2017年03月10日

[東京新聞] 3・11とイチエフ廃炉 “非日常”がなおそこに (2017年03月10日)

六年たってもイチエフ廃炉の先は見えない。あらゆる命を拒む深い闇との境界で、手探りの危険な作業に挑み続ける人やロボットに、心を送り続けたい。

福島第一原発(イチエフ)から南に約二十キロ、高台に立つ楢葉遠隔技術開発センターは、巨大な何かの格納庫を思わせる。

通称モックアップ施設。モックアップとは実物大の模型のことで、廃炉の実動部隊であるロボットたちの、いわば訓練場である。

高速増殖原型炉の「もんじゅ」と同じ、日本原子力研究開発機構(JAEA)の運営だ。

建設費は約百億円。一昨年十月の開所式では、安倍晋三首相も祝辞を述べた。

ロボットの動きを確認する試験棟には、原子炉格納容器の下部にあるドーナツ型の圧力抑制プールの一部が実物大で再現された。

高さ五・五メートル、直径四・五メートルの円筒形の水槽や、高さ七・五メートルのモックアップ階段などもある。

昨年の秋にセンターを訪れた。

鉄腕アトムのような雄姿はもちろんない。巨大化した昆虫にも見えるロボットが、ぎくしゃくと階段を昇降し、障害物を乗り越える地道な訓練を積んでいた。

先月、その中の恐らくエースが、2号機内部の探査に投入された。国際廃炉研究開発機構(IRID)と東芝が共同で開発したサソリ型の自走式ロボットだ。前後に二台のカメラを積んでいた。

「溶け落ちた核燃料(デブリ)を初めて間近で確認できる」と、関係者は意気込んだ。

デブリの実態把握こそ、“百年仕事”ともいわれる廃炉作業本番の、はじめの一歩だからである。

ところが、生身の人間なら一分足らずで死に至るという放射線の嵐の中で、わずか二メートルしか進めずサソリは力尽き、動けなくなってしまった。

「失敗とは認識していない」と東京電力側は言い繕う。だが、エースの仕事としては、明らかに期待外れだったというのが、直視すべき現実だ。

放射線とはエネルギーの固まりだ。分子の結合を破壊して、電子回路を短時間で劣化させる威力がある。人間の細胞をがん化させるのとメカニズムは同じである。

人はもちろん、ロボットさえも、決死の覚悟で赴かなければならないような環境が、あの日から六年を経た今もそこにある−。これがサソリの遺言なのだ。

廃炉作業の最前線にも、日常が戻り始めているという。


◆ささやかなこの日常
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一昨年三月、原発のある大熊町内に給食センターが開設された。

イチエフで働く約七千人の作業員が、温かいランチを食べられるようになったという。

昨年三月には、構内の大型休憩所にコンビニがオープンした。

甘いシュークリームが一番人気。作業の疲れを癒やしてくれる。缶飲料や弁当、雑誌類は見当たらない。かさばる“ごみ”が増えるといけないからか。日常という言葉は実はとてつもなく重い。

目の前に、人もロボットさえも近づくことのできない「死地」があり、傍らに先の見えない作業に追われる日々がある。門の外にはこの六年、時間が凍結したまま人影のないまちがある。これこそ戦闘のない戦場ではないか。閉ざされた世界と時間の中で過酷な作業を続ける緊張が、コンビニのカップ麺にも、日常を感じさせるのだろう。

六年を経てなお、門の向こうに未知の危険があって、それが永く続く恐れもあることを、私たちは忘れるべきではない。

戦いは始めるより、収める方がはるかに難しい。私たちは、消し尽くすすべを持たないままに原子の火をともし、増やし続けてきたのである。


◆共感をハートに込め
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名古屋市に住むイラストレーターの茶畑和也さん(61)は、六年前の三月二十八日以来毎朝一点、ハートをモチーフにしたイラストを描き、福島に向けてネットで配信し続けている。

震災翌年、福島県いわき市で開いた展示会には多くの廃炉作業員が訪れた。

六年変わらず、日々「忘れない」との思いを込めて、あすで二千百七十七点目。「人ごとではない」という気持ちから、老朽化した高浜原発の廃炉を求める市民の会の共同代表も引き受けた。

人の命や暮らしを尊ぶハートがあれば、今、原発は動かせない。
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2017年03月09日

[東京新聞] 3・11と原発避難者 支援の幕引きは早い (2017年03月09日)

政府は福島原発事故による避難指示を一部区域を除いて一斉解除する。故郷に帰るか、移住するのかを避難者に迫る。支援の幕引きなら早すぎる。

原発事故のために横浜市に避難中の生徒が、同級生に飲食代など百五十万円を払わされるいじめが発覚したとき、村田弘さん(74)は自分を責めた。生徒は国の避難指示の区域外からの「自主避難者」で、同じ地域に住んでいたこともある子どもだったからだ。

福島県南相馬市から避難した村田さんは「福島原発かながわ訴訟」の原告団長を務める。被害賠償などを求めて争う各地の集団訴訟でも、子どもがいじめられているという訴えを何度も耳にしていたが、向き合えていなかった。


◆いじめ許容する空気
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原発避難者へのいじめはその後も次々に発覚した。大人たちの避難者への無理解や差別、偏見が影を落としているのではないか。

福島県内外に避難している人は約八万人、そのうち強制ではない自主避難者は約三万人いる。被ばくを避けようと自ら決めた避難だとみなされるために「いつまで避難するの」「放射能を気にしすぎ」と非難めいた言葉も投げ付けられている。避難者問題を早く片付けようとする国の姿勢がそのまま重なるようである。

政府は東京五輪が開催される二〇二〇年から逆算するように今春、避難者政策を一気に終わらせようとしている。居住制限区域や帰還困難区域の一部の計三万二千人の避難を解除し、賠償も来春に終える。

福島県では各地の自主避難者に対し、公営や民間の物件を仮設住宅とみなして無償提供を続けてきたが、政府方針に歩調を合わせるように今月末で打ち切る。


◆消されていく存在
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原発事故によって生活を壊されたのは同じでも、自主避難者には月十万円の精神的賠償もない。文字通り“命綱”だった住まいからも退去を迫られ、経済的事情から地元に帰った人は少なくない。

住宅の無償提供にかかるのは年間約八十億円。除染に兆単位の復興予算がつぎ込まれていることを思えば過大な額ではないはずだが、国が決めた避難者がいなくなるのだから、自主避難者に支援する理由はなくなるという判断か。問題の根本は、原発事故という避難原因をつくりながら住宅ひとつ、避難者救済に関与しない国の無責任さにある。原発は国策だ。

納得できないのは、避難指示解除を通告された住民も同じだ。放射線量の避難解除基準は、事故時に「緊急時」を理由に設定された年間二〇ミリシーベルトのまま。「大丈夫」と安全を押しつけられても、被ばくリスクを甘受するいわれはない。

汚染土を詰めた袋が山積みになった故郷に帰還を促す。帰還しないなら移住の決断を迫る。原発避難者という存在は、こうして見えない存在にさせられていく。避難先から追われている自主避難者はすべての避難者の明日の姿だ。

事故から六年という人為的区切りの後はもう、生活再建を自己責任に任せるというのでは、避難者は追い詰められるばかりだ。最悪の場合、自殺を選びかねない−。原発避難者の心の状態を調べてきた早稲田大学教授の辻内琢也さんはこう警告する。支援が乏しい自主避難者は、帰還のめどがたたない帰還困難区域の人とともに強いストレスを感じていた。

原発事故によって被災者は人生や生活を奪われただけに終わらず、加害者である国や東京電力が主導する帰還や賠償の政策にも苦しめられている。辻内さんはこの状態を「構造的暴力」と呼ぶ。そこには当然、差別やいじめを醸成する社会の空気もある。賠償の一部を電気料金に上乗せして回収するという議論は、その反発が被災者にはね返りかねない象徴的口実ではないか。「基地建設に反対する沖縄県民に向けられるような直接的暴力はなくても、真綿で首を絞められるような息苦しさがある」と村田さんは言う。

すでに避難解除した楢葉町などでも肝心の住民は一割程度しか帰っていない。賠償の打ち切りと一体となった解除には懸念する声の方が強いのである。


◆帰還か移住かでなく
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幼い子や学齢期の子たちの将来が見通せるようになるには、最低でもまだ十年はかかるだろう。

原点に戻ろう。避難の権利を認めた「子ども・被災者支援法」に基づいて、故郷に帰る人にも、避難を続ける人にも支援を続ける。従来の「みなし仮設住宅」を「みなし復興住宅」に変えて認める中間的制度をつくることも、孤立死を防ぐと辻内さんは提案する。

原発災害は長く続く。復興の掛け声の下で避難解除を優先し、少数派の避難者を切り捨てていくようでは、“棄民”政策だというそしりは免れない。
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2017年03月08日

[東京新聞] 経産省取材規制 世耕大臣は考え直せ (2017年03月08日)

経済産業省が庁舎内のすべての執務室の扉を施錠する措置を始めた。「情報管理を徹底する」ためというが、本質はメディア規制である。国民の「知る権利」を脅かす異常事態と言わざるを得ない。

「企業情報や通商交渉など機微(のある)情報を扱っており、庁舎管理を徹底する」−。世耕弘成経産相は施錠の目的について、先月下旬の記者会見で語った。

メディア側は庁舎内にある内線電話で連絡して扉を開けてもらい応接スペースで面談する。省内ルールでは取材には課長、室長以上の幹部が対応し、同席した別の職員がその内容を広報室に報告する。かつ庁舎外での取材には原則応じないともいう。

これは事実上、メディアを規制する発想であろう。情報の「密室化」でもある。NTTの広報部報道担当課長という経歴を持つ世耕氏は、「一般的なセキュリティーに合わせるべきだと以前から感じていた」とも語っている。

しかし、政府が握る情報は本来、国民のものである。世耕氏はその観点を見失っていないか。役所の情報は原則が「公開」であり、「非公開」は例外に置かねばならない。そうして民主的な行政が推進できる。情報公開法の根本的精神である。民間企業とはそこが異なる点である。

そもそも安全保障や外交など重要な機密情報を扱う部署を除けば、どの省庁も施錠などしていない。経産省が全ての執務室を施錠するのは異様な光景である。

メディア側が官庁に記者を置くのは、役所の発表記事だけを書くためではない。むしろ役所の隠したい事実を掘り出し、不正などをチェックするのが本質的な任務である。官庁発表に対しても常に疑問を持ち、矛盾があれば指摘しなければならない。大きな権限を握る中央官庁は、権力であるが故に当然、メディアのチェックを受けるべき存在なのである。

課長以上の取材に対して、職員がメモをして内容を報告するというルールも行き過ぎである。報告されることが前提ならば、取材を受ける側は必要最小限のことしか語らなくなるだろう。

国民の「知る権利」が大きく損なわれる。

経産省は福島第一原発事故の情報開示でも消極的だった。行政とは国民生活を豊かにするために存在する。その情報を伝えるメディアへの管理・規制とは、民主主義の柱を揺さぶる。世耕氏は考え直すべきである。
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[東京新聞] 宅配便値上げへ 便利さを求めるのなら (2017年03月08日)

宅配便最大手のヤマト運輸が全面値上げを決めたのは、利用の急増に人手が追いつかないのが理由である。だが当たり前と思っていた便利さや安さが、実は行き過ぎていることはないだろうか。

いつでも欲しいものが注文一つで玄関先まで届く。食料や日用品、書籍にスキー板…。宅配便は今や欠かせないインフラだ。体が不自由な人にとっては文字通り生命線となっていることもあろう。

しかし、そんな便利な日常を支えている運送や配達の現場では、長時間労働が常態化している。昼食もとれない、残業でもさばききれない。これはどこかがおかしいのではないか。

問題は大きく二つある。一つは、なぜ人手不足がそこまで深刻化したのかだ。

ヤマトは業界で約五割のシェアを占める。二〇一三年にインターネット通販大手のアマゾンジャパンの配送を請け負ったことで荷受量が格段に増え、人手不足に拍車がかかったといわれる。

しかし、根っこの原因は別だろう。業界の構造問題だ。仕事の大変さに比べ賃金が低いのだ。厚生労働省調べで「運輸・郵便業」の平均賃金は二十七万七千六百円(一五年)と業種別ではほぼ最下位。これでは人は集まりにくい。

賃金が安いのは業界の利益率が低いためだ。つまり適正な運賃を取っていないということだ。

宅配便の九割は通販会社などの法人契約で、個人客より運賃の割引が大きい。アマゾンは送料無料を大事なサービスと位置付けており、ヤマトにとって取扱量が多い割に利益が出にくい取引相手だ。

今回、ヤマトが二十七年ぶりに個人を含む全面値上げと、法人向けの新料金体系導入の検討に入ったのは、ある意味当然である。

もう一つの問題は、過剰ともいえるサービスをどうするか、である。例えば、無料で応じる再配達は全体の二割を占め、コストがかさむ。だが、再配達を前提に家を留守にしたり、化粧していないからと居留守を使うケースもあるという。

業界の厳しい労働環境を考えれば、時間帯指定サービスや再配達を有料化するなど、利便性と負担のバランスを考えるべきだろう。

「サービスが先、利益は後」。ヤマト運輸の中興の祖で「宅急便」生みの親である故小倉昌男氏の理念だ。だが適正な利益がなければサービスは成り立たず、人は酷使される。利便を享受する側も、そのことを理解する必要がある。
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2017年03月07日

[東京新聞] 森友学園問題 国会に解明の重い責任 (2017年03月07日)

学校法人「森友学園」への格安での国有地売却は、解明すべき問題点があまりにも多い。会計検査院の検査は当然だが、国会こそ国政調査権を最大限行使すべきだ。与野党ともに、その責任は重い。

大阪府の松井一郎知事がきのう森友学園が四月開校を目指していた小学校の設置認可判断の先送りに言及した。学園をめぐる問題は国有地売却にとどまらず、運営する幼稚園での政治的中立性を逸脱した教育内容や、小学校新設のための申請関連書類の信ぴょう性にまで及ぶ。このまま開校を認め、国有地の格安売却を既成事実化してはならない。

自民党の石破茂前地方創生担当相が「非常に奇怪な話」と言うほど、この問題をめぐる闇は深い。

学園が購入した大阪府豊中市の国有地の評価額は当初、九億五千六百万円だったが、地中から廃棄物が出たとの学園側の申し出を受け、撤去費用などとして八億円余りを差し引き、さらに分割払いとした。異例ずくめである。

籠池泰典理事長が自民党の鴻池祥肇参院議員と面会して紙包みを渡そうとしたり、鴻池氏の神戸事務所と接触して財務省への働き掛けを求めていたことも分かった。

国有地売却はいずれも学園側の意向に沿う形で進み、ルールが次々と変更された。管理する財務省独自の判断か、政治的圧力があったのか、謎は深まるばかりだ。

不可解な経緯はこれだけではない。小学校新設をめぐり、大阪府の審議会は財務面の不安などから認可をいったん保留したが、一カ月後の臨時会で一転、条件付きながら認可適当と答申した。籠池氏がこの間、大阪府議に「小学校の件よろしくお願いします」と要請していたことも明らかになった。

学園は愛知県蒲郡市の私立「海陽中等教育学校」と推薦入学枠の提供で合意したとの文書も府教育庁に提示したが、同校側は合意や交渉の事実すら否定している。虚偽申請なら、教育にたずさわる者として許されるはずがない。

籠池氏の国会への参考人招致が必要だが、自民党はなぜ拒むのか。国有地売却で国会議員の関与はあったのか、籠池氏に学校法人運営の資格があるのか、国会の場で徹底的に究明すべきだ。

夫人が一時、小学校の名誉校長を務め、学園の寄付集めに自分の名前が使われたこともある安倍晋三首相も無関係たり得ない。会計検査院の検査を盾に、国会での調査や籠池氏招致に消極的では、国民の疑念を払拭するには程遠い。
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[東京新聞] 北ミサイル連射 挑発行動は代償を伴う (2017年03月07日)

北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイル四発を連射した。大量破壊兵器の開発を続けて緊張を高めるが、挑発行動を繰り返せば多くのものを失うと、国際社会は北朝鮮に理解させねばならない。

ミサイル四発が約千キロ飛行し日本海に落下。うち三発が秋田県・男鹿半島西沖の日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。日本側に被害はなかったが、政府は北朝鮮に厳重抗議した。

詳細な性能は分析中だが、韓国軍合同参謀本部は飛距離や高度から、米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の可能性は低いとの見方を示した。

しかし、先月のミサイルは固体燃料で移動式発射台を使ったとみられ、技術が向上して、事前探知が難しく迅速に発射する態勢が整いつつある。日本は米韓とともにミサイルの分析を急ぎ、外交での連携を強める必要がある。

今回の連射は、一日から始まった米韓合同軍事演習に対抗したとの見方が有力だ。米韓は演習で、軍事力の差を誇示して抑止しながらも、偶発的衝突が起きないように慎重さも求められる。

北朝鮮は国連安全保障理事会の制裁決議を受けながら、核実験とミサイル発射を続ける。だが、挑発行動は必ず代償を伴うものだ。

中国は二月、北朝鮮産石炭の輸入を今年末まで停止すると発表した。最大の外貨獲得手段であり、打撃は大きい。北朝鮮の外務次官が先週訪中し中国外相らと会談したが、直後にまたミサイルを発射したことで中国側を刺激したのは間違いない。中国は安保理決議を着実に履行して、圧力をかけることが重要だ。

クアラルンプール国際空港で起きた金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏の殺害事件も、化学兵器の材料になる神経剤VXが使われたことで、深刻な挑発行動と受け止めなくてはならない。

マレーシア政府は北朝鮮の姜哲大使を外交上「好ましからざる人物」として国外追放すると発表し、大使は六日出国した。捜査を一貫して非難し、事件との関与が疑われる大使館二等書記官の聴取も拒否したためという。

北朝鮮にとってマレーシアは、貿易や投資だけでなく、工作員の活動拠点といわれるが、国交断絶に次ぐレベルにまで関係は悪化している。ほかの東南アジア諸国の見る目も厳しい。北朝鮮が捜査に協力せず、陰謀説を唱えるばかりでは、数少ない友好国も離反していくのではないか。
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2017年03月06日

[東京新聞] 見過ごせぬ「健康格差」 まず地域の“処方”から (2017年03月06日)

貧富の格差が広がっている。私たちの国も例外ではない。しかも命や病気の不平等ともいえる「健康格差」も生んでいる。見過ごすことはできない。

世界でもっとも裕福な富豪八人の資産と、世界人口の半分に近い所得が低い層の人々三十六億人分の総資産とが、ほぼ同じ−。

格差社会をまざまざと見せつけるような報告書が、国際非政府組織(NGO)によって公表されたのは、今年一月のことだ。

報告は貧富の拡大が社会の分断を招き、貧困の撲滅を後退させると、警鐘も鳴らしている。

日本でも「富の集中」が加速化している現実が、野村総合研究所の調査で先月、明らかになった。


◆避けられる病気なのに
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二〇一五年に一億円以上の金融資産を持っていた富裕層の世帯数が、「アベノミクス」が始まる前の一一年に比べ、約四十万世帯(約50%)増えたという。

その結果、全体の二割の資産をわずか2%ほどが持つ実態が浮かび上がったのだ。

問題は、こうした経済的な不平等などが、本来避けられるはずの病気や死−自己責任論では片付けられぬ「健康格差」という事態を生み出していることである。

富の偏りや貧困はもとより、学歴、家庭や職場、地域の環境、ストレス、社会保障政策など、一見バラバラの要因が、健康にとって大きな決定要因としてつながっているのだ。

そのような「健康格差」のことを少し堅苦しく表現すれば「地域や社会・経済状況の違いによる集団間の健康状態の差」となる。

社会疫学が専門で、この問題と長く向き合っている近藤克則教授=国立長寿医療研究センター老年学評価研究部長=が、そう説明してくれた。


◆データの裏付け不可欠
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国内の高齢者約一万五千人を追跡した調査では、年収二百万円未満の人ががんで亡くなるリスクは、四百万円以上の人の約二倍というデータがある。さらに別の調査では、認知症の発症リスクに約三倍になる地域差があることもわかってきたという。

体をこわしても通院もままならぬほどの貧困に苦しむ階層が病気にかかりやすいだろうことは容易に推察できよう。

そんな状況を少しでも変えようと施策や政策に反映させていくには、健康格差に関する国内のデータの収集が重要になる。だが残念なことに欧州などと比べ、質、量ともにまだ不足している。

愛知県武豊町で、近藤教授(当時・日本福祉大)ら大学の研究者が地元の自治体とプロジェクトを組み、地域レベルでの実践と調査・データ収集(AGES)に入ったのは十年ほど前のことだ。

具体的には六十五歳以上の高齢者を対象にした介護予防の取り組み「憩いのサロン」である。お年寄りの外出機会や地域でのつながりをつくる場として、交流サロンは全国で行われているが、研究者チームが検証作業もしているケースはまれだ。

武豊町の場合、高齢者約一万人のうちの一割ほどが参加。月一、二回とはいえ、ゲームなど多彩なプログラムを楽しんでいる。

今の段階でも、サロン参加者で要介護認定が出る割合が、非参加者群のおよそ三分の二にとどまることや、うつ病予防に有効な場となり得る可能性があることなどが検証されている。

研究グループはさらに対象を広げ、全国約三十市町村、十四万人の高齢者調査などを実施。幼いころ虐待を受けた人は老いてから歯を失う確率がなぜか14%高いなどのデータを得ている。

さまざまな社会格差が広がれば健康格差も広がる。

その格差が広がらぬよう、すぐにでも手を打たねばならない。高齢者向けの交流サロン、子どもの貧困を救う子ども食堂など、地域でできることはいくらでもある。給付型奨学金の支給などももっと増やしたい。

ただ既に一九九〇年代から世界保健機関(WHO)は、より総合的な対応を求めている。医療、介護政策だけでは不十分なのだ。


◆総合的な公共政策こそ
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その意味でも政府が進めている健康長寿の数字を追うだけに見える「健康日本21」の取り組みは心もとない。

欧州では健康格差が公認され、政府文書に明文化されている国々がいくつもある。

英国では医療・健康政策担当の保健省だけでなく、縦割りを排し住宅、社会ネットワーク、ボランティアの強化、社会保障、教育、交通網など、地方も巻き込み幅広い政策連携に取り組んでいる。

こうした対策は、効果に時間もかかろう。だが結局は、総合的な公共政策こそが健康格差解消への“近道”なのではないか。
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2017年03月05日

[東京新聞] 週のはじめに考える 政治の劣化と安倍一強 (2017年03月05日)

自民党が安倍晋三総裁の下、政権に復帰して四年余り。安倍内閣や自民党は依然、高い支持率を維持していますが、「政治の劣化」も気になります。

自民党はきょう定期党大会を東京都内のホテルで開きます。今後一年間の運動方針や党則変更などを決める、政党にとっては大切な一年に一度の集まりです。

今年の自民党大会が例年にも増して注目されるのは、党総裁の任期をこれまでの「連続二期六年」から「連続三期九年」に延長することが決まるためでしょう。政権を担う自民党総裁の任期はそのまま首相任期に直結するからです。


◆任期延長には賛否両論
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安倍首相の在職日数は昨年十二月五日、第一次内閣(二〇〇六〜〇七年)との通算で千八百七日に達し、戦後四位の中曽根康弘氏を超えました。

安倍氏の党総裁としての任期は現在一八年九月まで。総裁任期の延長が党大会で決まり、次の総裁選を勝ち抜けば、最長二一年九月まで首相を務められます。

一九年八月には戦後一位で安倍氏の大叔父である佐藤栄作氏を、十一月には戦前も含めた歴代一位で、安倍氏と同じ長州(山口県)出身の桂太郎氏をも抜きます。憲政史上例のない長期政権です。

党大会で、安倍氏は「二〇二〇年の日本・安倍総裁の決意」と題して演説します。総裁任期の延長には賛否両論がありますが、総裁選に勝ち、二〇年の東京五輪・パラリンピックまで首相を続けたい、との決意表明にほかなりません。

学校法人「森友学園」への国有地売却問題が国会で本格的に追及される前の世論調査ではありますが、共同通信社が二月中旬に実施した最新の全国電話世論調査によると、内閣支持率は一月より2・1ポイント増の61・7%に達します。


◆政治家の基礎欠く若手
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森友学園の問題が今後、安倍内閣の支持率にどう影響するのかは見通せませんが、首相主導の経済政策が成果を上げているとは言えない状況でも依然、高支持率を維持しているのが実情です。

「安倍一強」は簡単には揺るがないようにも見えます。ただ、足元を見ると安心してはいられないのでしょう。その危機感は自民党の取り組みからもうかがえます。党内の「人材育成検討プロジェクトチーム」による提言です。

新人議員らの政策立案や議会運営などの能力向上が必要だと指摘し、総裁ら党役員が直接、党の基本理念や議員の心得、政策決定の仕組みなどを指導する研修の開催を求める内容で「努力を怠れば、党に対する国民の信頼を失う結果を招く」と、危機感をあらわにしています。

かつて自民党では「政治のイロハ」を教えるのは「派閥」の役割で、先輩議員が若手議員に教え込む姿がよく見られました。

小選挙区制や政党助成金の導入などの「政治改革」で派閥が力を失い、役割を果たせなくなったため、党本部が直接担わざるを得なくなったのです。それは自民党も政権時代の民進党も同じです。

一連の政治改革で大型疑獄事件は鳴りをひそめましたが、若手議員を中心に不倫や金銭トラブルをめぐる問題が相次ぎました。衆院への小選挙区制導入時の想定を超える、人材の劣化です。

そもそも小選挙区制の狙いは、政権交代可能な、政党中心、政策本位の政治の実現でした。〇九年と一二年に政権交代は実現しましたが、政策本位の政治には程遠いのが実情です。

国会では、野党の指摘や質問に、政権側が「レッテル貼り」と反撃する不毛な論戦が続きます。お互いが歩み寄り、よりよい結論を出すよりは、選挙をにらんで相手を徹底的に打ちのめす。敵か味方かに二分する分断社会が、日本の政界にも押し寄せています。

政権転落の危機感や政権復帰への焦りが、そうさせているのでしょうが、多様な民意を切り捨てることで成り立つ小選挙区制の弊害とも言えます。


◆権力集まりすぎる弊害
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安倍一強という状況も小選挙区制と無縁でありません。政党中心を目指した制度ですから、党首とその周りに権限を集めるのは当然としても、集まりすぎて権力が強くなりすぎたからです。

選挙での公認や内閣・党人事という生殺与奪の権力を持つ者に抵抗してにらまれるよりは、おとなしく従った方が得策という風潮が蔓延(まんえん)してはいないか。それを政治の進化とはとても呼べません。

その背景に選挙制度があり、負の影響が明らかに大きいなら思い切って見直すべきではないか。受け取る政党を「国営政党」としてしまう、約三百二十億円の政党助成金を含めてです。「平成の政治改革」から二十年余り。日本の政治も、曲がり角に来ています。
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2017年03月04日

[東京新聞] 石原元知事会見 責任逃れではないか (2017年03月04日)

見事に肩透かしを食らった。築地市場の豊洲への移転問題を巡り、きのう開かれた石原慎太郎元東京都知事の記者会見である。なぜ豊洲だったのかは氷解せず、元トップの無責任さだけが漂った。

豊洲市場問題は、小池百合子知事が築地からの移転を差し止めてから予想外の展開を見せてきた。 建物下にあるはずの盛り土が消えていたり、きれいなはずの土壌の地下水から環境基準を超す有害物質が検出されたりと、事態は悪化の様相である。

移転先としてガス工場跡地を選び、市場建設を軌道に乗せた時期の都のトップは石原氏だった。負の遺産と化しかねないとの風評さえ広がる今、詳しく経緯を説明する責任があるのは当然だろう。

ところが、石原氏が語った言葉は、およそ重要な論点を解き明かすに足るものではなかった。残念ながら、記者会見の意味すら見いだし難かった。

つまびらかにされるべき疑問点は、いくつもあった。

・なぜ土壌汚染が分かっている豊洲への移転を決めたのか。

・地権者の東京ガス側とどういう土地売買交渉がされたのか。

・売買契約に伴って、東京ガス側には以後、土壌汚染対策費を請求しないと約束したのはなぜか。結果として、都の負担は約八百六十億円にまで膨らんだのに、東京ガス側は七十八億円だった。

しかし、石原氏からは具体的な説明は一切聞かれなかった。

要するに、知事就任前から豊洲への移転は既定路線で、仕事は部下に任せ、求められた通りに裁可したにすぎないと訴えたかったようだ。「私一人というよりも行政全体の責任」と発言するに及んでは、開き直りにも等しい。

リーダーとしての責任の重みをわきまえないまま十三年余にわたり、首都の代表を務めていたのか。知事の役割とは何なのか。六千億円近い公金が投じられた揚げ句、凍結状態に陥った大事業を前に何らの痛痒(つうよう)も感じないのか。

石原氏は二十日に、強い権限を持つ都議会百条委員会での証人喚問を控えている。都民に対して丁寧に説明する絶好の機会である。当時の自らの役割と責任を進んで明らかにしてもらいたい。

豊洲市場の安全性は科学的に担保されているのに、移転を中断して無駄遣いをしているとして、小池氏を批判もした。だが、その前に、どうすれば都民や業者の安心感を取り戻せるか知恵を絞ることこそが、責任ある態度だろう。
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[東京新聞] 「共謀罪」 市民監視の脅威となる (2017年03月04日)

政府が創設したい「テロ等準備罪」の原案は、やはり「共謀罪」と趣旨が同じだ。処罰対象を二百七十七の罪名に絞り込んだというが、一般市民が対象となりうる罪も含み、到底賛成できない。

安倍晋三首相は「二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向けて創設が不可欠だ」と国会で強調した。だが、これは国民を誤信させる。あたかもテロ対策の法案だと思わせるからだ。

実際に明らかになった原案には、テロの定義もテロの文字もなかった。これでは看板と中身が一致しない。しかも、目的は国連の国際組織犯罪防止条約の締結であるから、どう考えても共謀罪である。

国連が求めるのは、国境をまたぐマフィアなど組織犯罪対策だ。金銭的・物質的な利益を得る犯罪、つまり麻薬や人身売買、マネーロンダリング(資金洗浄)などが念頭にある。国連の立法ガイドには「目的が非物質的利益にあるテロリストグループは原則として含まれない」と記していることからも明白だ。

日本の場合、共謀罪を創設しなくとも、マフィアや暴力団などの犯罪に対処できる国内法は十分に整っている。とくに重大な犯罪については、十三の共謀罪、三十七の予備罪も持っている。つまり現行法のままで条約を批准できる−。そんな議論によって、過去三回、この法案を阻止・廃案にしてきた経緯がある。

今回の場合は、政府が法案に「テロ」を冠することにより、テロに対する国民の不安を利用し、共謀罪を成立させる発想があるのではないか。そう疑われても仕方があるまい。政府は現在、法案にわざわざ「テロ」の文字をあえて入れる方針を決めたが、あまりに本末転倒である。

処罰対象の罪を六百七十六から二百七十七に絞ったが、一般市民が対象になる恐れが残っている。実際に、正当な活動をしている普通の団体であっても、その目的が「犯罪を実行する団体」に一変したと認定されれば、「組織的犯罪集団」とみなされる。政府はそんな見解を出している。その判断は捜査機関などが担うのだ。

極めて危うい。これでは一般市民が「座り込みをしよう」と話し合い、準備にとりかかれば、何らかの犯罪行為とみなされて、一網打尽にされる可能性がある。こんな発想を持つなら、もはやマフィア対策どころか、狙いは市民監視にあると疑われよう。
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2017年03月03日

[東京新聞] 女性議員の数 クオータ制導入しては (2017年03月03日)

「ガラスの天井」を破る第一歩にしてほしい。国会や地方議会選挙で男女の候補者数を「均等」にするよう求める法律が今国会で成立する見通しになった。女性の政治参画の流れを加速化したい。

世界百九十三カ国中、日本は百六十三位。議会の国際組織・列国議会同盟が一月にまとめた各国の下院(日本は衆院)に占める女性議員の割合である。驚くべき低水準である。日本の衆院議員に占める女性の割合は9%。世界平均23%の半分にも満たない。

アジアだけでみても、四割近くを女性が占める一位の東ティモールの足元にも及ばないほか、中国、韓国にも離されている。日本は完全に国際潮流から取り残されている。

ようやくこの現状を打破するべく国会が動く。衆参両院選挙などで男女比率をできる限り「均等」にするよう政党に努力を求める「政治分野における男女共同参画推進法」が全党一致で成立する見通しになった。野党案の「同数」よりも後退した感はあるが、画期的な一歩と評価したい。

しかし、これだけでは不十分だ。法律は努力義務を各党に課す理念法にすぎない。同法成立を機に、「均等」を実現するためのさらなる仕掛けが必要だ。

女性議員比率が高い欧州なども、数十年かけて増やしてきた。比率を高めるために百二十カ国以上が実施するのが「クオータ制(人数割当制)」だ。割り当てる議席数や候補者の性別比率を法律で定めるほか、政党が自発的に定める場合もある。

フランスや韓国では憲法や法律で女性候補者の割合を義務付ける。スウェーデンやノルウェーでは、比例代表の候補者名簿を男女交互にするなど政党が独自の取り組みをしている。日本も法改正や党則変更などで、クオータ制を導入する時にきている。

専門家の研究では、女性議員は女性の権利、子育て、介護、女性に対する暴力といった政策に熱心に取り組み、こうした施策の前進に貢献しているという。日本でも男女共同参画社会基本法やDV(家庭内暴力)防止法などが、女性議員の尽力で制定されたことを忘れてはなるまい。

人口は男女ほぼ半々である。にもかかわらず、意思決定の場で男性が圧倒的に多数を占める現状は、政策にゆがみを生じさせる懸念がある。多様性のある国会や地方議会を実現するため、各党には推進法の次の手を急いでほしい。
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[東京新聞] 企業の顕彰 経営の「常識」正しいか (2017年03月03日)

過重な長時間労働や業績を偽る不正会計…。名門といわれた大企業の不祥事が続く中、異彩を放つ企業表彰制度がある。「人」を大切にし、会社に関わる人々の幸せを優先する経営を選ぶのである。

七回目を数える「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞。その受賞者十七件が決まった。

残念ながら現在は株価や業績重視の経営が主流となっている。アベノミクスも経営者寄りの政策を進めてきた。だが、いくら業績が良くても、成果を求められる社員や家族らが豊かさも幸せも感じられないのであれば意味がない。業績はあくまでも経営の結果であって目的ではないはずだ。

しかし、不正会計が一昨年発覚した東芝のように業績を目的にし、無理に好業績を追求するから不幸な結末になる。過労死を招くような「人を大切にしない経営」はすぐにも変えなければならない。

賞の基準は厳格すぎるほどである。過去五年以上という長期にわたり、リストラなど人員整理をしていない▽仕入れ先にコストダウンを強制していない▽障害者を法定雇用率以上に雇用▽黒字経営(震災時など一過性の赤字は除く)▽重大な労働災害を起こしていない−というものだ。

この賞が重みを持つのは、「人を大切にする企業」は好不況の波に左右されず業績が良いという事実があるからだ。

今回、最高の経済産業大臣賞に選ばれたのはTOTO(北九州市)で、過去五年間に離職率が実質0%なこと、重度が半数を占める障害者ほぼ全員が正社員、有給休暇取得率や平均年収が高いなど人を大切にするからだ。

厚生労働大臣賞には学校法人・柿の実学園(川崎市)が選ばれた。三十八クラス、千六百人と全国最大規模の園児を受け入れ、重度障害児を優先的に入園させるなど二割が障害児。健常児と同一の環境で保育し、社会的包摂の成果を上げている。

実行委員会特別賞のウェルテクノス(岐阜県大垣市)は障害者雇用を支援するためにできたIT企業。創業者の服部義典氏は先天的に各臓器が左右逆という難病を持ち、就職に困難を極めた経験から起業した。自身の給与を十万円に抑え、障害者の働く場と、低すぎる賃金の増加に十年以上も尽くした。服部氏は昨年十二月、四十五歳の若さで永眠した。

「正しい経営」が広まれば日本はもっと良くなるはずだ。まずは経営の「常識」を変えねばならない。
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2017年03月02日

[東京新聞] いじめの調査 公開してこそ役に立つ (2017年03月02日)

自殺や不登校に追い込まれた重大ないじめを調べながら、結果を伏せる自治体が目立つ。責任逃れではないかとの疑念さえ湧く。社会全体で反省点を共有しなくては、再発防止にはつながるまい。

いじめが引き金となって、子どもの生命や心身、財産に深刻な被害が生じたり、不登校を余儀なくされたりしていると疑われるケースを重大事態という。

教育委員会や学校法人、または学校は、第三者委員会のような組織を置いて事実関係を調べ、被害者側に情報を提供しなくてはならない。いじめ防止対策推進法はそう定めている。

看過できないのは、調査結果の公表に後ろ向きな自治体が多いことである。隠ぺい体質の仕業とすれば、いじめの根絶は難しい。

共同通信の二月の集計では、公立学校での重大事態を受けて二〇一五年度に設けられた第三者委による調査で、結果がまとまった三十八件のうち、公表されたのは十六件にとどまり、十八件が非公表とされた。四件は不明だった。

中には、被害者側の意向を確かめないまま非公表にしたり、委員の身元さえ明かさなかったりした自治体もあるという。一体、誰のため、何のために調べるのか。

これでは調査の公平性、中立性に疑問符がつくだけではなく、単なる行政上の儀式に堕しかねない。失態を隠して、問題を矮小(わいしょう)化する意図があるのではないかと受け取られても仕方あるまい。

例えば、福島原発事故で、福島県から横浜市に自主避難した中学生が、小学生時代にいじめられて不登校になった問題である。

昨年十一月、被害者側が世に問うてようやく、学校側を「教育の放棄に等しい」と批判した調査報告書の一部が公表された。

大津市でも、小学生が不登校になった問題を巡り、昨年五月にまとまった調査報告書を公表するよう被害者側が望んでいる。「加害側を生み出す土壌を放置した」と学校側を指弾している。

無論、被害者、加害者双方のプライバシーへの配慮は欠かせない。けれども、それを盾に説明責任を避けるようでは、教育現場への不信は増すばかりだろう。

中学生が自殺した問題を調べた名古屋市は昨年九月、学校名や生徒名を伏せた調査報告書を公表し、ホームページに載せた。こうした事例を幅広く共有して、いじめを防ぐ知恵を出し合いたい。

子どものいじめは大人の映し鏡である。社会全体に責任がある。
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[東京新聞] 米国防費10%増 力だけで平和は来ない (2017年03月02日)

そんなに増やして何をするつもりなのか。施政方針演説で「米国史上、最大規模の国防費増額」を表明したトランプ米大統領だ。国家ビジョンを示さないまま軍拡に走る姿勢に危惧を覚える。

演説は「米国精神の再生」をテーマに「偉大な米国の新たな一章が始まった」とうたい上げ、楽観的な先行きを描いてみせた。一月の就任演説が「悲観的すぎる」と批判されたためだろう。

それにしても大盤振る舞いだ。

「歴史的な税制改革」に踏み切ると見えを切って所得税と法人税の大減税を約束。一方で「新たな国家再建計画」として、一兆ドル(百十三兆円)の官民資金をインフラ整備に投じると表明した。

連邦政府の債務残高は二十兆ドル近くにまで膨らみ、それでなくても火の車だ。議会との衝突が予想される。

トランプ氏は国防予算の具体的な数字は示さなかったものの、二〇一八会計年度(一七年十月〜一八年九月)は前年度比約10%アップの五百四十億ドル増やす方針だ。

アフガニスタンとイラクの二つの戦争で膨らんだ国防費は、オバマ前政権下で抑制された。このため訓練が中止されたり、空母の展開が遅れたりする支障を来した。

それでも米軍は桁違いに強大だ。オバマ前大統領は昨年一月の議会演説で、米国の国防費は世界第二位から九位の国のそれを合算したよりも多いとして「史上最強の軍隊だ」と誇った。

トランプ氏は国家戦略や国際戦略を体系的に語ったことがない。全体の青写真がない中で、軍事力強化を先行させていくことに懸念を覚える。他国との軍拡競争も引き起こしかねない。

政府は国防費増の財源を非国防費の予算を削って捻出する考えで、トランプ氏が目の敵にする環境保護局が標的にされそうだ。

加えて、米メディアによると、国務省と途上国支援を担当する国際開発局の予算を四割近く削減することも提案した。

だが、紛争防止や平和構築に不可欠なのは外交力であり、民生向上に向けた支援だ。

ファーゴ元太平洋軍司令官ら百二十人余の元軍高官が「国家が直面する多くの危機は軍事力だけでは解決できない」とする連名の書簡を議会に送り、外交・援助予算の削減に反対した。

トランプ氏は「力による平和」を標ぼうするが、力だけでは平和は実現しないことを悟るべきだ。
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2017年03月01日

[東京新聞] 原発再稼働 責任と倫理はどこに (2017年03月01日)

関西電力大飯原発3、4号機が規制基準に「適合」と判断された。そして電力事業者は、当然のように再稼働へと走りだす。誰も「安全」とは言えないものを、なぜ、動かすことができるのか。

「適合」の審査書案がまとまるたびに不思議に思う。原子力規制委員会の審査は結局、誰のため、何のためにあるのだろうか。

昨年六月、大飯原発で想定される地震の揺れの大きさについて「過小評価されている」と、関電が示した計算に、“外部”から異議が出た。

指摘したのは、前委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授。地震予知連絡会長なども務めた地震学の泰斗である。熊本地震の観測データなどから疑問がわいた。

規制委側が別の手法で独自に再計算した結果、「審査で了承した揺れをさらに下回る結果になった」と、その異議を退けた。

その後規制委は「信頼性が低い」と再計算の結果を自ら撤回し、関電の計算があらためて妥当とされた。基準の曖昧さが露呈したとは言えないか。

式の立て方で結果がころころ変わる。「そんなの当てにならない」と不安になるのが、普通の市民の感覚だろう。それでも関電の計算に従って、地震動を見直さないまま、大飯原発3、4号機は、3・11後の新たな規制基準に「適合」すると判断されたのだ。

最新の科学的知見を採り入れて適否を判断する−。3・11の教訓に基づく新規制基準の根本方針だったはずである。

島崎氏が辞任したあと、規制委に地震動の専門家はいないまま。

専門家である島崎氏の疑念について、果たして議論は尽くされたと言えるのか。3・11の教訓が、いかされているとは思えない。

規制委は「安全」を判断しない。最後に決めるのは関電だ。

安全の保証はどこにもなく、事故の責任を負いきれるものもない。利害関係を有する“地元”以外は、意見を通すすべもない−。これが原発規制の現実なのだ。

間もなく六年。世論調査では依然国民の過半が再稼働には反対だ。なのになぜか、被災地から遠い西日本の原発は淡々と動きだす。

規制委の審査結果をもとに、地元や国民、電力事業者の知見や意見を総合し、ドイツのように科学と倫理に基づいて、責任を持って再稼働の適否を最終的に判断できる機関が必要だ。それが無理なら、原発はやはり動かせない。
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[東京新聞] 中国の管理強化 息苦しい社会に懸念 (2017年03月01日)

中国がどんどん息苦しい社会になっている。国や共産党の力が強くなり、言論の自由の抑圧はいうまでもなく、個人情報や通信手段の徹底した管理が露骨になっていることも懸念される。

中国で昨年十月末、携帯電話の実名登録制を強化するとの通知が出された。すぐに登録しなかったため十二月に突然止められたケースもある。

規制強化の理由は、携帯を使った詐欺犯の防止などとされた。その国の法律や規則には従うべきであるが、実名登録の強化には、個人情報を厳格に管理して治安維持や独立派のテロ対策に役立てようとの意図が色濃くにじむ。

登録には派出所に登録した個人情報や会社の登記書類も必要で、携帯電話販売店の窓口では顔写真も撮影されるという。上海のメディア関係者の例では昨年夏、ショートメールのやりとりで「(天安門事件など)政治的に敏感な言葉が多すぎる」との理由で、携帯が使用不能にされたこともあった。

中国は一月、国内で閲覧できないサイトを見るのに使う「仮想プライベートネットワーク」(VPN)の規制強化にも乗り出した。政府批判の材料になりかねない海外の報道やネット情報を遮断する狙いがあるようだが、個人や社会を徹底して監視する動きは不気味でもある。

外国人労働者を、A類(ハイレベル人材)、B類(外国専門人材)、C類(一般人材)にランク付けし、ビザ取得などで異なる扱いをする政策も今春、本格運用される。優秀な人材を確保する一方、製造業やサービス業などで国内雇用を守る目的があるようだ。

とはいえ、人権や個人の尊厳を守るよりも強権統治を最優先するからこそ、年収、学歴、年齢などで人材をランク付けし、不要な人材を排除するという発想が出てきているのではないか。

中国では都市戸籍と農村戸籍を厳格に分け、農民を「二等公民」と差別してきた歴史がある。それなのに、大都市では地方からの流入を防ぐため、外国人労働者と同様なランク付けによる「新戸籍制度」を導入する動きもある。

毛沢東をネットで批判した大学教授や地方幹部らが一月、相次いで解雇された。毛支持者の強い批判を浴びた結果ともいう。

毛時代終焉(しゅうえん)から四十年余。強権による管理の徹底が再び、独裁的な権力者への民衆のおもねりを生んでいないか心配である。
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2017年02月28日

[東京新聞] 陛下ベトナムへ 平和・友好の象徴思う (2017年02月28日)

天皇、皇后両陛下はきょうから、ベトナムとタイを訪問される。日本とベトナムの歴史は意外と深い。旧日本軍が進駐したこともある。平和の願いが伝わる旅になるに違いない。

一八八〇年代にベトナムはフランスの植民地となって以来、独立は民族の悲願であった。独立運動の指導者は、明治維新から近代国家となった日本を模範にした。運動を担う人材を育成しようと、多い時期で二百人ほどが日本に留学していたといわれる。

「東遊(ドンズー)運動」と呼ばれる。「東」とは日本を指す。だが、フランスはこれを弾圧し、長くは続かなかった。指導者はファン・ボイ・チャウ氏で、両陛下は今回の旅で、チャウ氏の記念館を訪ねられる予定だ。

古い両国の歴史を振り返るいい機会となろう。

一九四〇年には旧日本軍が「仏印」北部に進駐した。仏印とはフランス領インドシナで、現在のベトナムやカンボジア、ラオスである。日中戦争さなかで、中国国民党の〓介石を援助する「援〓ルート」を封鎖するねらいがあった。四一年には南部にも進駐した。

終戦後には仏印に駐留する日本兵は八万人にも膨らんでいた。大半は帰国したが、残留した者もいた。その後、独立を宣言したベトナムと再植民地化を狙うフランスとの間で戦闘が始まる。そのうち日本兵約六百人がベトナム側に加わったといわれる。

抗仏闘争に貢献した元日本兵は「新しいベトナム人」と呼ばれた。ベトナム人女性と結婚し、家族を持った兵士も多かったが、帰国の際に家族の帯同が認められず、離別を強いられた。

両陛下はこの「ベトナム残留元日本兵」の家族と面会する予定もある。両陛下は関連する新聞記事にも目を通すなどして、入念な準備を重ねていたという。

戦争によって引き裂かれた家族に心を寄せておられるのだろう。そのお気持ちがにじんでいる。パラオやフィリピンなどへの「慰霊の旅」にも通じるものがある。

何よりも昨年八月に「退位」を望まれてから初の海外への親善の旅である。ベトナム、タイ両国の招待に応え、親善を深めたいお気持ちが強かろう。タイでは昨年十月に亡くなったプミポン前国王を弔問する。天皇のご訪問で両国の友好は深まる。天皇陛下が強調された「象徴としての行為」の重要さをあらためて考えるべきである。

※〓はくさかんむりに將
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[東京新聞] ロシアの闇 重苦しい沈黙が覆う (2017年02月28日)

沈黙は重苦しさを増すばかりだ。大政翼賛のプーチン体制の下で少数意見が封じられるロシア社会。野党指導者ネムツォフ元第一副首相が暗殺されて二十七日で二年。真相は闇の底に沈んでいる。

ネムツォフ氏の盟友だった反体制活動家のカラムルザ氏(35)が今月二日、突然体調を崩し入院した。原因不明の多臓器不全で一時は昏睡(こんすい)状態に陥ったが、一命をとりとめた。

実はカラムルザ氏はネムツォフ氏殺害の数カ月後、同じような症状になり死線をさまよったことがある。血中から高濃度の重金属が検出された。カラムルザ氏は二件とも何者かによる毒殺未遂事件だとみている。

カラムルザ氏は昨年、プーチン政権の人権侵害を理由に対ロ制裁の拡大を米議会に要請していた。

二〇〇〇年のプーチン政権発足以来、反体制派やジャーナリストを狙った暗殺事件が相次ぐ。

〇六年に元情報部員のリトビネンコ氏が亡命先のロンドンで、放射性物質のポロニウムによって殺害された事件では、英国の独立調査委員会がプーチン大統領の関与を指摘した。

この事件の直前にはチェチェン戦争の暗部を描いた女性記者ポリトコフスカヤ氏も暗殺された。

〇九年には、ロシア兵に殺害されたチェチェン人女性遺族の代理人を務めていた人権派弁護士と女性記者が一緒に射殺された。

実行犯は捕まっても背後関係は不明のまま真相が解明されることはない。法治体制に穴があいている事態を憂える。国家の体面としても名誉なことではない。

カラムルザ氏の妻は米CNNテレビの取材に「夫への犯行を助長するような社会の風潮をつくりあげたことに責任がある」と語り、プーチン政権を非難した。

腐敗告発のブロガーとしても人気のある野党指導者のナワリヌイ氏に八日、有罪判決が下ったことも、野党には衝撃だった。

ナワリヌイ氏は横領事件の主犯として一三年にも有罪となったが、欧州人権裁判所が裁判の不公正を認めたのを受け、審理差し戻しになっていた。

ナワリヌイ氏は来年の大統領選では、プーチン氏の有力対抗馬になると目されていた。それが法的に出馬は厳しくなった。

「シロビキ」と呼ばれる軍や治安機関を主要な政権基盤とするプーチン氏は、八割を超す支持率を誇る。半面、もの言えぬ国の暗さが政権にはつきまとう。
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2017年02月27日

[東京新聞] 米欧の溝 価値観共有で真の絆を (2017年02月27日)

米トランプ政権幹部らが米欧の結束を確認した。欧州は安堵(あんど)したが、強硬なトランプ大統領との溝は、なお深い。人権重視や国際協調などの価値観共有を訴え、真の信頼関係を築きたい。

トランプ氏は選挙期間中、米欧の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)を「時代遅れ」と批判し、ロシア寄りの発言を繰り返していた。欧州連合(EU)からの英国の離脱決定を称賛した。欧州の不信は強まっていた。

今月、NATO国防相理事会に初めて出席したマティス米国防長官は「米国は責任を果たす」と述べ、ペンス米副大統領はドイツ・ミュンヘンでの安全保障会議で「NATOへの関与を続けていく。ロシアには責任を負ってもらう」とロシアへの強い姿勢を示した。

ペンス氏はEUとの連携強化も明言した。欧州の懸念はひとまず払拭(ふっしょく)された。

マティス、ペンス両氏とも、NATOを支える国防費増額を加盟各国に求めた。メルケル独首相は要求に応じる考えを示した。

しかし、これでは既定路線にすぎない。かろうじて確認されただけの絆では心もとない。

不安要因も多い。

トランプ氏が敵視する米CNNテレビによると、トランプ氏への影響力が強いとされるバノン首席戦略官兼上級顧問は、ペンス氏訪欧の一週間前、独外交官に、EUには欠陥があり、加盟各国との二国間の関係強化を望んでいる、と伝えたという。ペンス氏、バノン氏どちらの対応がトランプ政権の本音なのか、混乱は広がる。

さらに問題なのが、米欧の価値観共有が揺らいでいることだ。

宗教差別にも映るイスラム圏七カ国からの入国禁止に固執し、メディアを敵視し言論の自由を軽視する、トランプ氏の政策は欧州で強い反発を呼んでいる。

トランプ氏は、ありもしないスウェーデンの「テロ」まで引き合いに出して、移民の脅威を強調した。そもそも欧州への関心があるのだろうか。

日本も共有する人権などの価値観の軽視は、先進七カ国(G7)などの枠組みの存在意義にも関わり、国際秩序をも覆しかねない。

欧州自体が難民問題などで揺れるが、協調を確認し、思いを一つにするよう米国に訴え続けたい。トランプ氏は聞く耳を持たないかもしれないが、毅然(きぜん)と是々非々で向き合いたい。ディール(取引)だけの関係はもろい。
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[東京新聞] 保育園落ちた いつになれば解消する (2017年02月27日)

四月の保育所入所をめぐり、今年も「保育園落ちた」の悲痛な声が相次ぐ。首相は新年度末までの「待機児童ゼロ」の目標達成は困難との見方を示した。対症療法でなく抜本的に政策転換すべきだ。

積年の待機児童問題はいつになったら解消するのか。

子どもが四月から認可保育所に入所できるのか、二月は自治体から可否通知が届く。「妊娠中から保活に走り回ったが入所できなかった」「入所先が見つからず退職」「会社の託児所に一歳児を預かってもらうことになったが、子連れで満員電車に揺られることになる」。国会内で開かれた集会では、認可保育所に入れなかった母親たちの怒りの声があふれた。

「保育園落ちた」と窮状を訴える匿名ブログが話題を集めて一年たつが、問題はさらに深刻化している。厚生労働省によると、待機児童数は二〇一六年四月で約二万三千人で前年より増えた。背景には非正規雇用の増加で世帯収入が減り、幼い子を持つ母親の就業率が高まったことなどがある。

国や自治体は保育施設を新設するなどして定員を増やすものの、入所希望者がそれを上回る勢いで増えるために追いつかない。

国はどう責任を持つのか。一三年に発表した「待機児童解消加速化プラン」は、五年間に保育の受け皿を五十万人分整備し、待機児童をゼロにする計画だった。だが目標達成について安倍晋三首相は「厳しい」と国会で答弁。

この間の対策には応急策が目立った。保育士配置や施設面で基準を緩和し、狭いスペースに子どもを詰め込もうとする。二歳児までの小規模保育所を増やしたが、それも三歳になれば行き場を失い、また保活を迫られる。企業主導型保育所も保育士の配置基準が緩く、親たちの心配は尽きない。

もっと政策の優先度を上げて予算を投じ、国の基準を満たした保育所を増やす。保育士の給与引き上げも一部でなく全体の処遇改善につながる政策が必要だ。

国はいまだに正確な待機児童数を把握していない。自治体によっては認可保育所に入れずに育休を延長したり、認可外施設などに入った場合は待機児童に数えていない。こうした「隠れ待機児童」を含めて九万人規模とも。都会の問題だとみられてきた待機児童は地方にも広がっている。

子どもの数は減っても保育の需要はこの先も増える。今こそこうした社会構造の変化に向き合った抜本的な政策転換を図るべきだ。
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