2017年04月26日

[読売新聞] 朝鮮半島情勢 圧力強化は軍事・外交両面で (2017年04月26日)

北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対処するには、米国など関係国が軍事、外交両面で総合的に圧力を強めねばならない。

北朝鮮が米国に対抗する言動をエスカレートさせ、情勢を一層緊迫させている。

「軍創建85年」に当たる25日、長距離砲などによる大規模な火力訓練を実施したとされる。朝鮮労働党機関紙は、米韓が軍事行動を図れば、「最も凄絶(せいぜつ)な懲罰の先制攻撃を加える」と喧伝(けんでん)した。

今月末まで続く米韓合同軍事演習に反発する北朝鮮が、核実験や弾道ミサイル発射を強行する可能性がある。警戒を怠れまい。

安倍首相は24日のトランプ米大統領との電話会談で、「全ての選択肢がテーブルの上にあることを示す姿勢を高く評価する」と改めて強調した。電話協議は今月3回目だ。このタイミングで緊密な連携を打ち出した意義は大きい。

日米両政府は、西太平洋で実施した海上自衛隊と米海軍の共同訓練を、日本海でも行う方針だ。米原子力空母「カール・ビンソン」と海自の護衛艦2隻などが陣形を変えながら航行する。

空母が参加する共同訓練を日本海で実施するのは異例だ。北朝鮮の脅威が新たな段階に入ったことを踏まえた対応と言える。

米海軍は、原子力潜水艦「ミシガン」を韓国・釜山に入港させた。多数の巡航ミサイルの搭載が可能で、特殊部隊の作戦拠点としても利用できる。圧倒的に優勢な軍事力を示し、北朝鮮に挑発を自制するよう警告したのだろう。

米国は、対北朝鮮包囲網を狭めるための外交も展開している。

トランプ氏は、国連安全保障理事会メンバー国の大使らと会い、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する「さらに強力な制裁」の準備を要請した。中国の習近平国家主席との電話会談でも、北朝鮮政策での協力を重ねて促した。

様々な安保理決議に基づく制裁の実効性を高めるには、北朝鮮を支えてきた中国が厳格に履行することが欠かせない。

北朝鮮の核問題を巡る6か国協議の日米韓首席代表が東京で、中国に大きな役割を果たすよう求めることで一致したのは当然だ。

万一の事態に備える方策を確認しておくことも大切である。

ミサイル発射情報が出た場合、屋外なら頑丈な建物や地下街などに、屋内なら窓のない部屋に移動する。政府はインターネットの「国民保護ポータルサイト」に、こうした注意を掲載している。周知徹底を図りたい。
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[読売新聞] 辺野古護岸工事 「普天間」返還へ重要な一歩だ (2017年04月26日)

長年の課題である米軍普天間飛行場の返還の実現に向けて、重要な節目を迎えたと言えよう。

政府が、飛行場の移設先の沖縄県名護市辺野古で、埋め立て区域を囲む護岸堤防の建設に着手した。

普天間飛行場返還の日米合意から21年を経て、代替施設の埋め立て工事がようやく本格化する。

菅官房長官は、「多くの人々が望んできた全面返還を実現する確かな一歩だ」と強調した。

工事が順調に進めば、代替施設は5年程度で完成する。政府は、早ければ2022年度の普天間飛行場の返還を目指す。

辺野古移設は普天間問題の唯一の現実的な解決策だ。多くの地元住民も条件付きで容認している。着実に作業を進めるべきだ。

政府は、3月末で期限が切れた県の岩礁破砕許可を更新せずに工事を続け、県は「無許可工事」と主張する。だが、破砕許可の前提となる漁業権を地元漁協が放棄した以上、許可の更新は不要だ、との政府の判断はうなずける。

沖縄県の翁長雄志知事は、護岸工事を「サンゴ礁など環境保全の重要性を無視した暴挙」と批判した。「あらゆる手法を行使し、新基地を造らせない」とも語る。

辺野古移設は、市街地の中心にある普天間飛行場の危険性や周辺住民の騒音被害を除去する意義を持つ。海兵隊の安定駐留を続ける安全保障面の重要性も大きい。

政府は、これらの点について丁寧な説明を尽くすとともに、移設先の環境への影響を最小限に抑える努力を続けることが大切だ。

疑問なのは、翁長氏が、新たな工事差し止め訴訟の提起や、仲井真弘多前知事による埋め立て承認の「撤回」に言及したことだ。

埋め立てを巡っては、15年10月の翁長氏の一方的な承認「取り消し」が、昨年12月、最高裁で「違法」と認定されている。

知事が埋め立て承認を撤回した前例はない。確たる法的根拠がないままの撤回は権限の乱用だ。

政府と県は昨年3月の和解により、「確定判決に従い、互いに協力して誠実に対応する」と確約している。翁長氏の言動はこの条項にも反するのではないか。

うるま市長選では、保守系の現職が3選した。県内の市長選では昨年1月の宜野湾市長選以降、翁長氏が推し、辺野古移設に反対する候補は4連敗となった。

翁長氏の求心力低下を象徴するだけでなく、「オール沖縄が辺野古移設に反対している」との持論の破綻を意味しよう。
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2017年04月25日

[読売新聞] 仏大統領選 社会の疲弊と分断を露呈した (2017年04月25日)

長引く経済低迷に疲弊し、繰り返されるテロの傷痕は深刻だ。そんな厳しいフランス社会の状況が浮き彫りになった。

仏大統領選の第1回投票が行われ、中道で無所属のマクロン前経済相が首位に立った。極右・国民戦線のルペン党首は僅差で2位につけた。

上位2人を含む候補者4人がほぼ横一線の激戦となった。どの候補者も過半数を獲得できなかったことから、この上位2人が5月7日の決選投票に臨む。

今回の選挙は、フランス政治の重要な転換点と言えよう。

これまで交互に政権を担ってきた中道右派と中道左派の既成政党の候補はそろって、決選に進めなかった。現在の選挙制度が実施された1965年以来初めてだ。

欧州連合(EU)の要であるフランスで、「反EU」対「EU重視」が争点となった。EU統合推進の是非を巡って国民の分断が進行していることの表れだろう。

ルペン氏と、急進左派のメランション氏は、EUが低所得層を中心に国民生活を圧迫しているという主張では軌を一にし、離脱の是非を問う国民投票を提唱した。

半世紀以上、EUの屋台骨を支えてきた既成政党の凋(ちょう)落(らく)の背景には、近年、フランスが直面する険しい現実がある。

ギリシャに端を発した欧州財政・金融危機で、EU主導の緊縮財政を強いられ、失業率は10%前後で高止まりしている。

2015年のパリでの大規模テロ以来、非常事態宣言が出されたままだ。イスラム過激派の暴力は根絶できていない。投票日直前には、首都のシャンゼリゼ通りで警察官射殺事件が発生した。

テロ犯はフランスなどで育った移民系の若者が多い。15年には、中東から欧州へ大量の難民が流入した。移民や難民が治安を悪化させたという国民の不満が、排外主義の台頭を招いたのは明白だ。

オランド政権与党である中道左派・社会党は不人気に陥った。

大統領選は当初、中道右派・共和党のフィヨン氏が本命視されていた。だが、家族を架空雇用したとの公金横領疑惑で失速した。カネ絡みの醜聞が絶えないことも、既成政党不信に拍車をかけた。

既成政党に所属しないマクロン氏は、39歳という若さと清新なイメージを武器に、選挙戦を優位に戦おうとしている。

欧州の政治・社会を確実に混乱させるルペン氏の当選を阻めるのか。マクロン氏を軸にしたEU重視勢力の結集が欠かせまい。
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[読売新聞] 原発新検査制度 より重くなる電力会社の責任 (2017年04月25日)

原子力発電所の安全性向上へ、電力会社の自主的な取り組みを後押しする検査制度にしたい。

今国会で成立した改正原子炉等規制法は、原子力規制委員会に、検査制度の抜本改革を課している。

高水準とされる米国の検査制度の導入が念頭にある。

米国の原発は、高い安全性を誇る。トラブルが少ないため、稼働率も90%前後と高い。現場の実情に応じた柔軟な検査制度の導入が奏功した、と言われる。

日本の制度はかねて、硬直化が指摘されてきた。

その典型が、原発を停止させて実施する13か月に1回の定期検査と、年4回の保安検査だ。原子力規制庁が予(あらかじ)め、検査リストを電力会社に示す。設備の検査に、規制庁が直接携わることもある。

この方式では、リストにない項目の安全確保は、疎(おろそ)かになりがちだ。東京電力福島第一原発事故では、重大事故に備えた圧力降下用の弁などの不備を見抜けず、放射能の大量放出につながった。

今後、各地で原発の再稼働が続くだろう。事故の教訓を新たな検査制度に生かすべきだ。

新制度では、電力会社が主体となって、日常的な設備検査を実施する。規制庁は、保守点検体制の監視に注力する。必要に応じて、抜き打ち調査も実施する。

異常を見逃していないか。異常を検知した時の対応は的確か。原発で働く人たちの意識が、総合的に評価されることになる。

規律の緩みを見逃さないよう、検査する側の力量も問われる。監視項目にはメリハリを付けたい。安全の根幹に関わらない細部に拘泥していては、検査が長期化し、現場の意欲も低下する。

米国でも、1979年のスリーマイル島原発事故を受けて、当局が検査を硬直化させた。それに伴い、稼働率が低下した。

改革が進んだ現在では、取り組みが良好と認められた原発は、点検を効率化できる仕組みに改善されている。定期検査の頻度も減らせるようになった。

検査結果に基づき、各原発の評価内容は公表され、安全性がランク付けされている。

同様の仕組みの導入に向けて、規制委は、米国の検査現場に職員を派遣している。これを基に、日本に適した制度を練り上げる。検査官も増員して、2020年度には運用を開始する方針だ。

原発の安全性向上が、有効活用につながる。質の高い検査制度を目指さねばならない。
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2017年04月24日

[読売新聞] テロ準備罪法案 国民の不安を丁寧に払拭せよ (2017年04月24日)

法案の必要性を丁寧に説明し、国民の理解を得る。政府は、この姿勢に徹するべきだ。

テロ等準備罪を創設する組織犯罪処罰法改正案に関する論戦が、衆院法務委員会で本格的に始まった。

安倍首相は「東京五輪が3年後に控える中、テロ対策は喫緊の課題だ」と強調した。法案を成立させて、国際組織犯罪防止条約を締結する重要性も改めて訴えた。

国会が条約締結を承認したのは14年も前だ。締約国が既に187の国・地域に上る中、前提条件の国内法の整備すらできないのは、ゆゆしき事態である。

政府は今度こそ、法案を確実に成立させなければならない。

論戦の主要テーマの一つは、法案がテロ対策に有効かどうか、という点だ。277の対象犯罪には、森林法の森林窃盗罪などが含まれる。民進党は、保安林でキノコを採る行為を処罰することがテロ対策なのか、と追及した。

テロ等準備罪は、組織的犯罪集団による犯罪の計画に加え、実行準備行為があって初めて成立するものだ。キノコ狩りという行為のみを強調し、テロと無関係だと決めつけるのは乱暴だろう。

政府の答弁も物足りない。「組織的犯罪集団が現実的に行う可能性のある犯罪」として対象犯罪を選んだ、と述べるだけだった。

森林窃盗罪の対象には立木や鉱物なども含まれる。天然資源を盗掘し、資金源としている過激派組織「イスラム国」の例もある。

組織的犯罪集団には、テロ組織以外に暴力団や麻薬密売組織なども含まれる。相互の連携も考えられよう。あらゆる事態を想定し、備えるのがテロ対策である。

政府は、こうした点を具体的に説明すべきだ。

「監視社会」になるとの批判も目立つ。組織的犯罪集団かどうかを判断するのは警察であり、警察業務の一環として、一般の人の日常行為も監視や捜査の対象にされる。そんな主張であろう。

通常の犯罪と同様、テロ等準備罪も犯罪の嫌疑があって初めて捜査が始まる。一律に監視が強まるかのような批判は当たるまい。

野党は、法務省刑事局長が政府参考人として出席することに反発している。官僚が衆参両院規則に基づき、委員会で専門的な見地から答弁し、閣僚らを補佐する。それが政府参考人だ。

金田法相の不安定な答弁を再三、批判してきた経緯からすれば、野党側こそ、積極的に出席を求めるのが筋ではないか。
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[読売新聞] 日豪2プラス2 対北でも「準同盟国」と連携を (2017年04月24日)

この10年間、日本と豪州は安全保障協力を着実に深めてきた。この重要な関係をアジアの平和構築に活用したい。

日豪両政府が、東京で外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を開いた。

北朝鮮の核・ミサイル開発を強く非難し、独自制裁の検討を含む圧力の強化で合意した。北朝鮮に自制を促すよう、中国に求めていくことでも一致している。

ビショップ豪外相は、北朝鮮について「不法、不正で、非常に好戦的な姿勢だ」と批判した。

重要なのは、北朝鮮への軍事的な圧力を強めつつ、中国に北朝鮮への影響力行使を迫る米国を日豪両国が後押しすることだ。

中国の習近平政権とのパイプを有するターンブル豪首相には、中国への働きかけや北朝鮮包囲網の構築で役割を果たしてほしい。

中国に関して日豪共同声明は、南・東シナ海での海洋進出を念頭に、「あらゆる一方的な行動への反対」を明記した。南シナ海の「非軍事化」も要求した。まずは中国の人工島の軍事拠点化に歯止めをかけることが急務だ。

日豪両国は2007年、第1次安倍内閣時の「安保協力に関する共同宣言」以来、連携を強化してきた。2プラス2も7回目で、今や「準同盟国」レベルにある。

共同声明は、日米・米豪同盟について、「地域の安定と繁栄の礎」と位置付け、「永続的な重要性」を強調している。

日豪双方の同盟国である米国を基軸に、価値観を共有する日豪が重層的な協力関係を拡充することは様々な相乗効果を生もう。

気がかりなのは、ターンブル氏とトランプ米大統領が1月の電話会談で、移民問題を巡って険悪になったとされることだ。

ペンス米副大統領の22日からの豪州訪問を機に、米豪関係をきちんと修復させねばならない。

日米豪3か国の協力は将来的に更なる発展の可能性がある。インドや韓国、東南アジア各国を加えた共同訓練や安保対話の実現を積極的に探ることが大切だ。

日豪は、新たな物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に続き、訪問部隊地位協定の年内署名を目指している。共同訓練や災害救援で自衛隊、豪軍が相手国に派遣された際の活動を円滑化する。

2プラス2では、航空自衛隊と豪空軍の戦闘機による初の共同訓練を来年、日本で行う方向で調整することも確認した。自衛隊と豪州軍が多様な実動訓練を重ね、信頼関係をより強固にしたい。
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2017年04月23日

[読売新聞] 日米財務相会談 為替安定へ意思疎通を深めよ (2017年04月23日)

米国が日本に円安批判を強める事態はひとまず回避された。両国は意思疎通を深め、為替の乱高下を防ぐ必要がある。

麻生財務相がワシントンで、ムニューシン米財務長官と会談した。焦点の為替政策について、財務当局で議論していく方針を確認した。今月始まった日米経済対話では、為替を議題にしないことを明確にした。

トランプ米大統領は最近、「ドルが強くなりすぎている」と述べ、米国の輸出に不利なドル高を問題視した。一方、ムニューシン氏は「長期的には強いドルは望ましい」として、米国のドル安誘導観測を打ち消していた。

麻生氏は会談後、トランプ発言について「問題にならない」と強調した。米国が今後、対日貿易赤字に絡めて円安・ドル高を必要以上に争点としない、という自信を持ったのだろう。

政策責任者が為替に関して場当たり的な発言を続けると、市場関係者が疑心暗鬼に陥り、相場の混乱を招く。日米当局は密接な情報交換を図り、為替市場の安定を目指すことが求められる。

会談に続いて開かれた主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、経済の安定を脅かすような過度の為替変動を避ける必要性で一致した。

世界経済の成長維持に向け、金融政策、財政政策、構造改革を総動員することでも合意した。

日本の金融緩和について、トランプ氏は円安批判の中で言及したが、日本はデフレ脱却のためだと説明していた。そうした主張が各国の理解を得たと言えよう。

世界経済は回復基調にあるものの、盤石ではない。仏大統領選を始めとする欧州の政治日程、中国の不良債権、保護主義の台頭などの下振れリスクが残っている。

会議では、「米国第一」を掲げるトランプ氏の言動を受け、自由貿易の重要性を指摘する声が相次いだ。議長のショイブレ独財務相は「自由貿易が、どの国の経済にとっても好ましいということで基本的に一致した」と総括した。

麻生氏は、G20後の記者会見で「米国の国益を考えても自由貿易は良い話だ」と述べ、ムニューシン氏が保護主義の不合理さを理解しているとの見方を示した。

日本は、米国を除く11か国で環太平洋経済連携協定(TPP)の発効を目指す。米国を孤立させず、多国間の枠組みへの回帰を促すことが大切だ。自由貿易を推進するため、日米政府間の様々なルートで信頼醸成を図りたい。
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[読売新聞] M&A損失 買収後の管理が成否を分ける (2017年04月23日)

将来の成長を見込んだ巨額投資が一転、経営の足かせになりかねない。企業は買収戦略の巧拙を一段と問われよう。

過去のM&A(合併・買収)に伴う損失を計上する企業が増えている。特に海外案件で思うような成果を上げられず、「負の遺産」となる事例が目立つ。

日本郵政は、2015年に6200億円で買収した豪物流会社の業績不振で、17年3月期に数千億円の損失を計上する見通しだ。

東芝の経営危機も、米原発子会社の巨額損失が引き金となった。楽天は米動画配信会社が不振で、キリンホールディングスはブラジル企業の買収が裏目に出た。

注目されるのは、買収時に企業が計上する「のれん」と呼ばれる無形資産の急増だ。証券界の試算では、東証1部上場企業の総額は20兆円超まで膨らんでいる。

のれんは、買収相手の純資産と買収価格の差額で、ブランド力や技術力など目に見えない企業価値に当たる。買収価格が高くなるほど、のれんの金額は増大する。

買収先の業績が悪化すれば、企業は、のれんの評価を引き下げ、その分を損失として計上しなければならない。巨額なのれんは、それだけ潜在的なリスクを抱えているということでもある。

日本企業が手掛けるM&Aは近年、10兆円規模にのぼり、大半は海外企業が対象という。のれんの増加は、経営戦略としてM&Aが多くの企業に定着した傍証だ。

人口減や少子化で国内市場が縮小していく。日本企業が海外に活路を求めようとする姿勢は理解できる。グローバル競争を生き残るには、海外M&Aを使いこなす経営能力が欠かせない。

企業に求められるのは、自らの特徴を生かして成長に資するM&A戦略を構築することである。

ブームに押され、「M&Aありき」で臨むのは危うい。実現を急ぐあまり、相手の事業や人材を精査せず、適正価格を大幅に上回る「高値づかみ」になりがちだ。

本業との相乗効果が見込めないようなら、手を出さない判断があっていい。資産内容や収益性などを見極めるノウハウを蓄積し、人材を確保することが大切だ。

買収企業の経営体制にも、厳しい目を向ける必要がある。現地に任せきりでは、不祥事や損失を見逃し、親会社の業績に直結する傷を広げかねない。軽視されがちな買収後の管理を徹底できるかどうかが、成否を分ける。

「買収したら終わり」では、せっかくのM&Aも意味がない。
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2017年04月22日

[読売新聞] 「退位」最終報告 円滑な実施へ残るは特例法だ (2017年04月22日)

政府が設置した「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」が、最終報告を安倍首相に提出した。政府内では、退位を可能にするための特例法案の検討が進む。

天皇陛下の退位問題は、詰めの段階に入ったと言えよう。

有識者会議の最終報告は、退位に伴う制度上の提言が中心だ。

天皇、皇后両陛下の呼称は、それぞれ「上皇」「上皇后」とする。上皇は、摂政に就いたり、再び即位したりする資格を有しない。象徴としてなされてきた被災地訪問などの公的行為は、基本的に全て新天皇に移る。

新旧天皇の権威が並び立つ弊害を防止する観点から、いずれも妥当な内容だろう。

皇位継承順位1位となる秋篠宮さまについては、「皇嗣殿下」などとお呼びする案を示した。皇族費は、現在の3倍程度に増額し、宮内庁には「皇嗣職」を新設することも提案している。

実質的に皇太子の役割を務められる以上、欠かせない配慮だ。

政府は、こうした提言を特例法案に盛り込む方針だ。与野党の合意を取り付けた上で、5月後半に国会に提出する。

法案の骨子案は、衆参両院の正副議長が国会の総意として集約した「議論のとりまとめ」を尊重する一方で、相違点もある。

正副議長見解は、特例法の名称を「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」としたが、骨子案は、「天皇陛下」と記している。現在の陛下に限って適用する法律である点を強調しているのだろう。

恒久的な退位制度が、恣意(しい)的な退位などを招く恐れがあることを考えれば、これもうなずける。

退位を示唆した陛下の「お言葉」を盛り込むべきだ、との見解も、反映されていない。

「お言葉」に触れれば、天皇は「国政に関する権能を有しない」と定めた憲法4条に抵触しかねない。憲法に、より配慮した法案にするのは、適切な対応だ。

骨子案は「国民は陛下のご心労を理解、共感している」ことを退位の理由の一つに挙げる。今後の国会審議でも、この点に留意して、合意点を探ってもらいたい。

正副議長見解は、「女性宮家」創設など、皇位の安定的継承の方策を速やかに検討すべきだとも注文した。有識者会議の最終報告は女性宮家に言及していないが、皇族数減少への対策について、議論を深めるよう促している。

退位問題とは別に、政府には前向きな取り組みが求められる。
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[読売新聞] 露朝新定期航路 対「北」包囲網の抜け穴作るな (2017年04月22日)

北朝鮮の核・ミサイル開発の阻止に向けた国際包囲網の強化に、水を差す動きだと言えよう。

ロシア極東のウラジオストクと北朝鮮北東部の羅先を結ぶ新定期航路の開設が決まった。北朝鮮の貨客船「万景峰号」が来月から運航を始め、月に6回往復するという。

北朝鮮は羅先を経済特区に指定しているが、厳しい制裁下で中国やロシア以外の投資は望めまい。新航路は、極東やシベリアを中心にロシアに送り込んでいる数万人規模の労働者をさらに増やし、外貨を稼ぐのが狙いだろう。

ロシアは、農業機械の部品や飼料を輸出するという。過去にも、鉄道を連結させ、エネルギー分野での協力に意欲を見せている。利益は二の次で、北朝鮮に対する影響力拡大を外交カードとして利用する思惑があるのではないか。

トランプ米政権を揺さぶり、シリア問題などで譲歩を引き出そうとしているのなら、筋違いだ。

万景峰号はかつて、北朝鮮と新潟港を往来し、在日朝鮮人の親族訪問や修学旅行などに使われた。約200人の乗客や約1500トンの貨物を輸送できるという。

日本政府は、北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験に対する制裁措置として、2006年から国内への入港を禁止している。

忘れてはならないのは、ミサイル関連部品の運搬や違法送金、北朝鮮工作員の移動などに、万景峰号が悪用されたことだ。日本の公安当局などの捜査で実態が明らかになっている。北朝鮮の元技師による米議会での証言もある。

国連安全保障理事会の決議は、核・ミサイル関連物資の北朝鮮への輸出を禁じている。万景峰号が再び不正行為に使用される事態を防ぐには、ロシア当局の徹底した貨物検査が欠かせない。

米国は、北朝鮮経済の生命線を握る中国に、制裁圧力を強めるよう働きかけている。包囲網に中国を実質的に関与させられるかどうかの重大な局面で、ロシアが結束を乱すのは看過できない。

岸田外相が「責任ある安保理理事国として行動してもらいたい」と注文を付けたのは当然だ。

北朝鮮の16日の弾道ミサイル発射を非難する安保理の報道機関向け声明でも、ロシアは米国の草案に難色を示した。米露間の調整に時間がかかり、声明の発表が遅れたのは問題である。

プーチン露大統領は、北東アジアの非核化と安定が、政権の目標である極東地域の発展にも寄与することを認識せねばならない。
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2017年04月21日

[読売新聞] 米抜きTPP 日本主導で自由貿易体制守れ (2017年04月21日)

危機に瀕(ひん)した環太平洋経済連携協定(TPP)発効に向け、日本政府が大きく舵(かじ)を切る。

米国を除く11か国での発効を目指す方針を決めた。5月にベトナムで開かれるTPP閣僚会合で、日本側の考えを表明する見通しだ。

アジア太平洋の12か国が2016年2月に署名したTPPは、米国の離脱で発効条件を満たせず、暗礁に乗り上げている。

日本は米国の説得を続けたが、早期復帰は困難と判断し、新たな枠組みを探る方針に転換した。

日本が主導して自由貿易圏を広げ、保護主義に走るトランプ米政権を多国間の貿易秩序に引き戻すことが重要である。

米国は多国間協議に代えて、相手国への圧力を強めやすい2国間交渉を優先する姿勢を鮮明にしている。日本が米国抜きのTPPを推進するのは、こうした思惑を牽制(けんせい)する意味があろう。

TPPは複雑な利害調整を経て、参加国が最大限の恩恵を得るよう組み立てられた。ニューヨークで講演した麻生副総理が、日本のメリットを「2国間協議ではTPPほどのレベルに行かない」と述べたのはもっともだ。

米国抜きのTPPは、日本などへの農産品輸出の拡大を見込む豪州やニュージーランドが推す一方で、対米輸出を主眼とするベトナムやマレーシアは慎重だ。

発効条件の変更で11か国が一致しても、個別テーマの再交渉まで必要かどうか、各国の意見が対立する可能性もある。高いレベルの貿易・投資ルールを極力維持する努力が求められる。

現協定の批准手続きを終えた日本は、新たな協定に関する国会承認を取り直す必要もある。

今後のTPPのあり方について政府は、経済界や農林漁業者を含め国民に丁寧に説明すべきだ。

政府は、米国抜きのTPP、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、日米経済対話、欧州との経済連携協定(EPA)を通商政策の4本柱に据える。

アジア太平洋から米国、欧州までの間で自由貿易を深化させ、保護主義の台頭を抑えようという狙いは理解できる。

RCEPは中国主導で諸規制が緩くなりがちだ。日欧EPAは欧州の政治環境が流動的なため、目標とする年内の大筋合意は予断を許さない。政府は総合的な通商戦略を構築せねばならない。

米国には日米経済対話で、新たなTPPへの合流に向けた働きかけを続けることが大切だ。
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[読売新聞] 衆院選新区割り 格差是正を円滑に実施したい (2017年04月21日)

人口の変動に応じて、「1票の格差」を定期的に是正する。小選挙区制には区割り見直しが不可欠である以上、様々な混乱を抑制し、極力円滑に定着させたい。

衆院選挙区画定審議会が、小選挙区の区割り改定案を安倍首相に勧告した。青森など6県の定数を減らす「0増6減」を含め、19都道府県の97選挙区の線引きを変更する。過去最大の見直しだ。

首相は「速やかに法制上の措置を講じる」と述べた。政府・与党は今国会で公職選挙法改正案を成立させる方針で、今夏以降の衆院選に適用される見通しだ。

衆院選の1票の格差は、最大2・13倍だった2014年衆院選まで、3回連続で最高裁に「違憲状態」と判断されている。

今回の見直しにより、20年の推計人口でも最大1・999倍に収まる。画定審議会設置法の定める「2倍未満」は実現しよう。

今回初めて、外国人を除いた人口を基準とし、国勢調査結果に加え、推計人口も用いた。区割り改定から次の選挙までの人口変動を織り込み、違憲判決を避けようとするのは前向きな対応である。

同じ自治体で選挙区が分かれる例が増え、過去最多の105市区町にも上った。特に東京では、5区から17市区に増えた。

自治体の分割は本来、できるだけ避けることが望ましい。有権者の分かりやすさ、自治体の事務負担の軽減に加え、恣意(しい)的な区割りを防ぐ意味もある。

新たな区割りに戸惑う有権者は少なくない。政府や関係自治体は周知を徹底してもらいたい。

定数が減った6県などでは、政党が候補者調整を迫られる。支持者や関係団体への影響も大きい。現職の多い自民党には困難な作業となるが、民主主義のコストとして乗り越えねばならない。

20年の国勢調査後には、新たに導入するアダムズ方式で抜本的な定数再配分が行われる。定数4増が見込まれる東京などは、再び大幅な区割り変更となろう。

2倍未満より踏み込んだ格差是正の主張もある。その場合、自治体の一層の細分化が不可避だ。

小選挙区で敗れても比例選で復活当選できる現行制度では、1選挙区から3人が当選する例さえある。この不均衡に目をつむったまま、より厳格な格差是正を追求する意義は乏しいのではないか。

人口減が続く県では、地元議員が減ることへの不満が強い。地方の声をどう国政に反映するか。その課題も忘れてはならない。
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2017年04月20日

[読売新聞] 学術会議声明 「研究の自由」をはき違えるな (2017年04月20日)

研究者の自由な発想を縛り、日本の科学を一層低迷させかねない。

学者の代表機関とされる日本学術会議が、軍事利用される恐れがある研究を規制するよう、大学などに求める声明・報告書を決めた。

学術会議として、「学術と軍事が接近しつつある」との懸念を表明している。その上で、「自由な研究・教育環境を維持する」ために、研究の是非を判断する制度の新設を大学などに要請した。

大学は、研究資金が軍事機関からかどうかをチェックする。軍事的と見なされる可能性があれば、技術的・倫理的に審査する。

研究に新たな制約を課すことになる。それがなぜ「自由な研究」につながるのか。かえって、学問の自由を阻害する。

学術会議の総会で、「社会の声とかけ離れている」「判断の基準がない」などと疑問の声が上がったのも当然だ。

声明・報告書の決定過程にも問題がある。異論があるのに、既に幹事会で決定済みとして、修正などは検討されなかった。

多様な意見を踏まえて、丁寧に議論することは、学問の基本である。学者集団として、禍根を残す意思決定と言わざるを得ない。

学術会議が念頭に置いてきたのは、防衛省が2015年に開始した「安全保障技術研究推進制度」だ。声明は、「政府による研究者の活動への介入が強まる」との認識を示している。

他省庁の研究資金を受ける場合と同様、年に1回、防衛装備庁の担当者が訪れて、研究の進捗(しんちょく)状況を確認するだけだ。「介入」には当たるまい。制度自体も、基礎研究が対象で、成果の公表、製品等への応用は制約されない。

研究現場で、制度の注目度は高い。今年度の公募説明会には、前年の4倍を超える200人以上が参加した。学術会議と現場の認識には、大きなずれがある。

そもそも、声明・報告書が求める「技術的・倫理的な審査」には無理がある。科学技術は本来、軍事と民生の両面で応用し得る「デュアルユース」である。

米軍の軍事技術の中核である全地球測位システム(GPS)は、カーナビに加え、地震火山の観測や自動運転にまで広範に用いられている。軍事に関連するとして、排除するのは、非現実的だ。

日本の研究界の現状は厳しい。論文数が伸び悩み、世界から取り残されている、と指摘される。新たな制約を設けることで、研究現場を萎(い)縮(しゅく)させてはならない。
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[読売新聞] 英総選挙へ メイ首相は足場固めできるか (2017年04月20日)

欧州連合(EU)との離脱交渉に向けて、自らの政権基盤の強化を図る賭けに出たのだろう。

英国のメイ首相が、2020年5月に予定されていた下院の総選挙を6月8日に前倒しする意向を表明した。半数をわずかに上回るに過ぎない与党・保守党の議席を大幅に上積みするのが狙いだ。

メイ氏は昨年7月の就任以来、下院を解散しない、と強調してきた。前言を翻した理由について、「今、総選挙を実施しなければ、対EU交渉の山場を選挙直前に迎えることになる」と説明した。

英政府は3月末、EUに離脱を通知した。EU条約で定められた2年間の離脱交渉期間では決着が難しく、移行措置の取り決めが必要との見方が強まっている。

英国が求める自由貿易協定の交渉は20年以降にずれ込もう。メイ氏は、こうした行程表を念頭に置いて判断したと言える。

4?5月に仏大統領選が、9月には独連邦議会選が行われる。EUが政治決断を伴う本格交渉に入るのは、その後になる。底堅い経済情勢を反映し、保守党の支持率は高い。メイ氏はこのタイミングを捉えたのではないか。

懸念されるのは、離脱交渉の不透明な状況が長引き、世界経済に悪影響を及ぼすことである。英国とEUの双方は極力早期に、交渉の道筋をつけねばなるまい。

総選挙の焦点は、英国が目指すべき将来の対EU関係だ。

メイ政権は、英独自の移民規制を優先し、EU単一市場から撤退する「強硬離脱」の方針を公表している。保守党が勝利すれば、これを実現する足場が固まろう。

内紛が相次ぎ、党勢が低迷する最大野党・労働党は、「強硬離脱」に反対している。コービン党首は選挙前倒しに賛成した。前首相の辞任により就任したメイ氏について、選挙で信任を得ていないと批判してきた経緯からだ。

単一市場から脱退すれば、英国進出企業の負担が増し、教育・研究などの国際協力にも支障が出かねない。労働党などがメイ政権の離脱政策への不満の受け皿となり、善戦した場合、路線修正を迫る圧力が高まる可能性もある。

総選挙を機に、スコットランドの独立運動が再燃することも気がかりだ。EU離脱に反発する地域政党は、独立の是非を問う住民投票を行うよう要求している。

メイ氏は、英国の解体を回避するためにも、昨年の国民投票が招いた社会の分断を克服する取り組みを忘れてはならない。
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2017年04月19日

[読売新聞] 米副大統領来日 経済対話で互恵を目指したい (2017年04月19日)

日米経済の新たな枠組み作りには、相互利益の視点が求められる。

麻生副総理とペンス米副大統領が、東京で初の日米経済対話に臨んだ。貿易・投資ルール、マクロ経済・構造政策、分野別協力を3本柱とすることで合意した。

麻生氏は記者会見で、「日米関係が摩擦から協力に変わる大事な一ページが開けた」と述べた。

環太平洋経済連携協定(TPP)からの米国の離脱を踏まえ、日米が主導してアジア太平洋地域に自由で公正な貿易ルールを広げていく考えを示したと言える。

TPPを上回る市場開放を迫られる2国間交渉に持ち込まれることを避ける狙いもあろう。

ペンス氏は「TPPは米国にとって過去のものだ」と明言した。「対話は2国間交渉に至るかもしれない」とも指摘した。自由貿易協定(FTA)を念頭に2国間交渉に軸足を移し、米国の利益を追求する構えを鮮明にした。

重要なのは、両国が思惑の違いを乗り越え、今後本格化する個別分野の協議での建設的な議論につなげていくことである。

日米貿易は、米国の対日赤字が突出した時代から様変わりした。日本の対米投資は米国で多くの雇用を生んでいる。トランプ米大統領の保護主義的な言動は、実態を踏まえたものとは言い難い。

貿易不均衡をいたずらに強調せず、日米双方の利益につながる解決策を見いださねばなるまい。

経済対話に先立ち、安倍首相とペンス氏が会談し、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮に対する圧力を強化することを確認した。この問題で中国が役割を果たすよう働きかける方針でも一致した。

ペンス氏は「米国は平和を追求するが、平和は力によってのみ初めて達成される」と語った。

北朝鮮への圧力は、外交、軍事両面で戦略的に高めるべきだ。

北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射などの抑止には、厳しい懲罰行動も辞さない姿勢を示すことが欠かせない。同時に、原油供給、貿易、金融取引の制限など、様々な北朝鮮へのムチを持つ中国を最大限活用することが大切だ。

中国は長年、一貫して朝鮮半島情勢の現状維持を望み、強硬措置を回避してきた。この甘い対応が北朝鮮の核・ミサイル技術の向上を黙認することにつながった。

中国に政策転換を迫るため、米国が北朝鮮の核問題の解決を本気で目指す方針を明確にする必要がある。日韓両国も足並みをそろえ、これを後押しせねばならない。
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[読売新聞] トルコ憲法改正 強権政治では安定を築けまい (2017年04月19日)

大統領への過度の権力集中により、社会の分断が深まり、政情は一段と不安定化するのではないか。民主主義の先行きが危ぶまれる重大な転換点だと言えよう。

欧州と中東を結ぶ地域大国のトルコで、大統領の権限を大幅に強化する憲法改正の是非を問う国民投票が行われた。賛成が反対を僅差で上回った。現在の議院内閣制から大統領制に移行する。首相職は廃止される。

改憲を推進したエルドアン大統領は、「歴史的な決定だ」と勝利宣言した。自らの長期政権に対する信任も同時に得られたと考えているのだろう。

エルドアン氏は、2003年から首相を務め、14年に大統領に転じた。現憲法では、大統領は象徴的な存在とみなされるが、実権を握ってきた。改憲により、名実共に最高権力者となり、29年までとどまる道が開かれた。

新体制で、大統領は国会の解散権を持つ。国会の承認なしに閣僚を任免し、裁判官や検察官の人事にも介入できる。立法や司法の独立が侵され、三権分立が形骸化するとの批判は避けられまい。

政権は昨年7月に、軍の一部が試みたクーデターを抑え込んだ後、野党勢力や言論機関の弾圧を続ける。拘束者は約4万人、公職追放者は10万人近くに上るという。事件後に非常事態宣言を発令し、延長を繰り返している。

国民投票も反対派の運動が封じ込められる中で実施された。賛否が拮抗(きっこう)したのはエルドアン氏の強権政治への反発の表れである。

「民主主義が後退し、独裁国家になる」という反対派の主張に、政権は耳を傾けねばならない。政教分離の国是を重んじる世俗派の間では、イスラム主義的な政策が拡大するとの懸念も根強い。

問題なのは、国内外の「敵」を攻撃し、求心力を高めるエルドアン氏の過激な手法が、国民投票後も変わっていないことだ。

国民投票の公正性を疑問視する欧州安保協力機構の監視団に向けて、「身の程を知れ」と言い放った。欧州連合(EU)が反対する死刑制度の復活に取り組み、EU加盟交渉をトルコが中断する可能性も示唆した。

シリアと国境を接するトルコは、過激派組織「イスラム国」対策や難民の受け入れに関するEUとの調整で重要な役割を担う。

相次ぐテロを阻止し、経済を好転させるには、国内融和と対外関係改善が不可欠なことを、エルドアン氏は認識せねばなるまい。
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2017年04月18日

[読売新聞] 諫早湾開門凍結 有明海の再生が打開のカギだ (2017年04月18日)

裁判所が正反対の結論を下す。司法判断の「ねじれ」は、今回も解消されなかった。

長崎県の諫早湾干拓事業を巡る訴訟で、長崎地裁は、湾内の堤防排水門の開門差し止めを国に命じた。

判決は、開門すれば、干拓地で塩害や潮風害、農業用水の水源の一部喪失が生じる恐れがある、と指摘し、「被害は重大」だと結論付けた。開門しても、「漁業環境の改善の効果は高くない」との見方も示している。

2013年の長崎地裁の仮処分決定と同様、干拓地の営農者らの訴えを認めた判断である。

別の訴訟で、福岡高裁は10年、漁業被害を認定して、国に5年間の開門調査を命じた。当時の菅首相の判断で、国が上告を断念したため、高裁判決は確定した。

上告して、下級審に強い影響力を持つ最高裁の判例が示されていれば、長期の混乱を招くことはなかったのではないか。

菅氏は「私なりの知見を持っている」と強調しながら、効果的な解決方法を示せなかった。

有明海沿岸の漁業者らが排水門の開門を主張する。干拓地の営農者らは開門に真っ向から反対している。これが、諫早湾干拓事業の裁判の構図だ。計7件が係争中で、両者の溝は今なお深い。

司法判断が割れているため、開門しても、しなくても、国はどちらか一方に制裁金を支払う義務を負っている。異常な状況だ。

開門を履行していない現在、漁業者側に1日90万円、総額は8億円に達している。対立の解消が見えないまま、公金を支出し続ける事態には終止符を打つべきだ。

7件の訴訟の一括解決を目指した長崎地裁での和解協議が、最終的に決裂し、今回の判決に至ったことは、残念である。

和解協議で、国は、有明海の漁業支援策を盛り込んだ100億円の基金創設を提示した。国策として干拓事業を進めてきた政府が、開門せずに解決を図る意思を改めて明確にしたと言えよう。

福岡、熊本、長崎、佐賀の漁業団体などのうち、佐賀以外は「開門を棚上げしてでも、有明海再生を優先したい」などと、和解案を受け入れる姿勢を見せた。膠着(こうちゃく)状態が続いたこれまでの経緯を考えれば、大きな前進である。

堤防の閉め切りから、20年になる。国が開門しない姿勢を貫くのであれば、いかに有明海の再生事業に取り組むかが、解決へのカギとなろう。漁業者側の信頼を得る一層の努力が欠かせない。
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[読売新聞] 朝鮮半島情勢 日米韓連携で対北警戒強めよ (2017年04月18日)

北朝鮮が米国への対決姿勢に固執すれば、朝鮮半島の危機は深まる一方だ。日米韓3か国が緊密に連携し、警戒を強めることが欠かせない。

ペンス米副大統領と韓国大統領代行を務める黄教安首相はソウルで会談し、北朝鮮が軍事的挑発に踏み切った場合、「強力な懲罰的措置」をとる方針で一致した。

看過できないのは、北朝鮮がペンス氏訪韓の直前に、弾道ミサイルを発射したことである。空中爆発して失敗したとはいえ、国連安全保障理事会の決議に違反する無謀な行為にほかならない。

北朝鮮は25日に、軍創建85年の記念日を控える。6回目の核実験や大陸間弾道弾(ICBM)発射を強行する恐れがある。

ペンス氏は記者会見で、「平和的手段で非核化を達成したいが、全ての選択肢がテーブルにある。戦略的忍耐の時代は終わった」と述べ、金正恩政権に警告した。

米国は、原子力空母「カールビンソン」やミサイル駆逐艦を朝鮮半島周辺に派遣した。

対北朝鮮圧力の強化には、中国への働きかけが一段と重要になっている。ミサイル発射が失敗した日、ティラーソン国務長官は楊潔チ国務委員と電話会談した。

トランプ大統領はツイッターで、中国と「北朝鮮問題で連携している」ことから、為替操作国に認定しなかったと指摘した。

安倍首相が国会で、「対話のための対話では意味がない。北朝鮮が真剣に対話に応じるよう、圧力をかけていくことが必要だ」と強調したのは当然である。

軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に基づく情報共有など、日韓の安全保障協力を進める意向を示した。着実に強めたい。

韓国では、朴槿恵前大統領の罷免(ひめん)に伴う大統領選が始まった。5月9日に投開票される。

緊迫する北朝鮮情勢への対応が重要な争点として浮上した。支持率でトップに立つ左派の文在寅候補を、中道左派の安哲秀候補が急速に追い上げている。

保守層では、北朝鮮に融和的な文氏への不信感が根強い。安氏支持が広がっている要因だろう。

米韓同盟重視を訴える安氏は、最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」の韓国配備に賛成する立場を表明している。「次期政権が決めるべきだ」として、配備に消極的な文氏とは対照的だ。

韓国は、日米との協調が北朝鮮抑止に必須であるという認識に立った外交を忘れてはならない。
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2017年04月17日

[読売新聞] 米温室ガス対策 大排出国としての責任がある (2017年04月17日)

地球温暖化対策で求められるのは、世界全体の温室効果ガスの排出を減らすという考え方だ。

実効性のある取り組みを実現するためには、国際協調が欠かせない。

この観点から懸念されるのは、トランプ米大統領が、地球温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名したことだ。

発電所が排出する二酸化炭素(CO2)を減らす「クリーンパワープラン」など、オバマ前政権が掲げた政策の見直しを指示した。石炭産業の復興という大統領選での公約に沿った動きだ。

温暖化対策の新たな枠組みであるパリ協定が昨年11月に発効した。米国は、2025年までに05年比で26?28%の排出削減を打ち出していた。政策変更により、対策の後退は避けられまい。

発電方法は、世界的に天然ガスや太陽光、風力など、よりクリーンな方向に向かっている。

米国でも、CO2の排出が比較的少なく、低価格化が進む天然ガスでの発電の比重が高まっている。その結果、既に目標の半分近くの排出削減を達成している。トランプ政権は、現状認識を欠いていると言わざるを得ない。

トランプ氏は、地球温暖化に懐疑的だ。「でっち上げだ」と発言したこともある。

人間活動が温暖化の原因になっているというのが、長年の観測や研究による科学的な結論である。米国は中国に次ぐ排出国で、1人当たりの排出量は世界一だ。排出削減に大きな責任を負っていることを忘れてはならない。

米中が主導して採択されたパリ協定は、全排出国が参加した画期的な枠組みだ。国際社会は、これを維持しつつ、米国に対しても、排出削減の努力を続けるよう働きかける必要がある。

大統領令が及ぼす影響には、不透明な面もある。17州が一部撤回などを求めて提訴した。

各国には、米国の動きに惑わされず、連携して着実に対策を進める姿勢が求められる。

日本では、経済産業省と環境省が50年の低炭素社会実現に向けた計画案をまとめた。

経産省は、排出削減と経済成長を両立させるため、省エネ技術の開発と海外への普及などに力点を置く。環境省は、排出されるCO2への課税などを重視する。地球全体の排出量を削減するためには、原発の活用も大切だ。

先進7か国(G7)の中で、日本の計画策定は遅れている。政府は両省案の一本化を急ぎたい。
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[読売新聞] 将来人口推計 少子化克服へ対策を加速せよ (2017年04月17日)

やや改善傾向が見られるものの、依然として状況は厳しい。急速な人口減と超高齢化に歯止めをかけるために、対策を総動員せねばならない。

日本の総人口は、2015年の1億2709万人から65年に8808万人まで減少する。国立社会保障・人口問題研究所が、新たな将来推計を公表した。

1億人を割り込むのは53年で、5年前の前回推計より5年遅くなった。減少ペースが緩やかになったのは、推計の柱となる出生率の仮定値を引き上げたためだ。近年、30?40歳代の女性の出産が増えていることを反映させた。

無論、楽観できる水準ではない。今回の出生率1・44は、人口維持に必要な2・07にはほど遠く、政府が当面の目標とする1・8との隔たりも大きい。晩婚・晩産化の傾向は続いている。生涯未婚率も上昇していく見込みだ。

この結果、65年には現役世代の人口が今より4割も減る。高齢化率は38・4%まで上昇する。

少子高齢化は、社会・経済の活力を殺(そ)ぎ、社会保障制度の維持を危うくする。そうした将来への不安や悲観が、経済を停滞させ、一層の少子化を招くという悪循環に陥っている。

人口推計は、あくまで予測に過ぎない。未来を変えるのは可能だ。その決意で、少子化克服へ対策を加速させることが大切である。

まずは、仕事と子育てを両立できる環境の整備だ。女性の活躍促進の観点からも欠かせない。

政府は、17年度末までの待機児童解消を目指し、保育の受け皿確保を進めてきた。だが、需要増に追いつかず、達成は困難な情勢にある。6月にまとめる新たな待機児童解消プランで、実態を踏まえた拡充策を示してもらいたい。

長時間労働の是正を中心とした働き方改革も重要だ。男女ともに短時間で効率良く働くことで、仕事以外の生活を充実させられる。女性だけに家事・育児を委ねていては、出生率向上は望めまい。

若年層の経済基盤の安定は喫緊の課題だ。非正規雇用が働く人の4割を占めるまでになり、経済的事情から結婚や子育てをあきらめる若者が目立っている。非正規雇用の処遇改善と正社員への転換支援を一段と進める必要がある。

社会保障改革は待ったなしだ。高齢化に伴い、医療・介護の費用は膨張する。いかに効率化しつつ、質の高いサービスを提供していくかが問われる。高齢者を含めて、経済力に応じた負担を徹底させることも求められる。
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