2018年01月23日

[読売新聞] 施政方針演説 働き方改革で成果が問われる (2018年01月23日)

安倍首相は、昨秋の衆院選大勝で得た安定的な政権基盤を生かし、いかに政策面で成果を上げるかが問われよう。

首相が衆参両院で、施政方針演説を行った。「働き方改革」について「70年ぶりの大改革」と位置づけた。時間外労働の上限規制の法制化や「同一労働同一賃金」の実現に意欲を示した。

長時間労働の慣行を是正するとともに、多様な雇用形態を確保し、女性や高齢者の労働力を有効活用する方向性は妥当だ。関連法案の成立を急がねばなるまい。

「国難」とみなす少子化問題に関して、首相は、社会保障を「全世代型」に転換し、介護職や保育士の処遇改善に努めると訴えた。着実に進めることが大切だ。

気になるのは、教育無償化へのこだわりである。高等教育について「真に必要な子どもたちの無償化を実現する」と語ったが、バラマキへの強い懸念が拭えない。

本人の学習意欲・能力や両親の所得などを吟味し、無償化の対象を「真に必要な」学生に限定する制度設計が欠かせない。

首相は「5年間のアベノミクスにより、日本経済はデフレ脱却への道筋を確実に進んでいる」と自賛した。だが、政権復帰後6年目に入っても、「脱デフレ」が実現していない現実を直視し、的確な対策を取ることこそが重要だ。

いつまでも「道半ば」では済まされない。人工知能(AI)の効果的な活用など、成長戦略の大胆なてこ入れが必要である。

北朝鮮の核問題では、「政策を変えさせるため、毅然(きぜん)とした外交を展開する」と強調した。

新たな挑発に備え、日米同盟の抑止力を高めねばならない。同時並行で、中国やロシアとも連携できる環境を整備したい。

首相は対中関係について、経済圏構想「一帯一路」を念頭に「増大するアジアのインフラ需要に応える」と述べ、改善に意欲を示した。中国の独善的行動には注文をつけつつ、首脳の相互往来を進める微妙な舵(かじ)取りが求められる。

日韓関係では、昨年まであった「最も重要な隣国」との表現が削除された。慰安婦問題を巡る日韓合意に否定的な文在寅政権の動向を踏まえれば、当然だろう。

憲法に関しては、「50年、100年先の未来を見据えた国創りを行う。国のかたち、理想の姿を語るのは憲法だ」とし、改正案を持ち寄るよう各党に呼びかけた。

具体案があることで、議論も建設的になり得る。与野党双方に積極的な対応を期待したい。
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[読売新聞] 日米原子力協定 核燃サイクルの実現が大切だ (2018年01月23日)

原子力発電所の使用済み核燃料から回収したプルトニウムを燃料に用いる。エネルギー資源に乏しい日本にとって、核燃料サイクルは重要だ。

その実現へ、より真摯(しんし)な取り組みが求められる。

7月に満期を迎える日米原子力協定の自動延長が確定した。両政府とも、協定終了の前提となる6か月前の通告をしなかった。

協定は1988年に発効した。日本に対して、プルトニウムの平和利用や研究開発を認めている。軍事転用も可能な物質だけに、国際的には極めて例外的な措置だ。日米同盟の一環でもある。

菅官房長官は「協定は我が国の原子力施策の基盤だ」と強調し、自動延長を歓迎している。

米側は、オバマ前政権から変わらず、延長に理解を示してきた。トランプ政権も「見直す必要はない」との立場だ。日本の核不拡散への取り組みや核物質管理の技術を評価しているのだろう。

問題は、協定に基づく平和利用の有利な条件を、日本が十分に生かし切れていないことだ。核燃料サイクルの構築が遅れ、プルトニウム利用は停滞している。

日本のプルトニウム保有量は約47トンに上る。大部分は使用済み核燃料の再処理を海外に委託して取り出した。全保有量のうち、約4分の3は英仏両国に保管したままだ。これをどう消費するのか、メドは立っていない。

プルトニウムの余剰保有は、国際的に厳しい視線を浴びよう。

原子力規制委員会の安全審査を経て、再稼働にこぎ着けた原発は5基にとどまる。プルトニウム燃料を使うプルサーマル発電を実施しているのは、うち3基だ。

着実にプルトニウムを減らすには、全く足りない。規制委は審査を加速すべきだ。

青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場が竣工(しゅんこう)しても、このままでは稼働が危ぶまれる。

政府の原子力委員会は、確実に消費できる分しか再処理しないルールを設ける方針だ。現実的な考え方だと言えよう。

中国は今月、日本と同規模の再処理工場を建設する覚書をフランスと結んだ。先月には、プルトニウム燃料を効率良く使える高速炉の建設にも着手した。

ロシアやインドも、核燃料サイクルで放射性廃棄物の処分効率化とウランの有効利用を目指す。

日本もエネルギー安全保障の観点から、原子力利用を安定的に進めるべきだ。その礎となる日米原子力協定を今後も維持したい。
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2018年01月22日

[読売新聞] 商工中金改革 中小企業の支援強化を急げ (2018年01月22日)

全国に店舗網を持ち、中小企業取引を専門とする異色の金融機関だ。その意義を踏まえた再出発を急がねばならない。

大量の不正融資が発覚した商工組合中央金庫(商工中金)について、経済産業省の有識者会議が改革の提言をまとめた。

商工中金は、政府が5割近く出資する。金融危機時に公的補助を受けて資金融通する「危機対応融資」を悪用し、本来は対象にならない企業を経営難だと偽って融資額を積み上げていた。

提言は、危機対応融資の縮小とともに、他の金融機関が及び腰な新規事業者や、再生途上の企業などとの取引を今後の主軸にしていくべきだと強調した。

成長の芽があっても資金繰りに苦しむ事業者は多い。日本経済の底上げに欠かせない中小企業支援を手厚くする方向性は妥当だ。

融資候補の事業を見極める目利きの力を高め、有望企業の発掘に努める。全国規模のネットワークを活用し、多彩な業務提携の仲介に取り組む。こうした金融機能の強化が喫緊の課題である。

懸念されるのは、提言が、既定方針である完全民営化を4年後に判断するとして、事実上、先送りしていることだ。

商工中金は4年間を猶予期間とみてはなるまい。自立した金融機関として独自性を発揮していくためには、一日も早く新たな事業展開を進める必要がある。

危機対応融資は、2008年のリーマン・ショックや、11年の東日本大震災による倒産拡大を防ぐ「安全網」だった。不正融資は全100店舗のうち97店、総額2600億円に及んでいた。

公的資金を無駄遣いし、他の銀行の融資先を奪う民業圧迫をしていたことになる。危機対応融資の予算消化を優先する役所意識が働いていたとすれば本末転倒だ。

商工中金の次期社長には、みずほ銀行出身でプリンスホテル常務の関根正裕氏が3月に就任する。民間での知見を最大限に生かして迅速な再生を主導してほしい。

金融危機や震災時の中小企業対策としては、4月に国の信用保証制度が拡充される。一般の金融機関が保証を得て融資しやすくなるため、商工中金の危機対応に取って代わるとの見方がある。

危機対応融資の仕組みも今後、政府系金融機関の日本政策金融公庫などでの対応があり得る。

政府には、政府系金融機関全体で業務のあり方を再点検するとともに、非常時の資金供給に万全を期すことが求められる。
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[読売新聞] 私立大の経営難 円滑な再編と統合を促したい (2018年01月22日)

少子化が進む中で、約600もの私立大学を維持していくのは難しい。大学の魅力を高めるだけでなく、再編・統合に踏み切る決断も必要だ。

私立大・短大を運営する660法人の17%にあたる112法人が経営難に陥っている。読売新聞の情報公開請求を受けて、国の補助金を交付する日本私立学校振興・共済事業団が、法人名を伏せて初めて数値を開示した。

各法人の財務資料を基に、経営面のリスクを算出した結果、2019年度末までに破綻の恐れがある法人は、21に上った。20年度以降については、さらに91法人に破綻の危険性がある。

危機意識が薄く、立て直しが遅れている大学は少なくない。突然の経営破綻は、学生に重大な不利益を及ぼす。事業団は文部科学省と連携し、経営改善に向けた指導を強化してもらいたい。

ここ数年横ばいだった18歳人口は、今年から再び減少期に入る。「大学の2018年問題」と言われる。大学進学率は5割に達しており、大幅な上昇は望めまい。

一方で、規制緩和により、私立大はこの15年間で約100校も増えた。このままでは、学生確保が厳しさを増すのは間違いない。

私立大の約4割、短大の7割近くは定員割れの状況になっている。運営費の9割は授業料で賄われており、減収は経営に直結する。定員の充足率に応じて、国の補助金もカットされる。

特に厳しいのは、地方の中小の大学や都市周辺の小規模大学だ。既に12私立大が廃止された。経営破綻は若者の流出を加速させる。地方での教育機会も減少する。

政府は新たな交付金を設け、地方の大学が人材育成や研究などで自治体、企業と連携する取り組みを後押しする。意欲的な私立大に対するメリハリのある支援で、地域の雇用創出につなげたい。

地方では、私立大の公立化も急速に広がっている。公費を投入する以上、自治体は将来的な展望を明確に示すべきだ。

経営改善が見込めない場合は、撤退もやむを得まい。文科省は、赤字が続く大学への補助金減額や、学部単位の譲渡を可能にする制度を検討中だ。円滑な再編・統合を促す仕組みが求められる。

設置認可の在り方も見直すべきだ。安定的に学生を確保できるかどうか見極める必要がある。

政府は、地方大学の振興を目的に、東京23区での定員抑制に乗り出した。都市部の大学の活力を削(そ)がないか、懸念は拭えない。
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2018年01月21日

[読売新聞] 官房機密費判決 支出の特性を踏まえた最高裁 (2018年01月21日)

使途に機密性が高いことを重視しつつ、透明性の確保にも留意するよう求めた妥当な判断だ。

官房機密費の支出に関して、最高裁が文書の一部開示を命じた。

政府はこれまで、「国の機密保持」を理由に、関連文書を原則不開示としてきた。司法の統一判断が示されたことで、政府は一定の方向転換を迫られよう。

最高裁が開示を命じたのは、出納簿のうち、月ごとの支出の合計額が分かる部分や、会計検査院に提出する文書の一部などだ。

具体的な使途や支払い先、個別の支払い決定日や金額については、不開示相当とした。「他の情報との照合や分析を行うことで、相手方や使途の特定が可能になる場合がある」との理由からだ。

支出先が明らかになると、「関係者の安全が脅かされたり、情報が漏洩(ろうえい)したりして、政府の活動の円滑な遂行に支障が生じる恐れがある」とも指摘した。

官房機密費の特性を踏まえた常識的な判断だと言えよう。

情報提供者への謝礼などに充てられる官房機密費は、官房長官の請求により、国庫から支出される。毎年、計14億6000万円が予算計上されている。使途の公表や領収書を提出する義務はない。

確かに、内政、外交の重要な政策に関わる交渉や情報収集の過程では、相手先を明らかにできない支出も多いだろう。

2009年の政権交代前に、民主党は官房機密費の大幅削減と一定期間後の使途の公開を主張していた。政権に就いた後は、「全てをオープンにすべき筋合いのものではない」などと後退した。

複数の官房長官経験者は、国会での野党対策や海外視察の際の餞別(せんべつ)、議員同士の勉強会などに支出したことを認めている。

官房機密費は、国政の円滑な運営のためのやむを得ない経費だ。必要悪だとの指摘もある。

それでも、公費である以上、支障のない範囲での透明性は求められよう。過去には、国民の不信を招く問題があった。

2001年に起きた外務省の機密費流用事件では、流用金に官房機密費が含まれていたことが判明した。会計検査院は、官房機密費の管理に不十分なケースがある、と指摘し、定期的な内部監査を実施するよう求めた経緯がある。

従来のように、機械的に全て非公開としては、理解は得られまい。政府に求められるのは、判決の趣旨に沿って、不都合が生じない部分は国民に開示する姿勢だ。
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[読売新聞] 統一会派頓挫 民進と希望の迷走劇に呆れる (2018年01月21日)

公党間の正式な合意がたった2日であえなく覆される。この迷走劇には呆(あき)れるほかない。

民進党と希望の党が衆参両院で統一会派を結成する動きが頓挫した。

両党幹事長らの合意文書策定を受けて開かれた民進党の両院議員総会で、反対論が噴出したためだ。「希望の党とは理念・政策が違う」「立憲民主党とも統一会派を組むべきだ」といった意見が出た。

参院議員主体の民進党には、保守系、左派リベラル系が混在する。安全保障政策や憲法改正で、希望の党と隔たりのある議員も少なくない。希望の党を創立し、「排除」の論理を振りかざした小池百合子東京都知事への反発も残る。

党内情勢や、衆院選で生じたしこりの根深さを見誤った大塚代表ら執行部の責任は免れまい。

民進党は、衆院選前の分裂で、事実上の解党状態にあると受け止められている。民進党籍を有しつつ、「無所属の会」に所属する衆院議員の存在も分かりにくい。

どんな進路を選択するにしても、前途は険しい。

希望の党の玉木代表らも、安保政策で妥協してまで民進党との連携を進めたのは拙速だった。

松沢成文参院議員ら一部の結党メンバーが統一会派に反発したため、一時は分党も検討した。

この過程で、結党メンバーと、その後に参加した玉木氏ら民進党出身者の安保観の違いが表面化したことは不安材料である。

結党メンバーは衆院選公約で、安全保障関連法の容認と、9条を含む憲法改正論議の推進を掲げた。民進党出身者は今回、こうした現実的な政策を含む公約を骨抜きにしようとしたのではないか。そんな疑問も禁じ得ない。

自民党政権と交代しても、外交・安保政策の継続が重要だとした結党の原点を大切にすべきだ。

立民党は、民進党からの離党者を続々と入党させ、独自路線を強める構えを見せている。

22日召集の通常国会には、民進、立民、希望の3党は別々の会派で臨む。国会対策では連携するにしても、まずは各党がそれぞれの政策を磨くことが肝要だろう。

疑問なのは、民進党などに、なお3党の再結集を志向する向きがあることである。

衆院選で異なる旗を掲げて戦った立民、希望両党が、すぐに元の鞘(さや)に収まるのは有権者を愚弄(ぐろう)するものだ。衆院選結果をきちんと総括することもせずに、永田町の数合わせで勢力結集に走っても、国民の理解を得られまい。
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2018年01月20日

[読売新聞] 米政権発足1年 「トランプ流」に世界が揺れた (2018年01月20日)

◆予測不能な政治に適切な対応を◆

「米国第一」を掲げる内向きの外交と、ツイッターによる奔放な発信によって、混乱と対立が世界に広がった。予測不能で過激な言動は、今後も変わるまい。

トランプ米大統領の就任から20日で1年を迎える。異色の指導者とどう付き合い、国際秩序の安定を維持するか。日本をはじめ、各国の賢明な対応が問われる。

◆戦略の共有が重要だ

政権のアジア太平洋政策は、発足直後と比べて、現実的な方向に傾いている。北朝鮮の核・ミサイル開発問題が深刻化し、日米・米韓同盟の重要性が増したことが背景にあろう。

軍事、経済両面で北朝鮮に最大限の圧力を加え、対話に引き出して問題の外交的解決を図る。この原則を堅持することが大切だ。

トランプ氏には、「核のボタン」への言及など、緊張を高める軽率な発言の自制が求められる。

「力を通じた平和」をスローガンに、国防予算を増額する方針を明確に示し、米軍増強に乗り出したことは、評価できる。

南シナ海の人工島の軍事拠点化など、覇権主義的な動きを続ける中国に対して、一定の牽制(けんせい)効果が期待できよう。

米政権が、安倍首相の「自由で開かれたインド太平洋戦略」に呼応し、日本、インド、オーストラリアとの連携強化に乗り出したのも明るい材料と言える。

注意を要するのは、トランプ氏が実業家出身で、一貫した外交戦略を欠くことだ。民主主義、人権などの普遍的価値観や国際秩序を尊重する意識も乏しい。

米国の対中貿易赤字削減と引き換えに、中国の海洋進出を容認する。対テロ協力のため、ロシアの強硬姿勢に目を背ける。関係国はこうした「取引外交」を警戒し、適切に対処せねばならない。

中国は、米国に代わる形で、「自由貿易や国際協調を主導する」と喧伝(けんでん)している。放置すれば、一党独裁の政治制度が優位にあると認めることになりかねない。

日本はトランプ政権に、環太平洋経済連携協定(TPP)の意義を説き続け、戦略の共有と同盟の深化を進めるべきである。アジアの安定と繁栄が日米共通の利益であるとの認識を深めたい。

◆分断を煽る手法が続く

トランプ氏の支持率は、40%を切り、記録的に低い。「国民を結束させる」という就任演説の言葉は守られなかった。

女性や黒人、イスラム教徒、中南米諸国などに対するトランプ氏の放言は、支持者と反対派の対立を煽(あお)り、社会の分断を一段と深めた。繰り返される暴言に、受け取る側の感覚も麻痺(まひ)しつつある。

批判的な報道を「フェイク(偽)ニュース」と決め付け、自らの事実誤認の発言は正さない独善的な態度が、米大統領の権威と信頼を損ねたのは間違いない。

厳しい現実を直視せず、大統領選で訴えた過激な公約の実行に固執しているのも問題だ。

TPPや地球温暖化対策の「パリ協定」からの離脱表明は、その象徴と言える。離脱の合理性や善後策について十分に検討しないまま、「米国第一」主義とオバマ前政権の実績潰しを優先した。

「エスタブリッシュメント(既得権層)」中心の政治を否定し、白人労働者らの中核支持層にアピールする手法は、選挙中と変わらない。

自身の流儀を貫くことが、2020年大統領選での再選につながると確信しているのだろうか。

◆中間選挙で審判が下る

見過ごせないのは、政策を立案、遂行する態勢がいまだに整っていないことだ。専門家が少なく、各省庁の高官人事は遅れている。駐韓大使すら、不在のままだ。

軍出身のケリー首席補佐官やマティス国防長官らが外交安保政策を中心に辛うじて政権を支える。裁判所や議会がトランプ氏の「暴走」を止める場面も目立った。

トランプ氏の側近だった人物の更迭が相次ぎ、大統領選勝利を導いたバノン元大統領上級顧問も袂(たもと)を分かった。トランプ氏と長女のイバンカ氏ら親族に権力が過度に集中していては、安定した政権運営は見込めまい。

好調な経済は、追い風となっている。米株価は史上最高値を更新し、失業率も低い水準だ。減税を中心とする税制改革や規制緩和などによって、好況を維持できるかどうかが焦点となる。

11月には、連邦議会の中間選挙を控える。有権者が政権に対する評価を下す場となろう。共和党が敗北すれば、トランプ氏の求心力は一気に低下しかねない。
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2018年01月19日

[読売新聞] 国会改革 活性化へ与野党は知恵を絞れ (2018年01月19日)

建設的な国会論戦を実現するため、与野党は、適正なルール作りに知恵を絞らねばならない。

22日召集の通常国会では、国会改革が焦点の一つになる。自民党は野党に対し、党首討論の月1回の実施と、見返りとしての首相や閣僚の国会出席の絞り込みなどを求めている。

2014年の与野党合意に基づく提案だ。合意は形骸化しており、自民党が改めて提起したのは理解できる。各党は合意を再確認し、順守する必要がある。

党首討論は00年、国会活性化の一環として導入された。党首間で大局的な議論を行うためだが、首相が国会で答弁した週には開催しないとの慣例が足かせとなり、年々減少傾向にある。

野党も、首相を長時間追及できる委員会審議を優先し、党首討論は昨年一度も開かれなかった。

現行は1回45分間の党首討論の制度見直しも欠かせない。

「衆参いずれかで所属議員数10人以上」という参加資格を持つ野党党首は今、5人もいる。これでは質疑が細切れになり、議論は深まらない。討論時間の拡大や参加資格の厳格化を検討すべきだ。

衆院事務局の調査によると、16年の安倍首相の国会出席は衆参合計で112回、約370時間に上った。英国議会の15?16年会期では、首相の出席は46回、約50時間にとどまっている。

国会での首相の説明責任は重要だが、内政・外交の時間が大幅に制約されている面は否めない。

立憲民主党などは党首討論実施に理解を示しつつ、首相の国会出席を減らすことには反対する。だが、民主党政権も、弾力的な国会運営を提案していた。

他方、野党時代の自民党も、首相や閣僚を国会に縛り付けようとしていた。大半の政党が与党も野党も経験しているのだから、党利党略に走るのはやめるべきだ。

首相や閣僚に代わって、副大臣や政務官による答弁も積極的に活用すべきだろう。北朝鮮情勢が緊迫する中、外交の足を引っ張る事態は避けねばならない。

自民党は、与野党間の質問時間配分の変更を改めて提案した。立民党などは反発するが、野党の質問は予算案や法案の内容よりもスキャンダル追及に特化しがちで、繰り返しも目立つ。持ち時間を有効に使っているとは言えまい。

国会に求められるのは、行政の問題点を適切に指摘し、改善を促す生産的な議論だ。与野党は、双方が相応の質問時間を確保できるよう、歩み寄ってもらいたい。
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[読売新聞] 南北合同チーム 五輪の政治利用を懸念する (2018年01月19日)

韓国の文在寅大統領は北朝鮮の核・ミサイル問題への取り組みをおざなりにして、平昌冬季五輪の政治利用に前のめりになっていないか。

五輪を通じた融和は、朝鮮半島の軍事的緊張の緩和につなげねばならない。懸念が残る合意内容だと言えよう。

韓国と北朝鮮が次官級会談を開き、開会式での合同入場行進や、パラリンピックへの北朝鮮参加など11項目で一致した。

アイスホッケー女子では、合同チームを結成する。国際オリンピック委員会(IOC)などとの20日の協議で認められれば、五輪初の南北合同チームとなる。

開催国として出場権を持つ韓国代表チームに、北朝鮮選手数人を加えるという。

疑問なのは、出場する選手らの意向も踏まえず、文政権の主導で決まったことだ。

韓国の監督は「チームの組織力を危うくする」と批判した。対戦相手のスイスのアイスホッケー協会も、手続きの公正性に疑義を示した。当然の反応だろう。

文氏は韓国の選手に、負担が増えることを認めつつ、「試合に臨む姿は歴史の名場面となる」と説いた。五輪を通じて南北和解を実現した大統領として、名を残したいのだろう。スポーツに対する敬意を欠いているのではないか。

五輪直前に、北朝鮮が文氏の参加呼びかけに応じたのは、国際社会の制裁包囲網に穴を開け、孤立から脱却する狙いからだ。

今回の合意には、北朝鮮の馬息嶺スキー場での「合同練習」も盛り込まれた。スキー場は、朝鮮労働党の金正恩委員長の肝いりで建設された。権威の向上に利用されるのは間違いない。

北朝鮮南東部・金剛山では、南北合同の文化行事が行われる。韓国から金剛山への観光事業は、南北関係の悪化に伴い、中断している。北朝鮮にとって貴重な収入源であり、行事を事業再開につなげる思惑があろう。

国連安全保障理事会の制裁決議や韓国政府の独自の措置により、北朝鮮は外貨収入源を絞られてきた。北朝鮮での行事に参加する費用などが、制裁違反として問題になる可能性も指摘される。

北朝鮮は、核・ミサイル開発を放棄していない。韓国が提案した非核化に関する協議は拒否した。米韓合同軍事演習の中止を求め、両国の離間を図っている。

五輪による融和ムードが高まることによって、制裁強化の機運が損なわれてはならない。
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2018年01月18日

[読売新聞] 対「北」外相会合 韓国も包囲網に穴を開けるな (2018年01月18日)

北朝鮮は、平昌冬季五輪参加を巡る韓国との対話を通じて融和ムードを高め、国際包囲網に穴を開けようとしている。圧力継続の確認は時宜を得たものだと言えよう。

朝鮮戦争で国連軍に派兵した国に日本、韓国などを加えた20か国による外相会合が、カナダ・バンクーバーで開かれた。

共催国の米国とカナダは議長声明で、北朝鮮を非核化の交渉に引き出すために、「制裁を強化し、圧力を継続して加えることで一致した」と強調した。

重要なのは、河野外相が「北朝鮮が核・ミサイル開発を続けていることから目をそらすべきではない。国際社会の分断を図ろうとしている」と警告したことだ。

背景には、北朝鮮の韓国に対する対話攻勢がある。北朝鮮芸術団のソウル公演を認めさせ、体制宣伝の場を確保した。米韓合同軍事演習の中止も求め、包囲網を破ろうとするのは間違いない。

韓国の康京和外相は「南北対話の進展が、核問題の平和的解決につながることを望む」と述べた。だが、核協議の提案は拒否されている。韓国は五輪を政治利用したい立場を見透かされ、主導権を握られているのではないか。

中国とロシアは、会合には参加しなかった。議長声明は、両国が「北朝鮮問題の恒久的解決に貢献する特別な責任がある」と指摘し、制裁の厳格な履行を促した。

北朝鮮が、海上での積み荷の移し替えにより、石油精製品などの制裁対象物資を受け取る「制裁逃れ」が判明している。中国企業の関与が指摘される事例が多い。

ティラーソン米国務長官は、海上阻止行動の強化を呼びかけた。米国は、大量破壊兵器拡散阻止構想(PSI)の枠組みを利用した国際的な取り締まりを打ち出している。日本の海上自衛隊の艦艇も密輸船の監視活動を始めた。

米軍は戦略爆撃機をグアムに展開し、軍事的な牽制(けんせい)を強めている。中露を巻き込み、制裁の実効性を高めることが急務である。

バンクーバーでは日韓外相会談も行われた。河野氏が慰安婦問題で、「日本にさらなる措置を求めることは全く受け入れられない」と明言したのは当然だ。2015年の日韓合意の履行も求めた。

康氏は、「合意は問題解決にはなり得ない」とする文在寅政権の方針を説明した。

合意は「最終的かつ不可逆的な解決」を確認している。空文化しようとする韓国政府の動きは、日韓関係を悪化させるだけだ。
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[読売新聞] 逗子ストーカー 自治体の情報漏洩は許されぬ (2018年01月18日)

個人情報のより慎重な取り扱いを自治体に促す司法判断である。

神奈川県逗子市で2012年に起きたストーカー殺人事件で、横浜地裁横須賀支部が、市に110万円の賠償を命じた。

殺害された女性の住所を加害者側に漏らしたのはプライバシーの違法な侵害に当たる、と認定した。市は控訴しない方針だ。

加害者の男から依頼された探偵が、女性の夫を装って市納税課に電話し、住所を聞き出した。男は情報を基に自宅に押しかけ、女性を刺殺した後に、自殺した。

女性は男のストーカー被害から逃れるために、住民票の閲覧制限を市に申請し、認められていた。職員は制限の有無を確認しないまま、情報を伝えた。判決が「違法な公権力の行使に当たる」と指摘したのは当然だ。

情報漏洩(ろうえい)が、時として重大な結果を招くことを浮き彫りにした事件だ。判決は、ストーカーなどの被害者の住所は「生命身体の安全にかかわる重要な情報」で、慎重な配慮が必要だと強調した。

提訴した女性の夫も、情報漏洩に対して「警鐘を鳴らした」などと、判決を評価している。

判決を機に、各自治体は、個人情報に接する職務の重みを改めて自覚してもらいたい。

ストーカーや、配偶者などからの暴力(DV)の被害者に関する住民票の閲覧や交付の制限は、住民基本台帳制度に基づく支援措置として04年に全国で始まった。現在、対象者は10万人を超える。

対象になると、加害者からの閲覧・交付申請は認められない。第三者から申請があった場合には、目的が厳格に審査される。

制度は整ったものの、自治体からの情報漏洩が後を絶たない現状は看過できない。千葉県八街市は16年8月、DV被害者の女性の住所を加害者の元夫に伝えた。長崎県が同様のミスを犯したことも今月、明らかになった。

逗子市は再発防止策を講じている。閲覧制限の対象者だと一目で分かるよう、パソコン上の表示方法を工夫した。情報保護のマニュアルを改定し、電話での問い合わせに応じることを禁じた。

こうした対策も必要だが、大切なのは職員の意識改革である。

逗子の事件で、男は、女性の殺害前に脅迫容疑で逮捕され、執行猶予中だった。県警には、逮捕状に記された女性の住所の一部などを読み上げる不手際があった。

逮捕から起訴、裁判に至る司法手続きでの配慮も求められる。
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2018年01月17日

[読売新聞] 阪神大震災23年 自助の意識をさらに高めたい (2018年01月17日)

6434人の命が失われた震災の記憶を語り継ぎ、災害対策の重要性を改めて認識したい。

阪神大震災の発生から17日で23年となった。

甚大な被害を受けた神戸の街で、震災の傷痕を見つけるのは、もはや難しい。

市内随一の繁華街・三宮で、大規模な再開発事業が今春から本格化する。神戸港のコンテナ取扱量は、震災前を上回る水準にまで回復している。四半世紀近い時の流れを実感させられる。

地震の発生直後、兵庫県が自衛隊の派遣を要請するまでに4時間も要した。全国からボランティアが駆け付けたものの、受け入れ態勢が整っておらず、善意を十分に生かせなかった。

仮設住宅の入居者を抽選で決めた結果、被災前の地域のつながりが途絶え、孤独死が相次いだ。

阪神大震災の教訓は数多い。それらが、現在に至る災害対応の枠組みの基盤になっている。

被災者生活再建支援法に基づく支援制度も、その一つである。自力が原則だった住宅再建を、公費で支援する道を開いた。超党派の議員立法で支援法が制定されてから、ちょうど20年になる。

大規模災害で家屋が全壊した世帯などに、最大300万円を支給する。国費と、都道府県の基金から折半で拠出する。地震や台風、火山噴火など、72の自然災害に適用され、25万世帯以上に4229億円が支給された。

当初は根強い反対論があった。「公費による私有財産の形成につながる」などという理由からだった。今では、速やかな生活再建を迫られる被災者にとって、欠かせない制度となっている。

支給額を増やしてほしい、との要望は少なくない。適用要件が厳し過ぎるといった不満もある。

被災者にとって、使い勝手の良い制度に改善することは必要だ。一方で、厳しい財政事情を考えれば、支給額の引き上げが簡単でないのも事実だろう。

東日本大震災では、支援金の総額が3432億円に達した。政府は特例措置として、支給額全体の8割を負担した。南海トラフ巨大地震が発生すれば、総額は8兆円を超えるとの試算もある。

自然災害が多発する日本で、行政による「公助」には限界がある現実を直視せねばなるまい。

地震保険の2016年度の世帯加入率は、3割にとどまる。

自らの手で自分を守る。一人一人が「自助」の意識をさらに高めることが求められる。
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[読売新聞] 経団連春闘方針 デフレ脱却を固める賃上げに (2018年01月17日)

高水準の賃上げを、デフレ脱却の足場を固める契機とすべきだ。

経団連が、春闘に臨む経営側の交渉方針を示す「経営労働政策特別委員会報告」を公表した。今後、労使交渉が本格化する。

報告は「3%の賃上げとの社会的な期待を意識しながら、前向きな検討が望まれる」と数値を明記し、積極的な賃上げを求めた。

好業績の企業には、次年度以降の底上げにもなる定期昇給とベースアップの実現を促している。

従来は、賞与や手当を含めた年収ベースの拡大を掲げてきたが、一歩踏み込んだ。経団連の前向きな姿勢は評価できよう。

安倍首相は3%の賃上げを要請しており、連合も定昇とベアで4%程度の要求をしている。

3%には、1990年代半ば以降、届いていない。非常に高水準であり、達成は容易ではない。

2014年春闘から毎年の首相要請にもかかわらず、賃上げ率は2%程度にとどまる。家計は、懐の温かさを実感しにくい。

企業業績は堅調だ。上場企業の17年度決算は過去最高水準になるとみられる。企業の内部留保は400兆円超に達した。

賃上げペースが鈍いため、企業が生み出した利益を給与などに回す割合が下がっている。

家計の収入が増えれば、消費が活性化し、脱デフレを確実にする。企業が守り志向を払拭(ふっしょく)し、賃上げにアクセルを踏むことが重要だ。経団連は、経済の好循環を牽引(けんいん)するエンジンになってほしい。

大企業の春闘が高水準で妥結すれば中小企業の労使交渉にも波及し、賃上げの裾野が広がろう。

無論、業績が異なる企業に一律の賃上げは期待できない。手当や賞与を効果的に組み合わせることも有力な選択肢だ。

働き方改革が進み、残業は抑制傾向にある。残業手当を含めた従業員の手取りに極力影響しないようにする知恵が求められる。

人工知能(AI)やロボットを活用し、生産性の向上で賃上げの原資を増やす。従業員の能力向上のための研修制度を充実させる。こうした様々な取り組みで「人への投資」を増やしたい。

日本企業は人件費削減のため、パートなど非正規労働者を増やしてきた。今や労働人口の4割を占める。正社員登用や時給アップを一層進めることが大切である。

企業は人に支えられている。働きがいを高めれば、競争力アップなど会社側の恩恵も大きい。そのことを再認識せねばなるまい。
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2018年01月16日

[読売新聞] 首相東欧歴訪 戦略的に外交の幅を広げたい (2018年01月16日)

6年目となる長期政権のメリットを生かし、日本外交の幅を広げることが重要だ。戦略的な観点から、大国以外とも重層的な関係を築きたい。

安倍首相がバルト3国と、ブルガリア、セルビア、ルーマニアの東欧3か国を歴訪している。いずれも歴代首相で初の訪問だ。

首相はリトアニアのスクバルネリス首相との会談で、北朝鮮の弾道ミサイルの長射程化を指摘し、「欧州全体にとって脅威だ」と強調した。両首脳は、北朝鮮への圧力を強化することで一致した。

6か国は、エストニアを除いて北朝鮮との国交を有する。北朝鮮制裁の抜け穴を塞ぎ、実効性を高めるために、各国と認識を共有しておく意味は小さくない。

エストニア、ラトビアを含むバルト3国は、欧州連合(EU)とロシアを結ぶ海上物流の拠点であり、経済的な潜在力が大きい。首相と3首脳は、包括的な「日バルト協力対話」の新設で合意した。肉付けを急いでもらいたい。

2012年の第2次政権発足以降、安倍首相が歴代初の訪問国は21か国にも上る。「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を掲げ、東欧やアフリカ、中南米などにも、きめ細かく目配りしている。

長期政権でこそ可能な首脳外交だ。大戦中のビザ発給で多数のユダヤ系避難民を救った杉原千畝氏を敬愛するリトアニアなど、親日的な小国は多い。継続的な協力関係の拡大が日本の国益となる。

今年前半のEU議長国は、ブルガリアが務める。ボリソフ首相との首脳会談では、昨年12月に交渉が妥結した日EU経済連携協定(EPA)の早期署名に向け、ともに努力することを確認した。

今回は、民間企業約30社の代表が同行し、現地への進出などを協議している。首相訪問を機に、政治、経済両面で関係を深めることが、双方にとって有意義だ。

警戒せねばならないのは、中国が中・東欧地域で影響力を着々と強めていることである。

巨大経済圏構想「一帯一路」を進めるため、中・東欧16か国との首脳会議(16プラス1)を定期開催している。昨年は、李克強首相がハンガリーを訪れ、会議について「欧州における『一帯一路』実現のジャンプ台だ」と訴えた。

中国によるインフラ投資や経済支援の拡大が、排他的で、中国のみの利益につながるものであってはなるまい。互恵的で、欧州の安定に資するものとなるよう、日本は、西欧諸国とも連携し、積極的に関与することが大切である。
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[読売新聞] 民進・希望会派 分裂前に「先祖返り」するのか (2018年01月16日)

基本政策を曖昧にした数合わせであり、分裂前の民進党に「先祖返り」するのではないか。そんな疑念が拭えない。

民進、希望両党の幹事長・国会対策委員長が会談し、衆参両院でそれぞれ統一会派を結成することで一致した。

合意文書では、将来の合流を視野に、「政権交代可能な政治体制の構築に全力を挙げる」としている。両党執行部は、週内に党内の了承手続きを終えたい考えだ。

統一会派は、支持率が低迷する民進党が提案し、同様の状況にある希望の党が応じた。所属議員全員が参加すれば、立憲民主党を上回って野党第1会派となり、存在感を示せるという思惑がある。

だが、安全保障政策や憲法を巡って双方の隔たりは小さくない。民進党には、護憲色の強い議員が一定数いる。党籍を有しつつ、先の衆院選に無所属で当選した衆院議員にも、「排除の論理」を取った希望の党への反発が強い。

統一会派は一般に、厳格な党議拘束がないなど、政党と比べて結束は緩やかである。それでも、有権者に違いは分かりにくい。巨大与党に向き合う手段だとしても、「野合批判」は免れまい。

立民党は、民進党の要請を一(いっ)蹴(しゅう)した。理念・政策が異なるとして希望の党と袂(たもと)を分かったばかりであり、当然だろう。

疑問なのは、民進、希望両党の合意文書に、安全保障関連法の扱いについて「違憲と指摘される部分の削除を含め、必要な見直しを行う」と明記されたことだ。

希望の党は、安保関連法を容認し、衆院選公約に「適切に運用する」と掲げた。本来、集団的自衛権行使の容認を「違憲」と主張する民進党との立場の相違は大きいはずだ。希望の党が安易に譲歩したとみられても仕方あるまい。

憲法改正に関しても、「(国民主権などの)3原則をより担保する観点からの憲法の議論を行う」との表現にとどまった。希望の党が前向きな9条改正論議への言及はない。希望の党は、衆院選公約を反古(ほご)にしてはならない。

今回の合意に対して、民進、希望両党内では反対論が上がっている。複数の離党者の名前が取り沙汰され、新たな党分裂や野党再編につながる可能性がある。

「寄り合い所帯」だった民進党の分裂で、左派リベラル色の強い立民党と、保守系の希望の党の違いが明確になったのは確かだ。

野党には、拙速な大同団結よりも、現実的な政策を練り上げる地道な努力こそが求められる。
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2018年01月15日

[読売新聞] 日本経済再生 好況の今こそ改革を断行せよ  (2018年01月15日)

◆高齢化社会を成長につなげたい◆

景気は堅調で、政権の基盤も安定している。今こそ、経済の構造改革を断行する好機だ。

アベノミクスは6年目に入った。企業業績は過去最高水準に達し、株価はバブル期の1992年以来の高値を付けた。景気拡大は戦後2番目の長期に及ぶ。雇用状況を示す有効求人倍率は43年ぶりの高さだ。

好調な海外経済が支えとなっている。日銀の異次元緩和をきっかけとする円安と、機動的な財政出動の効果も大きい。

◆需要を見込める環境に

それでもなお、国民に景気拡大の実感は乏しい。賃金が思うように伸びない。消費者物価の上昇率も0%台にとどまる。

問題は、企業が手元資金の活用に慎重姿勢を崩さないことだ。内部留保は5年前より100兆円超増えて406兆円に上る。

背景には、将来への不安がある。国内市場が縮小する中で、各企業は、大胆な投資や大幅な賃上げに踏み切れずにいる。その背中を押すためには、確かな需要や収益を期待できる環境が必要だ。

これから国内で間違いなく需要が増えていくのは、高齢化社会に対応する分野である。

高齢者の日常生活や介護、医療を巡る課題は尽きない。その解決に向けた新製品やサービスのニーズは多岐にわたる。

介護関連の機器や家事代行ビジネスなどの利用が広がってきた。家庭用ロボットと簡単な会話を楽しむ高齢者も珍しくない。

政府は、関連分野の規制緩和を急ぐべきだ。世界に先駆けて高齢化が進み、「課題先進国」と呼ばれる日本ならではの経済成長モデルを作り上げたい。

産業の現場では人手不足が深刻化している。日銀の調査では、不足感は92年以来の高水準だ。

今後20?30年間、高齢化が一段と進む一方、働き手の中心になる生産年齢人口は減少が続く。この流れに柔軟に対応できる社会に転換しなければならない。

◆人手不足を好機とみる

カギの一つは、眠る労働力を発掘し、活躍を促す施策だ。

社会人向け教育を充実し、女性や高齢者の労働参加を高める。成長産業に転職しやすい雇用環境を整える。人工知能(AI)やロボットを効果的に活用する。こうした改革の加速が求められる。

外国人材の積極的な活用も真剣に考える時ではないか。

政府の統計によると、技術者・研究者などの専門家や技能実習生を合わせ、今でも100万人強の外国人が国内で働く。建設現場や外食産業などは外国人なしでは成り立たない一面もある。

働きたい外国人と受け入れる社会の双方にメリットをもたらす就労ルールが課題となろう。

安倍首相は春闘にあたり、産業界に3%の賃上げを求めた。個別企業の経営状況は異なるが、所得増は消費の喚起につながり、会社側にも利点が大きいはずだ。前向きに検討してもらいたい。

◆財布の紐を緩めるには

日本経済の強みである高品質のモノづくりが揺らいでいる。有名企業で品質基準に関する不正が相次いで発覚した。一度失った信用は容易に取り戻せない。どの企業も人ごととせず、体制を再点検せねばなるまい。

企業と同様、個人も将来不安を抱え、お金を貯(た)め込みがちだ。

平均寿命が延び続けている。老後にいくらかかるのか。医療や介護の費用をどう確保するか。先々の見通しが立たなければ、財布の紐(ひも)が締まるのも無理はない。

政府は、2020年度に基礎的財政収支を黒字化するという財政健全化目標を断念した。そもそも前提となる経済成長率が楽観的で現実離れしていた。

政府は今年6月、目標時期を見直した新たな健全化計画を策定する。新計画は、実現可能性が厳しく問われる。税財政や社会保障、雇用関連の政策を総合的に進める堅実な工程表が必須だ。

国の借金は1000兆円を超える。25年には団塊の世代が全て75歳以上となり、医療や介護の費用がさらに急増する。

こうした社会保障費を賄うには、消費税率を19年10月に10%まで引き上げた後も、さらなる増税の検討が避けられない。

国民に負担増への理解を求めるためにも、新計画は歳出にメリハリをつけ、最大限に費用対効果を高めることが重要である。

日本経済の足元を固めるには、エネルギーの安定供給も欠かせない。政府や電力会社は、安全性が確認された原発の再稼働を円滑に進めることが大切だ。
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2018年01月14日

[読売新聞] 卸売市場改革 経営意識の向上が問われる (2018年01月14日)

生産者と小売店の双方にとって頼れる存在となる。新時代の卸売市場は、どうあるべきか。

政府は、野菜や魚を扱う中央卸売市場の規制を緩和する方針だ。通常国会に卸売市場法の改正案を提出する。

全国に64か所ある中央卸売市場は、都道府県や人口20万人以上の市だけに開設が認められている。これを民間企業にも開放する。

販売ルートを原則、登録業者に限るといった全国一律の取引ルールは、市場が独自に決めて国の認定を得る形に改める。

市場の経営自由度を高め、生産者や小売店のニーズに的確に応える方向性は理解できる。

農協組織の見直しやコメの減反廃止とともに、農漁業に「経営」の視点を持ち込む農政改革の一環と言える。これを看板倒れに終わらせてはなるまい。

改正案は、市場に参加する卸売業者に支払う手数料など、取引条件を公表することも義務づける。透明性を高め、利用者が市場を選びやすくする狙いがある。

民間参入や、取引の透明化で市場間のサービス競争が進めば、生産者らは取引コストが低下し、収益の拡大も期待できよう。

懸念されるのは、各市場の判断次第で、長く続けた取引慣行を事実上変えないという選択肢も残されていることだ。

多くの市場では、個々の卸売業者が受け取る手数料を横並びにしてきた。業者間の競争が働きにくい実態がある。

大手スーパーや一部の外食企業は、割高な卸売市場から離れつつある。このままでは、取引の減少に歯止めがかからないだろう。

築地市場移転問題では、日本を代表する市場でさえ経営が厳しい現実を浮き彫りにした。

取引の活性化には、市場自身が主体的に情報収集などの活動に乗り出し、業者の支援を強化する取り組みが欠かせない。

オランダで花を扱うフローラホンド市場は、自ら海外の産地を開拓し、輸入品の品ぞろえを充実させているという。

人口減少に伴い、国内の食品市場は縮小傾向にある。卸売市場が経営の効率性を高めるためには、近隣の市場同士が統合するといった再編も避けられまい。

卸売市場は、産地からの直接仕入れが難しい中小の青果店や鮮魚店を支えている。一方で、取引の細い市場は運営資金を自治体の補助金に頼る構図が鮮明だ。

財政負担を避けるためにも、市場の自助努力を促したい。
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[読売新聞] 福島風評対策 魅力と正しい知識を伝えよう (2018年01月14日)

原子力発電所の事故があった福島県の復興を加速するためには、政府一体となった積極的な取り組みが欠かせない。

復興庁が、福島復興に関する「風評払拭(ふっしょく)・リスクコミュニケーション強化戦略」をまとめた。関係省庁が、福島の現状や魅力などを国内外に発信していく際の基本方針となる。

これまでは、関係省庁が個別の問題に対症療法的に対処してきた。被災地支援を統括すべき復興庁が、風評対策で十分に機能してきたとは言い難い。同じ戦略の下、省庁が連携することで、実のある成果を上げてもらいたい。

戦略が柱として掲げたのは、「知ってもらう」「食べてもらう」「来てもらう」の3点だ。

偏見や差別が今なお残る現状を踏まえている。科学的データに基づき、現状を正確に捉え直してもらうことが大切である。

「知ってもらう」では、放射線への正しい理解を広める。

「身の回りには日常的に放射線が存在する」「福島第一原発事故とチェルノブイリ原発事故は異なる」「放射線はうつらない」といった客観的な事実をテレビやインターネットなどで伝える。

福島第一原発の周辺を除き、放射線量は、他県とほぼ同水準にまで低下したことも説明する。

見過ごせないのは、避難した児童生徒へのいじめだ。

戦略では、全国の小中高生向けの放射線副読本を改訂する。教師や教育委員会職員に対する研修も増やす。子どもを守るためには、まずは教師が、放射線の影響や特性を正しく知ることが肝要だ。

「食べてもらう」では、福島産の農水産物の安全性をアピールする。厳格な検査を経て出荷している現状を紹介する。

事故から7年近くが経過したにもかかわらず、品質に見合った値段がつかない。2016年産の桃は、全国平均価格より1キロ・グラム当たり115円安かった。首都圏に比較的近い立地条件などから、事故前には人気の産品だった。

韓国などは、現在も福島産の輸入を制限している。政府として粘り強く撤廃を働きかけたい。

「来てもらう」も重要だ。依然として、観光への影響が残る。訪日外国人の急増で、全国の観光業が活気づく中、福島への観光客数は事故前の約9割だ。

戦略では、好印象を持たれる画像のネット配信などに力を入れる。多くの人が福島を実際に訪れて、肌で感じる。それが、最も効果的な風評対策だと言えよう。
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2018年01月13日

[読売新聞] 尖閣沖に潜水艦 日中関係の改善に水を差すな (2018年01月13日)

日中間の緊張をいたずらに高める行為であり、到底看過できない。

政府が、沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域に中国海軍の潜水艦1隻が進入したと発表した。数時間、水域内を航行したという。

この水域で、中国の潜水艦が確認されたのは初めてだ。中国海軍フリゲート艦1隻も同時刻に同じ水域に入っていた。

他国軍の艦艇や潜水艦による日本の接続水域の航行自体は国際法上、認められている。だが、中国は尖閣諸島の領有権を一方的に主張しており、安全保障の観点からも容認できない動きだ。

杉山晋輔外務次官が中国の程永華駐日大使に重大な懸念を表明して、抗議したのは当然である。

中国国防省は「中国の接続水域に自衛隊艦艇が進入し、中国海軍が追尾・監視した」などと強弁した。尖閣諸島は日本の固有の領土であり、日本が有効に支配している。中国の主張は筋違いだ。

今回の中国軍の動きが、昨年秋以降、着実に進んできた日中関係の改善に向けた流れに、冷や水を浴びせたのは確かである。

安倍首相は、日中平和友好条約締結40年の今年中に首脳の相互往来を行うよう提案し、習近平国家主席も前向きな考えを示した。

中国軍は、近年の潜水艦の性能向上を踏まえ、日本の護衛艦や哨戒機の探知能力を試したとの見方がある。だが、そうした行動は日中の信頼関係を傷つけるだけで、中国の利益にもならない。

中国は、挑発的な行為を自制すべきだ。日本にも、冷静な対応が求められよう。

無論、国土の防衛に関しては毅然(きぜん)とした対処が必要だ。菅官房長官は「領土、領海、領空は断固として守り抜く」と強調した。

尖閣諸島周辺では、中国公船が月に数回、領海侵入を繰り返し、海上保安庁がその都度、退去を促している。この海域での中国軍の活動も活発化している。

自衛隊は海保などと緊密に連携し、警戒・監視活動に万全を期すことが大切である。

日本政府は、尖閣諸島周辺の領海に中国軍艦艇が侵入した場合、自衛隊に海上警備行動を発令し、艦艇を派遣する方針だ。

自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を回避するため、具体的な手段を確保せねばならない。

日中両政府が検討する「海空連絡メカニズム」を巡っては、昨年12月の協議で「前向きな進展」がみられたという。早期の合意と運用開始を目指したい。
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[読売新聞] 「はれのひ」事件 新成人の門出にけちがついた (2018年01月13日)

新成人の門出を台なしにする悪業だ。

着物販売レンタル「はれのひ」の店舗が成人の日の直前に突然、閉鎖された。多くの新成人が振り袖を着られなかった。式への出席を諦めた人もいる。前代未聞のトラブルだろう。

「はれのひ」は、本部がある横浜市などで4店舗を展開していた。消費生活相談窓口には約900件の相談が寄せられ、被害総額は約2億8000万円に上る。

一生に一度の晴れ舞台を心待ちにしていた新成人や家族の怒りや落胆は、いかばかりだろうか。

成人の日の前日から、横浜の店舗の電話はつながらなかった。当日は、着付け会場のホテルに約200人が集まったが、担当者が現れずに大混乱した。

3月の卒業式用の袴(はかま)や、来年以降の成人式での晴れ着を予約している人も多いという。

神奈川県警は、詐欺容疑を視野に捜査する方針だ。速やかに全容を解明してもらいたい。

民間信用調査会社によると、「はれのひ」は、2016年9月期末で3億円以上の債務超過になっていた。従業員への賃金の支払いも度々滞っている。労働基準監督署からは、再三にわたって是正勧告を受けていた。

その一方で、ホームページでは「早期特典盛り沢山(だくさん)」といった宣伝を続け、客を集めていた。「即決で現金払いなら、5%引きにする」などと説明され、支払いを急(せ)かされた人もいる。

成人の日までに、可能な限り現金を集める。店の閉鎖は計画的だったのではないか。当日、社長とは連絡が取れなかったという。

経営に行き詰まった末、支払いを済ませた顧客に損害を被らせる手法は、社長らが詐欺罪などで起訴された旅行会社「てるみくらぶ」のケースと似ている。

「はれのひ」の福岡市の店舗では、店員らが自発的に店を開けて、着付けに対応した。「お嬢さんたちを泣かせるわけにいかない」との気持ちからだったという。

他の店舗では、トラブルを知った同業者が急きょ、着物のレンタルに応じたり、ボランティアの人が着付けを手伝ったりした。

被害者にとっては、せめてもの救いだったろう。

横浜市は、被害を受けた新成人を対象にした式典の開催を検討している。東京都八王子市でも、呉服店などの有志が、式典のやり直しに向けて動き出した。

被害者に非はない。支援の輪をさらに広げたい。
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