2017年03月01日

[読売新聞] 経産省全室施錠 世耕氏には記者が「敵」なのか (2017年03月01日)

報道機関を閉め出す動機と狙いは何なのか。経済産業省が、省内の全ての執務室を日中でも施錠する措置を始めた。取材対応は、会議室などの別室で行うという。

世耕経産相は「情報管理を徹底するためだ」と説明する。「机の書類が見える状況は問題があり、改善の必要がある」とも言う。

まるで記者が情報をかすめ取るのを警戒するかのような発言である。容認できるものではない。

情報流出が即座に国や企業の不利益につながる金融庁や特許庁、原子力規制庁などは、大半の部署を施錠している。

こうした例はあるにせよ、中央省庁で全室一律に施錠するのは、極めて異例だ。機密性の高い情報や文書を扱う外務省や防衛省でさえ、記者は一部の部署以外には入室できる。警察庁でも、施錠しているのは警備局に限られる。

報道機関の出入りが禁じられれば、記者が省内の異変を察知することが遅れる。不祥事などが発生しても、職員が外部の目から隠れて処理するのも可能だろう。

経産省内には「情報公開のために、扉は常に開いておくのが、あるべき姿だ」との意見がある。

報道機関は施錠措置の撤回を求めたが、世耕氏は「撤回しない」と拒んでいる。なぜ、そこまで頑(かたく)ななのか、理解に苦しむ。

他の閣僚からも疑問の声が上がっている。山本農相は「閉鎖社会を作るようなイメージがあるなら、検討を加える必要がある」と指摘する。山本環境相も「好ましくない。環境省は全く施錠の必要はない」と強調した。

先の日米首脳会談の直前、経産省が絡む経済協力の提案内容などが、事前に相次いで報道された。それが今回の措置のきっかけになった、との観測がある。

世耕氏は「個別の事案に対応したということではない」と否定するが、果たしてそうなのか。

新たな取材規則にも問題点が多い。対応を管理職以上に限り、メモを取る職員が同席して、内容を全て広報室に報告する。自宅など庁舎外では取材に応じない。

出来るだけ取材の機会を制限して、記者の取材内容についてもチェックする独善的なルールだと言うほかない。世耕氏は記者会見で、「中身もなにも、了承していない」と釈明した。省のトップとして、あまりに無責任である。

報道機関との信頼関係を蔑(ないがし)ろにし、都合の良い情報だけを発信しようとする。そうした姿勢は、国民の不信感を高めるだけだ。
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[読売新聞] 民進党原発政策 蓮舫流「30年ゼロ」は無理筋だ (2017年03月01日)

あまりに唐突で、無理筋の方針変更が躓(つまず)いたのは当然の結果だろう。

民進党は、原発政策の見直しの結論を先送りする見通しとなった。

蓮舫執行部は12日の党大会で、「原発稼働ゼロ」の目標年限を「2030年代」から「30年」へ前倒ししようとしたが、党内外の反対が強かったためだ。

次期衆院選に向けて、党の目玉政策に据える思惑があった。「原発の即時停止」を唱える共産党などとの協力を加速させる狙いもうかがえる。安易すぎないか。

国民生活や企業に必要な電力を安価かつ安定的に確保するには、原発稼働が欠かせない。「30年代ゼロ」でさえ、実現が困難視されているのに、最大9年も繰り上げるのは非現実的に過ぎよう。

連合の神津里季生会長が「30年原発ゼロ」について「政権を担う政党として支持を得られるのか」と指摘するのはもっともだ。

連合の電力関係労組系や保守系の議員らは「重要政策であり、より幅広く意見を聞くべきだ」と主張する。労組は選挙支援の見送りもちらつかせ、反発している。

見直しに関する党内論議が本格化したのは2月になってからだ。執行部の拙速で強引な手法が批判されても仕方あるまい。

蓮舫代表は「将来的に原発ゼロは可能との思いを旗に掲げる」として見直しを続けるという。

疑問なのは、蓮舫氏らが、省エネと再生可能エネルギー利用の徹底で、原発なしでも需要を満たせる、と判断していることだ。それを裏付ける電力需給の具体的な試算は示されていない。

そもそも、今後は、経済成長などによって、電力需要は増えるとの予測が多い。再稼働が進まず、電気料金は高止まりしている。再生エネへの依存は、家計や企業のさらなる負担増につながる。

こうした点をきちんと分析せずに、聞こえのよい目標を唱えるだけでは、説得力を持たない。

原発の廃炉に関する民進党の見解も曖昧である。

「30年原発ゼロ」の実現には、30年以降に「40年運転規制」の対象となる原発約20基を前倒しして運転停止にせねばならない。その廃炉費用をどう賄うのか。

稼働ゼロを決めてしまえば、人材育成や技術継承が困難になる。安全性が確認された原発の再稼働にも悪影響を及ぼしかねない。

民進党が「責任政党」を標榜(ひょうぼう)するのなら、原発政策について多角的に議論を重ね、現実的な結論を導き出す力量が問われよう。
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2017年02月28日

[読売新聞] 森友学園問題 適正な国有地売却だったのか (2017年02月28日)

あまりに不透明な国有地の売却である。

大阪府豊中市の国有地が、評価額を大幅に下回る価格で学校法人に売却されていたことが判明した。国会の審議でも、連日取り上げられている。

国土交通省大阪航空局が管理していた8770平方メートルの土地だ。近畿財務局が売却先を公募し、昨年6月に学校法人「森友学園」に小学校建設用地として1億3400万円で売却された。

不動産鑑定士の評価額は、9億5600万円だった。地中からコンクリート片や廃材などが見つかったため、その撤去費用分を8億円余と見積もり、評価額から差し引いたのだという。

問題なのは、見積もられた費用に見合う撤去処分が実際に行われたかどうか、不明なことだ。

学園側は読売新聞の取材に対し、「くいを打ち込む部分のゴミは撤去したが、それ以外は撤去していない」と説明する。見積もりが過大だった疑念は拭えない。

近畿財務局の依頼を受けた大阪航空局が、専門業者を通さずに、直接算定したことも疑問だ。財務省は「適正だった」と主張するが、算定根拠について納得のいく説明がなされていない。

会計検査院は「経済性などの多角的観点から検査を実施する」との方針を示している。厳格な調査を求めたい。財務、国交両省も、経緯をきちんと説明すべきだ。

野党は、安倍首相や昭恵夫人と学園の関係を追及している。

昭恵氏は、この小学校の名誉校長に就任予定だった。学園のホームページには、写真とあいさつ文が掲載されていた。

国会で問題視された後に、名誉校長を辞退したものの、脇の甘さは否めない。

学園側は、「安倍晋三記念小学校」という名称を用いて、寄付金も集めていた。名前を使われたことに対し、首相は「強く抗議した」と答弁している。

「私や妻は学校の認可や国有地払い下げに一切関与していない。関与していたら、首相も国会議員も辞める」とも言い切った。

政治家や家族には、その肩書を利用しようと、様々な業者が接近する。便宜供与を期待するケースもあるだろう。疑惑を招かない細心の注意が必要だ。

学園の教育方針や財務状況については、小学校の設置認可を検討した大阪府私立学校審議会で疑問視する声が出ていた。子供への影響を最小限にとどめるため、認可問題の早期決着が求められる。
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[読売新聞] 残業の上限規制 実効性確保へ一致点見いだせ (2017年02月28日)

際限なく残業が認められる現状を改め、長時間労働に歯止めをかける。そのためには、労使双方が納得できる制度とすることが大切である。

残業時間の上限規制を巡り、経団連の榊原定征会長と連合の神津里季生会長が会談した。政府が3月中に策定する働き方改革の実行計画に向けて、合意形成を目指して協議を続ける。

政府は、残業時間の上限を年720時間とする案を提示している。月平均60時間だ。繁忙期に残業が長くなり過ぎないように、1か月当たりの上限も設ける。

年間の上限について、労使に意見の隔たりはない。焦点は、1か月の上限をどう設定するかだ。

政府は、脳・心臓疾患による労災認定基準を踏まえ、「月100時間」「2か月平均で80時間」とすることを検討している。いわゆる「過労死ライン」である。

経団連は、大筋で受け入れる意向だ。連合は、過労死リスクが高まるなどとして、強く反対してきた。労使が合意しなければ、残業規制は頓挫しかねない。早急に一致点を見いだしてほしい。

労働基準法は、労働時間を1日8時間、週40時間までと定めるが、労使協定を結べば残業が可能だ。その場合、月45時間、年360時間以内が基準だが、強制力はない。しかも、協定で特例を定めれば、基準を無制限で超過できる。

月100時間超の残業が可能な協定も散見される。過労死は後を絶たない。電通の過労自殺問題を契機に、長時間労働に対する国民の問題意識は高まっている。

政府案は、月45時間の基準を法定化した上で、特例にも上限を定める。違反には罰則を設ける。規制が空洞化していることを踏まえれば、一歩前進と言えよう。

いきなり厳し過ぎる上限を設けても、実効性は上がるまい。法定の上限の範囲内で、企業ごとに労使が協議して、職場の実情に合った個別の上限を定める仕組みとするのが現実的ではないか。

残業規制の枠外となっている研究開発や建設・運送業などの扱いも課題だ。業務の特殊性に配慮しつつ、適切な規制の在り方を工夫する必要がある。

終業と始業の間に一定時間を確保する「インターバル規制」の普及も進めねばならない。

残業の上限規制は、あくまで過労死防止が主たる目的だ。これにより、仕事と家庭の両立や女性の活躍が直ちに実現するわけではない。さらに踏み込んだ長時間労働の是正策が不可欠である。
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2017年02月27日

[読売新聞] 北朝鮮石炭輸出 中国の制裁履行は緩すぎる (2017年02月27日)

核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対し、中国が制裁の履行をなおざりにしている実態が浮き彫りになった。関係国は包囲網の抜け穴を放置してはならない。

国連安全保障理事会の制裁委員会は、北朝鮮が昨年11月末から1か月間に輸出した石炭の量が、制裁決議で定めた上限の約2倍、金額は約3・5倍に上ると発表した。輸出先は明示していないが、ほぼすべてが中国とみられる。

中国政府は昨年12月上旬、年末までの輸入停止を公表していた。輸入が増えたことについて、国内法との調整や企業への伝達のため、決議に従うまでに「時間差があった」と釈明している。

制裁は、北朝鮮の金正恩政権の主要な外貨獲得源である石炭の輸出を絞り込むのが狙いである。

安保理常任理事国として決議作成に当たった中国が自ら蔑(ないがし)ろにするようでは、制裁実施の意思を疑われても仕方があるまい。

王毅外相は今月半ばの岸田外相との会談で、「中国は決議をきちんと履行している」と語った。

その翌日、中国政府は19日から年末まで、石炭輸入を停止する措置を明らかにした。今年1年間の「輸入上限額に近づいたためだ」という。制裁を厳格に履行する姿勢を示すことで、国際社会の圧力をかわす思惑があるのだろう。

中朝間には国境周辺での密輸や第三国を迂回(うかい)する貿易もあるとされる。中国は王氏の言葉通り、制裁逃れを摘発し、決議の実効性を高める取り組みが欠かせない。

看過できないのは、王氏が「直接の当事国である米朝が、速やかに必要な政治的決断をすべきだ」と述べ、トランプ米政権に核問題解決の責任を転嫁したことだ。

金政権の暴走に歯止めをかけるには、北朝鮮経済の生命線を握る中国が重大な役割を担っていることを忘れてはならない。

そもそも、中国が北朝鮮の体制不安定化につながる制裁に消極的で、その内容を骨抜きにしてきたことが核・ミサイル開発を許している主な要因ではないのか。

習近平政権は、最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」の韓国配備に反対し、圧力をかける。

中国の新華社通信は韓国大手財閥ロッテグループに対して、「中国の顧客と市場を失うことになる」と警告する論評を伝えた。

ロッテの所有するゴルフ場がTHAADの配備予定先となる。一企業を脅迫する振る舞いは、地域の不信感を高めるだけである。
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[読売新聞] クロマグロ漁 食べ続けたいなら範を示そう (2017年02月27日)

人気のすしネタが幻の食材になりかねない。最大消費国が規制を蔑ろにしては、世界の理解は得られまい。

絶滅の恐れがある太平洋クロマグロの漁で、国際的な規制に基づく国内の漁獲ルールに反する水揚げが横行していた。沿岸39都道府県のうち、三重、長崎、静岡、岩手など10県に及んだ。

水産庁の調査によると、未承認漁船での操業、別の魚種とする虚偽報告、上限を超えた水揚げなど違反の形態は様々だ。

かつて10万トンを超えた太平洋クロマグロの資源量は、乱獲で1万トン余まで激減している。国際自然保護連合(IUCN)は2014年、絶滅危惧種に指定した。

日本などが加盟する「中西部太平洋まぐろ類委員会」は、30キロ未満の未成魚の漁獲量を半減させる規制を15年から導入している。

日本は、太平洋クロマグロの大半を消費する。率先して資源保護に努めるのは当然である。

委員会は昨年、未成魚がさらに激減した際の緊急規制の導入を検討したが、合意には至らなかった。過度の規制に慎重な日本の提案に対し、欧米などが「生ぬるい」と反発したためだ。

科学的知見に基づき、資源保護と活用のバランスを取る。それが日本の基本方針だ。現行規制さえ順守できないという国際的な評価が定着すれば、日本の主張は到底、受け入れられないだろう。

まず問われるのは、漁業者のモラルだ。水産庁は18年から、違反した漁業者に罰則を導入する。

罰則付き規制は、サンマ、スケトウダラなど7魚種で実施済みだが、クロマグロほど資源量が逼迫(ひっぱく)し、一段と厳格な運用が求められる例は初めてと言っていい。

問題は、これにとどまらない。自治体や漁協などの管理体制が十分ではなく、規制の周知徹底も進んでいないのが現状だ。

国や県、漁協などが連携し、現場への指導強化で違反行為を未然に防ぐ取り組みが求められる。

定置網漁などでは、他の魚種が目当てでも、クロマグロが紛れ込んでくることがある。規制を守るためには、操業を自粛する以外にないとの声も出ている。

許される漁獲量を巡っては、漁法や規模の大小などで漁業者も一枚岩ではない。多くの人が納得できる方向を探ることが大切だ。

水産大国・日本は、クジラやウナギなどの資源保護に関しても矢面に立つことが多い。クロマグロへの対応は、日本漁業全体の信用にもかかわってこよう。
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2017年02月26日

[読売新聞] 長周期地震動 高層ビルの揺れから身を守れ (2017年02月26日)

急増する高層ビルの地震対策を急ぎたい。

大地震の際、高層ビルに大きな揺れをもたらすのが長周期地震動だ。その発生が予測される地域について、気象庁が緊急地震速報の中で伝える方針を決めた。2018年度以降の運用を目指す。

長周期地震動は、ゆっくりとした揺れが特徴だ。上層階では揺れ幅が5メートルを超えることもあるという。東日本大震災の際には、壁や天井の破損、家具・備品の転倒などが被害を拡大させた。

発生が懸念される南海トラフ巨大地震では、さらに大きな揺れが見込まれている。

身を守るためには、家具や備品をしっかり固定しておくことが不可欠だ。大地震の時には、勝手に動き出したキャスター付きの事務機器などとの衝突を避けるため、速やかに逃げるしかない。

長周期地震動は、初めの小さな揺れが徐々に大きくなり、長時間続く。対処が遅れれば、身動きできなくなる。新設される速報は、迅速な行動に役立つだろう。

長周期地震動の揺れの程度は、4段階に分かれる。速報は、立っているのが困難な階級3と4が予測される場合に出される。

予測システムの構築を急がねばならない。現行の緊急地震速報と同時に出す際には、伝え方にも工夫が求められる。

気象庁は、速報までには至らない弱い揺れなどの情報も、気象事業者を通じて、ビル管理者らに提供する方針だ。自らのビルの揺れ方を把握し、安全性を向上させるために有効だろう。

概(おおむ)ね10階建てに相当する高さ31メートルを上回るビルは、15年に5万棟を超えた。01年の約2倍だ。16階建て以上のビルの着工数は、毎年約100棟にも上っている。

免震構造のビルも、地震動の周期によっては、効果が発揮されないという。可能な限り最新の研究を踏まえた耐震性を備えたい。

国土交通省は昨年、南海トラフ巨大地震に伴う長周期地震動に備えて、太平洋側の11都府県の都市圏を対策地域に指定した。

この地域で4月以降に建築申請される高さ60メートル超のビルは、長周期地震動を厳格に想定して設計する必要がある。60秒間だった揺れの想定継続時間は、500秒以上になる。家具の転倒や移動を防ぐ措置も講じるよう促す。

既存のビルやマンションでは、耐震評価や補強工事などを実施する場合の支援制度を設ける。

高層ビルが巨大地震による被害を増幅させない対策が大切だ。
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[読売新聞] 著作権料徴収 音楽教室は「聖域」と言えるか (2017年02月26日)

文化の発展のために、著作者の権利保護は欠かせない。その原則を踏まえた議論が必要だ。

ピアノなどの音楽教室での楽曲演奏に対して、日本音楽著作権協会(JASRAC)が、来年1月から著作権料を徴収する方針を決めた。

対象となる教室を運営するヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所などの団体・企業は、反発を強める。「音楽教育を守る会」を結成し、ネットに公開質問状を掲載するなど、反対運動を展開している。

対立の背景にあるのが、著作権法の解釈の違いである。

著作権法は、楽曲を公衆に聞かせる目的で演奏する「演奏権」を作曲家や作詞家に認めている。演奏権に基づく徴収は、歌謡教室やカルチャーセンターなどに段階的に広がってきた。

JASRACは、音楽教室だけを対象外にするのは不公正だ、と主張する。著作者保護を重視し、利用者から広く薄く使用料を徴収したい、というJASRACの考えは理解できる。

音楽教室側は、指導のための演奏は、聞かせることを目的にしたものではないと訴える。既に楽譜代などの著作権料は支払っているとも主張する。

2003年から協議を続けてきたが、決裂した場合には、債務が存在しないことを確認する訴訟も辞さない構えだ。

地域に根付いた音楽教室が、音楽のすそ野を広げる役割を果たしてきたことは間違いない。音楽教室側の見解を支持する人は、少なくないだろう。

だが、著作者が権利を有する楽曲を演奏しなければ、教室のレッスンは成り立たない。著作者に敬意を払い、利益を還元するために、演奏にも応分の負担をするという考え方はできないものか。

JASRACにも、音楽教室にとって過大な負担にならないよう配慮することが求められる。

一定の料金内で何回でも演奏できる包括契約の場合、受講料収入の2・5%を徴収する方針だ。

カルチャーセンターを対象とした包括契約の料率は1%だ。センター内の音楽教室以外に、BGMでの利用なども含まれる。こうした事例と比較して、2・5%の料率には再検討の余地もあろう。

著作権法の立法趣旨は「著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与すること」だ。

音楽文化の発展を願うという点で、意見の相違はあるまい。双方が歩み寄り、折り合える解決策を見いだしてもらいたい。
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2017年02月25日

[読売新聞] 参院選改革 憲法改正も視野に議論深めよ (2017年02月25日)

参院は、どんな役割を担うべきなのか。選挙制度の抜本改革には、その議論が欠かせない。

伊達参院議長の諮問機関である参院改革協議会が7年ぶりに設置された。各党の参院幹事長らで構成する。

最大の焦点は、選挙制度の見直しだ。昨年7月の参院選は、「1票の格差」を是正するため、二つの合区を導入した。対象選挙区を始め、地方の反発は強く、全国知事会は解消を要望している。

一方で、格差はなお最大3・08倍に上る。高裁段階では、「違憲状態」が10件、「合憲」が6件と判断が分かれた。最高裁は、年内にも判決を出す見通しだ。

地方の人口減少が進む中、格差を是正しつつ、合区を解消するのは、かなりの難題である。

自民党は、合区解消を最優先するため、憲法改正によって、全都道府県から最低1人を選出する制度の導入を主張している。

これに対し、民進党は、格差是正を重視し、合区拡大や、地域ブロックを選挙区とすることなどを検討する。公明党も、ブロック制が望ましいという立場だ。各党の意見の隔たりは大きい。

忘れてならないのは、参院の在り方や衆参の役割分担を議論し、新たな参院の姿に即した選挙制度とする視点である。

本来、衆院が首相指名などで優越するのに対し、参院は抑制・補完の役割が期待されている。

だが、過去10年のうち約5年の衆参ねじれ国会では、政府提出法案の成立が困難となり、政治の停滞と混乱を招いた。参院が、法案の成立に関して衆院とほぼ対等の権限を持つことが原因である。

「強すぎる参院」を改善するには、衆院での法案の再可決要件を「3分の2以上」から「過半数」に引き下げるという憲法改正も避けてはなるまい。

改正公職選挙法は付則で、2019年参院選までに「選挙制度の抜本的な見直し」について「必ず結論を得る」と明記している。

協議会の座長を務める自民党の吉田博美参院幹事長は、「全会一致に努める」と強調する。

19年参院選を新制度で実施するには、遅くとも来年中には公選法を改正する必要がある。国会が、自らの約束を反故(ほご)にすれば、政治に対する信頼が失われよう。

今年は、参院が創設されてから70年の節目でもある。

「政局の府」でなく、「良識の府」にふさわしい参院にするため、各党には、党利党略を排した大局的な議論が求められる。
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[読売新聞] 相模原事件起訴 身勝手な大量殺人が裁かれる (2017年02月25日)

犯罪史上に残る事件の発生から、7か月近くを経て迎えた節目だ。

神奈川県相模原市の知的障害者福祉施設で起きた入所者殺傷事件で、横浜地検が、元施設職員の男を殺人罪などで起訴した。犯行時の男には、完全な刑事責任能力があったと結論付けた。

男は19人を殺害した。包丁を用意し、障害の重い入所者を選んで襲った。逮捕後、「不幸を作る障害者はいなくなればいい」と差別意識に満ちた動機を供述した。

事件前には、犯行を予告する手紙を衆院議長公邸に持参した。自己の論理を妄信し、計画的に犯行に及んだことがうかがえる。

起訴に持ち込んだ地検の判断は、妥当である。

精神鑑定のため、地検が実施した鑑定留置は5か月間に及んだ。まれに見る凶悪事件だけに、より慎重を期したのだろう。

男は、「自己愛性パーソナリティー障害」などと診断された。自らを特別な存在と思い込むのが特徴だ。過去の事件の裁判では、完全責任能力が認められている。

今回の裁判員裁判でも、男の刑事責任能力が焦点となろう。なぜ邪悪な考えを抱き、事件に至ったのか。男の供述や、関係者の証言は、再発防止にも役立つ。裁判は長期化が必至だ。裁判員の負担軽減も重要な課題である。

厚生労働省の有識者検討会が、昨年末に再発防止策を提言した。精神保健福祉法改正案が今国会に提出され、措置入院から退院した患者への継続的な支援が制度化される見通しだ。

自治体と病院の連携が不十分だった反省に基づく。支援計画の作成や実施主体など、自治体や病院の責務を明確化する。切れ目のない支援には、人員確保が重要だ。国の援助が欠かせない。

神奈川県は、施設を全面的に建て替える当初の計画を見直すことを決めた。数十億円を投じ、防犯対策も大幅に強化する構想だったが、地域の中で共生するという障害者福祉の理念に反するとの批判が相次いだためだ。

家族会は、早期の建て替えを求める。社会の偏見を恐れ、引き続き施設への入所を望む家族もいる。計画の練り直しには、こうした声への配慮も求められる。

県警は大多数の被害者の実名を公表しなかった。「障害者であることや家族の意向などに配慮した」のが理由だ。

偏見や差別が依然、存在するのは事実だ。再発防止には、その根絶が何より重要である。
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2017年02月24日

[読売新聞] プレミアム金曜 「アフター3」をどう広げるか (2017年02月24日)

ゆとりある週末に、少しだけ贅沢(ぜいたく)な体験を楽しむ。そんな「特別な金曜日」になるだろうか。

月末の金曜日に定時前退社を促し、消費拡大につなげるプレミアムフライデーが、きょうから始まる。

午後3時に仕事を切り上げて、自由になった時間を買い物や娯楽に振り向けてもらう。官民一体で働き方改革と消費活性化を目指す新たな取り組みである。

賛同する企業・団体は3500を超え、「アフター3(スリー)」商戦を狙う飲食店や百貨店、旅行会社などが相次いで新規の商品やサービスを打ち出している。

安倍首相も「できる限り多くの職員が楽しめるよう工夫したい」と語る。国会が、24日に予定された来年度予算案の衆院通過を来週に持ち越すなど、官民双方で後押しするムードが高まっている。

問題は、どう定着させるかだ。イベントには賛同するが、実際に早めの退社で対応するのは見合わせるという企業が多く、「笛吹けど踊らず」の感もある。

残業が常態化し、3時に帰れるはずがない。忙しい月末の金曜は大企業でも難しい。人繰りに苦しむ中小企業は、なおさらだ。時間給の派遣社員は、給料が減る。

そんな声が聞かれる。

せっかくの試みも、企業の努力なしでは軌道に乗るまい。

全社一律3時は無理でも、他日をまじえて交代で早く帰る。半日より短い有給休暇を活用する。柔軟な働き方と休み方を工夫する企業の意識改革が必要だ。

消費刺激効果を疑問視する意見もある。早く帰っても自宅で過ごす人が多く、金曜に消費が増えても土日需要の先食いだという。

確かに、月1日程度の早帰りで長期化する消費不振が劇的に改善するものではなかろう。

地域振興券や家電エコポイントなど過去の消費喚起策は、限定的なバラマキ政策だ。それに比べると、民間の知恵を生かすプレミアムフライデーは、長い目で見て、新しい消費行動を生み出す力を秘めているのではないか。

仕事帰りに夫婦や家族、友人同士で食事や買い物を楽しみ、映画や音楽、美術に興じる。地方や海外への小旅行もできる。

働き方やライフスタイルを見直す契機となれば、プレミアムフライデーの意味は小さくない。

今では当たり前の週休2日制も定着には、長い時間を要した。プレミアムフライデーも様々な課題を解決しつつ、恩恵を受けられる人が増えるように展開したい。
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[読売新聞] 金正男氏殺害 北朝鮮の責任逃れは見苦しい (2017年02月24日)

北朝鮮による国家ぐるみの凶行の可能性が濃厚になった。友好関係にあった東南アジア諸国さえも敵に回し、国際的な孤立が一段と深まろう。

北朝鮮の金正男氏殺害事件で、マレーシア警察当局は、北朝鮮大使館の2等書記官と国営・高麗航空の職員を含む3人が関与した疑いがあるとして、出頭させるよう北朝鮮に要請した。

実行犯とされるベトナム人とインドネシア人の女2人のほか、北朝鮮国籍の男を逮捕している。残りの容疑者4人は北朝鮮に帰国したと見て、引き渡しを求めた。

初期捜査は、犯行グループの輪郭をつかむ成果を上げた。空港の監視カメラの画像が身元の特定につながったのが大きい。

実行犯の容疑者らがクアラルンプールの商業施設で、毒物使用の予行演習を行っていたことも判明した。周到に準備された計画的犯行だったことをうかがわせる。

殺害に使った毒物は不明だ。当局は、事件の全容解明に全力を挙げてもらいたい。

看過できないのは、北朝鮮が遺体の早期引き渡しを要求するなど、露骨な捜査妨害を試みたことだ。その結果、マレーシアとの対立が先鋭化している。

北朝鮮の駐マレーシア大使は、「政治目的の捜査だ」と非難した。マレーシア政府は「捜査は国内法に基づき公正に行われている。侮辱だ」と反論し、駐北朝鮮大使を召還する事態に発展した。

朝鮮中央通信は、北朝鮮犯行説は韓国が台本を書いた「陰謀」だと喧伝(けんでん)した。客観的な根拠は何も示していない。

自国に嫌疑がかかると、他国に難癖をつけて責任逃れを図る。これは北朝鮮の常套(じょうとう)手段である。

マレーシアは1973年に北朝鮮と国交を樹立した。ビザなし渡航を許し、外貨稼ぎが目的の労働者も受け入れていた。

こうした寛容な姿勢が仇(あだ)となり、北朝鮮工作機関の活動拠点として利用されている。対北朝鮮政策の見直しが急務だろう。

自国民が逮捕されたベトナムとインドネシアも、北朝鮮の伝統的な友好国だ。不信感が他の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国に広がるのは避けられまい。

ヒトやモノの移動規制が甘い東南アジアは、核・ミサイル開発を巡る国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁の抜け穴になっているとの指摘がある。

ASEAN各国は、今回の事件を機に、対北包囲網の強化に積極的に協力せねばならない。
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2017年02月23日

[読売新聞] 豊洲百条委設置 都議選への思惑が先行気味だ (2017年02月23日)

政治的な駆け引きに振り回されることなく、市場移転問題の判断材料にもなる有益な議論と調査の場にしたい。

東京都議会が、築地市場の移転先が豊洲市場になった経緯などを検証する百条委員会を設置した。全会派が共同提案し、即日可決された。

焦点となるのは、東京ガスの工場跡地が移転先に決まった過程の解明だ。小池百合子知事も定例会冒頭の施政方針演説で、築地市場の移転問題によって「都政の透明化が問われる」と強調した。

用地購入時に知事だった石原慎太郎氏は、小池氏からの質問書に「記憶にない」などと回答した。小池氏が指摘するように、納得できる内容とは言えまい。

土壌汚染が判明していた用地の取得については、石原氏に購入費を賠償させるよう、住民が都を相手取り提訴した。小池氏は「石原氏に賠償責任はない」という都の従来の方針を再検討している。

都議会は市場問題の特別委員会を昨年秋に設置し、石原氏と副知事だった浜渦武生氏の参考人招致を3月に予定していた。

特別委は廃止され、石原氏らは強力な調査権限を持つ百条委で証人喚問される方向だ。証言拒否や虚偽証言には罰則がある。

豊洲市場を巡っては、極めて高い工事の落札率や、主要な建物下に盛り土が行われなかったことなど、不透明な部分が多い。問題点を検証する意義は理解できる。

気がかりなのは、7月の都議選を意識した政治的な思惑が先行していることである。

都議会で12年ぶりの百条委設置は、共産党や民進党系会派が提唱した。慎重だった自民党も公明党に続き、急きょ賛成に転じた。

千代田区長選では、小池氏が支援する現職が大勝した。小池氏が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」は、都議選で単独過半数を目指す。自民党などは、「抵抗勢力」と見られる事態を恐れて浮足立っているのだろう。

小池氏は、市場問題を都議選の争点とする構えだ。移転を推進した自民党の姿勢を問い、石原氏の責任を追及する戦略ものぞく。

市場移転問題で最も重要なのは、豊洲市場が安全かどうかを見極めることだ。小池氏には、科学的なデータに基づき、客観的に是非を判断する責務がある。

百条委は、老朽化した築地市場の安全性も調査する方向だ。選挙にらみのパフォーマンスではなく、都民の視点に立った建設的な議論を進めてもらいたい。
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[読売新聞] テロ準備罪審議 不安を煽る言説は慎みたい (2017年02月23日)

組織犯罪を起こす意思のない人には、無縁の罪だ。政府はその点を丁寧に説明すべきである。

組織犯罪処罰法を改正して創設するテロ準備罪の対象に関し、政府が衆院予算委員会で見解を示した。

一般団体であっても、「目的が犯罪を実行する団体に一変した」場合には組織的犯罪集団として罪が適用される、というものだ。

宗教法人のオウム真理教が、地下鉄サリン事件を引き起こした。安倍首相は「犯罪集団として一変したわけだから、その人たちは一般人であるわけがない」と説明した。もっともな認識である。

疑問なのは、民進党などが「一般市民は対象にならないと言ってきたことと矛盾する」と反発している点だ。「共謀罪」法案と同様、テロ準備罪も人権侵害の恐れが強いと印象付ける狙いだろう。

共謀罪と異なり、適用対象は組織的犯罪集団に限られる。罪の成立には、犯行計画に加え、資金調達など、具体的な準備行為の存在が必要となる。適用範囲がなし崩し的に拡大するかのような言説は無用な不安を煽(あお)るだけだ。

テロ準備罪の創設は、国際組織犯罪防止条約の加入に必要な法整備だ。条約は2000年の国連総会で採択され、翌年の米同時テロを経て、テロ集団やマフィアなどによる犯罪に立ち向かう国際的な礎として機能している。

既に187の国・地域が締結した。首相は「法を整備し、条約を締結できなければ、東京五輪・パラリンピックができないといっても過言ではない」と強調する。

捜査共助や犯罪人引き渡しに支障が生じかねない今の状況は、一刻も早く改善せねばならない。

野党の中には、現行法でも対処が可能だ、との声もある。果たしてそうだろうか。

大量殺人を目的に殺傷能力の高い化学薬品の原料を入手したり、航空機テロのために航空券を予約したりした場合は、現行法の予備罪を適用できない恐れがある。

重要インフラの誤作動を狙ってコンピューターウイルスの開発に着手した場合には、未遂段階で取り締まる罪が存在しない。政府は、こうしたケースを想定する。

金田法相は、一般団体が重大犯罪を1回だけ実行することを決定しても、「組織的犯罪集団にはあたらない」との見解も示す。誤解を招かない説明が求められる。

政府は、3月上旬にも改正法案を国会に提出する。国民の安全を守るため、法の穴をなくし、重大犯罪の芽を摘まねばならない。
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2017年02月22日

[読売新聞] 竹島の日 「領土」認識を広く共有したい (2017年02月22日)

竹島が日本固有の領土であるという認識を、より多くの国民が共有し、世界に発信する。こうした取り組みが、竹島問題の解決に欠かせない。

島根県の第12回「竹島の日」記念式典がきょう、松江市で開かれる。22日は、1905年に日本が竹島を島根県に正式編入した日だ。2005年に県条例で竹島の日と定められた。

政府は、領土問題を担当する務台俊介内閣府政務官を派遣する。政務官の式典出席は5年連続だ。日本の領土・主権に関する啓発事業は本来、政府の役割である。政府は、地元自治体の式典を継続的にきちんと支援すべきだ。

日本は17世紀半ばには、竹島の領有権を確立した。第2次大戦後も、日本の領土として扱われてきた。しかし、1952年に韓国が李承晩ラインを一方的に設定し、力による現状変更を行って以来、不法占拠を続けている。

竹島が歴史的にも国際法上も、我が国の領土なのは明らかだ。

文部科学省は14日公表した小中学校の学習指導要領改定案の社会科で、竹島や尖閣諸島が日本固有の領土だと初めて明記した。

従来は、教科書作成の指針となる解説書の記述にとどまり、法的拘束力がなかった。指導要領の内容に格上げした意義は大きい。

領土教育の充実を通じて、国民全体が竹島などの問題に関心を持ち、正確な史実に基づく知識を身につける必要がある。無論、領土問題の解決は簡単でないが、健全な世論形成を着実に進めたい。

容認できないのは、韓国側が最近も、竹島の不法占拠を強化する動きを重ねていることだ。

昨年8月、超党派の国会議員団の計10人が竹島に上陸し、示威活動を実施した。今年1月には、慰安婦を象徴する少女像を竹島に設置するための募金活動を地方議員らが行った。韓国軍も竹島周辺海域での訓練を恒常化している。

来年2月に予定される平昌冬季五輪の組織委員会ホームページが、竹島を「独島」と表記し、「韓国最東端の領土」などと記述していることも発覚した。

スポーツの祭典に領土問題を持ち込むのは禁じ手だ。岸田外相が17日の日韓外相会談で修正を求めたが、韓国側は応じていない。

韓国は重要な隣国で、北朝鮮の核・ミサイル問題などでは緊密な協力が求められる。しかし、竹島問題で安易な妥協はあり得ない。韓国側の身勝手な行動には、抗議や懸念表明を行い、平和的解決を粘り強く追求せねばならない。
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[読売新聞] 文科省天下り 順法意識の欠如が目に余る (2017年02月22日)

組織ぐるみの違法な天下りのあっせんが、恒常的に行われていた。文部科学省の順法意識の欠如は、目に余る。

再就職あっせん問題で文科省が設置した調査班が、中間報告を公表した。新たに17件を国家公務員法違反と認定した。政府の再就職等監視委員会が違法性を認めた分と合わせると、違反事案は計27件となった。

既に判明している早稲田大などに加え、上智大や岐阜大などが、あっせん対象となっていた。

依願退職した前次官が、次官在任中に違法なあっせんに関与していたことも判明した。16人の処分が検討されている。

問題なのは、OBの嶋貫和男氏を調整役とするあっせんについて、人事課職員が引き継ぎ書を作成していたことだ。

OBを介在させて、現役職員によるあっせんを禁じた国家公務員法の規制をすり抜ける仕組みを維持するためだった。あっせんを「業務」の一環として行っていた実態が裏付けられたと言える。

無論、官僚の再就職が、一律に非難されるものではない。在職中に培った知見が、企業や大学などにとって貴重な戦力となるケースは少なくない。

ただ、所管する業界への再就職には、慎重な対応が求められる。文科省は大学の補助金や設置認可に強い権限を持つ。大学側が見返りを期待することも否めまい。

国家公務員法が天下りに規制を設けているのは、癒着の温床となるのを防ぐためだ。ルールを蔑(ないがし)ろにした文科省の責任は重い。

調査では、嶋貫氏の天下り先に関わる大学設置審査の情報が、文科省内で不適切に扱われていたことも判明した。

嶋貫氏を学長予定者とする私立大の設置審査について、認可の見通しが厳しいことを、当時の高等教育担当の審議官や職員が人事課職員に伝えて、助言を行った。担当部署で厳格に管理すべき情報の事実上の漏えいである。

調査班が「審査の信頼性を大きく損なう」として、国家公務員法が禁じる信用失墜行為にあたると判断したのは当然だ。

別のOBが調整役を務めた事例も、調査で明らかになった。脱法的な行為が広がった背景には、天下りに対する認識の甘さや感覚のまひがあるのではないか。

文科省は3月末に最終報告をまとめる。全職員への書面調査などで全容を解明するとともに、再発防止のために、抜本的な意識改革を急がねばならない。
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2017年02月21日

[読売新聞] 「退位」各党聴取 一代限りか制度化で溝がある (2017年02月21日)

国民の多くが納得できる成案を得るために、各党は真摯(しんし)に議論を進めてもらいたい。

天皇の退位に関する問題で、衆参両院の正副議長が各党・会派から意見聴取を行い、議論が始まった。

天皇陛下の退位には、全党が理解を示した。意見が割れたのは、皇室典範を改正して、将来の天皇にも適用される恒久的な退位制度を創設することの是非だ。

自民党は、制度化に必要な要件の設定は、極めて困難だと主張した。「退位は一代に限った対応とするのが望ましい」という意見も提示した。特例法の制定を念頭に置いたものだ。

仮に、天皇の意思を退位要件とすると、「天皇は国政に関する権能を有しない」と定めた憲法4条に違反しかねない。こうした理由で、制度化に否定的な自民党の姿勢には、うなずける面もある。

公明党は、天皇の終身在位制は維持されるべきだとしつつ、特例法での対応を支持した。

民進党は、皇室典範に「天皇はその意思に基づき、皇室会議の議により、退位することができる」との規定を設けるよう求めた。

憲法2条が、皇位継承は「皇室典範の定めるところ」によると規定していることに照らし、一代限りの特例法は「違憲の疑い」があるとの見解も示した。共産党も皇室典範の改正を主張している。

自由党は、皇室典範改正を容認する一方で、「本来、摂政を置くことが望ましい」と強調した。

衆参両院の正副議長は、3月中旬までに国会としての意見を政府に提示する。政府は、有識者会議の提言も参考にして、関連法案を今国会に提出する方針だ。

憲法は、天皇の地位を「国民の総意に基づく」と定める。退位に関しても、多くの党の合意により、案をまとめることが望まれる。各党が歩み寄る道筋をつけるのが、正副議長の役割だろう。

自民党は「憲法及び皇室典範と立法措置の関係を明確にする必要がある」とも言及している。

民進党が指摘する憲法上の問題に配慮し、皇室典範の付則に特例法の根拠規定を新設する案を示唆したものだと言えよう。検討に値するのではないか。

民進党内には「妥協すべきではない」という強硬論もある。議論を前に進めるには、互いの意見に耳を傾ける姿勢が重要である。

意見聴取では、皇位の安定的継承の議論を求める声もあった。退位の問題とは別に、女性宮家の創設なども今後、検討すべきだ。
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[読売新聞] MRJ納入延期 いつまで視界不良が続くのか (2017年02月21日)

日本の製造業の裾野を広げる国産初のジェット旅客機がまた、つまずいた。開発体制の早急な見直しが求められる。

三菱重工業が開発中の「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の初号機の引き渡しが、さらに2年先送りされた。延期は今回で5度目である。納入は、当初予定より7年遅れの2020年半ばまでずれ込む。

国産旅客機開発は、プロペラ機「YS―11」以来、半世紀ぶりで、トヨタ自動車など大企業や政府系金融機関も出資する一大プロジェクトだ。部品供給で中小企業の参画も促し、航空機を製造業の新たな柱に育てる狙いがある。

繰り返される納入の延期は、日本のもの作りへの期待と信頼を裏切ることになりかねない。

宮永俊一社長は、延期の理由について「開発前に、安全性のリスク分析を、もう少し勉強すべきだった」と語った。

社外から招いた米航空機業界出身者の指摘を受け、機体の安全性を高めるための設計変更が必要になったと判断したという。

MRJは航空当局の型式証明を得るため、飛行試験を米国で始めていたが、開発が最終段階を迎える中で、重大な設計変更に追い込まれた。これまでの開発過程で十分なチェックが行われていなかった、と言わざるを得ない。

三菱重工は、米ボーイングなど旅客機メーカーへの部品供給で豊富な実績を誇る。だが、部品の約7割を海外から調達し、自ら主体となって設計・製造を手がけるのはMRJが初めてだ。

開発の迷走を招いたのは、三菱重工が、過去の航空機事業に関する技術や経験を過信したからではないか。組織の縦割り主義による弊害も要因とみられる。

三菱重工は、子会社の三菱航空機が主導するMRJ開発を宮永社長の直轄事業とし、防衛・宇宙部門トップを子会社の新社長に送り込んだ。遅きに失した感はあるが、受注を優先する体制から開発重視に切り替える狙いは分かる。

三菱重工は、造船部門でも工事の遅れで2000億円超の損失を計上したばかりだ。海外から受注した大型豪華客船の建造費が当初見込みより膨らんだ。

社内調査は「大型客船の建造実績に基づく、楽観的で拙速な判断が原因だ」と総括した。

造船、航空機と主力部門で相次ぐ納入延期は、リスク管理の甘さを露呈している。MRJのテコ入れを機に、社内風土の抜本的な見直しに取り組むべきである。
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2017年02月20日

[読売新聞] 米・イスラエル 関係改善を中東和平に繋げよ (2017年02月20日)

イスラエルとパレスチナによる中東和平をどう実現するのか。米国の役割が問われよう。

トランプ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が初の首脳会談を行った。オバマ前政権が進めたイラン核合意を巡り、冷え込んでいた関係を改善することで一致した。

トランプ氏は記者会見で、歴代米政権が20年来、目標としてきた「2国家共存」に固執しない意向を示した。「2国家と1国家の両方を検討しているが、両当事者が望む形が好ましい」と述べた。

「2国家共存」は、将来樹立されるパレスチナ国家がイスラエルと平和的に併存する構想だ。国際社会は、この案を後押しする。安倍首相も衆院予算委員会で「わが国が支持する方針に変わりはない」と強調した。

トランプ氏がどこまで熟慮したかは定かではないが、イスラエル寄りの姿勢を明示し、和平プロセスを活性化させたいのだろう。

ネタニヤフ氏は、連立政権内の強硬派から「2国家共存」案の放棄を迫られ、苦しい立場にある。記者会見でも「新しい方策が必要だ」と主張した。

注目すべきは、トランプ氏が過去の偏った発言を修正し、現実的な考えをのぞかせたことだ。

米大使館をテルアビブからエルサレムに移転させるとの公約は、「慎重に検討している」とトーンダウンさせた。イラン核合意は「最悪」としつつ、「破棄」には触れなかった。中東の不安定化を招く恐れを理解したのだろう。

パレスチナ占領地で、ネタニヤフ政権がユダヤ人入植地の建設を拡大していることに対しては、「少し自制してほしい」と、直接苦言を呈した。「和平交渉成功のために、両当事者は妥協しなければならない」と注文も付けた。

交渉は、入植活動が阻害要因となり、頓挫したままだ。ネタニヤフ氏は、米国との強固な関係を基に強硬派を抑え込み、交渉再開に繋(つな)げねばなるまい。

トランプ発言への反発により、イスラエルを標的とするテロの増加が懸念される。パレスチナ自治政府のアッバス議長は、「2国家共存」の堅持を明言する一方、米国と協力する用意を表明した。

パレスチナを支持するサウジアラビアやヨルダンなどのアラブ諸国も静観している。敵対するイランへの対処やテロ組織掃討などで、米・イスラエルとの連携を視野に入れているのではないか。

アラブの国々を和平プロセスに関与させる努力が欠かせない。
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[読売新聞] 農水産品の輸出 官民で日本の「食」売り込もう (2017年02月20日)

安全で品質の高い日本の農水産品をもっと海外に届けたい。

農林水産物・食品の2016年の輸出額は、前年比0・7%増の7503億円だった。

4年連続で過去最高を更新したが、前年まで続いた2ケタの伸びがほぼ横ばいにとどまった。

水産物の不漁が響いた。輸出の1割近くを占めるホタテが台風などの被害を受け、カツオ・マグロの水揚げも振るわなかった。

農水産業は自然条件に左右される。家族経営が多く、生産販売態勢が十分ではない問題もある。

輸出を着実に伸ばすには、売れる品目を増やし、安定供給する仕組みの構築が欠かせない。

政府は、輸出額を19年に1兆円に引き上げる目標を掲げる。山本農相は、その達成が「今の歩みではなかなか難しい」と認める。

テコ入れ策として、海外での宣伝、輸出業者の支援、物流対策などを挙げる。いずれも重要だ。

輸出振興につながる様々な試みはすでに始まっている。

シンガポールの百貨店では、日本政府の支援を受けた農水産品ショップが消費者の反応を探る。日本貿易振興機構(ジェトロ)は日本の生産者に海外の買い付け業者を紹介する事業を手がける。

こうした地道な取り組みを、点から面に広げる必要がある。

輸出が伸び悩む中でも、和牛が人気の牛肉や、和食ブームを反映した緑茶や日本酒などは好調だ。今後も新たな海外需要の掘り起こしがカギを握るだろう。

政府や自治体、企業が役割分担し、様々なルートでの日本ブランドの売り込みが求められる。

多くの国内農家が手がけるコメは、ほとんど輸出されていない。昨年の輸出額は27億円と、全体の0・4%にすぎない。

割高な高級米が中心で、新興国などで敬遠されると指摘されている。生産者も、手間のかかる輸出用米を作るより、補助金の手厚い飼料用米に目が向くのだろう。

農協の商社機能を担うJA全農は、輸出の専門部署を設けるという。先進的な農家の輸出ノウハウを共有し、生産者の支援に力を尽くしてもらいたい。

世界的にみると、日本の農産物輸出額は13年時点で60位だ。上位を目指すには、食文化と食品を一体的に売り込み、10位に食い込むイタリアの戦略が参考になる。

日本農業は、就業者の減少と高齢化に歯止めがかからない。輸出振興で「稼ぐ農業」を実現することが活性化への一助となろう。
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