2017年07月24日

[読売新聞] 死刑と再審請求 「後回し」執行から踏み出した (2017年07月24日)

再審請求中でも、場合によっては死刑を粛々と執行する。その前例になるのだろうか。

男性死刑囚2人に、刑が執行された。

このうち、西川正勝死刑囚は、西日本の3府県でスナックの女性経営者4人を殺害し、金品を奪うなどした。1、2審で死刑判決を受け、2005年に最高裁で確定していた。

西川死刑囚は10回目の再審請求中だった。請求理由は毎回、ほぼ同じだったという。法務省は、もはや執行を猶予する理由はない、と判断したのだろう。

再審請求中の死刑囚の刑執行は後に回す。この運用から踏み出す異例の措置である。

言うまでもなく、死刑は命を奪う究極の刑罰だ。どの角度から証拠を検証しても、犯人であることに疑いが生じない場合にのみ、適用されるべきだ。事実認定には、決して誤りが許されない。

確定判決を覆すような新証拠が見つかった場合に、刑事訴訟法は再審請求を認めている。死刑囚が再審を請求する権利は、最大限に尊重されなければならない。死刑囚が再審で無罪となったケースは戦後、4件ある。

一方で、120人を超える死刑囚の7割以上が再審を請求している現状に目を向ける必要もある。刑の執行を免れる手段として、再審請求を利用する者がいることは否定できないだろう。

慎重の上にも慎重を期して請求内容を吟味し、執行に踏み切るかどうかを判断する。法務省には、この姿勢が強く求められる。

死刑に反対する勢力は、今回の執行を批判している。日本弁護士連合会は、執行に抗議し、「20年までに死刑廃止を目指すべきだ」との会長声明を発表した。

日弁連は昨年10月の人権擁護大会で、組織として初めて死刑廃止の方針を明確に打ち出した。大会への出席者は全弁護士の2%に過ぎなかったが、賛成多数により「廃止宣言」が採択された。

死刑制度の存置を求める弁護士は少なくない。犯人が極刑になることを願う犯罪被害者の支援に取り組む弁護士もいる。

個人の思想・信条にかかわらず、業務に携わる弁護士は、必ず日弁連に登録しなければならない。強制加入団体が、賛否の分かれるテーマについて意見を表明することに、問題はないのか。

内閣府が15年に公表した世論調査で、死刑容認は8割を占めている。日弁連は、世論と主張の乖離(かいり)にも留意すべきだ。
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[読売新聞] 東京五輪3年 成功へのハードルを越えよう (2017年07月24日)

2020年東京五輪の開幕まで3年となった。関係機関が連携を密にして、コスト削減に努めつつ、大会準備を加速させねばならない。

東京では、このところ猛暑が続く。3年後の大会期間中も、暑さ対策は避けられない課題だろう。選手や観客の健康管理には、様々な工夫が求められる。

競技施設の壁面や屋上を緑で覆う。霧状の水を噴射するミストシャワーを設置する。マラソンや競歩のコースでは、路面温度の上昇を抑える舗装を進める。

こうした対策に日本の最新技術を導入して、効果を上げたい。

世界各地でテロ事件が頻発する中、競技施設などのソフトターゲットの安全確保は、最優先で注力すべき問題である。

政府は4月にセキュリティー基本戦略を決定した。これに基づいて、警察庁がテロやサイバー攻撃などの情報を集約、分析して、関係機関に提供する。

当初計画に比べて、会場は分散化している。遺漏のない警備体制を構築せねばならない。

昨年のリオデジャネイロ五輪では、ロシアの国ぐるみのドーピング違反が影を落とした。大会中にメダリストの違反も発覚した。

国際オリンピック委員会(IOC)は、クリーンな大会の実現を求めている。五輪でドーピング違反を犯した日本選手はいない。東京は大会招致でもその点をアピールして、高い評価を得た。期待を裏切らない取り組みが必要だ。

検査をすり抜ける手口は巧妙化している。疑いのある選手を的確にチェックして、不正を未然に防ぐ仕組み作りが大切である。

ドーピング防止法案が、超党派による議員立法で秋の臨時国会に提出される見通しだ。新法が成立すれば、文部科学相が、入国管理局や税関、警察などに情報提供を求めることが可能になる。

海外のドーピング監視機関との情報共有も欠かせない。

大会中には約6500件のドーピング検査が見込まれている。通常、国内で1年間に分析する検体数と同じ規模になる。検査員の養成が急務である。

大会運営に欠かせないボランティアも、9万人以上が必要だとされる。日本のセールスポイントである「おもてなし」を実践できるように、語学などの研修プログラムを充実させたい。

五輪の機運を一層盛り上げるために、大会組織委員会と都は啓発イベントなどを通して、多くの市民の参加を呼びかけてほしい。
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2017年07月23日

[読売新聞] 韓国文政権外交 「慰安婦記念日」は未来志向か (2017年07月23日)

韓国の文在寅政権は、日韓関係の改善を本気で望んでいるのか。そんな疑問が拭えない。

文政権が国政運営5か年計画を発表した。

対日関係では、歴史問題と安保・経済協力を切り離し、「未来志向の関係を発展させる」と表明した。2015年の慰安婦問題に関する日韓合意の「再交渉」という大統領選公約に言及しなかった。現実的な内容と言える。

問題なのは、女性家族省の事業として18年に慰安婦問題の記念日を制定すると明記したことだ。19年に「研究所」、20年には「歴史館」も創設するとしている。

一連の事業を実際に進めれば、日本国民が反発し、両国関係の悪化は避けられまい。「未来志向」とも矛盾するのは明らかだ。

国政計画は、慰安婦問題について「被害者と国民が同意できる解決方法」を目指すという。康京和外相は、日韓合意の再交渉が「選択肢の一つ」と述べている。

だが、合意は「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した。新たな解決方法を探ったり、再交渉したりすることはあり得ない。

元慰安婦の約7割が、合意に基づき設立された韓国の財団から現金支給を受けている。韓国政府は、こうした事実をより多くの国民に知らせるべきではないか。

ソウルの日本大使館前と釜山総領事館前に設置された、慰安婦を象徴する少女像の撤去も課題だ。文政権は、像を設置した市民団体と話し合うなど、具体的に「努力」することが求められよう。

文政権が、北朝鮮との対話に前のめりなのも気がかりだ。

金正恩政権に対し、軍事当局者会談など南北対話を呼びかけた。議題として、軍事境界線付近での敵対行為の中止を提案した。

日米韓3か国首脳は今月上旬、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けて「最大限の圧力」を加えることで合意したばかりだ。この時期の対話提案は、北朝鮮への誤ったシグナルになりかねない。

北朝鮮は提案を黙殺し、「米国に踊らされ、対北圧力の強化を追い求めている」などと韓国を非難した。文政権を揺さぶり、米国との離間を狙っているのだろう。

今月上旬の北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射について、国連安全保障理事会は、追加制裁を含め、対応を協議中だ。

韓国は、日米両国との連携を最優先すべきだ。制裁強化に慎重な中国とロシアを説得し、実効性ある決議を採択するため、協調行動をとることが重要である。
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[読売新聞] 南海トラフ地震 予測情報の発信を工夫したい (2017年07月23日)

曖昧な地震情報を出されても、多くの人は対応に戸惑うだろう。政府は、発信内容をさらに工夫することが重要である。

南海トラフ巨大地震に関する内閣府の調査部会が、新たな情報発信のあり方の報告書案をまとめた。

静岡から九州沖まで続く南海トラフ(海底の溝)では、全体がほぼ同時に連動する地震のほか、東海、東南海、南海の震源域が時間差で震動するケースがある。

1707年の宝永地震は、ほぼ全域が連動した。1854年の安政東海地震では31時間後に、1944年の昭和東南海地震では2年後に、南海部で地震が起きた。

政府や自治体の対応が遅れているのは、時間差で震動するケースだ。最初の震源域に隣接した地殻の「割れ残り」地域では、住民の不安が拡大しよう。

地震の発生前でも、地殻の異常な隆起や沈下、滑りなどの前兆現象を検知すれば、政府は、適切に参考情報を出す必要がある。

報告書案は、連動型以外を4分類し、情報発信の例を示した。

南海トラフの東側領域で地震が起きた場合は、「西側の発生確率は3日以内に10%程度」などと発信する。全域内でマグニチュード7級の地震があれば、例えば「より大きい地震の発生確率は7日以内に2%程度」と発表する。

前兆現象の場合は、「地震の可能性が相対的に高まっている」のように漠然とした情報になる。

問題は、一連の情報があくまで「可能性」に過ぎないことだ。

そもそも地震の正確な予知は不可能である。報告書案も、「地震の発生時期や場所・規模を確度高く予測する科学的に確立した手法はない」と結論づけている。

地震情報が発信された地域の自治体は、住民を避難させるべきか、対処に悩むだろう。企業が休業すれば、経済活動にも影響する。

東海地震が予知できることを前提に、政府による厳重な交通規制などを可能にした大規模地震対策特別措置法(大震法)で指摘されてきたのと同じ問題が生じる。

どの組織が観測データを評価して、発信するのかという重要な課題が残されている。いったん出された地震情報を適切に解除する仕組みも検討が求められる。

内閣府は、防災専門家らによる作業部会を設けて、被災者の避難や救助・救援体制、大震法のあり方などを議論している。

甚大な被害を少しでも軽減するため、政府と自治体が協力し、総合的な態勢を構築したい。
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2017年07月22日

[読売新聞] 米中経済対話 世界の安定成長へ責任果たせ (2017年07月22日)

2大経済大国の貿易摩擦は、世界の安定成長を損ないかねない。互いに責任を自覚した行動が求められよう。

米国と中国が閣僚級の経済対話をワシントンで開いた。米国の対中貿易赤字を削減する方策が議題となったが、何ら成果のないまま、物別れに終わった。

米国の対中貿易赤字は3470億ドルで、全体の半分近くを占める。2位の対日赤字の5倍超だ。

米国は今回、中国の鉄鋼過剰生産の是正や、外資規制の緩和を強く求めた。中国は、事実上のゼロ回答だった。会議の開始直後に、終了後の記者会見の中止が決まるほど、両者の溝は深かった。

トランプ米大統領と習近平・中国国家主席は4月の会談で、両国の貿易不均衡是正に向けた「100日計画」策定に合意した。

策定期間の100日間は貿易摩擦を表面化させないための先送り策とも言えた。期間満了を受けた今回の対話の決裂で、対立を抑止する道具立てが失われた。

製造業の雇用回復を急ぐトランプ政権が今後、中国製品の輸入制限といった強硬策に出れば、報復合戦にも発展しかねない。

現にトランプ氏は鉄鋼製品について、安全保障上の理由で輸入制限を検討中だと公言している。この措置は、世界貿易機関(WTO)ルール違反の恐れがある上、中国のほかに日本なども制限対象とされる事態が排除できない。

既に欧州連合(EU)は、米国が欧州産鉄鋼に輸入制限を課した場合、米国産品に対抗措置を発動する、と牽制(けんせい)している。

こうした制裁合戦が広がれば、部品供給などを通じて依存し合う貿易体制が大きく混乱し、世界経済に深刻な悪影響を及ぼそう。

米国は、北米自由貿易協定(NAFTA)や米韓自由貿易協定の見直しを次々に掲げている。しかし、各省庁の幹部人事は滞り、機能不全が指摘されている。

米国は、政府の足元を固めることが先決だ。保護主義的手法に走らず、自由貿易の健全な発展を自国の成長につなげる本来の産業構造改革にこそ注力すべきだ。

中国の責任も重大である。

中国の鉄鋼生産量は、世界全体の半分に上る。実質破綻しているゾンビ企業を温存するなど過剰生産設備の廃棄も道半ばで、世界の鉄鋼相場を歪(ゆが)めている。

不採算の国有企業を整理する。輸出依存の経済を内需主導に転換する。こうした改革を着実に進めていくことが、世界の自由貿易振興にも資する道である。
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[読売新聞] 朝鮮学校判決 不透明な運営に公費は使えぬ (2017年07月22日)

不透明な学校運営の実態を踏まえた妥当な判断だと言えよう。

高校授業料の無償化の対象から除外された朝鮮学校側が、国による処分の取り消しなどを求めた訴訟で、広島地裁が訴えを退けた。

朝鮮学校の除外を適法と認めた初の司法判断である。

無償化制度は、公立高を対象に民主党政権下の2010年に導入された。私立高には就学支援金が支給される。外国人学校も、本国などの高校と同等の教育内容であれば、対象になる。

文部科学省は、自民党政権への交代後の13年、朝鮮学校を支給対象から除外した。朝鮮学校側は、平等に教育を受ける権利が侵害されたとして、各地で提訴した。

朝鮮学校を巡っては、北朝鮮や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との密接な関係が繰り返し指摘されてきた。公安調査庁は、朝鮮総連が北朝鮮の意向で非合法活動に関与しているとみて、調査や監視の対象にしてきた。

別の訴訟で、学校側の資産が朝鮮総連のために流用されたと認定されたことも看過できない。

こうした経緯を踏まえれば、就学支援金が授業料に適切に充当されない、と文科省が懸念したのは無理もない。訴訟でも、学校運営への「北朝鮮や朝鮮総連の影響力を否定できない」と主張した。

判決がこれを追認し、文科省の除外決定が「裁量の範囲を逸脱したとはいえない」と結論付けたのは、もっともである。

資産流用のような事態が今後も起こり得る、と文科省が考えたことについても、「理由がないとは言い難い」と認定した。自然な見方ではないだろうか。

判決は、朝鮮学校が対象外となったのは、支給要件に該当しないためで、「民族を理由としたものではない」との認識も示した。

法の下の平等を保障した憲法の規定に反する、との原告の主張を真っ向から否定する判断だ。

高校無償化の目的は、家庭の事情にかかわらず、生徒の学習機会を確保することにある。政府が公金を投入する以上、不適切な使用を排除しなければ、国民の理解は得られまい。

日本の高校に該当する朝鮮学校高級部は全国に11校あり、昨年5月時点の在籍生徒数は約1400人だ。朝鮮学校側は「子供たちへの差別をあおる判決だ」と反発し、控訴する方針だ。

他の地裁でも順次、判決が言い渡される。朝鮮学校の実態に即した冷静な判断を求めたい。
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2017年07月21日

[読売新聞] 物価目標先送り 焦らずに脱デフレを完遂せよ (2017年07月21日)

デフレ脱却に近道はない。政府・日銀が粘り強く政策を遂行していくしかあるまい。

日銀が、経済成長や物価の先行きを示す「展望リポート」で、物価上昇率2%の目標達成時期を、これまでの「2018年度頃」から「19年度頃」に1年先送りした。

達成時期の先送りは、日銀が13年4月に異次元緩和を始めてから6回目だ。黒田東彦総裁の任期が切れる18年4月までのデフレ脱却を断念したことになる。

展望リポートは、今後の物価上昇率の見通しも下方修正した。

17年度は前回4月の1・4%を1・1%に、18年度は1・7%を1・5%に引き下げた。19年度も1・9%を1・8%とした。

物価回復の遅れによる先送りは残念だ。デフレ退治に魔法の杖(つえ)はないことを改めて銘記したい。

ただし、先行きを過度に悲観することはなかろう。企業や家計を覆うデフレ心理は根強いが、物価は緩やかながら上向いている。

昨年はマイナス圏だった消費者物価指数の上昇率は、今年1月にプラス0・1%に転じ、5月は0・4%まで回復した。

黒田総裁は記者会見で「物価は2%に向けて上昇率を高めていく」との見通しを強調した。今こそ焦らず、腰を据えて金融緩和に取り組むことが大切である。

日銀は昨年9月、金融政策の軸足を「お金の量」から「金利」に切り替える新たな枠組みを導入した。国債大量購入やマイナス金利政策の副作用を緩和し、長期戦に舵(かじ)を切った手法は、一定の効果を上げつつあるのではないか。

気がかりなのは、市場金利の上昇圧力が強まってきたことだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに転じるなど欧米当局の政策方針などが影響している。

日銀の保有国債は、発行残高の約4割に達する。日銀や内外の動きに国債市場が過敏になり、金利は乱高下しやすくなっている。

日銀は今月7日、指定した利回りで国債を買い入れる「指し値オペ」によって長期金利の上昇を抑え込んだ。今後も機動的な金利操作に努めることが大事である。

無論、金融政策だけではデフレに勝てない。企業利益が賃金を押し上げる。消費が活性化し、物価が緩やかに上向く。そんな「好循環」を作ることが肝要だ。

それには、政府が実効性のある成長戦略を進め、民間企業の生産性を向上させる必要がある。日本経済の底力を強めることで、デフレ脱却を成し遂げたい。
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[読売新聞] 防衛省日報問題 混乱収拾へ真相解明が急務だ (2017年07月21日)

従来の説明の前提が崩れかねない事態だ。防衛省は、事実関係の究明を急ぐ必要がある。

南スーダンで国連平和維持活動に従事した陸上自衛隊部隊の日報を巡る問題で、新たな展開があった。

稲田防衛相が2月中旬、日報の電子データが存在していると陸自幹部から報告を受けていた、と報じられた。データは情報開示対象ではないと説明されたという。

陸自は当初、日報は廃棄されたとしていたが、実際は保管されていた。稲田氏は3月以降の国会答弁などで、保管に関する「報告はなかった」と一貫して述べてきた。仮に報告が事実であれば、虚偽答弁にも当たりかねない。

稲田氏は、陸自幹部らとの打ち合わせは認めたものの、「日報が見つかったという報告があったとは認識していない」と全面的に否定した。一方で、詳細に関する説明は避けている。

稲田氏は、現在の事態を深刻に受け止めるべきだ。疑念を払拭(ふっしょく)するには、報道を否定するだけでなく、陸自幹部らとどんなやり取りをしたのか、丁寧かつ踏み込んで説明することが求められよう。

昨年8月の就任後、稲田氏は問題発言を繰り返し、野党は罷免(ひめん)を要求している。閣僚、自衛隊の指揮官として資質を問われ続けているのは残念なことである。

陸自の日報を巡っては、防衛次官、陸上幕僚長ら幹部が「個人データなので公表の必要はない」との方針を決めたとされる。きちんと真相を解明せねばならない。

防衛相直属の防衛監察本部が3月から、日報問題について特別防衛監察を実施している。近く結果を公表する見通しだ。どこまで真実を明らかにすることができるかが問われよう。

制度上、稲田氏ら政務三役は、監察の対象に入っていない。だが、稲田氏は、自ら調査に積極的に協力することが欠かせない。

大切なのは、今の防衛省内の混乱が日本の安全に悪影響を与えないようにすることだ。

北朝鮮は弾道ミサイル発射を強行し、中国軍艦・公船は日本領海への侵入を繰り返す。豪雨災害も続く。厳しい任務に取り組む自衛官の士気を下げてはなるまい。

混乱の背景には、稲田氏ら幹部に不満を持つ勢力による“造反”が指摘される。日報公表の不手際に関する内局と陸自の責任の押し付け合いもあるという。

内輪もめをしている場合ではなかろう。稲田氏らは、一刻も早く事態を収拾させるべきだ。
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2017年07月20日

[読売新聞] 国連開発目標 貧困撲滅へ「日本流」の支援を (2017年07月20日)

途上国の貧困問題の解消には、生活・教育環境を向上させて、次世代を育成する施策が欠かせない。日本の持ち味を生かした支援を着実に拡大することが肝要である。

岸田外相が、国連本部で開かれた「持続可能な開発目標」(SDGs)の閣僚会議で演説した。貧困や飢餓の撲滅など17分野の目標の達成に向けて、国際協力を推進する考えを表明した。

開発目標について「誰一人取り残さない」という日本の基本理念を強調した。子供・若年層らに対する教育、保健、防災、ジェンダー分野を中心に、2018年までに10億ドル(約1100億円)規模の支援を行う方針も公表した。

シリアなどで、内戦で損壊した校舎の復旧や教員の養成、避難民の教育に取り組む。インフラ整備などハード面だけでなく、人材を育成して自立を促すソフト面を重視した支援を拡大したい。

就学率を上げるには、学校の建設にとどまらず、地域と保護者らが連携した運営など、教育行政の改革が重要となる。日本は長年、西アフリカなどで、こうした制度面の支援に取り組んできた。そのノウハウの活用が大切である。

岸田氏は、北九州市の水道技術による途上国支援も紹介した。自治体や企業が持つ高い技術は、生活環境の改善に役立とう。

SDGsは、貧困の撲滅、健康的な生活、質の高い教育の確保など、30年までに実現すべき目標を盛り込んだ国連の行動計画だ。

日本は、人間一人一人の生活や尊厳を重視する「人間の安全保障」を国際協力の理念に掲げてきた。SDGsには、こうした主張が反映されている。日本は目標実現に主導的な役割を担うべきだ。

国連の報告書は、16年時点で、世界の就業人口の約1割が1日1・9ドル未満で暮らしていると指摘する。貧困の蔓延(まんえん)や開発の遅れは、テロや暴力的過激主義などの土壌となりかねない。国際社会全体で対策を講じる必要がある。

世界最大の援助国である米国のトランプ政権は、対外援助を所管する国務省の予算を大幅に減らす方針だ。世界的な開発資金需要を賄えない恐れも指摘される。

日本の今年度の政府開発援助(ODA)予算は5527億円だ。2年連続で増えたが、ピークの1997年度の半分にとどまる。

今後も、予算の大幅な増額は見込めない。民間企業や非営利組織(NPO)とも連携し、途上国の実情に応じて、より質を重視した支援を目指さねばならない。
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[読売新聞] 蓮舫氏戸籍公表 後手に回った「二重国籍」対応 (2017年07月20日)

国会議員として、法律を順守する認識が甘過ぎたと言うほかない。

民進党の蓮舫代表が記者会見で、日本国籍と台湾籍の「二重国籍」問題について説明した。

昨年9月に台湾籍を離脱し、10月に日本国籍の選択を宣言したことを証明する台湾当局の証書や日本の戸籍謄本などを公表した。

1985年に日本国籍を取得した蓮舫氏が、昨年まで台湾籍を保有し、国籍法違反の状態にあったことが裏付けられた。2004年の参院選公報に「台湾籍から帰化」と虚偽を記載したのは、時効とはいえ、公職選挙法に抵触する。

問題の発覚後、蓮舫氏の説明が二転三転したことも不信感を広げた。「もっと関心を持って確認すべきだったと深く反省している」と陳謝せざるを得なかった。

今回の書類公表に10か月も要するなど、対応が後手に回った印象は否めない。党内には、この問題が足かせとなって保守層に支持を広げられず、党勢の低迷につながったという不満も出ている。

疑問なのは、蓮舫氏が、自身の子供が成年に達するのを待って発表したと釈明したことだ。

子供などのプライバシー情報は国籍選択と何ら関係がなく、明らかにする必要もない。

昨秋に米国籍との二重国籍が発覚した自民党の小野田紀美参院議員は、直後に個人情報を伏せて戸籍謄本などを公表した。米国籍を放棄する手続きも行った。

蓮舫氏も迅速かつ適切に対処していれば、ここまで反発は広がらなかったのではないか。

蓮舫氏が、戸籍の開示について「私で最後にしてもらいたい」と述べ、不本意さをにじませたことには違和感を禁じ得ない。

「社会の多様性を損なう」「外国人差別を助長する」といった一部の声を踏まえたのだろうが、筋違いの主張である。

今回は、一般人が国籍で差別されたり、戸籍などの公表を強要されたりしたわけではない。

蓮舫氏が説明責任を問われたのは、国会議員として法に背いたとの疑念を持たれたためだ。

外国籍保有者が国会議員になることは制限されないが、外交官への採用は禁じられている。国会議員は、外交・安全保障、通商政策など国益に関与する公的存在であり、一般人と違って国籍を曖昧にすることは許されない。

野党第1党党首の蓮舫氏は、首相や外相などを目指す立場だ。より厳しく自らを律することが求められるのは言うまでもない。
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2017年07月19日

[読売新聞] 財政試算見直し 20年度黒字化は現実的目標か (2017年07月19日)

将来世代へのツケを少しでも軽くするため、歳出・歳入両面で不断の改革が求められる。

政府は、2020年度の基礎的財政収支が8・2兆円の赤字になるとの試算を公表した。国債などの借金に頼らず、政策経費をどれだけ賄えているかを示す指標だ。

政府は財政再建の目標として、20年度の黒字化を掲げているが、このままでは巨額の赤字が残ることを示している。

赤字幅は1月時点の試算より0・1兆円縮小したものの、「焼け石に水」である。歳入の大幅な増加が見込めない以上、抜本的な歳出改革を断行せねばならない。

国と地方の長期債務残高は1000兆円を超え、財政は危機的状況にある。特に、国の予算の3分の1を占める社会保障費の見直しは急務だ。現行制度のままでは、高齢化の進展などで毎年6000億円規模で膨らむ。

収入の多い高齢者に対する年金給付の抑制や医療費負担の増加といった改革が避けられない。

そもそも試算は、アベノミクスの成功を前提にしている。17年度以降の名目経済成長率が2・5%から3%台後半と高めに推移すると見込み、それに伴って税収が増えると想定している。

だが、日本経済の実力である潜在成長率は0%台に過ぎない。16年度の名目成長率も1・1%にとどまった。こうした経済情勢が続けば、20年度の赤字額は10兆円を大きく上回るとみられる。

潜在成長率を底上げするため、規制緩和や「働き方改革」、成長産業への大胆な転換といった構造改革を進めることが肝心だ。

試算は、19年10月に予定される消費税率10%への引き上げも前提にしている。将来的な消費増税は不可避だが、予定通り実施するかどうか、景気情勢などを多角的に検討する必要があろう。

政府は6月、基礎的財政収支の黒字化と並ぶ財政再建目標として「債務残高の対国内総生産(GDP)比の引き下げ」を掲げた。

GDP比は、国債の追加発行による景気刺激策でGDPを増やすことでも下げられる。これでは、債務削減という真の財政再建にはつながらない。まずは基礎的財政収支の黒字化を目指すべきだ。

ただ、現行の黒字化目標は、期限があと3年余りしかない。達成は極めて困難な状況と言える。

より現実的な目標とするには、どのような工夫が可能なのか。政府・与党内で議論を深める時期に来ている。
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[読売新聞] エネルギー白書 収益力高める海外戦略を競え (2017年07月19日)

エネルギーの自由化時代を迎え、新たな成長シナリオをどう描くのか。電力・ガス会社が直面する課題である。

経済産業省が2016年度エネルギー白書で、電力・ガス大手に積極的な海外展開や新事業開拓を促している。

電力・ガス会社は従来、岩盤規制に守られ、それぞれ営業地域を独占してきた。燃料費などに一定の利益を上乗せして料金を決める総括原価方式にも支えられた。

各社の事業の多様化は遅れている。大半の海外売上高は数%台だ。「地域独占」に甘えて、企業努力を怠ってきた面は否めまい。

だが、昨春に電力小売りが、今春にガス小売りが全面自由化された。新規参入が進み、市場の様相は変わりつつある。人口減で長期的な需要縮小も避けられない。

「国外市場への展開がエネルギー産業発展にとって重要だ」との白書の指摘は理解できる。

自由化市場で各社が創意工夫を凝らし、収益力を高めることは、消費者にもメリットが大きい。

海外の電力・ガス会社の買収といった事業の拡大によって収益基盤が強化されれば、料金の値下げやサービスの充実が期待できる。発電や送電設備への十分な安全投資を行うことは、エネルギーの安定供給にも役立とう。

白書は、自由化で先行する海外事例を紹介する。独電力大手「エーオン」は、英国企業の買収を手始めに、海外展開を加速した。

英ガス大手「セントリカ」は国内の電力事業に参入後、米、カナダの企業を買収した。

国内市場でも、ビッグデータや蓄電池を活用した新しい省エネ事業の提供などが可能という。

海外各社に比べて、日本企業の技術力は決して劣っていない。

発電効率の良い液化天然ガス(LNG)・石炭火力発電や、高性能の原子力・太陽光発電は、世界的にも評価されている。これまで培ってきた発電や送電事業の運営のノウハウも豊富だ。

経済成長を続け、エネルギー需要が増えているアジアの新興国に地理的に近いことも強みだろう。有望市場を取り込む経営戦略を海外企業と競ってもらいたい。

原発については、政府の役割も重要だ。輸出を後押しするとともに、建設や運営を担う人材育成を強化しなければならない。

原発事故後、原子力分野に進む学生が減った。再稼働の遅れによって、技術継承も難しくなっている。産学官が協力し、技術者養成に知恵を絞りたい。
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2017年07月17日

[読売新聞] 2五輪一括決定 魅力ある祭典に変われるのか (2017年07月17日)

異例の手法には、国際オリンピック委員会(IOC)の強い危機感が反映されている。

IOCが、2024年と28年の夏季五輪の開催地を一括して決定することを臨時総会で承認した。

24年五輪に立候補している米ロサンゼルスとパリのいずれかが、28年五輪を開催する。9月の総会で振り分けが決まる見通しだ。

住民の後押しを受けて、五輪招致に積極的に取り組む都市が減少している。その厳しい現状が、今回の承認の背景にある。

24年五輪には両市のほかに、独ハンブルク、ローマ、ブダペストが名乗りを上げていたが、次々と撤退した。重い財政負担への懸念が主な原因だ。住民投票で招致反対が過半数を占めて、撤退を余儀なくされた例もある。

20年東京五輪の開催計画で、費用の高騰が問題化したことも一因となったのではないか。

ロサンゼルスとパリだけが残ったことは、ごく限られた大都市しか五輪を開催するのは難しくなっている現実を物語る。

大会の7年前に開催地を決める方式を続け、28年五輪の招致でも各都市からそっぽを向かれれば、五輪の地位は大きく揺らぐ。それを避けるために、IOCは窮余の策に打って出たと言えよう。

2大会の開催地が同時に決まれば、24年五輪を招致できなくても、再度、招致活動に取り組む必要はなくなる。両市にとってのメリットは小さくない。

冬季五輪でも、危機的状況は変わらない。22年五輪の北京開催が決まった際にも、撤退する都市が相次いだ。14年ソチ五輪で、ロシアが5兆円とされる巨費をつぎ込んだ。それにより、敬遠ムードが広がったことは間違いない。

肥大化し、国威発揚の場としても利用されてきた五輪は、変容を迫られている。28年までは夏季五輪の開催地の心配が不要になることで、IOCは、腰を据えて改革に取り組まねばならない。

改革の基になるのは、IOCが14年に採択した「アジェンダ2020」だ。開催都市の負担軽減のため、既存・仮設施設の活用といった対策が盛り込まれている。

20年東京五輪は、改革を実践する大舞台である。開幕まで24日であと3年となる。政府や都、大会組織委員会の連携不足などで、準備には遅れが目立つ。

将来の五輪の姿をどのように描くのか。東京五輪は世界の注目を集めていることを肝に銘じ、準備を加速させてもらいたい。
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[読売新聞] 空き地活用策 地域の新たな「資源」にしたい (2017年07月17日)

人口減少で増え続ける空き地や空き家を、街づくりの「資源」と捉え、有効に生かしたい。

国土交通省の有識者検討会などが、空き地と空き家の利用に向けた新たな提言をまとめた。点在する空き地・空き家を、地域を活性化するテコと位置付け、効果的な利用法を探るように促している。

具体的には、行政と不動産業者、市民団体などが協議会を作り、街づくりの絵を描く。空き地や空き家の情報を集約して、どう活用すべきかを総合的に考える。

これまでは市町村が物件ごとに利用者を募る「空き家・空き地バンク」があったが、総じて利用は低調だ。街の賑(にぎ)わいが失われつつあるような地方では、不動産需要そのものが限られるためだ。

提言は、使い道を柔軟に決められる空き地などの有用性を強調した。その狙いは理解できる。

独創的な発想で、空き地や空き家の購入、賃借を進めている例も出始めている。

兵庫県篠山市では、地元有志や市が城下町を「一つのホテル」と見立てた。空き家は古民家旅館に改装し、空き地は店舗前の街路などにした。歴史的建物も改修し、旅行客を大幅に増やした。

佐賀市では、市と市民団体が商店街の一角の空き地にコンテナを並べ、童謡教室や雑貨販売などに使う。年4万人以上が訪れ、商店街にも活気が戻った。

他地域でも、地元の特徴を最大限に生かすことが求められよう。政府も先進事例などの情報発信に努める必要がある。

人口増加の時代は、空き地や空き家が出てもすぐ利用され、問題化しにくかった。今も多くの市町村で担当部署が明確でないため、対応が後手に回っている。まずは行政の態勢整備が急がれる。

宅地の空き地・空き家は、この10年でいずれも約2割増えた。地方や都市郊外で増加が際立つ。

空き地などは、ゴミの投棄や雑草、害虫問題を引き起こし、周辺の生活環境を悪化させる。地域のイメージ低下をも招く。

所有者不明の空き地も多い。土地を相続した人が登記せずに死亡した場合などだ。政府は、こうした土地を道路整備などの公共事業に活用できる「利用権」を新設する法整備を検討している。

利用を始めた後に所有者が名乗り出た際の対応が課題となる。金銭や代替地の提供が想定される。個人の資産にかかわるだけに、混乱を招かぬよう透明性の高い制度設計を進めてほしい。
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2017年07月16日

[読売新聞] 老老介護 重層的な支援体制を整備せよ (2017年07月16日)

高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が広がっている。双方の暮らし全体を重層的に支える体制の整備が急務だ。

在宅介護のうち、要介護者と介護者がともに65歳以上の割合が55%に上ることが、2016年の国民生活基礎調査で明らかになった。両者が75歳以上のケースも30%を上回る。いずれも10年間で10ポイント超も増加している。

高齢化と核家族化に伴い、高齢者だけの世帯が増えたためだ。老老介護は、配偶者間だけでなく、老いた親と65歳以上の子供という組み合わせも珍しくない。

高齢の介護者は、自身も持病や心身の衰えに悩む場合が多い。深刻な介護疲れに陥りやすく、共倒れの危険と隣り合わせだ。追い詰められた末の虐待や介護殺人といった悲劇も後を絶たない。現実を重く受け止めねばならない。

要介護になった主因の1位は認知症で、18%だった。要介護者と介護者が認知症という「認認介護」も相当数に上るとされる。生活維持が難しく、火の不始末や介護放棄が起きやすいが、支援を求められず、周囲に気付かれにくい。

最優先の課題は、在宅介護サービスの充実である。特に、24時間対応の訪問介護・看護や、1事業所で通所、訪問、一時宿泊の各サービスを行う小規模多機能型施設の普及が有効だろう。

ゴミ出しや配食、見守りといった、通常の介護保険サービスだけではカバーし切れない、きめ細かな生活支援も重要である。

政府は、手助けが必要な高齢者らを住民同士で支え合う「地域共生社会」を目指す。その一環で、15年度から介護保険の軽度者向けサービスの一部を自治体事業に移した。地域の実情に応じた柔軟で多様な支援の実現が狙いだ。

自治体は、ボランティアやNPOを含めた担い手の育成と運営支援を積極的に推進すべきだ。

地域の目配りと支え合いは、認知症の早期発見にも役立とう。

介護保険は要介護者のケアを基本とするが、介護者に対する支援の重要性も増している。孤立を防ぐため、同じ立場の人たちが交流し、息抜きや相談ができる場所作りなどを進めたい。

介護者の負担感や身体状況などの「介護力」を評価し、段階に応じて自治体などがサポートする仕組みも検討してはどうか。

それでも在宅介護を継続できなくなる可能性はある。特別養護老人ホームなどの受け入れ施設を着実に整備することを含め、多面的な施策が必要である。
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[読売新聞] 関電料金値下げ 原発活用のメリット広げよう (2017年07月16日)

安全性が確認された原子力発電所の再稼働を着実に進め、料金の引き下げとサービスの充実につなげたい。

関西電力が8月1日に電気料金を値下げする。今年度の原資として、高浜原発3、4号機の再稼働による燃料費削減で410億円を、その他の経費削減で467億円を捻出した。

家庭向けで平均3・15%、企業向けは4・90%下げる。標準的な家庭で月180円、中規模な商業施設や工場では20万円も負担が軽くなるという。原発再稼働の経済的なメリットは小さくない。

燃料価格の変動を自動的に料金に反映させる仕組み以外で、大手電力が本格的に値下げするのは東日本大震災以降、初めてだ。

関電は、今秋以降、原子力規制委員会の安全審査を終えた大飯原発3、4号機の再稼働も見込む。値下げ幅はさらに大きくなる。

原発再稼働は料金の低下だけでなく、電力の安定供給にも資する。輸入燃料に依存する火力発電に発電量の8割を頼る現状は、エネルギー安全保障上、危うい。安定した基幹電源である原発を円滑に再稼働させることが欠かせない。

残念なのは、関電より先に原発を再稼働させた四国電力、九州電力が値下げに慎重な姿勢をみせていることだ。特に九電は川内原発に続いて、今秋以降、玄海原発の再稼働も見込むが、財務体質の改善を優先するという。

再稼働の恩恵を利用者に還元する観点から、値下げを前向きに検討すべきだろう。

原発の再稼働の遅れに加え、再生可能エネルギーの普及が進んだことが電気料金の高止まりを招いている。再生エネの電気は、電力会社が事業者から一定価格で買い取り、費用を料金に上乗せする仕組みになっているためだ。

普及を優先しようと、当初の買い取り価格を過度に高くした影響は大きい。標準的な家庭の負担額は月700円近くに達している。2030年度には1000円超に膨らむとの見方もある。制度のさらなる見直しが求められる。

負担軽減のカギを握るのは、電力市場の競争促進である。

昨年4月の電力小売り全面自由化で約300社の新規事業者が参入した。だが、自由化から1年間で、新電力へ切り替えた一般家庭は、全体の5%にとどまる。料金低下の効果が感じられないことが主な要因とされる。

発電コストの安い原発の電気を新電力が調達できる新たな仕組みを設ける必要があろう。
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2017年07月15日

[読売新聞] 熱中症の予防 「危険」のサインに気づきたい (2017年07月15日)

梅雨明けが進む中、日本各地で猛暑が続く。気象庁は、平年を上回る暑さが少なくとも8月中旬までおさまらないとの予報を出している。熱中症への注意が欠かせない。

総務省消防庁によると、今月3?9日の1週間に、熱中症で救急搬送された人は4241人に上った。前週の2倍以上だ。昨年と比べて、北海道や宮城県など北日本で増加が目立つ。

搬送された人のうち、18歳未満は16%、65歳以上は50%だった。子供は、地面からの照り返しの熱を受けやすく、体温調整機能も発達していない。お年寄りは、体調の変化に自分では気づきにくい。周囲の目配りが大切である。

熱中症では、体温の上昇や疲労感、めまいが生じる。重症になると、全身のけいれんや、意識障害なども起きる。高い気温や湿度に体が適応できないことが原因だ。命を失うこともある。

症状が出たら、涼しい場所や日陰に移動し、安静にする。水を飲み、濡(ぬ)れタオルや保冷剤、扇風機で体を冷やす処置が効果的だ。

のどの渇きを感じる前に、こまめに水分を補給することが予防策となる。十分な睡眠や栄養管理を心掛けて、体調を維持したい。

外出時は、風通しのよい、ゆったりした服装が望ましい。強い日差しを避けるため、日傘や帽子なども必須だろう。

屋内でも、油断できない。患者の3?4割が、自宅から救急搬送されている。エアコンや扇風機をしっかり使い、室温を常時28度以下に保つことが肝要だ。

気がかりなのは、九州北部の豪雨の被災地が、30度を超える暑さに連日見舞われていることだ。熱中症のなりやすさを示す指数は、「危険」や「厳重警戒」のレベルに達している。

多くの人が避難生活を送る。心身の負担は大きい。自治体は、避難所の空調や衛生などの生活環境に細心の注意を払ってほしい。

避難者の支援や復旧作業にあたる自治体関係者、ボランティアらも無理は禁物だ。

熱中症の予防には、最新技術の活用が進んでいる。

工事現場などの作業員が身に付けるセンサーから、気温や湿度、体温、心拍数、歩数などが送られる。人工知能がデータを分析し、熱中症の危険度を測る。必要に応じて、休憩や水分補給を促すメッセージを作業員らに送信する。

こうしたシステムをIT企業や建設会社が開発した。今後の普及を期待したい。
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[読売新聞] EPA国内対策 攻めの農業へ構造改革を急げ (2017年07月15日)

日本と欧州双方での農産品市場の開放を前向きにとらえ、生産者の稼ぐ力を高める「攻めの農業」を進めたい。

日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)大枠合意を受け、政府が農林水産業支援の基本方針を決めた。今秋をめどに具体策をまとめる。

基本方針は「強い農林水産業の構築に向けた万全の体質強化対策を講じる」と明記した。

生産・流通のコスト削減や効率化を進める。生産品の品質向上やブランド化で競争力を高める。こうした内容を盛り込んでいる。

就業人口が減り、高齢化も進む中、支援策が単なるバラマキでは農業の将来は危うい。無駄を排し、収益力を上げるという構造改革の方向性は妥当である。

日欧EPAで、国内農業への打撃が最も懸念されるのは酪農業界だ。人気の高いカマンベールなど「ソフトチーズ」に低関税の輸入枠を設け、枠内は段階的に税率を下げることになった。

欧州産のチーズは世界の生産量の半分を占め、種類も豊富だ。関税引き下げで値下がりすれば、国産品が圧迫されかねない。

小規模酪農家の連携強化や、意欲的な新規就農者への支援による生産基盤の拡大が欠かせまい。

飲用など乳製品の原料となる生乳の生産量は減少傾向だが、チーズ向けは伸びている。減塩や地域色を打ち出すなど個性的なチーズを作る生産者も出てきた。

生乳は、指定団体以外へ出荷しやすくなる改正法が先の国会で成立した。生産者や加工業者の機敏で柔軟な取引を期待したい。

豚肉や牛肉の関税は、環太平洋経済連携協定(TPP)合意並みに引き下げられる。スペインのイベリコ豚など、日本の消費者にもなじみ深い産品が、より低価格で販売されるとみられる。

政府は、TPP発効時に予定している生産者向けの補助金制度の拡充を前倒しして実施する方向だ。市場環境の激変に適切に対処することは必要だろう。

EPAは、日本からの輸出を拡大するチャンスともなる。EUが日本の農林水産物にかけている関税は、ほぼ100%撤廃される。「夕張メロン」や「神戸ビーフ」など、食品産地のブランドを互いに保護することでも合意した。

和食ブームを背景に、日本から欧州への農林水産物・食品輸出は最近5年間で1・7倍に増えた。生産者や自治体、農協が一体となって、地元産品のブランド力を高める戦略が重要となろう。
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2017年07月14日

[読売新聞] 民進都議選総括 党の危機に手をこまぬくのか (2017年07月14日)

安倍政権への批判票の受け皿にさえなれなかったことは、危機的な状況である。どう再生を図るのか、今後の取り組みが厳しく問われよう。

民進党が、大敗した東京都議選を総括するため、国会議員から意見聴取を始めた。月内にも総括文書をまとめる。

都議選は、前身の民主党時代を含めて最低の5議席獲得にとどまった。第1党だった前々回の10分の1に落ち込んだ。小池百合子知事が率いた都民ファーストの会にくら替えした候補も多い。

安倍政権の慢心に反発する有権者の票の多くが都民ファーストや共産党に流れたのは、民進党への強い不信感の裏返しだ。

蓮舫代表と野田幹事長は、真剣な反省の弁もなく、続投を表明した。党の会合で「真の解党的出直しがなければ、本当に解党になる」と、執行部の責任を追及する声が相次いだのは理解できる。

次期衆院選に向けた共産党との連携を見直すよう求める意見も出た。憲法改正や安全保障などの建設的な政策論議は進んでいない。議席数で圧倒しているのに、共産党に譲歩しすぎではないか。

政権交代が目標の党として、こうした現状への不満は根強い。

藤末健三参院政審会長と横山博幸衆院議員は離党を表明した。党内のゴタゴタが「離党ドミノ」に発展する可能性もある。蓮舫氏ら党執行部は、求心力の低下を深刻に受け止める必要がある。

読売新聞の最新世論調査で、蓮舫氏に「期待しない」という回答は70%に上った。蓮舫氏が党の立て直しを主導するには、まず都議選の経過と結果を徹底的に検証することから始めるべきだ。

都議選を巡っては、自身の「二重国籍」問題に対する蓮舫氏の説明不足が敗因になった、との指摘も出た。蓮舫氏は近く、台湾籍を有していないことを証明する書類を公表するという。

既に、問題の発覚から10か月余が経過している。あまりに遅きに失した印象は拭えない。

疑問なのは、蓮舫氏の対応が「外国人差別を助長する」との的外れな声が党内にあることだ。

外国籍保有者が国会議員になることを排除する規定はない。だが、立法府の一員が国籍法などに基づく手続きを怠り、説明を二転三転させた責任は小さくない。

国益に直結する外交・通商政策に関わる立場でありながら、自身の国籍に疑念を持たれてはなるまい。まして、蓮舫氏は政権を目指す野党第1党の党首である。
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[読売新聞] 大学共通テスト 知識偏重から脱却する契機に (2017年07月14日)

大学入試センター試験に代わる大学入学共通テスト(新テスト)の実施方針を、文部科学省がようやく決定した。円滑な実施に向けた準備を急がねばならない。

2020年度から実施される新テストの柱は、国語、数学への記述式問題の導入だ。民間委託する採点の基準を明確にし、試行テストで実施体制を点検したい。

マークシート式も、正答を複数選ぶ問題などで、理解度をより正確に判定できるようにする。

英語については、実践的な能力を問う英検やTOEFLなど、外部民間試験の結果を活用する。

受験生の費用負担は増える。地方では受験機会が限られることも懸念される。そもそも、入試を目的としていない民間試験もある。文科省は、対象とする試験の認定を慎重に行うべきだ。

大学入試センターが作成する従来型の英語試験を23年度まで併存させて、選択肢を広げたのは、現実的な判断だろう。将来的に全面移行するのであれば、解消すべき問題点は少なくない。

政府の教育再生実行会議は4年前、脱「1点刻み・一発勝負」を掲げて、新テストの年複数回の実施などを打ち出した。

新テストで一定の学力を確認した上で、各大学が小論文や面接などで多面的に評価する入試に転換するのが狙いだった。

具体化しなかったのは、部活動や行事などへの影響を懸念する高校の反発が強く、大学の賛同も得られなかったためだ。基礎学力を測るテストを別途新設し、入試に活用する案も見送られた。

文科省の実施方針は、大幅に後退した内容だと言えよう。

高校の次期学習指導要領の実施に合わせ、文科省は24年度に新テストをさらに見直す方針だ。理科や地理歴史などでの記述式の導入のほか、パソコンで出題・解答する方式も検討する。

現場の声を踏まえて、実のある改革につなげてもらいたい。

米国の有力大では、共通テストの成績を一定の学力があるかどうかを確認する材料にとどめ、小論文や高校の調査書で受験生を多面的に評価する。フランスや英国は、長文の論述や面接を重視する。

日本も、知識偏重型の入試から脱却する時期ではないか。多くの国立大では、個別試験で長文記述式を出題する方向だ。AO入試や推薦入試の拡充も目指す。

各大学が求める学生像を明確にし、入試の在り方を見直す。新テスト導入をその契機としたい。
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