候補者はプーチン氏も含めて8人いる。形式上は民主的な手続きを踏んだ選挙だ。

しかし、プーチン氏が築いてきた強権統治体制は事実上、国民に選択肢を与えてこなかった。

国や国営企業が資本を握る主要テレビ局は、プーチン氏を批判する声は伝えない。大衆紙は愛国心をあおって政権を支える。

体制内野党は力不足で事実上、政権の補完勢力でしかない。

その中で若者を中心とする不満層の支持を集めてきたのが、ウェブサイトやソーシャルメディアで政権批判を発信するブロガーのナワリヌイ氏だった。だが過去の横領事件で有罪判決を受けたため、今回は規定で立候補を認められなかった。欧州人権裁判所はこの判決の正当性に疑いを投げかけている。

ナワリヌイ氏は大統領選を「茶番劇」と呼んで投票ボイコットを呼びかけている。「国民の信任」を盾にスターリン以来の長期政権を目指すプーチン氏にとって、投票率の低下は痛手となるかもしれない。

当初は経済を立て直して国民の支持を集めた一方で、脱税容疑をかけるなどの手法で政敵を排除した。経済が行き詰まると「愛国主義」を掲げ、反対勢力を「欧米の手先」と指弾して国民の不信感をあおった。こうしたプロパガンダがプーチン氏を絶対的な指導者に祭り上げた。

批判の受け皿を認めない政治体制は独善に陥りやすく、強権政治になる。それを維持するために反対派を排除すれば、さらに国民の閉塞(へいそく)感は強まる。

当選すれば2024年まで政権を担うことになるプーチン氏だが、今後6年間で何を目指すのかビジョンを示していない。ロシアの行方が危ぶまれる中での大統領選となる。
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[毎日新聞] 70歳以降からの年金受給 個々人に応じて柔軟性を (2018年02月19日)

政府は「高齢社会対策大綱」を閣議決定した。

「年齢区分による画一化を見直し、すべての年代の人が希望に応じて活躍できるエージレス社会」を目指すという。65歳以上を一律に高齢者としている現状を改め、個々の意欲や健康状態に合った制度に変えることを意味する。

高齢社会対策大綱は5年に1度をめどに見直しており、これに基づいて具体的な政策が作られる。その目玉は年金の制度改革と就労支援だ。

現在、年金の受け取り開始は原則65歳だが、希望に応じて受取時期を60歳からにしたり、66?70歳に遅らせたりすることができる。早めに受け取ると月々の受給額が減り、遅れて受け取ると増額される。

現実には70歳を過ぎても働き、賃金収入で暮らしている人もいる。このため、大綱では70歳以降の年金の繰り下げ受給を可能にすることが盛り込まれた。働く高齢者が増えれば、年金制度の持続可能性を高めることにもつながる。

ハローワークに生涯現役支援窓口を設置し、意欲のある高齢者の再就職を促すことも盛り込まれた。日本政策金融公庫の融資などで起業も後押しするという。

サービス産業や医療・福祉業界を中心に慢性的な労働者不足が起きている。もともと日本の高齢者は働く意欲のある人が多い。65歳を過ぎた人の雇用継続や再就職を促すことは産業社会にとっても必要だ。

公的な制度だけでなく、個々の意識も変えなければならない。元気な高齢者が社会を支える側になる意欲を自ら高めることが大事だ。

個人差はあるが、元気な高齢者は総じて増えている。65歳を過ぎても医療や介護がほとんど必要ない「健康寿命」は延びている。

医学的な調査では体力面の数値も以前より著しく若くなっていることを示すデータがある。こうした人々を年齢で区切り、一括して社会保障の受け手とすることが現実に合わないのは明らかだ。

経験が豊富で知識もある高齢層を「シルバー」ではなく、もっと輝く「プラチナ」世代と呼ぶ人もいる。それぞれの希望に沿った「定年後」を支援し、多彩な色で輝く高齢社会を目指すべきだ。
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[朝日新聞] 米予算教書 赤字膨張に潜む危うさ (2018年02月19日)

世界最大の経済大国であり、基軸通貨国でもある米国の財政への信認が揺らげば、世界経済が動揺しかねない。今後に不安を禁じ得ない。

トランプ大統領が議会に提出した19会計年度(18年10月?19年9月)の予算教書によると、連邦政府の財政赤字は9840億ドル(約107兆円)と、昨年の想定から2倍近くに膨らむ。

昨年末に決めた大型減税で税収が伸び悩むうえ、歳出面では大盤振る舞いするからだ。国防予算は大幅に増額し、経済政策の目玉であるインフラ投資にも10年間で2千億ドル(約22兆円)をつぎ込む。教書の冒頭で「この予算は、無駄な歳出をやめ、国の債務を減らすのに必要な、難しい選択をする」とうたったのが空しく響く。

今後10年間の財政赤字の総額は7・1兆ドル(約770兆円)にのぼる見込みだ。昨年掲げた「10年間で財政赤字を解消」という目標は早々に断念した。

米国の財政赤字の国内総生産(GDP)に対する大きさは、リーマン・ショック後の深刻な不況期ほどではないものの、貿易との双子の赤字に苦しんだ80年代の規模に近づきつつある。

しかも、予算教書が前提とした経済見通しは甘めだ。3%程度の経済成長が続くとしており、今後10年間の平均成長率を1・9%とみる米議会予算局より高い。前提が崩れれば税収は見込みを下回り、財政赤字がさらに膨らみかねない。

米国は09年から景気拡大が続いており、足元の失業率はITバブルにわいた99?00年並みの水準に下がっている。景気の現状を踏まえれば、減税を実施したうえに歳出を増やす必然性はなく、むしろ危うい。

心配なのは、財政赤字拡大に伴う国債増発への懸念が金利上昇につながり、市場に無用な混乱を招くことだ。

金融政策では、連邦準備制度理事会(FRB)が徐々に利上げを進め、リーマン・ショック後の金融緩和策からの出口へ向けて微妙なかじとりをしている時だ。市場はささいなことに敏感に反応する。そんな状況への配慮が、トランプ政権の経済運営には全く見えない。

米国では議会が予算編成権を持ち、議会は教書をたたき台に具体的な予算づくりに入る。

11月に中間選挙を控え、与野党を問わず歳出拡大を求める声が強いようだが、議会の見識が問われる。特に与党の共和党は伝統的に財政規律を重視してきたはずだ。米国の財政運営が世界経済に与える影響の重みを認識し、慎重に議論してほしい。
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[読売新聞] 相続法改正要綱 残された配偶者守る手立てに (2018年02月19日)

高齢社会に対応した妥当な見直しだろう。

法制審議会が遺産相続に関する民法改正の要綱を上川法相に答申した。残された高齢の配偶者の暮らしを守ることに、最大の狙いがある。政府は今国会に民法改正案を提出する方針だ。

柱の一つは、自宅に住み続けられる「配偶者居住権」の創設だ。配偶者のみに認められ、遺産分割時の取り分として選択できる。

この権利を取得すれば、自宅が子供や他人の所有になっても居を移さずに済む。居住権の財産価値は原則的に本来の所有権より低く評価されるため、その分だけ現金など他の遺産の配分が増えるという利点も見込まれる。

高齢者が新たに住居を確保するのは容易でない。不自由な体に合わせて、自宅をバリアフリー構造にした場合などは尚更(なおさら)だろう。

配偶者と死別した後の一人暮らしが長期に及ぶ高齢者も目立つ。住まいや生活資金を確保しやすくする意義は大きい。

夫婦間の生前贈与や遺言で譲り受けた住居を遺産分割の対象から除外する制度も、配偶者保護の観点から導入される。

相続税法上、居住用不動産の贈与に配偶者控除が適用される条件に合わせ、結婚後20年以上になる夫婦を対象にした。住居の所有権を有したまま、相続時の取り分が増える効果が期待される。

答申は、相続人以外の親族にも配慮した。介護などに尽力していれば、応分の金銭を相続人に請求できるようにする。ヘルパーに介護を依頼した場合の費用などを基に、額を算定することになる。

老親の介護を息子の妻が担ったケースなどを想定している。苦労に報いる仕組みは、多くの人に歓迎されるのではないか。

新制度が有効に機能するかどうかは未知数だ。居住権の評価額や介護の貢献度の算定方法は、一般には分かりにくい。かえって争いが増えるとの懸念もある。

様々な事例ごとに、目安が示されれば参考になるだろう。国民生活に深く関わる制度改正となるだけに、政府は分かりやすい説明に努めてもらいたい。

今回の見直しで対象となる配偶者は、法的に結婚している人に限られる。法律婚に立脚した相続制度が社会に根付いている実情に照らせば、その土台を維持することは、うなずける。

一方で、家族の形態が多様化しているのも事実である。時代の変化に対応できる相続制度の検討が、今後も欠かせない。
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[読売新聞] 連合フォーラム 雇用と待遇の改善が最優先だ (2018年02月19日)

働く人の権利と暮らしをいかに守るか。労働組合の中央組織として存在意義が問われている。

連合が「政策・制度推進フォーラム」を設立した。立憲民主、民進、希望3党の国会議員ら約100人が設立総会に出席した。

フォーラムは、連合幹部と議員の意見交換の場という位置づけだ。連合には、昨年の衆院選で分裂した立民、民進、希望の3党の再結集を促す狙いがある。

連合の神津里季生会長は設立総会で、昨年の分裂に関し、「不本意な事態に端を発した閉塞(へいそく)感をここで断ち切りたい」と述べた。

連合が3党の合流を後押しするのは、来年の統一地方選や参院選で、連合が支持する候補が複数の政党に分かれて出馬する事態を避けたいからだ。

民進、希望両党では合流論がくすぶるが、立民党は統一会派や新党に否定的だ。各党には政策の違いや感情的なもつれがあり、連合側の都合で拙速に束ねようとするのは無理がある。

連合は1989年、旧社会党系の「総評」と、旧民社党系の「同盟」の流れをくむ民間労組などが統一し、誕生した。

旧総評系の自治労は立民党を支持するが、旧同盟系の電力総連は、原発ゼロを訴える立民党に反発している。3党の合流は連合内の亀裂を深めかねない。

春闘交渉は、安倍首相が求める3%の賃上げの実現をめぐって重要な局面にある。残業時間規制や同一労働同一賃金の導入などを柱とする「働き方改革」法案の国会審議も間近に控える。

政治的な活動に力を入れるあまり、労働条件の改善や雇用確保など連合の果たすべき役割がおろそかになってはなるまい。

連合傘下の組合の要望を吸い上げ、賃上げや制度改正の実現を主導する責任がある。政府に対して労組の主張をしっかり伝えるとともに、実際の政策に反映させることを目指すべきだ。

連合は昨年、高収入の専門職を労働時間規制から外す脱時間給制度について、政府と経団連との協議でいったんは条件付きで容認した。しかし、傘下の組合からの反発で反対に転じた。意思決定のあり方を見直す必要がある。

連合は組織力の低下にも悩まされ続けている。発足当時、約26%だった労組加入者の割合は昨年、約17%と過去最低を更新した。

労働者の約4割を占める非正規労働者の組合加入や待遇改善にも取り組まねばならない。
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[朝日新聞] 新出生前診断 妊婦を支える態勢を (2018年02月19日)

検査をうけたすべての女性に正確な情報が伝えられ、きめ細かく相談に応じられる態勢を整えていくことが肝要だ。

日本産科婦人科学会は、13年に始めた新型出生前診断の臨床研究を終える方針を固めた。その後は、手続きが簡単な一般診療として実施される。

妊婦の血液を採取し、染色体異常を調べるこの検査には、十分な理解を欠いたまま中絶する人が増え、命の選別につながりかねないといった懸念が、以前からある。そのため、カウンセリング機能を備えた認可施設でのみ行われてきた。

いまは全国に89カ所あるが、希望しても検査を受けられない人がおり、学会の指針に従わない無認可施設に流れている。放置してよい問題ではない。

これまで公表されたデータでは、検査で異常が確定した妊婦の9割以上が中絶を選択している。初めに陽性とされながら、詳しく調べたら異常がなかった「偽陽性」も約1割あった。

妊婦に適切に情報が提供され、それをもとに冷静な判断がなされたか。学会はこの間の実態を調べて、検証・公表すべきだ。「臨床研究」と位置づけてきたのだから、社会に対する当然の責務である。

一般診療への移行にあたって、学会は検査を実施する施設の要件を改めて検討する。検査の意義や限界、結果の見方などに加え、染色体異常をもって生まれてきた子どもたちの現状や、社会のサポート体制などを正しく伝え、疑問や不安にこたえられることが必須の条件となる。医師とともにそうした任務の中心を担うカウンセラーの育成も欠かせない。

「障害のある子は不幸だと勝手に決めつけないでほしい」。こんな当事者たちの切実な声も大切にしたい。

検査が無秩序に拡大するのは望ましくない。学会は施設要件を設けるだけでなく、随時報告を求めて状況を把握し、基準を満たした施設をホームページなどを通じて周知するべきだ。

中絶を選択した妊婦の多くは、それぞれ悩んだうえでの決断だろう。周囲が口を差しはさめる問題ではない。

とはいえ、先の9割以上が中絶という現実は、人々が「いまの社会では障害のある子を安心して育てられない」「家族の負担が大きい」と感じていることを映し出しているといえる。

多様な「生」を認めない窮屈な世の中にしないために、どうしたらいいか。この検査が広がっていく前に、一人ひとりが考えるべき重い課題である。
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2018年02月18日

[産経新聞] 【主張】羽生金メダル 感謝の心が育てた快挙だ (2018年02月18日)

なんと強い男だろう。平昌五輪のフィギュアスケート男子で、羽生結弦がソチ大会に続く連覇を圧勝で果たした。日本選手団の今大会最初の金メダルである。しかも、初出場の宇野昌磨が銀メダルに輝いた。

技と美しさを競うフィギュアスケートで日本男児のワンツーフィニッシュはもちろん五輪史上初である。ありったけの賛辞を贈りたい。

金メダルを決めたフリーの演技を終えた羽生は、両手で右足首を包み、片膝をついてリンクの氷に手のひらで触れた。それが彼の、感謝の儀式だった。

昨年11月、NHK杯の公式練習中に右足首を痛め、氷に乗ることさえできない日々が続いた。平昌五輪への出場も危ぶまれた。それでも自身を信じ、復活へ向けて、あらゆる努力を重ねた結果の五輪連覇である。

氷上の華やかさとは対照的に、羽生の競技人生は、過酷な経験や故障との戦いの連続だった。

高校1年の時に東日本大震災に被災し、避難所生活も経験した。周囲の惨状にスケートを続けていいのか、悩んだ時期もある。

競技生活を続行させてくれたのは、多くの被災者の励ましの声だった。ソチの金メダルは、そうした声援への恩返しであり、羽生はまず、彼らへの感謝の気持ちを言葉にした。

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五輪王者となってからも両足の故障や、公式練習での他の選手との衝突事故、内臓疾患、持病のぜんそくなどに悩まされ続けた。だが羽生は、その度に強くなって復活し、関係者への感謝の言葉を忘れなかった。

そして最大のピンチが、平昌五輪を目前に控えた右足首の故障である。五輪連覇を果たした羽生が平昌で感謝の言葉を述べた相手は「がんばってくれた右足首」であり、「羽生結弦を育ててくれた全ての人々」だった。

五輪連覇が、感謝の気持ちを忘れぬ男の偉業であることに感動を覚える。賛辞を惜しまぬ、それが理由でもある。

そうした羽生の背中を追い続けて銀メダルを手にしたのが、宇野である。羽生不在の間はエースとして日本のフィギュアスケートを牽引(けんいん)し、団体戦でも圧巻の演技を見せつけた。

羽生23歳、宇野20歳、若き世界のトップアスリートの今後も楽しみである。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする