2017年11月18日

[読売新聞] 銀行の業務削減 低金利下で生き残る正念場だ (2017年11月18日)

銀行の収益環境が厳しさを増している。日本経済の屋台骨を支える存在として、事業の再構築を急いでもらいたい。

大手銀行グループが、大規模な人員削減や店舗の整理を相次いで発表した。

みずほフィナンシャルグループは、10年間で従業員を1万9000人減らす。拠点全体の2割に当たる100店舗を統廃合する。

三菱UFJフィナンシャル・グループは9500人分、三井住友フィナンシャルグループも4000人分の業務をなくす。店舗の機能縮小や、書類を使わないペーパーレス化を推進するという。

マイナス金利政策などで超低金利が恒常化しており、融資の利幅で稼ぐ伝統的な銀行の収益モデルが行き詰まっている。マネー供給を増やすための金融緩和が、肝心の銀行から体力を奪うという皮肉な構図と言えよう。

借り手となる企業に守りの姿勢が強く、資金需要が鈍い。個人向け融資は人口減で伸びを期待できない。こうした事情も重なる。

業務削減で浮いた人材やコストを、いかに戦略的に活用するか。将来を左右する正念場である。

インターネット取引が増え、店舗に来る客数が減っている。ITの高度化で、大幅な省力化ができる事務は少なくない。近い将来の人工知能(AI)やロボット技術の活用も見据える必要がある。

邦銀は欧米主要行と比べ、企業の合併・買収(M&A)仲介や、富裕層の資産運用相談といった業務の多角化に出遅れている。

海外事業の強化は有力な選択肢だろう。三菱UFJは、インドネシアの銀行への2000億円規模の出資検討に入ったとされる。

成長著しいアジア市場の資金需要は、世界中から注目を集める。地理的に近く、関係を長く結ぶ日本勢の積極展開を期待したい。

地方銀行は、IT投資や営業範囲の拡大が限られるため、大手行以上に厳しい環境にある。

融資を焦るあまり、需要無視の賃貸アパート建設ブームを煽(あお)ったといった弊害も指摘される。地元企業の良き相談相手になるなど、長い目で地域の発展を支える本来の役割に立ち返るべきだ。

地域が重なり合う地銀同士の経営統合に、公正取引委員会が「地域独占につながる」として、待ったをかける事例が出ている。

地元の銀行が共倒れしては元も子もない。公取委は、統合を認めたうえで、新銀行に独占的地位の乱用がないよう、しっかり監視するのも一つの方策ではないか。
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[読売新聞] 所信表明演説 長期展望がないのは物足りぬ (2017年11月18日)

衆院選大勝で得た政権基盤の安定を生かし、政策課題を着実に前進させる。そのためには、野党とも丁寧に合意形成を図ることが重要である。

安倍首相が衆参両院で所信表明演説を行った。衆院選で「国難」と位置付けた北朝鮮問題と少子高齢化対策に重点を置いている。

安倍内閣では最も短い演説だった。年明けに施政方針演説を控えているとしても、長期政権が視野に入った今、将来展望を示さなかったのは物足りない。今後の審議でより具体的に語ってほしい。

首相は演説で「国際社会と共に、北朝鮮への圧力を一層強化していく」と語った。先週会談したトランプ米大統領、プーチン露大統領、習近平中国国家主席の名を挙げ、首脳外交の成果を強調した。

ミサイル防衛体制などを強化して、不測の事態に備えるとともに、北朝鮮に核・ミサイル開発を断念させねばならない。日中韓首脳会談を早期に開催し、対「北」圧力のカギを握る中国にさらなる対応を促すことが求められる。

少子高齢化の克服に向けて、「人生100年時代を見据え、我が国の経済社会システムの大改革に挑戦する」と力説した。衆院選公約の「人づくり革命」や「生産性革命」に取り組むという。

2020年度までに3?5歳児の幼稚園・保育園を無償化すると表明した。「真に必要な子ども」と限定したうえで、高等教育を無償化するとも語った。

少子化対策が急務なのは確かだが、安易なバラマキは将来世代に重いツケを残す。費用対効果を見極めて、バランスの取れた制度設計に知恵を絞らねばなるまい。

19年10月の消費税率引き上げに触れ、「財政健全化も確実に実現する」と述べたが、依然、具体性に欠ける。財政再建の新たな道筋を早期に明確にすべきだ。

野党に建設的な政策論議を呼びかけ、「困難な課題に答えを出していく努力の中で、憲法改正の議論も前に進む」と指摘した。

衆院選に伴う再編で、野党の勢力は様変わりした。

現実的な路線を志向する希望の党や日本維新の会とは、憲法改正や安全保障政策などで協調できる余地が大きいはずだ。立憲民主党も、憲法改正自体は否定していない。大いに議論を重ねたい。

安倍首相は、「自民1強」の驕(おご)りを排し、選挙戦で訴えた「謙虚さ」をきちんと行動に移さねばならない。野党にも譲るべきは譲る姿勢が、大きな成果を生むことにつながるのではないか。
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2017年11月17日

[読売新聞] 診療報酬改定 効率化へ介護と連携強めたい (2017年11月17日)

超高齢社会に向けて、医療の質を高めつつ、効率化を進めて費用を抑制する。持続可能な制度作りに知恵を絞りたい。

2018年度の診療報酬改定に向けた議論が本格化している。2年ごとに見直され、今回は介護報酬と6年ぶりの同時改定だ。年内に全体の改定率を決め、年明けに個別の報酬を決める。

高齢化の進展で医療費は膨張を続けている。団塊の世代が75歳以上になる25年を前に、今回の改定は、超高齢社会に適した体制へと転換する最後の機会と言える。

医療と介護の連携を強め、病院依存から在宅療養へのシフトを支える環境作りが最大の課題だ。

政府は18年度予算編成で、社会保障費の自然増を概算要求時の6300億円から5000億円に圧縮する方針だ。その大部分を診療・介護報酬改定で捻出する。

診療報酬のうち、医薬品価格の「薬価」は実勢価格に合わせた引き下げが当然だろう。焦点は医療職の人件費となる「本体」だ。

厳しい財政事情の中、財務省は全体で2%超のマイナス改定を求め、本体に切り込もうとする。日本医師会は強く反発する。

全体がマイナス改定だった前回以降、病院経営は悪化傾向にある。地方の医師不足も深刻だ。本体の改定率については、財政健全化と地域医療への影響の双方に対する慎重な目配りが求められる。

診療行為ごとの報酬設定では、重症患者を受け入れる急性期病床の要件の厳格化が課題だ。

看護体制が手厚く、報酬の設定が高い急性期病床は増え過ぎ、リハビリなどを重視する回復期病床が不足している。重症ではない患者が急性期病床にとどまり、医療費を押し上げている。

急性期病床は重症度の高い患者向けに絞り込み、残りは回復期病床などへの転換を促す方向性は妥当である。慢性疾患を抱える高齢患者らのニーズに合致する。看護師らの有効活用にもなる。

在宅療養の推進には、かかりつけ医の機能向上と在宅医療の充実が欠かせない。介護職などとの多職種連携も強める必要がある。報酬面での評価を工夫したい。

薬局の報酬見直しも課題だ。政府は、患者の服薬情報を一元管理して、重複投薬の防止や残薬の解消、安価な後発薬の利用促進に努める薬局の普及を目指す。

特定の病院の処方箋を主に扱う「門前薬局」は、こうした役割を十分に果たせない。前回改定で報酬を下げたが、効果は限定的だ。さらなる差別化が望まれる。
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[読売新聞] 米国の慰安婦像 姉妹都市解消はやむを得ない (2017年11月17日)

黙していれば、誤った歴史認識が一層広まる。厳しい姿勢で臨むのは、やむを得まい。

米サンフランシスコ市で、中国系の民間団体が慰安婦の像を私有地に設置した。土地は市に譲渡され、像についても、市議会が寄贈の受け入れを全会一致で決定した。

「性的に奴隷化された数十万の女性と少女の苦しみを証言するもの」「ほとんどが捕らわれの身のまま亡くなった」。碑にはこうした文言が刻まれている。

史実を歪曲(わいきょく)した内容だと言うほかない。旧日本軍が慰安婦を強制連行したかのような誤った印象を与える。市議会が公的なモニュメントとしてのお墨付きを与えたことは、極めて遺憾である。

サンフランシスコ市と姉妹都市提携を結ぶ大阪市の吉村洋文市長は「慰安婦像の受け入れ強行は、信頼関係を損ねる」と、懸念を表明した。提携解消の意向も明言した。うなずける対応だ。

大阪市は再三、書簡を送付して慎重な対応を求めてきた。「碑文は、歴史の直視でなく、単なる日本批判につながる」「現地コミュニティーに分断を持ち込み、姉妹都市交流にネガティブな影響を及ぼす」といった内容だ。

サンフランシスコ市のエドウィン・リー市長は10月、「批判にさらされても、地域に対して応えていく」と、大阪市の要請を袖にする姿勢を示していた。

一大勢力である中国系市民の意向を無視できないのだろう。

両市は1957年の提携開始以来、市長の相互訪問や学生の交流事業などで親交を深めてきた。60周年の今年は、現地で記念事業が行われた。10月には代表団が大阪市を訪れ、歓迎会が開かれた。

積み重ねてきた交流が、一部の民間団体の悪意に満ちた反日的な活動を契機として、台無しにされる。残念な事態である。

米国では、グレンデール市やブルックヘブン市の公園にも慰安婦像が設置されている。いずれも背後には、韓国系の民間団体の活発な働きかけがあった。

主要都市であるサンフランシスコ市に慰安婦像が設置された影響は小さくないだろう。

歴史認識を巡る問題は、大阪市に任せて済むことではない。菅官房長官は記者会見で、「現地の大使館、総領事館を通じて、情報収集を行い、しっかり対応していきたい」と語った。

政府は、今回の事態を招いたことを反省し、正確な史実を世界に発信せねばならない。
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2017年11月16日

[読売新聞] 小池代表辞任 希望は「現実路線」を堅持せよ (2017年11月16日)

衆院比例選で1000万票近くを得た事実は重い。代表が交代しても、保守系野党として、現実的な路線を継続させるのが有権者への責務だ。

希望の党の小池代表が、辞任した。両院議員総会で、国政は国会議員に任せる考えを示し、自らは顧問などに就任するという。

小池氏は衆院選後も、「創業者の責任」を強調し、続投する意向を示してきた。唐突さは否めないが、国政と東京都政の「二足のわらじ」に無理があった。都知事に専念し、出直したいのだろう。

小池氏の後任代表には、玉木雄一郎共同代表が選出された。

玉木新代表は「バトンをしっかり受け止める」と語った。9条を含む憲法改正論議の推進や安全保障関連法容認という、小池氏が打ち出した党の衆院選公約の踏襲を明言したのは妥当である。

幹事長に古川元久・元国家戦略相、政調会長に長島昭久・元防衛副大臣を起用し、執行部を保守系で固めた。共同代表選では所属議員53人中39人の支持を得ている。公約をぶれずに推進する基盤は整っているはずだ。

安倍政権下での改憲反対などを訴えた民進党の「抵抗政党」路線の転換が、結党の原点だった。この認識を忘れてはならない。

玉木氏は、立憲民主党や民進党との合流や国会での統一会派結成に否定的な考えを示す。まずは衆院選を総括し、地方組織を含めた党組織の整備を地道に進める必要がある。政策の全体像を改めて点検することも欠かせない。

共同代表選で敗れた大串博志衆院議員らはなお、安保関連法反対などを公然と主張する。衆院選公約に反するのは明らかだ。全議員の投票で路線対立を決着させた以上、玉木氏に従うべきだろう。

玉木氏が、集団的自衛権の限定行使について「運用によっては憲法違反の恐れを払拭(ふっしょく)できない」と発言したのも気になる。大串氏らへの過剰な配慮ではないか。

小池氏が「党の方向性は決まっている。しっかり進めてほしい」と注文したのはうなずける。

小池氏が事実上率いる都民ファーストの会は失速している。葛飾区議選では、4人が落選し、当選が1人にとどまった。

理解に苦しむのは、「都政に専念すべきだ」と小池氏に求めてきた都議会公明党が一転、連携を見直そうとしていることだ。

都議会運営が混乱しないようにと、「小池与党」入りしたのではなかったのか。都政の停滞を避けるのも、公明党の責任である。
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[読売新聞] 加計文科委審議 疑惑の追及には証拠が必要だ (2017年11月16日)

疑惑を追及するなら、根拠となる材料が必要である。それが示されなくては、論戦が堂々巡りになるのも無理はない。

衆院文部科学委員会で加計学園に関する質疑が行われた。衆院選後、この問題についての国会審議は初めてだ。

林文科相は大学設置・学校法人審議会の答申に基づき、加計学園による岡山理科大獣医学部の新設を14日に認可した。来春、愛媛県今治市に開設される予定だ。

林氏は委員会で、国家戦略特区の選定や認可を「行政手続きとして決められた手順に従って、適切に進めてきた」と強調した。

獣医学部新設の特区認定を受けて、設置審では、有識者が専門的、学術的な観点から厳正に認可の妥当性を審議した。公正を期するために、非公開で行われた。

自民党は委員会で、「認可の判断に首相や文科相の意向は及ぶのか」と質問した。文科省の担当局長は「外部からの意向が及ぶものではない」と断言した。

文科相が認可を最終判断する際、専門性と独立性が高い設置審の結論を尊重するのは当然である。林氏は「首相から文科省に指示はなかった」とも明言した。

立憲民主党は「学園の理事長が首相の友人だから、首相や官邸が何らかの肩入れをしたのではないか」と追及した。希望の党も「特区の選定過程に関する疑念は払拭されていない」と主張した。

「肩入れ」や「疑念」を裏付ける具体的証拠は挙げていない。実のある議論からは程遠かったと言わざるを得ない。

自民党が「根拠はないが結論ありきの姿勢だ」と野党を批判したのは、うなずける。

希望の党は「国会審議後に認可を判断すべきだった」とも疑義を呈した。行政手続き上の瑕疵(かし)が存在しない以上、必ずしも国会審議を経る必要はないだろう。

与野党は、委員会の質問時間の配分を巡って対立した。質問時間は近年、「与党2対野党8」だったが、自民党が議席数に応じた再配分を提起していた。

結局、「与党1対野党2」で折り合った。与党が「今後の前例としない」と説明し、野党も同意した。今回の委員会審議をみる限り、野党が質問時間を有効に使ったとは到底言えまい。

国会審議で重要なのは、行政の問題点をきちんとチェックし、法案・予算案について建設的な議論を行うことだ。その前提で、各党が相応の質問時間を確保できるよう、与野党は歩み寄るべきだ。
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2017年11月15日

[読売新聞] 日馬富士暴行 横綱の品格はどこに行った (2017年11月15日)

大相撲の屋台骨を支える横綱として、あるまじき行為である。厳正な処分が必要だ。

横綱日馬富士が、幕内の貴ノ岩に暴行を加えていたことが分かった。貴ノ岩は頭蓋底骨折などのけがを負い、九州場所を休場している。

鳥取巡業時の10月下旬、モンゴル出身力士による酒宴で口論となり、激高して暴行に及んだという。日馬富士は14日、「深くおわび申し上げます」と謝罪した。

どのような理由があるにせよ、暴行は言語道断だ。品格が求められる横綱なら、なおさらである。土俵で胸を貸し、力を示して、若手力士に奮起を促すのが、横綱の本来の姿だろう。

けじめが付くまで、土俵に上がることは許されまい。九州場所3日目から休場したのは、当然の対応である。力士生命の危機だと言えよう。師匠である伊勢ヶ浜親方も監督責任を免れない。

相撲界では2007年、時津風部屋の序ノ口力士が暴行を受けて死亡した。10年には横綱朝青龍が泥酔して一般人に暴力を振るい、引退に追い込まれている。

かつて大相撲を窮地に追いやった暴力の土壌が、完全に払拭(ふっしょく)されていなかったことは残念だ。

不可解なのは、暴行の事実が今になって発覚した点だ。貴ノ岩側が日本相撲協会に休場のための診断書を提出した際にも、負傷理由を説明しなかったのだろうか。

師匠の貴乃花親方のコメントは「診断書に書いてある通り」などと詳しい説明を避けている感がある。これでは、相撲協会の巡業部長として、暴行の事実を隠蔽(いんぺい)していたと疑われても仕方がない。

貴ノ岩が親方に事実関係をきちんと報告していたのか、という問題もあるだろう。

相撲協会は関係者から事情を聞くという。自浄能力の欠如を再三、指摘されてきた協会に、どこまで踏み込んだ調査ができるのか、疑問符が付く。貴乃花親方は鳥取県警に被害届を出している。県警は実態解明を急いでもらいたい。

大相撲の人気は、急速に盛り返している。場所は大入りが続く。4横綱は負傷がちだが、台頭した若手が土俵を盛り上げている。10年の野球賭博事件や11年の八百長問題など、相次ぐ不祥事で失墜した信頼は回復したかに見えた。

日馬富士の暴行問題は、相撲協会が人気回復にあぐらをかき、力士の規律が緩んでいることの表れではないのか。協会が再発防止に毅然(きぜん)と取り組まなければ、ファンはまた土俵から離れるだろう。
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[読売新聞] 「出国税」 結論ありきでは理解得られぬ (2017年11月15日)

新たな税負担を求めるためには、丁寧で開かれた議論が欠かせない。拙速は排すべきだ。

観光庁の有識者会議が日本からの出国者に課す新税「出国税」を提言した。

日本人を含め、航空券代への上乗せなどにより、1回1人1000円以内を徴収する。通称は「観光促進税」などとする方向だ。

訪日外国人の受け入れ体制整備の財源にする。「観光立国」を成長戦略の柱に据える政府の意向が反映されていると言えよう。

自民党税制調査会の議論を経て、与党税制改正大綱に盛り込まれる見通しだ。政府は来年の通常国会に関連法案を提出し、2019年の導入を目指す。

今年の訪日客は、過去最高だった昨年の2404万人を早くも上回った。外国人に読めない案内表示や、貧弱なインターネット環境、有名観光地の混雑などの問題点が指摘されている。

20年の東京五輪を控えて、観光政策を再検討する時期であることは間違いない。

有識者会議は、9月中旬から非公開で6回開かれた。提言は、新たな施策の内容や費用の積算を具体的に示しておらず、議論が深まったとは言えない。

国税で恒久的な税目が新設されたのは、1992年の地価税が最後だ。新税ともなれば、目的と使い道、負担の程度と影響などについて十分に検討が要る。その上で、国民への説明を尽くさなければ、幅広い理解は得られまい。

税額の根拠も明確ではない。

昨年の訪日客と日本人出国者は計4100万人だった。1回1000円なら年410億円の税収になる。16年度の当初と補正を合わせた観光庁予算に匹敵する。

訪日客が増えれば、それだけ税収も増加する。財源を使い切ることが政策展開の前提になっていけば、バラマキに陥らないか。

観光振興に関わる施策は多くの省庁、自治体にまたがる。既存の観光予算を精査し、重複や無駄を省いた上で、新たな必要額を見積もるのが筋だろう。

出国者の約4割を占める日本人に対する課税の是非も、慎重に考えねばならない。

国際的な課税ルールでは、自国民と外国人を区別できない。観光庁は、そう説明している。

米国は税でなく、渡航認証の手数料として、訪米外国人から観光PR財源を徴収している。

選択肢の利点と欠点を比較し、わかりやすく示す。国民の納得を得るために大切な過程だ。
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2017年11月14日

[読売新聞] 日中首脳会談 相互訪問で地域の安定を図れ (2017年11月14日)

アジアの安定のためには、日中両国が対立を乗り越えて協調することが欠かせない。懸案の首脳の相互訪問を早期に実現し、戦略的互恵関係を前に進めねばなるまい。

安倍首相がベトナムで中国の習近平国家主席と会談し、首脳の相互訪問を提案した。習氏も前向きな考えを示した。早期に日本で日中韓首脳会談を開き、李克強首相の来日を実現し、来年の安倍首相訪中と習氏来日につなげたい。

首相は「来年の日中平和友好条約締結40周年を見据え、両国の関係改善を力強く進めたい」と表明した。習氏は「今日の会談は日中間の新たなスタートになる」と述べ、今回の会談を評価した。

首相はフィリピンで李氏とも会談した。中国の両首脳と連続して会談するのは異例である。両国がさらに歩み寄り、様々な課題に連携して取り組むことが大切だ。

首相は習氏に対し、北朝鮮問題でより積極的な役割を果たすよう求めた。北朝鮮に核・ミサイル開発の断念を迫るには、北朝鮮包囲網に中国を取り込み、その実効性を高めることが重要である。

中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関連し、首相は「第三国で日中両国がビジネスを展開していきたい」との意向を伝えた。

一帯一路の対象であるアジアやアフリカの途上国が、巨額のインフラ投資や援助を必要としているのは事実だ。だが、港湾開発などを通じて中国が覇権主義に走り、軍事的な影響力を拡大すれば、地域が不安定化しかねない。

日本が適切に関与することで、投資や援助の開放・透明性や経済性を高め、関係国の健全な発展に寄与することが求められる。

首相は習氏に対し、海洋秩序の重要性を指摘した。6日の日米首脳会談で「自由で開かれたインド太平洋戦略」の推進を確認したばかりだ。日米が連携し、南シナ海における航行の自由の確保などを中国に訴え続けねばならない。

首相が「東シナ海の安定なくして、日中関係の真の改善はない」と習氏に強調したのは当然だ。

尖閣諸島周辺の領海での中国による公船の侵入の常態化は看過できない。早急に是正すべきだ。

自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」は、首脳が合意したのに、運用開始に至っていない。東シナ海でのガス田共同開発の交渉も中断中だ。

ようやく足並みがそろい始めた首脳同士の関係を土台に、政府間の具体的な協議と調整を急ぎ、緊張緩和を図る必要がある。
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[読売新聞] 企業中間決算 好業績は人への投資の機会だ (2017年11月14日)

高い収益を一層の賃上げなど人への投資につなげたい。守りの経営から脱却する時である。

東京証券取引所上場企業の2017年9月中間決算の発表が山場を越えた。

1部上場企業全体の売上高は、前年同期比で9%増、最終利益は23%も増えた。最終利益の総額は2期ぶりに過去最高の見込みだ。18年3月期の業績予想を上方修正する企業は300社を超えた。

円安や海外経済の回復が追い風となり、電機や自動車など外需産業を中心に好調ぶりが際立つ。

電機大手のソニーは、20年ぶりに営業利益が過去最高となった。テレビ事業の低迷にあえいだソニーの復活は、スマートフォンなどに使う画像センサーの売り上げ増が牽引(けんいん)役となっている。

新型ゲーム機の売り上げが好調な任天堂も、18年3月期の営業利益が前期比4倍増の見通しだ。

強みを持つ技術や製品に磨きをかける戦略が功を奏している。世界競争が激化する中、経営資源を得意分野に集中させるのは、有力な選択肢だろう。

好業績は、外部要因の円安による部分も大きい。海外で稼いだ利益が円換算で膨らみ、本来の実力を超える好決算も少なくない。

トヨタ自動車は、18年3月期決算で最終増益の見込みだが、円安の押し上げ効果が、1750億円に上る。この特殊要因を除けば、実質的に減益だという。

自動車業界は、電気自動車や自動運転車の実用化に向け、大きな技術革新期を迎えている。円安の好機を逃さず、研究開発体制を一段と強化する必要があろう。

内需関連の企業業績は、もたつきが目立つ。従業員確保のための人件費がかさみ、ヤマトホールディングスは最終赤字だった。

携帯大手のNTTドコモも営業減益となった。18年3月期に減益を見込む百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングスは、早期退職制度を拡充し、1000人規模の追加削減を計画している。

日本経済を底上げするには、潜在成長力を高める地道な取り組みが不可欠である。

工場を高度化する設備投資で、生産性を高める。研修の充実など手厚い人材育成で技術革新を促進する。非正規労働者の正社員登用で裾野の広い賃上げを図る。こうした施策で、好業績を起点に投資と消費の好循環を導きたい。

安倍政権は、3%の賃上げを経済界に求めている。政府も新事業を生み出せるように規制緩和で企業を後押しせねばならない。
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2017年11月12日

[読売新聞] 米国抜きTPP 保護主義圧力に先手を打った (2017年11月12日)

米国で高まる保護主義に「待った」をかける重要な一手である。各国と結束を深め、世界の自由貿易推進の核として着実に発効させたい。

米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11か国が、新たな協定に大筋合意した。年明けにも署名を果たし、2019年をめどに発効を目指す。

TPPは関税の削減・撤廃のほか、知的財産権など広範な分野に及ぶ。次代の世界標準と目される高水準の貿易ルールだ。成長著しいアジア太平洋地域で、協定が再始動する意義は極めて大きい。

日中韓印など16か国が交渉中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)をはじめ、他の貿易枠組みにも有力な指針となろう。

米トランプ政権は、偏狭な自国第一主義を振りかざす。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉では、極端な米国優遇を求める。米韓自由貿易協定(FTA)は、韓国に再交渉を無理強いした。

日本に対しても、対日貿易赤字の削減を狙い、日米FTAの交渉開始に強い関心を示している。

TPPは日本にとって、米国の圧力をかわす安全弁となり得る。米国市場以外への進出も視野に入れて交渉したTPP以上には、対米のみの交渉で譲歩できない、という主張が成り立つからだ。

新協定は、元の協定で米国の主張が強かった一部項目を「凍結」する一方、米国が復帰すれば「解凍」する仕組みも残した。

TPPが再始動するからには、米国が日本に2国間交渉を迫ることがあれば、まずは米国にTPP復帰を促すのが筋である。

新協定に向けた11か国の協議では、当初、米離脱による凍結項目の候補が50程度にも上った。大筋合意では20項目に絞り込み、意欲的な協定内容の維持に努めた。

11か国中、最大の経済大国である日本は、高級事務レベル会合を再三主催するなど、強い指導力を発揮した。それが合意形成を促したのは間違いない。

ただ、最終局面でカナダが難色を示し、予定した首脳会合が流れる事態も起きた。日本は今後も各国と丁寧に意思疎通を図り、協定発効まで足並みが乱れぬよう意を尽くしてもらいたい。

11か国は今後、新協定の国内手続きに進む。日本は昨年、元の協定について国会の承認を得た。新協定の関連法案について再び国会審議が必要になる見通しだ。

政府には、米国抜きの協定内容と意義を丁寧に説明し、国民の理解を広げる努力が欠かせない。
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[読売新聞] 日露首脳会談 政権安定を領土交渉に生かせ (2017年11月12日)

政権基盤の安定を生かし、領土交渉の進展や北朝鮮の核ミサイル開発阻止で、ロシアの協力を引き出すことが重要だ。

安倍首相が、プーチン露大統領とベトナムで会談した。通算20回目となる。

自民党の衆院選大勝について、プーチン氏は「これにより、我々の計画がすべて実現できると期待している」と祝意を述べた。

外交辞令の意味合いもあろう。だが、両首脳の自国での求心力が高ければ、困難な決断を下しやすくなるのは確かだろう。

首相とプーチン氏は北方4島の共同経済活動を巡り、9月の会談で合意した海産物の養殖や観光ツアーなど5項目の事業に関し、検討を加速することで一致した。

共同経済活動の成否は、今後の領土交渉の行方を左右する。粘り強い交渉が求められる。

プーチン氏は来年3月に大統領選を控える。再選が確実視されているとはいえ、この間は大きな政治判断は見込めない。首相は選挙後の5月に訪露し、プーチン氏との間で具体的な合意を目指す。

日露両政府は、今月中にロシアで外相会談を開く方向だ。共同経済活動の枠組みに関する作業部会も年内に開催する。

ロシア側は自国法の適用にこだわり、一致点を見いだすのは容易ではない。警察権、徴税権など、双方の法的立場を害さないという前提を崩さないことが大切だ。

9月下旬、元島民と家族らが墓参のため、航空機で初めて国後、択捉両島を訪れた。船による渡航に比べて時間が大幅に短縮され、高齢化が進む元島民にとって、負担軽減となった。

航空機による北方領土への元島民の墓参について、会談で、来年の継続を確認したのは適切だ。

今後は回数を増やすとともに、本格的な宿泊を可能とすることも前向きに検討してもらいたい。

北朝鮮情勢への対応では、首相はプーチン氏に対し、「北朝鮮の非核化のためには、国連安全保障理事会の制裁決議の完全な履行が不可欠だ」と強調した。

北朝鮮と関係の深いロシアが一層大きな役割を果たすよう求めたのは当然である。

ロシアは、国会議員を訪朝させたり、北朝鮮高官を招いたりするなど独自外交を展開している。他方、制裁強化には慎重で、対話による解決に固執する。

首相は首脳間の信頼関係をテコに、ロシア側に対し、北朝鮮の政策変更につなげる圧力の必要性を説き続けなければならない。
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2017年11月11日

[読売新聞] 「加計」獣医学部 教育の質確保が最優先課題だ (2017年11月11日)

半世紀ぶりの獣医学部新設を、地域に役立つ獣医師の育成につなげなければならない。

文部科学省の大学設置・学校法人審議会が、加計学園が申請していた岡山理科大獣医学部の来春の開設を認めるよう答申した。

利害関係や政治的圧力を排した専門家による機関の審査をパスした事実は重い。林文科相は近く認可する意向を示している。

四国は獣医学部の空白地だ。鳥インフルエンザや口蹄疫(こうていえき)などの対応に当たる公務員獣医師の確保は急務だと言える。

愛媛県今治市は、県とともに建設費など最大96億円を補助する方針だ。地元出身者の入学枠などを有効に機能させて、獣医師の偏在を解消することが大切である。

獣医学部の新設は、獣医師の過剰を招くとして、1966年を最後に認められなかった。規制改革を進める国家戦略特区諮問会議が今年1月、今治市への設置を認め、加計学園が事業者に選ばれた。

設置審に申請された当初計画に対しては、多くの課題が指摘された。国内最大の入学定員160人に対して教員が不足し、実習計画も不十分だとして、8月の予定だった認可は保留となった。

地域のニーズに応えるためには、質の高い教育を安定的に行う態勢整備が欠かせない。審査が専門的、学術的な観点から厳格に行われたのは当然だと言えよう。

学園は定員を減らす一方で、教員を増やした。先端的な生命科学分野や感染症に関する科目を拡充した。設置審は、教員の年齢構成の見直しなどの留意事項を付した上で、新設を容認した。

文科省は開学後も、適切な運営が行われているかどうか、しっかりとチェックすべきだ。

国家戦略特区の選定を巡っては、学園理事長と安倍首相が友人であることから、「加計ありきだ」と野党が追及した。首相は疑惑を一貫して否定した。実際、直接の関与を裏付ける証拠はない。

野党は、特別国会でもこの問題の経緯を追及する構えだが、建設的議論になるのだろうか。

問題なのは、特区選定に関する省庁間調整や政府関係者と学園側の接触の記録が適切に保存されていないことだ。特区ワーキンググループの議事要旨が意図的に修正された事実も判明している。

政府は行政文書管理の指針を改正し、検証に必要な文書を1年以上保存することを検討する。政策決定過程を積極的に公開し、行政への信頼を高める必要がある。
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[読売新聞] トランプ演説 具現化が問われるアジア戦略 (2017年11月11日)

日本の戦略と連携してアジア太平洋地域への関与を強め、域内の安定に貢献していく意思が示された。日米主導で具体化を急ぎたい。

トランプ米大統領がベトナムで、アジア政策に関する演説を行った。アジア各国の民主化と法の支配、経済発展を称賛し、「インド太平洋地域の全ての国々との関係を強化し、繁栄と安全を推進したい」と呼びかけた。

安倍首相は昨年、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を打ち出している。トランプ氏がこの理念に共鳴し、価値観外交に初めて踏み出した意義は大きい。

構想の対象は、インド洋と太平洋を結ぶ地域全体で、アジアからアフリカまで広範に及ぶ。日米、インド、オーストラリアの4か国の連携を基に、東南アジア諸国連合(ASEAN)も巻き込んで、域内の安定と繁栄を追求する。

参加国が共有するのは、自由、民主主義、法の支配、市場経済などの普遍的な価値観だ。独善的な「強国」路線を歩む中国を牽制(けんせい)する狙いがあるのは間違いない。

中国は、国際法を無視して南シナ海を軍事拠点化し、「航行の自由」を脅かす。巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて、域内国への経済援助や港湾整備の支援を進め、自国に都合の良い国際環境を作り出そうとしている。

「米国第一」を掲げ、多国間連携に否定的なトランプ氏が、安倍首相の戦略に乗ったのは、こうした現状への危機感があったからだろう。アジアの安定に向けた責任を各国と分かち、米国の負担を減らす思惑も垣間見える。

気がかりなのは、トランプ氏が2国間の貿易協定に固執する姿勢を改めて強調したことだ。

オバマ前政権のアジア重視の「リバランス(再均衡)」政策が環太平洋経済連携協定(TPP)を推進したのと大きく異なる。

リバランスは、安全保障面では米国と日韓などの同盟強化、経済面ではTPPを車の両輪とし、中国に「ルールに基づく行動」を促す目的があった。2国間の貿易協定では、中国に圧力を加える効果は期待できまい。

TPPは地域の自由貿易体制を主導する枠組みであり、米国の消費者の利益にもなる。そのことをトランプ氏は理解すべきだ。

米国の国務省や国防総省で、アジア太平洋担当の次官補ポストの空席が続いているのは、問題である。日米の戦略を印豪と共有し、成果を上げるには、早急に陣容を整えることが欠かせない。
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2017年11月10日

[読売新聞] トラック運賃 サービス労働を防ぐ新ルール (2017年11月10日)

荷物を受け取る工場で何時間も待たされる。荷物の積み下ろしに動員される。トラック運転手には日常的に様々な付随作業が課せられている。

個々の作業に対応した料金を契約に明示する新たなルールが始まった。的確な運用で、ドライバーの労働改善につなげたい。

国土交通省は、改正「標準貨物自動車運送約款」を今月施行した。工場や倉庫を回る運送業者が荷主と結ぶ契約書のひな型になる。

荷待ちのための「待機時間料」、荷物の「積み込み料」、「取り下ろし料」など、運送以外の業務で生じる料金を、個別の請求項目とする仕組みに改めた。

従来は一括の「運賃」名目とするのが一般的で、付随作業に対して運送業界に「タダ働きではないか」との声があった。荷主がドライバーを長く待機させても「運賃」に影響しないため、長時間労働を助長するとの指摘も出ていた。

細分化された作業内容を契約書に明記することで、ドライバーの過重な負担や不当な安値契約を防ぐ。その狙いはうなずける。

運送業界は、高齢化や担い手不足が他業界にも増して深刻化している。一因は、拘束時間の長さにあり、ドライバーの年間労働時間は全産業平均より2割も多い。

新ルールは、作業項目ごとに、時間に応じて料金が加算される方式とした。荷主がドライバーの拘束に敏感になり、長時間労働を是正する効果が見込めよう。

中小零細が多い運送業は、大手の荷主に対して立場が弱い。運送業界自体、下請けの多層構造でもある。肝心なのは、荷主企業や元請けが新ルールの趣旨を尊重し、現場のドライバーに確実に作業対価を行き渡らせることである。

トラックは、歩合給や出来高給を採用しているケースが多い。ドライバーの作業内容や所要時間の正確な把握が欠かせない。

トラック料金を適正化する新ルールは、運送業界が労働環境の改善に向け、積極的に経営資源を振り向けることも期待している。

既存のドライバーへの配慮に加え、人手不足の解消に資する取り組みが求められる。女性や若者を呼び込みやすい勤務形態や研修の充実が当面の課題となろう。

運送料金の改定で荷主の支払いが増えるケースでは、小売価格に転嫁され、商品の値上がりを招く可能性が拭えない。

消費者負担を避けようと流通過程にコストがしわ寄せされれば、安定供給を揺るがしかねない。そんな現実にも思いを致したい。
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[読売新聞] 米中首脳会談 「北」への危機感にズレがある (2017年11月10日)

北朝鮮情勢がこれ以上悪化すれば、国境を接する中国に混乱が波及するのは避けられまい。

習近平国家主席は、北朝鮮の核・ミサイル開発阻止に向けた圧力強化が喫緊の課題であることを認識すべきだ。

トランプ米大統領が訪中し、習氏と会談した。北朝鮮問題について「時間は尽きようとしている。迅速に行動しなければならない」と述べ、制裁などの取り組みを加速させるよう迫った。「中国は容易に解決できる」とも語った。

習氏は、国連安全保障理事会の制裁決議の「厳格な履行」と、「対話による解決」という従来の立場を繰り返すにとどまった。圧力強化の方針を明確に打ち出さなかったのは遺憾である。

中国はエネルギー供給で北朝鮮経済の生命線を握る。国内で活動する北朝鮮企業の営業停止などの措置を取ったが、北朝鮮の暴挙を止めるには至っていない。

安保理決議の履行は、国連加盟国の義務に過ぎない。石油輸出を大幅に削減するなど、中国が実効性のある独自制裁に早急に踏み込まなければ、軍事的な緊張は高まるばかりだろう。

懸念されるのは、習氏が「太平洋は米中両国を受け入れるのに十分な大きさがある」と発言したことだ。米中が相互の利益を尊重し、アジア太平洋の秩序を主導するとの考えが込められている。

オバマ前大統領に提案し、否定された構想を再び持ち出した。共産党大会で政権基盤を固めた習氏は、覇権的な動きを米国に黙認させたいのではないか。

米国は、日本などと共に、中国に対して「法の支配」の重要性を説き続け、アジア太平洋地域の安定と繁栄に建設的な役割を果たすよう促さねばならない。

中国が国際法を無視して軍事拠点化を進める南シナ海で、米軍の「航行の自由」作戦の頻度を増やす必要もある。

トランプ氏の訪中に合わせて、米中の企業などは、総額2500億ドル(約28兆円)の商談を成立させた。単発の契約の積み重ねでは、米国が求める構造的な貿易不均衡の是正とは言い難い。

北京中心部にある世界遺産の故宮で、習氏はトランプ氏を自ら案内し、もてなした。

中国高官が「国賓以上」と位置付ける異例の厚遇は、中国側が「良好な大国関係」の構築に腐心していることの表れと言える。

友好ムードを演出しても、安全保障や通商問題を巡る米中の溝は覆い隠せまい。
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2017年11月09日

[読売新聞] 会計検査院報告 復興費の無駄遣いをなくそう (2017年11月09日)

税金の無駄遣いが相変わらず多い。各省庁は予算の厳正な編成と執行に努めねばならない。

会計検査院が昨年度の決算検査報告書を公表した。423件で874億円分の無駄遣いなどがあった。

目立つのは、東日本大震災の復興費に関わる不適切な事例だ。

文部科学省所管の量子科学技術研究開発機構は、福島第一原子力発電所事故で初動対応にあたった警察官や自衛隊員ら10万人を対象にした健康管理のデータベースを整備するはずだった。

ところが、関係機関から被曝(ひばく)線量や健診データの提供を受けられず、645人分しか集められなかった。疫学研究に役立たないことが分かっていながら、システム維持のために計1億円以上を支出し続けていたという。

実際には操業していない工場に2億円以上の補助金を支払ったケースもある。除染作業では過剰な支出が指摘された。

震災から6年半が経過した。復興予算が縮小される中、復興に真に役立つ事業に対し、重点的かつ効率的に配分する必要がある。不正や無駄な支出が許されないのは言うまでもない。

検査院は、被災地の負担に配慮して、被災3県への実地検査を極力控えてきた。今後は、復興費の有効活用に向けて、より踏み込んだ検査が求められる。

震災をきっかけに関心が高まった国民の安全に関する検査も重点的に実施された。

豪雨時に河川の氾濫を防ぐ堤防などを整備する国土交通省の補助事業では、「整備済み」となっている区間で未整備の部分が存在していた。増水した際に、流水が橋げたにまでぶつかる恐れのある橋梁(きょうりょう)も見つかった。

こうした24か所では、氾濫の危険性が残る。政府は自治体と連携し、問題の解消を急ぐべきだ。

検査院は、2020年東京五輪・パラリンピック関連予算の一斉検査にも乗り出している。主な対象は、各省庁や日本オリンピック委員会(JOC)などだ。

大会経費は、1兆3850億円に上るとされる。競技会場などの整備を巡っては、コスト意識の欠如が再三、指摘されてきた。

検査院の権限は法律上、東京都などの自治体や、大会組織委員会には及ばない。ただし、国の補助金や交付金の使途を通じて調べることは可能だろう。

国家プロジェクトを名目に、費用が際限なく膨張していないか。不断のチェックが欠かせない。
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[読売新聞] トランプ訪韓 「北」の孤立化で強固な結束を (2017年11月09日)

北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するには、国際社会が一体となって、最大限の圧力を加えることが欠かせない。時宜に適(かな)ったメッセージが発せられたと言えよう。

トランプ米大統領が、韓国国会で北朝鮮問題に関する演説を行った。「全ての責任ある国家は、野蛮な政権を孤立させるため、力を合わせるべきだ」と訴えた。

中国とロシアを名指しして、北朝鮮との貿易や技術協力の断絶を求めた意義は小さくない。トランプ氏は近く、中露首脳とも会談する予定だ。現状を放置すれば、朝鮮半島有事の可能性が大きくなることを直接伝えてもらいたい。

朝鮮半島周辺に米空母3隻や戦闘機F35、原子力潜水艦が展開している現状を説明し、「力による平和を求める」とも断言した。米国の都市を破壊できる核ミサイル開発を容認しない姿勢を強調し、「我々を試すな」と警告した。

トランプ氏は9月の国連演説で北朝鮮の「壊滅」に言及し、金正恩朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と揶揄(やゆ)したが、今回は過激な表現を抑えた。対話解決の道も残されていると呼びかけた。

北朝鮮に「核ミサイルで米国の攻撃を抑止する」との政策を転換させ、非核化と弾道ミサイル開発放棄の交渉テーブルに着かせる。それが、圧力強化の目的であることを明示したのは評価できる。

韓国の文在寅大統領は、トランプ氏との会談で、北朝鮮に対する融和的な姿勢をひとまず封印し、「最大限の制裁と圧力」に協力する考えを表明した。

安倍首相とトランプ氏の蜜月ぶりを目の当たりにして、対米協調の演出に腐心したに違いない。

懸念されるのは、文政権が日米韓3か国の連携強化に、及び腰の態度を示していることだ。

中国と韓国は先に、在韓米軍の最新鋭ミサイル防衛システムが、「中国の安全保障上の利益を損なわない」ことで合意した。韓国は、システムの追加配備を行わず、日米のミサイル防衛網に参加しない方針も表明している。

日米韓の連携よりも、中国への配慮を優先するような韓国の安保政策は、理解に苦しむ。

文氏は、トランプ氏との夕食会に元慰安婦を招いた。島根県・竹島の韓国名を冠した「独島エビ」を使った料理も供された。

日本政府が韓国に抗議したのは当然だ。第三国との外交の場で、歴史問題や領土を巡る自国の一方的な主張をアピールするのは、非常識も甚だしい。
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2017年11月08日

[読売新聞] 介護報酬改定 家事援助の見直しが必要だ (2017年11月08日)

質の高い介護サービスで高齢者の自立を助け、重度化を防ぐ。そのために、限りある財源と人材を効率的に活用する。超高齢社会で制度を維持する上で、不可欠な取り組みだ。

2018年度の介護報酬改定に向けた議論が本格化している。3年ごとに見直され、今回は診療報酬との6年ぶりの同時改定だ。

医療と介護の連携を強化し、高齢者のニーズに合ったサービスを切れ目なく提供できる体制を構築するのが、最重要課題である。

介護報酬は、事業者に対して支払われる介護保険サービスの公定価格だ。団塊の世代が全て75歳以上になる25年にかけて、介護費用は急増する。65歳以上の介護保険料も、今の平均5500円から8000円超になる見通しだ。

サービスの効率化・重点化で費用の伸びを抑制しつつ、人手不足を緩和するための介護職の処遇改善を進めねばならない。その両立へ向けて、メリハリのある報酬改定にすることが大切である。

見直しが求められるのは、訪問介護で掃除や調理などの家事を行う「生活援助サービス」だ。1時間300円程度の自己負担で済むため、「家政婦代わりに使われている」と指摘される。月数十回といった利用も目立つ。

必要以上のサービス利用は、むしろ高齢者の自立を阻害しかねない。財源と人材の有効活用の観点からも問題が大きい。

厚生労働省は、家事援助の担い手の資格要件を緩和し、報酬を下げる方針だ。専門性の高い人材を身体介護などに集中投入して、役割分担を明確化し、費用を抑える狙いは理解できる。

資格取得が容易になれば、元気なシニア層など新たな人材の参入も期待できよう。ボランティアも含めて、地域での担い手を増やしたい。将来的には、軽度者向けの家事援助を自治体事業に移すことも検討すべきだろう。

自立支援・重度化防止の取り組み促進も課題である。

現行の介護報酬は、基本的に重度者ほど高く設定されている。リハビリや食事指導などで要介護度が改善すると、事業者は減収になる。対応策として、厚労省は、自立支援で成果を上げた事業所への報酬の上乗せを検討中だ。

改善に積極的な事業所を評価することは必要だが、要介護度の変化ばかりに着目しては、改善が見込めない重度者らの排除につながりかねない。リハビリの実施状況など、自立支援のプロセスも含めた適切な指標を工夫すべきだ。
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[読売新聞] 連続青酸死死刑 裁判員の負担は大きかった (2017年11月08日)

被告が犯人なら、全て説明がつく。そう判断しての死刑判決だろう。

京都、大阪、兵庫の3府県で起きた青酸連続変死事件の裁判員裁判で、京都地裁が筧千佐子被告に死刑を言い渡した。

夫と交際男性の計4人に青酸化合物を飲ませたとされる。

判決は、殺人罪3件と強盗殺人未遂罪1件の起訴事実を全て認定した。「遺産目的などの連続毒殺事件であり、極めて悪質、卑劣な犯行だ」と、被告を指弾した。

結果の重大性などを考慮すれば、極刑の選択はやむを得なかったということだろう。弁護側は判決を不服として、控訴した。

捜査段階で、警察は事件性がないと誤断し、一部の被害者の司法解剖や薬毒物検査を行わなかった。大きな反省点である。目撃証言などの直接証拠は集まらず、検察側は状況証拠の積み上げによる立証を余儀なくされた。

立証に欠かせないのが、被告が犯人でなければ合理的に説明できない事実の存在だ。

被害者に異変が生じたのは、被告と一緒の時や会った直後だ。被害者の死亡により、被告は財産上の利益を受けていた。検察側は、4事件のこうした共通点を挙げた。被告の身辺からは、青酸化合物が見つかっている。

いずれも有力な状況証拠だと言えるのではないか。判決が「第三者の犯行とは考えられない」と断じたのは、うなずける。

被告が患う認知症による影響が、大きな争点となった。

被告は「黙秘します」と宣言した直後に、「毒を飲ませた」と殺害を認めるなど、法廷での供述を二転三転させた。「覚えていない」とも繰り返した。

弁護側は、認知症の影響で被告には訴訟能力などがない、と主張した。供述は虚偽か、それとも症状に由来するものか。裁判員は難しい判断を迫られたはずだ。

被告が認知症を患い、今回のように、訴訟能力が争点となる裁判は今後、増えるだろう。

被告の防御権に関わる問題だけに、おざなりな対応は許されない。閉廷後、裁判員からは、判断の参考にするために、複数の医師の診断などを求める意見が出た。裁判の積み重ねを通して、より適切な判断の在り方を追求したい。

今回の裁判は、初公判から135日を要し、公判は38回に及んだ。これだけ長期にわたって裁判員を務められる人は限られる。多くの人が参加できるよう、負担軽減策の一層の検討が不可欠だ。
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