2017年09月24日

[読売新聞] タイブレイク 球児の負担減を考える契機に (2017年09月24日)

手に汗握る延長戦が決着しやすいように、ルールを改正する。これも時代の流れだろうか。

日本高校野球連盟が、来春の選抜大会から延長タイブレイク制を導入することを決定した。夏の全国選手権でも採用される見通しだ。

得点しやすい状況で攻撃を始める特別ルールだ。十二回まで同点の場合、十三回からは、無死一、二塁で先頭打者が打席に入る案が検討されている。

日本高野連は「発展途上の高校生の体を守る」ことを導入の主な理由に挙げている。

今春の選抜大会では、6試合が延長にもつれ込み、うち2試合が十五回引き分け再試合となった。再試合との2試合で計300球以上を投げた投手もいた。

酷暑の夏の大会では、投手の消耗がより激しい。肩の酷使などを防ぐ上で、タイブレイク制は一定の効果を発揮するだろう。

社会人の都市対抗や全日本大学選手権のほか、ワールド・ベースボール・クラシックやU―18ワールドカップなどでは既に実施されている。国際大会への備えとして、球児や指導者が制度に慣れておく必要性も高まっているという。

だが、過去10年の甲子園大会で、十三回以上の延長戦は、春夏合わせて10試合しかない。これらが球児に過度の負担を強いている主因とは必ずしも言えまい。

引き分け再試合をなくすタイブレイク制の導入には、日程の着実な消化を重視する高野連など主催者側の都合がうかがえる。

甲子園での延長戦や引き分け再試合は、歴史に残る幾多のドラマを生んできた。延長十八回、双方無得点のまま再試合となった1969年夏の松山商―三沢の熱戦は、今も語り継がれる。

松坂大輔投手が延長十七回、250球を投げ抜いた98年夏の横浜―PL学園戦も忘れがたい。

勝負の決着に向けて、お膳立てをするタイブレイク制の導入に対しては、一抹の寂しさを抱くファンも多いのではないか。大舞台で真に決着するまで戦いたい、と願う球児もいるだろう。

無論、球児の故障を未然に防ぐ手立てを講じることは大切だ。

投手の連投を防ぐためには、休養日の増設など、余裕ある大会日程の設定が欠かせない。開幕前の甲子園での練習日を減らすといった工夫が求められる。

球児が万全の状態でプレーできるよう、日本高野連はタイブレイク制だけでなく、様々な角度から検討を続けてもらいたい。
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[読売新聞] 日米金融政策 緩和正常化には目配りが要る (2017年09月24日)

米国が金融危機対応を「正常化」する仕上げの段階に入った。世界経済にどう影響するか、慎重に見極めるべきだ。日本も人ごとではない。

米連邦準備制度理事会(FRB)が、2008年のリーマン・ショック後の量的緩和策で買い入れた米国債などの保有資産について、縮小し始めることを決定した。

資産の縮小は、国債の買い入れを減らすことであり、市中へのマネーの供給が絞られるため、金融引き締めに働く。

FRBの資産規模は、3次に及ぶ量的緩和策の結果、危機前の5倍に膨らんでいる。これだけの規模を縮小させた経験を持つ中央銀行は世界に例がない。

金利急騰を招いて経済を冷え込ませないよう、FRBは数年をかけて、徐々に縮小規模を拡大する緩やかなペースを保つ方針だ。

量的緩和からの正常化に道をつけるFRBの役割は重い。詳細に手法を説明するなど、丁寧な市場との対話が何より求められる。

FRBは今回、政策金利を据え置いたものの、年内にあと1回の引き上げを想定している。15年12月に利上げに転じ、事実上のゼロ金利政策からの正常化を着実に進めようとしている。

だが、景気拡大が9年目を迎えた米経済は、好況の終盤に入ったとの見方がある。雇用の改善に比べて物価が伸びず、年2%の目標に届かない。イエレンFRB議長は「謎だ」と吐露するほどだ。

利上げに量的緩和の解除が重なることで、新興国市場から資金の引き揚げが強まる可能性もある。FRBは金融正常化のペースを急がず、注意深く情勢を見定めなくてはなるまい。

日銀は金融政策決定会合で、金融緩和策を維持した。マイナス金利や、国債保有残高を年80兆円をめどに増やす方針を継続する。

日銀の国債保有残高は437兆円となり、発行額全体の4割を超えた。国債を大量に吸い上げた結果、市場の健全さを損なっているとの指摘が少なくない。

「年80兆円」を旗印に掲げる日銀も、長期金利が安定している限り規模に拘(こだわ)らず、日々の運用で購入を抑制している。こうした現実的な対応を続けてもらいたい。

米国を見ても、大規模緩和からの正常化は長い年月を要する。

イエレン議長は来年2月、黒田日銀総裁は4月にそれぞれ任期満了を迎える。後任人事では、政府と一層緊密に連携し、粘り強く金融政策の正常化を進める能力が問われることになる。
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2017年09月23日

[読売新聞] 衆院選野党共闘 民進は「野合」を回避できるか (2017年09月23日)

衆院選で政党が政権獲得を目指して共闘するなら、理念と政策の共有が欠かせない。民進党はこの原則を守れるのか。

民進、共産、自由、社民の4野党が幹事長・書記局長会談で、10月22日投票とされる衆院選の小選挙区候補の一本化を模索することで一致した。

民進、共産両党は現在、約200小選挙区で候補が競合している。巨大与党に対抗するため、野党候補の乱立を避けようとする狙いは一応、理解できる。

民進党の前原代表は「政党の命は基本的な理念・政策の一致だ」と述べ、共産党との選挙協力に慎重な姿勢を崩していない。競合区での共産党の自主的な候補取り下げを期待しているのだろう。

共産党は、「日米安全保障条約廃棄」を掲げ、消費増税にも反対するなど、民進党との政策面での隔たりは大きい。

志位委員長は、連立政権への意欲を見せる。共通政策や政権構想の策定、候補の相互推薦を要求している。少なくとも現職らが出馬する15小選挙区で、民進党に候補を降ろすよう迫る構えだ。

共産党の基礎票は1小選挙区あたり2万票前後ともいわれる。既に両党の協力関係が進んでいる地域もある。票欲しさに民進党が妥協する懸念は拭えない。

4野党は昨年の参院選で共通政策をまとめた。安全保障関連法の廃止、憲法改正への反対などを列挙した。安保政策や今後の消費増税への具体的な対案はなく、共産党が主導した印象を与えた。

衆院選は、政権を選択する選挙だ。共産党を含む連立政権の枠組みを前提とする合意もないまま、同様の展開となれば、「野合」との批判は免れまい。

前原氏は、着地点をどう見いだすのか、指導力が問われよう。

小池百合子東京都知事に近い若狭勝衆院議員や、民進党を離党した細野豪志・元環境相らは衆院解散前に新党を結成する予定だ。

10人前後の国会議員が参加し、全国で100人規模の候補の擁立を目指すという。

若狭氏は憲法改正で「一院制導入」を唱えるが、政策の全体像は見えない。「第3極」として、現在の与野党と違う独自の道を歩むのか、それとも政策次第で与党や民進党と連携するのか。その立ち位置を示す必要があろう。

小池氏は新党の党首就任を打診されたという。夏の東京都議選では一時、「都民ファーストの会」代表に就いた。衆院選にどう臨むのか、明確にすべきだ。
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[読売新聞] 日米韓首脳会談 対「北」人道支援は見合わせよ (2017年09月23日)

今は、北朝鮮への圧力を強めるため、あらゆる手段を尽くす時である。米国の独自制裁の実効性を高め、北朝鮮に政策変更を迫るべきだ。

安倍首相がニューヨークでトランプ米大統領、文在寅韓国大統領と会談し、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮に最大限の圧力をかけることで一致した。国連安全保障理事会の制裁決議を完全に履行する方針も確認した。

トランプ氏は、北朝鮮との貿易や金融取引などを厳しく制限する「経済封鎖」を目指す大統領令に署名したことを説明した。首相は支持し、文氏も評価した。

米国の独自制裁は、北朝鮮との貿易に関与した外国の金融機関を国際金融システムから締め出すなど、従来にない強力な内容だ。

中国やロシアの金融機関や企業が協力すれば、核・ミサイル開発の資金源の遮断など、北朝鮮への大きな打撃となり得る。

中国は、安保理決議の履行には同調するが、独自制裁には一貫して否定的だ。日米韓3か国は、制裁への協力を中国に粘り強く働きかけることが欠かせない。

北朝鮮への圧力は、より多くの国が結束し、重層的にかけることが肝要である。石油供給制限を柱とする安保理決議に限らず、北朝鮮労働者の受け入れ制限や外交関係での孤立化なども進めたい。

強い圧力があってこそ、将来の対話で、北朝鮮の核放棄という困難な課題に関して、成果を生むことが可能になろう。

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、トランプ氏の国連演説に反発し、「史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に検討する」との声明を発表した。李容浩外相は、太平洋上で水爆実験を実施する可能性にまで言及している。

過激な脅迫は北朝鮮の常套(じょうとう)手段だが、軽視してはなるまい。日米韓は、北朝鮮の様々な軍事的挑発や暴走を想定し、警戒態勢を強めておく必要がある。

疑問なのは、韓国が21日に北朝鮮への800万ドル相当の人道支援を実施すると発表したことだ。

食糧、医薬品など一般国民向けの支援とはいえ、北朝鮮制裁に向けた国際社会の足並みを乱し、圧力の効果を損ないかねない。日米両首脳が会談で、文氏に自制を求めたのは当然である。

北朝鮮に誤ったメッセージを送ってはならない。韓国は、日米韓の協調を重視し、人道支援の実施を当面見送るべきだ。今後も、北朝鮮政策については日米両国と事前調整することが求められる。
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2017年09月22日

[読売新聞] 首相国連演説 対「北」圧力で各国と連帯せよ (2017年09月22日)

北朝鮮に核ミサイル開発を断念させるには、国際社会の連帯が欠かせない。日本は、その努力を倍加させるべきだ。

安倍首相が国連総会で一般討論演説を行った。約16分間の演説時間の8割超を北朝鮮問題に費やしたのは、情勢の緊迫化への危機感からにほかなるまい。

首相は、北朝鮮の核実験強行と弾道ミサイル発射を踏まえ、「脅威はかつてなく重大で、眼前に差し迫ったものだ」と強調した。

「(核)不拡散体制は、史上最も確信的な破壊者によって深刻な打撃を受けようとしている」とも力説し、「必要なのは、対話ではなく圧力だ」と呼びかけた。

国際社会の再三の警告を無視し続ける北朝鮮に政策転換を促すため、今は圧力を強化する時だ。

首相はエチオピア、イスラエル、イランなどの首脳とも会談し、国連安全保障理事会の制裁決議を厳格に履行する重要性も訴えた。

日本は引き続き、より多くの国との会談や国際会議などを通じて働きかけを強める必要がある。

首相は演説で、日米など関係国が2度にわたって対話での解決を試みながら、結局は北朝鮮に裏切られた経緯を紹介した。

1994年の米朝枠組み合意と2005、07年の6か国協議合意で、北朝鮮は核開発放棄を約束し、重油支援などを得た。だが、その後、一方的に合意を反古(ほご)にし、今や水爆まで手にしつつある。

「対話は、北朝鮮にとって我々を欺き、時間を稼ぐ手段だった」との首相の主張はうなずける。こうした事実が、世界全体の共通認識になっているとは言い難い。首相の指摘は適切だった。

安倍首相は、拉致被害者について「一日も早く祖国の土を踏み、家族と抱き合うことができる日が来るよう全力を尽くす」と訴えた。横田めぐみさんが拉致されてから11月で40年になるとも語った。

トランプ米大統領も前日の演説でめぐみさんに言及し、母の早紀江さんも歓迎した。世界的に関心を高める機会とし、拉致問題の膠着(こうちゃく)状況の打開につなげたい。

首相は安保理改革の必要性も提起した。拒否権を持つ米英仏露中の5常任理事国の構成は現在の国際情勢を反映しておらず、北朝鮮問題の議論も停滞しがちだ。

日本は今年12月までは非常任理事国で、決議採択に深く関与してきた。だが、理事国を外れれば、影響力の低下は避けられない。改革は困難な課題だが、アジア、アフリカ、中南米諸国とも連携し、粘り強く追求せねばならない。
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[読売新聞] 東芝半導体売却 なお課題が多い「日米韓連合」 (2017年09月22日)

迷走が続いた子会社の売却先は決まったが、なお課題が山積している。経営再建を確実に果たせるかどうか、山場はむしろこれからだ。

東芝は、稼ぎ頭の半導体メモリー子会社「東芝メモリ」を、「日米韓連合」に2兆円で売却することを決めた。

米ファンドのベインキャピタルを中心に、米アップル、日本のHOYA、韓国半導体大手SKハイニックスなどが参加する。東芝も出資して経営に関与する。

東芝は、海外原発事業の巨額損失で2017年3月期に5000億円を超える債務超過となった。来年3月末までに、子会社売却で財務体質を改善させなければ、上場廃止に直面する。

メモリー事業で協業する米ウエスタン・デジタル(WD)が売却に反対し、交渉相手は二転三転してきた。ようやく売却先が決まったことで、再建のシナリオは一歩前進したと言える。

WDは、国際仲裁裁判所に売却差し止めを求めている。今回の東芝の決定に対して、「遺憾だ」とのコメントを発表した。

今秋から本格化する仲裁裁の審理の結果次第では、売却が白紙に戻る可能性がある。

東芝経営陣は、上場廃止を回避するため、強硬姿勢を続けるWDとの和解を探る交渉に並行して取り組まねばなるまい。

この係争が解決すれば、官民ファンドの産業革新機構と日本政策投資銀行も出資する見通しだ。

日本勢が買収の主導権を握ることで、最先端の半導体技術の知的財産を守り、生産拠点を国内にとどめるのが狙いだろう。

ただし、出資企業が多く、経営方針を巡る意思決定の遅れも予想される。日本勢の一翼を担う革新機構には、しっかりした経営への関与と説明責任が求められる。

売却を阻むリスクはまだある。独占禁止法の各国当局の審査は、半年以上かかるケースが少なくない。同業のSKハイニックスが加わることで、難航する恐れも指摘されている。来年3月末までぎりぎりのタイミングだ。

半導体会社を売却した後、東芝の主力事業は、エレベーターや火力発電などの社会インフラ関連になる。収益力は低く、赤字事業を抱えている。福島第一原子力発電所の廃炉を進める責務もある。

経営陣は、株主や取引先、従業員に対する責任の重さを自覚してもらいたい。まずは、企業統治を改革し、優秀な人材の流出に歯止めをかける必要があろう。
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2017年09月21日

[読売新聞] トランプ演説 北朝鮮の非道を世界に訴えた (2017年09月21日)

世界の注目が集まる国連総会で、日本人拉致を含めた北朝鮮の暴挙を非難し、国際社会の結束を訴えた意義は大きい。

トランプ米大統領が、就任後初めて、国連総会の一般討論演説を行った。

核ミサイル開発を続ける北朝鮮を「ならず者国家」と断じて、「自国と同盟国を守る必要に迫られれば、完全に壊滅させるしかなくなるだろう」と警告した。北朝鮮に武器供給や財政支援を行う国は許せない、とも強調した。

日本や韓国を防衛する明確な意思と、北朝鮮が敵対行為をやめるまで圧力を強める方針を表明したのは妥当である。関係国首脳らは国連の場で、制裁の徹底した履行を確認することが求められる。

トランプ氏が、「北朝鮮は13歳の日本の少女を海岸で拉致し、スパイのための語学教師にした」と述べたのは、1977年に横田めぐみさんが拉致された問題を提起したものだ。

「北朝鮮ほど、他国や自国民にひどい仕打ちをする国を見たことがない」と指摘した通り、日本人拉致は、北朝鮮による国家犯罪と人権侵害を象徴する。解決への機運を再び高めねばならない。

気がかりなのは、トランプ氏がイラン核合意について、「最悪の一方的な取引」だとして破棄する考えを示唆したことだ。

2015年の合意に基づき、イランの核計画縮小と引き換えに、米欧は制裁を解除した。原油禁輸や金融制裁などの圧力を最大限加えた上で危機を回避した手法は、北朝鮮への対処の参考になる。

強引に破棄すれば、イランに核開発再開の口実を与えかねない。英仏独中露も加わった合意の重みをトランプ氏は認識すべきだ。

演説で「各国の指導者も自国を第一に考えるべきだ」と主張したのは、「米国第一」主義に基づく自由貿易への反対や移民政策を正当化しようとしたのだろう。

同時に、「より安全で平和な未来」に向けて各国が協力する必要性にも言及し、国連などの国際協調主義に対する配慮を見せた。

北朝鮮問題やイスラム過激派によるテロ、シリア内戦などに効果的に取り組むには、多国間協力が欠かせない。米国単独で対応することも、孤立主義に走って放置することもできない現実をようやく理解し始めたのではないか。

トランプ氏が重視するとした各国の「主権」「安全」「繁栄」は、米国主導の世界秩序が支えている。重い責任を踏まえた外交安保戦略を構築してもらいたい。
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[読売新聞] ロヒンギャ迫害 スー・チー氏は傍観続けるな (2017年09月21日)

ミャンマーで、国際社会から「民族浄化」と指摘される人権侵害が深刻化している。実質的な政権トップであるアウン・サン・スー・チー国家顧問の責任は重い。

発端は、西部ラカイン州で8月下旬、少数民族ロヒンギャの過激派とみられる武装集団が警察拠点を襲撃したのを機に、国軍や警察が掃討作戦を始めたことだ。

戦闘の巻き添えを恐れた住民が隣国のバングラデシュに逃れ、その数は40万人を超えた。国軍などが集落の焼き打ちや民間人への銃撃などを行った疑いがある。

グテレス国連事務総長が「深刻な懸念」を示し、軍事行動停止と難民帰還を促したのは当然だ。軍事政権下の民主化運動を主導したスー・チー氏に、ノーベル平和賞の返上を求める運動も起きた。

国際的な批判が高まるまで問題を放置したスー・チー氏の対応は看過できない。

19日の国民向け演説で、「全ての人権侵害や不法な暴力を非難する」と述べて、ロヒンギャ迫害をようやく認めた。ただ、国軍は行動規範に従っているとして、正当化する発言もあった。

コフィ・アナン元国連事務総長をトップとする諮問委員会は、ロヒンギャの帰還などを勧告する最終報告書を出している。

スー・チー氏は勧告を受け入れる姿勢を示したが、国民感情や国軍に配慮せざるを得ない立場から、実行は容易ではない。

ミャンマーでロヒンギャは不法移民とみなされ、国籍が与えられていない。国民の9割を占める仏教徒の間では、イスラム系のロヒンギャへの排斥感情が強く、国外追放すべきだとの声が多い。

現憲法は軍政時代に制定された。上下両院の議席の4分の1が「軍人枠」で、国軍が治安維持の実権を握っている。

ロヒンギャ迫害を放置すれば、「イスラム国」などの過激派組織が住民の不満につけ込んで流入し、テロを煽(あお)りかねない。

2年前の総選挙で、スー・チー氏は圧倒的支持を得た。軍や国民に対し、協力を粘り強く働きかける必要があろう。

スー・チー氏が指導力を発揮するには、国際社会の国軍への圧力と難民への支援が欠かせない。

河野外相が400万ドル(約4億5000万円)の緊急人道支援などを表明し、外務政務官を現地に派遣する考えを示したのは妥当だ。ミャンマーの民主化が後退しないよう、日本も関与を続けることが求められる。
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2017年09月20日

[読売新聞] 安保関連法2年 「北朝鮮対処」を支える土台だ (2017年09月20日)

安全保障関連法の制定から、19日で2年を迎えた。自衛隊は、様々な新しい任務を担った。

とりわけ意義深いのは米艦防護が可能になったことだ。海上自衛隊の護衛艦が5月に数日間、太平洋で米海軍補給艦を警護した。

海自艦船は今春以降、北朝鮮の弾道ミサイル発射を警戒する米海軍のイージス艦に対し、給油活動も数回実施している。

24時間体制でミサイル発射を監視する米軍艦船にとって、基地に戻らずに任務を継続できる洋上給油の利点は小さくない。

いずれも米側が要請したもので、安保関連法の成立・施行までは実施できなかった任務だ。

関連法は、現下の北朝鮮危機への効果的な対処に欠かせない、大切な法的基盤と評価できよう。

米軍が日本を一方的に守るのでなく、自衛隊が時に米軍艦船を警護し、給油などの後方支援を行う。そうした双方向の協力関係の構築によって、真の信頼が醸成され、日米同盟は一段と強固になる。

同盟関係は条約を結ぶだけでは機能しない。部隊が情報共有や共同訓練、相互支援を重ねる。両国の首脳、閣僚、官僚、制服組が緊密に対話する。それを通じて危機に共同対処する機運が高まる。

こうした日々の連携が抑止力になることを忘れてはなるまい。

北朝鮮の核・ミサイルの脅威が現状にまで拡大する前に、特定秘密保護法と安保関連法を成立させたことは、大きな意味を持つ。

核実験やミサイル発射の兆候などに関する情報を米国が日本に提供するのは、なぜか。機密を漏らさず、助け合える相手だ、という強い信頼関係があるからだ。

菅官房長官は、両法の制定によって、「米国をはじめ、関係国からこれまで以上に情報が得られるようになった。日米の協力は非常にスムーズだ」と指摘する。

南スーダンでは昨年11月、安保関連法に基づき、陸上自衛隊部隊に「駆けつけ警護」任務も付与された。民間人らを助けるという人道上の国際責務が果たせない不条理が解消されたことは重要だ。

今後も、日米同盟や国際連携の実効性を高める努力を続け、不測の事態に備えねばなるまい。

民進党の前原代表が、こうした現実を踏まえずに、安保関連法の見直しを唱えているのは疑問である。日米関係に与える悪影響を真剣に考えているのだろうか。

野党であっても、国民の安全に関わる問題に関しては、もっと慎重な発言が求められる。
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[読売新聞] 基準地価 商業地上昇を脱デフレの糧に (2017年09月20日)

安定した地価上昇が、景気の回復に弾みを付ける。そうした好循環が生まれる契機となるか。

国土交通省が発表した7月1日時点の基準地価で、商業地が全国平均で上昇した。工業地は26年ぶりに下落から横ばいに転じた。住宅地と全用途では8年連続で下げ幅が縮小した。

回復が先行してきた東京、大阪、名古屋の3大都市圏が上げ幅を広げた。札幌、仙台、広島、福岡の「地方中枢都市」は、それを上回る伸びを示した。さらに、地価の上昇は、大都市圏から地方都市の一部へと拡大している。

企業業績の改善で、東京圏のオフィス空室率が低下した。日銀の金融緩和による超低金利で、住宅ローンが身近になっている。

2020年東京五輪に向けた首都圏再開発や、外国人観光客の増加を受けた店舗の新増設、相次ぐ商業施設の開業も追い風だ。

首都圏の環状道路である圏央道の周辺は、物流基地の需要が高まり、引き合いが急増している。

地価は景気動向を示す指標だ。その上昇は、企業心理を改善し、投資の呼び水にもなる。実需に基づく上昇を日本経済のデフレ脱却につなげることが重要である。

政府は、民間活力を高めるための規制緩和や成長戦略を推し進めることが大切だ。

地方圏には、地価の落ち込みが続く地域が、いまだ多い。

全国約2万の調査地点のうち、約15%にあたる3000地点超は下落幅が拡大した。

人口減社会を迎え、多くの地方が、かつての活気を失おうとしている。一方、創意工夫で再生しつつある地域も生まれている。

多くの外国人が別荘を利用する北海道倶知安町は、住宅地の上昇率で2年連続の1位となった。滋賀県守山市は、中山道の街並みを生かした市街地整備を進め、地価は安定している。

訪日客効果で商業価値が高まった京都・伏見稲荷大社周辺のような例の広がりにも期待したい。

自治体や地元経済界には、地域の特徴や魅力を見つめ直す取り組みが求められよう。

大都市圏を中心に、法外な価格にまで値上がりする「ミニバブル」には警戒が要る。

全国トップだった東京・銀座の調査地点の地価は、1991年のバブル期の最高額を上回った。企業向けの融資が伸び悩む中、銀行が不動産向けに活発に貸し出す動きが続いている。

政府・日銀は投機的な動きに十分目配りせねばならない。
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2017年09月19日

[読売新聞] 五輪チケット 高値転売の防止策を講じたい (2017年09月19日)

2020年東京五輪・パラリンピックでは、約1000万枚のチケット販売が見込まれる。開会式などには、人気が集中するだろう。

多くの人が手頃な価格で五輪の醍醐(だいご)味を味わえるよう、高値転売を防ぐ対策を急ぎたい。

昨年のリオデジャネイロ五輪では、国際オリンピック委員会の理事が、不正転売容疑などで逮捕された。チケットは売れているのに、空席が目立つ競技もあった。チケットの適正な販売は、近年の五輪の大きな課題である。

東京五輪の立候補ファイルは、「チケットの再販売を厳格に禁止する」と謳(うた)っている。

チケット交換システムの整備も掲げる。購入者の都合が悪くなった時などに、インターネット上で購入希望者に定価に近い価格で転売できる仕組みだ。

現在もネット上には多数の転売仲介サイトが存在する。パソコンやスマートフォンで簡単に取引できるため、利用者が急増している。市場規模は年数百億円とされる。音楽チケットの異常なまでの高値転売は、社会問題化している。

チケットを売る側にとって、少しでも高値で転売したいと考えるのは、無理からぬ面がある。

五輪のチケットが転売仲介サイトに流れるのをいかに防ぎ、公式の交換システムを有効に機能させるか。大会組織委員会はこの点に知恵を絞らねばならない。

会場に入場する際の本人確認が難しいため、チケットさえ持っていれば、誰でも入場できる。こうした現状が、高値転売を助長していることは間違いない。

総務省などは、電子チケットの実証実験を進めている。スマホやマイナンバーカードを入場時の認証に使う方法だ。転売防止に一定の効果が期待できよう。

本人確認の徹底は、不審者の入場を防ぐというセキュリティー上のメリットもある。

専用の入場ゲートの設置に多額の費用を要するなど、実現には難題が少なくないのも事実だ。観戦者の中にはスマホを所有していない人もいるだろう。

東京五輪でどこまで活用できるのか、可能性を見極めたい。

チケットの「ダフ屋行為」については、ほとんどの都道府県が条例で禁止しているが、ネットでの転売は想定していない。

大会組織委は、超党派の国会議員で構成するスポーツ議員連盟に、法整備の検討を要請した。

法規制が必要なのかどうか、慎重に議論してもらいたい。
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[読売新聞] 衆院解散意向 首相は具体的争点を明示せよ (2017年09月19日)

安倍首相が、衆院解散・総選挙に踏み切る意向を固めた。「10月10日公示―22日投開票」の日程を軸に調整している。

前回の衆院選から3年近く経過しており、この時期に国民に信を問うのは異例ではない。首相は、衆院選の意義を丁寧に説明することが求められる。

首相が解散を決断したのは、一時は急落した内閣支持率が回復傾向にあることがある。

民進党は離党ドミノで混乱している。小池百合子東京都知事に近い若狭勝衆院議員らによる新党結成の動きも緒に就いたばかりだ。野党の準備が整う前の方が有利だという戦術面の判断もあろう。

首相が解散権を行使し、衆院選に勝利することで、重要政策を遂行する推進力を得ようとすることは理解できる。そのためには、きちんと争点を明示すべきだ。

今回は、北朝鮮の核とミサイルの脅威が拡大した中での選挙戦となる。いかに日米同盟を強化して抑止力を高め、中国、ロシアを含めた国際包囲網を構築するか、しっかり論じ合う必要がある。

安倍政権は、安全保障関連法が日本の平和を守る法的基盤として機能していることを具体的に訴えることが重要だろう。

政府は、北朝鮮の新たな軍事挑発にも即応できる体制を常に維持し、1か月前後の「政治空白」の影響を最小化せねばならない。

経済政策アベノミクスに関する評価も問われよう。

景気は緩やかに回復しているものの、力強さを欠いている。成長戦略をどう強化するのか。2019年10月の消費税率10%への引き上げを予定通り実施するのか。各論を深めることが大切である。

憲法改正について自民党は、9条1、2項を維持しつつ、自衛隊の根拠規定を追加する案などを争点化することを検討している。

衆院選で首相は、改正の必要性を堂々と訴え、その具体像を分かりやすく語るべきだ。

安倍自民党は国政選に4回連続で大勝している。だが、今回は、政権の驕(おご)りと緩みが問題視されており、決して楽観はできまい。

民進党など野党は、今回の解散について、森友学園や加計学園の「疑惑隠しだ」などと批判している。臨時国会で追及する機会が失われることを踏まえたものだが、政権選択の選挙でこの問題ばかりを論じるわけにはいくまい。

民進党は、現実的な政権構想と政策を提示し、政権担当能力を示さなければ、国民の信頼を回復することは望めない。
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2017年09月18日

[読売新聞] 教師の過労対策 雑務を抱え込む慣行なくそう (2017年09月18日)

教師の長時間労働を解消するには、担任が給食費の集金まで担うような業務の在り方を抜本的に見直す必要がある。事務職員や専門家を活用し、効率化につなげたい。

中央教育審議会の特別部会が、教師の働き方を早急に改善するよう求める緊急提言をまとめた。過酷な実態を放置できないとして、「今できること」から着手するよう文部科学省などに要望した。

公立小中学校の教師の平日の勤務時間は11時間を超える。小学校で3割、中学校で6割が「過労死ライン」の水準で働いている。これでは、教師を志望する若者の確保が困難になるのではないか。

教師の仕事は正規の勤務と残業が区別しにくいとして、残業代の代わりに基本給の4%が一律に支給されている。退勤時間を記録している小中学校が全体の2割程度にとどまるのは、そのためだ。

働き方を改革する意識が民間に比べて大幅に遅れている。中教審の部会が、タイムカードやICT(情報通信技術)による勤務時間の把握を求めたのは当然だ。

夏休み中も交代で出勤し、研修に参加する必要がある。確実に休めるようにするには、「学校閉庁日」の設定も有効だろう。

大切なのは、教師が何でも抱え込む慣行を見直すことだ。経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本の教師の労働時間は他の加盟国に比べて長いが、授業が占める割合は平均を下回る。課外活動や雑務が多いのが理由だ。

文科省の調査によると、給食費の集金を手渡しで行う小中学校がなお2割を超える。学級担任や副校長らが未納分の督促まで担うのは、本来の業務とは言えまい。

文科省は指針を策定し、銀行振り込みなどで自治体が徴収する仕組みへの移行を促す方針だ。

事務職員や専門家の役割も拡充したい。印刷業務などを支援するスタッフの配置は、教師の事務作業を減らす効果を上げている。いじめ問題などで、弁護士が学校の相談に応じる自治体もある。

中学では部活指導の負担が大きい。休養日を適切に設けたい。外部の指導員を活用すれば、競技力向上にもつながるだろう。

2020年度には、小学校で英語が教科化され、授業時間が増える。討論や発表を重視したアクティブ・ラーニングも導入され、教員の適切な配置が求められる。

授業や生徒指導が教師の本業なのは、言うまでもない。ゆとりを持って子どもに向き合える態勢の整備を急がねばならない。
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[読売新聞] 郵政株追加売却 企業価値高める展望が必要だ (2017年09月18日)

全国津々浦々に広がる店舗網と厚い顧客層を、どう生かすか。

市場で魅力ある投資対象となるには、確かな戦略に基づく長期的な収益拡大策が欠かせまい。

国が約8割を保有する日本郵政株の一部が、月内にも追加売却される。日本郵政が東証に上場した2015年11月以来、1年10か月ぶり2回目となる。

政府は、最大1兆4000億円の売却額を見込む。出資比率は6割弱まで下がる。

郵政民営化法は、政府が日本郵政株の保有割合を早期に3分の1超まで下げるよう定めている。

売却を着実に進めるには、日本郵政の経営安定が重要だ。

最近の株価は、上場時の売り出し価格である1400円を下回る場面が少なくなかった。

グループの事業戦略がはっきりしないことが、要因の一つであるのは間違いない。

日本郵政は傘下の事業会社に、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険を持つ。郵便事業はほとんど儲(もう)からず、利益の大半を銀行と生保の金融2社が稼ぐ。

民営化法は、日本郵政が金融2社の株をできるだけ早期に全て売却することを規定している。

残る郵便事業を、どう再構築するか。答えはまだ見えない。

旧日本郵政公社が、現在の姿である株式会社組織に衣替えした07年当時、政府は「広く国内外の物流事業への進出を可能にする」との狙いを強調した。

郵政民営化の成功例とされる独ドイツポストは、米物流大手などの買収を繰り返し、世界有数の物流会社となった。その例に倣う期待が込められていた。

しかし、日本郵政は、15年に買収した豪物流大手トール・ホールディングスの経営不振で、17年3月期に約4000億円の損失を計上する事態となった。

事業の多角化も、思惑通りに進んでいない。中心市街地に多くの土地を持つ強みを生かそうと、マンション開発大手の野村不動産ホールディングスの買収に乗り出したが、不首尾に終わった。

国際業務や新分野への進出では外部人材の登用を進めるなど、柔軟な発想が求められよう。

政府の郵政株売却益は、東日本大震災の復興財源となる。2度の売却による計2兆8000億円規模に加え、22年度までにさらなる売り出しによって、計4兆円の財源確保を目指す。

その達成のためにも、日本郵政は重い責任を負っている。
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2017年09月17日

[読売新聞] 日印首脳会談 海洋安保で戦略関係を深めよ (2017年09月17日)

南シナ海からインド洋にかけての海洋秩序の維持は、日本とインドの共通の利益だ。その戦略的な目標に向けて、両国の連携を強化したい。

安倍首相がインドを訪問し、モディ首相と会談した。国際法に基づく「航行の自由」「阻害されない通商の自由」の重要性を訴える共同声明を発表した。

両首脳の会談は10回目だ。トップ同士の信頼関係を土台に、具体的な協力を追求すべきだ。

安倍首相は記者会見で、「モディ首相と手を携えて、アジア太平洋地域と世界の平和と繁栄を主導していく決意だ」と強調した。

共同声明は、安倍首相が掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」と、モディ氏のアジア重視の「アクト・イースト(東方で活動する)政策」の連携を訴えた。

東南アジアからインド、アフリカに至る地域を発展させるため、両国の政策が相乗効果を上げることが重要である。東南アジア各国との協調も欠かせない。

中国は巨大経済圏構想「一帯一路」の下、パキスタンやスリランカなどの港湾整備に巨額の資金を投入している。中国軍の艦船や潜水艦によるインド洋周辺での活発な活動も続く。

インドが「一帯一路」構想に背を向けるのは、覇権主義的な行動への警戒感が強いためだろう。

海上自衛隊と米国、インド両海軍は7月、インド洋のベンガル湾で共同訓練を実施した。中国の独善的な活動を牽制(けんせい)するには、日米印の海洋安保協力を計画的に拡大することが有効である。

会談では、核実験を強行した北朝鮮について、経済制裁などの圧力を最大化するよう国際社会に訴えることで一致した。北朝鮮包囲網を着実に広げるべきだ。

経済分野では、新幹線方式が導入されるインド初の高速鉄道などに対し、総額約1900億円の円借款を供与することで合意した。7月に発効した日印原子力協定を踏まえ、日本の原発技術輸出の協議も加速させる。

広大な国土を持つインドの人口は現在、13億人だが、近い将来、中国を抜いて世界1位となる。インフラやエネルギーの需要は大きい。両国の経済協力の深化は、双方に恩恵をもたらそう。

インド人の日本語教師を5年間で1000人育成するため、インドの100高等教育機関に講座を開設することでも合意した。草の根レベルの相互理解や日本企業の進出に役立とう。日印関係を長期的に発展させる布石としたい。
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[読売新聞] 公認心理師制度 ケア充実に新資格生かしたい (2017年09月17日)

現代人が抱える心の問題に、新たな資格制度が大きな役割を果たしていくよう期待したい。

カウンセリングなどに携わる心理職の国家資格を定めた公認心理師法が15日、施行された。

超党派の議員立法で2015年に成立した。来年秋に1回目の国家試験が実施され、最初の公認心理師が誕生する予定だ。

心の問題で支援が必要な人々の心理状態を観察し、適切な助言や指導を与える。活動の場としては、医療現場や学校、企業、私設の相談室などが想定されている。

東日本大震災で注目された震災被害者への心のケア。後を絶たない「いじめ」への対応。こうした場面で、心理職の役割はますます重視されるようになっている。

厚生労働省の調査によれば、国内で働く心理職は約4万人いる。制度創設から約30年を経た臨床心理士など、今では社会的に広く認知されている資格もある。

ただ、従来の資格制度はいずれも民間によるため、認定条件や試験は様々だ。個々人の力量のばらつきを指摘する声は絶えない。臨床心理士と臨床発達心理士の違いなど、一般の利用者には分かりづらい面もあった。

公認心理師は、大学と大学院で指定の科目を修めた人などに受験資格が与えられる。現在、心理職として働いている人も、所定の条件を満たせば今後5年間は受験できる経過措置が取られる。

信頼できる国家資格の創設は、利用者が安心して相談できる機会を広めることになろう。

公認心理師は、長期的には国の様々な施策の担い手として組み込まれていく可能性もある。資格の取得者にとってもメリットが大きいのではないか。

公認心理師法は、公認心理師の支援対象者に主治医がいる場合、「その指示を受けなければならない」と規定する。医師の投薬を妨げて、状態が悪化するような事態を懸念したものだ。

医療以外の教育分野などでは、医師の指示は必須ではなかろう。厚労省は、国家試験開始までに、この規定に関するガイドラインを策定する。無用な混乱を防ぐためにも必要な措置だろう。

来春には、志望者を対象にしたカリキュラムが大学に設けられる。7年後に、そのコースを経た公認心理師が第一線に出る。

厚労省と文部科学省、大学などは、制度設計の詳細や教育内容の充実に努め、志望者が戸惑うことのないようにしてもらいたい。
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2017年09月16日

[読売新聞] 年金支給漏れ 制度への信頼がまた揺らいだ (2017年09月16日)

またしても、公的年金の大規模な支給漏れである。制度への信頼を損ねた日本年金機構などの責任は重い。再発防止策を徹底せねばならない。

厚生労働省は、基礎年金に一定の条件で上乗せする「振替加算」が10万人以上に未払いだった、と公表した。総額で598億円に上る。一度に発覚した支給漏れとしては過去最大だ。年金機構を通じ、11月中に全額を支払うという。

受け取れるはずの年金が受け取れない。制度の根幹を揺るがしかねない不祥事である。

振替加算は、厚生年金や共済年金の受給者の配偶者を対象にした制度だ。専業主婦らの年金をかさ上げするために設けられた。

厚生・共済年金の加入期間が20年以上で、配偶者がいる人は、要件を満たせば扶養手当に当たる加算金を受け取れる。配偶者が65歳になって基礎年金を受給し始めると打ち切られ、代わりに配偶者に振替加算がつく仕組みだ。

支給漏れは、1991年の振替加算導入時から起きていた。主に共済年金を受給する元公務員の配偶者だ。共済年金を管理する各共済組合と基礎年金を担う年金機構の連携不足で、夫婦の年金情報が共有されなかった事例が多い。

共済組合が提供するデータの不備や、年金機構の事務処理ミスなど、双方のずさんな情報管理が招いた結果である。

共済年金は2015年に厚生年金に統合されたが、記録管理などは分断されたままだ。年金機構は、機械的に情報照会できるようシステムを改修するという。

それだけで十分なのか。運営体制の一本化も含めた抜本的な見直しを検討すべきだろう。

公的年金の管理を巡っては、旧社会保険庁時代の07年に5000万件もの持ち主不明の年金記録が問題化した。年金機構発足後の15年にも、不正アクセスを受けて大量の個人情報が流出した。

今回は、現場で振替加算の支給漏れが散見されたため、年金機構が制度導入時に遡って総点検した結果、全体像が判明した。

現場では数年前から把握されていた問題だ。振替加算を受け取れないまま、既に亡くなった人も4000人に上る。対応が遅きに失したと言わざるを得ない。

年金制度は相次ぐ改正で複雑化している。今後も支給漏れが生じる可能性はある。現場のミスで片付けず、制度上の要因がないかどうか、検証することが大切だ。国民の信頼回復へ向け、危機感を持って取り組まねばならない。
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[読売新聞] 北ミサイル発射 日本通過の常態化は許されぬ  (2017年09月16日)

北朝鮮の核ミサイル開発の阻止に向けて、結束を固める国際社会を愚弄(ぐろう)する暴挙である。

北朝鮮が日本列島を越える弾道ミサイルを再び発射した。北海道の上空を通過し、襟裳岬の東約2200キロの太平洋上に落下した。

最高高度は約800キロで、約3700キロ飛行したと推定される。高く打ち上げる「ロフテッド」ではなく、通常の軌道だった。8月下旬に発射されて、同じルートをたどった中距離弾道ミサイル「火星12」の可能性が大きい。

弾道ミサイルの発射は今年14回を数える。日本上空を通過するのは通算6回目だ。今後、常態化する恐れがある。安倍首相が「断じて容認できない。北朝鮮がこの道をさらに進めば、明るい未来はない」と非難したのは当然だ。

懸念されるのは、前回の発射よりも高度と飛行距離が増して、北朝鮮から約3400キロ離れた米領グアムに到達する能力が示されたことだ。北朝鮮がミサイル技術の向上を喧伝(けんでん)し、米国への威嚇をさらに強めるのは間違いない。

国連安全保障理事会は、北朝鮮の3日の核実験を受けて、石油供給制限などの追加制裁決議を採択したばかりだ。賛成した日本に対し、北朝鮮は核爆弾で「懲らしめる」との声明を出している。

北朝鮮に融和的な中国とロシアも含めて、全会一致で採択された決議に挑発で応じるのは、筋違いも甚だしい。安保理は、日米韓の要請で緊急会合を開く。非難声明などを通じて、制裁の厳格な履行を確認することが重要だ。

日米の外相と防衛相は電話会談で、国際社会の圧力を強める方針をそれぞれ確認した。韓国の文在寅大統領は、米韓同盟を基盤にした抑止力強化策の検討を始めた。日米韓の安全保障面での連携を一段と深めることが求められる。

日本の領土・領海へのミサイル着弾や落下物の警戒も怠れない。防衛省には引き続き、監視に万全を期してもらいたい。

政府は、全国瞬時警報システム「Jアラート」を通じて、12道県617市町村にミサイル発射と日本上空通過の情報を伝達した。

前回の発射時の情報が「過度に不安を与えた」との反省を踏まえ、地域を特定するなど内容を修正したのは妥当な措置だ。

今回も北海道登別、網走両市などで、メールが配信されないなどのトラブルが相次いだ。

再発防止を徹底し、国民に迅速かつ適切に伝わるように努めることが欠かせない。
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2017年09月15日

[読売新聞] 国連組織改革 日米の圧力をテコに進めたい (2017年09月15日)

北朝鮮の核開発や過激派のテロ、紛争、貧困など、国連が対処すべき課題は山積している。官僚的な組織運営を続けていては対処できまい。

第72回国連総会が開幕した。各国の拠出金に基づく予算をより効果的に使い、透明性を高める国連改革は、重要テーマの一つだ。

今年1月に就任したグテレス国連事務総長は、開幕演説で「国連は適応し、結果を出すために激しく動かねばならない」と述べ、体質強化への意欲を強調した。

焦点となるのは、国連総会に初めて登場するトランプ米大統領の動向だろう。

18日に、国連改革に関するハイレベル会合を主催する。グテレス氏の取り組みを支持し、「より効率的な組織」への変革を求める政治宣言が発表される見通しだ。

トランプ氏は、「米国第一」主義を掲げ、国際機関に厳しい目を向ける。加盟国の経済力を勘案して決める国連通常予算の分担率で、米国が上限の22%を負担していることに、「不公平だ」と不満を表明してきた。

通常予算は、20年間で倍増した。不必要な部署や事業を見直し、無駄な経費を減らすことが求められる。国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)などの中立性を徹底させ、歴史問題などで政治利用の余地をなくすことも必要だ。

長年の慣行や内部の抵抗を排して、こうした組織改革を断行するのは容易ではない。グテレス氏は、米国などの圧力もテコに推進する狙いがあるのではないか。

既に、国連平和維持活動(PKO)の2017年度(17年7月?18年6月)予算は、前年度から14%削減された。最大負担国の米国が、3番目の負担国の日本と協調し、効率化を強く求めたことが功を奏したと言える。

日本は、通常予算でも米国に次ぐ9・7%を分担し、年間約270億円を支払っている。国連の運営に積極的に参画し、合理化を迫る姿勢が欠かせない。

安全保障理事会改革も、重要である。日本は非常任理事国として北朝鮮制裁決議などに直接関与しているが、任期は年末で切れる。日本が恒常的に議席を確保できるよう、安保理拡大に向けた運動を粘り強く続けねばならない。

19日からの一般討論演説では、トランプ氏や安倍首相をはじめ、各国の首脳らが外交・安全保障政策を提示する。2国間会談も行われる。北朝鮮問題の緊迫化を受けて、制裁の厳格な履行をあらゆる場で確認することが大切だ。
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[読売新聞] 電磁パルス攻撃 拠点施設の防衛策を怠るな (2017年09月15日)

北朝鮮の喧伝(けんでん)の真偽は不明だが、不測の事態にも備えて、対策を着実に講じる必要がある。

北朝鮮が、3日に強行した核実験について「超強力な電磁パルス(EMP)攻撃をできる熱核弾頭だ」などと主張している。

EMP攻撃は、大規模な爆発で生じる強力な電磁波を利用し、地上の電子機器などを破壊するものだ。核爆弾を高高度で爆発させれば、影響は広範囲に及ぼう。

人間や建物に直接の被害は生じないが、電気・水道や鉄道・航空機は停止し、インターネットもマヒする。復旧には数年以上かかるとの試算もあり、国民生活への深刻な打撃が懸念される。

小野寺防衛相は、北朝鮮の主張に「唐突感がある」と語った。「(核弾頭の)再突入技術がない、と言われていることへの反論ではないか」との見方も示した。

EMP攻撃を巡っては、冷戦期から米国とソ連が開発を競ってきた。ロシアから北朝鮮へ技術が流出した可能性は否定できない。直接の人的被害が出ないとして、使用を躊躇(ちゅうちょ)しない恐れもある。

内閣官房と防衛、経済産業、国土交通各省などは、対策の検討に着手した。菅官房長官は「重大な関心を持っている」と述べた。手をこまぬくわけにはいくまい。

米軍は、有事の拠点施設を中心に、電磁波の防御対策を進めている。防衛省も基礎研究を続け、一部の指揮中枢施設の地下化、通信網の多重化などを図っている。来年度予算では、通常兵器のEMP弾の試作費も要求した。

ただ、社会インフラの対策はほとんど手つかずだ。

電磁波を遮断するには、電線へのフィルター装着や、建物を鉄で覆うことなどが有効とされる。すべての建物に対策を施すのは予算面でも困難だが、優先順位を付けて、順次、取り組むことが、万一の際の被害軽減につながる。

無論、より重要なのは、日米のミサイル防衛によって、EMP攻撃を未然に阻止することだ。

仮に北朝鮮が日本に向けて核搭載ミサイルを発射した場合、イージス艦搭載の迎撃ミサイルで確実に撃ち落とすことが、現時点で最も有効な防衛手段である。

日米が共同開発した改良型ミサイルの導入を急ぎ、迎撃の能力と精度を高めることが大切だ。

EMP攻撃の実態については、解明されていない点も多い。政府には、いたずらに国民の不安を煽(あお)らず、適切な情報公開に努めることが求められよう。
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