2017年07月13日

[東京新聞] 記録的豪雨 善意の力も結集したい (2017年07月13日)

九州北部を記録的豪雨が襲ってから一週間。流された犠牲者のほか、安否不明者もなお多い。捜索と救出に全力を挙げてほしい。復旧、再建に向けて善意の力も結集したい。各地も警戒が必要だ。

福岡、大分両県にすさまじい爪痕が残った。被災地では平年の七月の雨量を上回る激しい雨が、わずか一日で降り注いだ。

五年前に九州北部を襲ったのと同じ「線状降水帯」による集中豪雨だった。積乱雲が次々と発生して帯状に連なり、大雨を降らせる。二〇一四年の広島土砂災害や一五年の関東・東北豪雨でも、大暴れした。

局地的な気象現象を的確に予測するのは難しい。気象庁は「直ちに命を守る行動」を促す大雨特別警報を、地元自治体は避難指示・勧告を出した。実効を上げるにはどうすべきか検証が欠かせない。

被災地では大量の土砂を含んだ濁流に乗り、無数の倒木が集落に流れ込んだ。周囲の山々の斜面が樹木ごと一気に滑り落ちる「表層崩壊」が相次いだとみられる。

押し寄せた流木が家屋を壊したり、鉄道の橋脚をなぎ倒したりして被害を広げたようだ。大規模な土砂崩れで川がせき止められ、ダム湖を造った場所もある。

梅雨前線はまだ日本列島に居座っている。大気の状態は広い範囲で不安定だ。地盤が緩んでいる被災地はもちろんのこと、地域を問わず大雨には警戒したい。

気象庁は、降雨に伴う洪水害や浸水害、土砂災害の危険度の予測情報を提供している。地域を五段階で色分けして地図で示す。

きめ細かな情報も、住民の保護に役立てられなくては意味がない。防災行政の向上に生かしてほしい。住民もまた、防災マップも基にして居住地の危険性や避難方法を確かめておくことが重要だ。

被災地では、道路の寸断で孤立していた集落は解消した。とはいえ、土砂や流木、がれきがライフラインの復旧を阻み、千人以上が依然、避難所暮らしを強いられている。生活再建にはほど遠い。

避難生活が長引くほど、高齢者や障害者、女性、子どもは殊につらい目に遭いがちだ。熱中症や感染症、食中毒も気にかかる。医療や保健、介護の面での支援には万全を期してほしい。

二次災害に注意を払う必要はあるが、ボランティアの力が請われる時期だ。住まいの掃除や家具の洗浄、がれきやごみの撤去と、住民がやるべき作業は多い。寄り添う気持ちで手を差し伸べたい。
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2017年07月12日

[東京新聞] ビットコイン 投機の対象ではなく (2017年07月12日)

インターネット上で「お金」として利用できる仮想通貨が注目されている。送金時や決済時のコストが安いというメリットがある一方、価格の乱高下が激しい。詐欺まがいの話もあり、注意したい。

東京地裁で十一日、代表的な仮想通貨ビットコインの取引所だったマウントゴックスの巨額コイン消失事件の初公判があった。取引所の運営会社は二〇一四年二月、約八十五万BTC(ビットコインの単位)が消失したと発表、経営破綻した。ビットコインの信用を揺るがせた事件だった。

ビットコインは〇九年に誕生した。最初の取引が成立したのは翌一〇年五月二十二日。米国で、ピザ二枚(約二十五ドル)が一万BTCだった。七年後の今年五月二十二日、一BTCは二千ドルを超えていた。持ち続けていれば二千万ドル(約二十三億円)になった。

この四月に改正資金決済法が施行され、仮想通貨はプリペイドカードなどと同じ「支払い手段」と位置付けられた。取引所が登録制になり、今月からは購入時の消費税がなくなった。一部の家電量販店や飲食店で利用できる。

お金と違うのは、実体がないことだ。「0」と「1」の数字の羅列で、ネット上だけに存在し、流通する。ネット版の地域通貨だ。

実体がないのは強みでもある。大金を簡単に運べる。海外への送金も数十円程度の手数料ですむ。

安全性は暗号化と、ネットにつながった多くのコンピューターが同じデータを持つことで確保している。ネット時代らしい方法で、安価で安全な仕組みを作っているという。

私たちが普段使うお金は、政府が保証している。一万円札自体には一万円の価値はないが、一万円として流通する。

ビットコインにはそういった公的な保証はない。利用者が「これだけの価値がある」と信じた値段で取引される。総発行量は二千百万BTCと決まっていて、希少価値が出ると考える人もいる。

所有額が大きいのは米国、日本、中国。中国は自国通貨「元」への信頼が弱いせいだとされる。日本では投資として買う人が多いという。

最近、ビットコイン以外の仮想通貨が次々と誕生している。マウントゴックスの事件の後には急落したように、価格変動が激しく、リスクは大きい。中には、買った仮想通貨が売れないといった被害もあるようだ。リスクも知っておきたい。
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[東京新聞] 核のごみ 増やさないのが大前提 (2017年07月12日)

核のごみの最終処分。政府は“有望地”すら示せない。福島の事故を起こして省みず、この上ごみを増やしてしまう再稼働にはひた走る。そんな日本の「原子力」への強い不信が根にあるからだ。

原発再稼働が“なし崩し”に進んでいると、不安の声が上がっている。広域避難計画、立地地域以外の地元同意、そして核のごみ問題の“三点セット”を置き去りに、安全よりも電力会社の収益改善最優先で、事が進んでいるかのようにも映ってしまう。

中でも核のごみ、とりわけ、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関しては、この十年、ほとんど進展が見られない。

高レベル放射性廃棄物とは、使用済み核燃料を再処理、つまりリサイクルしたあとに出る、極めて危険な廃液のことである。

原発を持つ電力会社でつくる原子力発電環境整備機構(NUMO)という事業主体、安全な容器に封じ込め、地盤の安定した地中に埋設−という処分方法は決まっている。

だが、肝心の処分地を決められない。長年公募を続けていても、受け入れを申し出る自治体は現れない。そこで政府が前面に出て、「科学的有望地」を示すマップを提示した上で、処分地選定を主導する方針に切り替えた。

しかし、いまだマップは示せていない。「有望地」という表現では、そこに住む人たちの強い反発を招くだろうからと、「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」に名称も改めた。

政府は五月から六月にかけ、新たな処分地選定方針の説明会を全国の主要都市で開催した。予想どおり、会場からは、地下水や地震の影響、政府による一方的な押しつけを懸念する声が相次いだ。

学識者がいくら安全を強調しても、不安は次々わいて出る。

福島の事故を「想定外」と決めつけ、事故処理や被害の補償もままならない。その上、動かせば核のごみがまた増えることを分かっていながら、再稼働には前のめりな日本の原子力行政と、それを支えた“科学”に対する不信はまったく拭えていない。

処理困難なごみは出さない−。発生抑制こそ、ごみ問題の基本である。核のごみも同じこと。

再稼働をいったん棚上げし、核のごみを増やさない状態にした上で、地震国日本における原子力のあり方そのものを、国民と徹底的に話し合う−。そんな覚悟がない限り、応募者は現れない。
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2017年07月11日

[東京新聞] 「共謀罪」施行 市民の自由 圧迫するな (2017年07月11日)

「共謀罪」法が十一日から施行された。政府が「テロ対策」に看板を掛け替え強引に通した法律だ。反政府活動などに対する国民監視が強まる懸念は募る。何より自由の声を萎縮させてはならない。

この法がどう運用されるか、まだわからない。警察の捜査が変化するのは確かだろう。

今まで「既遂」が大前提だった刑事捜査が、「未遂」よりもっと前の段階の「計画」段階の捜査に移ることになることが予想される。

そのために警察などは、携帯電話やメールなどの通信傍受などができるように法改正を求めてくるだろう。衛星利用測位システム(GPS)捜査も求めてこよう。個人がいつ、どこにいて、何を話したか、そこまで警察は入り込んでくる−。まさに内心の自由に踏み込んでくるのではなかろうか。

そうしないと、二人以上の計画(共謀)などつかむことはできないからだ。もちろん法律で密告が奨励されているのも、共謀の中身を暴露してもらうためだ。

だが、もともとはマフィアの人身売買、麻薬取引など金銭目的の犯罪対策の法だ。これを安倍晋三内閣は「テロ防止法」だと国民に訴えた。これは虚偽である。当初の法案に「テロ」の文字がなかったことが何よりの証左である。

では、何のための「共謀罪」だったのか。おそらく警察など捜査当局にとって新しい捜査の武器とするためだろう。国民監視を強め、犯罪が起こる前に容疑者の身柄を拘束することができる。

むろんテロにもマフィア捜査にも使われるだろうが、一般市民を含んださまざまな団体の活動にもこの法律は駆使されるのではないかと心配する。組織犯罪が対象といっても、二人組以上でいい。

基地反対運動や原発反対運動、反政府運動など、「反権力」の色彩を帯びた活動はとくに狙われやすくなるのではないだろうか。さまざまな市民運動の中で、何らかの疑わしい一点を見つければ、それが犯罪になっていなくても取り締まる可能性が出てくる。そんな危険性を覚えるのだ。

でも市民は正義の声を上げる。そんな活動を警察が意図的に狙い撃ちにして、共謀罪を使ってくるなら弾圧に他ならない。欧米では共謀罪が労働運動の弾圧に利用された歴史がある。あいまいな計画や危険性が極めて低い準備行為まで処罰の対象となるなら、憲法の精神に反する疑いも出てくる。そのような危うさを覚える。
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[東京新聞] 加計学園問題 徹底解明が国民の声だ (2017年07月11日)

「行政の歪(ゆが)み」をめぐる疑念は晴れるどころか、ますます深まったのではないか。学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画。徹底解明こそが、東京都議選の自民党大敗で示された「国民の声」だ。

衆参両院の委員会で閉会中審査が行われ、参考人として出席した前川喜平前文部科学次官は、加計学園の獣医学部新設計画について「はじめから加計学園に決まるようなプロセスを進めてきたように見える」「背景に首相官邸の動きがあった」などと発言した。

文部科学行政を担当する省庁で事務方のトップに立っていた元官僚の国会での証言だ。参考人としての発言だが、その意味は重い。

学部新設の認可という公平・公正であるべき行政判断が、安倍晋三首相の意向を盾に歪められたか否か、が問題の核心である。

文科省内で見つかった文書には「官邸の最高レベルが言っていること」「総理(大臣)の意向だと聞いている」などと、内閣府が早期の学部新設を働き掛けたとうかがえる記述があった。

加計学園理事長は、首相が「腹心の友」と公言する人物である。権力の座にある者が、自らと親しい人物に便宜を図るようなことがあっては断じてならない。

たとえ形式的には妥当な行政手続きを経ていたとしても、行政が歪められたと疑われても仕方がない状況だ。「李下(りか)に冠を正さず」である。首相は、権力の座にある者の慎みを忘れるべきではない。

同省の大学設置・学校法人審議会は加計学園の獣医学部新設について八月末に認可・不認可を決めるという。しかし、このまま、学部新設を認可することがあれば、文部行政の歴史に汚点を残す。

いったん認可を見送り、他の大学による獣医学部新設計画を含めて、学部新設や定員増の必要性、加計学園による新設計画の妥当性を検証し直すべきではないか。

地方選とはいえ、東京都議選での自民党大敗は「加計問題」の真相解明に消極的な安倍政権に対する不信感の表れにほかならない。

きのうの閉会中審査は外国訪問中の安倍首相抜きで行われたが、与党は首相も出席する閉会中審査の開催に応じるべきだ。その際、首相は先の記者会見での自らの約束を違(たが)えることなく、真摯(しんし)な説明に努めるべきである。

野党側は憲法五三条に基づき、加計問題などの解明のために臨時国会召集も求めている。憲法規定は重い。政府は逃げることなく、速やかに召集すべきである。
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2017年07月10日

[東京新聞] 週のはじめに考える 強権に声上げ戦う香港 (2017年07月10日)

英国から中国への香港返還から二十年です。「高度な自治」は形骸化していますが、民主を求めて声を上げ、戦い続ける若者たちに希望を見いだします。

二〇一四年秋の香港の雨傘運動を覚えていますか。行政長官選の民主化を求め、香港中枢を埋め尽くしたおびただしい黄色の傘−。抵抗のシンボルでした。

有権者一人一人が一票を行使して長官を選ぶことのできる普通選挙を勝ち取ろうと、路上に座りこみ、非暴力の抗議を続けた若者たちの熱気が渦巻いていました。

中国の意を受けた香港政府の強制排除で、七十九日間に及んだ雨傘運動は終結させられました。

今年三月、市民の投票ではない経済界代表などによる従来通りの選挙により、香港政府ナンバー2だった親中派の林鄭月娥氏が、初の女性長官に選ばれました。

最大時には十万人を超える市民が街頭に出て抗議デモを続けた雨傘運動は、何も成果を得られずに挫折したと批判されます。

果たしてそうでしょうか。若者たちの戦いは香港社会を政治的に目覚めさせ、民主を希求する気持ちをより強くさせたといえます。


◆「一国 一・五制度」に
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民主派政党「香港衆志(デモシスト)」の周庭常務委員と黄之鋒秘書長が来日し六月中旬、東京の日本記者クラブで会見しました。二人とも一九九七年の香港返還の前年に生まれた、わずか二十歳の若き民主活動家です。

雨傘運動の現場で十代のリーダーとして活躍した黄さんは「香港人の権利は侵害され、中国の国際公約であるはずの『一国二制度』は『一国一・五制度』にされてしまった」と訴えました。

女性常務委員の周さんが、独学したという日本語で、特に日本の若者に訴えかけた言葉は心に染みるものでした。

「皆さんが持っている民主的な権利は香港人が持っていないものです。ぜひ、大切にしてほしい。そして不正義や不公正に気づいたら声を上げてほしい」

ひるまず声を上げ、真の民主を求めて戦い続ける姿に、私たちこそ、手にしているはずの民主的な権利を大切にしているだろうかと自問自答させられる思いです。


◆習氏「根深く葉茂る」
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黄さんや周さんが訴えるように、近年の中国には民主主義や言論の自由を強権的に踏みにじるふるまいが目立ちます。「高度な自治」を五十年間保障する「一国二制度」は失われつつあります。

習近平政権は一四年に公表した「香港白書」で「一国二制度に基づく自治は完全な自治ではない」と言い切り、中国の「管轄権」を主張しました。

雨傘運動の翌一五年には、共産党に批判的な書籍を扱う香港の書店店主らが、中国当局の捜査権の及ばないはずの香港から大陸に連行される事件が起こりました。

香港人による「港人治港」にわずかな期待をつないでいた香港人を驚かせ、不安のどん底に突き落とした香港の大きな転機です。

香港返還の際に、当時の江沢民国家主席が「中国政府は香港の『高度な自治』を断固実行する」と国際社会に訴えた約束は今や、絵に描いた餅のようです。

返還記念日の七月一日。一万人の警官隊が厳戒する香港で、習氏は「一国二制度」について「『一国』は根であり、根が深ければこそ葉が茂る」と演説。香港の「高度な自治」は中央の権力下にあるとクギを刺し、愛国教育を強めると宣言しました。

香港大学の六月下旬の調査では、十八歳から二十九歳の若者のうち、自らを「香港人」と回答した人の割合は93・7%です。一方、「中国人」と回答した人の割合はわずか3・1%です。

中国指導部は、こうした中国人意識の薄さに危機感を抱いたのかもしれません。しかし、中国の強権的な介入こそが香港人の大陸離れを招いている現実を、中国と香港の指導者はしっかりと見つめるべきでしょう。


◆深刻な社会の亀裂
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中国のなりふり構わぬ強権統治や穏健な雨傘運動への不満は、香港に過激な「独立派」や、物言わぬ「親中派」も生みました。香港社会の分断や亀裂も深刻です。

東京の会見で元気な姿を見せたばかりの黄さんは六月末、香港の広場で抗議デモに参加していて警察当局に拘束されました。

周さんは返還記念日に、国際社会に向けネットでメッセージを発信しました。「私たちは引き続き民主と本当の自治を求め、権威主義に反抗し、民間社会と団結します。私たちは決して孤独ではないと信じています」

確かに、香港の「高度な自治」は揺らいでいますが、死んではいません。平和的な手段で民主を求め続ける若者たちの戦いに期待しエールを送りたいものです。
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2017年07月09日

[東京新聞] 米ロ関係修復 疑惑が解明されてこそ (2017年07月09日)

「冷戦後最悪」と言われる米ロ関係の修復に向けた一歩にはなったようだ。トランプ、プーチン両首脳の初顔合わせ。ただし、抜本的な関係改善には「ロシアゲート」疑惑の解明が欠かせない。

両首脳がシリア南西部での停戦で合意したのは一定の成果だ。

七年目に入ったシリア内戦は、四十万人以上の死者を出した。国外に逃れた難民、国内避難民ら家を追われた人々は人口の約三分の二に相当する千二百万人に上る。

こうした最悪の人道危機を終わらせるために米ロは連携すべきだ。まずは、停戦が順守されるようアサド政権や反体制勢力ら当事者に影響力を発揮してほしい。

昨年の米大統領選をめぐり米当局は、ロシアがトランプ氏の有利になるようハッカー攻撃によって介入したと断定した。トランプ陣営もこれに結託していたのではないかというロシアゲート疑惑が浮上した。

会談ではこの問題も取り上げられ、ティラーソン米国務長官によると、両首脳は「強硬かつ長時間」渡り合ったという。一方、ラブロフ・ロシア外相は疑惑を否定したプーチン氏の説明をトランプ氏は受け入れたと報道陣に語った。

トランプ氏は疑惑を否定し続けてきた。会談の前日も「本当のところは誰にも分からない」とあいまいな発言をした。こうした言動からすると、トランプ氏が強く抗議したとはにわかに信じ難い。

欧米はロシアによる選挙介入に警戒感が強い。民主主義体制の根幹を毀損(きそん)する行動であり、看過できるものではないからだ。

マクロン仏大統領は五月、共同会見したプーチン氏を横に置いて、仏大統領選挙中にロシアの国営メディアが「虚偽を流すプロパガンダを展開した」と非難した。

ロシア側は今回の首脳会談が関係改善の突破口となったと高く評価している。歴代の米大統領とは違って、人道問題でうるさいことは言わずに取引を図ろうとするトランプ氏は都合が良いのだろう。

クリミア併合に伴う欧米の対ロ経済制裁を解除させ、最終的には併合も認めさせてウクライナ問題にけりをつけたい思惑がロシアにはある。

米ロが立場の違いを超えて手を取り合うことを国際社会も期待する。だが、ロシアゲートは米ロ協調の足かせになっている。捜査当局はトランプ氏の司法妨害疑惑も調べている。真相解明に真剣に取り組むようトランプ氏に求めたい。
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[東京新聞] 核兵器禁止条約 被爆国から発信続けよ (2017年07月09日)

核兵器禁止条約が国連会合で採択され、「核なき世界」実現に歴史的な一歩を刻んだ。だが米国の核抑止力に依存する日本は条約に不参加。「核廃絶を目指す被爆国」への信頼は損なわれた。

国連加盟国のうち六割以上の百二十二カ国が条約に賛成した。五十カ国が批准後に発効する。核兵器の開発や製造、実験、配備、移転を包括的に禁止し、さらに「核を使用するとの威嚇を禁止」して、核による抑止力も否定した。

前文には「核兵器使用の被害者(英語でヒバクシャと表記)の受け入れ難い苦しみと危害に留意する」と明記された。広島、長崎の被爆者の平均年齢は八十歳を超えた。原爆の恐ろしさを直接知る人たちが健在なうちに条約が採択されたのは、核廃絶を願う国際社会の強いメッセージだと言えよう。

条約の根底にあるのは「核の非人道性」だ。核が使われたら、人命や経済、社会生活に甚大な被害が出るだけでなく、医療チームや消防、軍隊も長期間、救出活動ができない。放射性物質による環境破壊も続く。それほど人道に反する兵器は全面的に禁止すべきだという考えである。

米ロ英仏中の五カ国やインド、パキスタンなど核を持つ国々はどこも加わらなかった。条約の実効性が疑われ、今後の軍縮、不拡散も進まないという悲観論が広がる。だが、初めて核兵器そのものを禁止する国際法規ができた。世界の核兵器の90%以上を持つ米ロ両国に対し、削減を促す国際世論が高まるのは間違いない。

核保有国が不参加では軍縮論議は進まないとして、日本政府は条約に署名しないと決めた。北朝鮮が核、ミサイル開発を続けている現状では、米の核抑止力を否定する条約には賛成できないという事情もあった。

核廃絶の訴えは政府だけの役割ではない。日本には被爆者の証言集をはじめ、原爆の破壊力を示す多くの資料の蓄積がある。

それを海外に発信し、とりわけ核保有国の国民に訴えて、核のない世界を目指すよう世論を喚起していきたい。既に市民団体や大学生のサークルが英文の資料や論考をインターネットで発信している。

条約は非締結国にも会議へのオブザーバー参加を認めている。日本は出席して、禁止条約を支持した国々の声を正面から受け止めるべきだ。あらためて軍縮、廃絶への決意を示す必要がある。
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2017年07月08日

[東京新聞] 米の北朝鮮政策 軍事行動は破局を招く (2017年07月08日)

北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に成功し、米国でまた、軍事行動による阻止論が出ている。だが、先制攻撃をしても北朝鮮が反撃すれば、「第二次朝鮮戦争」に発展する恐れが強い。

ヘイリー米国連大使はICBM発射をめぐる国連安全保障理事会の会合で、「必要なら軍事力を使う。そうせずに済むことを願うが」と述べた。マティス米国防長官は「(北朝鮮との)戦争に近づいているとは思わない」と述べ、外交努力を続ける立場を示したが、軍事的な選択肢は保持するとあらためて表明した。

最近、最も緊張が高まったのは四、五月だった。米韓合同軍事演習で、米原子力空母二隻が朝鮮半島の近海に展開し、北朝鮮を狙う米爆撃機が韓国で訓練を続けた。

トランプ政権は今、北朝鮮に対する制裁強化を最優先し、中国にも同調を求めている。同時に「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」立場であり、北朝鮮が米本土に届く核搭載可能なICBMの開発を続けるなら、軍事力行使も辞さない戦略を手放すことはないとみるべきだろう。

それでも、米主要メディアは政府、軍の元高官や専門家の見方として、軍事行動によるリスクは非常に高いと報じる。

北朝鮮の核、ミサイル施設は各地に分散して地下にも建設されており、米軍が攻撃しても、すべてを破壊することはできないという。北朝鮮が反撃すれば、ソウルは壊滅的な被害を受け、日本や中国も戦争に巻きこまれると見る専門家は少なくない。

米韓と北朝鮮が戦えば、朝鮮半島は南北ともに破局に陥り、東アジアの政治や経済も打撃を受けるという悲惨な予測から目をそらすわけにはいかない。核、ミサイル問題を外交で解決する努力を、米朝を含む関係国が続けるべきだ。

現段階で米の軍事行動に理解を示す国はない。ドイツで開催中の二十カ国・地域(G20)首脳会合に合わせ、安倍晋三首相は米韓両首脳と会談し、北朝鮮への制裁履行など圧力強化を確認した。中国とロシアは首脳会談で、自制と対話による解決を求めた。

一方で米韓両国は軍事力の差を誇示して圧力を加え続ける方針で、北朝鮮との偶発的な衝突の恐れは消えない。北朝鮮に対し、米国は接触の回数を増やし、韓国は南北の「通信回線」を正常化させることが緊急の課題である。対話のルートを閉ざさないことが、衝突を防ぐ重要なカギになる。
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[東京新聞] チーズと車 酪農支援もしっかりと (2017年07月08日)

欧州産のワインやチーズが安くなる。消費者にはうれしい日欧の貿易交渉の大枠合意だが、その裏で広がる酪農家らの不安を忘れてはならない。それが自由貿易の負の側面への反省なのだから。

二〇一三年に始まった日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が大筋で合意した。

焦点となったチーズなど農産品では日本が、自動車など機械製品ではEUがそれぞれ譲歩し、関税の引き下げや撤廃で交渉の行き詰まりを打開した。

一番の特徴は自由化の恩恵のわかりやすさだろう。

日本で人気の欧州産のワインやチーズ、チョコレート、パスタなどが今より安く買えるようになる。競争力のある日本の乗用車や家電製品にかけられていた関税が下がり、EUへの輸出にチャンスが広がる。

ただ「世界最大の自由貿易圏が誕生した」と政府が自賛するほどではなさそうだ。過小評価する必要はないが、日欧とも市場は成熟して東アジアのような高い成長は期待できない。お互い、農産品と自動車以外にこれといった目玉はなかったのが現実だ。

その一方で、合意は競争力の弱い日本の酪農家や畜産農家には厳しい試練となる。早くも「車のために犠牲にされた」との怒りや反発が広がっている。

例えばチーズの場合、味も種類も豊富な欧州産が本格的に入ってくれば、日本産は容易に太刀打ちできない。チーズに使われる生乳が余って飲料用に向かえば、牛乳の価格が下落して打撃となる。EUでも自動車産業の雇用への影響を懸念する声は強い。

今回の合意には「強まる保護主義に対抗する自由貿易の推進」と評価する見方が多い。

だがこれでは重要な点を見落としてしまう。

米欧、そして日本も含めた先進国が直面している課題は何なのか。なぜトランプ政権が誕生し欧州で極右勢力が台頭したのか。グローバル化の負の側面、自由貿易のあり方そのものが問われていることを忘れてはいけない。格差の中で職を失い、家庭が壊れ、希望を失った働く人々の悲しみと怒りがある。

税逃れの穴だらけの国際税制の改革は、国内の格差対策は進んでいるのか。自由化のしわ寄せを受ける酪農家や畜産農家をどう守るのか。それらの営みを守れずして食や農産地は守り切れるのか。政府の対応が問われる。
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2017年07月07日

[東京新聞] 盧溝橋事件80年 歴史に「愚」を学ぶとき (2017年07月07日)

北京郊外で旧日本軍に銃弾が撃ち込まれた盧溝橋事件から八十年になる。これが八年間に及ぶ日中戦争の発端になった。止められた戦争と歴史は教える。

十三世紀にイタリア人のマルコ・ポーロが「東方見聞録」で「世界一美しい橋」と西欧に紹介した。橋のたもとには十八世紀の乾隆帝の筆による「盧溝暁月」の石碑も立つ。

一九三七年七月七日夜。日本軍の支那(しな)駐屯軍は盧溝橋近くで夜間演習をしていた。橋の東岸には宛平県城があり、城を守る中国兵の姿があった。演習前に中隊長は「支那兵に向けて、挑発的な行為や言動があってはならない」と訓示している。


「撃たれたら撃て」の命令
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午後十時半ごろ。いったん夜間演習を中止するため、伝令を走らせると、背後から三発の銃声が襲った。ひゅー、ひゅーと、空気を切って飛ぶ、弾丸の飛行音が聞こえた。さらに十数発もの弾丸が…。兵隊たちの頭上をかすめて続けざまに実弾が飛んだのだ。

けたたましいラッパが鳴った。残る二個中隊と機関銃中隊、歩兵砲隊が動きだした。大隊が集結したのは翌午前三時ごろである。また三発の銃声があった。

北京市内にいた連隊長の牟田口廉也は緊急連絡に「敵に撃たれたら撃て」と指示した。総攻撃の命令に他ならなかった。

中国国民党の指導者蒋介石は日記に「倭寇(わこう)は盧溝橋で挑発に出た。(中略)われわれを屈服させようというのだろうか?」「宛平県城を固守せよ」(蒋介石秘録)と書いた。

盧溝橋事件で日本軍は死傷者を出したわけではない。また、誰が発砲したのか、いまだに諸説あって不明なのである。

それなのに国内では既に「蒋介石など一撃で倒せる」という「強硬論」が沸き立っていた。


◆拡大・不拡大で割れる
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参謀本部の作戦課長、陸軍省でも軍事課長らが主張した。陸相の杉山元ら幹部も拡大論だった。

むろん不拡大論を強く主張する者もいた。参謀本部作戦部長の石原莞爾がそうである。戦争指導課や陸軍省軍務課の多くも「不拡大論」であった。

軍部の中でも「拡大」「不拡大」の意見が真っ二つに割れていたのである。

首相の近衛文麿は不拡大方針だった。かつ現地で停戦協定が成立したにもかかわらず、華北への派兵が決定し、戦争拡大へと歯車は動きだした。盧溝橋事件は幾重にも謎に包まれている。それなのに戦争を始める。「愚」である。不要な戦争であった。

七月十七日になると蒋介石も「最後の関頭」と呼ばれる有名な談話を発表した。徹底的な抗戦で民族を守る決意の言葉である。そして、中国国内で対立していた国民党軍と共産党軍とは「国共合作」で手を結び、ともに抗日戦争を戦うことになった。

日中戦争は華北での戦闘ばかりか、上海での戦闘もはじまり、日本からは派兵に次ぐ、派兵…。全面戦争に陥った。泥沼の戦争と化していったのである。

終結の見通しもなく戦争を始めるのも「愚」、莫大(ばくだい)な戦費を考えないのも「愚」である。首都・南京を陥れても奥地へ逃げられると考えないとしたら、これも「愚」である。背後からソ連に突かれないと信じた「愚」もある。

そもそも戦争の公式目的が「中国を懲らしめるため」である。そんな荒っぽい理屈が当時の国際社会に受け入れられるはずもない。戦争の名目さえ立たなかったのも「愚」である。

むろん途中で幾度か和平の道も探られた。しかし、そのたびに日本は相手に厳しい要求をするため、和平はとても成立しなかった。寛容さがあれば、戦争を止めることもできた。和平を台無しにした「愚」もあるのだ。

日中戦争ばかりでない。三一年の満州事変は、何と日本の「自衛権」の発動として引き起こされた。それ以後、中国東北部は日本軍の占領下に置かれ、やがて満州国がつくられた。日本の傀儡(かいらい)国家としてである。

この問題については、有名なリットン調査団が報告書をつくり、三三年に国際連盟総会で採択が行われた。その報告書に不満を持った日本一国のみ「反対一票」を投じ、国際連盟を脱退した。


◆平和主義変質の今こそ
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日本の国際的な孤立はこのときから始まる。この「愚」こそ、日中戦争にも、のちの太平洋戦争にも確実に結び付いている。

戦争の歴史は私たちに示唆に富んだ教訓を与える。戦後七十二年になる今、平和主義の道を進んできた日本が「戦争のできる国」へと変質しつつある。

こういう時こそ、歴史の「愚」を学ぶときであろうと思う。
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2017年07月06日

[東京新聞] 重病の劉暁波氏 中国の人権改善訴えよ (2017年07月06日)

獄中でノーベル平和賞を受賞した中国の民主活動家、劉暁波氏の国外移送を中国が拒否した。本人は出国を希望している。国際社会は、劉氏の即時釈放と人権状況改善を強く中国に訴えるべきだ。

劉氏の処遇をめぐりドイツや米国が受け入れを打診したが、中国当局は「重病のため国外へ移送できない」と拒否した。

劉氏と妻の劉霞さんは、ドイツへの移住を希望し、劉氏は「死ぬとしても、ドイツで死にたい」と述べたという。

本人の意向を何よりも尊重し、受け入れを表明したドイツや米国などで高度な専門治療を受けさせるよう、中国は対処すべきだ。

末期がんになるまで病院で適切な治療をしなかったことは、重大な人権侵害である。刑務所外の病院に移送され、外国専門医を招いての治療も認めるというが、末期がんになるまで放置したとの批判をかわす狙いも透けて見える。

劉氏は二〇〇八年、民主派知識人ら約三百人の先頭に立ち、中国の民主化推進を強く訴える「〇八憲章」を連名で発表した。

共産党独裁の終結も訴えたことから、「国家政権転覆扇動罪」に問われ、懲役十一年の刑を受けた。一〇年のノーベル賞の授賞式にも出席できなかった。

劉氏が有罪とされたのは胡錦濤元国家主席の時代だが、習近平政権で言論空間の引き締めがさらに厳しくなったのが気がかりだ。

習氏の「四つの指導思想」の中には「全面的な法治」があるが、近年の中国では「全面的で厳格な党管理」ばかりが目立つ。

七月一日の香港返還二十年式典で、習氏は「中央政府の権力に対する挑戦は絶対に許さない」と強権統治の姿勢を隠さなかった。

香港市民ら六万人のデモ隊は、香港の「一国二制度」の堅持に加え、劉氏の即時釈放も求めた。劉氏への対応が、中国の人権無視の姿勢を象徴するからであろう。

劉氏は「私には敵はいない」と題する裁判の最終弁論で、自由中国の到来について「楽観的」とした。「いかなる力も自由を志向する人間的欲求を阻止できず、中国は最終的に人権を至上とする法治国家に変わるだろう」と述べた。

残念ながら、中国政治は劉氏が期待を込めた未来とは違う方向へと歩を進めているようだ。

ドイツでの二十カ国・地域(G20)首脳会合で、日本はじめ各国は、劉氏が祖国に求めた思いを中国に強く訴えてほしい。
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[東京新聞] ドイツの決意 温暖化は世界で阻む (2017年07月06日)

温暖化防止のための枠組み「パリ協定」からの脱退を米大統領が決めても、志ある国や米国の州、自治体とともに温暖化対策を進める−ドイツのヘンドリクス環境相が表明した決意を評価したい。

パリ協定は、温室効果ガス排出量を今世紀後半に実質ゼロにし、約二百年前からの気温上昇幅を二度未満に抑えることを目指す。地球温暖化による海面上昇や干ばつなどの危機を避ける狙いで、百九十カ国以上が賛成し、米国のオバマ前政権も批准した。

しかし、トランプ米大統領は先月、「不公平だ」との理由で離脱を表明した。

これに反対するカリフォルニアなどの州は気候同盟を結成、百八十の都市も同調するなど、米国内では協定履行への支持が広がる。

ヘンドリクス氏は本紙への寄稿で、米国の離脱決定があったからこそ新たな協力関係が生まれているとして、カリフォルニア州と、温暖化対策で協力する共同声明に署名したことを挙げた。

米国はじめ世界の自治体にも呼び掛け、温暖化対策を進めようとの取り組みだ。

頭越しにされたトランプ政権の反発が予想されるにもかかわらず、連携に踏み切った決断に、協定履行への強い意志を感じる。

ヘンドリクス氏の表明はメルケル首相の方針に基づく。メルケル氏は先週、「最後の一人が気候変動の根拠に納得するまで待ってはいられない」と温暖化に疑問を抱くトランプ氏を暗に批判、米国と対立してでも協定の重要性を訴え続ける考えを示した。

ヘンドリクス氏は、ドイツ・ハンブルクで今週末開く二十カ国・地域(G20)首脳会合に参加する日本はじめ各国に、温暖化対策での協調を呼び掛け、「野心的な成果」への期待を表明している。

日本は先月の先進七カ国(G7)環境相会合で、米国について「離脱しても温室効果ガス削減に向け努力すると言ったので注視する」と述べるにとどまった。

ミサイル発射や核実験を強行する北朝鮮への対応にはトランプ米政権との連携は不可欠だが、ドイツとともに、温暖化対策での非は非と指摘し、協定を生かすべく存在感を発揮したい。

ヘンドリクス氏は、東京電力福島第一原発事故がドイツが脱原発政策を決めた契機になった、とも強調している。事故当事国の日本で原発再稼働を続けることが妥当なのか、海外からの率直な疑問である。
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2017年07月05日

[東京新聞] 強毒ヒアリ侵入 定着させてはならぬ (2017年07月05日)

強い毒を持つ南米原産のヒアリ(火蟻)の侵入が神戸港、名古屋港、大阪南港で確認された。米国などで大きな被害をもたらしてきた厄介なアリである。国内への拡散、定着を許してはならない。

神戸港、名古屋港では、いずれも中国・広州市の南沙港から届いたコンテナで見つかった。

さらに大阪南港では、既に駆除したアリの死骸を調査する中でヒアリが確認された。繁殖につながる女王アリも含まれていた。

大阪南港でも確認されたことを受け、国土交通省は四日、全国九百三十三港の港湾を管理する自治体などに対し、中国との航路がある場合には駆除対策を取るよう要請した。

ヒアリが注目されるようになったのは、一九三〇年代に米南部アラバマ州に侵入し、北米大陸へ拡散してからである。生息域は年に約十キロのペースで米国東南域に広がっていったと推測される。

二〇〇〇年代に入ると、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、中国、香港などでも相次いで確認された。オーストラリアや中国では既に大きなアリ塚が形成されており、九〇年代には人知れず侵入が始まっていたらしい。

環太平洋諸国への分布の拡大を考えれば、日本への侵入は時間の問題だったといえる。環境省も〇五年、ヒアリを特定外来生物に指定し、注意を喚起していた。来るべきものが来た、と捉えて着実に対策を講じたい。

ヒアリはアルカロイドの強い毒を持ち、刺されると死に至ることもある。生態学者の東正剛博士らが〇八年に出版した『ヒアリの生物学』によると、米国では、年間約百人が死亡しているという。

日本にも、時に人の命を奪うスズメバチなどが生息しているが、ヒアリが厄介なのは、舗装道路脇の裸地、都会の公園など絶えず人の手が入る環境を好むことだ。

懸念されるのは、人的被害だけではない。ヒアリは電気にひかれて集まる傾向があり、米国では、漏電による火災、信号機など電気施設の故障といったヒアリ被害も多発しているという。

要するに、国内に拡散、定着させてはならないのである。コロニー(巣)を作られ、繁殖が始まってしまえば、根絶は難しい。水際対策の徹底が求められる。

数が少なければ、例えば熱湯をかけることでも駆除できる。関係機関による監視の徹底はもちろんのこと、私たち市民も足元に目を配り、定着を阻止したい。
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[東京新聞] 北「ICBM」 米中は危機感の共有を (2017年07月05日)

北朝鮮が弾道ミサイル一発を発射し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に成功したと発表した。事実かどうか詳しい検証が必要だが、開発阻止には米国と中国の連携が不可欠だ。

防衛省によると、ミサイルは秋田県・男鹿半島から三百キロ、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。漁船が操業し船舶が航行する海域への発射は、日本の安全を大きく損なう暴挙である。

北朝鮮メディアは初のICBM実験成功であり、「飛行距離は九百三十三キロ、高度二千八百二キロ」と報じた。通常より高い角度で打ち上げる「ロフテッド軌道」とみられる。

米太平洋軍司令部は中距離弾道ミサイルであり、北米には脅威を与えないとの見解を示し、いったんICBMの可能性を否定した。だが、米専門家には、通常の角度で発射したと想定した場合の飛距離が六千キロを超え、米アラスカ州に届くとの見方もある。事前探知が難しい移動式発射台を使ったとみられ、脅威は一段と高まったと受け止めなくてはならない。

米国と中国は朝鮮半島の非核化では一致するが、具体策で隔たりがある。

トランプ政権は米韓合同軍事演習を通じた圧力と制裁強化で臨む。中国は北朝鮮からの石炭輸入をゼロにするなど、一定の制裁を加えているが、圧力より対話による解決を主張する。北朝鮮を追い込みすぎると、体制が混乱して難民が流入すると懸念するからだ。

北朝鮮の強硬姿勢は、足並みがそろわない米中にくさびを打ち込むのが狙いとみるべきだろう。

それでも、北朝鮮が核武装すれば、東アジアの安定と均衡が根底から揺らいでしまう。米軍は韓国南部に高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備したが、中国が強く反発するなど、周辺国の対立も激化している。米中両国は危機感を共有する必要がある。北朝鮮の核とミサイル開発に歯止めをかけることを最優先にして、戦略を立て直すよう強く求める。

北朝鮮の最終的な目標は、核保有国となり米国と対等な立場で平和協定を締結して、金正恩体制の保証を取り付けることだ。

歴代の米政権は水面下で北朝鮮との接触を続けてきた。トランプ政権も圧力をかけながら、交渉経験がある元政府高官や専門家を積極的に活用して、北朝鮮との対話を前進させる時期に来ているのではないか。その場合も、中国の後押しが欠かせない。
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2017年07月04日

[東京新聞] 首相への注文 憲法を守る政治に戻れ (2017年07月04日)

東京都議選で自民党は歴史的大敗を喫した。敗因となった言動の底流を流れるのは、憲法を軽視、あるいは無視する政治である。国民の信頼を回復するには、憲法を守る政治に戻らねばならない。

投開票から一夜明けたきのう、自民党総裁でもある安倍晋三首相は「党に対する厳しい叱咤(しった)と深刻に受け止め、深く反省しなければならない」と語った。その表情からは、自民党が負った傷の深さがうかがえる。

しかし、反省するにも何を反省すべきか。それを取り違えると、反省したことにはならない。

首相は「政権が発足してすでに五年近くが経過し、緩みがあるのではないかという厳しい批判があったのだろう」と述べた。反省すべきは「政権の緩み」にあると言いたいのだろう。

その点は否定はしないが、真に反省すべきは憲法を軽視、無視してきた安倍政権の政治姿勢そのものである。都議選での大敗は、そうした首相の政治姿勢に対する国民の嫌悪感が原因ではないのか。

憲法改正を政治目標に掲げるからといって、現行憲法を軽んじていい理由にはもちろんならない。

しかも首相や閣僚らは憲法を尊重、擁護する義務を負う。その立場にある者として、その改正を主導すべきではない。首相はまず、年内に自民党の改憲案を提出するとの発言を撤回すべきである。

都議選大敗の一因とされるのが森友、加計両学校法人の問題である。公平・公正であるべき行政判断が「首相の意向」を盾に歪(ゆが)められたのではないか、との疑念だ。

憲法一五条は公務員を「全体の奉仕者」と定める。一部への便宜を認める政権の体質があるのなら憲法軽視との誹(そし)りは免れまい。

公務員や公的資源を私的利用しても構わないという憲法を顧みない政権内の空気があるからこそ稲田朋美防衛相から防衛省・自衛隊を自民党の選挙応援に利用しようとする発言も飛び出すのだろう。

野党側は憲法五三条に基づいて臨時国会の開会を求めている。政権側はこれ以上、憲法の規定を無視すべきではない。

首相が行うべきは稲田氏を速やかに罷免し、体制を一新することだ。そして今後の政権運営にどう臨むのか、首相の所信を聞くために臨時国会の開催を求めたい。

そのどれもが憲法に基づいた措置である。それらを誠実に履行することが、首相が憲法を守る政治に戻り、国民の信頼を少しでも回復するための第一歩だろう。
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[東京新聞] 米韓首脳会談 北核阻止へ政策調整を (2017年07月04日)

米国と韓国の両首脳は北朝鮮の核、ミサイル問題に連携して対応すると確認した。ただ、米は圧力に比重を置き、韓国は対話の道を模索する。足並みが乱れぬよう、政策の調整を急ぐべきだ。

トランプ大統領は訪米した文在寅大統領と初の会談をした。共同声明では、北朝鮮への制裁強化とともに、条件が整えば対話再開を目指すと両論を併記した。総論ではひとまず一致したと言える。

だが、米韓両政府の考えには明らかに隔たりがある。

トランプ政権は今春の米韓合同軍事演習で原子力空母二隻を朝鮮半島近海に展開させたように、北朝鮮に強い圧力をかける。同時に核、ミサイル開発につながる外貨獲得の手段を絶とうと制裁を強めている。

先月には北朝鮮企業と取引がある中国の丹東銀行に対し、米政府が独自に制裁を科した。中国政府による対北制裁が「効果を上げていない」(トランプ大統領)ことへの不満の表明だった。

一方、韓国は軍事的圧力の必要性は認めるが、北朝鮮の姿勢が軟化したら南北対話や経済交流を再開したいと考える。対話のルートが閉じたままでは、米韓と北朝鮮との衝突も起こり得るという危機感があるからだ。だが、北朝鮮が軍拡路線を続け、国際社会が制裁にかじを切った現状では、早期の対話再開は難しいのが現実だ。

米軍が韓国南部に配備した高高度防衛ミサイル(THAAD)の扱いも難題だ。文大統領は朴槿恵前政権が環境影響評価(アセスメント)を十分に実施しなかったなどの理由で、THAAD運用を遅らせる決定をした。配備に反対する中国を意識したものだが、韓国の防衛を支える米国は強い不信感を隠さない。

まず、米韓両政府は対立を抑え、北朝鮮に対する圧力、対話など幅広い懸案について、政策の調整を急ぐべきだ。米韓が結束して中国に働きかける形ができないと、北朝鮮の強硬姿勢を止める道は開けないだろう。

日本との連携も欠かせない。今週末にドイツで開かれる二十カ国・地域(G20)首脳会合の場で、安倍晋三首相も交えた日米韓首脳会談が開かれる予定だ。

日米は北朝鮮への圧力強化を優先し、対話の模索を訴える文大統領の見解が反映されるかは不透明だ。それでも、北朝鮮の核、ミサイル開発の情報交換など、日米韓の連携強化を改めて確認する機会としたい。
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2017年07月03日

[東京新聞] 都民ファースト 風で終わらせぬよう (2017年07月03日)

東京都知事の一輪車だけでは危なっかしい。議会がもう一つの車輪になってこそ都政は前へ進む。旋風が巻き起こり、知事の味方は多く集った。アクセルとブレーキを賢く使い分ける力はあるか。

小池百合子知事の人気が後押しし、新参の都民ファーストの会が躍進した。公明党などを含めた小池氏支持派が過半数を制し、議会の勢力図が大きく塗りかわった。だが、これで都政は安泰か。

旧来ながらの数合わせの理屈で語るのは危うい。第一党になった都民ファーストの会の代表は小池氏本人だ。議会が唯々諾々と知事に追従し、チェック機能を失っては元も子もない。

なれ合い都政の延長はごめんだ。情報公開や住民参加、政策論議を促す仕組みが欠かせない。密室政治を避け、衆人環視の下に置く。まずは議会改革を望みたい。

例えば、本会議のみならず、常任委員会の動画や議員個人の賛否を公開する。多様な立場の都民との直接対話の回路を開き、民意の反映に努力してほしい。

議会でのやりとりも刷新し、形骸化に歯止めをかけねばならない。知事の政策案をただす一方向の議論ではなく、知事に反問権を与え、討論する。議員間の討議を自由化する。議員の仕事ぶりを評価する制度を導入してはどうか。

早速、新議会の力量が試されよう。小池氏は築地市場の豊洲移転問題の打開策として、豊洲は物流拠点を、築地は再開発して食のテーマパークを目指す考えを打ち出した。市場業界の利害調整はもとより、難題が山積している。

賛否を言い募った末に、数の力で押し切るような議会は要らない。説得力のある証拠とともに修正案、対案を出し合い、練り上げる姿勢と知恵が問われる。それこそが託された使命ではないか。

二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの課題もさることながら、その後に本格化する東京の少子高齢化にどう向き合うか。時間が押し迫る中、小池氏は将来像を描き切れているとは言い難い。

東京一極集中の論点を交え、議会として道筋を示してはどうか。日々の暮らしを案じる都民感覚に常に立ち戻るべきだ。

かつて都政は、知事と議会が癒着したいわば「一元代表制」だった。小池氏支持派が多数を占める議会との間で「二元代表制」は機能するのか。目が離せない。
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[東京新聞] 大敗の自民 「安倍政治」への怒りだ (2017年07月03日)

安倍晋三首相には逆風が吹きすさぶ選挙だった。自民党は四年前の前回都議選から大幅に議席を減らす歴史的大敗だ。「安倍政治」を許さないという都民の怒りを、深刻に受け止めるべきである。

首相が今回、街頭で応援に立ったのは、選挙戦最終日の一カ所だけ。告示前を含めて三十カ所近くで街頭に立った前回と比べ、首相の置かれた厳しい状況を物語る。

「準国政選挙」と位置付けた前回から一転、今回は「都民が直面する地域の課題、東京独自のテーマが争点になると思う」(首相)と国政との分離を図った。国政の混乱が都議選に影響するのを避けたかったのだろう。

国政と自治体選挙とは本来、別だが、完全に切り離すことは難しい。むしろ都議選結果は、それに続く国政選挙の行方を占う先行指標になってきた。

自民党が今回の都議選で逆風に立たされたのは、丁寧な政権運営とは程遠い、安倍政権の振る舞いが影響したことは否めない。

まずは「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法の審議に代表される強引な国会運営だ。

罪を犯した後に処罰する日本の刑事法の原則を根本から覆し、国民の懸念が強いにもかかわらず、参院では委員会での議論を打ち切り、採決を省略する「中間報告」という奇策で成立を強行した。

首相自身や金田勝年法相の不誠実な答弁も反発を買った。

さらに森友、加計両学校法人をめぐり、公平・公正であるべき行政判断が「首相の意向」や忖度(そんたく)によって歪(ゆが)められた、との疑いは結局、払拭(ふっしょく)されなかった。野党が憲法に基づいて臨時国会を開くよう求めても、政権側は無視するなど説明責任を果たそうとしない。

そして豊田真由子衆院議員(自民党を離党)の秘書に対する暴言や、稲田朋美防衛相による防衛省・自衛隊の政治利用発言である。

首相は近く内閣改造を行い、問題閣僚を交代させ、人心を一新したい意向なのだという。「人材育成」など、新たな目玉政策も打ち出すことで、都議選の痛手を癒やし、支持率を再び回復基調に乗せたいのだろう。

しかし、問われているのは、民主主義の基本理念や手続きを軽んじる安倍政権の体質そのものだ。それを改めない限り、国民の支持を取り戻すことは難しいのではないか。弥縫(びほう)策では限界がある。
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2017年07月02日

[東京新聞] 週のはじめに考える テロをつくったのは? (2017年07月02日)

組織は壊滅しても拡散した思想は消せない。亡国の淵にあるイスラム国(IS)です。鬼っ子を生んだのはイスラム社会か、それとも欧米だったのか。

六月のパリは観光のベストシーズンですが、日本人の姿はほとんど見かけませんでした。

大規模なテロが一昨年一月と十一月に起きた影響でしょう、パリに毎年六十万〜七十万人宿泊してきた日本人観光客は昨年二十八万人に激減。今年はさらに下回りそうです。パリ好きで知られる日本人ですが、これほどの減り方は世界の中で突出しています。


◆恐れるだけは思うつぼ
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危険な場所への旅行を避けるのは賢明かもしれません。ただテロリストの思うつぼでもある。

思い出すのは、パリのテロで妻を失ったアントワーヌ・レリス記者が犯人にあてた手記です。

「君たちは、私が恐怖し、周囲の人を疑いのまなざしで見つめ、安全のために自由を犠牲にすることを望んだ。だが、君たちの負けだ。私はまだ、私のままだ」

残された一歳五カ月の息子と日常を取り戻す決意を宣言したのです。テロは、恐れるだけではかえって事態を悪化させるのです。

レリス氏はこうも記しました。「『憎しみ』という贈り物をあげたりはしない」−。テロに対して憎悪や暴力で応酬するのも犯人に屈したことになるからです。

ISの狙いはこうでした。相手国の社会や国民を分断し、弱さをさらけ出させる。そうすれば、一般の穏健なイスラム教徒からも自分たちへの支持が集まり、真のイスラム国家ができる−誠に身勝手で倒錯した論理です。

欧米社会だけでなくムスリム大衆からも非難され、ISの野望は幻想でしかないでしょう。ただ、それで「終わり」にしていいはずはない。


◆欧米側に原因が内在
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直視すべきは、ISという怪物がなぜこれほどまでに伸長したのか、若者が同調して戦闘員になったのかという事実です。

「ジハード(聖戦)に命をささげれば尊い殉教者になれる」という思想に身を投げたわけですが、裏返せば、彼らに生きる意味や価値を与えられなかった社会にこそ問題があるのではないか。

十五年ほど時計の針を戻しましょう。テロリストを根絶すれば中東の民主化が実現できるなどという米国のネオコン思想が暴走し、理不尽なイラク戦争は泥沼化。アルカイダから派生したISの誕生を招いてしまった。

今から六、七年前に起きた「アラブの春」も、独裁政権を倒して民主主義を植え付けようと米国が黒子に徹して進めたが、さらに恐ろしい事態を生みました。エジプトやリビアなどで独裁政は閉じた一方、シリア、イエメンなどが無法地帯となり、大量の難民は今なおあふれ出しているのです。

当時はまだ「世界の警察官」を自任していた米国が良かれと取った行動は、思慮が浅すぎたとまでは断定できませんが、結果的に過激派を増殖させ、中東を世界を一段と不安定化させたのです。

米国ばかりの非難は適切でもありません。欧州、中でもテロが頻発したフランスには、やはり原因が内在します。

フランスの中東研究の権威で、自らもチェコ移民家庭に生まれたジル・ケペル氏は、イスラム系移民の子孫をうまく受容できない仏社会に原因を求めます。パリのテロ後に刊行した『フランスにおけるテロ、フランス人ジハーディストの起源』に記す。

フランスは大戦後の経済成長期に、旧植民地のアルジェリアなどから大量の移民を受け入れた。安価な労働力です。

だが移民二世の世代になると、経済は減速し移民向け予算は削られ、貧困や「アイデンティティー(自己の)喪失」という難問が出てきます。自由で平等な同じ市民のはずが厳しい政教分離原則でイスラムの振る舞いを制限される。

「自分はいったい何者か」

そんな疑問と仕事につけない不満からイスラム過激派思想に取り込まれる若者が相次ぐ−。

スカーフやブルキニ(イスラム水着)の禁止も、IS掃討のための空爆参加も、それがフランスの原則からは正しいとしても、アラブ社会の反発を買うならISにつけ込む隙を与えてしまうのです。


◆たゆまぬ包摂の努力を
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フランスは国民の10%近くをイスラム系移民が占めるが、ケペル氏によると、中東・イスラム社会の専門研究が足りない。当然、国民の相互理解も不十分になります。

政教分離原則は譲ることのできない国是だとしても、必要なのはその理念を一方的に押し付けるのでなく、苦悩や痛みを包摂する寛容さではないでしょうか。ただの優しさではなく、理性への信頼なのです。
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