2017年10月19日

[産経新聞] 【主張】習近平演説 強国路線の拡大に警戒を (2017年10月19日)

軍事力を支えに、覇権的な路線をより強化する方針というしかない。

中国共産党の習近平総書記(国家主席)が党大会の冒頭の活動報告で述べた内容である。

過去5年間の成果として、「南シナ海での人工島建設を積極的に推進した」ことを挙げた。

さらに、東・南シナ海での中国公船の活動活発化を念頭に「海洋権益の維持を有効に遂行した」とも述べた。

力を背景に他国・地域の権益を侵し、それを政権の成果として誇る。そういう国がすぐ近くにいることを直視せねばならない。

5年前、習氏は沖縄県石垣市の尖閣諸島を奪取しようとする路線を掲げて総書記に選出された。中国公船の領海侵入などは、いまも続いている。

また、中国の南シナ海に対する主権の主張は、昨年7月の仲裁裁判所判決で全面的に否定されたが、無視を決め込んでいる。

習政権はこの党大会を経て、2期目を迎える。周辺国・地域からすれば、習氏が安定基盤を得て国際法を順守し、他の権益を侵さない姿勢に転じることも期待したかったが、結果は逆だった。ルールを無視して海洋権益を露骨に拡大しようとしているのだ。

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長時間に及ぶ報告で、習氏は「社会主義現代化強国」の建設という目標も掲げた。こうした指導理念を党規約に反映し、自らの権威を高めるとみられている。

見過ごせないのは、「強国」を支えるための「強軍」という、さらなる軍事拡大方針である。

中国は軍事政策や国防費が不透明だと国際社会から批判を受けながら、四半世紀余りにわたって急激な軍拡を進めてきた。

その上さらに、今世紀半ばに人民解放軍を「世界一流の軍隊」にすると言い切った。日米の軍事力を圧倒する意味だろう。こうした中国の姿勢について、日米間で十分に協議し、対応を考えることが欠かせない。

台湾問題では、「分裂」を絶対に認めないと強い言葉で訴えた。対話が中断している台湾の蔡英文政権への警告であり、台湾海峡の動静にもより注意が必要だ。

大会を経て選出される次期指導部は、習氏の側近らが占めることになろう。共産党独裁下で推し進められる「強国」路線に対し、これまでにも増して重大な警戒が求められる。
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[産経新聞] 【主張】日米経済対話 拙速なFTA交渉避けよ (2017年10月19日)

米国で開かれた日米経済対話で、ペンス副大統領が日米2国間による自由貿易協定(FTA)交渉を始めることに強い意欲を示した。

これに対し、麻生太郎副総理兼財務相はあらためて環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の意義を説いた。

日本としてFTAに慎重な姿勢を示したものである。日米間の通商戦略の違いが如実に表れたものだが、日本はあくまでもTPPを優先させる、という判断は妥当である。

トランプ政権は一方的にTPPを離脱した。トランプ大統領が11月の来日時に日米FTAを求める可能性もあるが、その場合でも慌てて土俵に乗る必要はない。

米国以外の加盟11カ国は、「TPP11」を発効できるよう、11月の大筋合意を目指して交渉中である。各国の視線の先には、将来的な米国復帰への期待もある。

その交渉の旗振り役である日本が米国との個別協定に動けば、著しく一貫性に欠ける。TPPの枠組み自体が瓦解(がかい)する懸念が強まることにもなりかねない。

もとより、同盟国として日米が緊密な経済関係を維持する努力は重要である。だがそれも、アジア太平洋地域の各国との連携を無視して進めるべきではあるまい。

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経済、軍事両面での中国の台頭をにらめば、市場経済を基盤とする国々が域内で新たな経済秩序を築く戦略的意義は大きい。

日本が多国間の枠組みを重視するのは当然であり、それが米国の国益にもなることを、粘り強く訴えるしかない。

2回目となる今回の経済対話では、日本の輸入車認証手続きの合理化などで合意した。一方、米国産などの冷凍牛肉に対する日本の緊急輸入制限(セーフガード)の扱いなどは折り合わなかった。

トランプ政権は対日貿易赤字の解消を求める。TPP離脱で、農産物などの対日輸出で得られるはずだった恩恵が見込めなくなった点も大きい。新たな協定を求める国内圧力も強いが、それらは米国側が自ら招いた事情である。

米国は日米FTAより、北米自由貿易協定(NAFTA)や米韓FTAの再交渉を優先させるとの見方もあるが、トランプ政権の通商戦略は先を見通しにくい。

対日要求を強めてきたときにどう対応するか。あらかじめ検討しておくことは有用である。
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[日経新聞] 17衆院選 具体策のない成長戦略では成長できぬ (2017年10月19日)

経済協力開発機構(OECD)によれば、日本経済の実力である潜在成長率は0.7%程度である。人口が減るなかで実力を高めるには、生産性を上げねばならない。衆院選でその具体策をめぐる論戦がほとんどみられないのは残念だ。

自民党は公約で、ロボット、あらゆるモノがネットにつながるIoT、人工知能(AI)などによる「生産性革命」を掲げた。着眼点は正しくても、スローガンだけが先行している印象だ。

「大胆な税制、予算、規制改革などあらゆる政策を総動員する」というが、その中身を語らなければ単なる決意表明だ。

いかに人材を成熟企業から成長企業へと円滑に移動させるか。成長力の乏しい企業を退出させるか。こうした新陳代謝を促す構造改革も各党は語るべきだ。

AIやIoTなどによる技術革新の促進を唱えているのは希望の党も同じだ。問題は「大胆な規制・社会変革」の中身がいまひとつ判然としないことだ。

生産性上昇のカギを握るのは規制改革だ。新規参入を促して競争が活発になれば、民間の創意工夫で画期的な商品やサービスを生みやすくなる。

それなのに規制改革の具体策といえば、日本維新の会が株式会社の農地所有の解禁や解雇紛争の金銭解決などを訴える程度だ。立憲民主党は「再生可能エネルギー・省エネ技術への投資」に力点を置き、規制改革を素通りしている。

一般の乗用車の相乗り(ライドシェア)を認めるのか。IT(情報技術)を使った遠隔服薬指導や遠隔診療を認めるのか。社民党は「相乗り反対」を明言しているが、他の党もこうした各論への賛否を明らかにしてほしい。

保護主義的なトランプ米政権の誕生や、英国の欧州連合(EU)離脱決定があっても、経済のグローバル化の流れは止まらない。

日本はアジア太平洋地域の成長力を取り込みつつ、自らも農業などの市場を開いて地域の成長に貢献する。そんな通商政策も大事な成長戦略だが、公約に掲げなかった各党の問題意識は低すぎる。

具体策のない成長戦略では、成長できない。各党は分配やバラマキに熱心な一方、ときに痛みも伴う構造改革から目を背けている。
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[日経新聞] 米個人情報漏洩を他山の石に (2017年10月19日)

米国で個人情報の大規模な漏洩が相次いで発覚した。大量のデータを分析して活用する技術が発達したことにより情報の価値が高まる一方、サイバー攻撃は世界的に激しさを増している。日本企業も情報管理の体制強化に加え、万一の事態が起きたときの対応策づくりを急ぐべきだ。

米ヤフーのネット事業を買収した通信大手のベライゾン・コミュニケーションズは今月初め、2013年のサイバー攻撃で約30億件のヤフーの全アカウントから名前やメールアドレスなどが流出した可能性があると明らかにした。

信用情報会社エクイファクスの情報漏洩はさらに深刻だ。米国民のおよそ半数にあたる1億4550万人分の名前や住所のほか、銀行口座の開設などに必要な社会保障番号も漏れたおそれがある。同社の株価は事件の発覚後に急落し、経営幹部は引責辞任した。

こうした事件は個人情報を提供する消費者に甚大な被害を及ぼすだけでなく、企業経営にも深刻な打撃を与える。日本企業も影響の大きさを認識し、社内体制の再点検を進めるべきだ。

まず重要なのはソフトの欠陥を迅速に修正するなど、サイバー攻撃対策の基本を徹底することだ。エクイファクスの場合、3月に米政府機関から警告を受けていたがすぐに対応せず、被害が拡大した経緯がある。

だが、いくら守りを固めても、サイバー攻撃を完全に防ぐのは難しいというのが専門家の共通した見方だ。企業は現状を正しく理解し、被害が発生したときや、その疑いが強くなったときはいち早く情報を公開すべきだ。被害が広がるのを食い止め、同様の手口の攻撃を防ぐためだ。

必要以上の情報を抱え込まないことも重要だ。経営者は、様々な価値を生む情報も、いったん漏洩すれば経営に深刻な影響を及ぼすことを意識し、収集情報の範囲を慎重に決めるべきだ。不要になった情報は破棄するといったルール整備も同時に進める必要がある。
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[毎日新聞] 視点・総選挙 北朝鮮の脅威 「国難」と言うのならば=論説委員・布施広 (2017年10月19日)

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北朝鮮の核・ミサイルの脅威が増大し、安倍晋三首相が「国難」と言う中での選挙である。

が、その割にミサイル防衛(MD)をめぐる論議が熱を帯びないのはなぜだろう。万々が一、日本にミサイルが飛来した時の命綱のはずなのだが。

各党の公約を見ると、自民党は「陸上配備型弾道ミサイル防衛システム(イージス・アショア)」の導入に前向きで希望の党もMDに言及している。

だが、米軍と米防衛産業が開発を競うMDはどこまでミサイル迎撃に有効なのか、国民の判断材料はあまりに少ない。

実は政治家もよく分かっていないのではないか。たとえば2007年に久間章生防衛相(当時)は講演で、敵ミサイルはMDシステムで「99%は排除できる」との認識を示した。

ところが09年には鴻池祥肇官房副長官(同)が国会で「ピストルの弾同士が当たるのは、なかなか難しい」と述べた。迎撃はほぼ不可能との見方だろう。

政権与党(自民)の要人が正反対のことを言うようでは納税者の立場がない。MDの有効性を日本側が主体的に評価・判断し、日米合同の迎撃実験の結果などを踏まえて国民的な議論を深める必要があるはずだ。

思い出すのは00年、ノーベル賞を受けた米国の科学者50人が、米国のミサイル防衛システム(当時の呼称はNMD)の配備に反対する書簡をクリントン大統領に提出したことだ。

その根底には技術的可能性への疑問がある。半面、MDの技術は進歩している。問題なのは、その辺を踏まえた議論が、MDのお得意様の日本ではほとんどなされてこなかったことだ。

米国の実験を何度も見学した私は、MDには限界があり過信すれば外交を誤りかねないと考える。ミサイルの脅威を取り除く上で米国の科学者たちが重視したのはやはり外交だった。

首相の言う「国難」は一日にして生じたわけではない。1998年に日本を飛び越えるミサイルを発射して以来、北朝鮮が目指すところは明白だった。

では日本政府は危機を未然に防ぐ外交を強力に展開してきただろうか。高価なMDは国民の安全を確かに守れるのか。為政者が「国難」と言う時はそれらの点も問われるはずだ。
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[毎日新聞] 「イスラム国」の拠点を制圧 過激思想からの解放こそ (2017年10月19日)

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アラブ世界の国境を超えて一大国家の建設をもくろんだ過激派組織の「イスラム国」(IS)。その「首都」とされていたラッカ(シリア北部)が陥落した。

7月にはイラクの拠点モスルも陥落した。両国での面的な支配を失い、国家建設に関するISの野望はひとまずついえたといえる。

事の起こりは2014年、ISの最高指導者のバグダディ容疑者がカリフ制に基づく「国家」樹立を宣言したことだ。

それはサイクス・ピコ協定(1916年)など、列強による中東分割に対する抗議とも受け取られた。「全てのイスラム教徒は結集して従え」。ISの呼びかけで世界各地から志願兵の合流が始まった。

この現象は「国家」構造の崩壊によって下火になろう。IS支配地域の住民たちが、イスラムの名を借りた残虐行為や恐怖政治から解放されるのも喜ばしいことだ。

だが、それだけでは世界が安全になったとは言えない。

ISの思想はインターネットなどを通じて全世界に広まっている。欧米などで「一匹オオカミ」的なテロを起こしてきた信奉者らが報復テロを企てる恐れもある。

そうであれば、過激な思想の影響力を失わせない限り、世界は安全と平和を得られないだろう。

ほとんどのイスラム教徒は善良な人々である。だが、01年の米同時多発テロ以来、今世紀はイスラム教徒のテロが続発しているのも事実だ。

それだけイスラム教徒が疎外されているのか。あるいはイスラムの聖職者らがもっと強くテロを非難すべきなのか。多くの要因を突き詰めて考えない限りテロはなくせまい。

避けて通れない課題は、過激派の温床ともなるシリア内戦を終わらせることだ。内戦が長引くほど関係各国の事情は複雑に絡み合う。

例えばラッカ奪還に功績のあったクルド人たちはイラク北部の独立をめざし、イラク政府軍が北部の都市に進駐する事態になった。やはり独立に反対するトルコやイランの協力も得ないとシリアの安定は難しい。

ここは米国の出番だろう。ロシアとの折衝も含めて関係各勢力の意見調整を進めてほしい。それが過激思想に打ち勝つ道でもあるはずだ。
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[朝日新聞] 衆院選 辺野古の海 沖縄だけの問題か (2017年10月19日)

沖縄における衆院選最大の争点は、引き続き米軍の普天間飛行場問題だ。名護市辺野古への移設阻止をかかげる翁長雄志知事を支持する「オール沖縄」勢力と、容認の自民候補者が4選挙区すべてで対決する。

移設の是非がはっきり争われた3年前の名護市長選、県知事選、衆院選、そして昨年の参院選は、いずれもオール沖縄側が制した。それでも政権は辺野古の海の埋め立てに突き進む。

くり返し示された民意は何だったのか。選挙による意思表明が通らないなら、どんな方法をとればよいのか。沖縄は、失望といら立ちの中にある。

日本の安全保障政策を考えれば、沖縄には受け入れてもらうしかない。歴史や地勢上の特殊要因があるからやむを得ない。そう考える候補者や有権者も、少なくないかもしれない。

だが、辺野古が突きつけているのは、基地を造るかどうかという問題だけではない。

中央政府が強大な力を行使して、特定の自治体に重い負担を迫ってきたとき、その自治体はどう声をあげ、いかにして住民の生命や財産、環境を守るか。地方自治にとって根源的なテーマが問われている。

たとえば政府はいま、辺野古の海底の形状を変える岩礁破砕を、知事の許可なしに進めようとしている。「地元漁協が漁業権を放棄する議決をしたので許可は不要だ」と説明する。しかしこれまで水産庁は、議決だけでは漁業権は消滅しないという見解を示していた。

いつ、どんな理由で、いかなる手続きで考えを変えたのか。県の重ねての問いにも誠意ある回答はない。そこには行政の継続も、安定も、信頼もない。

あきれる話は他にもある。

防衛省は7月、埋め立て予定海域で絶滅の恐れがあるサンゴ14群体を見つけた。だが県に伝えたのは、うち13群体が死滅した後の9月。驚いた県が、保全策を協議するため工事を停止するよう行政指導しても、応じない。これが、前知事が埋め立てを承認した際に念を押した「環境保全」の現実だ。

全国各地でさまざまな公共工事が行われている。いわゆる核のごみの最終処分地選びも、この先、本格化する。

個々の自治体の声を聞いていたら話は進まない。国策なのだから我慢せよ。沖縄でやったのと同じことをするだけだ――。

政府がそう言ったとき、地方はどうするか、何ができるか。

「辺野古」が浮き彫りにするこの国の政治の姿は、衆院選で問うべき重大テーマである。
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[読売新聞] 中国共産党大会 習氏は覇権主義を強めるのか (2017年10月19日)

軍事力を増強し、「強国」として世界に君臨する目標が掲げられた。法の支配などの普遍的な価値観を軽視し、「力」に依存する主張は、覇権主義ではないか。

5年に1度の中国共産党大会が開幕し、習近平総書記(国家主席)が演説した。

1期目の総括と今後の方針を示す政治報告で、建国100年の2049年をめどに、「近代化した社会主義強国」を実現すると明言した。「総合的な国力と国際的な影響力で、世界のトップレベルの国家になる」とも強調した。

第2次大戦後、欧米諸国が主導してきた国際秩序に対抗する姿勢を明確に示したと言えよう。

習氏はこれまでも、「中華民族の偉大な復興」をスローガンとしてきた。米国に匹敵する経済力や軍事力を目指しているのは間違いあるまい。

看過できないのは、習氏が南シナ海の人工島造成や軍事拠点化を「成果」として挙げたことだ。

昨年7月の仲裁裁判所判決は、南シナ海を巡る中国の主権の主張を全面否定している。「海洋強国」建設の名の下に、航行の自由の原則を脅かしている動きを肯定的に評価するのは容認できない。

台湾についても、習氏は「いかなる形の分裂活動も打ち破る」と語り、強硬姿勢を見せつけた。

台湾を中国の一部とみなす「一つの中国」原則について、台湾の蔡英文政権は受け入れていない。習政権は今年1月、中国初の空母「遼寧」を台湾海峡周辺で航行させた。今後も軍事的な威圧を続けるのだろう。

沖縄県・尖閣諸島の周辺海域では、習政権発足以来、中国公船の領海侵入が常態化している。日本は米国や東南アジア諸国などと連携し、地域の不安定化を招く行動の中止を求めねばならない。

習氏は、今世紀半ばまでに、「世界一流の軍隊」を建設すると述べた。巨大経済圏構想「一帯一路」の一層の推進も掲げた。富国強兵路線の加速は、「中国の発展はいかなる国の脅威にもならない」という自らの言葉と矛盾する。

1期目で「1強」体制を固めた習氏が、建国の父の毛沢東や、改革開放路線を導いたトウ小平に並ぶ威信を目指しているのは明白だ。2期10年の通常の任期後も権力の座にとどまるとの見方が強い。

中国は、毛沢東への過度の権力集中が混乱を招いた歴史から、「集団指導」を原則としてきた。習政権下で専制政治や社会の抑圧が進むことが懸念される。
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[朝日新聞] 中国共産党 疑問尽きぬ「強国」構想 (2017年10月19日)

30年かけて強国を築き上げる――。きのう始まった中国共産党大会で習近平(シーチンピン)・党総書記(国家主席)が、そう宣言した。2千人余りの党代表を前に、自信に満ちているように見えた。

それは豊かで調和のとれた「社会主義現代化強国」だという。崇高な目標にも聞こえるが、そこには共産党の一党支配を強めるという大前提がある。そのうえで経済を発展させ、公正な社会をつくることが果たして可能なのか。

確かにこの5年間、習氏はめざましい実行力をみせた。

汚職の摘発で党や軍の首脳級に切り込んだ。軍の組織改革も進めている。党内部からの腐敗への危機感ゆえだが、権力固めに利用した面も否めない。摘発の矛先は習氏に近い人々には決して向けられなかった。

国力を背に積極外交に打って出たのも、習政権の特徴だ。アジアインフラ投資銀行を設け、中央アジア、欧州と結ぶ「一帯一路」構想が前進している。強引な海洋進出も目立った。

こうした急速な動きと対照的なのが経済改革だ。4年前の党の会議で「近代的市場体系の形成を急ぐ」としたものの、現実は逆行している。

合併を通じて国有企業をさらに大型化し、経済の命脈を握らせている。そのうえ、党の指示を各企業の経営判断に反映させる制度を新たに導入した。

一部の国有企業に民間から出資させる動きはあるが、民営化にはほど遠い。民間企業は、これまで雇用の伸びを支えてきたというのに、政府支援や融資の面で公平に扱われない。

中国は、中所得国水準から抜け出せない段階で急速に高齢化が進む。そんな危機を目前に、民間の活力をそいででも経済に対する党・政府の管理統制を優先する姿勢は大いに疑問だ。

それにも増して不当なのは、社会全般に対する統制の強まりである。習政権のもと、NGO活動の管理、弁護士の摘発、メディアの監視、大学の統制を厳しく進めた。ネット上のちょっとした政権批判めいた言葉も許されない。これまで残っていた市民的自由の空間は、いよいよ狭まってきた感がある。

目標とする30年後は、中国建国からほぼ100年にあたる。そのころ習氏が「世界一流」と自称する軍は、周辺国からどう見られているだろうか。

そもそも一党支配のままで、「強国」になることはありうるのか。もしなったとしても、それは中国の人々にとっても他国にとっても、決して歓迎されるものではないだろう。
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[読売新聞] 日米経済対話 ごり押しの交渉には乗れない (2017年10月19日)

日米貿易について両政府の思惑の違いが浮き彫りとなった。貿易赤字を目の敵にする「米国第一」は、双方の利益にならない。日本は、その点を粘り強く説かねばなるまい。

麻生副総理兼財務相とペンス米副大統領をトップとする日米経済対話がワシントンで開かれた。4月の東京会合に続く2回目だ。

ペンス氏は、日本との自由貿易協定(FTA)に「強い関心」を示した。麻生氏は、米国が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)の意義を改めて強調し、議論は噛(か)み合わなかった。

日本が米国とのFTAを警戒する理由は、トランプ政権の基本姿勢にある。米国の貿易赤字を相手国による一種の「搾取」と捉え、相手国側に是正する責任があると一方的に押しつけるからだ。

トランプ氏の大統領選勝利の原動力となった、米製造業地帯の支持を強く意識していよう。

貿易収支の赤字は、米消費者の利益となる安価で高品質な製品の輸入が多いことを表している。

そうした現実には目を閉ざし、自説に都合の良い面しか見ようとしないのは、トランプ政権に顕著な傾向と言える。

超大国の立場を振りかざす態度も問題が大きい。北米自由貿易協定(NAFTA)見直し交渉では米国にのみ特別扱いを求める。米韓FTAは協定の破棄をちらつかせ、韓国に再交渉を呑(の)ませた。

日本政府は、たとえ日米FTA交渉に臨んでも、米国以外の市場開放も期待できたTPP交渉以上の譲歩は難しいという立場だ。

米国が農産物の関税などでTPP以上の撤廃・削減を要求するようだと、重要な同盟国である日米の関係悪化は避けられない。

日本政府内には、米政府が当面、NAFTAと米韓FTAに注力するため、対日交渉の本格化は、まだ先になるとの見方がある。

その時間を無駄に費やしてはならない。日本は、保護主義を強める米国が、自由貿易体制に回帰する環境の醸成に努めるべきだ。

第一は、米国を除く11か国のTPPを着実に動かし始めることである。暫定的な協定内容を迅速にまとめ、目標とする11月の首脳合意を果たしたい。

日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)も年内に最終合意すれば、米国を多国間枠組みに振り向かせる契機となろう。

トランプ氏は来月初旬、来日する。首脳間の信頼関係を深めて、早期に貿易摩擦の芽を摘む建設的な協議が求められる。
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2017年10月18日

[東京新聞] <衆院選>9条改憲論 平和の未来がかかる (2017年10月18日)

憲法施行七十年。その年の衆院選で改憲が争点となった。自民党の公約が九条への「自衛隊の明記」だ。九条改憲に真っ向から反対する政党もある。何が問題なのか、有権者はじっくり判断したい。

改憲は自民党の安倍晋三総裁(首相)の宿願である。それでも同党の公約で六つの重点項目に「憲法改正」と堂々と掲げたのは、今回が初めてである。

あえて民意を問い、改憲手続きに進みたいのだろう。改憲項目は緊急事態対応など四つあるが、「自衛隊の明記」は総裁自ら五月に語ったことでもある。

だが、公明党は「意図は理解できないわけではないが、多くの国民は自衛隊の活動を支持しており、違憲の存在とは考えていない」と距離を置いている。希望の党も九条を含め改憲を進める考えだが、小池百合子代表は「自衛隊だけ取り出し、このような形で進めるのは大いに疑問」と語った。

維新の改憲案はむしろ統治機構改革などが主だ。ただ九条も改憲のテーマに挙げる。日本のこころは自衛隊明記に賛成する。つまり改憲政党でも、九条へのスタンスには濃淡がある。

これに対し、立憲民主党、社民党、共産党は「九条改憲反対」の立場だ。立憲民主の枝野幸男代表は「違憲の安全保障法制を追認する憲法改正には賛成できない」と語る。社民は「九条を死文化しようとしている」と護憲を訴える。共産党も「変えるべきは憲法ではなく、憲法をないがしろにした政治だ」という。

自衛隊には従来、強固な政府見解がある。不意の侵入者への正当防衛、そのための戦力には至らない「自衛力」に基づく実力組織であり、合憲と説明されてきた。

だが、今や集団的自衛権を行使できる存在だ。米軍などと一体となって行動できる。米軍はまぎれもない軍隊であり戦力である。一緒に行動する自衛隊が戦力でないといえるのか。そんな疑問が出てくる。つまり九条二項の戦力不保持と矛盾するのではないか。

自衛権の範囲をめぐる論争が再燃するのは必至であろう。いずれ二項の削除の方向に議論が進む心配も出てくる。

反対する野党にも注文がある。教条的にならず、国民に向けて、もっとわかりやすい言葉で、なぜ自衛隊の明記が許されないか語るべきであろう。平和国家の行く末のために有権者が判断しやすい論争をしてほしい。
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[東京新聞] 香港長官の政治 優先すべきは経済か (2017年10月18日)

香港初の女性行政長官に林鄭月娥氏が就任して三カ月半。林鄭氏は経済発展を優先させる姿勢だが、中国の強権統治に反対した雨傘運動の挫折で深刻になった社会の亀裂修復こそ急ぐべき課題だ。

林鄭氏は十月、就任後初の施政方針演説で、課税所得二百万香港ドル(約二千九百万円)までの法人税に軽減税率を導入し、技術革新などの研究開発支援に力を入れる方針を表明した。

中小企業の振興や新たなビジネスモデルの立ち上げを支援する狙いがあろう。投機的取引で高騰する不動産市場や金融に偏った経済構造に住民らの不満は強く、財閥優先の経済に風穴をあける試みなら評価できる。

林鄭氏は「香港での優先順位は経済にある」と強調しているが、果たしてそうだろうか。

香港が直面する最大の課題は、中国の強権統治にひるみ物言えぬ「親中派」と、過激な「独立派」に分断された社会の亀裂である。

長官選で林鄭氏は香港社会の亀裂の修復を掲げて当選し、七月に就任した。香港が一体となって輝きを取り戻すには、言論の自由や人権尊重という香港人が共有してきた価値観を守りぬくしかない。

習近平国家主席は「中央の権力に挑戦する動きは絶対に許さない」と高圧的な姿勢を強め、香港政府に対し青少年への愛国教育を強めるよう指示もした。

大学生らが長官選民主化を求めた三年前の雨傘運動を、国家の主権と安全を脅かす行為と苦々しく受け止めているからであろう。

だが林鄭氏は、中国が国防と外交以外の「高度な自治」を認めた「一国二制度」の原点に戻すような香港統治に努力すべきである。

中国は九月、国歌を侮辱すれば刑事責任も問う「国歌法」を制定。林鄭氏は香港にも同法を適用する考えを示した。残念ながら、林鄭氏の目は香港人ではなく中国の中央政府を向いているように映る。

香港政府は、来年開通予定の香港と広東省広州市を結ぶ高速鉄道の香港側駅で、中国政府職員が出入境審査をする方式を計画している。

「高度な自治」が認められた香港で中国の警察権行使が可能になるため香港立法会(議会)民主派は反発している。だが、林鄭氏は政府案を撤回しない考えだという。

香港返還から二十年。中国と香港の経済的結びつきは深まった。だが、自治の形骸化を防がなければ、香港人の民意は中国から離れるばかりであろう。
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