2018年02月21日

[朝日新聞] 強制不妊手術 救済に向け調査を急げ (2018年02月21日)

1948年に制定された旧優生保護法に基づく強制不妊手術の実態が、明らかになってきた。「不良な子孫の出生防止」を掲げ、遺伝性の疾患、知的障害者らが子を産めなくする対象とされた。

統計では少なくとも1万6千人以上の男女が本人の同意なく手術されたという。人間の尊厳を踏みにじる政策である。国は早急に実態を調べ、被害者の救済に乗り出すべきだ。

1月、60代の女性が国に謝罪と慰謝料を求め、全国で初めて仙台地裁に提訴した。

知的障害がある女性は、15歳の時、病院で卵管を縛って妊娠できなくする手術を強いられた。以来、腹痛を訴え、卵巣を摘出せざるを得なかった。

「出産という自己決定権を侵害し、基本的人権を踏みにじるものだ」。旧優生保護法について女性側はそう指摘する。重い問いかけである。なぜ被害救済の補償制度を作らなかったのか。そう問われた国は真摯(しんし)に向き合うべきだ。

同法は96年に母体保護法に変わったが、決して過去の話ではない。多くの人が差別を恐れ、声をあげられずにいる。

「育児能力がない」「月経の後始末ができない」。医師はこんな所見を手術の申請に記し、都道府県の審査会が手術の適否を判断した。北海道や宮城県などは審査時の資料を調べ、その概要を明らかにした。

全都道府県が徹底して調べるよう、国が促すべきだ。

同様の手術はスウェーデンやドイツでもあった。両国では実態が明るみに出た後で国が謝罪し、救済措置に踏み切った。

日本には98年に国連の委員会が補償するよう勧告した。しかし国は「当時は適法だった」として、謝罪もしていない。後ろ向きな態度は、被害者の置かれた立場への理解を欠く。

国会では超党派で議連をつくり、議員立法での救済をめざす動きがある。被害者へのヒアリングも必要だ。らい予防法による隔離政策で国が敗訴した際、控訴を断念して救済をはかった時の対応が参考になるだろう。

当事者は高齢化し、時間はない。早急に具体化してほしい。

驚くことに、自治体の50年代の冊子には「優生手術千人突破」「群を抜き全国第一位の実績」などの記述まである。手術増を奨励した厚生省(当時)の通達により、都道府県で競いあったのではないか。国家による命の選別が、なぜつい二十数年前まで続いていたのか。負の歴史に向き合うことは、政策を許した社会全体の責任でもある。
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[読売新聞] 自民合区解消案 参院の権限の議論が足りない (2018年02月21日)

参院の選挙制度を変える手法として、自民党の憲法改正案には疑問が拭えない。衆参両院の権限や役割分担を併せて見直すべきだろう。

自民党憲法改正推進本部は、参院選の合区解消に向けた憲法改正の条文案をまとめた。

92条に、都道府県を示す「広域の地方公共団体」を明記し、47条には、3年ごとの改選時に、都道府県単位の選挙区から最低1人を選出できる規定を追加した。

1票の格差に関する違憲判断は回避できるとの判断だ。

2016年の参院選で、鳥取と島根、徳島と高知がそれぞれ一つの選挙区に統合された。

東京への人口集中と地方の過疎化が進行する中、合区対象県は今後、増える可能性がある。「合区を解消しないと、地域の声が国政に届かなくなる」という地方選出議員らの危機感は理解できる。

だが、憲法は、衆参両院議員を全国民の代表と位置付け、両院にほぼ対等の権限を付与している。自民党案のように、参院議員に地域代表的な性格を持たせながら、権限や役割に手を付けないのは、筋が通らない。

法案の衆院再可決の要件を過半数に緩和することや、衆参両院の賛成を要する国会同意人事の対象の絞り込みなど、「強すぎる参院」の是正に取り組むべきだ。

衆参ねじれ国会の下で、「決められない政治」が横行した事態の再来を防ぐことにもなる。

合区された4県は、自民党の選挙地盤が比較的厚い。合区解消が党利党略と受け止められれば、国民の支持はおろか、公明党を含む他党の賛同も得られまい。

合区導入を決めた改正公職選挙法は付則で、19年参院選に向け、制度改革の「結論を得る」と定めた。残された時間は少ない。

参院は、半数ずつ改選されるため、各選挙区に最低2人を割り振らねばならない。総定数を維持したまま、1票の格差を是正するのは限界がある。

総定数を増やす選択肢を排除せず、各党は、参院の選挙制度の議論を加速させる必要がある。

自民党の改憲案には、衆参両院選の区割りについて、人口だけでなく、行政区画などを勘案するとの規定も盛り込まれた。

1票の格差を是正するため、衆院小選挙区では、多くの市区町が複数の選挙区に分割されている。有権者の混乱を招くような事態は、好ましくない。

市区町村の一体性をできるだけ維持することは理解できよう。
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[朝日新聞] 裁量労働制 政府の説明は通らない (2018年02月21日)

もともと比べられないデータを比べ、国会で説明したのはまずかった。しかし政策の中身には影響がないから、法案は予定通り、近く国会に出す。

安倍首相の国会答弁とその撤回を巡って論戦が続く裁量労働制の適用拡大について、政府の姿勢をまとめれば、こうなる。

こんな説明は通らない。野党が求める通り、政策論議の基礎となるしっかりしたデータをそろえてから議論するのが筋だ。

問題となっているのは、あらかじめ定めた時間を働いたとみなす裁量労働の人と、一般の労働者の1日の労働時間を比べたデータだ。「裁量労働制の拡大は長時間労働を助長しかねない」と懸念する野党に対し、首相は1月末の国会答弁でこのデータに基づき「平均的な方で比べれば一般労働者より短いというデータもある」と反論した。

しかし、裁量労働の人と一般労働者では質問内容が異なり、両者は比較できないものだった。厚生労働省によると、調査の担当者とは別の職員が15年に野党への説明資料として作り、国会審議でも使われてきた。

あくまでミスだったという。だが、こんな重要な資料を大臣に報告もせず職員が勝手に作るとは、にわかに信じがたい。誰の指示で、どんな意図で作られたのか。徹底的に解明することが不可欠だ。

問題となった比較データそのものは、裁量労働制拡大を検討した厚労省の労働政策審議会には示されていない。従って法改正を進めることに問題はない。政府はそう強調する。

しかし政府はこのデータを、長時間労働への懸念に反論する支えとしてきた。誤った説明を繰り返し、賛否が分かれる論点の議論を尽くさずにきたこと自体が、大きな問題である。

疑問に答える先頭に立つべきは、行政の責任者である首相だ。裁量労働を広げても心配ないと言わんばかりだった基本認識が問われる。ところが首相は「厚労省から上がってきた答弁(案)にデータがあったから、紹介した」「すべて私が詳細を把握しているわけではない」と、ひとごとのようだ。

データ比較は不適切だと厚労省が認識したのは、最初の首相答弁から4日後の今月2日。7日には加藤厚労相に報告されたのに、首相が答弁を撤回したのは14日だった。2週間近くも問題が放置されたことになる。政府の対応はあまりに鈍く、国会軽視もはなはだしい。

こんな状況で、法案を国会で審議するわけにはいかない。政府に再考を求める。
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[読売新聞] モルディブ情勢 中国の「干渉」に警戒が必要だ (2018年02月21日)

インド洋の島嶼(とうしょ)国モルディブの政情が不安定化している。海上交通の要衝であり、中国が影響力を拡大させていることから、日本を含む関係国は警戒が必要だ。

2013年に発足したヤミーン政権下で、反テロ法違反などによる野党幹部の摘発が相次ぐ。

最高裁は今月上旬に、亡命中のナシード元大統領や野党議員らの釈放と裁判のやり直し、復権などを命じた。首都マレでは、反政府デモも起きた。

ヤミーン大統領は非常事態を宣言し、最高裁長官らを逮捕した。釈放などの決定は撤回された。今秋に予定される大統領選での再選に向けて、強権姿勢を強めているのは間違いない。

モルディブはアジアから中東、アフリカに至る海路の拠点の一つだ。混乱が長引けば、地域の安定が損なわれる恐れがある。国連や欧米諸国が、ヤミーン氏への懸念を表明したのは当然だ。

注意を要するのは、インド洋での影響力を巡る中国とインドのせめぎ合いが、モルディブ情勢にも波及していることだ。

ナシード氏ら野党勢力はインドとの関係が深いのに対し、ヤミーン氏は中国への接近が際立つ。昨年末には自由貿易協定(FTA)を締結し、中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」に参加する覚書を交わした。

中国は、インド洋の沿岸国との協力を深める「真珠の首飾り」と呼ばれる海洋戦略を取る。

スリランカでは、南部ハンバントタ港の整備に巨額を融資し、債務返済の代わりとして、中国企業が99年間にわたる権益を得た。モルディブの島々でも長期賃借契約を結び、開発を進めている。

港湾などの権益を軍事面で活用し、中国軍の外洋展開を促進する思惑があるのだろう。

インドは、こうした動きに神経をとがらせる。モディ首相はトランプ米大統領とモルディブ情勢を巡って電話会談し、「法の支配」の尊重で一致した。中国をけん制する狙いは明白だ。

中国は「内政不干渉」を唱え、インドの介入を警戒する。中印両国は緊張を高めぬよう慎重な対応が求められる。

安倍政権が掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」においても、モルディブは重要だ。年間4万人の日本人観光客が訪れるリゾート地でもある。

河野外相は1月、日本の外相として初めて訪問した。関与を深め、日本の存在感を示したい。
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2018年02月20日

[東京新聞] 藤井聡太六段 歴史変えた3次元思考 (2018年02月20日)

将棋の中学生棋士、藤井聡太五段が史上最年少の十五歳六カ月で公式棋戦優勝を達成し、六段に昇段した。歴史的記録を次々塗り替える快進撃が、わたしたちの社会をさわやかに刺激している。

藤井六段は、予選の一番下から破竹の十連勝で朝日杯オープン戦を制し、「五段昇段後に全棋士参加棋戦で優勝」という規定を満たして昇段した。

今月一日、名人戦の予選に当たる順位戦の好成績で五段となった後、わずか十六日で五勝を挙げ、無敗のまま駆け上がった。

棋戦優勝のこれまでの最年少記録は、「神武以来の天才」と呼ばれた加藤一二三・九段(78)が一九五五年、若手を対象にした当時の「六・五・四段戦」で樹立した十五歳十カ月だった。

その最年少記録を塗り替えたばかりではない。一月の準々決勝で佐藤天彦名人(30)、今回の準決勝では「永世七冠」の羽生善治二冠(47)、決勝では元王位の広瀬章人八段(31)に連勝。いわば棋界を代表する実力者を次々と下す中身の濃い棋戦優勝となった。

「全棋士参加の棋戦で優勝するのは、まだ難しいと考えていた」とは、同じく中学生棋士だった谷川浩司九段(55)の談話。先輩たちの予想をはるかに上回る速さで棋力を上げていたのである。

詰め将棋で鍛えた終盤力に加えて人工知能(AI)の将棋ソフトを生かして序盤、中盤の形勢判断に磨きを掛けたといわれる藤井六段だが、先輩棋士をうならせる強さの本質は何だろうか。

師匠の杉本昌隆七段(49)が近著で、藤井六段は「二次元の将棋盤に対して三次元で考え抜く」と説明している。あくまでもイメージだが、「縦九×横九」の盤面に三マスぐらいの高さが加わったように感じさせる、という。

かみ砕くと「斜めの多用」。つまり、縦横への動きよりも遠くを“立体的”に見通し、勝負どころで角や桂馬をうまく使う。

六段昇段をかけた広瀬八段との決勝でも、終盤、一見ただで取られそうな地点に桂馬を打つ妙手を放ち、勝負を決めた。

真正面には進めない、いわば扱いにくい駒でもある角、桂馬を生かして活路を開く“三次元思考”は、新たな時代を切り開くヒントのようにも見える。

思いも掛けぬ「読み」に支えられた藤井六段の将棋は示唆に富むが、まだ発展途上。この先、どんな驚きが待っているのか。さらなる進化を期待したい。
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[東京新聞] 合区解消改憲案 法の下の平等に反する (2018年02月20日)

憲法改正によって「一票の不平等」を積極的に容認することになれば、憲法が定める「法の下の平等」に反する。議会制民主主義の根幹を脅かす権利の侵害だ。こうした改正は断じて認められない。

自民党憲法改正推進本部が参院選選挙区の「合区」解消に向けた改憲条文案を了承した。衆参両院の選挙について定める四七条に大幅に加筆し、参院では三年おきの改選ごとに各都道府県から一人以上を選出すべきだと定める内容である。

参院では「一票の不平等」縮小のため、二〇一六年の選挙から、別の選挙区だった徳島・高知、鳥取・島根がそれぞれ一つの選挙区に「合区」された。

しかし、合区対象の県関係者や全国知事会などは「地方の声が国政に届きにくくなる」と反発。自民党は合区解消を含む改憲四項目を一七年衆院選公約の重点項目に挙げていた。四項目中、条文案がまとまったのは初めてだ。

国土の均衡ある発展のために、地方の声を国政に反映させることの重要性は十分に理解するが、憲法上の要請であり、議会制民主主義の根幹を成す「法の下の平等」をないがしろにしていいわけはあるまい。自民党の条文案からは、自らの地盤である地方の議席を維持する思惑が見えなくもない。

条文案には衆院選の区割りについても人口を基本としつつ、行政区画や地域的一体性などを総合的に勘案することも盛り込まれた。

仮にこの改正が実現すれば、衆参両院の選挙でどんなに「一票の不平等」が広がっても、違憲性を問えなくなる。特に参院が地域代表の性格を強くすれば、国会議員を「全国民の代表」と定める四三条とも相いれない。

与党の公明党が「一票の価値の平等が最も重要な選挙制度の基本ではないか」(井上義久幹事長)と慎重姿勢を示すのも当然だ。

もちろん参院を地域代表とすることも一案ではある。そのためには衆参両院の役割分担や権限、選挙制度を含め、二院制の在り方を根本から議論することが前提だ。そうした議論を経ずに、改憲で合区解消を図ろうとするのはあまりにも短絡的である。

「一票の不平等」を解消する参院選挙制度改革については公明党が全国を十程度、共産党が九ブロックに分ける案を提唱している。

自民党のように憲法上の要請ではない都道府県に固執する必要がどこにあるのか。法律で対応できることを怠り、やみくもに改憲を急ぐとしたら本末転倒である。
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[産経新聞] 【主張】小平金メダル 五輪の価値を再確認する (2018年02月20日)

平昌五輪のスピードスケート女子500メートルで、小平奈緒が金メダルを獲得した。五輪新記録で他を圧倒した見事な滑りはもちろん、競技後の姿も見る人を魅了した。

出場選手中ただ1人、36秒台で滑った小平は、2位に敗れて五輪3連覇を逃し、涙を流す地元韓国のスター選手、李相花を抱きとめた。

そして「今もリスペクトしているよ」と話しかけたのだという。2人は肩を抱き合ったままそれぞれの国旗を手にリンクを回り、スタンドから大歓声を浴びた。

長く世界のトップを争い、真剣勝負を繰り広げてきた2人であるからこそ生まれた、今大会で最も印象に残るシーンだった。

国際オリンピック委員会(IOC)が提唱する五輪の価値は「卓越、友情、尊敬」の3つである。その全てを、見事に象徴する光景でもあった。

韓国の中央日報は、2人が「まるで一つのチームが金、銀メダルを取ったかのように互いをねぎらった」と報じた。

スポーツには、人と人を結びつける力がある。ただしそれは、スポーツが公平、公正性に守られ、競技に真摯(しんし)に向き合った末に生まれるものだ。例えば政治的思惑からルールを曲げて強制された合同チームなどは、何ら共感を呼ばない。五輪の価値から、かけ離れたものといえる。

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日韓は歴史問題などでぎくしゃくした関係を続けている。それでも切り離せぬ隣国であり、時にスポーツが呼ぶ感動は、両国が抱える難しい感情を忘れさせる。

思い出すのはサッカーの2011年アジアカップである。準決勝で韓国をPK戦で下した日本選手の歓喜の輪から1人離れ、遠藤保仁が韓国のスター選手、朴智星の肩を抱いて慰めていた。

朴智星には代表最後の試合であり、遠藤とはかつてJリーグ京都時代の同僚でもあった。スポーツ界における日韓は激しくしのぎを削り合う好敵手であると同時に、極めて近しい関係でもある。

小平と李相花が並んで臨んだメダリスト会見は、互いへの友情、尊敬を語る言葉で埋め尽くされた。笑顔の2人がテーブルの下で手を握り合うシーンがなんともほほ笑ましかった。小平31歳、李相花28歳。次の北京五輪でもドラマの続きを見せてほしいと願うのは、ぜいたくだろうか。
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[産経新聞] 【主張】プーチン大統領 長期政権の本質見極めよ (2018年02月20日)

3月18日投開票のロシア大統領選まで1カ月を切った。現職のプーチン氏の再選は確実視されており、長期の政権掌握はさらに6年延びる。

2024年までの任期と合わせれば、ほぼ四半世紀にわたり権力を掌握することになる。

その政治手法は反対派を認めない強権統治である。「強いロシア」を標榜(ひょうぼう)し、欧米との敵対もいとわない。

日本はロシアとの間で北方領土問題を抱えている。力による現状変更を体現する相手を見極め、慎重に向き合っていくべきだ。

反政権派指導者のナワリヌイ氏は、立候補を却下された。プーチン氏は支持率で他候補を大きく引き離しており、関心は投票率やプーチン氏の得票率に集まる。

2000年に初当選したプーチン氏は、地方に対する統制を強める方針を推し進めた。ソ連崩壊後の混乱に終止符を打ったものの、民主化は後退したといえよう。

野党指導者が不審死しても、原因究明は進まない。政権によるメディア支配は強まる。強権的手法は年々、露骨になる印象だ。

2014年にロシアがウクライナ南部、クリミア半島を武力併合したことで、主要8カ国(G8)から追放された。欧米による経済制裁も続いている。こうした状況で、テロ対策などの多国間協調が進展しない面も大きい。

とくに警戒すべきは、プーチン氏が対外的強硬姿勢により国民の愛国心を鼓舞し、自身の求心力としていることである。クリミア併合時にも支持率を上げた。

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プーチン政権は、ロシアが外敵に囲まれているとの政治宣伝を入念に行っているという。ドーピング問題により、平昌五輪は「ロシア不在」となった。この件についても、プーチン氏は米国などの画策と反論している。

トランプ米政権の核戦略見直しは、ロシアが戦術核で周辺国を威嚇していることが背景にある。対外強硬姿勢は、新たな紛争をもたらす危険もはらんでいる。

安倍晋三首相はプーチン氏との接触を重ね、個人的な信頼関係を構築してきた。ともに長期政権で、首脳同士で決断しやすいという理屈はあるだろう。

ただし、他国の領土を侵して支持を広げる政治指導者が相手である。共同経済活動が領土問題の解決につながる保証はない。国益を損なわない付き合いが肝要だ。
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[毎日新聞] 小平選手も金、日本勢活躍 地道な取り組みの結実だ (2018年02月20日)

平昌五輪スピードスケート女子500メートルで、小平奈緒選手が金メダルに輝いた。スピードスケート日本女子初の金メダルだ。

「応援に来た人たちの笑顔を見たかったが、涙でかすんで見えなかった」という。スケートに懸けてきた思いは胸を打った。

最大のライバルで、銀メダルだった韓国の李相花(イサンファ)選手とレース後に抱き合った姿も印象的だった。

31歳での金メダルは、日本の冬季五輪史上最年長にあたる。

トレーニング理論や医科学面のサポートが発達し、選手寿命は延びている。とはいえ、体力のピークは20代後半に来る。小平選手は低地のリンクでは異次元ともいわれる36秒台を唯一記録した。まさに圧勝だ。

この金メダルで、日本のメダルは最多だった1998年長野大会の10個に並んだ。どの色のメダルも輝いて見えるが、全種目を通じて際立つのが前回ソチ大会ではメダルがゼロだったスピードスケートで、特に女子の躍進が光る。

今大会は女子選手の参加比率が全体で41・6%と過去最高である。

日本選手団はソチ大会に続き、女子が男子を上回った。スピードスケート女子は8人で、8年前のバンクーバー大会やソチ大会を下回るが、この4年間の取り組みを結実させて好成績へとつなげた。

小平選手は結城匡啓(まさひろ)コーチの下、母校である信州大の学生にもトレーニングを手伝ってもらい、表彰台の頂に立った。

1500メートルで銀メダル、1000メートルで銅メダルを獲得した高木美帆選手は、新たに創設されたナショナルチームで世界と戦う力をつけた。

また、日本男子の金銀メダルに沸いたフィギュアスケートは、有望な新人を発掘する合宿を始めて四半世紀になる。今のトップ選手のほとんどは合宿の経験者だ。

日本のフィギュア界が高いレベルを保てるのは、こういった競技団体の地道な活動の成果でもある。

2020年東京五輪・パラリンピックに向け、練習環境の整備などが国全体で図られたことも大きい。

大会は終盤に入る。日本勢のさらなる活躍を願い、見ている我々も目いっぱい応援して平昌に追い風を吹かせたい。
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[毎日新聞] 高齢者のトラブル解決 法テラスの役割は大きい (2018年02月20日)

高齢者が金銭トラブルなど紛争の当事者になるケースが増えている。

問題解決のために、日本司法支援センターが先月、高齢や障害によって認知機能が衰えた人の自宅などに出向いて法律相談に応じる取り組みを始めた。センターは、相談者の心を照らす場との意味を込め、「法テラス」と名付けられている。

トラブルの中身はさまざまだ。高額な商品を何セットも購入させられるなど悪質商法の被害は多い。

財産の管理をめぐって親族ともめ事を抱える人もいる。不動産などの賃料収入や年金を勝手に使われてしまうといった相談がこれまでも法テラスに寄せられている。

判断能力が明らかに欠けていたり、不十分であったりすれば、成年後見制度によって保護が図られる。だが、症状が進んでいない場合、放置されてしまうのが現実だ。法的な問題を抱えながら困っている人たちに手を差し伸べる意義は大きい。

ただし、課題もある。支援は、地域包括支援センターや社会福祉協議会などの福祉機関などと連携して行われる。そうした機関の職員ら「支援者」からの通報を受け、初めて法テラスが動くという仕組みだ。

だが、認知機能の衰えの程度が軽い高齢者の中には、福祉機関と接点がなく、1人暮らしをしている人も少なくないだろう。民生委員ら、より近くで高齢者を支える人たちは「支援者」として認められていない。将来的には、高齢者を支える人が幅広く利用できることが望ましい。

法テラスは、2006年に政府の出資で設立された公的法人だ。全国100カ所以上に事務所があり、困窮者の無料法律相談などを手がける。行政や福祉機関と連携し、巡回相談などをする「司法ソーシャルワーク」の取り組みも進めてきた。

高齢化が急速に進む社会で、司法と福祉をつなぐ接点としての役割が、今後ますます期待される。

その責任を果たすためにも、広く法テラスの存在を知ってもらうことが必要だ。最新の調査では、法テラスについて「まったく知らない」という人が45%を占めた。

今回の出張相談の取り組みも、当事者に制度が浸透しなければ、活発な利用は期待できない。周知のための啓発活動が欠かせない。
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[朝日新聞] わき立つ五輪 殻を破った先の輝き (2018年02月20日)

平昌冬季五輪で羽生結弦、小平奈緒の両選手が相次いで金メダルに輝いた。

フィギュアスケートの羽生選手は昨年のけがからの復活。一方、スピードスケートの小平選手は16年以降出場したW杯で無敵を誇り、勝って当然という重圧の中で悲願を達成した。

支え続けた人々の存在にも光が当たるが、何より2人に共通するのは、納得のいく練習環境を追い求め、そのためには失敗も、自らを変えることも恐れなかった姿勢といえる。

羽生選手は外国人コーチの指導を仰ぐため、12年に練習拠点をカナダに移した。小平選手は大学時代からのコーチの教えを受けながら、スケート大国オランダに2シーズン留学し、伸び悩んでいる点の改善に努めた。

殻にこもらず、国際的な視点を重視する考え方はスポーツ界全体に広がる。中でもスケートは冬季競技の先頭をゆく。

スピード部門はメダルなしに終わったソチ五輪の反省を踏まえ、スポーツ科学の研究者を強化責任者にすえ、コーチをオランダから招請。そのもとで代表チームを固定化して長期合宿を行い、体系的な指導、食生活の支援、選手同士の交流を深めるなど異例の態勢をとった。

銀と銅の二つのメダルを獲得した高木美帆選手は、そこに参加して力量をみがき、最近、世界記録を何度も更新している女子団体追い抜き(パシュート)にも期待が集まる。

改めて思うのは、指導者が果たす役割の大きさ、そしてその人材の確保・養成にむけた競技団体のとり組みの重要性だ。

指導の目標や方向性をしっかりすりあわせたうえで契約を結ぶ。外国人コーチには競技知識を持った優秀な通訳をつけ、意思疎通に万全を期す――など、選手・指導者がそろって力を発揮するために何をすべきか、常に留意しながら進めることが成果をもたらす。

日本出身の優秀な監督・コーチも大勢いるが、世界で活躍する人々と比べたとき、なお学ぶべき点は多い。例えばその選手が育ってきた背景や、土地の文化、歴史まで理解して教え導くコミュニケーション能力だ。

招請した指導者を支えつつ、ノウハウを吸収する。自ら海外にわたってコーチ経験を積む。競技団体としてそうした機会を意識的に増やし、あるいは制度を設け、指導者層を厚くすることに努めてもらいたい。

平昌五輪閉幕まで1週間を切った。これから出場する選手の活躍を祈りながら、明日の隆盛につながるヒントを探りたい。
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[読売新聞] ミュンヘン会議 北朝鮮の核に共同で対処せよ (2018年02月20日)

北朝鮮の核の脅威を直視し、抑止力を高めつつ、核放棄に向けた国際的な包囲網を強化する必要がある。日本は米国と連携し、欧州各国などに働きかけねばならない。

ドイツで安全保障や外交問題を協議する「ミュンヘン安全保障会議」が開かれ、各国首脳や閣僚ら約450人が参加した。

河野外相は北朝鮮の核開発に関し、「核保有を許せば、NPT(核拡散防止条約)時代は終わる。微笑外交に目を奪われてはならない」と述べた。北朝鮮による公海上での密輸取引の写真を示し、制裁逃れの実態を説明した。

北朝鮮は平昌五輪を利用し、融和ムードを演出しているが、核開発を進める姿勢に何ら変化はない。国際社会は協力して経済制裁の抜け穴を封じ、北朝鮮に政策転換を迫らなければならない。

米国は「核戦力体制見直し(NPR)」で、サイバー攻撃などを念頭に、様々な事態で核戦力を運用できるようにするとともに、小型核の増強を盛り込んだ。米国と同盟国の安全を確保するため、核抑止力を強化するものだ。

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は「全ての同盟国は北朝鮮のミサイルの射程内にある」と述べ、欧州の関与の必要性を強調した。

ガブリエル独外相は「核の軍備拡張の時代への逆行は望まない」と語った。米国の核政策への懸念を示したものとみられる。

問題は北朝鮮に限らない。中露は核戦力を増強している。米国と欧州は危機への認識を共有し、核抑止力を含めた現実的な安全保障政策を進める必要がある。

中国への対応も議論された。

河野氏は中国を念頭に「南シナ海や東シナ海では現状変更の試みが行われている」と述べた。「アジア、アフリカなどで相手国の経済力を考えない事業が多くある」とも語り、巨大経済圏構想「一帯一路」の問題点を指摘した。

ガブリエル氏も「中国の利益に合うよう世界をつくるためのシステムだ」と語った。

各国は、様々な機会を活用し、「法の支配」の順守と、地域の安定に資する開発を中国に求めていくことが大切である。

日本の閣僚のミュンヘン会議への出席は、2014年の岸田外相以来だ。河野氏は、国会日程のすき間をぬって週末を中心に海外に出張している。

国益を損なわないよう、副大臣の代理答弁を増やすなど、与野党は柔軟な運営を検討すべきだ。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする