2017年04月25日

[東京新聞] カジノ解禁法 本当に合法なのですか (2017年04月25日)

賭博は古くからご法度だった。例外的に競馬などの公営ギャンブルが認められているが、カジノは初の“民間賭博”だ。本当に合法なのか不明だ。治安悪化などもっと負の面を検証すべきだ。

自分で稼いだカネを博打(ばくち)で使って何が悪い。全部すってしまっても自己責任だから仕方がない。そう考える人もいるかもしれない。

しかし、賭博は勤労によらないでカネを得ようとするから、必然的に勤労の美風を害する。副次的に犯罪も誘発する。社会の風俗も害するから、近代法の世界では賭博罪をもって処断するのである。

「統合型リゾート施設(IR)」整備推進法(カジノ解禁法)は昨年十二月、国会会期を再延長してまで審議を強引に進め成立した。現在はIR整備に向けた推進本部で制度づくりの検討が進められている。同時に秋に見込まれる臨時国会に向けて実施法案の提出を目指し、夏ごろまでにその大枠をまとめる方針だという。

安倍晋三首相は同本部の初会合で「世界最高水準のカジノ規制を導入し、依存症などにも万全な対策を講じて、クリーンな日本型IRをつくり上げる」と述べた。世界最高水準のカジノ規制、クリーンなIR…。ほとんど意味がつかめない言葉づかいである。

最も疑問なのが、カジノが違法にならないかという点だ。競馬や競輪などは、目的の公益性、例えば収益の使途を公益性のあるものに限ること。運営主体を官またはそれに準じる団体に限るなど、いくつものハードルを設けている。

カジノについては、観光振興で、収入を公益目的に還元する程度しか伝えられていない。現行の刑法が賭博として禁じているカジノを、そもそも合法化していいのか、根本的な論理が欠けている。

共同通信社が昨年十二月、IR整備推進法の成立直後に実施した世論調査では、カジノ解禁に69%が「反対」だった。

経済効果を政府は宣伝するが、そんなにうまく事は運ぶのだろうか。ギャンブル依存症、マネーロンダリング(資金洗浄)の問題、反社会的勢力の関与や青少年への悪影響など一筋縄ではいかない問題が潜んでいることを国民は感じているのではないか。

そもそも賭博禁止の歴史は古い。七世紀の持統天皇の「すごろく禁止令」から実に千三百年以上の歴史を持つともいわれる。どの時代でも賭博は暗部の世界である。美風を損なう法には反対だ。
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[産経新聞] 【主張】大阪万博の誘致 まず夢ある世界像を語れ (2017年04月25日)

2025年国際博覧会(万博)の誘致に向け、大阪府などがパリの博覧会国際事務局(BIE)に対し、正式立候補を表明する文書の届け出にこぎつけた。

だが、万博を通していったい何を世界にアピールしたいのか。開催意義や構想を置き去りにして、再び夢を見たいという漠然とした考えだけなら、「立候補ありき」と呼ばれよう。

3年前、大阪府の松井一郎知事が、2度目の東京五輪を開くなら大阪万博も、という発想から動き出した。

府が昨年まとめた基本構想は当初、「人類の健康・長寿への挑戦」をテーマに掲げた。大阪の笑いの文化は健康によいなどと、おおざっぱでこじつけめいた「構想」もあった。

政府の有識者検討会を経て、テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」と広げられた。さらに総花的になっていないか。

立候補に至る過程では、松井知事が代表を務める日本維新の会と安倍晋三政権が、良好な関係を保つツールとして万博を取り上げている印象も受けた。内容は後付けで、という程度の発想では、国民の共感など得られまい。

万博会場に想定されている大阪湾の人工島、夢洲(ゆめしま)は、大阪五輪の選手村などを目指したが実現しなかった。これを「負の遺産」にしたくないための万博誘致という意図も透けて見える。

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暴力や食糧不足など、困難な課題の残る世界で、科学先進国である日本が貢献できるのは何か。和を重んじる日本の精神は、異なる生き方を提案する。夢のある世界像を描き、来年秋の投票までに強く発信したい。

関西には、世界の観光客を引き付ける豊かな歴史がある。日本の治安のよさは海外でも評価されている。こうした長所をアピールすることも重要だろう。

誘致委員会のトップには榊原定征経団連会長が就いたが、肝心の関西財界の一部には、経済的負担を理由に消極性もうかがえる。誘致の実現へ一丸となれるのか。

賽(さい)は投げられた。東京五輪後の経済対策としても、万博の誘致、開催はあり得る策だ。魅力ある具体像を煮詰め、誘致ムードを高めることに努めてほしい。

25年万博には、すでにフランスが立候補している。強力なライバルである。
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[産経新聞] 【主張】仏大統領選 統合の理念を再認識せよ (2017年04月25日)

フランス大統領選で、極右「国民戦線」のルペン党首と中道・独立系のマクロン前経済相が決選投票に進んだ。

マクロン氏が欧州連合(EU)を重視しているのに対し、ルペン氏は公約で離脱を問う国民投票の実施を掲げている。

フランスはドイツとともに欧州統合の両輪である。大陸欧州の2大国が牽引(けんいん)したのは、戦争の悲劇を二度と繰り返さないという、統合の理念そのものだったのではないのか。

結果次第でEU崩壊への引き金が引かれる大統領選の行方を、注視しなければならない。

英国がEU離脱を決め、「米国第一」のトランプ米政権が誕生した。欧州各国でも「自国第一」を唱える大衆迎合主義的、排他主義的政治勢力が台頭している。

フランスでも、ルペン氏に加えて、急進左派候補が反EUを掲げて一時、支持を急伸させた。ただ、最終的にはマクロン氏が上位2人のうちの1人に勝ち残ったため、反EU同士の決選投票は回避された。

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3月のオランダ下院選では、EUを支持する与党が辛勝した。欧州各国で、EU支持派が辛うじて踏みとどまる流れを、つなげられるかどうかが問われよう。

ルペン氏は移民の入国制限を掲げるなど、反イスラム、自国第一主義の政策を打ち出す。国内産業・雇用の優先など経済的には保護主義の色彩が濃い。

マクロン氏は、オランド大統領の下で経済相を務めた。ユーロ圏予算の創設やEUの防衛協力強化など、欧州全体を視野に入れた戦略を描いている。

決選投票に向けて、EUにとどまることの意味合いを、よりていねいに語ることが必要である。

フランスはドイツとともにEUの核となってきた。ロシアや中国などを相手にする場合でも、EUの結束と影響力行使に欠かせない存在だ。安全保障の観点からも、国際秩序の維持に大きな役割を果たすべき立場だ。

今回の大統領選の特徴として、二大政党である社会、共和両党の候補が、いずれも決選投票へ駒を進められなかった点がある。既存政治への不満である。移民問題を含め、極論に走らず冷静に議論することこそ重要だろう。

テロが相次ぎ、非常事態宣言下での選挙となったが、民主主義の維持へ賢明な選択を求めたい。
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[毎日新聞] 動きが急な北朝鮮情勢 日本の外交力が問われる (2017年04月25日)

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安倍晋三首相とトランプ米大統領が電話で協議し、核実験の準備や弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮に自制を求めていくことで一致した。両首脳の電話協議は今月だけで3回も行われる慌ただしさだ。

北朝鮮はきょう朝鮮人民軍創建85周年を迎えた。その節目を前にしたタイミングである。6回目の核実験やさらなる弾道ミサイル発射を警戒する日米が緊密な連携をアピールする目的があったとみられる。

中国がより大きな役割を果たすべきだとの認識も共有した。北朝鮮の挑発行為をやめさせるには、経済的に影響力を持つ中国が強い態度で臨む必要があるという判断からだ。

トランプ大統領は安倍首相に続いて習近平・中国国家主席とも電話協議した。習主席は関係国の抑制的な対応を求めると共に、北朝鮮を念頭に国連安全保障理事会決議への違反行為に強く反対する意向を伝えた。

日米は西太平洋上で米原子力空母「カール・ビンソン」と海上自衛隊のイージス艦などが参加した共同訓練を始めた。米国は北朝鮮のテロ支援国家再指定も検討している。

核実験を阻止したい中国も北朝鮮産石炭の禁輸措置徹底など厳しい態度を示している。中国は北朝鮮にとって死活的な石油を供給している。

しかし、北朝鮮問題を巡る経過を振り返れば、北朝鮮が核・ミサイルを放棄するかは不透明だ。北朝鮮が軟化しなければ緊迫の度合いはより高まると懸念される。

日本国内ではミサイル攻撃を受けた際の避難方法を紹介した政府の「国民保護ポータルサイト」へのアクセス数が急増し、在韓邦人の保護など具体的な準備も進めている。

その備えと同時に有事に至らぬよう外交努力を尽くす局面だ。安倍首相は近く訪露する。米露関係が悪化するなかプーチン大統領に北朝鮮包囲網に加わるよう直言すべきだ。

北朝鮮問題は東アジアの平和と安全に深く関わる。日中韓の連携は不可欠だが、日本と中国や韓国とのパイプは乏しい。いざという事態での意思疎通が十分か、不安が残る。

国連では北朝鮮を巡る安保理閣僚級会合が近く米国で開かれる。米国との連携は重要だが、ロシアや中韓などとの間で独自外交を展開できるか。日本の外交力が試される。
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[毎日新聞] ルペン氏2位の仏大統領選 決選へ世界の注目は続く (2017年04月25日)

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フランス大統領選は第1回投票で中道・独立系のマクロン前経済相が1位、極右・国民戦線のルペン党首が2位となった。しかし、いずれも過半数に達しなかったため、5月7日の決選投票に持ち込まれた。

反欧州連合(EU)、反移民、反イスラムを掲げるルペン氏に、一時期の世論調査が示した勢いは見られなかった。だが、5年前に続く2度目の出馬で初めて決選にこぎつけた。得票率は前回を上回った。

2位にとどまったのは、極右の台頭を警戒する仏社会の空気がある程度作用したためだろう。国際社会にとって当面の安心材料にはなる。

国民戦線はルペン氏の父ジャンマリ氏の代に強硬な排外主義を唱えた。ルペン氏が党首になり、ややソフト路線に転じたが、今回も「フランス第一主義」を掲げ、EUからの離脱のほか、保護主義的な貿易、極端な移民の流入制限を訴える。

フランスはドイツとともにEUの中核である。ルペン氏が大統領になれば、フランスはEUに背を向け、欧州は統合から分断へ転じかねない。英国のEU離脱の動きに輪をかけて、欧州は混乱に陥るだろう。

首位に立った39歳のマクロン氏は「右でも左でもない」を旗印とする。オランド政権の閣僚だったため社会党寄りとみられていたが、超党派を掲げて出馬した。

選挙では社会、共和の2大政党が初めて、ともに決選投票へ進めず、既存政党への不信があらわになった。共和党のフィヨン元首相は妻らの不正給与疑惑が響いた。

マクロン氏は既存政党に属さないことが功を奏した。EUの統合推進、自由貿易、移民受け入れなど穏健策を掲げるため、浮動層らの反ルペン票を取り込んだともいえる。

敗れた2大政党の候補はマクロン氏への支持を表明した。ただし、これでマクロン氏優位が確定するわけではない。

トランプ米大統領の当選時と同様に、「自国第一主義」などへの隠れた支持があるかもしれないからだ。

決選投票ではEUとの関係や、グローバリズムの是非など争点が絞られてくるだろう。

しかも、結果は6月の英総選挙、秋の独総選挙にも影響を与える。引き続き注視が必要だ。
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[日経新聞] 仏国民は開かれた経済・社会を守れるか (2017年04月25日)

フランス大統領選挙の第1回投票で独立系中道候補のマクロン元経済産業デジタル相と、極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首が1位と2位になり、5月7日の決選投票への進出を決めた。

反欧州連合(EU)を掲げる候補者同士による決選という展開は回避され、親EUで穏健な政策を説くマクロン氏が当選に向け前進した。ポピュリズム的な政治潮流が欧州で止まる節目となるか、仏国民の選択が問われる。

マクロン氏は39歳と若く、主要政党に属さない清新なイメージなどで中道層を中心に支持を集めたようだ。ルペン氏はトランプ米大統領のように自国第一主義を前面に出し、ユーロ圏からの離脱や移民制限といった内向きな政策で現状に不満を持つ層を取り込んだ。

ルペン氏が当選すれば、ドイツとともに欧州統合の中核を担ってきたフランスで反EUの大統領が誕生し、欧州に与える打撃ははかりしれない。保護主義的政策で世界を揺さぶることも予想される。

ルペン氏の党からは2002年の大統領選でも同氏の父が決選投票に進んだが、右派と左派の主要政党が結束して当選を阻んだ。今回も第1回投票で敗れた共和党と社会党の候補がマクロン氏支持を表明するなど、主流派の政党は反ルペンを訴えていく見通しだ。

目を引くのは、これら2大政党の候補者がいずれも決選投票に進めなかったことだ。

フランスの大統領選で極めて異例の事態は、既成の主要政党への批判が根強いことを示す。社会党から票が流れたとみられる急進左派のメランション氏がルペン氏とともに勝ち進み、反EUの候補者同士の対決になることも懸念されていた。

決選投票では、こうした主要政党への不満票がルペン氏にどれだけ向かうかがカギを握りそうだ。

マクロン氏が制すれば、欧州統合を推進するとともに、国内の経済改革で競争力強化をめざすことが見込まれる。

欧州では6月の英総選挙、9月のドイツ総選挙と、重要な選挙が続く。英国のEU離脱交渉もこれから始まる。フランスが次の大統領のもとで過激で内向きな路線にかじを切れば、欧州は深刻な混乱に陥りかねない。

EUとグローバル化を重視する現実的な道をフランスは堅持してもらいたい。有権者の冷静な判断が期待される。
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[日経新聞] 「常識を越す万博」に肉付けを (2017年04月25日)

政府は博覧会国際事務局(BIE)に2025年国際博覧会(万博)の大阪招致を申請、すでに立候補しているフランス・パリとの招致レースが本格的に始まる。開催地は18年11月のBIE総会で、加盟国の投票によって決まる。

政府や大阪府がまとめた計画によると、万博は大阪市の人工島、夢洲を舞台に25年5月から半年間開催する。期間中に最大3000万人の入場者を見込んでいる。

万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。人工知能(AI)や仮想現実(VR)など先端技術の実験場にする計画だ。

実現すれば、地盤沈下が指摘される関西や大阪の経済活性化に大きく役立つだろう。最近、アジアからの観光客などでにぎわう大阪に新たな魅力が加わり、長年の懸案だった大阪湾岸の開発にも弾みがつくことになる。

前回、大阪万博が開かれたのは高度経済成長期の1970年だ。当時と今では社会の姿はもとより、国民の未来に対する考え方も大きく変わっている。

経済産業省の有識者検討会は大阪万博の方向性のひとつとして「常識を越えた万博」を掲げている。招致に向けた国民の機運を高めるためにも、その具体的な姿を早く肉付けすべきだろう。

地元経済界では万博招致を支持する意見が多い一方で、資金負担を懸念する声も少なくない。魅力的な万博の姿を官民が協力して描く必要がある。

大阪府や大阪市は夢洲をカジノを含む統合型リゾート(IR)の候補地にもしている。カジノに対してはギャンブル依存症の増加や反社会的勢力の介入など様々な負の側面が指摘されている。万博とカジノは別問題ととらえたい。

市はIRや万博に向けて夢洲に地下鉄を延伸する予定だ。会場建設費に加えてこうした関連事業の費用もかさむ。

万博の招致が財政面で府や市の重荷になっては困る。中長期的な財政見通しも改めて明らかにしてほしい。
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[読売新聞] 仏大統領選 社会の疲弊と分断を露呈した (2017年04月25日)

長引く経済低迷に疲弊し、繰り返されるテロの傷痕は深刻だ。そんな厳しいフランス社会の状況が浮き彫りになった。

仏大統領選の第1回投票が行われ、中道で無所属のマクロン前経済相が首位に立った。極右・国民戦線のルペン党首は僅差で2位につけた。

上位2人を含む候補者4人がほぼ横一線の激戦となった。どの候補者も過半数を獲得できなかったことから、この上位2人が5月7日の決選投票に臨む。

今回の選挙は、フランス政治の重要な転換点と言えよう。

これまで交互に政権を担ってきた中道右派と中道左派の既成政党の候補はそろって、決選に進めなかった。現在の選挙制度が実施された1965年以来初めてだ。

欧州連合(EU)の要であるフランスで、「反EU」対「EU重視」が争点となった。EU統合推進の是非を巡って国民の分断が進行していることの表れだろう。

ルペン氏と、急進左派のメランション氏は、EUが低所得層を中心に国民生活を圧迫しているという主張では軌を一にし、離脱の是非を問う国民投票を提唱した。

半世紀以上、EUの屋台骨を支えてきた既成政党の凋(ちょう)落(らく)の背景には、近年、フランスが直面する険しい現実がある。

ギリシャに端を発した欧州財政・金融危機で、EU主導の緊縮財政を強いられ、失業率は10%前後で高止まりしている。

2015年のパリでの大規模テロ以来、非常事態宣言が出されたままだ。イスラム過激派の暴力は根絶できていない。投票日直前には、首都のシャンゼリゼ通りで警察官射殺事件が発生した。

テロ犯はフランスなどで育った移民系の若者が多い。15年には、中東から欧州へ大量の難民が流入した。移民や難民が治安を悪化させたという国民の不満が、排外主義の台頭を招いたのは明白だ。

オランド政権与党である中道左派・社会党は不人気に陥った。

大統領選は当初、中道右派・共和党のフィヨン氏が本命視されていた。だが、家族を架空雇用したとの公金横領疑惑で失速した。カネ絡みの醜聞が絶えないことも、既成政党不信に拍車をかけた。

既成政党に所属しないマクロン氏は、39歳という若さと清新なイメージを武器に、選挙戦を優位に戦おうとしている。

欧州の政治・社会を確実に混乱させるルペン氏の当選を阻めるのか。マクロン氏を軸にしたEU重視勢力の結集が欠かせまい。
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[朝日新聞] 仏大統領選挙 国際協調の針路を問え (2017年04月25日)

国際社会と協調して繁栄を目指すのか。それとも自国第一主義を掲げて国を閉じるのか。

フランス大統領選挙は、グローバル化時代の国の針路を問う選択になりそうだ。

前者を訴えるのが中道・独立系のエマニュエル・マクロン氏。後者が右翼・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首である。

5月7日の決選投票は、正反対の立場をとるこの2人によって競われる。

いずれの道も利点と欠点があろう。しかし、グローバル化はもはや押しとどめがたい世界の現実だ。多くの先進国が直面する共通の課題だからこそ、この時代をどう生き抜けばいいか、突っ込んだ論戦を望む。

両者の違いは、国境の壁をなくして人や物の往来を促してきた欧州連合(EU)への態度とも重なり合う。

親EU派のマクロン氏は、伝統産業が他国に移転したり、移民や難民が急激に流入したりする現実に対する人々の不満と不安の声にこたえてほしい。

一方、反EUを説くルペン氏は、経済問題や難民危機のように一国では解決できない課題にどう取り組むのか、明確な説明を果たす責任がある。

長年、交代で政権を担ってきた左右の2大政党の候補が、ともに決選投票への進出を逃したのも異例の事態である。

「成長重視の右派、分配重視の左派」という古い対立軸から抜け出せず、グローバル化時代への処方箋(せん)を示しきれない大政党の限界が露呈した。

公金流用疑惑など候補の金銭スキャンダルも浮上。「反エリート」を掲げるルペン氏、「右でも左でもない」が売り物のマクロン氏への追い風になった。

既得権に安住し、庶民の声に耳を傾ける努力を怠ってきた2大政党は、今回の敗北を真摯(しんし)に反省して出直すべきだ。

02年に国民戦線が決選投票に進んだ時は、ほぼ全ての政治勢力が「反右翼」の包囲網を敷いて当選を阻んだ。

だが、今回も同じ手法が通用するかは疑問だ。

たしかに移民規制などルペン氏の排外的な公約には懸念すべき点が少なくない。

とはいえ、国民戦線がグローバル化を不安視する層の受け皿になっていることも否定しがたい現実である。

むしろマクロン氏がなすべきは、EUという国際協調の取り組みが、いかに平和と経済発展をもたらしてきたか、丁寧に説明を尽くすことだろう。それこそポピュリズム(大衆迎合)を封じる唯一の道でもある。
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[読売新聞] 原発新検査制度 より重くなる電力会社の責任 (2017年04月25日)

原子力発電所の安全性向上へ、電力会社の自主的な取り組みを後押しする検査制度にしたい。

今国会で成立した改正原子炉等規制法は、原子力規制委員会に、検査制度の抜本改革を課している。

高水準とされる米国の検査制度の導入が念頭にある。

米国の原発は、高い安全性を誇る。トラブルが少ないため、稼働率も90%前後と高い。現場の実情に応じた柔軟な検査制度の導入が奏功した、と言われる。

日本の制度はかねて、硬直化が指摘されてきた。

その典型が、原発を停止させて実施する13か月に1回の定期検査と、年4回の保安検査だ。原子力規制庁が予(あらかじ)め、検査リストを電力会社に示す。設備の検査に、規制庁が直接携わることもある。

この方式では、リストにない項目の安全確保は、疎(おろそ)かになりがちだ。東京電力福島第一原発事故では、重大事故に備えた圧力降下用の弁などの不備を見抜けず、放射能の大量放出につながった。

今後、各地で原発の再稼働が続くだろう。事故の教訓を新たな検査制度に生かすべきだ。

新制度では、電力会社が主体となって、日常的な設備検査を実施する。規制庁は、保守点検体制の監視に注力する。必要に応じて、抜き打ち調査も実施する。

異常を見逃していないか。異常を検知した時の対応は的確か。原発で働く人たちの意識が、総合的に評価されることになる。

規律の緩みを見逃さないよう、検査する側の力量も問われる。監視項目にはメリハリを付けたい。安全の根幹に関わらない細部に拘泥していては、検査が長期化し、現場の意欲も低下する。

米国でも、1979年のスリーマイル島原発事故を受けて、当局が検査を硬直化させた。それに伴い、稼働率が低下した。

改革が進んだ現在では、取り組みが良好と認められた原発は、点検を効率化できる仕組みに改善されている。定期検査の頻度も減らせるようになった。

検査結果に基づき、各原発の評価内容は公表され、安全性がランク付けされている。

同様の仕組みの導入に向けて、規制委は、米国の検査現場に職員を派遣している。これを基に、日本に適した制度を練り上げる。検査官も増員して、2020年度には運用を開始する方針だ。

原発の安全性向上が、有効活用につながる。質の高い検査制度を目指さねばならない。
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[朝日新聞] 銀行ローン 過剰融資に踏み込むな (2017年04月25日)

銀行が無担保で個人にお金を貸す「カードローン」が急増している。返しきれないような過剰融資を防ぐため、銀行と金融庁は実態の把握を急ぎ、実効的な対策をとるべきだ。

個人向けの無担保ローンではかつて、消費者金融による多重債務が社会問題になった。利息の高いお金を借り、それを返すためにまた借金を重ねて、生活が行き詰まる人が続出。自殺の原因にもなっていた。

対策として消費者金融などに適用される貸金業法が改正された。年20%超の「グレーゾーン」金利が撤廃され、合計で年収の3分の1を超える貸し出しを原則禁止する「総量規制」も導入された。その後、消費者金融の貸付残高は急減している。

一方、銀行のカードローンはこの4年で2兆円増の5・4兆円にまで増え、消費者金融を上回った。背景には、日銀の低金利政策により、従来の貸し出しや運用では、利ざやをとりにくくなったことがある。

見逃せないのが、銀行は貸金業法ではなく銀行法が適用されるため、総量規制の対象外であることだ。朝日新聞が全国の銀行120行に書面でアンケートしたところ、回答した101行の大半が年収の3分の1を超える貸し付けをしていた。

銀行カードローンが自己破産につながった実例もある。消費者金融がカードローンの「保証人」になって、貸し出しに関わっていることも多く、総量規制の抜け穴になっているとの指摘もある。日本弁護士連合会は、銀行も総量規制の対象にするよう金融庁に求めている。

これを受けて全国銀行協会は3月、カードローンの広告・宣伝で、「総量規制の対象外」と強調しないことや、審査態勢の整備などを打ち出した。

だが、銀行以外が運営している比較サイトでは、銀行は総量規制対象外との表現が目立つ。銀行自身のサイトも、依然、ウェブだけで申し込めることや、銀行だから「金利も安心」といった「借りやすさ」を前面に出した内容が大半だ。

個人が一時的に無担保での借り入れを必要とすることはある。年収の3分の1を超えても返済できて、生活が助かる場合もあるかもしれない。

しかし、朝日新聞のアンケートでは、年収の3分の1超の貸し付けに消費者の利便性があるかとの問いに、明確に答えられない銀行が半数近かった。銀行の利益だけを念頭に置くのなら、消費者金融と別扱いにする理由は薄れる。銀行業界はそのことを自覚するべきだ。
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2017年04月24日

[東京新聞] 措置入院制度 治安の道具にするな (2017年04月24日)

精神障害者の監視ネットワークづくりではないかとの懸念が拭えない。今国会で審議されている厚生労働省の精神保健福祉法改正案のことだ。医療を治安維持の道具として利用するのは許されない。

法案の最大の焦点は、措置入院制度の見直しだ。精神障害のために自傷他害のおそれがあると診断された患者を、行政権限で強制的に入院させる仕組みをいう。

見直しの主眼は、措置が解除されて退院した患者を医療や保健、福祉の支援につなぎ留める体制づくりにある。

確かに、患者の地域での孤立を防ぎ、社会復帰を後押しする手だては制度上担保されていない。入院形態を問わず、退院後の支援の空白を埋める取り組みは大切だ。

だが、さる一月の国会施政方針演説で、安倍晋三首相は相模原市の障害者殺傷事件に触れ、こう述べている。「措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じていく」

政府の真の狙いが犯罪抑止にあるのは間違いあるまい。精神障害者をあたかも犯罪者予備軍とみなす無理解や偏見が底流にないか。そういう疑念を招くような法案は、直ちに取り下げるべきだ。

現に想定されている支援体制も、患者を追跡し、監視する全国ネットワークというほかない。

かいつまんでいえば、行政は病院などと協力し、患者が希望するか否かにかかわらず、措置入院中に退院後支援計画をつくる。退院した患者はどこに住んでも、その支援計画がついて回り、地元の行政が面倒を見にやって来る。

さらに、犯罪行為に走りかねない思想信条を抱いていたり、薬物依存だったりする場合に備え、警察と連携する段取りになっている。患者に寄り添うべき医療や福祉を、患者を疑ってかかる治安対策に加担させる構図といえる。

これでは患者の自由も、プライバシーも奪われかねない。精神障害者全体への差別を助長するおそれもはらんでいるのではないか。

見直しの出発点は、障害者殺傷事件を受けて厚労省有識者チームがまとめた提言だ。真相究明を待たず、容疑者の措置入院歴にこだわり、精神障害によって犯行に及んだとの推測を基に議論した再発防止策にほかならない。

だが、容疑者は刑事責任能力ありと鑑定された。よしんば責任無能力だったとしても、異例の一事件が立法事実になり得るのか。共生の理念は治安とは相いれない。
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