2017年11月18日

[日経新聞] 開かれたアジアへ課題多い (2017年11月18日)

トランプ米大統領の初来日から東アジア首脳会議まで、アジアを舞台とした高いレベルの外交イベントがこのところ相次いだ。そのなかで、北朝鮮の核・ミサイル開発に対し地域の国々がほぼそろって厳しい姿勢を確認したのは、一定の成果だ。

ただ、もうひとつの焦点である南シナ海問題では、実効支配をめざす中国の動きに歯止めをかける機運が弱まった印象を受ける。日本は米国とともに「自由で開かれたインド太平洋」を訴えたが、…
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2017年11月17日

[日経新聞] 角界は暴力根絶へウミを出せ (2017年11月17日)

大相撲の名と歴史を汚した以上に、人として許されない。

横綱、日馬富士が同じモンゴル出身の幕内、貴ノ岩を酒席で何度も殴り、けがを負わせていたことがわかった。

相撲界では、2007年に親方らが力士に暴行し死亡させたとして有罪判決を受けた。10年には当時の横綱、朝青龍が一般人を殴り、引退に追い込まれている。相次ぐ事件に日本相撲協会は再発防止を誓い、力士らへの指導や啓発を重ねてきた経緯がある。

それにも…
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2017年11月16日

[日経新聞] 外部環境に揺さぶられない強い経済を (2017年11月16日)

2017年7?9月期の実質国内総生産(GDP)は前期比、年率換算で1.4%増となり、約16年ぶりに7・四半期連続のプラス成長になった。

12年12月に始まった今回の景気拡大局面は、9月で高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後2番目の長さになった。

景気拡大は長くなったが、日本経済の実力を示す潜在成長率の低下もあって、成長のテンポは緩やかだ。米国や中国など海外経済の拡大を背景に、輸出や海外直接投資による企業の稼ぎが増える一方、個人の所得や消費の伸びは鈍く国内需要は盛り上がりを欠く。

7?9月期のGDPの前期比成長率0.3%の内訳をみると、外需が成長率を0.5%分押し上げる一方で、内需は0.2%分押し下げる方向に働いた。

長雨や台風など天候不順に伴う消費伸び悩みという特殊要因もあるが、外需に比べると内需が力強さを欠いているのは確かだ。

人口減少で国内市場が縮小するなか、企業はグローバル展開を進め海外で稼ぐ力を強めている。企業が生き残るために外需を取り込むのは重要な戦略だ。

半面、日本経済が従来よりも一段と海外経済や円相場の変動など外部要因に左右されやすくなっている側面もある。

持続的な成長のためには、国内経済もしっかり再生する必要がある。国内に投資を呼び込むビジネス機会を増やす規制改革を進め、海外企業も含めて日本にもっと投資を促すことが重要だ。

企業が国内でもっと稼げるようになれば、従業員の賃上げも進みやすくなる。また、第4次産業革命など構造変化に対応して、円滑な労働移動をうながす雇用市場改革も必要だ。人工知能(AI)やロボットを活用し、少ない人数で稼ぎを増やす生産性の引き上げにも取り組むべきだ。

物価の動きを総合的に示すGDPデフレーターは7?9月期は前年同期比で0.1%上昇し、5・四半期ぶりにプラスとなった。日銀はデフレ脱却に向けた金融緩和を継続し、好調な企業収益を背景に株価も上昇基調にある。投資家や経営者の心理好転は経済の好循環を進めるのに役立つだろう。

好調な企業部門の稼ぎの恩恵を国内経済にもっと行き渡らせ、バランスがとれ、自律的な経済成長を続けるには、政府・企業の一段の努力が求められる。
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[日経新聞] RCEP交渉も忘れるな (2017年11月16日)

日中韓にオーストラリア、ニュージーランド、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国を加えた計16カ国は、域内最大級のメガ自由貿易協定(FTA)の交渉をしている。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)だ。

16カ国はマニラで開いた首脳会合で、目標としていた年内の合意を断念し来年以降も交渉を続ける点を確認した。拙速は避けるべきだが、交渉があまりに遅いのも問題だ。立て直しは急務である。

米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国は新協定「包括的および先進的なTPP協定」を結ぶことで大筋合意した。事実上の11カ国によるTPP(TPP11)だ。

これに対し、RCEPは約4年半も交渉しながら目立った成果をあげられずにいる。自国市場の保護を優先するインドや中国は貿易・投資の自由化に慎重で、高水準の自由化を求める日本やオーストラリアとの隔たりが大きい。

モノにかかる関税の引き下げや撤廃の度合いが低ければ、その分だけ経済効果は小さくなってしまう。日豪はTPP11の成果を生かし、質の高い合意の意義を粘り強く説いていく必要がある。

中国やASEANの一部の国は、自由化度が低い内容であったとしても、早期の交渉妥結を求めたとされる。日本としては質にこだわりつつ、「合意を邪魔している」と受けとられないような外交努力がいる。

たとえば、ミャンマーやラオスなどの途上国に、経済発展に応じて段階的な自由化を認める対応が考えられる。日本も人材育成などを支援していくべきだ。

16カ国のうちカギを握るのは中国の対応だ。貿易ルール分野の最大の焦点である電子商取引などの分野で主張の隔たりを狭めるため、日中の2カ国を中心に集中協議をしてはどうか。

RCEPは経済規模でTPP11を上回る。TPP11だけでなく、もう一つのメガFTA交渉も着実に前進させなくてはならない。
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2017年11月15日

[日経新聞] ライドシェア敵視は時代遅れ (2017年11月15日)

規制の壁とタクシー業界の反対によって、日本では自家用車で人を運ぶライドシェアサービスの事実上の禁止状態が続いているが、そろそろ解禁を真剣に検討すべき時期ではないか。

スマートフォン経由で簡単に車を呼べるライドシェアは、自国で使い慣れた海外からの訪日客にとってはごく当然のサービスだ。加えてタクシー業界がいま直面する最大の課題である運転手不足の解消につながる可能性もある。

タクシーに関わる官民は従来のいきさつにとらわれず柔軟な発想で一歩踏み出してほしい。

変化の兆しはある。タクシー業界はこれまで一枚岩でライドシェア反対の旗を振ってきたが、内部から異論が出始めた。中堅の三ケ森タクシー(北九州市)の貞包健一社長は規制改革推進会議のヒアリングで「反対を叫ぶだけではダメ。タクシー会社もライドシェアの手法を導入することで、市場を活性化できる」と表明した。

こうした声があがる背景には深刻な運転手不足がある。全国のタクシー運転手の数はピークだった2004年度の43万人弱から15年度には30万人強まで減った。60歳以上の運転手が過半数を占めるなど高齢化も著しく、人手不足で廃業せざるをえない会社もある。

ライドシェアの解禁は業務用の運転免許(2種免許)を持たない一般のドライバーによる旅客運送に道を開くものだ。タクシー会社にとっては、暇な時間と自家用車を使って副収入を得たい人を組織することで、運転手不足を克服できるかもしれない。今より安い料金設定で、新たな需要を喚起できる可能性もある。

タクシー行政を所管する国土交通省も全国一律の発想を改め、東京のようなタクシーがたくさん走っている都市部とそうではない地域では別のルールを適用するような柔軟性があってもいい。

ライドシェアを敵視するばかりが能ではない。安全性をどう担保するかを含め、官民が知恵を出し合い、上手に活用するときだ。
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[日経新聞] 保育・教育無償化は所得制限が前提だ (2017年11月15日)

安倍晋三首相が衆院選で公約した保育・教育の無償化について、政府内の制度設計が大詰めを迎えた。国の財政が逼迫しているなかで財源に2兆円を計上する総額ありきの決定を危惧する。無償にするのは税による支援を真に必要とする低所得世帯に限るべきだ。

2019年10月に消費税率を10%に引き上げるのに伴う国の増収分のうち、首相は1兆7千億円を無償化の財源に充てる。産業界には3千億円の拠出を求め、人づくり革命と称する2兆円規模の総合対策をつくる。

2歳児までの保育料と大学授業料の無償化は低所得世帯に限る。問題は3?5歳児だ。世帯年収に関係なく8千億円をかけて保育園・幼稚園を原則ただにする。

児童福祉法の基準を満たした認可保育所の場合、年収およそ1130万円以上の世帯が払う保育料は月3万?5万円が多い。このような世帯を保育料を免除している生活保護世帯と同じ扱いにするのは説明がつかない。

幼稚園は授業料が高額な一部の私立園以外を無償にする。保育園であれ幼稚園であれ、提供する保育・教育内容の善しあしにかかわらず税で補助金を配れば、経営規律を損なうだろう。

消費税財源を育児支援に充てるなら、もっと有効に使うべきだ。認可・認可外を問わず質の高い保育施設と人材に投資し、育児のために仕事を離れたり就労をあきらめたりする人を減らすのが、まっとうな使い道である。

質の高い保育を提供する認可外施設が認可施設に比べて不利にならないような税制面の改革も課題だ。保育士・介護士の基礎的資格の共通化など規制改革でもすべきことは少なくない。

また産業界は3千億円を出しっ放しにするのではなく、政府が待機児童対策などに有効に使うかどうか、きちんと監視すべきだ。

18年度の国の予算編成で、財務省は高齢化で増える社会保障費を6300億円から5千億円に圧縮する方針だが、四苦八苦しているのが実情だ。保育・教育の重要性は論をまたない。政権が重点政策にするのは理解できるが、2兆円もの巨費をばらまくのでは社会保障費の圧縮に逆行する。

公的サービスをいったん無償にすると、その後に少しの負担を求めるのにいかに苦労するかは、後期高齢者医療の事例が物語っている。それを思い起こすべきだ。
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2017年11月14日

[日経新聞] 神鋼の不正報告は不十分だ (2017年11月14日)

問題の原因を具体的に分析できておらず、品質管理を立て直すには不十分な内容だ。製品データの改ざんをめぐって神戸製鋼所がまとめた社内報告書のことだ。

第三者から成る外部調査委員会は改ざんの経緯を詳しく調べる必要がある。徹底した原因究明がなければ、いくら再発防止策が出されても説得力はない。

顧客と契約した基準に満たない製品を、品質データを書き換えて出荷するといった不正が続いた原因について、報告書は収益重視に偏った経営、納期優先の企業風土や、人の異動が少ない閉鎖的な組織などを挙げた。不正が最も多かったアルミ・銅事業部門はなかでも収益貢献への意識が強く、これが問題の背景にあるとみている。

だが明らかにしてほしいのは、改ざんの個々のケースについての具体的な経緯だ。どのような立場の社員が何人かかわり、何がきっかけだったのか。こうした実態が社内報告書は解明できていない。原因がはっきりしないなら効果的な対策は立てられない。

問題のあった製品の納入先は500社を超え、管理職の関与や不正が数十年続いていたことも指摘されている。内部統制の仕組みや経営を監督する取締役会がどのように機能していたかなどを含め、不正の原因を掘り下げて考える必要がある。

それだけに、年内に改めて報告書をまとめる外部調査委員会の役割は大きい。不正の芽を摘み取るうえで、神戸製鋼には何が欠けていたのかを浮かび上がらせてもらいたい。そこからコンプライアンスへの意識を取り戻す手立てや品質管理を担う人材の育成方法などもみえてこよう。

顧客と約束した基準から外れる製品を納めるという今回の不正は日本企業の品質管理への信頼を揺るがすものだ。日産自動車とSUBARU(スバル)の無資格検査も消費者を裏切る行為といえる。

日本製品への世界の信頼を損なわないためにも3社には踏み込んだ原因分析が求められる。
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[日経新聞] 安倍首相と習主席は相互訪問へ準備を (2017年11月14日)

安倍晋三首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のため訪れたベトナムで中国の習近平国家主席と会談した。続くフィリピンでの東アジアサミットの際は李克強首相とも会った。北朝鮮の核・ミサイル問題が深刻ななか、日中首脳間の頻繁な意思疎通を歓迎したい。

習主席は共産党大会で権力基盤を固め、トランプ米大統領の訪中など自らが主導する外交に力を入れている。安倍首相も衆院選の与党大勝で腰を据えて外交に取り組む環境が整った。

2012年秋、沖縄県の尖閣諸島の国有化を契機に中国で反日デモが起き、日本企業に深刻な被害が出た。中国公船の領海侵入は今も続いている。安倍首相がこれを念頭に「東シナ海の安定なくして真の関係改善はない」と指摘したように、今後も警戒は必要だ。

とはいえ習政権の5年間、激烈な反日デモは起きていない。習主席は歴史・台湾問題では原則的立場を表明したものの、日中関係が急激に悪化するリスクは以前より小さくなった。双方はこの機会を生かすべきだ。日中間には北朝鮮問題のほか「海空連絡メカニズム」の早期運用開始など緊密に意思疎通すべき課題が山積している。

世界2、3位の経済大国である両国の経済関係は強まっている。安倍首相は先に中国が主導する新シルクロード経済圏構想(一帯一路)に協力する用意があると表明した。習主席との会談では第三国で日中が協力してビジネスを展開するよう提案した。

日本としては、トランプ米大統領がアジア歴訪で表明した「自由で開かれたインド太平洋」という理念を共有しつつ、中国との経済を中心とした連携も探るべきだ。それは日中双方の利益になる。

中国国家主席の訪日は08年の当時の胡錦濤国家主席以来、途絶えている。来年は1978年の日中平和友好条約の締結から40周年に当たる。首脳相互訪問の復活にはまたとないチャンスだ。まず序列2位の李克強首相が出席する日本での日中韓首脳会談を実現させたうえで、トップ同士の往来を探る必要がある。

安倍首相はまず自らが適切な時期に訪中し、次に習主席も訪日する案を提起した。習主席は首脳往来を含む関係改善に前向きな姿勢を示している。今こそ日中関係の新たなスタートに向けた準備をすべき時だ。
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2017年11月12日

[日経新聞] クールジャパン再生へ政府の役割見直せ (2017年11月12日)

政府のクールジャパン(CJ)政策が迷走している。官製ファンドの投資先の選び方や観光振興への助成などで、首をひねる資金の使い方が目につく。コンテンツ振興による日本のファンづくりという原点に返り、政府にしかできない役回りに徹すべきではないか。

経済産業省は2007年、「感性価値創造イニシアティブ」という指針をまとめた。産業界は製品の耐久性や価格に代わり、デザインやイメージ、心地よさなどを訴え再生を図るべきだ、との内容だった。後のCJ政策の源流だ。

大きな方向性や、イメージ戦略の起点にアニメなどの現代文化を生かす発想はうなずける。英国や韓国などの成功例もある。問題は資金の具体的な使い方だ。

13年、経産省は官製ファンドの「海外需要開拓支援機構」、通称CJ機構を設立した。私たちは、有望な投資なら民間が手がけるはずであることや、日本製品だけを集めた施設は押しつけがましく無理があることなどを指摘し、監視や検証が必要だと警告した。

現在、相当数の案件で計画が未達であると本紙調査でわかった。投資の決定過程の不透明さも指摘されている。国のお金を預かる立場の機構は、案件ごとの経緯や現状について、詳しい情報をきちんと公開すべきではないか。

問題は機構だけではない。CJは省庁の垣根を越えて取り組むテーマと位置づけられた。この結果、農業、観光、地場産業振興や、成果の乏しい企業交流会などに支出先が広がっている。

「これもクールジャパンといえなくもない」といった理屈でばらまき先を広げるのはやめたい。政府が取り組むべきなのは輸出や企業の支援ではなく、例えば長い目でみた人材の育成と交流だ。

コンテンツの制作現場では、若者が低賃金、長時間労働で疲弊している。これではノウハウが蓄積しない。米、英、フランスなどは、創造的な仕事に従事する人々が適切な賃金を得られ、長く働ける仕組みをつくっている。

外国人が日本で学んだり、働いたりしやすくすることも大事だ。各国の出版・娯楽業界に、現地と日本の両方の文化を肌で理解し、橋渡し役になってくれる人が増えれば、コンテンツの普及はもっと進むとの声もある。

こうした課題は個別企業の力では限界がある。政府と民間との役割分担は、きちんと認識したい。
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[日経新聞] 「加計」乗り越え特区の再起動を (2017年11月12日)

学校法人加計(かけ)学園獣医学部(愛媛県今治市)の来春の開学が決まった。文部科学相の諮問機関、大学設置・学校法人審議会が設置を認める答申を出し、林芳正文科相は近く認可する。獣医学部の新設はじつに52年ぶりだ。

学園理事長が安倍晋三首相と親しいため、この問題は特異な経過をたどった。これを機に、既得権者と官僚組織が死守しようとする岩盤規制を打破すべく、国家戦略特区を再起動させるべきだ。首相は臆せず態勢を整えてほしい。

特区で獣医学部新設を認める条件として内閣府は「既存大学では対応が難しい」など4項目を挙げた。設置審はこの4条件とは別に教育課程や教授陣の質・数を確認し、問題はないと結論づけた。

文科省当局はこれまで、加計学園の計画は4条件を満たしていないと主張し、新設に後ろ向きだった。また早期開学を認めるよう官邸幹部から圧力をかけられたと前文科次官が明らかにし、国会で野党を巻きこんだ論争に発展した。

国会審議をみる限り、理事長が開学に便宜を図るよう首相に求めた事実は確認できない。だが首相側の説明もまだ十分ではない。元秘書官は今治市の担当者と官邸で会ったか否か記憶にないと繰り返した。首相と関係官僚には特別国会で説明を尽くす責務がある。

この問題があぶり出した行政文書の管理・保存ルールでは、役所の恣意が入る余地をなくすよう行政府にあまねく求めたい。

獣医学部をめぐっては、法的根拠なしに新設を阻んできた文科省の行政指導にこそ問題がある。教育と研究の質を高め、食の安全や感染症対策で消費者に恩恵をゆき渡らせるには、意欲ある大学経営者に広く参入を認めるべきだ。

同時に、水準を満たさない既存学部は撤退させるべくルールを整えるのが同省本来の役割である。

教育分野に限らず保育、介護、法曹、雇用、医療などの官製市場には既得権者が守りたい岩盤規制がある。消費者主権を貫くために戦略特区が果たす役割は大きい。
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2017年11月11日

[日経新聞] TPP11を礎に質高い自由貿易圏つくれ (2017年11月11日)

環太平洋経済連携協定(TPP)に参加する米国を除く11カ国による新たな協定の大筋合意の交渉が最終局面を迎えている。離脱前の米国を含む12カ国でまとめたオリジナル版の協定のうちルール分野で一部を凍結するものの、関税撤廃の約束はそのまま残す見通しだ。

新協定は実質的に11カ国によるTPP(TPP11)だ。保護主義に傾くトランプ米大統領が離脱を決め、TPPは瓦解する懸念さえあった。11カ国の議論を主導する日本の努力を評価したい。

世界最大の経済大国である米国のTPP離脱により、自由貿易圏としての規模は縮み、経済効果も小さくなる。それでも11カ国による協定締結の意義は大きい。

第1に、新協定は関税の撤廃だけでなく、きわめて質の高い貿易・投資ルールを定めている。

11カ国はオリジナル版TPPで米国が要求した項目のうち、たとえば医薬品データの保護期間などで米国がTPPに戻るまで実施を先送りする「凍結」で足並みをそろえつつある。

一方で電子商取引で使われるデータの流通制限の禁止などは当初の内容を保つ方向だ。TPPの骨格を維持できれば、日本企業のグローバル戦略への追い風となるだろう。

第2に、新協定が東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など他の通商交渉を刺激し、それらの貿易・投資の自由化度合いを高めていく効果が期待できる。

第3に、米国が日米2国間の自由貿易協定(FTA)締結を求めてきても、日本は「新協定の内容より譲れない」と理不尽な要求を退ける防波堤として活用できるようになる。米政権がすぐにTPPに復帰するのは考えにくい。それでも日本を含む11カ国は粘り強く米国に復帰を働きかけてほしい。

11カ国は9日夜の閣僚会合では大筋合意をしたものの、10日になってカナダの要請で合意を確認する首脳会合が急きょ延期になった。カナダを含め11カ国で新協定をできるだけ早く発効できるよう努力してほしい。

11カ国による協定発効後は韓国や台湾、タイ、フィリピンといった国・地域にも門戸を広げることが課題となる。TPP11は質の高いアジア太平洋の自由貿易圏づくりにむけた大きな礎である。日本は常にこの地域の自由貿易の先導役を果たさなければならない。
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[日経新聞] 北朝鮮に米中一体で圧力を (2017年11月11日)

トランプ米大統領が初めて中国を訪れ、習近平国家主席と会談した。習氏が皇帝の住まいだった紫禁城を自ら案内する厚遇と、超大型商談が目立ったが、肝心の北朝鮮問題での溝は埋まっていない。

北朝鮮に核放棄を促す手法をめぐってトランプ氏は圧力を重視する。習氏は朝鮮半島の非核化に力を尽くすとしつつも、対話を求める姿勢を崩さず、米国の武力行使もけん制した。共同記者会見では対立の表面化こそ避けたが、問題が先送りされたにすぎない。

核実験などを繰り返す北朝鮮の姿勢は一線を越えた。中国がもう一段の措置をとらない場合、北朝鮮は核放棄に応じる必要はないという誤った判断をしかねない。米中一体での圧力が今こそ重要だ。

トランプ訪中で中国側は2500億ドル(約28兆円)の大型商談に応じ、貿易不均衡問題での圧力緩和に成功した。習氏はさらに駒を進め、最近、対米外交で言及を控えていた「新しい形の大国関係」と全く同じ考え方をトランプ氏に提起した。

「太平洋は両国を受け入れることができるほど十分に大きい」。習氏は共同会見で太平洋を巡る貿易・安全保障の権益を分け合う意味を込めた文言も添えた。トランプ時代の米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から退いたのを好機と見て再び攻勢をかけている。

習氏が「新しい形の大国関係」を提起したのは4年前だ。オバマ前大統領は、そこに米中2国で世界を仕切る「G2」への願望を感じ取る。その強い警戒感は、アジア太平洋に米国が回帰する路線の強化につながった。トランプ氏が今後どんな姿勢を示すのか。それはアジア太平洋、インドを含む経済と安全保障に大きくかかわる。

残念だったのは中国の人権、民主化問題で突っ込んだやりとりがなかったことだ。中国が唯一、その意見を気にする実力ある国家が米国である。米大統領には、自国のビジネス上の利益追求ばかりではなく、中国が世界と協調する方向へ導いてゆく義務がある。
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2017年11月10日

[日経新聞] 財政規律欠く補正予算のバラマキ避けよ (2017年11月10日)

会計検査院が2016年度決算の検査報告をまとめた。税金の使い方などに問題があると指摘したのは計423件、金額では874億円あまりにのぼった。

先進国でもっとも財政状態の悪い日本では一銭たりとも予算の無駄遣いは許されない。それなのに不適切な支出が後を絶たないのはどういうことか。各省庁に猛省と再発防止を求める。

たとえば、厚生労働省による海外の戦没者の遺骨収集事業では、領収書が水増しされて一部の使途が不明だったほか、虚偽の内容の領収書を作っていた。

原子力発電所事故の復旧作業にあたった警察、消防などの計10万人程度の職員から健康診断のデータを集める事業では、たった645人分の情報しか集められず、その後も事業を見直さなかった。

今回の検査報告は、国の財政健全化を妨げる構造的な問題の一端にも、光を当てている。

いくら当初予算で歳出や新規国債発行額の上限を定めても、予算成立後の年度途中で補正予算が編成される。その結果、当初予算で求められる財政指標がどれだけかけ離れるか、補正予算の編成過程で示されていない――。会計検査院はこう指摘した。

その通りだが、補正予算によって当初予算が「骨抜き」にされ財政の悪化を重ねてきたのは、周知の事実でもある。

会計検査院が追及すべきは、不要不急の補正予算の編成を繰り返してきた政府・与党である。その問題と改善策に、もっと踏み込むべきだった。検査報告は不十分な内容といわざるを得ない。

17年度についても、安倍晋三首相はすでに補正予算案の編成を指示した。財政規律を欠いた安易なバラマキは許されない。

待機児童対策を進めるための保育所の建設費や、九州北部の豪雨災害の対策費用など、補正が必要な予算はあるだろう。

問題は、景気が底堅く財政で下支えする必要がないのに、従来型の公共事業が大盤振る舞いされる可能性が強まっていることだ。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)対策という名目の農業予算の膨張も、心配だ。

これにともなって新規国債発行額を増やせば、国と地方の基礎的財政収支を黒字にする目標を堅持する、といった首相の言葉が疑われる。補正予算は必要最小限の内容に絞り込まねばならない。
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[日経新聞] がん免疫療法の普及へ道筋を (2017年11月10日)

がんの免疫療法への風当たりが強まっている。科学的根拠の薄い治療をしたり法令に違反したりする例が出ているためだ。

適切な免疫療法を患者が安心して受けられるよう、厚生労働省は正確な情報を伝える仕組みを整えるべきだ。安全性が高く効果のある治療法の普及に道筋をつける取り組みが、求められる。

免疫療法は患者の免疫の働きを高めることでがんをおさえこむ。手術や放射線治療、化学療法と並ぶ主要な治療法として、海外では利用が広がっている。

国内でも、海外の先行例を踏まえ法に沿って慎重に実施している医療機関はある。「オプジーボ」など承認済みの免疫薬を使った治療や、一部の先端的な遺伝子治療も、免疫療法に分類される。

その一方で、設備が不十分な一部の民間クリニックが、安全性のはっきりしない方法で免疫細胞を処理して体内に入れる治療をした例が明らかになっている。

再生医療等安全性確保法に違反して処分されたところもある。結果として免疫療法全体に疑いの目が向けられているのが現状だ。

こうしたなか厚労省は、がん治療の中核をなす全国434の拠点病院を対象に、免疫療法の実態調査を始めた。拠点病院で保険の効かない高額な自由診療として免疫療法を実施しているのを、問題視する報道があったからだ。

だが拠点病院は、診断・治療に必要な医師やスタッフ、設備がそろい実績もあるからこそ、指定されている。厚労省が優先すべきは、体制の整わない民間クリニックなどの実態調査ではないか。

がん患者や治療の実態を集計している国立がん研究センターや関係学会と協力して、それぞれの治療法の有効性を示すデータなど情報の提供にも努めるべきだ。

海外で実績のある治療法は国内でも臨床研究を推進するなど、普及をめざす必要がある。「悪貨が良貨を駆逐する」のように、一部の不適切な行為のために患者の治療機会が奪われてはならない。
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2017年11月09日

[日経新聞] 健保の経営規律向上へ経済界は結束を (2017年11月09日)

主に大手企業が従業員とその家族の福利厚生のために設けた健康保険組合の財政が一段と窮迫している。各健保組合の理事長が経営感覚を磨くとともに、母体企業の経営層は医療費がかさむ要因に目を光らせ、制度のひずみを正すよう安倍政権に働きかけるべきだ。

全国およそ1400の健保組合で組織する連合会によると、2016年度に経常収支が赤字になった健保は543組合、保険料率を上げたのは206組合だった。

この結果、主に中小企業が組織する協会けんぽ(旧政府管掌健康保険)の平均保険料率である10%以上の料率を設定した組合は、304になった。主因は健保組合が高齢者医療制度に拠出する支援金などの増大である。

医療技術の進展に伴って高額な薬や治療法が次々に開発され、健保組合の加入者が使う医療費そのものが膨らんだのもさることながら、一方的に迫られる拠出金の影響はことのほか大きい。16年度の拠出金総額3兆2800億円は、健保組合が医療費として支出した法定給付費の85%にもあたる。

経営感覚に富む一部の健保組合は、病院・診療所が請求する診療報酬明細の監視強化や、加入者への健康指導を通じた病気予防に取り組んでいる。ビッグデータ解析や従業員のスマートフォン活用をいっそう工夫すれば、医療費の無駄を省く余地はさらに広がる。

他方で、拠出金膨張の勢いは強い。現状は健保組合の努力も焼け石に水だ。75歳以上の後期高齢者の医療費は本来、消費税財源を主体にするのが理にかなっている。けがをしたり慢性疾患になったりするリスクが現役世代より高く、保険原理が働きにくいためだ。

そのための消費税増税は、高齢者に資力に応じた負担を求めることにつながるので、世代間の不公平を和らげるのにも有効だ。しかし厚生労働、財務両省は企業の労使が保険料を負担する健保組合からの拠出金を引き上げて充当してきた。取りやすいところから取る策の典型であろう。

このままだと一部の健保組合は団塊世代すべてが後期高齢者になる25年を乗り切れまい。解散組合の母体企業は協会けんぽへ移り、そのぶん国費負担が増大し、国の財政を苦しめる悪循環に陥る。

拠出金の召し上げに歯止めをかけるべく、企業規模の大小にかかわらず結束して政府・与党に制度改革を迫る責務が経済界にある。
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[日経新聞] 日米韓の対北連携は大丈夫か (2017年11月09日)

米国のトランプ大統領が日本に続いて韓国を訪問し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との会談で核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に「最大限の圧力」をかけていくことで合意した。

北朝鮮に核放棄を促すには、中国やロシアを含む国際社会の結束が必要だ。だが、それを促すうえでも、まずは日米韓の連携が欠かせない。ぎくしゃくした関係が伝わる米韓の間で、日米と同様、北朝鮮に強い制裁と圧力を加えることが先決との認識を再確認した点は一歩前進だろう。

ただし、米韓の温度差は否めない。文大統領は会談後の記者会見で北朝鮮に早急に対話に応じるよう求めつつ、核問題の「平和的な解決」の必要性を強調した。

対するトランプ大統領は「必要であれば圧倒的な軍事力を全て使う」と言明。韓国での国会演説でも「力による平和」を訴え、軍事力の行使も辞さない覚悟で北朝鮮を抑止する姿勢を示した。

革新系の文政権はもともと北朝鮮に融和的で、これまでも南北対話の可能性などを探ってきた。北朝鮮が核やミサイルの挑発を繰り返すなか、さすがに米国と協調して圧力重視に軸足を移しつつあるものの、今秋には北朝鮮に対する人道支援の実施を決めるなど、足並みの乱れも露呈している。

米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備をめぐっては、これに反発する中国への配慮もあって、追加配備を受け入れない構えとされる。

韓国は対米貿易赤字の削減を求めるトランプ大統領の要請で、米韓自由貿易協定(FTA)の再交渉を余儀なくされた。こうした米韓のあつれきが、北朝鮮に対する包囲網づくりに向けた国際協調に悪い影響を与えないかが心配だ。

韓国政府は米大統領の歓迎夕食会に元慰安婦の女性を招待し、料理には日韓が領有権を主張する竹島の韓国側呼称をつけた「独島エビ」を提供した。北朝鮮をめぐる日韓や日米韓の連携に水を差しかねない対応で、極めて遺憾だ。
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2017年11月08日

[日経新聞] 国も企業も歴史的株高を成長につなげよ (2017年11月08日)

経済の体温計にも例えられる株価の上昇が続いている。日本を代表する企業の株価の値動きを示す日経平均株価は7日の東京株式市場で前日終値比389円25銭高の2万2937円60銭と、1992年1月9日以来、約25年10カ月ぶりの高値をつけた。

歴史的な株高が示すものは、バブル崩壊後に長らく低迷してきた日本経済の再生への期待だ。国も企業も株価上昇のメッセージを受け止め、持続的な成長に向けて改革を加速させるべきだ。

世界的な景気拡大を背景に、グローバル企業の業績が上向いていることが、足元の株価上昇の大きな要因だ。

例えばソニーは事業の選択と集中を進めたことによりエレクトロニクス部門の収益が回復し、2018年3月期に20年ぶりの営業最高益を見込む。トヨタは今期の営業利益の予想を1兆8500億円から2兆円に増額した。

米欧でも株価の上昇が続き、投資の余力が増した外国人投資家の資金が、好業績の日本企業にも回っている。衆院選で与党が勝利したことも、政治の安定を評価した海外からの投資を誘っている。

株価の上昇は個人の消費マインドを刺激するなど、経済の好循環を促す要因となる。しかし、日本の株式市場には逃げ足の速い投機的な資金も流入している。成長の支えとなる長期のリスクマネーを今後も呼び込むために、なすべきことは多い。

私たちは第4次安倍晋三内閣に、規制改革を中心にすえた成長戦略の重要性を訴えてきた。事業アイデアに対して関連法規を一時凍結する「サンドボックス」などの仕組みを活用し、新産業の芽を育てるべきだ。米国を除く11カ国による環太平洋経済連携協定(TPP)の発効に日本政府が力を尽くすことも重要だ。

企業にも課題は残る。手元の潤沢な現金を投資に回し、成長への布石を打つ必要がある。余力のある企業は賃上げなどを通じて人への投資も惜しむべきではない。資金を有効に使って国際的に見劣りする資本効率を引き上げることが、株価の上昇を長続きさせるうえで不可欠だ。

25年前の92年はバブル崩壊が明らかだったにもかかわらず、国も企業も改革を先送りした。その結果、同年3月に日経平均は2万円を割り込んだ。当時と同じ過ちをくり返してはならない。
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[日経新聞] サウジ皇太子の危険な賭け (2017年11月08日)

サウジアラビア政府が有力王族や現職閣僚ら数十人を拘束した。汚職への関与が理由とされるが、拘束を主導したムハンマド皇太子の王位継承に備えた権力基盤の強化と、抵抗勢力の排除がねらいと見たほうがよいだろう。

サルマン国王の息子で、32歳のムハンマド皇太子は石油頼みの国家運営からの脱却を掲げ、大胆な経済・社会改革を進める。外交・安全保障から経済・石油にいたる、幅広い権限を握るからこそできる変革であるのは間違いない。

ただし、批判や不満を力ずくでおさえこむ手法は国内に亀裂を生み、サウジの投資やビジネス環境に疑念を生じさせる危険な賭けと言わざるをえない。

サウジ政府は公式には誰を拘束したかを明らかにしていない。だが、拘束者の中にはアブドラ前国王の息子で後継候補の一人だったムトイブ国家警備相や、著名な投資家のアルワリード・ビンタラール王子らが含まれているという。

ムハンマド皇太子は改革の旗振り役として、非石油産業の育成や雇用の創出を急ぐ。イスラム教の理由から認めてこなかった女性の自動車運転や音楽コンサートも解禁する方向へ踏み出している。

一方、隣国イエメンの内戦介入やイラン、カタールとの国交断絶も皇太子が主導したとされる。ムハンマド改革は若年層の支持を得る半面、王室内や宗教界には不満がくすぶる。泥沼化するイエメン内戦や周辺国との対立は地域の緊張を高めている。

今回の拘束は王族であっても腐敗や不正は許さないとのメッセージを国民にとどけ、短期的には皇太子の権力基盤を強めるかもしれない。だが、改革の名のもとでの強引な政敵排除は新たな対立の火種となるのではないか。

サウジは世界有数の原油輸出国だ。領内にはイスラム教の聖地メッカもある。その安定は国際政治・経済に不可欠だ。このことをサウジが認識し、日本を含め国際社会はサウジの改革が軟着陸できるよう支えていかねばならない。
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2017年11月07日

[日経新聞] 日米主導でアジア安定への道筋を (2017年11月07日)

安倍晋三首相とトランプ米大統領が会談し、日米が主導して「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進することで一致した。中長期的な地域安定への道筋を示したことは、アジアの平和と繁栄に資する。インドやオーストラリアなども巻き込み、より強固な枠組みに育ててほしい。

「これほど緊密な首脳同士の関係はこれまでなかった」。首脳会談後の共同記者会見で、トランプ氏はこう力説した。歴代政権において日本が「日米蜜月」と強調したことは何度かあったが、米側がここまで評価したことはない。

北には対話より圧力で

異例のゴルフ接待には賛否両論あるが、緊密なシンゾー=ドナルド関係が日米同盟をより強固にしたといってよいだろう。

核・ミサイル開発をやめようとしない北朝鮮にどう対処するか。有事もあり得る状況を考慮すれば、トップ同士のパイプは太いにこしたことない。米政府にも融和を志向する向きがある。両首脳が対話よりも圧力に軸足を置くことを改めて確認したことは重要だ。

安倍政権が今回の首脳会談で目指したのは、首脳同士の個人的な友情の深化だけではない。北朝鮮のみならず、中国の海洋進出など東アジアの安保環境には難題が山積する。トランプ氏を迎えるにあたり最重視したのは、どちらかの国で政権交代があっても揺るがない地域安保の枠組みづくりだ。

実像と虚像の見極めが難しい外交・安保の世界では、軍事や経済の実力を精緻に積み上げることも大事だが、大ぶりの構想をぶち上げ、パワーゲームの主導権を握ることも意味がある。

1980年代に米レーガン政権が打ち出した戦略防衛構想(SDI)は「まやかし」と冷笑されることもあったが、結果として冷戦終結に寄与した。

中国は今年、「一帯一路」をテーマにした国際会議を開いた。習近平国家主席が4年前に提起した経済圏構想だが、徐々に安保の色彩を帯びつつある。

この流れに待ったをかけるには、国力にやや陰りがみられる米国が「アジア関与」を語る程度では十分ではない。自由主義と市場経済という普遍的な価値を共有する国々で、西アジアから太平洋地域に及ぶ連携の輪を築き、互いに助け合うことで影響力を強める必要がある。

ところが、自らの手腕に自信を持つトランプ氏は、多国間よりも2国間での交渉を好む。ドゥテルテ大統領とウマが合わないから、フィリピンには行きたがらない。ターンブル首相の電話をたたき切ったので、オーストラリアとは疎遠だ。そんな弊害が出ていた。

日米が重視する南シナ海の自由航行を維持するうえで、大統領がドゥテルテ氏だろうとなかろうと、フィリピンの地政学的な重要性に変わりはないのだ。

「自由で開かれたインド太平洋戦略」は、トランプ氏が多国間の枠組みに理解を示した初めての事例である。このことの意味の大きさをよく認識したい。

これがさらに環太平洋経済連携協定(TPP)への回帰など、経済分野にも波及するかどうかはわからない。安倍首相は共同記者会見で「日米で、この地域に公正で実効性ある経済秩序をつくり上げる努力を重ね、地域ひいては世界の経済成長を力強くリードする決意だ」と訴えた。今後も粘り強く説得に努めてほしい。

TPP復帰説き続けよ

トランプ氏は首脳会談や経済人との会合で、日米の貿易不均衡に触れ、「公正ではない」と日本の対応に不満を表明した。日米2国間の自由貿易協定(FTA)の締結に向けた交渉開始を求める場面はなかったようだが、今後の出方はまだ読めない。

安倍首相は、経済摩擦は麻生太郎副総理・財務相とペンス副大統領による日米経済対話にゆだねる姿勢を強調した。難しい問題だけに首脳間の争いにしない手法は正しいが、時間稼ぎと思われてはマイナスだ。

トランプ政権は北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉や、米韓FTAの再交渉の準備などに追われ、日米協議を後回しにしている面がある。矛先がいつ日本に向かってもおかしくはない。楽観は禁物である。

TPPは米国を除く11カ国による発効の道筋を固め、米国が復帰できる環境を整えておく。知的財産権やインターネット規制などでは世界貿易機関(WTO)を活用した解決策を促す。保護主義に傾きがちな米国に、国際協調の重要性を説き続けねばならない。
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2017年11月06日

[日経新聞] 金融緩和を生かす構造改革を進めよ (2017年11月01日)

安倍晋三政権が誕生してアベノミクスを掲げてからもうすぐ5年。最も目立った政策は黒田東彦日銀総裁のもとで実施した大規模な金融緩和だ。

2%という物価安定目標にはまだ届かないが、企業収益や雇用情勢は大きく改善し、株価も上昇した。経済を好循環の軌道に乗せ、持続的な成長を実現するには、金融緩和の効果を生かせるような規制緩和など構造改革を断行することが欠かせない。

日銀は31日の金融政策決定会合にあわせてまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2017年度の消費者物価上昇率の見通しを下げる一方、2%の目標を達成する時期のメドは「19年度ごろ」に据え置いた。

日銀は昨年9月に金融政策の枠組みを変更し、国債買い入れ額という量的目標ではなく、長短金利を操作する方式に切り替えた。物価目標達成のため追加緩和を繰り返す手法を改め、持久戦に耐えられる仕組みにしたといえる。

日銀が金融緩和を続ける一方で、米欧の中央銀行は金融危機後の大規模緩和からの出口に向かい始めた。日本と米欧の金融政策の方向が異なってきており、市場の変動への目配りも重要だ。

日本の株価が上昇基調を強めるなかで、日銀が年間約6兆円のペースで増やしている上場投資信託(ETF)の購入もそろそろ見直しを検討する時だ。市場に過度の影響が出ないよう、年6兆円を「上限」や「メド」として柔軟に減らしていくのが現実的だろう。

長い金融緩和の下でも物価が上がりにくいのは、雇用情勢が好転しても賃金の伸びが鈍く、個人消費に盛り上がりを欠くからだ。

経済を持続的な好循環に持っていくには、金融政策だけでは不十分だ。一方で、財政出動による需要追加を繰り返しても効果は一時的だ。大事なのは成長力強化につながる構造改革である。

安倍首相は経済界に3%の賃上げを要請した。業績が好調な企業は設備投資や賃金にお金を振り向ける必要があるが、そのための環境整備も求められる。

政府は、生産性の向上につながる労働市場などの規制改革を通じて、企業が投資や賃上げに動きやすい環境を整えるべきだ。また、若年層が消費を抑える一因でもある社会保障や財政への将来不安に対応した制度面の改革も、しっかりと進めなくてはならない。
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