2017年05月24日

[産経新聞] 【主張】文政権の外交 軸足を間違えてはならぬ (2017年05月24日)

韓国の文在寅大統領が日本、米国、中国へ特使を派遣し、新政権の外交を始動させている。

立ち上がりは、どの国とも友好的、儀礼的になるだろうが、韓国やこの地域が置かれた状況を考えれば、何に軸足を置くべきかは自明だろう。

暴挙を続ける北朝鮮にどう対抗し、その脅威を押さえ込んでいくか。日米韓の強固な枠組みを維持していくことが、現実的かつ最善の道であることを忘れないでもらいたい。

国際常識を無視し、対話路線に偏る政策は、足並みを乱し状況を悪化させるものでしかない。

文氏が掲げてきた「対話重視」の方針が、中国から評価されるのは当然だろう。

これに対し、日米両国は「対話のための対話はしない」との立場を明確にしてきた。その判断は、韓国も基本的に共有すべきものといえる。

そもそも、文政権が求める「対話」とは、どういうもので、何を目的とするものなのか。

同じ民族が南北に分断されているという、日米とは異なる固有の問題はある。だが、対話が成立するとすれば、北朝鮮に核・ミサイル開発を断念させる目的を持つものでなければならない。

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文政権発足後、北朝鮮は2度にわたり弾道ミサイルを発射した。これには、文氏自身も衝撃を受けたのではないか。対話に軸足を置くときではない。圧力を強化している日米との連携にこそ、重点を置く判断が求められる。

中国の習近平国家主席は、文氏の大統領就任をことさら高く評価してみせた。北京を訪れた韓国国会議員との会談では、文氏の政治哲学と理念を称賛したという。「対話による解決」を重視する中国、ロシア陣営に、韓国を引き込もうとする姿勢が露骨だ。

北朝鮮に対する日米韓の結束には、対中包囲網と重なり合う面がある。そこにくさびを打ち込み、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の運用停止を狙っているのも明らかだ。

日本との間では、慰安婦問題をめぐる日韓合意を文政権が尊重するかも焦点となる。日韓合意という国家間の約束を守れるのか。それは、ひとえに韓国の国際的信用の問題だ。日本が待つのは、合意の再交渉ではなく、慰安婦像の撤去という結果である。
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[産経新聞] 【主張】英国で自爆テロ 備えと結束を新たにせよ (2017年05月24日)

英中部マンチェスターのコンサート会場で自爆テロがあり、多数が死傷した。

10代の若者ら、米人気歌手のファンが会場を埋め尽くしていた。爆発音がとどろくと聴衆は外に出ようと逃げ惑い、現場はパニックになった。

無差別殺人を意図した極めて卑劣で残忍な犯行である。いかなるテロも、決して許してはならない。

この日を心待ちにして集った多くの若者らが命を奪われ、傷ついた。男による犯行の動機や共犯の有無、イスラム過激組織とのつながりなど、事件の全容解明を急いでもらいたい。

英国では今年3月、ロンドンの国会議事堂周辺で、男が車で通行人を次々とはね、5人を死亡させるテロがあった。

このときの凶器は乗用車とナイフだった。今回は、当局が目を光らせているはずの爆発物が使用された。しかも、会場は最大収容人数が約2万1千人という欧州最大規模の屋内競技場だった。

警戒を強めている英国でも、こうした凶行を防げなかったことを重く受け止めねばなるまい。

2005年のロンドン同時爆破テロ以降、英国は対策に力を入れ、多数の監視カメラを配置し、情報機関の権限も拡大した。

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最近では、イラク、シリア両国で劣勢を強いられている過激組織「イスラム国」(IS)が、テロ攻勢をかけてくることへの警戒を強めていた。

未然に食い止められたテロ計画も少なくないだろう。今回の警戒態勢に不備がなかったか、改めて検証する必要はある。

テロの阻止がいかに困難かについて、日本も認識を深め、自らの備えを見直したい。20年には東京五輪が開催される。若者が熱中する人気歌手の公演は、大都市で連日のように開催されている。

安倍晋三首相はメイ英首相に哀悼のメッセージを送り、「心からの連帯」を表明した。

イタリアで開催される先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)でも、結束しテロと戦う強いメッセージを発してもらいたい。

英国は欧州連合(EU)との離脱交渉に入り、来月には総選挙もある。英国と欧州の将来に向け重要な時期にある。進む道は異なることになっても、地道なテロとの戦いでは連携し、困難を乗り切っていくことが重要だ。
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[東京新聞] 「共謀罪」衆院通過 戦前の悪法を思わせる (2017年05月24日)

「共謀罪」法案が衆院を通過した。安倍晋三政権で繰り返される数の力による横暴だ。戦前の治安維持法のような悪法にならないか心配だ。

警察「自然に手を入れる行為自体に反対する人物であることをご存じか」

電力会社子会社「以前、ゴルフ場建設時にも反対派として活動された」

警察「自然破壊につながることに敏感に反対する人物もいるが、ご存じか。東大を中退しており、頭もいい。しゃべりも上手であるから、やっかいになる」


◆監視は通常業務です
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岐阜県大垣市での風力発電事業計画をめぐって、岐阜県警が反対派住民を監視し、収集した情報を電力会社子会社に提供していた。二〇一四年に発覚した。

「やっかい」と警察に名指しされた人は、地元で護憲や反原発を訴えてもいる。ただ、ゴルフ場の反対運動は三十年も前のことだった。つまりは市民運動というだけで警察は、なぜだか監視対象にしていたわけだ。この問題は、国会でも取り上げられたが、警察庁警備局長はこう述べた。

「公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で、通常行っている警察業務の一環」−。いつもやっている業務というのだ。

公安調査庁の一九九六年度の内部文書が明らかになったこともある。どんな団体を調査し、実態把握していたか。原発政策に批判的な団体。大気汚染やリゾート開発、ごみ問題などの課題に取り組む環境団体。女性の地位向上や消費税引き上げ反対運動などの団体も含まれていた。

日本消費者連盟。いじめ・不登校問題の団体。市民オンブズマン、死刑廃止や人権擁護の団体。言論・出版の自由を求めるマスコミ系団体だ。具体的には日本ペンクラブや日本ジャーナリスト会議が対象として列挙してあった。


◆監視国家がやって来る
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警察や公安調査庁は常態的にこんな調査を行っているのだから、表に出たのは氷山の一角にすぎないのだろう。「共謀罪」の審議の中で繰り返し、政府は「一般人は対象にならない」と述べていた。それなのに、現実にはさまざまな市民団体に対しては、既に警察などの調査対象になり、実態把握されている。

監視同然ではないか。なぜ環境団体や人権団体などのメンバーが監視対象にならねばならないのか。「共謀罪」は組織的犯罪集団が対象になるというが、むしろ今までの捜査当局の監視活動にお墨付きを与える結果となろう。

国連の特別報告者から共謀罪法案に「プライバシーや表現の自由の制限につながる。恣意(しい)的運用の恐れがある」と首相に書簡が送られた。共謀罪は犯罪の実行前に捕まえるから、当然、冤罪(えんざい)が起きる。政府はこれらの問題を軽く考えてはいないか。恐るべき人権侵害を引き起こしかねない。

一九二五年にできた治安維持法は国体の変革、私有財産制を否認する目的の結社を防ぐための法律だった。つまり共産党弾圧のためにつくられた。当初はだれも自分には関係のない法律だと思っていたらしい。

ところが法改正され、共産党の活動を支えるあらゆる行為を罰することができるようになった。そして、反戦思想、反政府思想、宗教団体まで幅広く拘束していった。しかも、起訴されるのは少数派。拷問などが横行し、思想弾圧そのものが自己目的化していったのだ。

共謀罪も今は自分には関係がないと思う人がほとんどだろう。だが、今後、法改正など事態が変わることはありうる。一般人、一般の団体なども対象にならないと誰が保証できようか。国会審議でも団体の性質が一変すれば一般人も対象になるとしている。何せ既に警察は一般団体を日常的に調査対象にしているのだ。

少なくとも「内心の自由」に官憲が手を突っ込んだ点は共謀罪も治安維持法も同じであろう。

捜査手法も大きく変わる。共謀となる話し合いの場をまずつかむ。現金を下ろすなど準備行為の場もつかむ。そんな場面をつかむには、捜査当局は徹底的に監視を強めるに違いない。政府は「テロ対策」と言い続けたが、それは口実であって、内実は国内の監視の根拠を与えたに等しい。


◆「デモはテロ」なのか
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何よりも心配するのが反政府活動などが捜査当局の標的になることだ。「絶叫デモはテロ行為と変わらない」とブログで書いた自民党の大物議員がいた。そのような考え方に基づけば、反政府の立場で発言する団体はテロ組織同然だということになる。共謀罪の対象にもなろう。そんな運用がなされれば、思想の自由・表現の自由は息の根を止められる。
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[毎日新聞] 英コンサート会場爆破 欧州は対テロで再結束を (2017年05月24日)

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多くの人が集まり警備が脆弱(ぜいじゃく)なソフトターゲットがまた狙われた。

英国中部マンチェスターのイベント会場で爆発があり、80人を超す死傷者が出た。

若者に人気が高い米女性歌手のコンサートが終わり、観客が帰路につくところだった。10代の若者が多数犠牲になったとみられている。

警察は自爆テロとみている。無差別に市民を狙った卑劣な犯行は許されない。

英国のテロでは、2005年に52人が死亡したロンドン同時爆破テロ以来の犠牲者数となった。

今年3月にもロンドンの国会議事堂近くで、男が車で通行人を次々とはねるテロ事件があり、当局は警戒を強めていた。それでも起きた今回の事件は、テロを防ぐ難しさを改めて突き付けた。

欧州各国で相次ぐテロは、市民を不安に陥れ、これに乗じて移民やイスラム教徒の排斥を訴える極右勢力が伸長している。テロへの恐怖が分断を広げることにならないか懸念されている。

事件が起きたマンチェスターではテロで鉄道が止まり、帰宅できなかった観客らに宿泊所を提供しようという住民の呼びかけがツイッターなどで広がっている。分断でなく連帯を呼びかける声の広がりは心強い。

欧州では近年、自国第一主義の風潮が台頭している。英国は昨年6月の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた。移民に職を奪われることへの不安などをあおった勢力がEU離脱への支持票を押し上げたためだ。

だが、市民社会を脅かすテロは欧州共通の脅威である。それだけに、テロ対策で各国は再結束を図らねばならない。

メルケル独首相は事件を受け、英国とともにテロと戦う「我々の決意を強めるだけだ」と強調した。マクロン仏大統領も英国民への「哀悼と連帯」を表明した。

EU離脱交渉では英国に厳しい姿勢を見せている欧州各国からの連帯表明は、危機感の表れだろう。

イタリアでは今週末、主要7カ国(G7)首脳会議が行われる。憎悪と分断をあおるテロの脅威に立ち向かうために、連帯を確認しなければならない。
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[日経新聞] なお残る「共謀罪」法案の懸念 (2017年05月24日)

組織犯罪処罰法の改正案が、与党などの賛成多数により衆院本会議で可決された。テロや組織犯罪を実行前の計画段階で罰するため、「共謀罪」の構成要件を改めたテロ等準備罪を新設するというのが大きな目的だ。

この法案をめぐっては、「処罰の対象が不明確で、恣意的に運用されかねない」「思想や内心の自由を侵す」といった懸念がかねて指摘されている。衆院での審議でもこうした点はなお解消されておらず、国民が法案を理解しているとは言えないのが現状だろう。

そのような法案が、先立つ衆院法務委員会に続き、本会議でも与党側が押し切る形で採決されたことは残念だ。参院では、政府・与党は法案の成立をいたずらに急ぐのではなく、十分に時間をかけて繰り返し丁寧に説明を尽くす必要がある。

「共謀罪」は国際組織犯罪防止条約を締結するための前提として、各国に整備が義務付けられている。組織犯罪の封じ込めは国際社会の大きな課題であり、条約を締結する意義や、そのためにテロ等準備罪を導入する必要性自体は理解できる。

だがこれまでの衆院の審議では、政府側の答弁は一貫性を欠いたり、根拠があいまいなままに強弁したりといった場面が目立った。野党側の追及が理念的だったこともあり、議論がかみ合わないやり取りも多かった。

それでも議論を積み重ねることで、疑問点や課題は徐々に集約されつつある。仮に法案が成立した際には、国会での審議が運用面での大きな指針や歯止めにつながることも忘れてはならない。

政府・与党には、「想定時間に達したから採決する」という態度ではなく、改めて反対の立場の意見を真摯に聞き、受け止めていく姿勢が求められる。

議論のなかで必要があれば、処罰範囲の明確化や対象犯罪のさらなる削減など、条文の見直しをためらうべきではない。国会のあり方が問われている。
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[日経新聞] 小粒で先送りが多い規制改革答申を憂う (2017年05月24日)

規制改革は企業による新たな商品やサービスの供給を後押しし、技術革新を通じて生産性を高める。成長戦略でもっとも大事な政策のひとつである。

残念ながら規制改革推進会議がまとめた今年の答申は小粒で、懸案の先送りがめだつ。政府は規制改革の推進体制も立て直す時だ。

介護の分野では、介護保険サービスと保険外のサービスを組み合わせる「混合介護」というやり方がある。

現在でも制度上は認められているが、厚生労働省が保険サービスと保険外サービスの明確な区分を求めているため、事業者が柔軟なサービスを提供できずにいる。

答申は自治体や事業者向けのわかりやすい通知(技術的助言)を出す方針を示した。ただ、その内容は「現行ルールの整理について検討し、結論を得る」と事実上先送りしているうえ、実施時期も「2018年度上期中に速やかに措置」とスピード感を欠く。

事業者の創意工夫で多様なサービスが生まれれば、収益機会が増えて介護人材の処遇も改善しやすくなる。そんな混合介護の効果の大きさからすると、答申の内容は期待外れというほかない。

混合介護をめぐっては「高所得者ばかりが恩恵を受ける」という厚労省や与党内の慎重論があったが、その壁を破れないところに事態の深刻さがある。

民間の有識者が大胆な提言をぶつけ、最後は閣僚も交えた交渉で政治決着を図る。そんな医療や雇用の「岩盤規制」改革でみられた場面は今回なかった。

答申は、行政手続きコストの2割削減、人手不足が目立つ労働基準監督署の一部業務の民間委託も盛った。地味だが成果である。

しかし、一般のドライバーが自家用車で利用客を送迎するライドシェア(相乗り)については今後認める範囲を通達で明確にする方針にとどめた。改革の入り口にたっても、そこから大きく突破できずにいるのが現状ではないか。

全体として、規制官庁と規制改革推進会議の事務局が合意できる範囲で小さな案を重ねた「官僚主導」の印象は否めない。

地域限定で規制改革をする国家戦略特区でも、ライドシェアや漁業生産組合の特例など、用意したメニューの実績がゼロという例が判明した。規制の本質は細部に宿る。政府には改革の徹底とそのための体制整備を厳しく求めたい。
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[毎日新聞] がん患者と働く環境 受動喫煙の防止が重要だ (2017年05月24日)

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「(がん患者は)働かなければいいんだよ」。受動喫煙対策を議論する自民党厚生労働部会での大西英男衆院議員の発言だ。子宮頸(けい)がんの経験者である三原じゅん子参院議員が職場での受動喫煙に苦しむ患者の立場を訴えたことへのヤジである。

批判された大西議員は「(がん患者らの)気持ちを傷つけた」と謝罪した。がんと診断される人は年間100万人を超えると予測され、働き盛りの人も多い。がん患者の就労支援の切実さを改めて考えたい。

がんやぜんそくなどの病気を抱えながら働いている社員、妊娠中の女性などは職場での立場が弱い人が多い。「会社に迷惑をかける」と退職を余儀なくされ、差別を恐れて病気を隠している人もいる。

「『喫煙可能の店で無理して働かなくていいのではないか』との趣旨だ」と大西議員は釈明する。しかし、政府による社会保障費の抑制政策の中で、無理をしても働かなければ生活できない人がいることにも思いをはせるべきだ。

打ち合わせや接待、送別会などで喫煙可の飲食店に行くことを拒めない人もいる。非正規雇用労働者の中には、条件の良い勤務先を選べず、嫌でも喫煙店で働き続けざるを得ない人も少なくないだろう。

安倍政権は「1億総活躍社会」の看板を掲げ、仕事と生活を両立できる「ワーク・ライフ・バランス」の実現などを目指した「働き方改革」に取り組んでいる。がん対策推進基本計画でも重要な項目の中に、治療をしながら働き続けられる支援が挙げられている。

そのためには社員の健康に配慮した職場の環境整備を進めなければならない。肺がんや心疾患をはじめ受動喫煙による健康被害については、国内外で多数の医学論文が警鐘を鳴らしている。すぐに被害が発生するわけではないので、現在健康な人には実感がわかないだけだ。

乳幼児突然死症候群と受動喫煙との因果関係を裏付ける調査もある。リスクを避けようがない胎児や子どもにまで被害が及ぶことを重く考えないといけない。

社会的に弱い立場の人々や子どもが健康被害にさらされていることに想像力を働かせ、思いやりのある議論を政治に期待したい。
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[読売新聞] 東芝経営問題 再建の道筋をどう確保するか (2017年05月24日)

直面する危機は深刻さを増すばかりである。これ以上、事態を泥沼化させず、再建への道筋を確保する必要があろう。

東芝は、米国での原子力発電事業の巨額損失で、2017年3月期決算の最終利益が9500億円の赤字に陥った。国内製造業では過去最大規模だ。債務超過は5400億円に達する。

いずれも監査法人の承認を得ていない見込み額だ。16年4?12月期決算の発表を2度延期したにもかかわらず、通期でも正式発表できなかった。異常事態である。

原発事業の損失を認識した時期を巡って、東芝と監査法人が鋭く対立しているためだ。

両者の溝が埋まらず、監査法人のお墨付きを得られなければ、決算は確定しない。有価証券報告書の発表も6月末の提出期限から大幅にずれ込む恐れがある。

決算は、投資家が市場で株を売買するための重要な指標となる。監査法人による決算の承認は、企業情報の信頼性を担保する上で欠かせない手続きである。

日本を代表する企業が、ずさんな統治で市場の信頼を損なう現状は看過できない。監査法人との協議に全力を挙げるべきだ。

15年に発覚した不適切会計を受けて、東芝株は東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定されている。上場を維持すべきかどうか、審査中だ。企業統治に改善がみられないと判断されれば、上場廃止の可能性も出てくる。

再建のカギを握る半導体子会社の売却計画も揺らいでいる。

東芝は債務超過の解消に向け、稼ぎ頭である半導体の記憶媒体事業を子会社化し、2兆円程度で売却する方針だ。日米韓などの企業が買収に意欲を示している。

だが、東芝の協業相手の米ウエスタン・デジタル(WD)が国際仲裁裁判所に売却差し止めを申し立て、計画に暗雲が漂う。

記憶媒体を東芝と共同生産しているWDは、第三者への売却には双方の合意が必要と主張する。東芝は「売却を止める権利はない」と真っ向から対立している。

仲裁裁は、提訴後1か月程度で暫定的な決定を出す場合がある。WDの主張が認められれば、買収に名乗りを上げている企業が二の足を踏みかねない。子会社の売却が宙に浮き、再建策は抜本的な見直しを迫られる。

WDが提訴する前に丁寧に説明して理解を得るべきだったとの指摘もある。東芝は、円滑な売却実現に向けてWDとさらに交渉を尽くさねばならない。
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[読売新聞] テロ準備罪法案 普通の国民は監視の対象外だ (2017年05月24日)

各国との捜査共助なしに、国際テロ集団の凶行は防げない。

国内法を今国会で確実に成立させて、国際組織犯罪防止条約を締結し、2020年東京五輪を万全の体制で迎えたい。

テロ等準備罪の創設を柱とした組織犯罪処罰法改正案が衆院本会議で、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決され、参院に送付された。

民進、共産両党などは「強行採決だ」と反発したが、衆院の審議は、重要法案の目安とされる30時間に達している。与党が「論点は出尽くした」として、採決に踏み切ったのはうなずける。

採決に先立ち、自民、公明両党と維新は、政府案の修正で合意した。テロ等準備罪の取り調べに可視化を義務化するかどうか、検討することを付則に盛り込んだ。

取り調べを録音・録画すると、容疑者が報復を恐れ、口をつぐむ懸念もあるだろう。可視化の実施には慎重な検討が必要だが、より多くの党の賛同を得られた点については、評価したい。

衆院の審議で、野党は不安を煽(あお)るような質問を続けた。

政府が「一般人は100%捜査対象にならない」と説明しているにもかかわらず、民進党などは、捜査しなければ、一般人もテロ等準備罪の疑いがあるかどうかはっきりしない、と繰り返した。

普通の国民も監視対象になる、と印象づけるのが狙いだろう。

刑事訴訟法上、捜査は犯罪の嫌疑が存在して、初めて着手される。テロ等準備罪に関わる犯罪の主体は、組織的犯罪集団に限られる。集団と無関係の人に嫌疑は生じず、当然、捜査対象にはなり得ない。批判は当たるまい。

野党は277の対象犯罪についても「多すぎる」と主張する。

政府は「組織的犯罪集団が現実的に行う可能性がある犯罪だ」として、適正に対象犯罪を選定していると強調した。

著作権法違反関連では、「組織的犯罪集団による海賊版CD販売などが考えられる」との見解を明らかにした。「墳墓発掘死体損壊等罪」をテロ等準備罪に含めているのは、海外でテロ集団による墳墓破壊が実際に起きたためだ。

政府は、参院でも具体例を示して、法案の必要性を丁寧に説明し、国民の理解を深めることに注力してもらいたい。

テロ対策は焦眉の急である。必要なら、7月2日の東京都議選をまたいだ会期延長もためらわずに、成立を図るべきだ。
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[朝日新聞] 東京都議選 なれ合いを脱せるか (2017年05月24日)

小池百合子・東京都知事が自民党都連を「忖度(そんたく)政治だ」と批判すれば、自民党は小池都政を「決められない政治だ」と糾弾する。そんなつばぜり合いが激しくなってきた。

注目の都議選の告示まで1カ月をきった。小池知事が率いる地域政党・都民ファーストの会が台風の目となり、関心は今後ますます、「小池都政にイエスかノーか」の一点に集中しそうな雰囲気だ。

だが、果たしてそれだけでいいのか。いちど立ち止まって、都議が担うべき役割をおさらいしておきたい。

議員の中から首相が選出される国会と違い、都道府県の首長と議員はどちらも有権者に直接選ばれる。二元代表制といわれるシステムで、両者は地方行政の「車の両輪」の関係にある。

都議は、地域のさまざまな声に耳を傾けたうえで、知事が提案する予算の配分や政策が適切かどうかを、都民の代表としてチェックする。それには、知事と一定の距離を保ち、緊張関係にあることが不可欠だ。

だが、この20年近く知事与党の自民、公明はどうだったか。

豊洲への市場移転問題で、両党は今春、都議会に百条委員会を設けることに賛成し、土壌汚染対策をめぐる都と東京ガスの交渉の実態を追及した。改革姿勢を訴えたつもりだろうが、本来こうしたチェックは、市場の移転予算を議会として認める前に果たしておくべきものだ。

なれ合いの懸念は、都民ファーストにもつきまとう。

きのう発表の公約で、都民ファーストは市場移転に関する考えを明確にせず、知事の今後の判断を尊重したいと述べた。この先、様々な都政の課題について自分たちのリーダーの方針を健全に批判し、注文をつけられるのか。そこが問われる。

都議のもう一つの役割は、知事側と政策を競いあい、それを都政に反映させることだ。

たとえば、2030年には都民の4人に1人が65歳以上となる。だが介護の施設も人手も足りない。巨大都市の超高齢化にどう備えるか。また、東京一極集中による地方の衰退は、都も解決に乗りださねば展望が開けない課題だ。しかし小池都政では光が当てられていない。都議としてどう考えるのか。

この4年間、都議の提案で生まれた条例のうち生活に直結するものは一つもない。定数127と最大の地方議会にもかかわらず、水準は高いといえない。

反省を踏まえ、都議選にそれぞれがいかに臨むか。有権者に語るべきことは、少なくない。
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[朝日新聞] テニス八百長 手を尽くし信頼回復を (2017年05月24日)

スポーツの尊厳を傷つけ、その価値を地に落とす行為だ。

男子テニスの三橋淳(みつはしじゅん)元選手(27)が八百長に手を染めたとして、国際的な不正監視団体から永久資格停止と罰金5万ドル(約550万円)の処分を受けた。

2年前に南アフリカとナイジェリアで行われたプロの下部ツアーに参加した選手らに対し、数百ドルから数千ドルの見返りで、わざと試合に負けるよう持ちかけたとされる。

さらに、公認のブックメーカー(賭け屋)を通じ、テニスの試合を対象にした賭けも76回繰り返していた。公平・公正を疑われるとして、テニス選手は禁じられている行為だ。選手を信じ、真剣勝負に声援を送るファンを裏切った罪は重い。

監視団体は08年に設立された。怪しい動きがあるとブックメーカーから通報がある。昨年は292件の情報があり、選手や審判計9人が処分された。下部ツアーは賞金が低く、場合によっては八百長による報酬の方が高くなることも、不正が絶えない背景にあるようだ。

日本テニス協会も手をこまぬいてきたわけではない。プロ登録の際に法令順守の研修を開き、今年度からは海外を転戦する選手向けにインターネット経由の講座も始めた。とはいえ研修は1度で、参加しなくてもペナルティーはないなど、とても十分とはいえない。

スポーツ界は、競技を始める時期が低年齢化し、ジュニア世代でも国際大会を転戦するケースは珍しくない。だが、技術力の向上に注がれる力や熱意に比べ、倫理面は立ち遅れている。競技団体ごとに計画を立て、スポーツ庁も問題意識をもって、10代のうちから積極的な取り組みを始めるべきだ。

問題行為を自分から申告すれば処分を軽減する制度や、通報を受けつける窓口の整備なども検討すべきではないか。

やましいことのない選手や指導者は、そうした仕組みがあること自体を快く思わないかもしれない。だが、倫理を説くだけで十分か。広く社会に導入されている、こうした工夫も参考にしていい。

間違いを犯してしまった選手を支えることも欠かせない。

いったん処分を受けた者が現場に戻り、観客の前で再びプレーするには、社会の理解が欠かせない。本人の反省に任せるだけではなく、競技団体や統括団体の責任の下、復帰プログラム作りを進めてほしい。

包括的な取り組みが人々の信頼を取り戻し、スポーツの尊厳を守ることにつながる。
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2017年05月23日

[東京新聞] マクロン仏政権 ドイツ化なら茨の道に (2017年05月23日)

始動したマクロン仏大統領がまずなすべきは分断状態に陥った国家の修復である。経済の立て直しこそ急務だが、ドイツと同じ道を進もうとすればかえって亀裂を深めかねないことに留意すべきだ。

フランスがフランスでなくなりはしないか、という根源的な問題なのである。

古くはグローバル化の象徴、マクドナルドの店舗を力ずくで破壊した農民指導者が英雄視された。週三十五時間労働をかたくなに守り、「もっと働き、もっと稼ごう」と呼び掛けたサルコジ政権にノンを突き付けた。それがフランスらしさである。

マクロン氏は親EU(欧州連合)を掲げグローバル化の中での強い経済を目指し、労働制度改革に意欲を燃やす。フランスらしさを捨ててまで経済を優先させるのか、はたして国民の反発を抑えて実現できるかが究極の課題である。

そこでもし、マクロン氏がEUで独り勝ち状態のドイツをお手本とするなら茨(いばら)の道となるだろう。

低成長と高失業に苦しむフランスの姿は、二〇〇〇年代前半まで「欧州の病人」とさえいわれたドイツと重なる。旧東独との統合による負担増が重くのしかかっていたドイツだが、ユーロ安の追い風で輸出が拡大、またシュレーダー政権の労働制度改革が奏功してV字回復する。「ドイツの奇跡」とたたえられたのである。

しかし、独仏には決定的な違いがある。ドイツは伝統的に労使の協調路線が強みで、賃金の抑制や非正規雇用の拡大といった労働コストを抑える改革が比較的順調に実現した。

対してフランスは労働組合の力があまりに強い。解雇規制が厳しいために、企業が若者の雇用に二の足を踏み、それが四人に一人という若年失業率の高止まりにつながっている。

そもそもアングロサクソン系の投資銀行出身で新自由主義的な経済政策を掲げるマクロン氏への国民のアレルギーは根強い。

大統領選で極右のルペン氏が伸長したのはグローバル化に「取り残された人々」の怒りや不満や不安だったはずだ。経済再生が勝ち組のエリート層に沿う政策なら分断はより深まる。

メルケル独首相との初会談をそつなくこなし、首相の任命と組閣では左右両派の重鎮をうまく取り込んだ。「右でも左でもない」との看板に偽りはなく、ここまでは順調に来たが、本当の戦いはこれからなのである。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする