2020年02月25日

[東京新聞] メルケル氏後継 寛容と協調守る候補を (2020年02月25日)

ドイツのメルケル首相の後継候補が白紙となり、選び直しになった。米英が孤立主義に走る今だからこそ、ドイツには、寛容と協調主義で、欧州をまとめていけるリーダーが必要だ。

発端は、ドイツ東部テューリンゲン州の州首相選びだった。昨年十月の州議会選で過半数獲得政党がなく混乱していたが、メルケル首相与党の保守、キリスト教民主同盟(CDU)が、排外右派政党、ドイツのための選択肢(AfD)とともに推した候補が選ばれた。

AfDは幹部らがナチスの犯罪を矮小(わいしょう)化するなど極右色が強く、既成政党は距離を置いてきた。今回、州レベルとはいえ、AfD支持による指導者誕生に「(ヒトラー登場を許した)ワイマール共和国の再来か」との警戒感が強まり、新州首相は辞任を表明した。

共闘したCDUへの批判も高まり、メルケル氏後継の女性党首クランプカレンバウアー氏は年内で党首を辞任し、来年秋の総選挙で首相候補となることを断念した。

同氏は二〇一八年十二月の党首選で選ばれメルケル氏後継となっていた。メルケル氏は首相も今期限りでの引退を表明している。

後継候補にはメルケル氏に近いリベラル系、強硬な保守系などが挙がるが、いずれも男性だ。

ドイツでは現在、CDUなど保守と、中道左派の社会民主党の二大勢力が大連立を組むが、いずれも退潮が目立つ。

メルケル氏の寛容な難民政策への反発も根強く、排外主義が台頭。AfDは連邦議会(下院)第三党へと躍進している。

今月十九日にも西部ヘッセン州のバーが銃撃され、移民系住民ら九人が死亡したばかり。人種差別的な動機とみられている。

目を外に向ければ、トランプ米大統領は米国第一主義を進め外交でも暴走、欧州連合(EU)を離脱した英国は早くも、移民選別制度導入を決めた。

EU内部でも、強権姿勢を強める東欧諸国と、ドイツなどとのあつれきは強まっている。

試練にさらされてはいるが、自由、寛容、協調主義はドイツとEUを支えてきた根本理念だ。メルケル氏後継選びでは、これらの価値観を引き続き守るリーダーかを見極めてほしい。

極右色が強いAfDが、政治的実権を握ったらどんな政策を実施するかは、未知数だ。既成政党の数合わせのため、安易に手を組むべきではない。
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[東京新聞] テレワーク 「肺炎」にも活用したい (2020年02月25日)

新型肺炎の拡大に伴いテレワークを導入する企業が増えている。時差出勤との組み合わせで感染防止策として期待できる。ただ労働時間の管理など課題も多く、制度への理解を深める必要もある。

会社に出勤せず主に自宅で仕事をこなすテレワークは、一九七〇年代に米国で始まった。現在ではパソコンを中心とした情報通信技術の急速な発展により、働き方を変える手段として大きな注目を集めている。

テレワークは子育てとの両立や居住地に左右されない、通勤時間を削減できるといった利点がある。無駄な人間関係をめぐる摩擦も減り、ストレス軽減につながるとの指摘もある。一方、会社にとってもオフィスの規模縮小による賃貸料カットなど、コストを抑制する効果が期待できる。

新型肺炎対策にあたる厚生労働省はすでに経団連や日本商工会議所に活用を要請した。NTTグループなど複数の大手企業が導入し、中小にも広がりつつある。各経営者が一石二鳥型の有効策として導入したことは十分理解できる。さらに農林水産省など官公庁も前向きな姿勢だ。元々、東京五輪時の出勤対策として検討されてきたが、新型肺炎を念頭に官民が機敏に対応した形といえる。

対面での仕事をせざるを得ない職種など活用できないケースもあるが、今後、導入可能な企業は活用を進めてもいいのではないか。

ただテレワークには課題もあることを指摘しておきたい。導入した場合、労働時間の管理が極めて難しい。管理業務を行う上司がそばにいないためだ。

労働時間が確定できないと賃金に影響する。従業員が会社や上司に気を使って働いた時間を少なく申告する姿は想像に難くない。とりわけ立場の弱い非正規労働者でこうしたケースがひんぱんに起きる恐れはあるだろう。

導入前に会社側が正規、非正規を問わず公平なルールを決め、従業員も納得した上で実施に踏み切るべきだ。

過度なテレワークが働く仲間同士の関係を希薄にして生産性を落とす可能性も考えられる。仕事上の相談などはなるべく対面が好ましい。顔を合わせる時間を一定程度設けるといった工夫も必要だろう。

さらに新型肺炎終息後、導入で何が起きたかを検証することも大切だ。国の法整備と併せて、各企業や官公庁には積極的な情報開示を求めたい。
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[産経新聞] 【主張】新共通テスト 受験産業への認識が甘い (2020年02月25日)

令和2年度から始まる大学入試の新共通テストをめぐり、複数の国語の問題作成委員が辞任していたことが分かった。あろうことか、民間の入試対策本の執筆に携わっていたためである。

立場を忘れ入試の信頼を損ねた責任は重い。

萩生田光一文部科学相は会見で「誤解を招くような仕事に、期間中に携わることは好ましくない」と述べ、大学入試センターにルールの厳格化や倫理観を高めることを求めた。

作問委員がなぜそうした倫理観に欠ける事態を招いたのか、経緯を明確にしてもらいたい。

共通テストは大学入試センター試験に代わり、来年1月に初めて実施される。運営には同センターがあたり、作問のため「国語問題作成分科会」を設置し、大学教授ら専門家が委員を務めている。

このうち複数の委員が、大手教科書会社が昨年8月に出した共通テストの国語記述式対策の例題集の執筆に携わっていた。共通テストの記述式は昨年12月に導入が撤回されたが、当時、入試改革の目玉として注目されていた。

入試問題作成の機密性から、作問委員らの名前は非公表だ。作問に関与した事実は口外しないことなど守秘義務が規則に定められている。例題集の中で守秘義務に触れる規則違反はなかったが、分科会などから、民間で関連本を出すこと自体、利益相反などの「疑念が持たれる」との批判が出て、辞任を申し出たという。

作問委員が例題集を出版することを直接禁じる規定はないが、それをしないのが、共通認識であり、慣例だという。

その常識がなぜ守られなかったのか。大学入試センターは辞任した委員の人数や辞任理由を公表できないとしているが、あいまいにしては不信が増すだけである。

昨年11月に英語の民間試験利用が見送りになり、12月には国語、数学の記述式導入が撤回された。作問委員らが辞任する重大事まで不透明では信頼回復も遠い。

昨年、共通テストの試行調査で記述式問題の採点関連業務を受託した民間業者が、PR資料に受託の事実を記載して営業活動をしていたことが問題となった。

民間の活用や相互の適切な情報交換を否定するつもりはないが、結果的に受験産業に利用されては、教育全体の信頼を損ねることも十分認識してもらいたい。
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[産経新聞] 【主張】パラ開幕まで半年 成功へ街も社会も変化を (2020年02月25日)

東京の街中では、天井の高いタクシーが珍しくなくなった。足の不自由な人が、車いすに乗ったまま利用できる福祉タクシーでもある。

地下鉄では、車両とホームの段差をなくすスロープが当たり前で、2基目のエレベーター設置工事が進む駅も多い。

半年後に開幕するパラリンピック東京大会に向けて、街も社会も変化し続けている。

同一都市で2度目の五輪・パラを開催するのは東京が初めてになる。五輪とパラリンピックは車の両輪だ。新型肺炎の問題はあるものの、五輪が開幕する7月24日からパラ閉幕の9月6日まで、全ての会場を満座の観衆で埋めてこそ、私たちは大会の「成功」に胸を張ることができる。

「最も成功した大会」といわれる2012年のロンドン大会がそうだった。ロンドン在住で、東京五輪招致のプレゼンテーションを指導したマーティン・ニューマン氏は「ロンドンが大会を成功させたのではなく、パラリンピックがロンドンを変えた」と語った。

ここ数年で、パラ選手への国民の理解は深まった。「共生社会」のロールモデルとして、テレビなどのCMに起用される選手は増え続けている。

五輪競技の強化拠点であるナショナルトレーニングセンター(NTC)の東隣には昨秋、パラ選手が使えるNTCイーストが開設された。「社会の動きから遅れている」と批判されてきた日本のスポーツ界は、「共生」に向けて歩み出している。

4年前のリオデジャネイロ大会では、日本は金メダルなしに終わった。東京大会を前に、日本パラリンピック委員会(JPC)は過去最多の17個を上回る「金20個」を掲げている。

パラ大会は世界最高峰のスポーツの祭典でもある。障害を乗り越え、あるいは肉体と器具の融和により高度なレベルの競技を体現する姿を見せてほしい。

大会には22競技540種目の頂点を目指し、約4400人の選手が集う。障害がある人々をこれほどの規模で迎えるのは、日本にとって初めての経験だ。

ハード面の備えだけでなく、人々の心が大きな変化を受け入れてこそ、本当の「共生社会」は実現できる。パラ大会とその先を見据え、残り半年は大事な準備期間となる。
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[毎日新聞] 揺らぐ公文書管理制度 与野党で立て直し議論を (2020年02月25日)

公文書管理制度の理念をないがしろにする行為が絶えない。国会に提出された「桜を見る会」の資料は、一部が「白塗り」で隠してあった。根本から立て直すべきだ。

安倍内閣は2017年末に公文書管理のガイドラインを改定した。きっかけは廃棄や改ざんが次々と発覚した森友・加計学園問題だった。

改定では、公文書の保存期間を1年未満にできるケースを限定した。保存に値しない文書についてだけ、例外的に認めたはずだった。

しかし、内閣府は「桜を見る会」の招待者名簿がこれに該当するとして、保存期間を1年から1年未満に変えた。

例外を設けることで、都合の悪い文書を廃棄できる「抜け道」をあらかじめ作っておいたと受け取られても仕方あるまい。

公文書管理法は公文書を「民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付ける。だが、現政権下でこの理念は踏みにじられてきた。

まず、取り組むべきなのは制度の穴をふさぐことだ。「1年未満文書」の規定を見直し、恣意(しい)的な解釈の余地をなくさねばならない。

ガイドラインはまた、政策立案に影響する打ち合わせなどを文書で記録するよう義務付けている。だが、首相と官僚の面談すら記録されていない。どんなものを残すべきかを明確に定める必要がある。

チェック機能も強化しなければならない。現在の公文書管理委員会や国立公文書館、公文書監察室は、独立性に欠けたり、権限が弱かったりして十分役割を果たせていない。

専門家らが求めているのは、各府省の保存や廃棄を監視する第三者機関の設置だ。内閣から独立し、強い権限を持つことが必要不可欠だ。

さらに、公文書管理法に罰則を設けることも検討すべきだ。悪質な改ざんがあっても、刑法の虚偽公文書作成罪を適用するには、満たすべき要件のハードルが高い。

公文書の適切な管理は、国民への説明責任を果たすための前提となる。だが、日本ではこの責任の自覚が不足している。制度改革を意識改革につなげ、公文書を守る文化を作ることは政治の役割である。

法の理念に立ち返るための議論を与野党で始めなければならない。
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[毎日新聞] 幼児期の吃音 支援体制の拡充が必要だ (2020年02月25日)

話す時に言葉が滑らかに出ない「吃音(きつおん)」について、幼児期の大規模な実態調査が初めて行われた。調査を基に、有効な支援につなげることが求められる。

吃音の人は、言葉が詰まって間が空いてしまったり、語頭などを繰り返したりする。海外の調査によると、幼児期には5?8%程度の割合で発症する。

日本ではこれまで大規模な調査が実施されておらず、発症率や治癒率が明確になっていなかった。

このため、国立障害者リハビリテーションセンターが中心になり、大学などと協力して、約2000人を対象に3歳児健診の時と、その後の約2年間に追跡調査をした。

その結果、3歳までに約9%が発症し、5歳までに約7割が自然に治っていた。また海外で開発された治療方法が約7割の幼児に有効であることも分かった。

センターは調査を踏まえ、適切な治療の時期や方法について、医療機関用にガイドラインを作成した。幼稚園などに対しても、幼児への対応についての資料をつくった。

これらによって、吃音の子どもを持つ親の不安が軽減されることが期待できる。

一方、幼児期の吃音をめぐっては、訓練に当たる言語聴覚士が足りない問題がある。

言語聴覚士は認知症の患者や、脳卒中などで失語症になった人が言葉を理解したり、話したりできるようにすることを支援する。

高齢化社会での需要が高まる中、高齢者施設で働く言語聴覚士が多い。幼児へのケアまで行き届いていないのが実情だ。

国や自治体は幼児期での支援の重要性を考慮して、体制の拡充を図るべきだ。

忘れてはならないのは、吃音がいじめやからかいの対象になりやすいことだ。教員の理解も十分ではないといわれる。

大人になって就職活動で差別されたり、就職後に不当な扱いを受けたりするケースは少なくない。自身が吃音だということを周囲に明かしにくい悩みもある。

吃音であっても、支障なく生活している人は多い。社会の理解を一層進めたい。
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[読売新聞] 地方のバス路線 生活の足をどう守っていくか (2020年02月25日)

地方のバス会社の経営環境が悪化している。住民の大切な「生活の足」をどのように守っていくかが課題である。

熊本県内の乗り合いバス5社が、共同で経営を行う方針で合意した。会社の垣根を越えて車両や運転手を融通し合い、利用者の少ない不採算路線を維持する狙いがあるという。

具体的には、乗客の多い市街地の重複路線を整理し、余ったバスを、郊外や過疎地での運行に回す。収益性の高い地区を担当した会社だけが得をすることのないよう、運賃収入をプールして、各社で分配する仕組みも検討する。

本来、バス会社の共同経営は独占禁止法の不当な取引制限(カルテル)にあたる恐れがある。

政府は地方の支援策として、バス会社に対するカルテル規制の一部を除外する独禁法の特例法案を今国会にも提出する。

バス路線は、地方の暮らしを支える重要インフラ(社会基盤)だ。共同経営を促し、サービスの継続を図る方向性は理解できる。

無論、特例的な措置が適用されるバス会社には、より厳しい経営努力が求められる。将来的な合併も視野に、徹底した合理化を進めねばならない。

地域での寡占化で競争原理が働かなくなり、利用者の負担増や安易な路線の切り捨てを招かないか。厳しい監視が必要となる。

過疎地では、バス路線の廃止や減便が進む。長時間勤務や低賃金による運転手不足も深刻だ。

2017年度、3大都市圏を除く路線バス会社の8割超が赤字経営だった。自治体が多額の補助金で支えるケースは少なくない。

公共交通の劣化が過疎化を助長し、さらに交通インフラの維持を困難にする。そんな悪循環に歯止めをかけようと、自治体や事業者が取り組む例が増えてきた。

奈良県では過疎地などの約50系統のバス路線に、収支率や行政の負担額などの指標を設けている。毎年点検し、クリアできない路線は減便などの改善策を講じる。

それでも維持が難しい場合は、少人数を送迎するコミュニティーバスなどに切り替える。

高松市では、過疎地から来る複数のバス路線が、中心部で重複する現状を改めるため、郊外で鉄道に乗り換えてもらう仕組みを整備中という。乗り継ぎ運賃の割引制度を活用し、利用を促す。

交通網の存続は、地方共通の問題だ。先行事例も参考に、地域の実情に合った方策について、官民で知恵を絞ってもらいたい。

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[読売新聞] G20と新型肺炎 高まる経済リスクに万全期せ (2020年02月25日)

新型肺炎の世界的な感染拡大は経済にとって脅威である。主要国は危機感を共有し、対応に万全を期さねばならない。

サウジアラビアで開かれていた主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、景気の減速に備え、各国が政策を総動員することを盛り込んだ共同声明を採択した。

声明は「新型コロナウイルスの流行を含め、世界経済のリスクの監視を強化する」とし、「リスクに対処するため更なる行動をとる用意がある」と明記した。

各国がそれぞれの事情に応じて財政・金融両面から景気を下支えする。その方針を確認した意義は小さくない。情報交換を密にするなど連携を深め、適切な政策手段を探っておくことが大切だ。

新型肺炎の発生地である中国の国内総生産(GDP)は世界の2割弱を占め、主要企業の多くが自動車やスマートフォンなどの生産拠点を置く。工場は再開し始めたものの、本格稼働には程遠い。

停滞が長期化すれば経済への下押し圧力は大きくなろう。

とりわけ、中国との貿易量が多い日本やドイツ、アジア諸国は大きな影響が避けられまい。すでに日本やドイツなどの成長は減速しており、大手企業の業績悪化が目立っている。今回の事態が追い打ちをかけるのは間違いない。

企業は中国以外での代替生産を急ぐと同時に、部品供給網のあり方を再点検し、過度な中国依存を改める契機にすべきだろう。

国際通貨基金(IMF)はG20に合わせ、2020年の中国の経済成長率見通しを1月時点の6・0%から0・4ポイント下方修正した。6%を下回れば1990年以来となる。世界全体の成長率も3・3%から0・1ポイント下がるとした。

試算は、中国経済が早期に正常化することを前提にしているが、楽観はできない。24日の世界的な株安は、投資家が先行きを不安視している表れと言えよう。

中国では今後、3億人を超える労働者や学生が春節(旧正月)で戻った故郷から都市部にUターンすると見込まれる。そこで感染拡大に拍車がかかる恐れがある。

日本経済は当面厳しい状況が続きそうだ。訪日中国人客は激減し、イベントの自粛が相次いでいる。1?3月期は19年10?12月期に続いて、2期連続のマイナス成長に陥っても不思議はない。

日本銀行の政策余地は小さくなっている。政府は新型肺炎への緊急対策を着実に執行し、必要に応じて追加措置を検討すべきだ。

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[朝日新聞] 神戸教員間暴力 背景と向き合い対策を (2020年02月25日)

問題の根深さが浮き彫りになった。関係者の責任を問うだけでなく、常軌を逸した行為を許した背景と向き合い、対策を講じていかねばならない。

神戸市立東須磨小学校でおきた教員間の暴力や暴言をめぐり、外部の弁護士からなる調査委員会が報告書をまとめた。

「くず」「死ね」といった罵倒と、体当たりやひざ蹴り。激辛カレーを顔に塗りつけ、食べさせる――。採用3年目の男性教諭(25)の尊厳を傷つけ、教壇に立てなくなるまでに追い詰めた先輩教諭4人によるハラスメントとして、調査委は120を超える行為を認定した。前校長についても被害教諭への2件のハラスメントを指摘した。

4人の加害側教諭は必ずしも集団で暴力・暴言を重ねたわけではなく、被害教諭との関係も時期により変化していた。総じて「ふざけやからかい」と考えていたようだが、言語道断だ。前校長ら管理職も含め、それぞれの悪質度に応じて、定められたルールと手続きに従い厳正に処分しなければならない。

周囲はなぜ早期に止められなかったのか。調査委はそうした疑問に基づき、他の多くの教諭からも聞き取りをした。見えてきたのは、複数の要因が重なり、子どものいじめにも共通する構図ができていた実態だ。

まず問うべきは、人権と規範への意識を欠いた加害側教諭である。そして、前校長の威圧的な姿勢が異様な言動を許す空気をつくり、加害側教諭を指導した現校長も配慮不足で被害教諭への報復的行為を招いた。ハラスメントに関する教育と研修は不十分で、学校外・市教委外への通報窓口も不備だった。報告書から読み取れる概要である。

先輩との関係を拒めなかった被害教諭は、信頼できる相談相手がおらず、耐えるしかなかった。その様子は関係を受け入れているようにも見えた。他の教諭は多忙さもあってハラスメントに気づかず、気づいてもかまう余裕がなく、見て見ぬふりと言わざるをえない面もあった。

子どものいじめを察知し、指導・予防することを求められている先生の間に、それと同じ構図ができていた。調査委は、研修や相談窓口の見直しとともに、子どものいじめ問題について学校現場の認識をいま一度確認し、職員室をPTAや地域に開くよう提案している。

東須磨小では、今回の被害者と加害者以外の教諭の間でも、さまざまなハラスメントがあった。先生同士の関係がおかしくなった学校で、子どもたちが楽しく学び、生活できるはずがない。他の学校もひとごとと片付けず、現状をみつめ、問題の解決に努めてほしい。
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[朝日新聞] カジノと政権 噴き出す問題直視せよ (2020年02月25日)

「国民の声に耳を傾ける」「丁寧に議論していく」

安倍政権が発するこうしたもっともらしい言葉は、内実を伴わず、その場を言い繕うだけのものであることがしばしばだ。

カジノを含む統合型リゾート(IR)をめぐる国会審議でも同様の光景が繰り返される。

日本への参入をめざす中国企業側から賄賂を受け取ったとして、IR担当の内閣府副大臣だった秋元司衆院議員が起訴された。16年12月のIR推進法の成立過程にも、改めて重大な疑念が生じた。ところが政権は、既定路線をひた走っている。

事件を受け、事業者が政府関係者と接触する際のルールを、IR整備に向けた基本方針に盛り込む考えを示してはいる。だがその程度の手当てで、公平公正な事業者選定が担保できるとは到底思えない。

衆院予算委員会では、野党が「立ち止まって問題の本質と癒着の温床を徹底的に洗い出すべきだ」と指摘した。これに対し首相は冒頭の決まり文句に逃げこみ、事件に向き合おうとしなかった。誘致を検討する自治体について、カジノ業者との接触実態を調査・公表するよう求められても、応じなかった。

秋元議員が摘発された後も、政府は自治体からの誘致申請の受付期間を来年1?7月とする日程を変えていない。一方で、成長戦略の目玉と位置づけながら、IRの経済波及効果について具体的な数字を出すことを拒む。赤羽一嘉国土交通相は「立地場所が決まっていないので積算できない」との説明を繰り返すが、そんなことでどうして「目玉」といえるのか。

ギャンブル依存症への対策も改めて問われている。

野党は、カジノで賭けられる金額や事業者が客に貸し付ける額に上限を設けるなどしないのか尋ねたが、首相は「依存症防止のための制度を整備している」と述べるにとどまった。

IR実施法が、入場を「週3回、28日間で10回」に制限していることを念頭に置いた答弁だが、専門家はかねて「それだけ賭場にいれば依存症になる」と警告し、対策の強化を訴えてきた。実施法成立から1年半が過ぎてもゼロ回答とは、政権の意向と異なる「国民の声」には耳を傾けないと言うに等しい。

朝日新聞社の1月の世論調査では、IR整備の手続きを「凍結する方がよい」と答えたのは64%で、「このまま進める方がよい」20%を大きく上回った。2月調査でも、IRにメリットよりもデメリットを感じるとの答えが2倍近くあった。

やると決めたのだからやる。後は問答無用――。そんな政権の態度は、将来に禍根を残す。
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2020年02月24日

自然写真家・高砂淳二さん講演会

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【お知らせ】
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自然写真家・高砂淳二さん講演会「地球のささやき」
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2020年2月7日掲載

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東京新聞は自然写真家高砂淳二さんの、世界の自然や生き物、自然環境の変化についての講演会を3月8日午後3時から東京都千代田区内幸町の東京本社1階ホールで開催します。

高砂さんが海外で見てきた野生生物の暮らしや環境変化の影響、撮影秘話などを、写真とともにお話します。入場無料。最新フォトエッセイ集「光と虹と神話」(税込み1980円)の販売やサイン会も行います。

参加お申し込みはこちらから。

締め切りは3月5日(木)です。

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posted by (-@∀@) at 12:41| Comment(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[東京新聞] 沖縄県民投票1年 「辺野古」に正当性なし (2020年02月24日)

「当然の結果。沖縄を返せ!」

沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ周辺で、新基地建設反対運動を続ける市民らが歓喜の声を上げてから一年がたちました。辺野古埋め立て「反対」72・15%−。昨年二月二十四日の県民投票が示した結果です。

しかし工事は止まらず、この一年、辺野古ブルーの海には連日褐色の土砂が投入されています。沖縄の民意は、どこまで無視されなくてはならないのでしょうか。


◆県民は日本国民なのか
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政府としては「安全保障は国の専管事項。新基地を建設し市街地に囲まれた普天間飛行場(宜野湾市)を移設する米国との合意は地元の民意に優先する」との論理なのでしょう。ただ、国民不在で安保政策が成り立つのか。

新型迎撃システム「イージス・アショア」配備で、防衛省は秋田市の陸上自衛隊演習場を配備先に選びましたが、ずさんな適地調査に住民の不信が拡大し見直しが進められています。陸自が導入する輸送機オスプレイには、佐賀空港配備に地元漁協が反発。千葉県木更津市へ暫定配備が行われます。

防衛問題であっても、国は慎重に民意を見極め、尊重しなくてはならないのです。しかし、本土ではともかく、沖縄の民意は一顧だにされません。故翁長雄志・前沖縄県知事は「政府は県民を日本国

民として見ていない」と指弾しました。まさに政府の対応は、ダブルスタンダード(二重基準)であり、沖縄差別です。

新基地建設では、地元の同意がない以外にも、事業の正当性を揺るがす新事実が次々と明らかになっています。埋め立て海域に存在が判明した軟弱地盤がその“震源”。最深で海面下九十メートルに達するという軟弱地盤改良のため、約七万本もの砂の杭(くい)を打つ作業が必要となり、防衛省は昨年末に工期などの見直し案を公表しました。


◆数々の疑問は置き去り
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それによると、新基地の完成は早くて九年三カ月後、飛行場認証などを経ての運用開始は十二年後になるといいます。当初は運用まで八年を予定し、安倍政権は普天間返還を「二〇二二年度かそれ以降」としてきましたが、三〇年代への大幅な遅れは確実です。

工費は「三千五百億円以上」が九千三百億円に膨らむ見込みです。

世界的にも例がない難工事には技術的な懸念も消えません。

地盤改良に関し、国内の作業船は海面下七十メートルまでしか対応できない。残り二十メートルについて防衛省は、近辺の地盤分析から安定していると類推して改良の必要性なしとしてきましたが、最近、やはり軟弱だと示すデータが相次ぎ明るみに出ました。護岸の設置場所に当たり、専門家はそのままでは崩壊の恐れがあると指摘します。

しかし、防衛省は信頼性の低いデータだと切り捨て、再調査をしようともしない。都合の悪い資料は隠すか無視して押し切る政権のあしき手法の一環でしょうか。

防衛省の見解でも、新基地の滑走路は二十年に十センチ以上の地盤沈下が想定されます。補修を重ねれば民間空港の基準には合うものの米軍の基準は満たさないと本紙の取材で分かりました。防衛省は米側とは調整済み、と述べますが、本当に適正な運用ができるのか。

こうした問題に対して防衛省は土木学者らに技術検討を依頼していますが、一部委員に工事の関連業者から資金提供があったと、やはり本紙が報じました。数々の疑問は置き去りのまま「辺野古ありき」の工事が進められています。

安倍晋三首相は、今国会でも「引き続き工事を着実に進め、普天間の全面返還を実現することで危険性を除去」すると繰り返します。一九九六年の日米合意から、実に四十年近くも返還がかなわない矛盾には触れません。

東アジアの安全保障情勢も刻々と変化しています。政治的にも技術的にも、辺野古移設計画は破綻が明らか。政府は米国と協議し、普天間の機能を県外、国外の既存の米軍基地に分散させるなどの方法で返還を即刻実現すべきです。辺野古工事は当然中止です。


◆国民的な議論で解決を
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知事権限で辺野古の埋め立て承認を撤回した沖縄県は、今後も地盤改良に伴う設計変更を認めないなど国ととことん争う姿勢です。

希少サンゴがすむ海を汚し、膨大な予算と時間を費やして矛盾だらけの基地を造るのは、沖縄の負担軽減どころか国全体の公益に背くとの判断からです。県民投票は県の判断を直接民主主義により支持しました。その重みは今も決して変わりません。投票を推進した市民らは、辺野古工事を止め、普天間問題を国民的議論で解決するよう求める意見書の可決を全国の市町村議会に請願しています。

身近な議会の動きに関心を寄せれば、私たちにも沖縄の民意を後押しすることは可能です。
posted by (-@∀@) at 12:40| Comment(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする