2020年04月02日

[朝日新聞] 感染症と経済 前例なき事態に備えを (2020年04月02日)

新型コロナウイルスの感染拡大が、日本経済に未曽有の打撃を与え始めた。急速で大幅な需要の減少に加え、防疫のために人為的に経済活動を抑えねばならないという、前例のない厳しい局面だ。政策当局は予断を持たずに迅速に状況判断し、国民に発信するとともに、適切な対応策を講ずる必要がある。

きのう発表された日本銀行の全国企業短期経済観測調査では、大企業・製造業の業況判断指数が7年ぶりにマイナスに転じた。中小や非製造業の業況感も悪化している。先行きもさらに落ち込む見通しだ。

雇用の指標も弱含んでいる。有効求人倍率が低下し、情勢判断から「改善」が削られた。

しかも、これらの指標は足元での内外の急速な感染拡大をほとんど織り込んでいない。3月中下旬以降、欧米では外出や移動の制限が強化され、国内でも東京都の外出自粛要請といった動きが広がっている。こうした事態がいつまで続くか見通すことは難しく、経済への影響は一段と深刻になる可能性もある。

政府も、3月の月例経済報告で、6年9カ月ぶりに基調判断から「回復」の文言を取り除いた。「新型コロナウイルス感染症の影響により、足下で大幅に下押しされており、厳しい状況にある」としている。

景気の山は18年秋ごろとの見方が多く、「戦後最長の景気回復」は幻に終わりそうだ。昨年初めから景気悪化を示すデータが相次いでいたにもかかわらず、政府は「回復」の表現にこだわり続けた。現下の困難な情勢に対応するためにも、判断の遅れを繰り返してはならない。

過去7年間、雇用環境の改善が日本経済を支えてきた。しかし、依然、非正規など脆弱(ぜいじゃく)な部分も残っている。雇用減→所得減→消費減→雇用減の悪循環が起きれば、新型コロナによるショックが、さらに増幅されかねない。休業補償や働き手の所得補償を徹底する必要がある。ウイルス禍の収束後に景気を回復させるためにも、経済の基盤を壊してはならない。

一方で、いまの需要減には、感染拡大防止策の結果という側面もある。通常の景気後退時にとられるような需要喚起策は、必ずしも適切ではない。医療分野への支出の十分な拡大に加え、リモートワークの環境整備といったデジタル化の促進など、防疫と相反しない策を重点的に検討すべきだ。

今後、感染拡大に歯止めがかからなければ、生産や流通が大きく制約されることもありうる。いろいろなケースを想定し、万一にも必需品に供給不足が生じることがないよう、目配りが欠かせない。
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[朝日新聞] 性犯罪と処罰 許さぬ仕組みを社会で (2020年04月02日)

被害者が守られ、加害者が適切に処罰されるためにどうすべきか。議論を加速させる時だ。

性犯罪の根絶にむけて、政府は関係する府省庁の会議を設けて対策に乗り出す。法務省では刑法改正の要否や内容についての検討が始まることになった。

折しも今年に入って、性犯罪事件で一審の判断を覆して有罪とする高裁判決が相次ぐ。いずれも昨年春、地裁が被害者の意に反する性交だったと認めながら、結論において無罪としたものだ。衝撃を受けた人々が性暴力に抗議する「フラワーデモ」を始める契機になった。

中でも注目されたのは、当時19歳の実の娘に対する準強制性交罪に問われた父親の事件だ。

名古屋地裁岡崎支部は、過去にこの被害者が抵抗して性交を拒否できた例もあったことなどから、同罪の成立に必要な「著しく抵抗が困難な状態」ではなかったとした。これに対し名古屋高裁は、被害者の精神状態を鑑定した精神科医の尋問を経て、逆の結論を導いた。

女性は判決後、自分のことを「まるで人形のようでした」とふり返っている。長期の性的虐待が何を生むか、改めて社会に知らしめる裁判となった。

性暴力に直面すると、心身が硬直して抵抗できなくなる。それまでの日常や自分らしさを失いたくない気持ちが働き、とりわけ加害者が親しい人だと迎合的に見える振る舞いをしてしまう。そんな被害者の心理が近年広く知られるようになった。

同意を裏づけるものとされてきた無抵抗などが、実は逆の事実を示す場合があることは、司法部内の研修などでも紹介されてはいる。だが十分に浸透していないことが、今回の裁判を通じて浮き彫りになった形だ。

捜査や裁判に携わる者には、こうした知見のうえに立って個々の事案に向き合うことが、今まで以上に求められる。

法制度自体が抱える問題も見過ごせない。性交を強いる犯罪は「暴行・脅迫」を用いたり、「心神喪失・抗拒不能」に乗じたりした場合に成立する。この要件をなくし、同意のない性交は全て処罰すべきだとの声は根強い。性犯罪を厳罰化した17年の改正の際も議論になったが、採り入れられなかった。

撤廃すると、同意の有無をめぐって水掛け論になり、冤罪(えんざい)も生まれるとの指摘に、一定の理がないわけではない。だが世界の流れは見直しにある。意に反する性行為は「性的自由の侵害」であり許されないと、刑法で明確に示す意義は大きい。

フラワーデモは、多くの被害者が長く沈黙を強いられてきたことをあらわにした。その声に社会が応えなければならない。
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2020年04月01日

[東京新聞] 感染防止にこそ全力を 北の飛翔体発射 (2020年04月01日)

北朝鮮が飛翔体(ひしょうたい)の発射を繰り返している。軍事力誇示が狙いだろうが、新型コロナウイルスの脅威は北朝鮮も例外ではない。挑発行動を中止し、住民のため、まず感染防止に全力を挙げるべきだ。

北朝鮮が飛翔体を発射したのは四週連続、計九発になる。三月二十九日に発射したものについて同国のメディアは、「超大型多連装ロケット砲」とし、試射は成功だったと伝えた。

北朝鮮は同月二日と九日、二十一日にも飛翔体を発射した。命中精度が高い米国の戦術地対地ミサイル(ATACMS)に類似したタイプもあった。

探知しにくい低高度で飛行しており、技術が相当向上していることをうかがわせる。

発射現場には、朝鮮労働党の金正恩(キムジョンウン)委員長ら幹部が同席していた。米国との非核化交渉を有利に進めるための「切り札」として、期待をかけているのだろう。

いずれも日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられているが、短距離であっても弾道ミサイルであれば、国連安全保障理事会決議違反に当たる。

一方、異常なペースの発射は、新型コロナウイルスと関連があるとの懸念も広がっている。

北朝鮮は自国内で感染者が出ていないと発表し、世界保健機関(WHO)にも通報している。

しかし、在韓米軍のエイブラムス司令官は、北朝鮮軍が約三十日間活動を停止していたと明らかにし、軍内部に感染者が出たことが影響していると推測した。

飛翔体の発射は、軍内部の動揺を抑え、士気を高めるのが目的なのではないか。

北朝鮮はもともと医療体制が貧弱であり、感染が広がれば、大きな人的被害が出るのは明らかだ。北朝鮮のメディアは、全土で二千人以上を「医学的監視対象者」として隔離していると報じており、感染に神経をとがらせている。

主な貿易相手国である中国との国境も厳重に封鎖しており、物資不足や物価の高騰も伝えられる。

事態を重く見た国連児童基金(ユニセフ)が、マスクや防護服を支援した。ロシアも要請を受けてウイルスの検査キットを送ったものの、北朝鮮はなぜか検査結果を発表していない。

トランプ米大統領も親書を通じ、防疫に協力すると伝えた。対話の糸口になる可能性もある。

北朝鮮は国際社会からのさまざまな支援の申し出に対し、誠意を持って応じるべきだ。
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[東京新聞] 刑事司法を改革せよ 再審無罪判決 (2020年04月01日)

やっとこの日が来た。「呼吸器事件」で殺人犯にされた西山美香さんに大津地裁は「事件性なし」と再審無罪を言い渡した。自白の誘導などで殺人事件に仕立てた捜査と司法の責任は、極めて重い。

滋賀県の病院で二〇〇三年、七十二歳の男性患者が死亡。看護助手だった西山さんが「人工呼吸器のチューブを外した」と「自白」して殺人容疑で逮捕され、懲役十二年が確定した。この判決で、死因は自白に沿う「低酸素状態」、つまり窒息状態とされた。

「自白」は虚偽で、鑑定による死因も誤っていた−。今回の再審で無罪を言い渡した判決文は、明確に書いた。「何が何でも有罪を」と前のめりになる捜査と、それをチェックできなかった司法を批判した。

なぜ捜査段階で「自白」したのか。判決は「取り調べの警察官の不当な捜査によって誘発された」と断じる。

その背景として、西山さんには知的障害によって迎合的な供述をする傾向があると認定。取り調べの警察官は、自分に好意を持っていたことに乗じて「西山さんをコントロールする意図があった」とまで述べ、西山さんが捜査側の術中にはまった過程を分析した。

また、死因について無罪判決は、「低カリウム血症による致死性不整脈」などを認定。つまり呼吸器はつながったままの自然死だった可能性が高いと判断した。

今年二月に始まった再審が素早く無罪判決に至ったのは、西山さんの早期汚名返上の見地からは喜ばしいものの、担当の警察官を法廷に呼ぶなどして虚偽の自白に至る経緯を検証してほしかった。

大津地裁の裁判長は、無罪判決の言い渡し後、明確な謝罪はなかったものの、西山さんに「刑事司法を改革する原動力にしていかねばならない」と決意を述べた。「もう、うそ(誘導された自白)は必要ない」とも語り掛けた。

この冤罪(えんざい)事件では、捜査のずさんさを見抜けなかった裁判所にも大きな責任がある。最初から数えて七つの裁判体が有罪判決や再審請求棄却を続け、八つ目の大阪高裁がようやく再審開始を決定、最高裁を経て十番目の大津地裁が無罪判決を出した。事件発生から十七年がたっていた。

この間、二十代と三十代を獄中で過ごした西山さんは大きな損失を被った。メンツのための捜査、あるいはいったん下された判決に忖度(そんたく)するような訴訟指揮はなかったか。検証して出直してほしい。
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[産経新聞] 【主張】緊急事態 宣言時の姿を説明せよ デマに惑わず冷静な行動を (2020年04月01日)

中国・武漢発の新型コロナウイルスの国内感染の拡大を受けて、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が現実味を帯びてきた。

西村康稔経済再生担当相は3月31日の会見で「(宣言は)現時点では必要ではない。ぎりぎり持ちこたえている状況だ。少しでも気を緩めれば(感染が)急拡大してもおかしくない」と指摘した。

宣言は新型ウイルスを封じ込める有力な手段である一方、経済・社会活動を大きく冷え込ませる副作用もある。対象地域の活動が減速しても人々が暮らしていけるよう政府や自治体、社会は態勢を整えておかねばならない。

≪「都市封鎖」はできない≫

それにはまず、宣言時にどのような施策をとるのか、国民や企業の行動はどのように制約されるのかを政府が分かりやすく発信していくことが欠かせない。

現時点での日本の感染者・死者数は欧米や中国ほどではない。宣言を出さずに持ちこたえられればそれに越したことはないが予断を許さない状況である。大阪府の吉村洋文知事や政府の諮問委員会メンバーである日本医師会幹部、野党の一部から宣言を求める声があがっている。

政府は感染者・死者数の推移や医療機関の対応能力を見ながら、宣言なしでは感染爆発に至ると判断すれば時機を逸せず発出してもらいたい。最後は安倍晋三首相の政治決断にかかっている。

気になるのは宣言に関わるデマが飛び交ったことだ。インターネット上で先週末から「首相が4月1日に宣言を出す」「4月2日に東京ロックダウン(都市封鎖)」といった誤った情報が流れた。

首相は3月30日の自民党役員会で「明後日(1日)、緊急事態宣言をして戒厳令まで出すといったデマが流れているが、全くない。デマやフェイクニュースに気を付けなければならない」と述べ、明確に否定した。

新型ウイルスをめぐっては、デマに端を発してトイレットペーパーの買い占め騒動も起きた。デマを防がなければ政府や自治体のメッセージが国民に届かなくなる。緊急事態宣言の場合でも人々に正確な情報を伝え、それに基づいて行動してもらうことが重要だ。

感染が拡大した中国・武漢や欧米各国での「都市封鎖」の報道をみて、宣言後の日本を想像している国民は多い。

東京都の小池百合子知事は3月25日の会見で「何もしなければロックダウンを招いてしまう」と語った。首相は同27日に国会で「仮にロックダウンのような事態を招けば、わが国の経済にも甚大な影響を及ぼす」と語った。人々に危機感を持ってもらう意図なのだろうが、言葉が独り歩きして、諸外国のような大規模な都市封鎖が行われると印象付けられた人もいたのではないか。

だが、都道府県知事に認められた権限では、宣言があっても諸外国のような都市封鎖はできない。諸外国がとった罰則を伴う外出禁止令の規定はなく、できるのは住民に対する「外出自粛の要請」である。商店や飲食店の営業禁止の制度もない。

≪人工呼吸器の増産図れ≫

日本では宣言下の地域をどのような姿にして新型ウイルスを封じ込めるのか、特措法の規定にない営業自粛などを合わせて求めるのか、方針を明らかにすべきだ。

多くの人々は知事の要請や指示を尊重し協力するだろう。ただし、食料品や生活必需品の供給や電気・ガス・上下水道・インターネットなど基幹インフラが機能することが前提だ。物資の供給は生産・保管・輸送・販売に多くの人手がかかる。宣言に伴う企業活動の停止で一つでも輪が欠ければ供給が途絶する。政府は民間と事前に調整しておくべきだ。

医療態勢強化は極めて重要だ。宣言が出れば、知事は臨時医療施設のため土地や建物を強制的に使用できる。感染が急増すれば重症でない人を専門病院に入院させられなくなるが、自宅に戻せば家庭内感染を招く。イスラエルや韓国のように、重症でない感染者を待機させる臨時施設の確保を宣言にかかわらず取り組んでほしい。

人工呼吸器が不足する国では死者が増えている。西村氏は3月29日、メーカーに働きかけ人工呼吸器や人工心肺装置の増産に努める考えを示した。機器を操作する医療従事者の教育も急ぐべきだ。
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[毎日新聞] 滋賀患者死亡で再審無罪 自白依存の脱却が必要だ (2020年04月01日)

あらかじめ立てられた捜査の筋書き通りに自白が誘導され、被告に有利な証拠は開示されなかった。捜査機関は冤罪(えんざい)を生んだ経緯を検証し、信頼回復に取り組まなければならない。

2003年に滋賀県の病院で入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとして、殺人罪で服役した元看護助手、西山美香さん(40)の再審(やり直しの裁判)が大津地裁であり、無罪が言い渡された。

大西直樹裁判長は判決理由で、不整脈などによる自然死だった可能性に言及し、「患者が殺害されたという事件性すら証明されていない」と弁護側の主張を認めた。

逮捕から約15年9カ月ぶりに「名誉回復」が現実のものとなった。だが、懲役12年、最初の再審請求から9年半。自由を奪われ、失われた年月はあまりにも長い。

まず浮き彫りになったのは、自白に依存する捜査体質である。

判決は、取り調べの警察官が、軽度の知的障害がある西山さんから恋愛感情を寄せられていたのを熟知しながら、捜査機関のストーリーに整合する自白を引き出そうと誘導したと断じた。

過去の冤罪事件でも密室での取り調べがうその自白を作った。取り調べの可視化は進んでいるが、再発を防止するには、弁護士の立ち会いを検討することが必要ではないか。

警察、検察による恣意(しい)的な証拠の取り扱いも明るみに出た。

検察が189点もの証拠を裁判所に出したのは再審決定後である。うち、58点は警察から検察に渡っていなかった。

「たん詰まりで死亡の可能性」を指摘した医師の報告書が検察に提出されたのは昨年だった。西山さんが人工呼吸器を外していないと主張した自供書も長らく非開示のままだった。

刑事訴訟法は警察が捜査記録を速やかに検察に提出するように定める。捜査の常道から逸脱した行為であり、看過できない。

虚偽の自白に基づく警察や検察のずさんな捜査をチェックできなかった裁判所の責任も重い。

捜査機関は自白に頼る手法から脱却し、客観的な証拠に基づいて捜査しなければならない。二度と冤罪被害者を生まない取り組みを進める責務がある。
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[毎日新聞] 新型コロナの医療体制 感染爆発に備えた整備を (2020年04月01日)

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。政府は今は緊急事態宣言を出す段階にないとの判断を示しているが、今後の状況次第では検討が必要となるだろう。

一つの鍵を握るのが東京都の状況だ。小池百合子都知事の記者会見では、政府のクラスター対策を担う専門家が「感染者の指数関数的増加の兆候はあるが、爆発的増加でない」との分析を示した。

専門家は感染爆発の兆候を見極める指標を検討中で、予兆を見逃さないことが大事だ。この指標は緊急事態宣言の判断にも影響するだろう。国民が理解し納得しやすい形で示してほしい。

一方、医療体制をみると地域によってはぎりぎりの状況にある。都内には感染症指定病床が118床あるが、すでに患者数がこれを上回っている。さらなる患者の増加にともない、首都圏でのベッド数の不足は深刻になるだろう。

小池知事は500床を確保し、今後、4000床まで受け入れを増やすと表明した。それには一般医療機関での患者受け入れが必要で、早急に準備を進めるべきだ。

高度な医療体制と人材を持つ大学病院などにもぜひ協力してもらいたい。院内感染防止の体制整備や人材・装備の確保も欠かせず、自治体の支援が求められる。

さらなる患者の増加に対応するには、軽症・無症状の感染者に自宅や宿泊施設で過ごしてもらう必要もある。そうしなければ重症者の医療が確保できない。

厚生労働省は、地域で感染が拡大した場合に軽症・無症状者を自宅療養とするとの原則を示している。今後は自治体に判断を任せず、早急に明確な方針や具体的なガイダンスを示すべきだ。

利用可能な施設のリストアップも急務だ。東京オリンピック用に準備された選手村などの有効活用も考えてほしい。治療の必要性に応じて入院先や滞在先を振り分ける「大阪方式」も参考になる。

自分だけは大丈夫と思う人が多ければ、イタリアやニューヨークなどで起きている医療崩壊が日本でも現実となるだろう。ここまで持ちこたえた日本だからこそ、高齢者から若者まで、感染リスクが高い「密閉空間・密集場所・密接な会話」をしっかりと避け、医療を支えたい。
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[読売新聞] 再審無罪 冤罪生んだ警察の「証拠隠し」 (2020年04月01日)

警察も検察も、真相の究明に背を向けたと批判されても仕方がない。

滋賀県東近江市の病院で看護助手だった西山美香さんの再審の判決で、大津地裁が無罪を言い渡した。入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとして、殺人罪で懲役12年が確定し、服役を終えていた。

判決は、新証拠となった鑑定書などから、自然死の可能性を認めた。「そもそも患者が何者かに殺害されたという事件性すら証明されていない」との指摘は重い。

当初の裁判で有罪の決め手になった自白について、任意性を否定した。西山さんは軽度の知的障害があり、取り調べた警察官に恋愛感情を持っていた。判決は「やってもいない殺人を自白することはありうる」と結論づけた。

迎合しやすい傾向がある容疑者の取り調べには、細心の注意が必要だ。西山さんの特性に乗じたかのような誘導的な取り調べで、虚偽の自白を誘発した警察の捜査は強い非難に値する。

さらに問題なのは、再審が始まるまで、警察が検察に多数の証拠を渡していなかったことだ。

この中には、故意に呼吸器を外したことを否定する西山さんの供述を記録した書面や、西山さんの逮捕前から解剖医が自然死の可能性に触れていたことを示す捜査報告書が含まれていた。

仮にこうした証拠を早くから検察が把握し、十分吟味していれば、西山さんは逮捕も起訴もされなかった可能性が高い。

有罪立証に不利な証拠を警察が隠蔽(いんぺい)していたのなら、犯罪にも相当する悪質な行為である。

再審における検察の姿勢も看過できない。当初は有罪を主張すると表明しながら、その後、何の説明もなく、立証を断念した。把握していなかった証拠が警察から送られてきたため、有罪の維持が困難と考えたのだろう。

本来であれば、再審段階で確認した証拠を踏まえて、事件をきちんと再検討すべきだった。その上で、有罪が立証できなければ、その理由をつまびらかにし、無罪の論告をするのが筋である。

それをしなかった検察はあまりに不誠実であり、「公益の代表者」の名に値しない。

判決の言い渡し後、地裁の裁判長は法廷で、「刑事司法に携わる全ての関係者が自分自身の問題として捉え、改善に結びつけていくべきだ」と語った。

冤罪(えんざい)を生んだ警察や検察はもちろん、誤判を重ねた裁判所も猛省しなければならない。
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[読売新聞] 五輪日程決定 開幕までの時間を生かしたい (2020年04月01日)

新たな目標が定まったことで、改めて大会成功に向けて前進したい。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、延期が決まっていた東京五輪は、来年7月23日に開会式を行い、8月8日に閉幕することになった。パラリンピックは8月24日から9月5日まで行われる。

国際オリンピック委員会(IOC)と政府、東京都、大会組織委員会が合意した。

ウイルス感染の終息は現時点では見通せない。春開催も検討されたが、1年程度とされた延期の幅の中で、なるべく遅い夏開催を選択した。感染の沈静化までの時間的余裕を得る意味があろう。

新たな日程は本来の日程と1日ずれただけで、当初と同じく金曜日から始まる。元の計画をおおむね踏襲できる利点がある。夏休み期間にあたるので、ボランティアも確保しやすい。

炎暑での開催は変わらないが、延期による影響を最小限に抑える現実的な日程と言える。

五輪を目指す選手たちは、再スタートを切ることになる。

既に日本代表が内定しているマラソンや卓球は、選手を変更しない方針だ。代表は本番に向けた調整に励んでほしい。

これから代表を選ぶ競技については、選考会を行うめどが立たないなど、先行きが不透明な面がある。各競技団体などは、選手の健康管理を第一にしながら、練習環境の維持に努める必要がある。

日程が決定したことで、組織委や都の準備作業が本格化する。開幕までの1年余りの時間を有効に使わねばなるまい。

従来の暑さ対策に加えて、感染症を予防する取り組みや医療従事者を会場に配置する計画などを検討していくことが大切だ。

焦点だった販売済みチケットの取り扱いについて、組織委は来夏開催でも有効とする方針を固めている。観戦できなくなる人には払い戻しに応じる。公式の再販売サイトへの出品の容認も検討する。妥当な判断だろう。

延期により発生が見込まれる追加費用を、できる限り圧縮する努力も欠かせない。

IOCは「2020年東京五輪・パラリンピック」の大会名を変えないと表明した。メダルや公式グッズなどを作り直す必要がなくなった。こうした経費を抑制する方策に知恵を絞りたい。

大会の開催は感染拡大を抑えられるかどうかにかかる。政府は各国と協調し、治療薬やワクチンの開発などに注力すべきだ。
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[朝日新聞] 五輪日程決定 「完全な形」に縛られず (2020年04月01日)

延期となった東京五輪が来年7月23日に開幕することが決まった。パラリンピックは8月24日。いずれも今年予定されていた日取りのほぼ1年後で、曜日はまったく同じになる。

猛暑などを避けるため、この際、春や秋の開催にしてはどうかとの声もあった。だが、他の国際的なスポーツ大会への影響を最小限に抑え、かつ運営ボランティアの確保や期間中の交通事情の把握など、これまでの準備の蓄積をいかせる日程が、最も現実的だと判断された。

目標がはっきりしたことは、選手を始めとする関係者には朗報だろう。ただし、新型コロナウイルス禍の収束が開催の大前提であるのは言うまでもない。

にもかかわらず、どの時点で、世界がいかなる状態になっていれば最終的に実施に踏み切るのか、判断の基準や手続きなどは、国際オリンピック委員会(IOC)からも、日本側からも示されていない。

果たして責任ある態度といえるだろうか。組織委員会の森喜朗会長からは「神頼み」との発言も飛び出した。精緻(せいち)なものは無理だとしても、今後想定されるケースごとに対応策を考え、その内容をていねいに説明しながら、社会の合意を形づくっていく必要がある。

他にも課題は山積している。

たとえば、この夏、競技会場やプレスセンターになったはずの施設の多くは、すでに別の利用者の予約が入っている。選手村は大会終了後、大規模集合住宅に改装して分譲することになっていて、売買契約も進んでいる。これらをどう調整するか。補償話も浮上するだろう。

こうしたものも含めて、追加の経費はいくらになるのか。それをIOC、組織委、都、国でどう分担するのか。情報を公開し、人々が納得できる答えを見つけなければならない。

気になるのは、延期方針を打ち出した際に安倍首相が語った「完全な形での実施」という言葉だ。その意味するところは判然としないが、当初の構想に固執せず、「できること」と「できないこと」とを分けて、前者に注力する姿勢が大切だ。

競技会場の見栄え、開閉会式の規模、自治体による外国選手団の受け入れ・交流なども、それぞれの実情に応じて、現場に過重な負荷をかけることなく、柔軟な対応を考えたい。

IOCは6年前に「アジェンダ2020」を策定し、招致活動の見直しや、複数都市での分散開催の容認などの改革を進めてきた。肥大化が進んだ大会の持続可能性が問われて久しい。過去に例のない「延期」の作業を進めるなかで、五輪のあり方そのものを見つめ直したい。
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[朝日新聞] 関電の新体制 経営刷新、果たせるか (2020年04月01日)

次々と明らかになった問題に、ひとまずけじめと対策は示した。社外取締役を核とする新たな体制も打ち出した。問われるのは法令順守と企業統治をないがしろにしてきた経営の刷新、その実行と結果である。

原発がある福井県高浜町の元助役(故人)から、役員や社員が計3・6億円もの金品を受領していた関西電力が、経済産業省に業務改善計画を出した。

すでに社長らの辞任や取締役の報酬一部返上で11人を処分したのに続き、退任・退職者を含む約80人を対象に加えた。金品受領のほか、元助役の関連会社への工事発注の約束、不十分な社内調査と結果の非公表、監査役の機能不全についても責任を問うた。経営不振時の役員報酬カット分を退任後に補填(ほてん)した2・6億円も回収する。

経営体制では、社外取締役による監督を強化する。会長に、経団連会長も務めた榊原定征氏を招く。指名委員会等設置会社に移行し、役員の指名と報酬、監査の各委員会を社外取締役中心に運用する。工事の発注、関連自治体などへの寄付金や協力金を審査する委員会も設ける。

関電はこれまでも、著名な財界人らを社外取締役などに迎え入れてきたが、前代未聞の不祥事を防げなかった。失敗を繰り返すことは許されない。

とりわけ役割と責任が重いのは榊原氏である。

関電では定款に従って会長が取締役会の議長を務める。金品受領問題を調べた第三者委員会は、社外の経営者を会長にすえ、社長以下の執行部に対する独立性を保つために会長は代表権を持たないよう提言した。それに沿って榊原氏は代表権のない取締役会長に就く。

疑問を禁じ得ないのは、非常勤であることだ。様々な公職や複数の企業での社外取締役を務める榊原氏は、引き続き東京に拠点を置くという。それで関電の抜本改革に取り組めるのか。「関電内部に自ら深く手を入れ、いち早く社内の事情を把握するための時間と労力を割ける者とすべき」とした第三者委の注文との落差は大きい。

関電の経営の柱、原発事業との向き合い方も問われる。経産省の審議会「総合資源エネルギー調査会」会長を務める榊原氏は、会見で原発の重要性を強調した。しかしその役割はもちろん、不祥事で停滞と混乱が続く関電の原発事業を立て直すことではない。調査会会長を辞職する意向を示したのは当然だ。

「内向きの企業体質の是正は、揺り戻しや逆行が生じ得ることを覚悟しなければならない忍耐を要する課題」。第三者委の指摘を、榊原氏と関電はしっかりと受け止めねばならない。
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2020年03月31日

[東京新聞] 現金給付 全世帯を対象に素早く (2020年03月31日)

新型コロナウイルスへの経済対策として政府が現金給付を実施する構えだ。給付対象を絞る案が出ているが、大きな効果は望めるのだろうか。暮らし支援に向け迅速で思い切った対策を求めたい。

政府は現金給付を来月まとめる緊急経済対策の軸として打ち出す方針だ。給付金額は未定だが、二〇〇九年にリーマン・ショックを受け実施した、国民一人当たり一万二千円を上回る規模になるとみていいだろう。

ここで焦点となるのは給付対象だ。政府内では、新型コロナの影響で収入が減った世帯に対し現金を配る案が浮上している。だがこの手法による経済効果については疑問を持たざるを得ない。

対象を絞る場合、その線引きに相当な時間がかかることは確実だ。自己申告制との案もあるようだが、新型コロナによる所得減をどう証明するのか。業界によっても被害実態は千差万別で絞り込みは難しい。

実際の給付が始まった後、社会に不公平感が高まり、混乱が生じる恐れも否定できない。ここはスピードを最優先し、分かりやすく全世帯給付とするのが最も効果が上がる方法ではないか。

政府内に意見の相違が生じたことは見過ごせない。麻生太郎財務相はリーマン時を念頭に、配った現金の多くが貯蓄に回るとの懸念を示した。

懸念について理解はできる。ただ経済活動の急激な停滞で収入が減り蓄えを取り崩して生活をしている世帯も激増しているはずだ。そういった世帯では給付金を直ちに生活費に充てざるを得ないのが現実だ。ある程度貯蓄に回ることを覚悟し、今の暮らしを救うための対策として実行してほしい。

給付を実施する際には、金融機関の口座に振り込まれるケースが多いはずだ。ただ口座自体を持てない世帯があることも忘れてはならない。最も生活費が必要な世帯に給付が行き渡らないのでは対策の意味はないだろう。

現金給付に限らず対策全体にスピード感がないことも指摘したい。今のままでは実施が五月以降という可能性さえある。

政府は、各自治体の福祉協議会を通じた緊急小口資金貸付制度などで持ちこたえてほしいとの姿勢だ。だが、この制度はあくまで貸し付けで返済が伴う上、申し込みの急増で手続きに時間がかかる場合があるなど課題も多い。対策には一刻の猶予もないことを政府は強く意識してほしい。
posted by (-@∀@) at 12:40| Comment(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする