2020年03月31日

[東京新聞] 中国とコロナ 自画自賛が過ぎないか (2020年03月31日)

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めをかけたとする中国が、対策成功や世界への貢献を訴える宣伝を強めている。感染源特定や初動対応の不手際の総括も不十分であり、自画自賛が過ぎないか。

国営新華社通信は三月初旬、まん延防止への貢献について「世界は中国に感謝すべきだ」と主張する、中国の投資家がSNSに投稿した文章を転載して配信した。

新型コロナウイルスによる最初の感染者が湖北省で確認され、感染が世界に広がったことについて中国の説得力ある反論はない。実際に、同省や武漢市による情報隠蔽(いんぺい)があったとして、中国政府が省や市の党トップを処分している。

「中国も被害者だ」との主張もある。無論、その一面はあるとしても、責任逃れの発言に映る。

早期に適切な対応ができず、結果的に「パンデミック(世界的大流行)」にまで至らしめた非は否定できない。「感謝すべきだ」と言われて素直に納得できる国はあるまい。

中国外交部報道官は三月中旬、米軍がウイルスを武漢に持ち込んだとの見解をツイッターに投稿した。中国政府は「狂った言論」とする駐米中国大使の批判を公表したが、ポンペオ米国務長官は二十五日のテレビ電話方式の先進七カ国外相会合でも、中国の「偽情報キャンペーン」を批判した。

確証を示さないまま他国に責任を押しつけるような姿勢は、自国の価値を傷つけるだけである。

国内でも対策が適切であったという宣伝ばかりに熱心なようだ。

共産党中央宣伝部の指導で編集され、二月下旬に出版が発表された書籍「大国戦『疫』」は、「習近平党総書記の指導した防疫戦争の全貌を紹介する」と宣伝された。だが、「もう勝利を口にするのか」などの批判がネットで殺到し、さすがに販売は見合わせた。

中国は感染拡大に歯止めをかけたとの認識を示し、企業の操業再開にも着手している。イタリアやイランなどに防疫対策チームを派遣し、中国を支援した国と地方レベルの相互支援を進めていることは、一定の評価をしたい。

だが、例えば、マスク生産国である中国が、他国への支援を自国の影響力拡大に利用するような行動は「マスク外交」と批判されても仕方がない。

「自画自賛」に血道をあげるべき立場でも時期でもなかろう。「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ような態度は慎むべきである。
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[産経新聞] 【主張】トヨタNTT提携 世界標準の確立を目指せ (2020年03月31日)

トヨタ自動車とNTTが街全体をITでつなぐ次世代都市「スマートシティー」の基盤を共同開発することで合意した。提携に合わせて約2千億円を相互に出資し、協業の実効性を高める。

トヨタは今年1月、自動運転や人工知能など先端技術とサービスを通じ、社会的な課題を解決する実証実験を静岡県裾野市で始めると発表している。この計画に高い通信技術を持つNTTが参加することで、都市機能の新たなインフラづくりを目指す。

幅広い技術を駆使するスマートシティーをめぐっては、米グーグルや中国企業なども相次いで開発に乗り出しており、国際的な競争が激化している。日本を代表する大手企業が手を結ぶことで、世界標準として通用する高度な利用技術を確立し、わが国産業界の存在感を示してもらいたい。

トヨタの計画では、インターネットに接続した自動運転車やロボットを利用し、ドローン(小型無人機)なども組み合わせて高齢化時代に対応した新たな都市基盤づくりを目指す。スマートシティーでは高度な通信技術が必要とされるため、NTTの5G(第5世代通信技術)なども活用する。

スマートシティーの住民には、センサーを使って健康管理を行い、病気の予防などにつなげる。NTTも米国でスマートシティーの実験を始めており、都市の幅広いデータを基盤づくりに生かす。両社とも利用者の視点に立ち、使いやすいサービスの提供に努めてほしい。

海外でもグーグルなど「GAFA」と呼ばれる巨大なIT企業がスマートシティーの構築に意欲をみせており、都市のIT化が一気に進む可能性がある。トヨタ・NTT連合が世界で主導権を発揮するには、エネルギーや医療など幅広い業種に参加を促して多様な技術を蓄積しなければならない。

新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、日本の自動車産業も海外を含めて減産を余儀なくされるなど厳しい状況に直面している。自粛が続き、個人消費が冷え込んで日本企業は先行きが不透明な経営環境にある。

こうした厳しい時期にトヨタとNTTという「日本企業連合」が将来を見据えて技術開発で提携する意義は大きいといえる。世界のライバルに対抗して具体的な成果を示してほしい。
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[産経新聞] 【主張】志村さん死去 感染の恐ろしさ再確認を (2020年03月31日)

コメディアンの志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなった。70歳だった。昭和49年にザ・ドリフターズの付き人を経てメンバーに加わって以来、常に茶の間の笑いの中心にいた人だ。闘病は伝えられていたが、訃報はショックである。

志村さんはNHKの連続テレビ小説「エール」に出演予定で、撮影も始まっていた。山田洋次監督の映画「キネマの神様」の主演も決まっていた。東京五輪の聖火リレーでは「東村山音頭」で知られる故郷の東京都東村山市を走ることも発表されていた。

元気だったからだ。彼が突然、この世を去ることなど関係者の誰も想像していなかったろう。

新型ウイルスによる感染症はそれほど理不尽で恐ろしいものだと改めて思い知るべきである。ウイルスは相手を選ばない。感染の可能性は誰にでもある。

志村さんは17日に倦怠(けんたい)感を訴えて自宅療養を始めた。20日に病院に搬送され、重度の肺炎との診断を受けて入院した。21日から人工呼吸器などを着けたが、意識は戻らなかった。23日に新型コロナウイルスの陽性と判明していた。

驚くべき悪化の速度である。ウイルスの前には人気も名声も資産も無力だったことになる。

著名人の感染は世界で報告されている。英国ではチャールズ皇太子やジョンソン首相の感染を確認した。米国の俳優、トム・ハンクスさんや、スペイン出身のオペラ歌手、プラシド・ドミンゴさんも感染した。

スポーツ界でも感染例が相次ぎ、米プロバスケットボールNBAの選手や、イングランドやイタリアのサッカー選手、監督の感染も公表された。プロ野球阪神の藤浪晋太郎ら3選手の陽性も明らかになった。若さや身体の頑健さもウイルスを拒絶できないということである。

国内外で10代、20代の感染、死亡例も多く報告されている。発症に至らずとも、無症状のまま人に感染させる事例もある。

誰もが、新型コロナウイルスをうつされる側にも、うつす側にもなり得るということだ。

先々週の日本列島はぽかぽか陽気にも恵まれ、各地で多くの人出があった。若者を中心に「私は大丈夫だから」という言葉も聞かれた。その自信に一切の根拠はないと自覚すべきである。
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[毎日新聞] コロナで大型経済対策 迅速な生活支援が優先だ (2020年03月31日)

コロナショックで景気悪化が深刻になる中、政府は緊急経済対策の取りまとめに入った。新年度の補正予算案を来週にも編成し、4月末までの成立を目指すという。

安倍晋三首相は先週末、リーマン・ショック時の56兆円を超す過去最大の規模にする方針を示した。景気の下支えに全力を注ぐ姿勢をアピールしたいのだろう。

だが重要なのは、規模を誇示するよりも、日々のやりくりに困っている人の支援を急ぐことだ。

特に懸念されているのは、体力の弱い中小企業とそこで働く人たちへの悪影響だ。自治体の外出自粛要請で打撃を受けている飲食や小売り、観光などは、中小企業が多い。倒産や失業の増加、給与の大幅な減少が心配されている。

首相は対策の柱として現金給付を表明した。収入が減り生活が困窮した世帯を対象にする意向だ。

ただ収入で線引きすると対象の絞り込みに時間がかかる。手元に届くのが遅くなればセーフティーネットの役割を果たせない。

まず全国民一律に配る方が迅速だ。富裕層も含まれるが、納税段階で税を多く徴収し公平を図る案も検討していいのではないか。

首相は中小企業向け給付金の創設も表明した。従来の実質無利子融資では借金が膨らむだけとの批判が出ていた。雇用を守るため、もっと早く打ち出すべきだった。

本来は、先週成立した新年度当初予算を成立前に組み替え、十分な生活支援を行う必要があった。組み替えに応じない硬直的姿勢が遅れを招いたのは明らかだ。対策取りまとめをもっと急ぐべきだ。

消費喚起を優先するような動きも目につく。典型は自民党内で浮上した国産牛を安く買える商品券「お肉券」などの案だ。コロナに便乗した特定業界への露骨な利益誘導にほかならない。

「経済のV字回復」を強調している首相も大規模な消費喚起策を盛り込む考えを示した。だが生活や雇用という経済の基盤を維持しなければ景気回復も実現しない。

最大規模の対策とするため、政府は赤字国債の発行を増やす方針だ。既に1000兆円超の借金を抱えているのに、安易に国債に頼れば将来世代へのつけ回しが膨らむばかりだ。緊急性の乏しい事業を見直し、財源に充てるべきだ。
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[毎日新聞] 東京五輪来年「7・23」に 1年かけ課題に手当てを (2020年03月31日)

延期が決まった東京オリンピックの開催時期が「来年7月23日開幕、8月8日閉幕」で決着した。パラリンピックも同様に1年ずれて、8月下旬から開かれる。

国際オリンピック委員会(IOC)は来年春の開催も模索していたという。しかし、来春であれば未実施の五輪予選や代表選考会を来年早々に終えなければならない不安があった。新型コロナウイルスの感染拡大に収束が見込めない中で、夏の方がより安全度が高いとの判断だろう。

7月23日であれば、今年7月24日に開幕した場合と比べて、競技日程と曜日のずれもなくなる。酷暑下の競技という懸念は解消されないが、より影響の低い選択肢として合意したようだ。

しかし、そのまま計画をスライドして実施できるものではない。世界的に感染が収束していることが開催の大前提である点は来春案と変わらない。

開催に向け、選手村や競技会場、ホテルなど各国から人が集まる場所での感染症対策を練り直す必要がある。

医療機関との連携が欠かせない。選手が感染した場合の試合の取り扱いや、選手村での対処方法もあらかじめ想定し、検討しておかなければならない。

追加費用の算定と分担も早期の調整が求められる。コロナ禍で景気の急速な冷え込みが懸念される。五輪の追加費用だけを「聖域」とするような発想は到底、認められない。

施設のキャンセル料や新たに借りる賃料、組織委の人件費など総額数千億円に及ぶとみられる費用の圧縮に努めるべきだ。大会名称を「東京2020」で継続することも、余計な経費を抑える一つの方法として理解できる。

マラソンと競歩は酷暑が問題視され、札幌にコースを変更した。だが、他にも暑さが予想される競技がある。選手への負担を少しでも軽減し、観客の安全性も考えて、競技時間の設定には十分な検討を加えるべきだ。

聖火ランナーやボランティア、チケット購入者にもきめ細かい配慮が必要だろう。1年の延期で改善すべき点は多々ある。組織委員会は課題をもう一度精査し、準備を進めてほしい。
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[読売新聞] 外国籍の子供 就学支援の態勢整備を急げ (2020年03月31日)

外国籍の子供も日本の子供と同様に、適切な教育を受けられる環境を整えることが大切だ。

文部科学省の有識者会議が、外国籍の子供への就学支援に関する報告書をまとめた。柱の一つが就学状況を把握する仕組みの制度化である。

教育委員会が義務教育年齢にあたる外国籍の子供の学齢簿を作成する。家庭に就学案内を配布し、反応がない親に対しては、個別訪問や電話で就学を促す。報告書はこうした取り組みを求めた。

現在は外国籍の子供への対応が自治体によってバラバラだ。中には学校に通っているかどうか確認していない自治体もある。

文科省は統一指針を早急に作成し、教委が就学状況をきちんと把握するよう徹底すべきだ。各教委は住民登録の担当部署と連携し、学校に通う年齢の子供たちを確実につかめるような態勢づくりを進めなければならない。

報告書が日本語指導の充実を強調したのはもっともだ。

日本人の子供たちと一緒に授業を受ける子供もいるが、日本語が不得手だと、クラスメートから離れ、別室で個別に指導を受けるケースが少なくない。担当の教員や通訳のできる民間の支援員を確保することが求められる。

外国籍の子供の母語は、ポルトガル語や中国語、フィリピンの言語など多様化が進んでいる。各地の国際交流協会などを通じて、日本語の堪能な外国人らに協力してもらうことも一案だ。

地域によっては、必要な人員が確保できない学校もあるだろう。日本語指導の支援員らを配置する拠点校を設け、周辺の複数の学校から子供を集めて授業をしたり、教員や支援員が巡回指導したりする試みを重ねたい。

外国籍の子供の高校進学をどう支援していくかも課題だ。

都道府県の半数は、日本語の習得が十分でない外国籍の生徒を対象に募集枠を設け、一般の生徒とは別に入試を行っている。試験教科の軽減や、面接・作文のみで選考する方法が多い。

外国籍の生徒のために、入試問題の漢字にルビを振るなどの配慮をしているところもある。

進学の機会を広げるとともに、入学後も丁寧な指導を続けることが期待される。

日本で働く外国人が増え、公立の小中高校に在籍する外国籍の子供は10万人を超えた。将来、日本社会を支える貴重な人材になり得るだけに、学校教育を充実させていくことが欠かせない。
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[読売新聞] 封鎖広がる世界 「自国第一」では打ち勝てぬ (2020年03月31日)

新型コロナウイルスへの対処は、一国では限界がある。全世界で封じ込めなければ、大流行の終息も、経済回復も見込めまい。今ほど国際協調が求められる時はない。

世界の感染者は70万人を超えた。米国は十数万人に達し、中国を抜いて最多となった。南アフリカやブラジル、タイなど新興国や発展途上国にも広がり始めた。

大切なのは、先進国と途上国の間で大流行が行き来する事態を回避することである。途上国の貧困地区や紛争地域は衛生環境が劣悪だ。水道設備が整っていないところでは、感染防止の基本である手洗いすら十分にできない。

国連は医療物資提供や手洗い場整備などで2200億円の資金拠出を呼びかけた。先進国は自国の状況を沈静化させた上で、途上国支援にも力を入れる必要がある。ウイルスに関する情報や治療法を共有する体制が欠かせない。

人類は過去にもペストや天然痘などの感染症と戦ってきた。社会環境は当時から激変した。交通網の発達とグローバル化、SNSでつながるデジタル時代のもとで、初めて直面する脅威だ。

人の移動の活発化によって、ウイルス拡散の速度と範囲は飛躍的に増大した。SNSを通じて偽情報が浸透しやすい。時代の変化に応じた対処法が問われている。

世界各地で入国禁止や都市封鎖が広がる。感染爆発を阻止するため、緊急措置として人の動きを止めるのはやむを得ない。だが、グローバル経済の下では、どの国にとっても、封鎖による経済や市民生活への打撃は計り知れない。

不安と恐怖は差別感情も招く。感染防止策を徹底すれば、社会の安定と活力を損ないかねない。各国共通のジレンマだろう。政府と国際機関が情報を迅速に開示し、科学的な対策を冷静に進める重要性はかつてなく高まっている。

米国には超大国として指導力を示す責務がある。トランプ大統領は現状を「戦争」と言うのなら、中国や政権批判勢力への攻撃に傾注している場合ではない。

トランプ氏が当選し、英国が欧州連合(EU)離脱を決めた2016年以降、世界の分断が深まった。国際秩序を支えるべき米欧での政治の混乱や、「自国第一」主義の拡散が、地球規模の問題に対する協調を妨げてきた。

封鎖の弊害をいかに抑え、適切な時期に「開放」するか。ウイルスとの長い戦いを通じて、世界は連帯を取り戻し、危機に共同対処する土台を築かねばならない。
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[朝日新聞] 辺野古問題 無理に無理を重ねる愚 (2020年03月31日)

ものごとの本質に目を向けず、細かな法律論を繰り広げた末に、一般社会の常識からかけ離れた結論を導きだした。そう言わざるを得ない判決だ。

沖縄・辺野古の埋め立てをめぐる県と国の訴訟で、最高裁は26日、県側の主張を退けた。

海底の軟弱地盤の発覚などを理由に、県が埋め立ての承認を撤回したのに対し、防衛当局がこれを取り消すよう国土交通相に請求。期待どおりの裁決をもらって工事を強行したため、県が裁判に訴えていた。

同じ内閣を構成する「身内」が裁決して便宜を図る異様さ。そしてその際に使ったのが、本来、行政機関から不当な処分を受けた国民を救済するために設けられている行政不服審査制度だというおかしさ――。

だが最高裁は、埋め立て法の条文に照らすと国の機関も一般私人(国民)も立場に違いはないと判断して、国側の脱法的な行為を追認してしまった。

木を見て森を見ないとはこのことだ。結果として沖縄の声を封殺した判決を、玉城デニー知事が「地方自治の理念に反し、将来の国と地方公共団体のあり方に禍根を残す」と厳しく批判したのはもっともである。

ただし今回の裁判で争われたのは手続きの当否で、埋め立て行為そのものに、司法がゴーサインを出したわけではない。

政府は軟弱地盤対策のための設計変更を近く申請する方針だが、県は認めない構えだ。辺野古ノーの民意が繰り返し示されているのに加え、3年以上かけて7万本余の杭を海底に打ち込むという工事が環境に与える影響は甚大で、到底受け入れられるものではないからだ。

にもかかわらず政府は、負荷を小さく見せることに腐心し、「環境影響評価(アセスメント)をやり直す必要はない」と言ってきた。最高裁判決の1週間前、辺野古の住民らが別途起こした裁判で、那覇地裁は請求は退けたものの、「埋め立てに際しては、改めて環境影響評価が実施されるべきことが考慮されなければならない」と述べている。当たり前の話だ。

社説で繰り返し指摘してきたように、米軍普天間飛行場の辺野古への移設は完全に行きづまっている。政府は辺野古に固執するのをやめ、普天間の危険性の早期除去にこそ力を尽くすことが求められる。

最高裁判決と同じ26日、沖縄県が設けた有識者会議は米軍の戦略構想も踏まえ、海兵隊を本土などに分散配置することが安全保障上も合理的と提言した。

政府試算でも1兆円近い巨費を投じ、軟弱地盤を「改良」して基地を造ることが理にかなうか。答えは誰の目にも明白だ。
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[朝日新聞] 緊急経済対策 長期戦に安心の備えを (2020年03月31日)

新型コロナウイルスの感染者が、東京など国内でも大幅に増え続けている。安倍首相は先週末の会見で「いつコロナとの闘いが終息するのか、現時点で答えられる世界の首脳は一人もいない」と述べ、国民には長期戦の覚悟を求めた。

休日や夜間の外出自粛が要請されるなど、生活をとりまく不安は色濃くなるばかりだ。

政府は来週にも第3弾の緊急経済対策をまとめる。長期戦ならば、人々の働く場と日々のくらしをしっかり守る決意を政策で示し、国民が安心を感じられるようにする必要がある。

具体策として、収入が急減した世帯や中小企業に向けた給付金が検討されている。納付期限のある税の支払いは1年間猶予し、赤字企業も負担する固定資産税は減免する。住宅ローン減税の条件も見直す。

首相は「社会的な不安が払拭(ふっしょく)された段階で、一気に日本経済をV字回復させる」ともいう。しかし、飲食店やホテル、イベント会社などでは客数や売り上げが大きく落ち込み、長引けば事業の継続すら危ぶまれる。

「損失を税金で補償することはなかなか難しい」と突き放すだけではなく、これまでに拡充した融資制度も状況に応じて返済を不要にするなど、さらなる工夫を重ねるべきだ。

資金繰り支援の窓口には、相談が殺到しているところもある。制度を整えたうえで、きちんと対応できる態勢づくりにも目配りが欠かせない。

自治体も、政府の支援を補完する対応を進めている。

大阪府枚方市や鳥取県は、休校などで子どもの世話をするため仕事を休んだ親への支援について、対象を政府より広げる独自の制度を決めた。宮城県富谷市は、内定を取り消された学生を市の1年任期の職員に採用しようと、募集を始めた。状況の変化や地域の実情に応じ、きめ細かな対応を考えてほしい。

緊急経済対策について、首相は「リーマン・ショック時を上回るかつてない規模」とし、自民党も提言案で財政支出を20兆円と打ち出した。しかし、いま大切なのは総額ではなく、困っている人々に確実に、支援の手を差し伸べることだ。

党内には、消費税の減税を求める声が根強い。しかし、事業者の手間なども踏まえれば、手をつけるべきではない。

提言案には、マイナンバーカードを持つ人へのポイント還元の増額や、観光地での宿泊割引なども並んだ。終息後をにらんだ特定の業界への利益誘導が先に確約されて、真っ先に専念すべき緊急性の高い生活支援や雇用対策が後手に回ることは、決してあってはならない。
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2020年03月30日

[東京新聞] 原発銀座の50年 あっても、なくても (2020年03月30日)

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<福井県の、ぼく、おおい町出身でね、知ってます? 原発の町、おおい町です>

時事ネタで人気のお笑いコンビ、ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんは、こう切り出した。昨年暮れにフジテレビ系で放映された「THE MANZAI」のひとこまだ。

<おおい町の隣は、高浜町ね。高浜町には疑惑だらけの高浜原発がありまして、その隣には美浜原発がありまして、その隣には敦賀の『もんじゅ』があったんです。でも、おおい町には夜の七時以降は開いてる店がほとんどない。真っ暗になる。これ叫ばせてください。電気はどこへ行く〜>

ここで客席、大爆笑。

<地元の人間にしてみれば原発があっても怖いし、なくても怖い。あったらあったで地震があったら怖い。なかったらなかったで経済が回らないから怖いですよね>

ふるさとの本音を代弁するかのようなマシンガントークが続く。客席は何度も笑いに包まれる−。 「原発銀座」と呼ばれる福井県の若狭湾沿岸部は、世界に類のない原発の密集地。村本さんが言うように、関西電力の大飯、高浜、美浜、日本原子力発電の敦賀、そして日本原子力研究開発機構の実験炉「もんじゅ」と「ふげん」−。廃炉が決まったものも含めて、計十五基の原子炉が湾内にひしめく、まさに「銀座」の様相だ。

ヘリコプターで高度千五百メートルから見下ろした。複雑な海岸線。もやの中、岬の陰に身を隠すように、原子炉が立ち並ぶ。

美浜、もんじゅ、敦賀の三カ所は、一枚の写真に納まるほどの近さにあった。


◆「平和利用」に誘われて
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原発銀座の一丁目、第一号となる敦賀原発=写真、本社ヘリ「まなづる」から=の運転開始から、今月で五十年が経過した。

一九五三年、アイゼンハワー米大統領の「アトムズ・フォー・ピース(原子力の平和利用)」演説をきっかけに、唯一の被爆国日本にも原子力ブームが巻き起こる。

福井県は五七年、産学官の代表による「福井県原子力懇談会」を組織して原発誘致に乗り出した。

繊維に代わる新しい“地場産業”がほしかった。太平洋側の発展に「追いつけ追い越せ」の機運もあった。

核分裂同様、原発立地も連鎖する。原発が立地されると、見返りに電源三法交付金など「原発マネー」が流れ込み、庁舎や保養施設のような、立派なハコモノが建設される。それを見て、近隣の自治体が名乗りを上げる。時あたかも高度経済成長期。電力需要も右肩上がり。若狭の浜辺はこうして「原発銀座」になった。

だが、やがて期待はしぼんでいった。元福井県原子力安全対策課長の来馬克美さんは書いている。

「原子炉建設によって道路などのインフラは整備された。また、建設労働者の流入により、一時的に地域経済が潤いもした。しかし、それは土木建設業界が活躍する建設工事の初期までであり、機器設備類の組立や実際の稼働に入る頃には、原子力発電所建設による利益を受けるのは立地市町周辺に限られることが明らかになっていた」(「君は原子力を考えたことがあるか」)

立地自治体の住民があまねく恩恵を受けたわけでもない。

村本さんと同じおおい町に生まれた作家水上勉は、こう書いた。

「人を信じるしかあるまい。関電の技師さんを信じるしかあるまい。原発の安全は人間を信じることだ。ひとつそれがくずれれば、イカ釣り舟も地獄の宴(うたげ)だ」(「若狭がたり」)。多くの人が不安を押し殺し、原発との共存を自らに強いてきたのではなかったか。

福島第一原発の事故を境に若狭湾の潮目も変わり、うち続く電力会社の不祥事は、地元との信頼関係に、とどめを刺した感がある。


◆「百年」はあり得ない
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老朽化した敦賀1号機は廃炉が決まり、2号機直下には大地震を起こす恐れのある活断層の存在が指摘されている。3、4号機の建設予定地は更地のままだ。新増設の見込みはない。原発銀座に「百年」はあり得まい。世界は再生可能エネルギーの時代になった。

半世紀−。原発の真の受益者は、地方が送る電気を使い繁栄を謳歌(おうか)してきた都会の電力消費者だった。若狭のような供給地の未来をどうするか。消費者もともに考える時。例えば村本さんの原発ネタが、きっかけになればいい。
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[産経新聞] 【主張】介護保険20年 支え手拡大の議論始めよ サービスの再構築が急務だ (2020年03月30日)

介護保険制度が4月1日に20周年を迎える。家族の務めだった介護を、社会で支えるものへと転換することが制度の理念である。新たなサービスの整備は介護世帯の暮らしを変えた。

だが、この間に介護をめぐる環境も様変わりした。特に政府が在宅医療の促進へと舵(かじ)を切ったことが介護に影響した。入院期間が短くなり、かなり状態の悪い人も家で過ごすようになったからだ。

こうした変化に正面から向き合ってこなかったのが、この20年である。放置すれば、いずれ制度は立ち行かなくなる。抜本的な改革を急がなくてはならない。

≪変化に向き合う改革を≫

政府が在宅の旗を振るのは膨らむ一方の医療費を抑制するためである。だが、できるかぎり家にいたい、というのは多くの高齢者の切なる願いでもある。これをかなえる政策意図は妥当だ。

そのためには医療と密接に連携した質の高い介護サービスを提供する必要がある。在宅酸素や経管栄養などの医療機器を使う人は多い。家での看取(みと)りも20年前にはほとんどなかった。制度創設時に想定していなかったことだ。

変化はほかにもある。

まず、認知症の増加だ。認知症の人が認知症の配偶者を介護する「認認介護」という言葉は20年前にはなかった。1人が複数の家族を介護する「多重介護」や、育児と介護が重なる「ダブルケア」という言葉もそうである。

独り暮らしの高齢世帯も増えた。しかし、介護保険制度は、高齢者の身の回りを24時間支えるようにはできていない。

介護職不足という深刻な問題もある。当初は主婦がパートで働いてくれると期待していたのかもしれないが、フルタイムで働く女性が増えている。必要な時間だけ細切れで働いてもらおうという発想だったのなら、無理があったと言わざるを得ない。

こうした変化にどう対応すべきか。言うまでもなく、今の制度で際限なくサービスを拡充することはできない。

介護財政は逼迫(ひっぱく)している。令和元年度の介護保険の総費用は約12兆円で20年前の3倍超である。65歳以上の保険料は今、月額平均約6千円で、20年後には9千円とも目される。これらを踏まえ、給付を効率化するとともに負担のありようを見直し、メリハリのある改革をすることが欠かせない。

そのための視点は3つある。

1つ目は支え手の拡大だ。介護保険料を納めているのは40歳以上の人である。対象年齢を引き下げて支え手を増やすことを真剣に考えるべきときではないか。

例えば、障害福祉サービスと一体化するなどのやり方で年齢によらない普遍的サービスにする案は制度発足当初からあった。

≪重度の在宅モデル作れ≫

厚生労働省の専門部会で昨年、対象拡大を求める意見が出た。若い世代に広げる案のほか、働く高齢者を「現役世代」に組み込む案もあった。経済界には、支え手拡大に伴って企業負担分が増えることを懸念する声もあるが、まずは幅広く議論を始めてほしい。

その過程では若年者のサービス利用も検討課題となろう。今は40歳未満の人は対象外だから、例えば若年のがん患者は介護サービスを使えない。こうした状況をどう見直していくかである。

2つ目は、医療と介護の両方を必要とする重度者が最期まで暮らせるモデルを作ることだ。2年前に医療も介護も受けられる施設として「介護医療院」が創設されたが在宅のモデルも必要である。

看護と介護を組み合わせた定額制サービスは今もあるが、あまりにも数が少ない。これを拡充して単身の高齢者も支えられるようにする。定額サービスが増えれば介護職の処遇改善にも資する。

3つ目は給付の見直しだ。軽度者のサービスを効率化することは避けられない。外出支援や緩やかな見守りが失われないよう、いかにバランスを取るかである。

政府は軽度者のサービスを自治体事業に移行している。NPO法人やボランティアの参加を促してコストを抑制する狙いだ。問題は自治体によって取り組みに差があることだ。これを解消しなくてはならない。軽度者に活躍の場ができればコミュニティーも活性化する。老後も生きがいをもって暮らせるかどうかの試金石だ。自治体には真剣に取り組んでほしい。
posted by (-@∀@) at 12:32| Comment(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] コロナとグローバル化 「鎖国」は長く続けられぬ (2020年03月30日)

世界各国が新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由に入国制限を強化している。その結果、グローバル経済システムが機能不全に陥っている。

短期的な水際対策としてやむを得ない面はある。だが、相手国との十分な調整もないまま国境を超えた人やモノの移動が次々に遮断された。「鎖国」で世界的なサプライチェーン(部品供給網)は寸断され、物流も大混乱している。

自動車やスマートフォンから生活必需品まで生産の停止が相次ぐ。長期化すれば、コロナショックによる世界的な不況を一層深刻化させかねない。

先陣を切ったのは「米国第一主義」を掲げるトランプ米大統領だった。1月末、中国からの入国を厳しく規制した。3月に入ると、感染が急拡大した欧州諸国からの入国も止めた。

トランプ氏は当初、「欧州は中国からの入国制限に失敗した」と語り、米国の感染者数が少ないことを自慢していた。だが、米国の感染者数はその後急増し、世界最多となった。水際対策が万能薬ではないことを浮き彫りにした。

にもかかわらず、世界では「鎖国」ドミノが広がる。ドイツなどは欧州連合(EU)の理念である「移動の自由」を棚上げして、国境封鎖に踏み切っている。

日本は当初、入国制限を発生源の中国・武漢などに限っていた。だが、感染拡大を受けて、対象を中国全土や韓国、欧米に広げた。

世界保健機関(WHO)は入国規制を「時間稼ぎでしかない」と指摘する。その上でグローバルな人やモノの動きが止まる副作用を考慮するように警告してきた。

実際、マスクなど医療物資の不足がなかなか解消されない背景には、「世界の工場」である中国との貿易停滞が影響している。

主要20カ国・地域(G20)は首脳声明で「国際的な交通や貿易の混乱に対応する」と宣言した。だが、互いに責任を押し付け合うような入国規制は広がるばかりだ。

グローバル経済が分断したままでは、治療薬の開発も遅れ、パンデミック(世界的な大流行)の早期終息は望めない。貿易の停滞は世界的な不況を深刻化させるだけだ。各国は「鎖国」を長く続けられないことを認識すべきだ。
posted by (-@∀@) at 12:22| Comment(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする