2020年04月05日

[読売新聞] 介護保険20年 制度の維持へ不断の見直しを (2020年04月05日)

介護保険制度は創設から20年を迎え、大きな転換期に差しかかっていると言えよう。

かつて介護は家族で担ってきたが、核家族化が進み、身内頼みの介護は限界になった。このため、2000年度にスタートしたのが、社会で介護を支える介護保険制度だ。

利用者は要介護の認定を受け、状態に応じて入浴や食事などのサービスが提供される。財源は保険料と公費で賄われ、利用時の自己負担は低く抑えられている。

制度が定着し、多くの人が多様な支援を受けられるようになったことは評価できる。

ただ、急速な高齢化の進展で、介護を必要とする人はこの20年間で約3倍に膨らんだ。高まるニーズにサービスを提供する介護人材の確保が追いつかない。

読売新聞の調査では、主要自治体の首長の約9割が今後10年間、制度を維持するのは難しいと回答した。その理由として多くの首長が人材不足を挙げている。

人手が少ない介護現場では、職員一人ひとりの負担が重くなりがちだ。このため、職員が離職し、サービスの質が低下する悪循環に陥るケースも多い。介護の担い手を増やすことが急務である。

他の業種に比べて低い給与水準を引き上げるなどの待遇改善が欠かせない。利用者の状態をスマートフォンに記録するといった業務の省力化を通じて、働きやすい環境を整える必要がある。

介護ニーズの膨張に伴い、保険料負担は重くなる一方だ。65歳以上の人が払う月額の保険料は、当初は2911円だったが、直近では5869円まで上がっている。このまま増え続ければ、保険料を支払えない人も出てこよう。

費用負担を抑えるには、サービス内容の見直しが不可欠だ。

現在は、軽度者向けの家事援助まで介護保険サービスで行っている。これらを市町村の事業に移すことが求められる。

家事援助の担い手にボランティアを活用すれば、費用を抑制する効果が期待できる。地域住民が助け合う「共助」の力を高めていくことが重要になる。

気がかりなのは、政府の介護保険制度改革のスピードが遅いことである。経済的余裕のある高齢者にはサービス利用時に相応の自己負担を求めることも有力な選択肢の一つだが、こうした見直しは実現のめどがたっていない。

制度を維持し、老後の安心を支え続けるためにも、課題の先送りは許されまい。
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[読売新聞] 自衛隊の活動 検疫や輸送支援の態勢整えよ (2020年04月05日)

感染症対策の多様な任務を円滑にこなせるように、自衛隊は態勢を整えなければならない。

新型コロナウイルスの水際対策強化のため、河野防衛相が自衛隊に災害派遣命令を出した。医官や看護官が成田空港と羽田空港で、感染の有無を調べるPCR検査に携わる。

帰国者を待機施設などに搬送する業務を含め、自衛隊員約120人が派遣されている。

政府は、入国を事実上拒否する対象を計73か国・地域に拡大した。この地域から帰国する日本人らにウイルス検査を行う。

帰国者が感染源となるケースが相次いでいる実態を踏まえれば、自衛隊の協力で、検査態勢を充実させることは重要だ。

自衛隊法は、人命や財産の保護を目的とした災害時の派遣を規定している。通常は都道府県知事や関係機関の要請に基づいて行われるが、今回は緊急を要するため、政府内の調整を経て自主派遣の形式を取ったという。

集団感染が起きたクルーズ船への対処や、中国から帰国した邦人らの支援で、1か月半で延べ4900人の隊員が、検査の支援や物資の輸送などにあたった。

自衛隊が機動力を生かし、感染症の蔓延(まんえん)という国の危機に対処する意義は大きい。自治体や関係機関と緊密に連携して、適切に任務を遂行すべきである。

検疫作業を続けていく上で欠かせないのは、マスクや防護服などの備品を十分に確保することだ。患者と接する隊員の体調管理にも気を配る必要がある。

政府は、感染症にかかわる業務に就く自衛官に対し、特別手当を支給する。過酷な任務であることを考慮したのだろう。

政府が緊急事態宣言を発出した場合には、患者の搬送や医薬品など緊急物資の輸送、消毒作業への協力、医療・生活支援といった活動が想定される。

自衛隊は様々な事態を想定し、緊急事態宣言下での活動計画を練り上げねばならない。全国の陸、海、空の部隊を弾力的に運用することが求められる。

都市部では、感染者の増加が続いている。患者の受け入れ能力が限界を超え、医療崩壊が起きることを懸念する声は多い。

防衛省は、防衛医科大病院と、全国に16の自衛隊病院を持つ。医官は約900人、看護官は約1000人いる。東京の自衛隊中央病院は既に、感染者を入院させている。事態の推移を見極めつつ、受け入れ拡大を検討すべきだ。
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2020年04月04日

[読売新聞] 緊急事態宣言 「都市封鎖」との誤解をとけ (2020年04月04日)

国が緊急事態を宣言した場合に、どういう措置がとられるのか。政府は事前に分かりやすく説明し、国民の理解を求めていくべきである。

新型コロナウイルスの感染が急拡大すれば、安倍首相は、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき、対象区域を定めて緊急事態を宣言する可能性がある。

注意すべきなのは、中国・武漢市のような都市封鎖が想定されているわけではないことだ。欧米などで実施されている外出禁止や店舗の閉鎖も行われない。

緊急事態宣言が発令されると、知事は住民に外出自粛を要請できるが、強制力はない。

学校や大規模な集会場などの使用制限や停止を要請し、応じない場合は指示できる。ただ、罰則はなく、小規模な施設や店は基本的に対象外だ。直ちに鉄道や道路の交通が止まるわけではない。

特措法とは別に、感染症法は、汚染された場所で交通の制限・遮断を可能としているが、あくまで消毒作業のためだ。

多人数の会食や不特定多数が集まるイベントは避けねばならない。とはいえ、日常の買い物や散歩などは差し支えなかろう。

先月は、東京都の小池百合子知事の外出自粛要請を受け、各地で食料品の買いだめが起きた。外出が厳しく制限されるのではないかと不安にかられたとみられる。

政府と自治体は、緊急事態宣言に伴う措置について、あらかじめ周知し、いざという時に混乱を生じさせないことが重要だ。

小売りや物流などの業界とも連携し、食品や日用品の安定供給を維持しなければならない。

一方、宣言で知事に強い権限が認められる部分もある。

例えば、臨時医療施設を開設するため、土地や建物を所有者の同意がなくても使用できる。医薬品などの売り渡しを製造業者らに要請でき、従わない場合は強制収用も可能になる。重症者を救うための緊急措置と言えよう。

緊急事態宣言が出る段階に至れば、医療体制の整備が最優先課題となる。東京都は、病床を確保する努力を続ける必要がある。

厚生労働省は、重症者を治療できなくなるのを防ぐため、軽症者は自宅や宿泊施設で療養する仕組みに切り替える指針を示した。

東京都は、自宅療養が難しい軽症者を受け入れる宿泊施設を準備している。民間ホテルなどを一棟借り上げる方針だ。前例のない措置だけに、関係機関と十分に調整することが求められる。
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[読売新聞] 高松塚壁画修復 教訓を文化財保護に生かせ (2020年04月04日)

かけがえのない遺産が無事、後世へと受け継がれることになった。

奈良県明日香村にある高松塚古墳(7世紀末?8世紀初め)の極彩色壁画(国宝)が、約12年にわたる修復作業を終えた。

カビで黒ずんでいた「飛鳥美人」と呼ばれる女子群像や、輪郭の描線が消えかけた四神の白虎などがよみがえった。発見当時の鮮やかさを完全に取り戻せなかったのは残念だが、ひとまず危機的な状況を脱したことに安堵(あんど)する。

高松塚の壁画は48年前に見つかった。「考古学最大の発見」と言われて、古代史ブームを巻き起こした。だが、2004年にカビなどによる劣化が発覚した。

文化庁は古墳の石室を解体し、1300年間、墳丘内にあった壁画を石壁ごと取り出した。修復施設に移し、紫外線や酵素を使う新技術で汚れを除去した。下地の漆喰(しっくい)層を膠(にかわ)などで補強した。

関係者の技術と根気が、困難な事業を完遂させたと言える。

壁画は当面、新設する専用施設で保管・公開される方向だ。

遺跡には、現地保存の原則がある。高松塚の壁画についても「古墳の墳丘や石室と一体で残すべきだ」という考え方は根強い。

しかし、古墳に戻せば、再びカビなどの生物被害が生じる可能性が否定できない。そうした事態を回避する有効策がない現状では、施設での保管は妥当だろう。

同じく明日香村で見つかったキトラ古墳壁画は、古墳そばの施設に保管され、定期的に公開されている。開館から3年余りで入館者は50万人を超えた。

高松塚の壁画も修復中、作業施設の様子は随時公開され、大勢の歴史ファンらが見学した。新たな保存施設を、国民が文化遺産に触れる貴重な場としたい。

奈良県や明日香村は、二つの古墳壁画など周辺の史跡の世界遺産登録を目指している。政府も地元の意向に耳を傾け、壁画のより良い公開方法を検討してほしい。

忘れてならないのは、高松塚の壁画の劣化が、文化庁の怠慢が招いた人災だったことである。

発見後、修理で使った薬剤や多数の人の出入りの影響で環境が激変し、大量のカビが発生した。

現場では早くからカビや退色に気づきながら、文化庁は十分な対策を講じなかった。点検中に壁画を損傷させる事故が起きた時には隠蔽(いんぺい)まで行った。

文化財保護史に残る失策を教訓とし、新たな壁画が見つかった際の対処に生かさねばならない。
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2020年04月03日

[読売新聞] 専門家会議見解 都市部の医療体制守る対策を (2020年04月03日)

新型コロナウイルスについて、政府の専門家会議が新たな見解をまとめた。都市部を中心に感染者が急増しているという厳しい認識を、重く受け止めねばならない。

見解のポイントは、感染状況に応じて地域を三つに区分し、それぞれの対応策を示したことだ。

東京や大阪のように感染者が増えている「感染拡大警戒地域」では、10人以上が集まるイベントや、家族以外の多人数の会食を控えてもらう。増加が緩やかな「感染確認地域」では、50人以上の屋内の集会を避けるよう求めた。

一方、直近1週間で感染者が確認されていない「感染未確認地域」では、屋外でのスポーツ観戦などについて、感染対策を講じたうえで容認する考えを示した。

流行状況でメリハリをつけたことで、自治体が対策を考えやすくなると期待される。

専門家会議が多人数の集まりを回避するよう再三、求めているのは、感染者の急増による医療崩壊の危機が迫っているためだ。

欧米各国ではすでに本格的な感染爆発が起き、数千人以上の死者が出ている。日本はまだ、こうした状況には至っていないものの、病院のベッドが不足し、治療が必要な患者を受け入れられなくなる事態が危惧されている。

特に注意を要するのが、専門家会議が具体名を挙げた東京、大阪、神奈川、愛知、兵庫の5都府県である。病床が埋まりつつあり、医療体制の整備が急務だ。

域内で病院の役割を分担し、感染者を治療する病院を確保する必要がある。感染者と一般患者の両方を診察する病院では、エリアを区分して感染を防ぐ措置を、早急に講じることが欠かせない。

今後、入院は重症者を中心とし、軽症者や無症状の人には、自宅療養や、病院以外の宿泊施設での待機が求められよう。厚生労働省は切り替えの指針を示すべきだ。

現在、感染者が退院するには2回の検査で陰性になる必要があるため、入院が長引く例が多い。病床数が逼迫(ひっぱく)した場合、この基準を緩和し、回復した患者がより早期に退院できるようにすることも検討課題となろう。

院内感染の対策も怠ってはならない。院内感染で病院全体が閉鎖されれば、地域医療全体に及ぼす影響は計り知れない。

今回のような大規模流行に対処するには、自治体単独では限界がある。政府は、専門家会議の知見を基に自治体と連携して、適切な対策を打ち出してもらいたい。
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[読売新聞] 休校の継続 子供の不安最小限に抑えたい (2020年04月03日)

感染防止を徹底しながら、子供たちの学習環境を整える。教育現場には難しい取り組みが求められていると言えよう。

東京都と大阪府が、高校や中高一貫校などの休校措置を大型連休最終日の5月6日まで延長する。新型コロナウイルスの感染者が連日のように、多数確認されているためだ。

高校に通う生徒は、通学に電車やバスなどの公共交通機関を利用するケースが多い。休校の継続には、感染リスクを少しでも減らしたいという狙いがあろう。

都は公立の小中学校にも同様の対応を求めている。多くの区教育委員会が応じる見通しだ。

一斉休校が始まってから1か月が経過した。子供たちは友人に会えず、遊ぶ機会も減ったことで、ストレスを抱えている。生活のリズムも崩れがちだ。

新学期から学校に通えると期待していただけに、休校継続の決定に少なからぬショックを受けた子供もいるに違いない。

特に新たな年度がスタートする4月は、児童生徒にとって大切な時期だ。新入学の1年生は新しい環境や仲間に慣れる必要がある。クラス替えが行われ、大規模な教員異動の直後でもある。

子供たちの不安を最小限に抑える工夫が欠かせない。

休校を継続する世田谷区の区立小中学校は、3日ごとに学年別の分散登校日を設け、学習指導を行う。登校時間を半日とし、一つのクラスを複数の教室に分けるなどの感染防止策を講じる。

こうした学校生活を維持する試みを通じて、子供たちが少しでもスムーズに新しい学習環境に溶け込めるようにしたい。

休校の継続で授業が遅れるのも気がかりだ。大学受験や高校受験を控える高校や中学の3年生は心配なことだろう。学習目標を示して、課題を与えたり、オンライン教材を活用したりして、家庭学習を支えることが大切だ。

各学校には年間の授業計画の練り直しや、行事日程の組み替えが求められる。夏休みなど長期休暇を削って授業時間を捻出することも選択肢の一つになる。

教委や学校はできる範囲で今後の見通しを示し、保護者や子供を安心させてほしい。

国内の感染状況は地域によって差があり、感染者が少ない自治体では、4月からの学校再開を予定しているところも多い。再開にあたっては、子供たちに毎日の検温や手洗いの励行などをしっかり指導しなければならない。
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2020年04月02日

[読売新聞] 日銀3月短観 さらなる悪化に備えた対策を (2020年04月02日)

企業心理が急速に冷え込んでいる。雇用の維持を最優先に、官民が協力して、この非常時を乗り切りたい。

日本銀行は3月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、企業の景況感を示す業況判断指数は、大企業、中小企業ともに落ち込んだ。

大企業では、製造業が前回より8ポイント低いマイナス8と、7年ぶりの低水準となった。非製造業は12ポイント悪化の8で、下落幅はリーマン・ショック後の2009年3月調査(22ポイント)以来の大きさだ。

今回の短観は3月11日までに7割の企業が回答している。その後、欧米で生産停止や外出制限が相次いだ影響が十分織り込まれていない可能性がある。今後、企業心理の一段の悪化は避けられまい。

業種別では、「宿泊・飲食サービス」が70ポイント急落し、マイナス59と最悪の水準になった。

外出自粛の広がりや訪日客激減による影響の大きさが、数字からも裏付けられたと言えよう。

娯楽施設や旅行会社などが含まれる「対個人サービス」は31ポイント、航空会社などの「運輸・郵便」も24ポイントそれぞれ悪化した。

宿泊・飲食業では、非正規従業員が全体の4分の3を占める。企業が目先のコスト削減に走り、非正規の雇い止めが広がれば、社会不安が高まりかねない。

政府や金融機関は、収入が急減した企業や個人事業者の資金繰りなどを支援し、倒産と失業者の増加防止に努めねばならない。

心配なのは、欧米経済が停滞を余儀なくされていることだ。自動車など輸出企業への打撃はこれから本格化するのではないか。

例えば、国内の主要自動車メーカー7社の取引企業は、下請けや孫請けを含め3万社近くに上る。企業心理が一段と冷え込めば、幅広い企業の設備投資や採用の計画にマイナスに作用しよう。

まずは20年度補正予算案の取りまとめと成立が急がれる。事態の収束までにどれだけ時間がかかるのか見通せない。政府は長期戦を覚悟し、必要に応じて追加措置を的確に講じるべきである。

経団連は経済対策に関する緊急提言で、企業側も雇用維持に努める方針を強調した。特に、新卒採用については「第二の就職氷河期世代を作らないよう、全力を尽くす」と明記した。

採用や内定を取り消す動きが出ている。経営体力のある企業は可能な限り、提言の内容を着実に実行してもらいたい。
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[読売新聞] 地方議員の確保 地域事情踏まえ手立て講じよ (2020年04月02日)

地方議員を志す人が不足しているのは、深刻な問題だ。多様な人材を幅広く議会に呼び込む方策を講じねばならない。

市町村議員のなり手不足の解消を検討してきた総務省の研究会が、論点整理をまとめた。議員の兼業制限の緩和を打ち出したのが特徴だ。

地方自治法は、自治体の業務を請け負う個人事業主や法人の役員が議員になることを禁じている。利益誘導を防ぐ狙いである。

過疎化の進む村などでは、公共事業や資材調達で自治体と契約を交わす人が多いのも事実だ。

論点整理を踏まえ、首相の諮問機関である地方制度調査会は、自治体との取引が少ない法人役員などについては、立候補を認める方向で検討しているという。

自治体との取引に関する適切な情報公開など、行政の事務執行の公正さを担保する仕組みが欠かせない。政府は、具体的な制度設計を丁寧に進める必要がある。

研究会は、会社員が出馬する際に、解雇や配置転換などの不利益を被らないよう、労働法制を見直すことを求めた。落選しても元の職場に戻れるのなら、出馬を決断しやすくなるだろう。

自民党では、町村議選の選挙運動の一部を公費で負担する案が出ている。候補者が選挙カーやポスターの費用を負担している現状を改める。立候補しやすい環境を整えることは検討に値しよう。

地方議会の運用を見直していくことも重要である。

育児休暇や託児所の整備を進め、議員活動と家庭を両立できるようにすることが大切だ。夜間・休日の議会開催といった柔軟な運営も広げたい。地域の実情を踏まえて検討を急ぐべきだ。

市議会議員の平均報酬月額が約40万円なのに対し、町村議員は20万円ほどだ。これで生計を立てるのは容易ではなかろう。町村議会は、住民の理解を得ながら待遇改善の議論を進めねばならない。

人口減少や高齢化が進む中、地域の特性を生かした街づくりが求められている。地方議員には、行政を監視し、政策の優先順位を判断していく重要な役割がある。

昨春の統一地方選では、約4分の1の町村議選が無投票となった。今年に入っても、全国各地の地方選で無投票が相次いでいる。地方政治を志す人材が減れば、議員の質の低下を招こう。

自治体ごとに、適正な議員定数は異なる。人口規模や政策課題を勘案し、実情に合った地方議会の姿を模索していくべきだ。
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2020年04月01日

[読売新聞] 再審無罪 冤罪生んだ警察の「証拠隠し」 (2020年04月01日)

警察も検察も、真相の究明に背を向けたと批判されても仕方がない。

滋賀県東近江市の病院で看護助手だった西山美香さんの再審の判決で、大津地裁が無罪を言い渡した。入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとして、殺人罪で懲役12年が確定し、服役を終えていた。

判決は、新証拠となった鑑定書などから、自然死の可能性を認めた。「そもそも患者が何者かに殺害されたという事件性すら証明されていない」との指摘は重い。

当初の裁判で有罪の決め手になった自白について、任意性を否定した。西山さんは軽度の知的障害があり、取り調べた警察官に恋愛感情を持っていた。判決は「やってもいない殺人を自白することはありうる」と結論づけた。

迎合しやすい傾向がある容疑者の取り調べには、細心の注意が必要だ。西山さんの特性に乗じたかのような誘導的な取り調べで、虚偽の自白を誘発した警察の捜査は強い非難に値する。

さらに問題なのは、再審が始まるまで、警察が検察に多数の証拠を渡していなかったことだ。

この中には、故意に呼吸器を外したことを否定する西山さんの供述を記録した書面や、西山さんの逮捕前から解剖医が自然死の可能性に触れていたことを示す捜査報告書が含まれていた。

仮にこうした証拠を早くから検察が把握し、十分吟味していれば、西山さんは逮捕も起訴もされなかった可能性が高い。

有罪立証に不利な証拠を警察が隠蔽(いんぺい)していたのなら、犯罪にも相当する悪質な行為である。

再審における検察の姿勢も看過できない。当初は有罪を主張すると表明しながら、その後、何の説明もなく、立証を断念した。把握していなかった証拠が警察から送られてきたため、有罪の維持が困難と考えたのだろう。

本来であれば、再審段階で確認した証拠を踏まえて、事件をきちんと再検討すべきだった。その上で、有罪が立証できなければ、その理由をつまびらかにし、無罪の論告をするのが筋である。

それをしなかった検察はあまりに不誠実であり、「公益の代表者」の名に値しない。

判決の言い渡し後、地裁の裁判長は法廷で、「刑事司法に携わる全ての関係者が自分自身の問題として捉え、改善に結びつけていくべきだ」と語った。

冤罪(えんざい)を生んだ警察や検察はもちろん、誤判を重ねた裁判所も猛省しなければならない。
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[読売新聞] 五輪日程決定 開幕までの時間を生かしたい (2020年04月01日)

新たな目標が定まったことで、改めて大会成功に向けて前進したい。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、延期が決まっていた東京五輪は、来年7月23日に開会式を行い、8月8日に閉幕することになった。パラリンピックは8月24日から9月5日まで行われる。

国際オリンピック委員会(IOC)と政府、東京都、大会組織委員会が合意した。

ウイルス感染の終息は現時点では見通せない。春開催も検討されたが、1年程度とされた延期の幅の中で、なるべく遅い夏開催を選択した。感染の沈静化までの時間的余裕を得る意味があろう。

新たな日程は本来の日程と1日ずれただけで、当初と同じく金曜日から始まる。元の計画をおおむね踏襲できる利点がある。夏休み期間にあたるので、ボランティアも確保しやすい。

炎暑での開催は変わらないが、延期による影響を最小限に抑える現実的な日程と言える。

五輪を目指す選手たちは、再スタートを切ることになる。

既に日本代表が内定しているマラソンや卓球は、選手を変更しない方針だ。代表は本番に向けた調整に励んでほしい。

これから代表を選ぶ競技については、選考会を行うめどが立たないなど、先行きが不透明な面がある。各競技団体などは、選手の健康管理を第一にしながら、練習環境の維持に努める必要がある。

日程が決定したことで、組織委や都の準備作業が本格化する。開幕までの1年余りの時間を有効に使わねばなるまい。

従来の暑さ対策に加えて、感染症を予防する取り組みや医療従事者を会場に配置する計画などを検討していくことが大切だ。

焦点だった販売済みチケットの取り扱いについて、組織委は来夏開催でも有効とする方針を固めている。観戦できなくなる人には払い戻しに応じる。公式の再販売サイトへの出品の容認も検討する。妥当な判断だろう。

延期により発生が見込まれる追加費用を、できる限り圧縮する努力も欠かせない。

IOCは「2020年東京五輪・パラリンピック」の大会名を変えないと表明した。メダルや公式グッズなどを作り直す必要がなくなった。こうした経費を抑制する方策に知恵を絞りたい。

大会の開催は感染拡大を抑えられるかどうかにかかる。政府は各国と協調し、治療薬やワクチンの開発などに注力すべきだ。
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2020年03月31日

[読売新聞] 外国籍の子供 就学支援の態勢整備を急げ (2020年03月31日)

外国籍の子供も日本の子供と同様に、適切な教育を受けられる環境を整えることが大切だ。

文部科学省の有識者会議が、外国籍の子供への就学支援に関する報告書をまとめた。柱の一つが就学状況を把握する仕組みの制度化である。

教育委員会が義務教育年齢にあたる外国籍の子供の学齢簿を作成する。家庭に就学案内を配布し、反応がない親に対しては、個別訪問や電話で就学を促す。報告書はこうした取り組みを求めた。

現在は外国籍の子供への対応が自治体によってバラバラだ。中には学校に通っているかどうか確認していない自治体もある。

文科省は統一指針を早急に作成し、教委が就学状況をきちんと把握するよう徹底すべきだ。各教委は住民登録の担当部署と連携し、学校に通う年齢の子供たちを確実につかめるような態勢づくりを進めなければならない。

報告書が日本語指導の充実を強調したのはもっともだ。

日本人の子供たちと一緒に授業を受ける子供もいるが、日本語が不得手だと、クラスメートから離れ、別室で個別に指導を受けるケースが少なくない。担当の教員や通訳のできる民間の支援員を確保することが求められる。

外国籍の子供の母語は、ポルトガル語や中国語、フィリピンの言語など多様化が進んでいる。各地の国際交流協会などを通じて、日本語の堪能な外国人らに協力してもらうことも一案だ。

地域によっては、必要な人員が確保できない学校もあるだろう。日本語指導の支援員らを配置する拠点校を設け、周辺の複数の学校から子供を集めて授業をしたり、教員や支援員が巡回指導したりする試みを重ねたい。

外国籍の子供の高校進学をどう支援していくかも課題だ。

都道府県の半数は、日本語の習得が十分でない外国籍の生徒を対象に募集枠を設け、一般の生徒とは別に入試を行っている。試験教科の軽減や、面接・作文のみで選考する方法が多い。

外国籍の生徒のために、入試問題の漢字にルビを振るなどの配慮をしているところもある。

進学の機会を広げるとともに、入学後も丁寧な指導を続けることが期待される。

日本で働く外国人が増え、公立の小中高校に在籍する外国籍の子供は10万人を超えた。将来、日本社会を支える貴重な人材になり得るだけに、学校教育を充実させていくことが欠かせない。
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[読売新聞] 封鎖広がる世界 「自国第一」では打ち勝てぬ (2020年03月31日)

新型コロナウイルスへの対処は、一国では限界がある。全世界で封じ込めなければ、大流行の終息も、経済回復も見込めまい。今ほど国際協調が求められる時はない。

世界の感染者は70万人を超えた。米国は十数万人に達し、中国を抜いて最多となった。南アフリカやブラジル、タイなど新興国や発展途上国にも広がり始めた。

大切なのは、先進国と途上国の間で大流行が行き来する事態を回避することである。途上国の貧困地区や紛争地域は衛生環境が劣悪だ。水道設備が整っていないところでは、感染防止の基本である手洗いすら十分にできない。

国連は医療物資提供や手洗い場整備などで2200億円の資金拠出を呼びかけた。先進国は自国の状況を沈静化させた上で、途上国支援にも力を入れる必要がある。ウイルスに関する情報や治療法を共有する体制が欠かせない。

人類は過去にもペストや天然痘などの感染症と戦ってきた。社会環境は当時から激変した。交通網の発達とグローバル化、SNSでつながるデジタル時代のもとで、初めて直面する脅威だ。

人の移動の活発化によって、ウイルス拡散の速度と範囲は飛躍的に増大した。SNSを通じて偽情報が浸透しやすい。時代の変化に応じた対処法が問われている。

世界各地で入国禁止や都市封鎖が広がる。感染爆発を阻止するため、緊急措置として人の動きを止めるのはやむを得ない。だが、グローバル経済の下では、どの国にとっても、封鎖による経済や市民生活への打撃は計り知れない。

不安と恐怖は差別感情も招く。感染防止策を徹底すれば、社会の安定と活力を損ないかねない。各国共通のジレンマだろう。政府と国際機関が情報を迅速に開示し、科学的な対策を冷静に進める重要性はかつてなく高まっている。

米国には超大国として指導力を示す責務がある。トランプ大統領は現状を「戦争」と言うのなら、中国や政権批判勢力への攻撃に傾注している場合ではない。

トランプ氏が当選し、英国が欧州連合(EU)離脱を決めた2016年以降、世界の分断が深まった。国際秩序を支えるべき米欧での政治の混乱や、「自国第一」主義の拡散が、地球規模の問題に対する協調を妨げてきた。

封鎖の弊害をいかに抑え、適切な時期に「開放」するか。ウイルスとの長い戦いを通じて、世界は連帯を取り戻し、危機に共同対処する土台を築かねばならない。
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2020年03月30日

[読売新聞] 介護の感染予防 衛生管理を徹底し高齢者守れ (2020年03月30日)

新型コロナウイルスの感染が、介護現場にも広がっている。

名古屋市や兵庫県伊丹市、千葉県市川市の施設で感染が確認された。

高齢者が日帰りで食事や入浴のケアを受けるデイサービスなどの介護施設は、様々な人が出入りするため、感染拡大の場になりやすい。高齢者は感染すると重症化のリスクが高い。

高齢者の命を守るため、施設の衛生管理の徹底が欠かせない。利用者や職員の検温や、室内の換気はもちろん、機能回復訓練やレクリエーションを行う際に密集を防ぐ細心の注意が必要だ。

複数の施設の利用者やその接触者で60人以上の感染者が出た名古屋市は3月上旬、市内の施設に対して、2週間の休業を要請した。感染拡大を食い止めるための緊急的な措置だろう。

ただ、休業は、身の回りのことを自分でできない高齢者にとっては死活問題だ。体を動かす機会が減ったり、生活リズムが変わったりすることで、体調を崩す恐れもある。サービスを利用できず、家族の負担は重くなる。

名古屋市では休業要請後も、介護の必要性が高い対象者に絞ってサービスを続けた施設があった。職員が利用者の自宅を訪問したり、電話で状態を確認したりした施設もみられた。

利用者や家族の事情を踏まえた対応と言えよう。高齢者を支援する地域のケアマネジャーらが複数の介護施設と連絡を取り合い、可能な限り、代替サービスを確保することが大切である。

今後、介護施設で大規模な感染が発生した場合などには、地域の介護施設の休業が長期に及ぶケースも想定される。休業による経営悪化で施設が閉鎖に追い込まれれば、地域の介護サービスが成り立たなくなってしまう。

従業員の雇用を維持した会社に雇用調整助成金を支給する制度は介護施設にも適用される。こうした仕組みを周知し、介護施設をサポートすることが重要だ。

施設の休業に伴い、家族の介護のために出社できない人も出てこよう。介護休暇やテレワークの活用など、企業側には柔軟な対応が求められる。

千葉県の障害者福祉施設では、入所者と職員の集団感染が明らかになった。入所型の施設では、感染が一気に広がりやすい。

特別養護老人ホームでは面会制限などの対策を講じている。外部からウイルスを侵入させないよう、改めて警戒すべきだ。
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[読売新聞] 中学校教科書 深い学びにつながる活用を (2020年03月30日)

新たな教科書を有効に使い、子供たちの理解を深めることが大切だ。

来春から使われる中学校教科書の検定結果が公表された。全教科のページ数は前回の検定から平均で7・6%増えた。学習内容を削減した「ゆとり教育」時代に比べると5割増になっている。

新学習指導要領は、「主体的・対話的で深い学び」を全教科で掲げている。増ページの要因には、課題を掘り下げたり、話し合いを促したりする記述が随所に盛り込まれたことがある。

ある社会の教科書には、江戸時代の赤穂浪士の処罰を巡る、幕府の評定所や儒学者の意見を示す資料が載っている。生徒はこれらを読み取りながら、当時の人々になったつもりで、処罰を決めた理由について考える。

国語の教科書の一つは、生徒たちがグループに分かれ、「地域をよりよくするためにできること」を発表し合う例を示した。討論の進め方や、結論をまとめていく際の留意点なども紹介している。

いずれも、思考力や表現力を伸ばす狙いがうかがえる。指導の手がかりとすれば、生徒の学習意欲を刺激する授業を実現できる可能性がある。教員が一方通行で教える従来型の授業からの転換を図ることが期待されよう。

教科書の分量が増えた一方で、授業時間は変わっていない。すべてを教えようとすれば、生徒たちが消化しきれない恐れがある。教員は生徒の理解度を見極めながら、メリハリを付けた指導を心がけてもらいたい。

今回の教科書では、ページ上にQRコードが頻繁に登場するのが特徴だ。スマートフォンやタブレットをかざすと、教科書会社のサイトにつながり、関連の音声や動画を参照できる。

英語では、すべての課題文を外国人が読み上げる音声が流れる。正しい発音を身に付ける学習に役立てたい。中学3年間で学ぶ単語数は4割増えるが、語彙(ごい)を豊富にするだけでなく、聞く力や話す力を伸ばすことが重要だ。

理科の場合には、例えば、化学物質を水に溶かす実験の様子を、動画で再現してくれる。書道の筆運びや、家庭科の包丁さばきといった実技の動画は、生徒が技能を習得するのに効果があろう。

QRコードは自宅での予習や復習にも活用が可能だ。ただ、通信環境の整っていない家庭もある。こうした家庭の子供たちが不利益を被らないよう、学校には適切な配慮が求められる。
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2020年03月29日

[読売新聞] 辺野古移設問題 国と県は対立回避を模索せよ (2020年03月29日)

沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡る訴訟の上告審で、県が敗訴した。国との不毛な対立を解消するきっかけとすべきだ。

県は2013年、辺野古の埋め立てを承認したが、その後、軟弱地盤が見つかったことなどを理由に、18年に承認を撤回した。

防衛省の請求に基づき、国土交通相は県の「撤回処分」を取り消した。今回の訴訟は、この手続きは違法だとして県が起こした。最高裁は、適法とした高裁判決を支持し、県の上告を棄却した。

県は、国交相の判断の効力停止を求める訴訟も起こしている。撤回の正当性を訴える内容で、那覇地裁で審理中だ。様々な理由を付けて法廷闘争を繰り返す県の手法は、強引と言わざるを得ない。

政府は、辺野古海域の軟弱地盤に約7万本の杭(くい)を打ち込む地盤改良工事を行うため、4月にも設計変更を県に申請する方針だ。

普天間は、学校や住宅地に囲まれている。事故の危険性を低減するため、人口の少ない県北部に移設する意義は大きい。政府は着実に計画を進める必要がある。

懸念されるのは、国と県の対話のパイプが細っていることだ。安倍首相と玉城デニー県知事は1年以上、会談していない。

首相は、知事と協議を重ね、移設の意義を丁寧に訴えることが欠かせない。玉城氏は、計画に反対するだけでなく、どうすれば普天間の固定化を避けられるか、現実的な解決策を考えるべきだ。

日米間では、普天間のほかにも米軍基地の返還計画が進む。

沖縄県中部にある米軍キャンプ瑞慶覧については、一部区域を今月末に返還することで合意した。地元自治体には、区域内の文化財を観光に生かす構想がある。

那覇市の市街地に近い米軍那覇港湾施設(那覇軍港)は、浦添市沖に移設する方向で調整している。政府は、沖縄の米軍基地負担を着実に軽減して、持続的な発展につなげなければならない。

国が総事業費2000億円をかけて建設した那覇空港の第2滑走路が完成し、運用が始まった。国際空港としての機能を強化していくことが大切である。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、沖縄を訪れる観光客は減少しており、経済は打撃を受けている。観光・宿泊業への支援策を講じることが急務だ。

沖縄の将来を見据え、政府と県は、協力して様々な振興策を推進しなければならない。
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[読売新聞] 新型コロナ 医療崩壊を招かぬ対策急げ (2020年03月29日)

感染症の大流行を想定し、重症患者の命を救う医療体制を今のうちに整えることが大切だ。

新型コロナウイルスが猛威を振るうイタリアは医療体制が危機に陥り、多数の死者が出ている。患者が病院に殺到し、医師らも罹患(りかん)したためだ。

日本は感染拡大を抑えてきたものの、大都市で爆発的に患者が増える懸念がある。深刻な事態を視野に入れ、医療崩壊を招かないよう対策を講じねばならない。

厚生労働省は、流行がピークを迎えた時の患者数を推計する計算式を示している。これに基づくと最悪の場合、東京都では1日あたりの入院患者は約2万人、重症者は約700人に上るという。

試算を目安に、都道府県は重症者の治療にあたる病床を優先的に確保し、医療機関ごとの役割分担を詰めることが重要だ。

厚労省は各県に、感染症対応の拠点となる「重点医療機関」を指定するよう通知した。患者を集約することで、専門医を確保しやすくするのは適切である。院内感染対策も効率的に実施できよう。

人工呼吸器などの医療機器を集約させるほか、入院中の一般患者をほかの病院に転院させる必要がある。あらかじめ具体的な段取りなどを定めておきたい。

厚労省は、症状に応じて患者を振り分ける調整本部の設置も各県に求めた。集中治療に精通したコーディネーターらが24時間体制で調整にあたる。複数の県による広域での対応も欠かせない。

患者が急増すれば、市中の医療機関が診察に応じる必要性が高まる。一般患者との動線を分けるなど、二次感染を防ぐ対策が欠かせない。厚労省は医師会などと協力して準備を急ぐべきだ。

感染者の入退院の基準についても見直しが迫られよう。

現状では、感染症法に基づき、検査で陽性と判明した人は原則、入院させている。

政府は、大流行時にはこの扱いを見直し、軽症や症状がない人については、自宅療養に切り替えることを検討している。

新型コロナウイルスは、感染しても約80%の人は軽症で済んでいる。約5%の人は重篤化し、高齢者や基礎疾患を持つ人はリスクが高いとされる。ウイルスの特性を踏まえれば、重症者を優先的に治療するのは理解できる。

緊急時の医療方針について、政府は国民に周知を図り、冷静な対応を促すべきだ。患者が自宅で過ごす場合の留意点についても、丁寧に説明しなければならない。
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2020年03月28日

[読売新聞] 新型コロナ 中国の対応は模範にはならぬ (2020年03月28日)

中国で新型コロナウイルスの新たな感染者数が大幅に減少している。共産党政権は対策の成果を誇示するが、模範とするわけにはいかない。

習近平国家主席は主要20か国・地域(G20)首脳のテレビ会議で「多大な犠牲を払い、国内の状況は好転している」と述べた。王毅外相らは「中国の制度の優位性を示している」と自賛する。

感染の中心は中国から欧米に移った。中国は、イタリアなどへの医療支援を加速させている。国際的な影響力拡大につなげる狙いがあるのだろう。

国内では感染が最初に拡大した湖北省武漢市の封鎖措置を来月解除することを決め、経済活動の再開に向けた準備を進める。感染の「逆流入」を防ぐため、外国人の入国を原則禁止するという。

都市封鎖や交通機関の停止、人の移動制限が、感染の封じ込めに有効だったのは間違いない。最先端技術で個人を監視して移動履歴まで把握し、軍や党組織を総動員して規制を徹底させる。こうした手法は中国ならではだ。

欧米では緊急事態宣言など法的な手続きが必要なのに対し、共産党一党支配の中国は民主的なプロセスを経ずに強硬措置を取ることができる。だが、中国方式が優れているとは言えない。

忘れてはならないのは、硬直した官僚組織と情報を隠蔽(いんぺい)する体質が初動の遅れを招き、世界的な感染拡大につながったことだ。昨年末の段階でいち早く警鐘を鳴らした武漢の医師は「デマを流した」として地方政府に処分された。

習政権は問題があったことを認め、医師の名誉回復には応じたが、その後も政府に批判的なSNS上の発信を削除するなど社会統制を強化している。

異論を封じ込める権威主義的な統治では、必要な情報の共有が遅れ、新たな感染症の危機を防げないのではないか。

そもそも中国の公式統計には疑念が拭えない。中国はウイルス検査で陽性でも、無症状なら感染者数に算入しない。約4万3000人が除外され、実際は12万人を超える可能性があるという。

他国と異なる集計方法では、情報共有の意義が減じる。中国は一連の対応を検証し、徹底した情報公開で貢献せねばならない。

習氏はトランプ米大統領と電話で会談し、ウイルス対策で協力を続けることを確認した。世界経済への悪影響を食い止める方策についても議論を深め、米中両国で主導していくべきだ。
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[読売新聞] 当初予算成立 危機対策の財政出動を迅速に (2020年03月28日)

経済の急速な落ち込みに歯止めをかけるため、政府は迅速に手立てを講じなければならない。

2020年度予算が成立した。消費増税後の景気を下支えする措置を盛り込み、一般会計総額が102兆円を超える大型予算となった。

当初予算では、新型コロナウイルスによる経済への打撃は想定されていない。政府・与党は、前例にとらわれず、大胆な追加財政出動に踏み切るべきだ。

政府は、新年度早々に新たな経済対策を打ち出し、そのための補正予算案を国会に提出する。速やかな成立が求められる。

外出自粛などの影響で売り上げが激減した中小企業や、休業を余儀なくされた従業員は多い。

まずは、窮地に陥った企業や労働者の救済に注力する。事態収束のめどが立てば、消費を刺激し景気を早急に浮揚させる。こうした二段構えの対応が欠かせない。

当面の対策として政府は、所得が大幅に減った世帯への現金給付を検討している。家計に安心感を与えられる金額を確保したい。

対象を限定すると、所得の線引きや所得減少の認定に手間取る恐れはないのか。スピード重視で制度設計する必要がある。

休業者らに最大20万円の生活費を無利子で貸し付ける「緊急小口資金」など既存の制度もある。政府はどんなメニューがあり、どう活用できるのか、国民にわかりやすく提示することが大切だ。

混乱が長引けば、経営に行き詰まる中小企業が続出する恐れがある。失業の増加を防がねばならない。資金繰り支援に加えて、消費税や法人税の納付猶予、固定資産税の減免などが検討に値する。

感染拡大の危機を乗り切った時点で、景気回復を目指す施策に切り替えたい。最も重要なのは、内需の柱である個人消費の押し上げである。効果を高めるには、消費額の大きい高所得者も含めた支援が望ましいのではないか。

一律の現金給付は貯蓄に回りやすいとの指摘もある。買い物や外食などに幅広く使える期限付きの商品券が有効だろう。

一方、野党が求めている消費税減税は、レジ改修など小売店の負担が重いといった課題が多い。

効果と副作用を点検し、具体策を練り上げてもらいたい。

感染の広がりを受け、政府と与野党は連絡協議会を設けた。野党はマスクを始めとした衛生品の確保や子育て世帯への支援などを要望した。政府は、建設的な提案については政策に反映すべきだ。
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2020年03月27日

[読売新聞] 景気判断下げ 大胆な対策で雇用を守りたい (2020年03月27日)

日本経済に新型コロナウイルスが大きな打撃を与えている。政府は厳しさを増す景気動向を的確に見極め、有効な対策を講じるべきだ。

政府が3月の月例経済報告で、景気判断を前月までの「緩やかに回復している」から「厳しい状況にある」に下方修正した。訪日外国人客の急減や外出・イベントの自粛などで経済活動は停滞している。判断の変更は妥当である。

個別項目では、個人消費が約3年ぶりに引き下げられ、「弱い動き」となった。設備投資や企業収益なども下方修正された。下押し圧力が幅広い分野に波及していることがうかがえる。

主な経済指標から機械的に算出される景気動向指数は、2019年8月から景気の「悪化」を示している。19年10?12月期の実質国内総生産(GDP)も、消費の低迷が響き、年率で7・1%減と大幅なマイナス成長だった。

ウイルス感染拡大の影響が広がる前から、景気は後退しつつあったのではないか。

それでも政府は、先月まで7年近くにわたって、景気判断に「回復」という表現を使っていた。

楽観的な認識は政策対応の遅れにつながる。景気は今後、急速に悪化する恐れがある。政府は危機感を強めるべきだ。

問題は、外出や渡航の制限が世界に広がり、モノやサービスの消費が一気に落ち込んでいることである。08年のリーマン・ショック後に起きた世界的な「需要の蒸発」の再来が現実味を帯びてきた。

国際通貨基金(IMF)は、世界経済が20年にマイナス成長となり、リーマン・ショックと同程度か、それよりも深刻な景気後退になるとの見方を表明した。

国内でも、トヨタ自動車が工場の一部を止めるなど、世界の需要低迷による減産が始まった。企業業績が悪化して雇用や所得を押し下げ、消費などが更に冷え込む悪循環に陥る懸念もある。

政府は景気の落ち込みを抑える大胆な対策を急いでほしい。

特に重要なのは、国民生活の基盤である雇用を守ることだ。官民の金融機関が連携して中小企業の資金繰りを支え、倒産による失業の急増を避けねばならない。

従業員を解雇せず、休業にとどめた企業に支給する雇用調整助成金を拡充したい。非正規雇用への適用条件も緩和すべきだ。

非正規雇用者は、労働者全体の約4割を占める。「派遣切り」が社会不安を招いた過去の教訓を忘れてはなるまい。
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[読売新聞] 外出自粛要請 危機感持ち感染抑止に協力を (2020年03月27日)

新型コロナウイルスとの戦いは、これから正念場を迎える。気を緩めずに、警戒を続けなければならない。

東京都の小池百合子知事は、週末に不要不急の外出を控えるよう都民に呼びかけた。神奈川県や千葉県なども呼応し、外出の自粛を県民に求めた。

都内の感染者数は、これまで最も多かった北海道を抜いて200人を超えた。特に、ここ数日は急ピッチで感染者数が増え続けている。小池知事は現状を「感染爆発の重大局面」と捉えた。強い危機感の表れと言える。

東京では、集団感染を招いたイベントなどがあまり見当たらず、感染経路が不明な患者が多い。先週の3連休では多くの人が外出した。海外からの帰国者も増加している。水面下で感染が広がっているのは間違いない。

日本は欧米に比べ、感染者の拡大をある程度、抑えてきた。とはいえ、警戒を緩めれば今までの努力が無駄になりかねない。感染者が増加するペースを遅らせ、医療崩壊を食い止める必要がある。

間もなく新年度を迎え、転勤や入学などで、人の移動が活発になる。多くの企業や大学を抱える東京が感染拡大の中心地にならないよう厳重な注意が欠かせない。

ウイルス対策が長期戦の様相を見せ、社会には自粛疲れが広がっているのは否めない。新学期から学校を再開する政府方針が示されたことなどで、解禁ムードが漂い始めたとの指摘もあるが、ここは踏ん張りどころだろう。

都知事は、平日の在宅勤務や、夜間の外出を控えることも呼びかけた。「密閉空間」「密集」「近い距離での会話」という、感染が広まりやすい3条件を普段から避けることが大切だ。

手洗いや咳(せき)エチケットの励行など、日常の行動の積み重ねが大きな効果を生む。一人ひとりが予防対策に努めたい。

特に若者には責任ある行動が求められる。体力のある若者は感染しても無症状や軽症のケースが少なくない。活発に出歩いてしまうと、知らない間に高齢者などにウイルスをうつす危険があることに注意しなければならない。

都知事が外出自粛要請を行ってから、都内各地のスーパーでは食料品などを買い求める人の行列ができた。パニックに陥らず、冷静な行動を心がけてほしい。

今度の週末、多くの人が自宅で過ごすことになるだろう。家族と語らったり、普段読めない本を手にしたりする時間にしたい。
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