2017年06月22日

[読売新聞] 東芝半導体売却 米WD社との対立解消を急げ (2017年06月22日)

再建策の柱である半導体子会社の売却をどう進めていくか。経営陣の手腕が問われている。

経営不振の東芝が、主力の記憶媒体(メモリー)子会社の売却について、官民ファンドの産業革新機構などで作る「日米韓連合」と優先的に交渉することを決めた。

連合には、日本政策投資銀行、米ファンド、韓国半導体企業なども参加し、日本勢が経営の主導権を握る。28日の定時株主総会までに正式に契約を結ぶ方針だ。

東芝は2兆円以上で売却することを目指す。5000億円を超える債務超過を解消し、財務を中長期的に安定させる。

メモリーは、スマートフォンの普及などで急成長した。人工知能やロボットなどを活用した第4次産業革命の実現にも欠かせない。東芝はもとより、日本にとって“虎の子”のビジネスである。

買収には米国や台湾の企業も名乗りを上げていた。日本勢主導による買収は、最先端技術の海外流出を防ぐ意味を持つ。製造業の国際競争力を維持し、経済成長を実現する観点からも国益に適(かな)う。

日米韓連合による経営が軌道に乗れば、国内の雇用も維持できよう。その意義は小さくない。

メモリーを巡る国際競争に勝ち残るには、巨額の開発投資など迅速な判断が必要となる。政府の過度な関与は、意思決定を遅らせるとの指摘もある。民間の知恵を引き出す舵(かじ)取りが求められよう。

気がかりなのは、メモリー事業で協業する米ウエスタン・デジタル(WD)が売却に反対していることだ。手続きがスムーズに進むかどうかは不透明な面がある。

WDは、他社への売却差し止めを国際仲裁裁判所に申し立てた。仲裁裁の判断が下るまでの間、売却手続きを一時的に停止するよう求め、米カリフォルニア州の裁判所にも提訴している。

裁判でWDの主張が認められ、売却が頓挫すれば、東芝の再建策は宙に浮く。2018年3月期決算で債務超過を解消できず、上場廃止となる可能性もある。

東芝の決定に反発し、WDがさらなる強硬策に出る懸念は拭えない。対立を解消しないまま優先交渉先を決めたことは、危うい「見切り発車」ではなかったか。

売却交渉のこれ以上の迷走は、協業相手のWDにとってもメリットにはなるまい。

両社の溝が深まるばかりでは、メモリー子会社の企業価値が損なわれてしまう。歩み寄りに向けた交渉を急がねばならない。
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[読売新聞] 中国パナマ国交 露骨な台湾圧迫は懸念材料だ (2017年06月22日)

中国が台湾を孤立させる動きを強め、波風を立てている。軍事、経済両面での優位を背景にした圧力は、中台間の緊張を高めるだけだ。

中米パナマが中国と国交を樹立し、台湾との100年以上の外交関係を断絶した。

パナマ運河は、太平洋と大西洋を結ぶ海上交通の要衝だ。中国はパナマとの国交で、物流拠点での投資や権益の拡大を見込む。米国の「裏庭」の中南米に、本格的に進出する足がかりにもなろう。

昨年12月には、アフリカのサントメ・プリンシペが台湾と断交している。これで、台湾が外交関係を持つ相手は20か国に減った。

中国の習近平政権が、台湾の「友好国」に巨額の経済支援を持ちかけ、切り崩した結果である。欧州で唯一、台湾と外交関係を持つバチカンとも、水面下で交渉を進めているという。

習政権の圧迫は国際機構にも及ぶ。国際民間航空機関(ICAO)や世界保健機関(WHO)は中国に配慮し、台湾の総会出席を認めなかった。空の安全や人々の健康に関わる国際的な枠組みからの締め出しは、人道上も問題だ。

中国の一連の外交攻勢は、台湾を自国の一部とする「一つの中国」原則を、台湾の蔡英文政権に認めさせる狙いだろう。

蔡総統が主席を務める民進党は、台湾独立を綱領でうたっている。蔡氏は独立論を封印して、中国との対話を模索する一方、中国側の主張は受け入れていない。

台湾の住民の間では、中国に政治的、経済的にのみ込まれることへの警戒感が強く、「中国離れ」が加速しているためだ。

蔡氏は、中国の圧力に対して、「譲歩することはあり得ない」と反発した。民進党内では、「蔡氏の対話路線は行き詰まっている」との批判が高まり、対中強硬論の勢いが増している。

外交工作で台湾を従わせようとする中国の企(たくら)みは、逆効果になっているのではないか。

中台関係の緊張は、東アジアの安全保障の懸念材料だ。中国は、地域の安定に責任を持つ大国として、関係改善に積極的に取り組まねばならない。

中国の露骨な台湾圧迫は、トランプ米政権の対中政策が定まっていないことも一因だろう。

米国は台湾の防衛力強化を担っており、台湾海峡の平和と安定のカギを握る。マティス米国防長官は、台湾への武器供与の継続を明言した。積極的な関与を維持することが求められる。
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2017年06月21日

[読売新聞] 英EU離脱交渉 混乱回避には柔軟さが必要だ (2017年06月21日)

欧州連合(EU)からの英国の離脱に向けた初の交渉が行われた。実質的な交渉期限を来年秋に控え、双方が優先議題の選定で合意したのは一歩前進と言えよう。

最初に、離脱の条件について、作業部会を設置して協議する。英国とEUの自由貿易協定(FTA)締結に関する交渉は先送りする。作業部会で十分な進展があれば、FTA交渉に入る「2段階方式」で一致した。

英国は、並行協議を求めていたが、譲歩を余儀なくされた。

優先議題には、英国がEU予算への拠出を約束していた分担金の支払い問題が選定された。総額約600億ユーロ(約7兆5000億円)ともされる「手切れ金」の値引き交渉の難航は必至だろう。

英EU双方の国民の在留資格を離脱後に保障する問題も、優先議題となる。現在、英国にはEU出身者が約300万人、EUには英国人約100万人が住んでいる。円滑な離脱には、居住や労働などの権利の確定が欠かせない。

問題なのは、メイ英首相が「悪い合意よりは、合意しない方がましだ」と強弁してきたことだ。

無秩序な離脱は、欧州を混乱させ、世界経済にも打撃を与える。EUのバルニエ首席交渉官が初交渉で「公正な合意は可能であり、合意しないよりも遥(はる)かに良い」とクギを刺したのは当然である。

メイ氏は、EU単一市場から脱退し、移民の流入を独自に規制する「強硬離脱」を主張するが、経済界からは、様々な悪影響を懸念する声が高まっている。

最大野党・労働党は、EU単一市場との無関税貿易を継続する「穏健離脱」を掲げる。

与党・保守党内でも、交渉決裂も辞さない強硬派から穏健離脱派まで、多様な意見がある。

今月の総選挙で、保守党は議席を減らし、過半数を割り込んだ。政権基盤の弱体化を受け、メイ氏はまず、強硬路線を修正し、離脱方式に関する超党派での合意形成を目指さねばなるまい。

EU側にも、柔軟な交渉姿勢が求められよう。

「反EU」の大衆迎合政党は、オランダやフランスの選挙で伸び悩んだ。新たな離脱の動きはない。英国を追い詰めなくても、求心力は維持されよう。歩み寄りを見せる度量が大切ではないか。

日本企業の多くは、英国を欧州事業の拠点とする。日本政府は、企業活動への影響が最小限に食い止められるよう、英国やEUへの働きかけを強めるべきだ。
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[読売新聞] 築地市場再開発 豊洲移転との両立は可能か (2017年06月21日)

「築地は守る、豊洲を活(い)かす」。二兎(にと)を追う知事の戦略は、思惑通り進むのだろうか。

東京都の築地市場移転問題で、小池百合子知事が基本方針を発表した。市場を豊洲に移した上で築地を再整備・開発し、5年後をめどに一部業者を戻すことを想定する。

豊洲は中央卸売市場の機能に加え、物流センターとして活用するという。築地の跡地は、2020年東京五輪で駐車場などに活用した後、民間に賃貸し、「食のテーマパーク」などとして再開発する案も示している。

市場の取扱高が減少する中、築地と豊洲の併存はリスクを伴うだろう。採算は取れるのか。築地に一部業者を円滑に戻せるのか。現時点では、不透明な要素があまりに多いと言わざるを得ない。

小池氏は、豊洲市場の開業後に累積赤字が生じることを懸念する。都の試算では年間約90億円に上る。大規模な施設に最新の温度管理システムが導入され、維持費がかさむことなどが要因だ。

築地を売却せずに賃貸するのは、長期的に安定的な収益を確保するのが目的だ。これで豊洲市場の整備費や築地の工事費を捻出できるかどうかは判然としない。

昨年8月に小池氏が豊洲移転の延期を表明して以降、豊洲市場の建物下に土壌汚染対策の盛り土がない問題が発覚した。意思決定を巡る都政の無責任体質をあぶり出した意義は小さくない。

一方で、先行きが見通せない状況が長引き、市場関係者の不安は増幅した。移転延期に伴う業者への補償費が膨らんだ。

23日告示の都議選では、市場移転問題が争点になる。小池氏が率いる都民ファーストの会と選挙協力する公明党は、豊洲への移転を主張してきた。

市場関係者には、築地残留を希望する声も根強い。築地も豊洲も、という構想には、多くの賛同を得る狙いが透けて見える。

小池氏は「築地のブランド力を生かしたい」と力説するが、二者択一の決断を下すことによる批判を避けたとの感は拭えない。

豊洲市場の安全・安心の基準は、なお未達成だ、と強調したことも疑問である。都の専門家会議は、追加の土壌汚染対策を提案した上で、市場の安全性には問題がないとの見解を明確にした。

豊洲に移転する以上、知事として、消費者の理解を得られるよう努めるべきだ。都内の11市場の再編を含め、有益な市場の在り方を検討することも求められる。
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2017年06月20日

[読売新聞] 天下り全省調査 公正で透明な再就職の徹底を (2017年06月20日)

国家公務員の適切な再就職は認めつつ、不正な天下りは厳しく排除することが重要である。

内閣人事局が、文部科学省の再就職あっせん問題を受けた全省庁調査の報告書を公表した。

2008年12月以降の再就職者ら5535人に関して、12省庁で27件の国家公務員法違反の疑いが判明した。禁止されている現職職員の関与が25件、在職中の利害関係先への求職活動が2件だ。

違法行為が62件に上った文科省のような組織ぐるみの動きは確認できなかったという。

政府の再就職等監視委員会が今後、27件について違法性の有無を詳細に調査する。早期に全容を明らかにせねばならない。

今回、「疑いの段階」として省庁名や事例の中身を一切公表しなかったのは疑問である。どんな違反の可能性があるのか、具体的に示さなければ、天下りの実態が国民には分からない。

約40人のチームが4か月以上かけて調査したのに、800人以上から回答が得られなかった。中途半端な印象が拭えない。

退職当時、再就職規制の内容を知らなかったOBが1割にも上った。今年1?5月だけで再就職の届け出漏れも82件あった。

07年の改正国家公務員法は、官から民への人材登用を加速させるため、離職後2年以内の利害関係企業への再就職を可能にした。反面、現職職員による再就職のあっせんや仲介を禁止した。

こうした現行制度について、政府は、職員やOBへの周知徹底に全力で取り組む必要がある。

違法な天下りの再発防止策を強化することも急務だ。

報告書は、再就職を届け出る際に、OBの関与などの経緯を詳しく記載するよう求めた。透明性を高めるとともに、不正を防止するうえで有効だろう。

組織面では、内閣人事局への常設調査部門の設置や、常勤委員1人、非常勤委員4人の監視委の体制強化などを提言した。検討の余地はあるのではないか。

専門的知見を持つ公務員の民間活用は否定すべきでない。天下りに関する安易な「公務員たたき」も避けるべきだ。

公務員が意欲を低下させたり、萎(い)縮(しゅく)したりすれば、行政サービスが停滞し、ひいては国家にとっての損失につながりかねない。

肝心なのは、公正で透明な再就職のルール作りと適正な運用に知恵を絞ることだ。早期退職慣行の是正も着実に進めたい。
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[読売新聞] 仏マクロン新党 議会選圧勝で成果出せるか (2017年06月20日)

5月の仏大統領選で勝利した勢いが、まだ続いているのだろう。今後、政権運営を安定させ、困難な改革を断行できるのか。予断を許さない。

マクロン大統領が創設した中道新党「共和国前進」が、国民議会選で過半数を制した。選挙協力した政党と合わせ、定数の約6割を占めた。議席を持たなかった新党の異例の躍進だ。

オランド前政権の与党・社会党などの中道左派は、議席が8割減と惨敗した。共和党など中道右派も大敗した。ルペン氏率いる極右政党「国民戦線」は伸び悩み、1けたの議席獲得に終わった。

政権を交互に担ってきた左派と右派の既成政党が凋落(ちょうらく)し、中道の新興勢力が台頭する潮流が、より鮮明になったと言えよう。

マクロン氏は就任後、首相や外相などの重要閣僚に、既成政党の有力政治家を起用し、超党派で課題に取り組む姿勢を強調した。民間人の積極的な登用によって、政権の清新さも印象付けた。

首脳外交では、トランプ米大統領やプーチン露大統領らと、ある程度は渡り合った。

新党を支持する有権者の間には、マクロン氏が国をより良い方向に導いてくれるという期待感の高まりがあるのではないか。

気がかりなのは、新党から当選した議員の多くが、政治経験に乏しく、能力が未知数なことだ。他党から寄せ集めた議員の結束にも疑問が残る。

フランスでは、2000年の憲法改正で大統領の任期が短縮され、大統領選と国民議会選が近接した時期に行われるようになった。今回の選挙から、地方自治体の首長と国会議員の兼職が禁止され、首長の出馬が阻まれた。

こうした制度改正が、マクロン旋風に乗った新人の当選を容易にした面もあろう。

投票率は過去最低だった。経済の長期停滞がもたらした政治不信の根深さの表れだろう。大統領選で、極右や急進左派の候補に投票した人々の多くは、国民議会選を棄権したとされる。社会の分断は依然として深刻だ。

マクロン政権は、労働市場の流動性を高める規制緩和や社会保障改革など、痛みを伴う政策に取り組むのだろう。テロ対策も重要課題だ。経済の再活性化や失業率の低下、治安の向上が、社会の長期的な安定には不可欠である。

歴代政権の構造改革の試みは、労働組合など既得権層の抵抗で、挫折を繰り返してきた。マクロン政権の実行力が問われよう。
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2017年06月19日

[読売新聞] 名古屋議定書 批准を生態系保全の契機に (2017年06月19日)

地球上の豊かな生態系は、人間社会に様々な恵みをもたらしてくれる。議定書の批准をきっかけに、生物多様性の大切さを再認識したい。

政府が名古屋議定書を批准した。2010年に名古屋市で開かれた生物多様性条約締約国会議で採択された国際ルールだ。

遺伝子の働きにより、植物や微生物が作り出す有用成分は、古くから薬品や化粧品、食品などに広く活用されてきた。議定書は、遺伝資源を基にした製品の利益を公平に配分するよう定めている。

利益配分の典型例は、15年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智氏の研究だ。国内の土から見つけた菌を元に、共同研究先の米製薬企業が寄生虫の治療薬を開発し、大村氏側には特許料約250億円が支払われた。

問題なのは、途上国に自生する植物などの遺伝資源を、先進国の企業が利用するケースだ。

現地で同意を得ないままに、薬草などを採取し、製品化することは少なくない。途上国側には、「利益が全く還元されない」といった不満が根強くある。

富を生み出す遺伝資源を持続的に活用していくためには、提供国と利用国間の適切なルールが必要だ。公平な利益配分は、双方の対立を避けるために欠かせまい。

遺伝資源の研究開発を目指す企業や大学などは、提供国側と利益配分の在り方について契約を結び、その経過を自国政府に報告する。それが名古屋議定書の大枠だ。14年に発効し、既に約100か国が批准している。

対象となる遺伝資源の範囲や、政府に提出する報告書の内容、違反した場合の罰則の有無などは、各国が独自に規定する。日本は15年までの批准を目指したが、国内での指針作りが遅れていた。

国内の研究者や企業は、手続きが煩雑になるのを嫌い、緩やかな規定を求めた。結果として、強制力のない指針となった。

自由な研究開発を促進する観点からは、穏当な対応だろう。他国の状況を見極めながら、柔軟に見直していくべきだ。

筑波大学は3月に、メキシコと議定書に基づく契約を結んだ。中米原産のウリの品種改良法などを共同研究する内容だ。

現地の生態系の保全を重視し、地元農業に成果を還元することを目指す。利益配分の手法も、研究テーマに盛り込んでいる。

途上国との共同研究は、国際貢献の有効な手段である。積極的に取り組みたい。
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[読売新聞] 通常国会閉幕 疑惑追及だけでは物足りない (2017年06月19日)

重要な法律の成立では成果があったが、疑惑の追及ばかりが目立ったのは物足りない。

通常国会が閉幕した。天皇陛下の退位を実現する特例法を巡っては、当初、一代限りの退位を主張する与党と、恒久的な制度化を求める野党の立場の開きが大きかった。

与野党が歩み寄って、国会の見解をまとめ、特例法を円滑に制定したことは高く評価できよう。

陛下のお気持ちを真剣に受け止め、政争は避けようという共通認識が醸成されたためだろう。

対照的に、テロ等準備罪を創設する組織犯罪処罰法改正案の審議では与野党が激しく対立した。

「共謀罪」を創設する法案は3回、廃案になっている。改正案のハードルはもともと高かった。適用対象を組織的犯罪集団に限定して、準備行為を要件に追加するなど、合理的な修正を行ったことで、国民の不安は軽減された。

政府・与党が、2020年東京五輪に向けてテロ対策を強化するため、今国会での成立をぶれずに目指したのは適切だった。

残念なのは、国会の中盤以降、野党が学校法人「森友学園」と「加計学園」の問題の追及に終始したことだ。どちらも、安倍首相や昭恵夫人と親しい学園理事長に便宜を図るような不適切な行政の有無が焦点とされた。

野党とすれば、「1強」の安倍政権に打撃を与えるには格好の材料と考えたのだろうが、存在感を示すことはできなかった。

結果的に、経済成長と財政再建の両立、北朝鮮の核・ミサイル問題などの大切な議論が後景に退いてしまった。その責任は、主に野党にあるが、政府・与党も十分に役割を果たしたとは言えない。

政府が、文部科学省の内部文書の再調査を拒否し続けたのは、頑迷だった。疑惑や疑問については、はぐらかさず、謙虚かつ丁寧に説明する姿勢が求められよう。

衆参両院憲法審査会が停滞する中、9条に自衛隊の存在を明記するという安倍首相の提言が憲法論議を活性化した意義は大きい。

参院審査会は、07年の設置以来初めて通常国会で一回も開かれなかった。衆院も、自由討議や参考人質疑を行うだけで、改正項目の絞り込みは進んでいない。

自民党は9条などの改正案作成を本格化させる。他党も、きちんと対案を示せるよう、党内論議を加速させねばなるまい。

党首討論は一回も行われなかった。開催方法や時間配分など、あり方を再検討する必要がある。
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2017年06月18日

[読売新聞] 加計学園問題 規制改革の意義を丁寧に語れ (2017年06月18日)

首相の友人に便宜を図ったという疑念の払拭(ふっしょく)には、規制改革の経緯や意義をより丁寧に説明する必要がある。

安倍首相が参院予算委員会の集中審議で、国家戦略特区による学校法人「加計学園」の獣医学部新設について自らの関与を改めて否定した。「特区諮問会議の民間議員の意見を踏まえ、政府全体で決定した」と述べた。

学部新設は「総理の意向」とする文部科学省の内部文書の存在が確認されたことに関しては、「対応に時間がかかったことは率直に反省したい」と陳謝した。

問題が表面化した後、確認に約1か月を要したのはお粗末だ。菅官房長官が「怪文書みたいな文書」と否定したことで、文書の存在に注目が集まり、かえって混乱を招いたのではないか。

山本地方創生相は「総理の意向」を明言した内閣府職員はいないとし、文科省の文書を否定する調査結果を発表した。文書には「省庁間の調整が困難な局面で、内閣府職員が時に使用する強い口調が反映された」との見方も示した。

内閣府は政府全体の総合調整役だが、直接の権限は少ない。首相の影響力を利用しなければ、他省庁を動かせない面もある。

野党側は予算委で、加計学園理事長が首相と親しいことを踏まえ、「友人のための特区ではないか」などと追及した。首相は、特区指定はあくまで「岩盤規制を突破するためだ」と反論した。

岩盤規制は、獣医師の過剰を防ぐため、1966年以来、獣医学部の新設を文科省が認めていないことを指す。山本氏は「規制に正当な理由があることの挙証責任は規制省庁にある」と指摘した。

国家戦略特区諮問会議の民間議員5人は13日、首相からの要請は一切なかったと発表した。文科省は規制の根拠を示せなかったとして、愛媛県今治市の特区指定は「妥当」と強調している。

獣医学部誘致を進めてきた愛媛県の加戸守行前知事は、「四国は獣医師が不足している。大学はどこでもよく、加計学園ありきの話ではなかった」と語る。

既得権益を持つ業界の意向を重視しがちな所管省庁と、首相主導で規制改革を進める内閣府の対立は避けがたいところがある。

政府が、加計学園を優遇したとの疑いを否定するには、規制緩和の一連の経緯や、今治市や四国の地域事情などについて、掘り下げた説明を尽くさねばならない。国会の閉幕が、この問題の幕引きにはならないだろう。
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[読売新聞] 介護保険改革 自治体の主体性が問われる (2017年06月18日)

高齢者が安心して暮らせるよう介護サービスの質を高めつつ、費用は抑制する。超高齢社会で制度を維持するために、避けて通れない難題だ。

介護保険制度改革へ向けた「地域包括ケアシステム強化法」が、自民、公明の与党と日本維新の会などの賛成多数で成立した。

柱の一つは、経済力に応じた負担を徹底させることだ。

現役世代並みの所得がある高齢者については、自己負担割合を現行の2割から3割に引き上げる。利用者の3%に当たる約12万人が対象となる見込みだ。2018年8月から実施する。

団塊の世代が全て75歳以上になる25年にかけて、介護費は膨張する。高所得層に負担増を求めるのは、やむを得まい。必要なサービスの利用抑制を招かないよう注視していくことが大切だ。

40?64歳の保険料も、応能負担を強化する。加入者の所得水準が高い健康保険組合の負担を増やす一方、水準の低い健保の負担を減らす。大企業の社員ら1300万人は負担増になる。中小企業などの1700万人の負担は減る。

現行では、加入者数に応じて健保ごとの負担額が決まるため、所得水準の低い健保の負担が相対的に重い。所得水準に応じて決める方式に改めるのは、公平性確保の観点から必要な措置だろう。

もう一つの柱が、自立支援・重度化防止の促進である。自治体に対し、高齢者の要介護度を維持・改善するための対策と目標を介護保険事業計画に記載するよう義務づけた。成果を上げた自治体には、財政支援する。

高齢者の自立度を高めて、給付費を抑える方向性は妥当だ。

埼玉県和光市では、リハビリ専門職など多職種が連携して個々の状態や生活環境に応じた支援を提供する。自立度を高めることで、要介護認定率を引き下げた。

介護保険に頼らずに済むよう、保険外の体操教室や交流サロンなども充実させている。

重度者などには改善が見込めない場合も多い。要介護度の変化だけに着目しては、単に認定を厳しくして、見かけ上の改善を図る自治体も現れかねない。

政府は、財政支援に当たり、介護予防対策の実施状況なども評価する方針だ。自治体の努力を適正に判断することが求められる。

自立支援型ケアのノウハウや、担い手となる人材に乏しい自治体は少なくない。政府による支援も必要だが、最も大切なのは、自治体の主体的な取り組みである。
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2017年06月17日

[読売新聞] 性犯罪厳罰化 被害者の泣き寝入りを防げ (2017年06月17日)

法改正により、卑劣な性犯罪の被害者が泣き寝入りする悲劇をなくさなければならない。

改正刑法が参院本会議で、全会一致で可決、成立した。110年前の刑法制定以来、性犯罪に関する規定を初めて大幅に見直して、厳罰化した。

多くの被害を踏まえて、ようやく実現した。遅すぎた感は否めないものの、大きな前進である。

改正の柱は「親告罪」規定を撤廃したことだ。強姦(ごうかん)罪や強制わいせつ罪で加害者を起訴する際に、これまでは必須だった被害者の告訴が不要となる。被害の潜在化を防ぐ効果が期待できよう。

心身に深傷(ふかで)を負った被害者は、告訴手続きで事件を振り返らざるを得ない。心理的負担が、被害が潜在化する一因となっていた。

自ら告訴することが難しい年少者の被害についても、事件化が進むのではないか。

「監護者」である親などが、18歳未満の子供に性的虐待を加えた場合の処罰規定も新設された。外部からは見えにくい家庭内の被害の救済につなげたい。

非親告罪となったことで、留意すべきは、被害者のプライバシーの保護である。周囲の目や報復を恐れて、事件化を積極的に望まない被害者はいるだろう。

法廷証言などで、被害者がさらに傷つく二次被害を防ぐために、捜査や公判の過程では、より細心の注意を払わねばならない。

強姦罪は「強制性交等罪」に罪名を変更し、男女を問わず被害対象にした。法定刑の下限は懲役3年から5年に引き上げられた。

強姦罪の下限が、強盗罪の懲役5年より短いことには、かねて疑問の声が多かった。裁判員裁判でも、性犯罪の量刑は重くなる傾向が顕著だ。社会の実情を踏まえた改正だと言える。

強姦罪の成立には、被害者の抵抗を著しく困難にする「暴行・脅迫」が必要だ。改正法も、この考え方を原則として維持した。

被害者の間には、要件緩和や廃止を求める声が根強い。職場の上下関係などによって、明確に抵抗できないケースも考えられる。

衆院は「施行後3年をめどに、被害実態に合わせて施策の在り方を検討する」と付則を修正した。加害者側の防御権にも留意しつつ、検討を重ねるべきだ。

政府は「ワンストップ支援センター」を各都道府県に設置する目標を掲げる。被害者の相談を受け付け、医療機関や警察につなぐ窓口だ。被害者が訴えやすい環境整備をさらに進めたい。
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[読売新聞] FRB利上げ 「出口戦略」は柔軟かつ慎重に (2017年06月17日)

リーマン・ショック収拾のための非常措置からいかに平時の金融政策に立ち戻るか。

米当局が、その「出口戦略」を明確にした。

米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を年1?1・25%に引き上げた。3月に続く利上げで、金融引き締めに転じた一昨年末から数えて4回目となる。0%台を脱するのは8年半ぶりだ。

発表した今後の利上げ予想によると、当面、年3回程度のペースで着実に継続する。

景気過熱の芽を早く摘むとともに、将来の不況時に利下げの余地を確保する狙いがあろう。

米経済は、失業率が16年ぶりの水準に改善している。物価上昇率は目標の年2%に届かないが、イエレンFRB議長は「一時的な要因による」との見方を示し、強気の景気判断を崩さなかった。

注目されるのは、FRBが「保有資産の縮小」に踏み出す方針を明らかにしたことだ。今秋にも開始するとみられる。

FRBはリーマン後に導入した量的金融緩和で、米国債などを大量に買い入れた。現在の保有資産は4・5兆ドルと、金融危機前の4倍超に膨れ上がっている。

この状況で利上げを進めると、保有国債の価格下落によってFRBの資産内容が急速に悪化する恐れがある。資産縮小には、こうした事態を防ぐ狙いが窺(うかが)われる。

ただし、縮小を急ぎ過ぎると、長期金利が跳ね上がり、米経済に打撃を与えるリスクがある。

世界の投資マネーが金利の高い米国に流出し、新興国経済が深刻な影響を被る懸念も大きい。

FRBは今回、市場での債券売却はせず、償還満期を迎えた分の一部を再投資に回さない手法を採用した。何年もかけてゆっくりと資産縮小を進める計画だ。

年間の縮小規模を公表するなど具体的な道筋を示したのも、市場の動揺を抑える工夫だろう。

米経済は、自動車販売の減速や賃金の伸び悩みなど先行きの不安材料も指摘される。FRBは、経済情勢に応じて資産縮小のペースなどを柔軟に見直すべきだ。

量的緩和は、日本で2001年に初導入され、FRBや欧州中央銀行(ECB)に広がった。「出口」局面における資産悪化は、中央銀行にとって共通の問題だ。

金融正常化に向けたFRBの資産縮小は、世界に例のない取り組みとなる。いまだに大量の国債購入を継続している日銀も、米国の動向を注視し、将来に備えておくことが重要である。
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2017年06月16日

[読売新聞] テロ準備罪成立 凶行を未然に防ぐ努力続けよ (2017年06月16日)

◆法に基づいた適正捜査の徹底を◆

2020年東京五輪・パラリンピックを控え、テロ対策は喫緊の課題である。凶行を防ぐため、改正法を有効に機能させなければならない。

テロ等準備罪を創設する改正組織犯罪処罰法が、参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。安倍首相は「国民の生命、財産を守るため、適切、効果的に運用していきたい」と語った。

国際的なテロ集団が、多くの事件を各国で引き起こし、市民がその犠牲になっている。テロの資金集めのために、組織的な麻薬密売などを手がける集団もある。

◆条約の締結を急ぎたい

犯罪の芽を事前に摘み取り、実行を食い止めることが、テロ対策の要諦である。「既遂」を処罰する日本の刑事法の原則に縛られたままでは、有効な手立てを講じられない。テロ等準備罪が必要とされる所以(ゆえん)である。

他国から日本に侵入するテロ集団を摘発するためには、国際協力が不可欠だ。

改正法の最大の利点は、国際組織犯罪防止条約の締結が可能になることだ。締結国間では、捜査情報のやり取りなど、迅速な捜査共助が容易になる。犯罪人の引き渡しもスムーズにできるだろう。

条約には187の国・地域が参加する。国連加盟国の中で未締結なのは、日本、ソマリア、南スーダンなど11か国だけだ。早急に条約の輪に加わらねばならない。

テロ等準備罪で摘発の対象となるのは、組織的犯罪集団だ。テロ集団のほか、暴力団、麻薬密売組織、人身売買組織、振り込め詐欺集団などが想定される。

組織的犯罪集団の構成員や周辺者が、2人以上で重大犯罪を企てる。うち1人でも実行準備行為に走れば、その段階で全員を取り締まることができる。テロ集団の活動を根元から封じるための武器として、改正法を活用したい。

◆共謀罪とは別の物だ

過去に3度廃案になった「共謀罪」法案では、対象の団体が組織的犯罪集団に限定されず、適用には実行準備行為も必要とされなかった。テロ等準備罪が共謀罪とは別物であることは明らかだ。

制約が多すぎて、テロ等準備罪を効果的に運用できるのか、という懸念さえ生じる。

政府は国会審議で、組織的犯罪集団と関係のない一般人は対象外だ、と繰り返し説明した。一時的に集まった犯罪者グループは該当しない、との見解も示した。

野党が質問した「米軍基地反対の運動家」などが対象外であることは言うまでもない。

集団の周辺者の例として、暴力団と地上げを行う不動産会社社長を挙げた。277の対象犯罪を選んだ理由も具体的に示した。

こうした説明により、摘発対象が明確になったのではないか。「一般人も処罰される」という野党の主張は、不安を煽(あお)るだけだったと言わざるを得ない。

野党は「監視社会になる」とも批判した。改正法はあくまで、犯罪の成立要件や刑罰を定めた実体法だ。捜査手続きは従来の刑事訴訟法に基づいて行われる。警察が新たな捜査手段を手にするわけではない。批判は的外れだ。

警察には今後、一層の情報収集力が求められる。供述を引き出す能力も問われる。テロ等準備罪への疑念を軽減するためにも、法に基づいて、適正に捜査する姿勢に徹することが肝要だ。

無論、改正法により、テロを完全に防げるわけではない。特定の集団に加わらずに自爆テロなどを起こす「ローンウルフ」型の犯罪には対処が難しい。

あらゆる事態を想定し、法の穴を埋めていかねばならない。

残念だったのは、国会が混乱したことだ。民進、共産など野党が金田法相の問責決議案、内閣不信任決議案などを次々と提出したことで、改正法の参院本会議の採決が翌日朝にずれ込んだ。

◆乱暴だった「中間報告」

与党が、参院法務委員会での採決を省略し、審議経過などに関する委員長の「中間報告」で済ませたのは、乱暴な対応だった。

7月に東京都議選を控え、野党が徹底抗戦の構えを取ったため、採決時の騒動を避けようとしたというが、かえって与党の強引な国会運営が印象づけられた。

委員会できちんと結論を得たうえで本会議にかける手続きを踏むのが、本来の国会の姿だ。

18日の会期末が迫っていたが、会期を多少延長することは十分可能だったはずだ。重要法案だからこそ、もっと丁寧に審議を尽くすことが与党には求められる。
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2017年06月15日

[読売新聞] JR西無罪確定 安全運行への努力を重ねよ (2017年06月15日)

106人の乗客が犠牲になった大事故の刑事裁判が、終結を迎える。

2005年4月のJR福知山線脱線事故で、強制起訴されたJR西日本の元社長3人の無罪が確定する。最高裁が、1、2審の無罪判決を支持し、検察官役の指定弁護士の上告を退けた。

検察が唯一、起訴した山崎正夫元社長の無罪も、1審で確定している。JR史上最悪の事故で、業務上過失致死傷罪に問われた元経営トップの4人の誰もが刑事責任を負わない、との結論だ。

刑法は、個人を処罰対象にしている。会社を代表する社長であっても、個人に明確な違法行為がない限り、刑事罰を科せない。遺族が「納得できない」と憤るのも、無理からぬ面があるが、立証は困難だったと言わざるを得ない。

事故現場は、1996年の付け替え工事で急カーブに変わった。強制起訴された3人は、事故の危険性を認識しながら、自動列車停止装置(ATS)の整備を指示する注意義務を怠った。これが、指定弁護士の主張だ。

最高裁は、安全対策を所管する鉄道本部長にATS整備の判断が委ねられていた点を重視した。付け替え工事当時の鉄道本部長が、既に無罪が確定した山崎氏だ。

安全対策の実務からさらに遠い位置にいた3人に、事故の予見性を問うのは難しい。最高裁が「3人にATS整備を指示すべき注意義務があったとは言えない」と結論付けたことは、うなずける。

指定弁護士は、最高裁が経営者の過失責任を認定して、有罪とした事例として、82年に東京で発生したホテル・ニュージャパン火災の裁判を挙げた。

しかし、これは、消防法が定める防火設備の不備を認識しながら対策を怠ったケースだ。今回とは事情が異なる。最高裁も「事故前の法令では、カーブへのATS整備の義務はなかった」として、指定弁護士の主張を一蹴した。

強制起訴された事件では、無罪が目立つ。制度の在り方そのものが問われていると言えよう。

元社長が無罪になるとはいえ、JR西が安全を軽視した事実は消えない。過去を直視し、再発防止を徹底させる義務がある。

事故後、安全投資額を増やし、管内全域にATSを整備した。安全管理体制が適切かどうか、を社外の目で評価する仕組みも導入した。「日勤教育」と呼ばれた懲罰的な社員教育は廃止した。

信頼回復には、安全運行への不断の努力を重ねるしかない。
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[読売新聞] 酒の安売り規制 違反の判断基準があいまいだ (2017年06月15日)

規制当局には、消費者の利益を損なわない制度運用が求められよう。

酒の過度な安売りを禁止する改正酒税法などが1日施行された。

採算割れの安値で売り続け、他店に大きな影響を及ぼす行為を禁じる。税務当局が違反と認定すれば、罰金や販売免許取り消しもあり得る厳しい内容だ。

改正法の施行後、多くのスーパーや量販店では、ビール類の価格が1割前後値上がりした。違反の判断基準があいまいなため、万が一にも違反とみなされないよう値上げ幅を大きめに設定した、という声が聞かれる。

新たな規制が、消費者に無用の出費を強いてはなるまい。違法な安値販売を認定する根拠となるコスト計算の仕組みなどについて、国税庁は、小売業界に分かりやすく説明することが重要である。

例えば、コストの中には本社部門の人件費や宣伝費も含まれる。小売業界からは、店舗ごと、酒の銘柄ごとの費用を厳密に割り出すのは困難だとの指摘がある。

スーパーなどは、ビール類を集客の目玉と位置づけ、激しい安値合戦を繰り広げてきた。

今回の規制は、安売り攻勢にあえぐ中小酒店が強く求めた。昨年夏の参院選前に議員立法の改正法が成立した。政治力の強い酒店の団体に配慮した結果だろう。

「街の酒屋さん」には、充実した品ぞろえで堅実な商いを続けている店は少なくない。高齢世帯が増え、電話注文を受けて配達する「御用聞き」のニーズも根強い。安売りに負けない柔軟なサービスで活路を開いてほしい。

過度の安売りでライバル店を圧迫する行為はもともと、独占禁止法上の「不当廉売」として公正取引委員会が取り締まっている。

今回は、これに屋上屋を重ねたと言えよう。公取委と税務当局は、小売業界が混乱しないよう、連携を密にせねばならない。

改正法は、メーカーが小売店などに支払う販売奨励金(リベート)の基準の厳格化も求めた。事実上、値引きの原資に使えなくなり、値上げの一因となった。

価格の上昇について消費者の理解を得るには、商品の魅力を向上させることも大切である。

来年4月にはビールの定義が見直され、麦芽以外の副原料に果実や香味料の使用が認められる。

規制緩和を生かし、需要が広がる新商品を生み出してほしい。そうした技術革新の努力と工夫こそが、デフレ脱却に向けて成長を底上げする原動力でもある。
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2017年06月14日

[読売新聞] 国連特別報告 メディアへの誤解が甚だしい (2017年06月14日)

日本の現状をどこまで理解した上での報告なのか。甚だ疑問である。

ジュネーブの国連人権理事会で、「表現の自由」に関する特別報告者のデービッド・ケイ氏が、日本についての調査結果を報告した。

日本政府が、メディアに直接、間接に圧力をかけていると批判した。近く発表する報告書では、慰安婦の記述などを巡る教科書検定のあり方や、特定秘密保護法の見直しを勧告するという。

杜撰(ずさん)極まりない代物である。日本の一部の偏った市民運動家らに依拠した見解ではないか。

政府は、事前に公表された報告書案に対し、「客観的事実や分析に基づいていない」とする反論書を提出したが、ケイ氏は「結論に変更はない」と応じない。先に結論ありき、というほかない。

メディアに関しては、的外れの見方に終始している。総務相が放送局に対する行政処分の権限を有することを問題視し、政治的な公平性を求める放送法4条の見直しなどを勧告する見通しだ。

政府は、放送局の独自性を尊重し、穏当な対応をしてきた。4条違反を理由に電波停止などの命令が出された前例はない。

NHKと民放各社が第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)を設立し、番組に問題がある場合には、放送局への勧告などを公表している。

適正な番組作りを放送界の自主努力に委ねる。この流れが根付いていることは間違いない。

悪意に満ちているのは、教科書の慰安婦の扱いに関する見解だ。ほとんどの中学歴史教科書から慰安婦の記述がなくなったことを挙げ、政府の介入は市民の知る権利を損なわせると指摘した。

複雑な背景を持つ慰安婦問題を取り上げるか否かは、あくまで教科書会社の判断による。高校の歴史や公民の教科書の多くは、慰安婦問題を扱っている。

教科書検定では、日本軍が慰安婦を強制連行したとする記述があれば、修正を求められる。強制連行を示す資料は確認されていないことに照らせば、当然である。

国連人権理事会は、各国の理解と信頼を得る組織であるべきだ。米国のヘイリー国連大使も、「中国やキューバが理事国になって批判を逃れている上、非難決議には偏向もある」と不満を述べる。

報告書に強制力はないが、放置すれば、日本に対する誤解が国際社会に広がりかねない。

政府は、誤りに対して積極的に反論していかねばならない。
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[読売新聞] 核物質飛散事故 原子力機構にたるみはないか (2017年06月14日)

危険な核物質を扱っている、との自覚が足りないのではないか。

茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで、容器に保管されていた核物質の粉末が室内に飛散して、職員ら5人に付着する事故があった。

原子力機構では、点検漏れなどの不手際が続いた高速増殖炉「もんじゅ」が廃炉に追い込まれたばかりだ。原子力研究の最重要拠点でトラブルが続くようでは、不信や不安は拡大しよう。原発再稼働の足かせにもなりかねない。

事故は、廃止が予定されている施設に、20年以上放置されていた容器を検査する過程で起きた。

もんじゅで1995年に発生したナトリウム漏れ事故の後、政策の見直しが相次ぎ、機構は、事業の縮小・再編を余儀なくされた。予算や人員が不足して、核物質や放射性廃棄物の管理が行き届かなくなったことは否めまい。

再処理廃液の貯蔵など、管理に問題のある施設は多く、原子力規制委員会が改善を求めている。

このための検査を漫然と進めては、事故が再発しかねない。危険性を事前に検討して、十分な安全策を講じておくことが大切だ。

今回の事故では、5人が放射性物質を吸入したと疑われた。1人からは、肺の計測で最大2万2000ベクレルのプルトニウムが検出された。国内では前例のない内部被曝(ひばく)だと懸念された。

千葉県にある放射線医学総合研究所が全員を再計測した結果、プルトニウムは検出されなかった。一部の人からアメリシウムという放射性物質が検出されたが、微量だ。放医研によると、健康への大きな影響はないという。

当初、高い数値が出たのは、皮膚の皺(しわ)などに付着した微量のプルトニウムが原因だとみられる。これによる放射線を、内部被曝と誤認した。わずか100分の1ミリ・グラムのプルトニウムでも、今回の最大値が計測されてしまう。

放医研は、体表を綿密に除染した。機構は病院への搬送を優先して、一定の除染にとどめた。放射性物質を排出する薬剤は、迅速に使った方が効果的なためだ。

危機管理上、機構の対応には、やむを得ない面はあるものの、内部被曝の不確かな計測値が独り歩きして、混乱を助長したことは間違いない。今後の教訓だ。

原子力規制委は、当初の計測値を「半端な状況ではない」と判断した。無用に不安を煽(あお)ったと言わざるを得ない。適切なリスク評価と管理が規制委の本務である。
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2017年06月13日

[読売新聞] カタール断交 対立の連鎖に歯止め掛けたい (2017年06月13日)

中東の混乱に拍車がかかった。過激派組織「イスラム国」の掃討作戦や世界経済にも悪影響が及びかねない。事態の早期収拾が求められる。

イスラム教スンニ派の盟主、サウジアラビアがバーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)とともにカタールとの国交を断絶した。4か国はいずれも米国と関係が深い湾岸協力会議(GCC)に加盟する。結束が崩れるのは異例だ。

サウジは、カタールとの航空便の運航を中止し、陸路も遮断した。エジプトなどが断交に同調し、カタールを孤立させる動きが相次ぐ。カタールのシーア派大国のイランに対する融和姿勢や、テロ組織支援を理由に挙げている。

カタールは、安全保障の観点から独自外交を展開する。イランとは世界最大級の天然ガス田が海底でつながっており、開発での連携を見込んで協調維持に努める。

イランと対立し、昨年1月に断交したサウジには、敵対行為と映るのだろう。

中東の民主化運動を通じて勢力を拡大し、エジプトでは政権も担ったイスラム主義組織「ムスリム同胞団」をカタールが支援していることも火種となっている。

エジプトの現政権は「同胞団」をテロ組織と見なす。サウジやUAEも「カタールが同胞団を通じて影響力を行使し、情勢を不安定化させている」と批判する。

亀裂が大きく広がったのは、トランプ米大統領の責任もあろう。先月のサウジ訪問の際、湾岸諸国の首脳らを集めた会議で、「イラン包囲網」の強化を一方的に訴えたことが、サウジの強硬姿勢を促した面があるのではないか。

サウジもカタールも、米国の重要な同盟国だ。カタールには中東最大級の米空軍の拠点があり、有志連合による「イスラム国」の掃討作戦にも使われている。米国を中心とする有志連合の連携に綻びを生じさせてはならない。

カタールの天然ガス埋蔵量は世界3位で、日本にも輸出されている。各国へのガス供給が制限されれば、価格の高騰を招きかねない。混迷の長期化は、世界経済の深刻なリスク要因である。

イランでは、国会議事堂などが襲撃される同時テロが起き、「イスラム国」が犯行声明を出した。保守強硬派が発言力を強め、サウジなどとの対立がさらに激化することが懸念される。

米国、トルコなどの関係国は仲介外交を加速させ、中東を不安定化させる宗派対立とテロの連鎖に歯止めをかけるべきだ。
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[読売新聞] 0増6減法成立 衆院新区割り周知に万全期せ (2017年06月13日)

「1票の格差」を2倍未満に是正するための苦心の改定である。有権者が混乱しないよう、準備に万全を期すべきだ。

過去最多の衆院97小選挙区の区割りを見直す改正公職選挙法が成立した。青森、鹿児島など6県の定数を各1減らす「0増6減」が柱である。

衆院では、政府に新区割りの周知徹底を求める付帯決議が採択された。高市総務相は「見直し内容を丁寧に説明する」と語った。1か月の周知期間を経て、改正法は7月16日にも施行される。

小選挙区の区割り改定は、1994年の制度導入以来、3回目だ。将来推計人口を初めて取り入れ、2020年でも最大1・999倍に収まるよう工夫した。

反面、複数の選挙区に分割される市区町は過去最多の105に上る。現在、自分の選挙区が分からないという有権者は少なくあるまい。自治体の事務負担も増す。

住民への広報活動や、選挙事務の軽減策に知恵を絞ることが大切だ。各党も、区割り変更に伴う候補者調整を急ぐ必要がある。

改正法には、与党と民進党、日本維新の会などがそろって賛成した。第三者組織が政治介入を排除し、人口変動に応じて定期的に区割りを見直す現行制度が着実に定着してきたと言えよう。

20年の国勢調査後には、新たに導入するアダムズ方式に基づき、各都道府県の定数を抜本的に再配分する。定数の大幅増が確実な東京都などは、再び線引きが大きく変更される事態が予想される。

衆院定数は今回、「0増6減」と比例選の4減により、465となる。1925年の男子普通選挙の導入以来、最少である。

懸念されるのは、地方の人口減が続く中で定数を減らしてきたことで、地方選出議員の減少が加速していることだ。定数が少ないほど、1票の格差の是正が困難になるという問題も抱える。

日本の議員定数は、諸外国と比べて決して多くない。有識者調査会は昨年1月、「定数削減に積極的な理由や理論的根拠は見いだしがたい」と慎重姿勢を示しながらも、各党が削減を公約したことを尊重し、定数10減を答申した。

国会議員が減れば、住民の声が国政に届きにくくなる。

これ以上の定数削減を主張するのは、選挙目当てのポピュリズム(大衆迎合主義)ではないか。

国会の審議をいかに充実させ、行政監視機能をどう強化するのか。こうした課題にこそ、各党は真剣に取り組まねばならない。
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2017年06月11日

[読売新聞] トランプ氏疑惑 「捜査中止指示」の証言は重い (2017年06月11日)

米大統領自ら、連邦捜査局(FBI)のトップに対し、捜査に手心を加えるよう働きかける。そんな不当な介入が事実なら、法秩序を揺るがす重大な事態である。

コミー前FBI長官が議会の公聴会で、トランプ政権のロシア疑惑を捜査中にトランプ大統領と交わした会話の詳細を証言した。

駐米露大使との接触を巡り、捜査対象となったフリン前大統領補佐官について、トランプ氏は「大目に見てくれることを望んでいる」と述べたという。コミー氏は、「捜査中止の指示だ」と認識したが、従わなかった。

トランプ氏は、長官人事と絡めて自らへの「忠誠」を求めたり、対露癒着疑惑の捜査の早期終結を暗に要求したりもしたという。違和感を禁じ得ない振る舞いだ。

FBI長官の任期は、政治的な中立性や捜査の継続性を保つため、10年と長い。歴代大統領もFBIの独自性を尊重してきた。

オバマ前政権下で任命されたコミー氏は、任期を6年も残して解任された。トランプ氏の周辺に降りかかる疑惑を封じ込めることが目的なら、言語道断だろう。

コミー氏は「解任理由に関する政権の説明が変遷し、困惑した。FBIを混乱させた」と非難した。FBIの独立性がトランプ氏に脅かされることを「非常に懸念した」と語ったのは理解できる。

偽証すれば罪に問われる場で、コミー氏が「告発」した意味は重いと言えよう。

トランプ氏は、捜査中止の圧力について、「そんなことは言わなかった」と反論した。

共和党議員からも「政権内で忠誠を求めるのは、不正ではない。違法行為は見当たらない」といった擁護論が出ている。

焦点は、トランプ氏の行為が、大統領弾劾(だんがい)にもつながる「司法妨害」に該当するのかどうかだ。コミー氏は、モラー特別検察官の判断に委ねる考えを示した。

特別検察官は、中立的な立場で高官らの関与が疑われる事件を捜査する。ロシアが昨年の大統領選でトランプ陣営と共謀し、サイバー攻撃で介入した疑惑や、陣営が対露制裁解除を密約した疑いも合わせ、徹底解明が求められる。

支持率が低迷する中、トランプ氏の政権運営が厳しさを増すのは間違いない。側近のセッションズ司法長官が、引責辞任を申し出たとも報じられている。

トランプ氏は、自らの言動が政権の大混乱を招いていることを自覚せねばなるまい。
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