2017年08月19日

[日経新聞] 韓国は徴用工問題蒸し返すな (2017年08月19日)

日韓の歴史問題をめぐる文在寅(ムン・ジェイン)大統領の対応には大きな疑念を抱かざるを得ない。慰安婦問題に続き、こんどは日本の植民地統治下で労働に従事した韓国人の徴用工問題を蒸し返し、個人の請求権はなお消滅していないとの立場を示した。

文大統領は就任100日の記者会見で徴用工問題に触れ、「両国間の合意は個人の権利を侵害できない」と表明した。韓国では最高裁(大法院)が2012年、徴用工の請求権は今も効力があると判断しており、これを「政府の立場」として追認するという。

そもそも日韓両国が1965年の国交正常化の際に結んだ請求権協定は、請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」と明記している。このため両政府ともこれまで、徴用工問題は解決済みとの認識を原則として共有していた。

韓国は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下の2005年、日韓の請求権協定には徴用工問題も含まれ、賠償を含めた責任は韓国政府が持つべきだとの政府見解もまとめている。当時、大統領首席秘書官だった文氏もこれにかかわった。

にもかかわらず、従来の政府の立場を覆し、国家間で締結した条約や協定を軽視するような今回の発言は決して看過できない。

大統領が追認するとした韓国最高裁の判断にはかねて、内外から疑問の声が多い。世論の圧力が強い韓国では、司法判断も民意に左右されやすいとの指摘もある。

最高裁の判断を受け、韓国の地裁や高裁ではすでに、元徴用工が新日鉄住金、三菱重工業などを相手に賠償などを求めた訴訟で日本企業が敗訴するケースが相次いでいる。文氏発言が、保守政権下で見送られた最高裁の判決の時期や内容に影響する恐れもある。

仮に最高裁で日本企業への賠償命令が確定するようなら、在韓資産の差し押さえなどに発展しかねない。経済のみならず日韓の協力関係に深刻な打撃を与えるのは必至だ。文大統領にはもっと慎重な外交のかじ取りを願いたい。
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[日経新聞] 日米同盟のさらなる肉付けが必要だ (2017年08月19日)

日米の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)が開かれ、北朝鮮への圧力を一段と強めることで一致した。核・ミサイル開発に固執する北朝鮮を封じ込めるには、日米の隙のない連携を印象付ける必要がある。米国が日本防衛に関与し続ける姿勢を明確にしたことを評価したい。

ただ、日米が結束をうたった文書を発表すればそれで危機が去るほど、朝鮮半島情勢は甘くない。合意を踏まえ、同盟をさらに肉付けすることが重要だ。

日本が表明した自国防衛における役割の拡大をどう進めるのか。国民に分かりやすく説明し、秋から本格化する防衛大綱の改定作業につなげてもらいたい。

今回の2プラス2は、防衛協力の指針(ガイドライン)の改定を決めた2年前の前回と異なり、どうしても開かなくてはならないわけではなかった。安倍政権が強く望み、米側が応じた。

背景にあるのは、米トランプ政権への懸念だ。2月の日米首脳会談でトランプ大統領は日米同盟の重要性に言及したが、大統領選の期間中に繰り返した孤立主義的な発言はなお記憶にある。

北朝鮮や中国に「米国は日本や韓国を守らない」と誤解させないためにも、日米同盟を見せつける場を求めた。

そうした事情を考えれば日本自らが防衛力の強化に動くのは当然だ。小野寺五典防衛相が表明した地上配備型のミサイル防衛システム「イージス・アショア」の導入はその一歩である。いずれは日米のミサイル防衛システムの一体運用へと踏み込む。それこそが日米同盟の効力をより高める道だ。

究極のミサイル防衛ともいえる敵基地攻撃についても検討を始めておくべきだ。

オーストラリアのターンブル首相は「北朝鮮が米国を攻撃した場合、米国の支援に向かう」と明言した。同首相はトランプ氏との不仲が指摘されているが、国同士の同盟とはそんな事情に左右されるものではないことを示した。

相互防衛が条約で義務化されている米豪と、日本が米国を守る義務を負わない日米安保体制を同一に論じるのは適当ではない。とはいえ、北朝鮮問題は日本にとって死活的な意味を持つ。

米国の視線をアジアに引きつけ続けるには、日米一体でアジアの安定に取り組む姿勢をみせなくてならない。
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[朝日新聞] 国際化と司法 権力抑止は置き去りか (2017年08月19日)

国連の国際組織犯罪防止条約への加盟手続きが終了し、今月10日に効力が発生した。

政府が条約を結ぶために必要だと唱え、その主張の当否も含め、各方面から寄せられた数々の疑問を封じて成立させたのが「共謀罪」法である。

実際に行われた犯罪に対し罰を科すのが、日本の刑事法の原則だ。だがこの法律は、はるか手前の計画の段階から幅広く処罰の網をかける。薬物・銃器取引やテロなどの組織犯罪を防ぐには、摘発の時期を前倒ししなければならず、国際社会もそれを求めているというのが、この間の政府の説明だった。

他国との協調が大切であることに異論はない。伝統的な刑事司法の世界を墨守していては、時代の変化に対応できないという指摘には一理ある。

では政府は、国際社会の要請や潮流を常に真摯(しんし)に受けとめ、対応しているか。都合のいい点だけを拾い出し、つまみ食いしているのが実態ではないか。

たとえば今回、条約に加わる利点として、逃亡犯罪人の引き渡しが円滑になる可能性があると説明された。しかし引き渡しを阻む大きな理由としてかねて言われているのは、日本が死刑制度を維持していることだ。

91年に国連で死刑廃止条約が結ばれ、取りやめた国は140を超す。欧州などでは「死刑を続ける日本には犯罪人を引き渡せない」との声が広がる。ところが政府は、こうした世界の声には耳を傾けようとしない。

公務員による虐待や差別を防ぐために、政府から独立した救済機関をもうけるべきだという指摘に対しても、馬耳東風を決めこむ。国際規約にもとづき、人権を侵害された人が国連機関などに助けを直接求める「個人通報制度」についても、導入に動く気配はない。

権力のゆきすぎにブレーキをかける方策には手をつけず、犯罪摘発のアクセルだけ踏みこむ。そんなご都合主義が国内外の不信を招いている。

何を罪とし、どんな手続きを経て、どの程度の罰を科すか。それは、その国の歴史や文化にかかわり、国際的な統一にはなじまないとされてきた。

だが協調の流れは、より太く確かなものになっている。その認識に立ち、犯罪の摘発と人権擁護の間で、公正で均衡のとれたシステムを築く必要がある。

作業にあたっては、国民への丁寧な説明と十分な議論が不可欠だ。その営み抜きに、政権が強権で押し通した共謀罪法は、内容、手順とも、改めて厳しく批判されなければならない。
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[読売新聞] 日米2プラス2 強固な同盟で「北」を抑止せよ (2017年08月19日)

増大する北朝鮮の脅威に対し、日米同盟が結束して対処する強い意志を示した意義は大きい。

日米両政府がワシントンで外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開いた。北朝鮮の核・ミサイル開発を強く非難し、同盟強化によって抑止するとの共同文書を発表した。

北朝鮮は、日本上空を通過して米領グアム周辺に至る弾道ミサイル4発の発射を予告している。

マティス米国防長官は記者会見で、「日本、グアムなどにミサイルが発射されれば、すぐに撃ち落とす」と明言した。共同文書は、「核の傘」提供を含む、日本の安全に対する米国の関与も再確認した。北朝鮮への牽制(けんせい)となろう。

北朝鮮は「米国の行動をもう少し見守る」としており、発射を見送るとの見方もある。だが、日米両国は、不測の事態に備えて、対応に万全を期さねばならない。

当面、重要なのは、石炭の全面禁輸など、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議の完全履行だ。中国に対し、「北朝鮮に行動を改めさせる断固とした措置」を取るよう促したのは当然である。

共同文書は、自衛隊と米軍の役割分担の見直しも打ち出した。自衛隊がより大きな役割を担うことが、日米同盟の実効性を高め、アジアの安定にも寄与する。前向きに取り組むことが大切だ。

自衛隊の哨戒機や潜水艦の能力は世界有数とされる。東シナ海を中心に、米軍との共同の警戒監視活動に力を入れたい。

安全保障関連法に基づく「さらなる協力」を目指すことでも一致した。自衛隊の艦船が米艦防護などを積極的に進め、米軍との協力関係を拡大することが、日本防衛の強化にもつながろう。

小野寺防衛相は、イージス艦と同レベルのミサイル迎撃能力を有する地上配備型イージスシステムの導入方針を米側に伝えた。

導入すれば、現在、日本海で24時間態勢でミサイルを警戒中のイージス艦を弾力的に運用し、有効活用することが可能になる。着実に進めねばならない。

共同文書は、中国の強引な海洋進出を踏まえ、尖閣諸島が日米安保条約5条の適用範囲であることを改めて明確にした。

河野外相は、南シナ海での中国の威圧的な活動を念頭に、東南アジア各国の海上保安機関などの能力構築支援として5億ドルの拠出を表明した。こうした地道な援助を通じて各国と連携し、国際法に基づく海洋秩序を追求したい。
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[朝日新聞] 日米2+2 外交の姿が見えない (2017年08月19日)

軍事の言葉が躍るばかりで、外交の姿が見えない。

北朝鮮情勢が緊迫するなか、日米の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が開かれた。

弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対し、日米の結束を示すことが抑止効果を持ちうることは理解できる。

懸念されるのは、発信されたメッセージの力点が軍事、とりわけ自衛隊の役割拡大に傾斜していたことだ。

日本側は米側に次々と手形を切った。防衛大綱を改定する。米国製の陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を導入する。安全保障関連法のもとで「さらなる協力の形態を追求する」ことや、情報収集、偵察、訓練などの新たな行動を探求することもうたった。

代わりに日本側が得たものは「米国の核の傘」であり、「日米安保条約5条の尖閣諸島への適用」の再確認である。

日本側の約束はいずれも自衛隊の能力強化と防衛費の拡大につながる動きだ。米国製の高額兵器の購入は、トランプ政権の求めに沿うものだろう。

だが5兆円を超す防衛費のさらなる増額をどう考えるのか。ミサイル防衛の費用対効果は。国会での議論もないままに、対米公約だからと既成事実化を図っていい問題ではない。

会合前にも、安倍政権の軍事傾斜の姿勢を印象づける小野寺防衛相の発言があった。

10日の閉会中審査で、グアムが北朝鮮のミサイル攻撃を受けた場合、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」にあたりうるとの考えを示したのだ。

念頭にあるのはミサイル迎撃だ。小野寺氏は「米側の打撃力の欠如」が集団的自衛権発動の要件を満たしうるとしたが、安保法の制定過程ではこうした想定は議論されていない。

政府による安保法の恣意(しい)的な拡大解釈の可能性を改めて示したと言える。このケースの迎撃は能力的にも困難で、実態とかけ離れた議論でもある。

マティス米国防長官は今月、「戦争の悲劇は破滅的になる」と述べ、北朝鮮との軍事衝突が招く危険性を指摘した。

その悲劇が起きるのは韓国であり、日本である。最終的には平和的解決をめざす以外の選択肢はない。

いま日本が注力すべきは、日米、日米韓で連携し、中国やロシアを巻き込む外交だ。エスカレートする米朝間の緊張をやわらげ、北朝鮮の核実験とミサイル発射の「凍結」に向けて対話局面への転換をはかる努力が求められている。
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[読売新聞] カワウソ発見 野生生物との共生を進めたい (2017年08月19日)

水辺の環境保全を考える契機としたい。

野生のカワウソが、国内では38年ぶりに長崎県の対馬で確認された。琉球大のチームが設置したカメラに約5秒間映っていた。

イタチ科のカワウソは、国の特別天然記念物に指定されている。成獣の体長は、尻尾も含めて1メートルほどだ。河川域に生息し、魚やカニなどを食べる。

大陸には、ユーラシアカワウソが広く分布する。その亜種とされるのがニホンカワウソだ。かつては全国で見られたが、明治以降、乱獲などで激減した。良質の毛皮は軍服などに多用された。

高知県で1979年に撮影されたのを最後に、姿は確認されていない。90年代までに絶滅したと考えられている。環境省は2012年、ニホンカワウソを「絶滅危惧」から「絶滅」に再分類した。

20世紀初頭に絶滅したとされるニホンオオカミと並び、日本の絶滅種の象徴的存在である。

環境省は今回、糞(ふん)のDNAを分析した。少なくとも2匹がいるとみられるが、ニホンカワウソの生き残りかどうかは特定できていない。約50キロ・メートル離れた韓国から海を渡ってきた可能性もある。

ニホンカワウソであれば、大発見であることは言うまでもない。他の種類であっても、対馬に生息している意義は大きい。カワウソが生息できる豊かな自然環境を今後も守っていきたい。

写真撮影などのために、生息していそうなエリアに立ち入ったり、おびき出そうと餌をまいたりする行為は慎まねばならない。

環境省は、範囲を拡大して、糞などの調査を継続する。種類を特定するためには、カワウソの絶滅防止の保全活動を進める韓国側との情報交換は欠かせない。

野生生物が絶滅の危機に瀕(ひん)すると、回復させることは極めて難しい。その典型例が、03年に日本産の最後の一羽が死んだトキだ。

環境省は1999年以降、中国から提供を受けて、繁殖と放鳥を続ける。自治体や地元住民も交えた長年の努力の結果、新潟県佐渡島で、ようやく200羽以上に増えた。毎年、約1億5000万円の国費が投入されている。

国連の生物多様性条約に基づき、2020年までの世界の環境保全策を定めた「愛知目標」は、絶滅危惧種の絶滅防止や種の効果的な保全を掲げる。

14年に公表された目標の中間評価では、改善はみられない。野生生物との共生に向けた取り組みの強化が求められる。
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2017年08月18日

[東京新聞] 水俣条約 名前が背負う重い意味 (2017年08月18日)

水銀の使用や輸出入を規制する水俣条約が発効した。「繰り返すな」という願いをその名にこめて。フクシマやヒロシマ、ナガサキにも通じるミナマタの訴えに、世界は、日本は、どうこたえるか。

水俣条約。正式には、水銀に関する水俣条約−。二〇一三年に熊本市と熊本県水俣市で開催された国際会議で採択された。

東南アジアやアフリカなどで深刻な健康被害につながる恐れが指摘される水銀の輸出を規制し、水銀を使った化粧品や血圧計、水銀が一定量以上含まれる蛍光灯などの製造、輸出入を二〇年までに原則禁止する。鉱山からの採掘も十五年以内にできなくなる。途上国の採掘現場で、金を抽出する際に使われる水銀の使用と排出を削減、廃絶をめざす−。

条約制定と命名は、日本政府が主導した。

“公式発見”以来六十年余、「公害の原点」とも呼ばれる水俣病は、化学工場が海に垂れ流した水銀が魚食を通じて無辜(むこ)の住民に摂取され、重い脳障害を引き起こした「事件」である。母親を通じて取り込んでしまった胎児にも、生涯残る深刻な影響を及ぼした。

水俣の悲劇を繰り返してはならない、忘れてはならない−。そんな切なる願いがこもるその名前。患者とその家族の長年の思いを込めた約束なのである。

その日本から、一三年には七十七トンの金属水銀が輸出されている。率先して廃絶へ向かうのは当然だ。

水俣条約の名前は国内的にはもう一つ、重い意味を持っている。

水俣病という病の定義はいまだ確定していない。従って被害の範囲も定まらず、患者としての認定を求める訴訟も後を絶たない。「病」の正体は未解明、「事件」は終わっていないのだ。

「病」は恐らく終わらない。だが、原因と責任を明確にして、すべての被害者を救済すれば「事件」に決着はつけられる。

九月にスイスで開かれる水俣条約第一回締約国会議には、胎児性患者の坂本しのぶさん(61)が参加して「水俣病は終わっていない」と訴える。不自由な体を励まし、痛みに耐えて、「今できることをしたい」と決意した。その勇気に心から敬意を表したい。

忘却による清算は、繰り返しの土壌である。原発事故の救済や核廃絶にも通じることだ。

世界は坂本さんと水俣の思いにこたえ、「今できること」をすべきである。
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[東京新聞] 介護の負担増 支えられるか見極めよ (2017年08月18日)

八月から介護サービスの自己負担額が増えた。一定の所得のある人が対象で、政府は高齢者にも制度の支え手になることを求めている。制度維持は重要だが、過度な負担にならないか注視が必要だ。

介護、医療、年金などの制度を支えるのに、ひとつの考え方がある。現役世代だけでなく負担能力のある高齢者にも支え手になってもらう。「応能負担」と言う。

確かに、制度の恩恵を受ける高齢者が増える一方、支え手である現役や将来世代が減る少子高齢化が進む。非正規で働く人が増える現役世代にとっては、自身や家族の生活を守ることに必死にならざるを得ない状況もある。

世代に関係なく支えられる人が制度を担う。この考え方で、社会保障制度をつくり直すしかない。

そこで八月からの負担増だ。

介護サービスには、利用が多い人の自己負担が重くならないよう一カ月の負担が一定額を超えた分を払い戻す仕組みがある。例えば、住民税を払っている人(単身者だと年収三百八十三万円未満)で、原則負担する月上限が七千二百円アップし四万四千四百円になる。所得の高い大企業の従業員など現役世代も、保険料を多く納めてもらう仕組みを導入した。

ただ、負担能力に見合った負担となるのか。気になるのは、来年八月から予定されるサービス利用時の自己負担割合を二割から三割に引き上げる改正だ。今回決まった負担増メニューのひとつである。自己負担は介護保険がスタートした二〇〇〇年から長らく一律一割だった。一五年に一定の所得のある人が二割に上がった。その実施から間もないのに二割対象者のなかで所得の高い約十二万人を対象にさらに引き上げる。

政府は二割負担の影響はないと言うが、利用者からは反対の声が聞こえてくる。四月の国会で「認知症の人と家族の会」の田部井康夫副代表理事は「二割負担でも非常に厳しい状況に置かれている人が相当数いる。三割負担には賛成できない」と訴えた。サービスの利用控えが心配だ。負担の無理強いがあるなら看過できない。

政府は、まず財源確保に責任があることを肝に銘じるべきだ。同時に、要介護状態になる前の予防の重要性が増している。食生活から栄養状態が良くない高齢者もいる。食事や運動、外出など日常生活のサポートを強化すべきだ。

健康で活動的に過ごせる「健康寿命」を延ばすことは高齢者自身のメリットにもなる。
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[産経新聞] 【主張】北朝鮮の暴発阻止 この機に拉致解決を迫れ (2017年08月18日)

北朝鮮による、暴発の危機が続いている。この機に、拉致問題の解決を強く迫ってほしい。日本外交には、混乱に乗じて拉致被害者の救出に道筋をつけるぐらいの、したたかさがほしい。

北朝鮮は、国際社会の批判を無視して核実験や弾道ミサイルの発射を繰り返し、米領グアム沖への弾道ミサイル発射の計画まで明らかにしている。

トランプ米大統領もこれに応じて「グアムで何かやれば、見たこともないことが北朝鮮で起きる」と警告し、「軍事的解決策の準備は整っている」と強調した。

北朝鮮に、ミサイルを撃たせてはならない。撃てば悲劇が待っていることは、北朝鮮も承知しているはずだ。朝鮮中央通信は金正恩朝鮮労働党委員長が「愚かな米国の行動をもう少し見守る」と述べたと報じた。米国の強気、怒りに対する逡巡(しゅんじゅん)がみてとれる。

北朝鮮の李容浩外相は7日にマニラで河野太郎外相と接触した際に、対話の重要性を強調したという。これは、米国との直接対話の仲介を日本に期待する発言だった可能性もある。

米国は核・ミサイルの放棄を対話の条件とし、北朝鮮はこれを放棄する気がない。相いれる余地の少ない両者の間に割って入り、仲介の条件として拉致被害者の解放や帰国を迫ってはどうか。

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日本も拉致、核、ミサイルの包括的解決が基本であることに変わりはない。ただ、核やミサイルの問題が膠着(こうちゃく)する中で、拉致解決への交渉を先行させても、内外の批判を受けることはあるまい。

平成14年に当時の小泉純一郎首相が訪朝し、拉致の犯罪事実を認めさせた背景には、ブッシュ政権が北朝鮮を「悪の枢軸国」に指定した米国の強硬姿勢があった。

当時より緊迫度は高まっている。平時に北朝鮮が動かないことを思えば、好機ともいえる。

終戦の日、北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの両親は本紙の連載「めぐみへの手紙」に、こう書いた。

《家族は長い間、「どうか救ってください」と叫び続け、すべての被害者が日本に帰る良き日を信じて、ひたすら待ち続けることしかできません。国、政府は、いかにして拉致被害者を救うのでしょうか》

政府はこの問いに行動で応えなくてはならない。
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[産経新聞] 【主張】中国の人権問題 劉霞さんを即刻解放せよ (2017年08月18日)

中国は国際社会を主導する大国たりえない。この問題も、それを象徴するものといえよう。

ノーベル平和賞を受賞した中国の民主活動家で、長期投獄の末に先月死去した劉暁波氏の妻、劉霞さんが当局により軟禁状態に置かれている。劉氏の遺骨を海に散骨した直後から「旅行」として一時連れ去られ、その後も帰宅していない。

劉氏の投獄自体が不当だったのだが、さらに喪中の妻まで軟禁を続けるとは異常である。重大な人権侵害として見過ごせない。

直ちに劉霞さんを解放し、本人が望めば出国を認めるべきだ。

すでに中国の人権改善を訴える国内外40以上の団体が、劉霞さんをはじめ、劉氏の追悼活動に参加して拘束された6人の解放を求める声明を共同で発表している。

日本も、中国の人権状況に無関心でいることは許されない。劉霞さんの解放・出国を中国政府に強く呼びかけるべきだ。

劉霞さんの処遇について、中国外務省報道官はこれまで「中国公民として一切の合法的権利は守られる」と説明してきた。

ならば、この軟禁は「合法的権利」の保護に当たるというのだろうか。納得のゆく説明はない。

劉氏が掲げた「08憲章」は、自由、人権など人類が等しく享受すべき普遍的価値を訴えた。

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劉霞さんの軟禁は、中国共産党の独裁下で、思想や人身の自由といった基本的な人権が踏みにじられた証拠である。

中国当局が神経過敏になる理由は、共産党大会を秋に控えた国内政局への考慮からだろう。

習近平国家主席は、次期指導部をにらみ側近の抜擢(ばってき)を進めてきた。毛沢東と同格となる「習近平思想」が党規約に盛り込まれるとの観測も強い。習氏への過度の権力集中に対する批判封じの言論統制をはじめ、人権状況のさらなる悪化が懸念される。

中国に対し、人権状況の改善を迫る役割は、これまで米国が主導してきた。米中の国力差が縮まる中で、中国は外からの批判も意に介さない姿勢を強めている。

一方、米国はトランプ政権下で「白人至上主義」をめぐる社会の分断が再燃する状況だ。

劉霞さんの軟禁は、海外の足並みが乱れる中で続いているともいえる。だからこそ日本が「人権」を訴える役割は大きいのだ。
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[毎日新聞] 白人至上主義とトランプ大統領 対立と分断をあおるのか (2017年08月18日)

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あまりに無分別な発言である。

米バージニア州で起きた白人至上主義団体と反対派の衝突についてトランプ大統領は「双方に非がある」と述べた。人種差別組織のクー・クラックス・クラン(KKK)などを喜ばせる発言に対し、改めて大統領の見識を疑わざるを得ない。

米国における人種問題は火がつきやすく、時に社会の大きな混乱を呼ぶ。バージニア州の衝突では多くの人が負傷し、差別に反対する女性が白人至上主義者の運転する車にはねられて死亡した。

そんな無差別的な殺傷を大統領が擁護すれば、抗議の火に油を注いで社会の安定を危うくするばかりだ。

衝突の直後、トランプ氏は「多くの側」の憎悪と暴力を非難した。抽象的だと批判されると、KKKやネオナチなどを名指しして「人種差別主義は悪だ」と明言した。

だが、その翌日は「誰も言いたがらないが」と前置きして「双方とも暴力的だった」と見解を変えた。二転三転の末、本音が出た格好だ。

米国では近年、南北戦争の英雄の像や記念碑などを撤去する例が目立ち、バージニア州も1920年代の建立とされるリー将軍(南軍司令官)の像の撤去を予定している。奴隷制を支持した人々を顕彰するのは不適切だとする認識が、南部も含めて全米で醸成されてきたのだ。

ところが今年、トランプ氏が大統領に就任すると撤去への反対運動が激しくなった。白人至上主義者とも重なるが、「オルト・ライト(代替的右翼)」と呼ばれ多文化主義や少数者の権利尊重、移民受け入れなどに反対する勢力が台頭してきた。トランプ氏の強力な支持層である。

南北戦争や奴隷制、人種差別など米国が宿命的に背負う問題で論議が過熱するのは分からないではない。

だが、暴力は容認できないし、バージニア以外でも衝突が懸念される折、融和を促すどころか、大統領自身が対立と分断をあおるような発言をするのは論外と言うべきだ。

トランプ氏への反発は与党・共和党や経済界にも広がり、大統領の二つの助言機関は解散した。「代わりならいくらでもいる」とトランプ氏はうそぶく。しかし、自分がますます「裸の王様」に近づいていることに、早く気付くべきである。
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[日経新聞] 一方的な措置では公正な貿易実現できず (2017年08月18日)

トランプ米大統領は、中国の不当な政策によって米企業の知的財産権が侵されていないかどうかを調査するよう米通商代表部(USTR)に指示した。米通商法301条に基づく一方的な制裁実施を視野に入れた決定だ。

日米欧企業の間では、技術移転の要求を含め、中国での知的財産権侵害に対する不満が強まっている。米国がこれに強い態度で臨むこと自体は間違っていない。

問題は、高関税などの制裁を脅しに使って中国に対応を迫っても効果が期待できないことだ。実際に一方的な制裁に踏み切れば、世界貿易機関(WTO)のルールに抵触するのは明白で、中国はWTO提訴や報復で応じるだろう。

それよりも、日欧など同じ問題を抱える国や企業と協調して中国に圧力をかけるほうが効果的だ。中国は先進国企業からの投資をなお必要としている。各国が一体になって知的財産権の侵害防止を求めれば無視するのは難しい。

これは米国が検討中の安全保障を理由にした鉄鋼の輸入制限についてもいえる。鉄鋼問題の核心は中国の過剰設備だ。国際的な枠組みの下で、中国に設備削減を迫るのが得策だ。一方的な輸入制限は自由な貿易秩序を傷めるだけだ。

当面の問題解決には直結しないが、環太平洋経済連携協定(TPP)の戦略的な意義を見つめ直すことも重要だ。TPPには中国の不公正な貿易・取引慣行の変革を促す役割も期待されるからだ。

TPPは国有企業への不当な補助禁止や知的財産権保護、質の高い投資ルールを盛り込んでいる。これを世界標準にすることで、中国が異質な経済の仕組みを見直さざるを得なくなることを狙っていた。トランプ政権は就任早々、TPP不参加を表明したが、それによって中国への対抗策を自ら封じ込めていることに気づくべきだ。

TPP不参加の愚かさは16日に始まった北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉にも表れている。米国が求める環境・労働基準の強化や電子商取引に関する規定は再交渉の相手国であるカナダ、メキシコも参加するTPPにすでに含まれているからだ。

ただ、米国がNAFTAの新協定に貿易不均衡是正や為替操作の防止も盛り込もうとしているのは要警戒だ。これが実現し、今後米国が進める貿易協定のひな型になるようなら、日本にも悪影響が及ぶ可能性がある。
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