2018年05月23日

[読売新聞] 国民投票法改正 利便性の向上策が欠かせない (2018年05月23日)

国の最高法規である憲法の改正の是非を国民に問う重要な手続きだ。一人ひとりが確実に意思を示せるよう、環境を整えておく必要がある。

自民、公明両党は衆院憲法審査会の幹事会で、国民投票法改正案を提示し、野党に共同提出を呼びかけた。

改正案は、大型商業施設などに「共通投票所」を設置できるようにするほか、洋上投票を実習生などにも広げる。「要介護5」の人などに認められる郵便投票の対象を「要介護3」まで拡大することも盛り込んでいる。

いずれも、投票機会を拡大する狙いから、国政選などで導入済みか導入予定の内容である。国民投票に適用するのは当然だろう。

代表を決める選挙とは異なり、国民投票は憲法についての立場を示すものだ。自由で活発な意見表明や議論を促すため、国民投票の運動は原則自由とし、必要最小限の規制にとどめている。

組織的買収などは禁止するが、運動費用やポスター、宣伝カーの利用に制限はない。

立憲民主党は投票環境の改善策とは別に、テレビ・ラジオなど有料のスポットCMの規制強化を主張している。費用の上限規制などを検討しているという。自由を原則とする国民投票法の理念とそぐわないのではないか。

テレビCMは映像や音声で感情に働きかけ、冷静な判断を阻害する可能性がある、との指摘は現行法制定時にもあった。有識者の意見などを参考に、投票14日前からのテレビCMを禁じた経緯がある。期日前投票と同じ期間だ。

公平性の確保は、放送局の自主的な取り組みに委ねるのが望ましい。インターネットが普及する中、テレビCMに限って規制を強化するのはバランスを欠いている。

CM規制を蒸し返すのは、憲法改正論議を拒む「時間稼ぎ」と疑われてもやむを得ない。

今国会では、衆院憲法審査会は、一度も実質的な審議を行っていない。立民党は、自民党が主導する改憲論議には応じない考えを示している。抵抗野党のような姿勢には問題がある。

新党の国民民主党は、憲法調査会での議論を始めた。具体的な改憲案の検討を急ぐべきだ。

各党が憲法改正への見解を表明し、建設的な議論を経て、改正原案をまとめる。これが憲法審査会の本来の役割である。

国民投票法改正案を早期に成立させ、改憲論議を本格化させなければならない。
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[読売新聞] 社会保障費推計 2040年見据えた議論急げ (2018年05月23日)

人口減が深刻化する将来において、社会保障は維持できるのか。持続可能な制度の構築へ向けて現実を直視し、給付と負担の見直しに取り組まねばならない。

政府が、高齢者人口がピークに達する2040年度の社会保障費の将来推計を公表した。

医療、介護、年金、子育て支援などの社会保障給付費の国内総生産(GDP)に対する比率は、現在の21・5%から24%に上昇する。特に、需要が増える医療、介護分野の伸びが著しい。介護の対GDP比は1・7倍に膨らむ。

40年には、団塊ジュニア世代が老後を迎える。高齢者人口は4000万人近くにまで増え、総人口の3分の1を超える。現役世代の減少は加速する。

これまでは、団塊の世代が75歳以上になる25年が社会保障改革の焦点で、将来推計もその時点にとどまっていた。今回初めて、人口構造が激変する時期の状況を明示したことには、意義がある。

推計によると、名目の給付費は今の1・6倍の190兆円になるが、対GDP比でみると1・1倍だ。際限なく膨張して制度が崩壊する、といった一般的なイメージとは異なるのではないか。

国民には、漠然とした将来不安が広がっている。それが、消費を低迷させ、脱デフレを困難にしてきた。現実に即した冷静な議論で不安解消につなげたい。

無論、費用の膨張を可能な限り抑制する努力は不可欠だ。

医療と介護の連携を強化し、入院中心の医療から在宅中心へと転換する。軽度者向けの介護保険サービスは自治体事業に移す。予防重視の施策を拡充し、健康寿命を延ばす。医療・介護の効率化を徹底して推進せねばならない。

国民生活を考えれば、給付抑制には限界がある。膨らむ費用を誰がどう負担するのか。減少する現役世代にばかり頼っていては、早晩行き詰まる。高齢者も含めた全世代が、経済力に応じて負担する仕組みに改める必要がある。

制度の支え手を増やすため、働き方改革を進め、女性や高齢者の労働参加を促すことも大切だ。

負担増の議論は避けて通れない。消費税率10%を実現する環境を整える。その上で、さらなる税率アップを検討すべきだろう。

40年以降を見据えた最大の課題は、いかに人口減を食い止めるかだ。出生率向上を速やかに実現できるかどうかで、日本の将来像は大きく変わる。少子化対策のさらなる拡充が急務である。
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2018年05月22日

[読売新聞] エネルギー計画 安定供給の実現へ課題は多い (2018年05月22日)

環境問題に配慮しつつ電力の安定供給をどう図るか。再生可能エネルギーや原子力、火力など多様な電源をバランス良く活用する必要がある。

経済産業省の有識者会議が、エネルギー基本計画の見直し原案をまとめた。2030年に向けた長期的な国のエネルギー供給のあり方を示す指針だ。

30年の電源構成比の目標は、14年の前回計画を踏襲した。具体的には、再生エネ「22?24%」、原発「20?22%」、石炭などの火力は「56%」とした。

脱化石燃料の流れに沿って火力を減らし、再生エネを伸ばす。原発は引き続き「重要な基幹電源」と位置づける。こうした計画の方向性は理解できる。

再生エネについて計画は「主力電源化への布石を打つ」と初めて明記した。だが、現在の技術では克服困難な課題が多い。

再生エネの目標のうち、時間帯や天候次第で出力変動が大きい太陽光と風力が約9%分を占める。需給調整のために火力発電によるバックアップが要る。主力電源たり得るか、疑問は拭えない。

コスト高という問題も抱えている。再生エネは、民主党政権時代の12年に固定価格買い取り制度が始まった。電力会社が買い取る価格を極端に高く設定したため、新規参入が急増した。これが国民負担の膨張を招いている。

買い取り額は30年度に4兆円に達し、標準家庭の負担額は年1万円に達する見通しだ。

建設が容易なことから、太陽光が認定量の8割を占める。風力、地熱、バイオマスなどの普及を促進し、太陽光偏重の是正を図ることも急務となろう。

一方、火力では、発電コストが安く、資源調達が容易な石炭火力を基幹電源として活用する。

安定供給の観点からは必要なエネルギーだが、LNG(液化天然ガス)の2倍の二酸化炭素(CO2)を排出するなど環境面に課題がある。排出量の少ない最新鋭設備へ着実に更新したい。

CO2を排出しない原発は、環境負荷低減に役立つ。発電効率が高く、燃料調達しやすいため、エネルギー安全保障にも資する。

電源構成の目標達成には、30基程度の原発稼働が不可欠だ。現状は8基である。政府と電力会社は、原発に対する国民の信頼回復に努め、安全性が確認された原発の再稼働を進めるべきだ。

運転開始から40?60年で廃炉になる。基幹電源とする以上、新増設も視野に入れねばなるまい。
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[読売新聞] 是枝監督最高賞 世界が絶賛した邦画の表現力 (2018年05月22日)

世界屈指の映画祭で、最高賞を射止めた。優れた日本映画ならではの表現力が、認められた結果だ。快挙を称(たた)えたい。

是枝裕和監督の「万引き家族」が、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門でパルムドールを受賞した。

日本人の最高賞受賞は、衣笠貞之助、黒沢明、今村昌平各監督に次いで4人目だ。今村監督が1997年に「うなぎ」で受賞して以来、21年ぶりの朗報である。

是枝監督がコンペ部門に出品したのは5回目だ。2004年の「誰も知らない」で柳楽優弥さんが男優賞、13年の「そして父になる」では審査員賞を獲得した。

今回の受賞は、高いレベルに達していた実力が正当に評価されたものだと言える。55歳の是枝監督は「あと20年は映画を作りたいという勇気をもらいました」と喜びを語った。貪欲な創作意欲が、さらなる傑作を生み出すだろう。

「万引き家族」は、祖母の年金と万引きで生計を立てる貧しい一家の物語だ。許されない犯罪行為に手を染める家族でありながら、是枝監督は、肩を寄せ合って生きる姿を温かく描いている。

新生児の取り違えを題材にした「そして父になる」など、是枝監督は家族の在り方を問いかけてきた。「万引き家族」が、その延長線上にあるのは間違いない。

家族のつながりの希薄化は、海外でも共通してみられる現象だ。作品が評価されたのは、「現代人の孤独」という普遍的テーマに向き合ったからではないか。審査委員の一人は「私たちはこの映画に恋に落ちた」とコメントした。

是枝作品の多くは、自ら脚本を執筆したオリジナルストーリーだ。ベストセラーの小説や漫画などの映画化が多い中にあって、原作に頼らない是枝監督の作家性は、異彩を放っている。

北野武、宮崎駿――。国際的に評価されている日本の映画監督は少なくない。今回の受賞は、後に続く世代にとって、大きな励みや刺激になるだろう。

日本映画界には明るい話題が目立つ。1990年代に年間200本台だった公開本数は、600本程度にまで増えている。「君の名は。」や「シン・ゴジラ」の大ヒットも記憶に新しい。

日本映画振興の拠点として期待される「国立映画アーカイブ」も、4月に誕生した。

政府は映画産業の海外展開に取り組んでいる。今回の受賞を追い風に、日本映画の魅力を一層広く発信していきたい。
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2018年05月21日

[読売新聞] 中国の領土主張 外国企業への「検閲」は問題だ (2018年05月21日)

中国の政治的主張を外国企業に押しつけ、従わなければ報復する。民間の自由な経済活動を阻害する行き過ぎた「検閲」はやめるべきだ。

中国政府が日本や米国などの航空会社に対し、台湾、香港、マカオを中国の一部として、各社のウェブサイト上に明示することを求めた。台湾を「中国台湾」と表記し、地図上で中国大陸と同じ色で塗るよう指示した。

対応を取らなければ、処分を下すと警告している。

中国の習近平政権は「一つの中国」原則を巡り、台湾の蔡英文政権と対立する。台湾と関係を深める外国政府や国際機関をけん制してきた。外国企業にも圧力の対象を広げ、台湾を国際的に孤立させる狙いは明白だ。

台湾を訪れる旅客は、中国本土とは異なる手続きを求められる。「一国二制度」の下で高度な自治が認められている香港とマカオも同様だ。中国当局の対応は、こうした実態を無視している。

米ホワイトハウス報道官が、「中国共産党の政治的立場の強制だ」と述べ、航空会社への要求を非難したのは当然だ。

中国が自国の主張や政策を国際社会に拡散する手段として、外国企業への干渉を強めるのは看過できない。当局の「検閲」は、幅広い業種に拡大している。

米ホテル大手マリオット・インターナショナルは、中国の会員向けメールで行ったアンケートで、台湾などを「国家」として扱い、ネット上で批判を受けた。

アンケートを取りやめ、「中国の主権と領土保全を尊重する」との謝罪表明に追い込まれた。

上海市当局は「サイバーセキュリティー法」などに違反した疑いでマリオット側から事情聴取し、中国語版サイトとアプリの運用の一時停止を命じた。

スペインの衣料ブランド「ZARA」などのウェブサイトでも、同様の問題が起きた。

サイバーセキュリティー法は、「国家分裂の扇動」のためのネット利用を禁じている。当局の恣意(しい)的な適用によって、外国企業の活動が不当に制限される事態を警戒する必要がある。

企業は、巨大な中国市場から締め出されることを恐れるあまり、理不尽な要求でも受け入れざるを得ない立場だ。

中国西部チベットを「国家」扱いするなど、企業側の明らかな事実誤認も少なくない。主権や領土にかかわる敏感な問題には、細心の注意が求められる。
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[読売新聞] SNS被害最多 規制と教育で子供を守りたい (2018年05月21日)

見知らぬ人と交流するインターネット上のサイトを通じて、子供が犯罪被害に遭う例が後を絶たない。安全に利用できる環境を整えるべきだ。

ツイッターなどのSNSをきっかけに被害に遭った18歳未満の子供は昨年、過去最多の1813人に上った。淫行や児童買春などの性犯罪が大半を占める。中高生の被害が圧倒的に多い。

小学3年の8歳の女児が、自分の裸の写真を送らされる「自画撮り」被害に遭っていたケースもあった。深刻な事態である。

スマートフォンの利用は、低年齢の子供にまで広がっている。SNSは通信手段としては便利で手軽だが、犯罪に巻き込まれることもある。家庭や学校で、改めて危険な側面を教える必要がある。

フィルタリングの利用が徹底されていないのは問題だ。有害情報の閲覧を制限する機能がある。

警察庁によると、被害に遭った子供の9割が利用していなかった。保護者は「子供を信用していた」などと答えている。有害情報への警戒心の低さが、被害に結びついているとも言えよう。

フィルタリングには抜け道も多く、有害情報を完全に遮断することはできない。過信は禁物とはいえ、設定するのは最低限の防御策だ。家族でスマホの使い方を話し合うきっかけにもなるだろう。

子供が加害者に会うのは、金品目的だけでない。「優しかった」「相談に乗ってくれた」といった理由も少なくない。神奈川県座間市で昨年、9人の遺体が見つかった事件でも、ツイッター上の自殺志願の書き込みが狙われた。

ネット上に溢(あふ)れる子供たちのSOSを、どのようにすくい上げるか。大きな課題である。

事業者の責任も重い。

子供が被害に遭ったSNSで、最も多かったのはツイッターだった。警察庁は、匿名でも複数のアカウントを取得できることや、売買春などを連想させるキーワードで投稿内容を検索できる仕組みが悪用されたとみている。

SNS運営会社で構成する団体は4月、子供の被害防止を目的とした指針を策定した。

自殺誘引や、児童買春などの法令違反を利用規約で禁じる。投稿の監視を強める。こうした取り組みを事業者に促している。拘束力はないが、一歩前進ではある。

一部の事業者が規制を強化すると、悪質利用者は規制が緩い別のサイトに流れてきた。これを断つため、業界全体で実効性ある対策に本腰を入れてもらいたい。
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2018年05月20日

[読売新聞] 島サミット 自立的な発展を後押ししたい (2018年05月20日)

太平洋を自由で開かれた海にする。その実現に向け、政府は島嶼(とうしょ)国の自立的な発展を後押しし、より強固な信頼関係を築くことが重要である。

日本やサモアなど19か国・地域の首脳らが参加し、太平洋・島サミットが福島県いわき市で開かれた。1997年以来3年ごとに開催され、今回が8回目となる。

島嶼国の多くは親日的で、国連などの場で日本の立場に理解を示す大切なパートナーである。首脳が集う機会を生かし、信頼醸成を図ることが必要だ。サミットに参加した豪州やニュージーランドとの協調も欠かせない。

安倍首相は共同記者発表で「ソフトとハード両面でのきめ細かな支援を推し進める」と語った。島嶼国の人材育成に積極的に取り組む考えを強調した。

台風や津波などの自然災害や地球温暖化への対処は、島嶼国共通の課題である。政府は、港湾の整備や再生可能エネルギーの推進など、多面的な協力を進めるべきだ。企業や非政府組織(NGO)との連携が求められる。

サミットでは、海洋分野での協力を強化することで合意した。

北朝鮮の船が海上で石油精製品などを密輸する「瀬取り」への対策を共同で進めることを決めた。島嶼国は北朝鮮船の「船舶登録」の解除などに取り組む。実効性を高めなければならない。

島嶼国は広大な排他的経済水域(EEZ)を持ち、海上交通路としての重要性が増している。

日米が掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」は、法の支配や市場経済を重視し、地域の安定と繁栄を図る考え方である。南太平洋でも促進したい。

島嶼国に対しては、中国と台湾が熾烈(しれつ)な援助外交を繰り広げてきた。近年は中国が存在感を急速に増大させている。

問題なのは、中国による支援は、実施条件や支援額などが不透明なことだ。需要を無視した過剰なインフラ整備により、島嶼国の財政運営に悪影響を与えているのではないかとの指摘がある。

トンガは、中国の援助を受けて道路などを整備してきたが、多額の対中債務を抱える結果となった。中国人観光客の急増で、環境破壊が懸念される国もある。

各国の実情を踏まえずに強引な開発を進めても、持続的な発展は望めない。地域を不安定化させる要因にもなりかねない。

政府は、中国の動向に関心を払いつつ、島嶼国の成長に資する効果的な支援策を講じるべきだ。
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[読売新聞] 仏マクロン政権 欧州と米国の懸け橋となるか (2018年05月20日)

トランプ米大統領と良好な関係を保ちつつ、行き過ぎた「米国第一」主義に歯止めをかけられるか。就任2年目に入ったマクロン仏大統領が果たすべき役割は大きい。

マクロン氏は先月、トランプ政権下で初の国賓として訪米した。米議会での演説で、米国が鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を進めていることを念頭に、「商業戦争」への懸念を示した。

貿易不均衡問題は世界貿易機関(WTO)で解決すべきだ、という訴えはもっともだ。

米国が離脱を決めたイラン核合意についても、マクロン氏は維持することを求める。「合意には欠陥がある」というトランプ氏の主張を踏まえ、イランの弾道ミサイル開発抑制などを盛り込んだ見直し案を提示した。

核合意は、米英仏独中露の6か国とイランが結んだ国際取り決めだ。米欧の制裁解除と引き換えにイランが核活動を縮小した。

合意が崩壊すれば、イランが核兵器開発を行う契機となりかねない。英独などと協調し、合意を存続させられるか。マクロン氏の外交手腕が問われる。

マクロン氏が米国に対して率直な物言いができるのは、昨年7月のフランス革命記念日にトランプ氏をパリに招き、個人的な信頼関係を築いたからだろう。

オランド前大統領の失政と不人気によって低下したフランスの国際イメージは、マクロン政権下で回復しつつある。

欧州と米国の懸け橋の役割は、長らく英国が担ってきた。オバマ前米大統領時代は、メルケル独首相が蜜月関係を築いた。仏大統領が前面に出るのは異例だ。

メイ英首相は欧州連合(EU)からの離脱を進める。メルケル氏は難民問題などで、EU内の求心力が低下している。マクロン氏の存在感が目立つ背景には、欧州の政治構図の変化もあろう。

積極外交を継続するには、公約に掲げた国内改革の実行による政権の基盤強化が欠かせない。

マクロン氏は、労働者の過度な保護が企業活動の支障になっているとして、解雇や労働時間の調整を容易にする労働法改正を実現させた。外国企業を誘致するため、法人税の軽減も決めた。

「企業優遇」との批判が高まり、労働組合の抵抗は激化している。マクロン氏の支持率は44%で、就任当初の62%から下落した。

痛みを伴う改革の成果を、失業率の低下など、国民が実感できる形で示すことが求められる。
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2018年05月19日

[読売新聞] 危険タックル ルール無視は競技への冒涜だ (2018年05月19日)

無防備な相手に背後からタックルして、けがを負わせる。ルール度外視の行為を許しては、スポーツは成り立たない。

学生アメリカンフットボールの名門、日本大の選手が関西学院大の選手に危険なタックルをして、負傷させた。日大のこの選手は、その後もラフプレーを繰り返し、退場処分となった。

関東学生連盟は問題の選手の対外試合出場を禁じ、日大の内田正人監督を厳重注意処分とした。規律委員会が最終処分を検討している。厳正な対応を求めたい。

日大選手は、関学大選手がパスを投げた約2秒後、背後からタックルした。関学大選手は下半身から崩れ落ちるように転倒した。

身構えることなく、不意に大きな衝撃を受けた場合、負傷する危険性は極めて高い。アメフトの公式規則は、パスを投げた後の選手に突き当たる行為を禁止している。日大選手のタックルが規則違反であるのは、明らかである。

選手同士が激しく接触する競技であるほど、厳格なルールで安全確保を図っている。ルール無視のラフプレーは、暴行と変わらない。競技への冒涜(ぼうとく)だと言えよう。

強豪校がルールを蔑(ないがし)ろにしたことで、アメフト全体への信頼が大きく損なわれた。

日大アメリカンフットボール部自身も「重大な反則行為」だったと認めている。問題は、なぜ危険なタックルに及んだのかだ。

関学大が見解を求めたのに対し、日大は「意図的な乱暴行為を行うことなどは教えていない」と回答した。「指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)があった」とも釈明した。悪質なタックルは監督の指示ではなかった、との主張だ。

関学大は、内田監督らがタックルをした選手に厳しく注意した形跡がない点などを問題視する。「監督・コーチが容認していたと疑念を抱かざるを得ない」との見方には、うなずける面が多い。

内田監督は、自らの言葉できちんと経緯を説明すべきだ。

大学スポーツの運営には、自主性が重んじられてきた。それは長所である一方、競技団体の指導が行き届きにくい弊害もあろう。

米国を参考に、大学スポーツの統括組織(日本版NCAA)が創設される予定だ。収益力向上だけでなく、ガバナンス(統治能力)強化にも力を注ぐ必要がある。

今回の映像は、インターネット上で瞬く間に拡散した。悪質な行為は決して見過ごしてもらえない時代になった。そのことを選手と指導者は肝に銘じてほしい。
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[読売新聞] 1?3月GDP 成長の持続へ内需拡大を促せ (2018年05月19日)

長期間の経済成長が一服した。景気の回復軌道を維持するためには、力強い賃上げや将来不安の払(ふっ)拭(しょく)によって、内需拡大を促すことが重要だ。

今年1?3月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比0・2%減、年率換算で0・6%減だった。マイナス成長は9四半期ぶりだ。

国内需要が総じて振るわなかった。GDPの6割を占める個人消費は、わずかながら2四半期ぶりに減少した。天候不順に伴う野菜の高騰、ガソリン価格上昇などで消費者の節約志向が強まった。

ガソリンは、中東情勢の混迷を背景に約3年半ぶりの高値圏にある。この趨勢(すうせい)が続けば、物流費や光熱費にも跳ね返る。こうしたコストの増加に引きずられた値上がりは歓迎できない。

望ましいのは、需要の喚起による緩やかで安定した物価上昇だ。企業の好業績による賃上げが消費を伸ばし、企業収益を押し上げる好循環が期待できる。

その実現には、積極的な賃上げが鍵の一つとなろう。

連合がまとめた2018年春闘の途中集計によると、平均賃上げ率は約2%にとどまる。昨年は上回るものの、政府が経済界に求めた3%に遠く及ばない。

上場企業全体の18年3月期の最終利益は、2年連続で過去最高となる勢いだ。企業には、利益に見合う賃上げによって、従業員に還元する姿勢が求められる。

人材の高度化を目指す職業研修の充実も、有力な「人への投資」と言える。深刻化する人手不足の対策にも資する。

消費者の財布のひもが固い一因には、人口減少と高齢化の進展に伴う根強い将来不安がある。

「働き方改革」を通じて、女性や高齢者が働きやすい環境を整備する。医療・介護などで持続可能な社会保障の方向性を明確に示す。政府は、こうした施策を着実に進めることが欠かせない。

日本を取り巻く海外の経済環境には不透明な面が少なくない。

今回のGDP速報では、輸出の伸びが大幅に鈍化した。中国でのスマートフォン販売が低迷し、関連部品の輸出が不振だった。

トランプ米大統領の保護主義政策は、米中摩擦などを通じて世界貿易を冷え込ませかねない。

多くの新興国では、米国の政策金利引き上げを背景に資金流出が加速し、通貨が急落している。

日本経済が外的ショックへの耐性を高めるためにも、国内市場の活性化を急がねばなるまい。
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2018年05月18日

[読売新聞] iPS心臓治療 安全性と有用性の実証が鍵だ (2018年05月18日)

安全性と有用性を示す確たるデータを得るために、慎重に臨床研究を進めてもらいたい。

体の様々な組織になるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、心臓病患者を治療する大阪大の臨床研究計画を厚生労働省が了承した。澤芳樹教授(心臓血管外科)のチームが、今年度内にも着手する。

京都大に提供してもらうiPS細胞を心臓の筋肉細胞にまで培養して、シート状に加工する。手術により、虚血性心筋症の患者3人(18?79歳)の心臓に2枚ずつ貼り付けて、心筋の再生を促す。

日本で生まれたiPS細胞が実用化へ、さらに一歩踏み出す。

患者らの期待は大きい。重い心臓病患者の大半は、心臓移植でしか治療できないが、臓器提供は少ない。阪大の治療法は、新たな選択肢になる可能性がある。

重要なのは、質の高い臨床研究に徹することだ。患者の症状がどう改善したか、治療の経過を具体的に示す必要がある。

研究チームは、これまでも、太ももの筋肉由来の細胞でシートを作り、同様の治療を試みている。国内メーカーが、シートの商品化も手がけているものの、効果は十分に評価されていない。

その段階でiPS細胞の利用に進むことに「尚早」と指摘する専門家もいる。臨床研究で疑念を払拭(ふっしょく)せねばなるまい。

副作用も要注意だ。今回移植するiPS細胞の数は約1億個にも上る。心筋になり損ねた細胞が混じると、がん化しかねない。厳しい品質管理はもちろん、術後の状況を注意深く見守るべきだ。

厚労省は了承に際し、対象を重症患者に絞り、患者への同意説明文書を分かりやすくする、との条件をつけた。リスクの大きい研究であることを考えれば当然だ。

iPS細胞による臨床研究は、理化学研究所などのチームが2014年に目の疾患で初めて実施し、成果を上げた。これを受けて、研究が活発になり、脊髄損傷やパーキンソン病などの臨床研究・試験の計画も進んでいる。

今回の阪大の臨床研究は、iPS細胞による再生医療の今後を見極める試金石となろう。

再生医療では、受精卵から作るES細胞(胚性幹細胞)の研究が世界の主流だ。性質はiPS細胞と同様だが、先行して開発されたために実用化も近いとされる。

日本では国立成育医療研究センターが、肝臓病での臨床試験を始めている。iPS細胞とともに、難病の治療に役立てたい。
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[読売新聞] スルガ銀行 利益至上が招いた重いツケ (2018年05月18日)

利益拡大を優先し、リスクの高い融資にのめり込んだツケは重い。

賃貸住宅「シェアハウス」に対する投資トラブルを巡り、資金を融資した地方銀行のスルガ銀行(静岡県)が、社内調査結果をまとめた。

物件オーナーへの融資に必要な書類の偽造や改ざんなどの不正について、多くの行員が認識していた可能性があると認定した。

ただ、行員が不正に主体的に加担していたかどうかは解明できなかった。今後、外部弁護士の第三者委員会で詳しく調べるという。徹底した調査が求められる。

問題のシェアハウス投資は、不動産会社が賃料収入を約束してオーナーを勧誘し、スルガ銀が融資した。運営会社の経営危機で賃料が不払いになって返済が滞り、融資を巡る不正が表面化した。

スルガ銀のシェアハウス向け融資は、3月末で1258人に対して行われ、総額2035億円に上る。スルガ銀は、融資額の1割程度の自己資金を用意するよう求めていたが、資金不足でも融資していたケースが多く見られた。

不動産会社が、借り手であるオーナーの預金残高を改ざんして、十分な資金があるように装うなど、悪質な手口が目立った。

不動産会社は自己資金ゼロでシェアハウスのオーナーになれると宣伝していた。自己資金1割の原則に反することを、行員が「知らなかったとは考えられない」と、社内調査は指摘した。確認を怠ったスルガ銀も責任は免れまい。

低金利による利ざや縮小で、地銀は収益悪化に苦しんでいる。そんな厳しい環境下でもスルガ銀は好業績を上げてきたが、利益至上主義に陥り、融資審査が甘くなっていたのではないか。

あるオーナーは「年収の30倍でも融資していた」と証言する。安易な融資が、多額の焦げ付きを招いた。「貸さぬも親切」という言葉もある。スルガ銀は金融機関の基本に立ち返らねばならない。

金融庁はスルガ銀への立ち入り検査を進め、第三者委の結論を待って行政処分を行う方向という。組織的な関与はなかったのか。経営陣はどこまで事態を把握していたのか。厳しく精査すべきだ。

一方、地銀に新たな収益源の開拓を強く迫ってきたのも金融庁である。スルガ銀を、地銀の「優等生」と評価していた。これまでの監督姿勢の是非も問われよう。

オーナー側も不用意だった面は否めまい。安直なもうけ話には、得てして「落とし穴」がある。その事実を改めて銘記したい。
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2018年05月17日

[読売新聞] 中東情勢の緊張 米国は沈静化へ責任を果たせ (2018年05月17日)

イスラエルへの一方的な肩入れと、イランとの過度の対決姿勢に、戦略性はうかがえない。トランプ米大統領の中東政策が地域の緊張を高めているのは問題だ。

米政権が、イスラエルの首都と認定したエルサレムに、大使館を移転した。パレスチナ自治区ガザなどで激しい抗議デモが起き、イスラエル軍の発砲により、多数の死傷者が出た。

国連安全保障理事会の緊急会合では、発砲を非難する意見が多数を占めた。米国は、ガザを実質的に支配するイスラム主義組織ハマスがデモの過激化を扇動していると反論した。暴力の連鎖を食い止めることが先決である。

イスラエルはエルサレムを「永遠・不可分の首都」と主張する。パレスチナ自治政府は、東エルサレムを将来の国家の首都と位置付ける。エルサレムの帰属は、「2国家共存」に向けた和平交渉で定めることが原則とされてきた。

トランプ氏は新たな中東和平案の提示にも意欲を示す。仲介役を果たしたいのなら、イスラエルの立場を無条件に支持するのでなく、東エルサレムでのユダヤ人入植活動の停止を促すなど、対話の環境作りを進めるべきだった。

自治政府はトランプ氏に対する不信感を露(あら)わにしている。2014年から中断している和平交渉の再開は絶望的だと言えよう。

トランプ氏が大使館移転を強行した背景に、親イスラエルの支持者へのアピールがあるのは間違いない。11月の中間選挙と20年大統領選を念頭に、公約の実行を優先したのではないか。

「2国家共存」を支持する日本は、米国と一線を画し、移転式典出席を見送った。中東情勢のさらなる悪化を防ぐため、関係国に冷静な対応を求めるなど、役割を果たさねばなるまい。

懸念されるのは、イスラエルとイランの対立が激化し、大規模な軍事衝突に発展する事態だ。

イスラエルは10日、「シリア領内にあるイランの軍事施設を空爆した」と発表した。占領地ゴラン高原の軍事拠点が攻撃を受けたことへの報復だとしている。米国のイラン核合意離脱により、強硬姿勢に拍車がかかるのは必至だ。

イランとサウジアラビアの代理戦争の様相を呈するイエメン内戦も、終結の兆しが見えない。

イランの影響力拡大が周辺国の脅威となるのは確かだが、軍事手段だけでは解決できまい。トランプ氏には、外交努力で緊張を沈静化させる責任がある。
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[読売新聞] 高齢者と薬 多剤服用の悪影響を減らそう (2018年05月17日)

服用する薬が多過ぎ、逆に体調を悪化させる高齢者が少なくない。多剤服用によるトラブルを防ぐ体制作りが大切だ。

厚生労働省が、高齢者への医薬品使用に関する初めての指針を策定し、近く医療機関などに通知する。医師や薬剤師向けに、高齢者に多用される薬と主な副作用を示し、より慎重な処方と減薬などの工夫を求めている。

高齢者は、薬を分解する機能の低下に伴い、副作用が出やすくなる。複数の持病を抱えて薬の数が増えがちで、薬同士の相互作用による健康被害も起きやすい。薬で生じた症状に、新たな薬で対処する悪循環に陥る場合もある。

服用する薬が6種類以上になると、体調不良が顕著に増えるとされる。ふらつき、記憶障害、食欲低下、抑うつなどが代表的な症状だが、加齢による不調と見過ごされることも多い。

75歳以上の4割が1か月に5種類以上を1か所の薬局で受け取っている。7種類以上という人も25%に上る。多剤投与の悪影響について、医療現場での認識が十分ではないのではないか。

患者の状態が変化した場合には、薬剤が原因かもしれない、と疑ってみる。その姿勢を定着させることが重要である。

指針は、医師や薬剤師などの医療関係者が連携し、患者一人一人について薬の処方全体の状況を把握する必要性を強調する。

複数の医療機関や薬局を利用して、同じ薬や飲み合わせの良くない薬を受け取る例も目立つ。かかりつけ医が他の医療機関による処方も含めて把握し、かかりつけ薬局が服薬情報を一元管理する。健康被害を防ぐ第一歩だろう。

医師らが処方薬の有効性や必要性を判定し、より安全な代替薬や薬以外の手段を検討することも、指針は推奨する。慎重に経過観察しつつ、減薬を進めたい。

課題は、かかりつけ医・薬剤師の質と量の確保である。患者の服薬に関わる介護職なども、多剤服用への問題意識を高め、医療関係者との協力を図るべきだ。

多剤処方で生じる薬の重複や飲み残しは、医療費を押し上げる。残薬が年間数百億円に上るとの推計もある。医療費の膨張抑制の観点からも対策が急がれる。

薬の適正使用を進めるには、患者や家族の理解が不可欠だ。薬の服用にはリスクが伴う。政府は、高齢者特有の副作用について、啓発に努めねばならない。

患者側も「お薬手帳」の活用などで被害防止を心がけたい。
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2018年05月16日

[読売新聞] 財政健全化計画 高成長の前提は楽観的過ぎる (2018年05月16日)

先送りを繰り返してきた計画を達成する環境をどう整えるか。楽観的な前提を排し、堅実な目標を粘り強く追求する姿勢が欠かせない。

先進国で最悪の状態にある財政を立て直すため、政府は新たな財政健全化計画の策定に着手した。6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込む。

国債に頼らずに政策経費を賄える状態を表す「基礎的財政収支の黒字化」について、達成目標を従来の2020年度から25年度に遅らせる見通しだ。

黒字化計画は00年代初頭から掲げているが、17年度も赤字が18・5兆円に上った。リーマン・ショックや東日本大震災といった不可抗力もあったが、財政規律が疎(おろそ)かになってきた面は否めない。

新たな計画で、従来と同様に3%台という高い名目経済成長率を前提とするのであれば問題だ。

高成長が続けば、大幅な税収増が期待できる。しかし、経済の地力を示す潜在成長率は1%程度にとどまる。継続して年3%成長を見込むのは非現実的だ。

政府が国内総生産(GDP)の高い伸びを目指すのは理解できる。それでも、財政再建に関しては、手堅い成長率に基づいて税収を見積もることが信頼に足る計画の第一歩となろう。

新計画は基礎的財政収支の黒字化に先立つ中間的な目標として、財政赤字の対GDP比を導入する方向だ。GDPが増えれば財政赤字の比率は下がるが、赤字そのものが減るわけではない。

政府内には、19年10月の消費税率10%への引き上げや、20年東京五輪後の景気減速に備え、財政出動を主張する声が出ている。

経済対策は費用対効果を十分に吟味することが重要である。

歳出面で最大の課題は、高齢化で膨らみ続ける社会保障費だ。

19?21年度の3年間の社会保障費の伸びを、計1・5兆円程度に抑える案が検討されている。16?18年度の抑制策と同じ水準だ。

25年には団塊世代が全て75歳以上になり、医療・介護費の急増が見込まれている。

経済的にゆとりのある高齢者には負担増を求める。公的保険でカバーする介護サービスなどの範囲を必要に応じて見直す。こうした改革の検討が避けて通れまい。将来的に更なる消費増税も視野に入れるべきではないか。

持続可能な財政の確立には、税と社会保障の将来像に正面から向き合う必要がある。
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[読売新聞] 新潟女児殺害 登下校中の安全をどう守るか (2018年05月16日)

登下校中の子供が標的となる凶悪犯罪を防ぐ術(すべ)はないのか。事件が投げかけた課題は重い。

新潟市西区の小学2年生の女児(7)が犠牲になった殺人・死体遺棄事件で、現場近くに住む会社員の男(23)が新潟県警に逮捕された。

女児は7日午後、一緒に下校した友人と別れた後に行方が分からなくなり、その日の深夜に、JR越後線の電車にひかれた状態で発見された。司法解剖の結果、窒息死と判明し、県警は殺害後に遺棄されたと断定した。

男の逮捕容疑は、遺体を線路上に横たえ、電車にひかせた死体遺棄・損壊だ。女児殺害への関与も認めているという。供述通りとすれば、残忍というほかはない。遺族の心痛はいかばかりか。

県警には、動機などの徹底解明を求めたい。自白頼みにならぬよう慎重な裏付け捜査が必要だ。

男の自宅は遺棄現場から70メートルしか離れておらず、女児宅からも110メートルと近い。同じ地域の極めて狭い範囲で起きた事件だけに、住民の動揺も大きいだろう。

周辺では、以前にも不審な男に子供が腕をつかまれることがあったという。地域の防犯体制に死角はなかったのか。

登下校中の児童を狙った犯罪は後を絶たない。昨年3月には、千葉県松戸市のベトナム国籍の女児が殺害され、通学していた小学校の保護者会の会長だった男が逮捕、起訴されている。

これまでも子供を一人にさせないための対策は講じられてきた。文部科学省によると、2015年度時点で、全国の小学校の9割で保護者らによる同伴や見守り活動が実施されている。児童が集団で登下校する学校も6割に上る。

新潟市の小学校の通学路でも見守り活動が行われていたが、女児が消息を絶った地点付近には、目が届いていなかった。危険な箇所が対象から漏れていないか、各地で再点検を急ぐべきだ。

無論、全ての通学路を見守ることは難しい。集団下校でも、児童が一人になる時間は生じる。対策の限界を前提に、自衛の意識を子供に持たせることも大切だ。

防犯ブザーの携行を習慣付け、使用法を習得させる。商店など、緊急時に逃げ込める場所を教えておく。こうした指導を学校や家庭で徹底せねばならない。

今回の事件では、防犯カメラの当日の画像などから、男の車が現場周辺を走行していたことが確認された。犯罪の抑止力としても、その機能をより役立てたい。
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2018年05月15日

[読売新聞] 国会集中審議 疑惑の追及で終わらせるのか (2018年05月15日)

政府が不祥事の対応に追われ、野党は批判に終始する。国民の期待に応えられない国会の現状を改め、建設的な論戦の場とせねばならない。

衆参両院の予算委員会で集中審議が行われ、野党は学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題に焦点をあてた。安倍首相は自身の不当な関与を改めて否定した。

柳瀬唯夫・元首相秘書官は3年前の学園関係者との面会を首相に報告しなかったと述べている。

「不自然だ」との野党の指摘に対し、首相は「秘書官への来客についてまで報告を受けることはない」と述べた。今後も丁寧に事実関係を説明する必要がある。

野党は、首相が学部新設を認識したのが2017年1月としている点について、「ウソ」と決めつけた。印象操作と受け取られないよう、確認できる事実に基づいて質問を行うべきだ。

柳瀬氏の説明は、学園関係者に同席した愛媛県側の主張と食い違いもある。学部新設は、首相主導で規制を緩和する国家戦略特区制度を活用したものだ。制度への影響も踏まえ、冷静な議論を心がけねばならない。

この問題が長引いているのは、首相の姿勢にも原因がある。首相は学園の理事長と親友だ。関与を疑われることを前提に、細心の注意を払って対処すべきだった。

森友学園への国有地売却に関しては、財務省が交渉過程を記した文書に関する調査を進めている。土地取引の妥当性などをきちんと検証することが求められる。

首相は「政権の長期化で国民的な懸念が高まっているならば、慎重に対応したい」と語った。長期政権の緩みやおごりも目立っている。首相には、疑惑の事実解明と再発防止を図り、国会審議の環境を整える責任がある。

国会の会期は残り1か月余だ。働き方改革関連法案の委員会審議はようやく本格化している。

長時間労働を是正しつつ、多様な雇用形態を確保することは社会の活力を維持する上で不可欠である。中小企業への配慮など実効性を高める方策も検討すべきだ。

米国抜きの11か国による環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案などの委員会審議も始まった。新たな貿易ルールの下で日本の経済成長をいかに図るか。議論を深めることが大切だ。

米朝首脳会談も間近に迫っている。めまぐるしく変わる情勢を分析し、日本の主張を的確に反映させることが重要だ。野党も主体的に議論に加わらねばならない。
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[読売新聞] 中国の空母増強 米軍への対抗が緊張を高める (2018年05月15日)

米国に対抗し、中国の軍事的影響力を拡大させる戦略の一環だと言えよう。世界の安全保障環境を激変させる動きには、警戒が欠かせない。

中国初の国産空母が、初めての試験航海を実施した。来年にも就役する。

ウクライナから購入した船体を改修し、2012年に就役した「遼寧」に次ぐ2隻目の空母だ。3隻目は上海で建造中で、原子力空母計画も浮上している。

将来は4隻以上を保有し、潜水艦や駆逐艦などを含めた空母部隊の運用を目指す。性能面での課題は多いが、これほどの急ピッチの整備は例がない。

中国軍トップの習近平国家主席は4月、南シナ海での観艦式で「世界一流の海軍建設に努力せよ」と訓示した。米軍が圧倒的に優位に立つ戦略ミサイルや潜水艦と並び、空母を戦力増強の中核と位置づけているのは間違いない。

米海軍は世界最多の空母11隻を保有し、さらに1隻の追加を予定する。中国と領土問題などを抱えるインドも、空母建造を進める。中国の動向が軍拡競争に拍車をかけることが懸念される。

習政権は、九州南方から沖縄、台湾などを結ぶ中国独自の防衛ライン「第1列島線」を越えて、伊豆諸島からグアムに至る「第2列島線」まで、制空・制海権を確保する戦略を描く。

「遼寧」は、南シナ海や太平洋で、戦闘機の発着艦訓練を繰り返している。台湾統一をにらみ、米軍の介入を排除する能力を高める狙いは明白だ。

中国がミサイル演習で台湾を威嚇した1996年の台湾海峡危機では、米国は空母2隻を派遣し、牽制(けんせい)した。そうした事態の再現を阻みたいのだろう。

南シナ海で空母運用を常態化させ、実効支配を強める可能性もある。中国が造成した人工島周辺では、米軍が「航行の自由」を維持するための巡視活動を行う。緊張が高まるのは避けられまい。

看過できないのは、南シナ海からインド洋にかけての沿岸国で、中国が経済支援と引き換えに、軍事拠点への転用が可能な港湾整備を進めていることだ。

中国の影響力増大によって、海上交通路の自由な往来に支障を来すことがあってはならない。

中国軍の装備などの実態は不透明だ。日本政府は、再開した首脳レベルの対話を通じ、軍備増強の目的を説明するよう求める必要がある。米軍と自衛隊の対処能力を向上させることも肝要だ。
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2018年05月14日

[読売新聞] 梅毒患者急増 感染の実態把握が欠かせない (2018年05月14日)

梅毒の患者数が爆発的に増えている。特に、若い女性や胎児への感染拡大が心配だ。厚生労働省は、効果的な対策を講じねばならない。

2012年に875人だった患者数は昨年、5820人(暫定値)に上った。5000人を突破したのは、実に44年ぶりだ。

典型症状として、感染から3か月程度で手足など全身に発疹が現れる。その後、発症したり治まったりを繰り返す。進行すると脳や心臓に異常を来すこともある。

主に性行為を介して感染する。男性の同性愛者や性風俗関連の女性に多いとみられてきた。

懸念されるのは、20?30歳代の女性への感染が目立つことだ。

原因については、様々な指摘がある。「ネット経由で男女の出会いが多様化した」「海外との往来が活発になった」などと言われるが、裏付けるデータはない。

予防対策を強化するには、感染実態の把握が欠かせない。

厚労省は、医師に義務付けている梅毒発生の報告内容を大幅に見直す。現状では、感染の経緯に関する十分な情報が得られていないと判断したためだ。

医師からの届け出書に、感染歴や性風俗の従事・利用歴の記載を求める。エイズウイルス(HIV)との同時感染の有無も書いてもらう。こうした案を検討中だ。感染ルートの推定に役立つだろう。

無論、重要なのは、一人ひとりが予防に努めることだ。

罹患(りかん)が疑われれば、病院や保健所などで検査を受けて、速やかに治療する。原因となる細菌「梅毒トレポネーマ」は、基本的に抗生物質の服用で死滅できる。

治癒した後も免疫ができないため、再感染には注意を要する。パートナー間での感染リスクを避けるためには、一緒に検査を受けることも必要だろう。

妊娠中の女性には、特に警戒が求められる。感染すると、流産や早産の恐れがある。胎盤経由で胎児に感染して、「先天梅毒」の障害が出る例もある。

厚労省の調査では、先天梅毒の報告数は、13年に4件、15年は13件、16年は14件を数える。

新たな届け出書では、妊娠の有無の記載も義務付ける。母子感染も抗生物質で治療可能だ。やはり早期の発見が大切である。

治療法も効率化させたい。世界の標準治療は抗生物質の注射だが、日本では過去の副作用例から、注射ではなく、服用に限定されている。1回の治療で済む注射の導入を急ぐべきだ。
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[読売新聞] 新興国資金流出 米国発ショックの拡大を防げ (2018年05月14日)

新興国に流れ込んだ先進国の緩和マネーが、米国の金利上昇で逆流を始めた。金融市場安定のため、各国の密接な連携が重要となる。

米国は景気拡大が8年を超える中、大規模金融緩和を手じまいする利上げを進めている。米長期金利は先月、4年3か月ぶりに一時3%を超えた。

アルゼンチンの通貨ペソは、ドルに対して急落している。先週遂(つい)に、国際通貨基金(IMF)に支援を要請する事態となった。

IMFは、アルゼンチン当局によるペソ買い・ドル売りの資金を供給する構えだ。市場に根強いペソ売り圧力に対抗する。

トルコ、ブラジル、インドなど、多くの新興国が通貨の大幅安に直面している。通貨価値を高める利上げ政策が相次ぐが、自国単独での防衛策は決め手を欠く。中国経済も不透明さが拭えない。

先月の主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、米利上げが世界の金融環境を不安定化させる懸念が指摘された。

金融市場が激震に見舞われれば、回復は容易ではない。主要国やIMFは機敏な資金支援などに努めることが大切だ。

1990年代のアジア通貨危機では、タイや韓国から世界に混乱が波及した。IMFが融資と引き換えに緊縮財政を強いて、事態を悪化させたとの批判も出た。

現在は、日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)が危機時に資金を融通し合う枠組み「チェンマイ・イニシアチブ」がある。

新興国は総じて、熱心に外貨準備を積み増している。IMFは柔軟な融資姿勢に変わりつつある。こうした取り組みを一層進め、世界経済の安定性を高めたい。

金融市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)による6月の追加利上げが確実視されている。

FRBは政策決定に際し、米経済の分析のみならず、経済基盤の脆弱(ぜいじゃく)な新興国に及ぼす影響にも十分に気を配る必要がある。

2月に就任したパウエルFRB議長には、世界経済の展望を踏まえた金融政策の方向性を丁寧に説明することが求められる。

懸念されるのは、トランプ米大統領の保護主義政策だ。

高い関税による輸入制限が米輸入物価を押し上げ、FRBの利上げ加速を招く恐れがある。米国を巡る貿易が停滞すれば、新興国などは二重に打撃を被ろう。

世界経済の疲弊は、米国をも巻き込む。トランプ氏は近視眼的な政策に固執すべきではない。
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