2017年05月14日

[毎日新聞] ギャンブル依存症対策 カジノの免罪符ではなく (2017年05月14日)

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ギャンブル依存症の予防や治療を盛り込んだ法案の提出に向けて、政府・与党は準備を進めている。

カジノ解禁への批判の中から出てきた動きではあるが、ギャンブル依存症の実態は深刻だ。カジノの免罪符にするのではなく、実効性のある法律にしなければならない。

ギャンブル好きと依存症は違う。いつも頭の中でギャンブルのことを考え、集中力がなくなり、不眠や幻視などが表れる人もいる。それがギャンブル依存症だ。世界保健機関(WHO)が定める疾患である。

多重債務、虐待や暴力につながるだけでなく、強盗や横領などの犯罪を引き起こすことも多い。治療施設で専門的なケアが必要なのに、「意志が弱い」「自制心がない」などと個人的な性格の弱さのせいにされることがよくある。

厚生労働省研究班が3月に公表した都市部の調査結果では、ギャンブル依存症が疑われる成人の割合は2・7%(全国推計では283万人)。アルコール依存症の推計1・0%より高い。23兆円市場ともいわれるパチンコ・パチスロが日本の依存症の大きな原因とも指摘される。

近年は公営ギャンブルもパチンコも市場が縮小しており、より射幸心をあおる機種やルールに変更する傾向がある。利用者数は減っているが、1人がギャンブルにつぎ込む金額は増えており、依存症になるリスクは高まっていると言える。

政府が検討している法案は、本人や家族の申告による競馬場やパチンコ店の入場規制、パチンコの出玉規制の基準見直し、馬券売り場にある現金自動受払機(ATM)のキャッシング機能の廃止などが内容だ。中高生や大学生向けの予防・啓発も検討されている。

ギャンブルは種別によって所管官庁が多岐に分かれており、調整は容易ではない。業界や地方自治体からの抵抗も予想される。しかし、実効性の薄い法案になったのでは、やはりカジノ解禁の免罪符に使われたとの批判は免れないだろう。

子ども連れでもパチンコ店などに自由に出入りできるのが日本の現状だ。低年齢児などの入場制限や、射幸心をあおらない規制などの予防策はできるはずだ。政治主導で厳しい対策を打ち出すべきだ。
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[毎日新聞] 商工中金の不正融資 民間補完に徹する体制を (2017年05月14日)

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政府系金融機関の商工中金で融資を水増しする不正が発覚した。政府は業務改善命令を出したが、型通りの対策に終わらせてはならない。民間融資の補完に徹するよう、体制を抜本的に見直すべきだ。

不正があったのは、金融危機や震災で経営難に陥った中小企業向けの危機対応融資だ。2008年のリーマン・ショック後に国が創設した。

商工中金の第三者委員会の調査で判明した不正は200億円近い。対象外の健全な企業の書類を改ざんし、業績を悪く見せかけて融資先に加えた。調査したのはまだ全体の1割強で不正は膨らみそうだ。

まず問題なのは公的資金を活用した融資に対する無責任な姿勢だ。

利子は国が補給し、返済が滞った場合の損失も国が穴埋めする。不正による焦げ付きは出ていないが、チェック体制があまりにずさんだ。

社長は経済産業省、副社長の一人は財務省の天下りだ。国が後ろ盾にいるという甘えが、組織の緩みを招いたのではないか。

政策金融の役割からも逸脱した。

危機対応融資は中小企業の経営を低利で支える公的な安全網だ。

ただ緊急事態を脱すれば支援が必要な企業は減る。その段階で商工中金は融資を縮小すべきだったが、逆に過大なノルマを現場に課した。

利子補給を武器に民間金融機関に対抗しようともした。国の制度を悪用して民間を圧迫するものだ。

第三者委によると、融資水増しの背景は、危機対応融資を自らの存在意義と位置づけたことだという。

政府は05年、政策金融改革の一環として、商工中金の完全民営化方針を決めた。だが、その後、危機対応を理由に先送りした経緯がある。

危機対応融資の拡大で存在感を誇示し、将来の完全民営化も逃れようとしたとみられても仕方がない。

商工中金は政府の改善命令前に役員報酬の削減などを発表したが、その場しのぎだ。経営陣や組織を刷新し、民間補完の立場を明確にして信頼回復を図ることが急務だ。

政府も政策金融の肥大化を防ぐ必要がある。そのうえで商工中金を早期に完全民営化する道筋を示すことが重要だ。危機対応融資は、ほかの政府系金融機関に集約することなどを検討すべきだ。
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2017年05月13日

[毎日新聞] 「共謀罪」で自公維が合意 欠陥の修正にはほど遠い (2017年05月13日)

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後半国会の焦点である「共謀罪」法案をめぐって、自民、公明両党と日本維新の会が修正で合意した。

修正案では、「捜査を行うに当たってはその適正の確保に十分配慮しなければならない」と本則に盛り込むという。だが、こうした訓示規定が行き過ぎた捜査の歯止めになるのか。実効性は疑わしい。

また、維新が求めた対象事件の取り調べ可視化(録音・録画)は、付則で検討課題と盛り込むにとどまった。抜本的な見直しにはほど遠い。

政府は、法案提出の目的を、国際組織犯罪防止条約を締結するためだという。だが、条約の締結に当たって、幅広い共謀罪の法整備が必要なのか。政府・与党と野党の主張は今も平行線のままだ。

一方で政府は法案提出に当たり、テロ対策を前面に打ち出している。

確かに多くの国民がテロ対策の必要性を感じている。ただし、「共謀罪」法案は、計画、準備段階の犯罪の処罰を可能とするものだ。捜査が市民生活への監視にまで及ぶことへの国民の懸念は根強い。

仮に「共謀罪」法案が必要ならば、まずは対象犯罪を徹底的に絞り込むことが最低限求められる。

そもそも、共謀罪新設に当たり、条約が求める600以上の対象犯罪は減らせないと政府は長年説明してきた。だが277に半減させた。

適用対象を組織的犯罪集団に限定などすれば対象犯罪を減らせる。条約もそれを容認しているというのが、新たに持ち出してきた論法だ。あまりにご都合主義的だ。結局、条約が各国の裁量を広く認め、解釈の余地があるのだろう。

対象犯罪の絞り込みは難しくないはずだ。国会審議でも、法学者が性犯罪など必要性の薄い犯罪が多数含まれていると指摘した。

もう一つ、捜査権の乱用の歯止め策について、与野党で徹底的に議論を深めることを求めたい。

組織的犯罪集団に適用対象を限定し、犯罪の準備行為も要件に加えたとはいえ、定義にあいまいさは依然残る。捜査機関に市民監視の武器を与えてしまうのではないか。その不安は当然だ。法案の条文で具体的な対策を書き込むしかない。

与党は来週にも採決する構えだ。数の力で押し切ってはならない。
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[毎日新聞] 五輪仮設費を都が全額負担 政治決着に疑問が残る (2017年05月13日)

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一歩前進ではあるが、割り切れなさが残る決着だ。

2020年東京五輪・パラリンピックで、東京都外の7道県4政令市で実施する競技会場の仮設整備費約500億円は都が全額負担することになった。小池百合子知事が安倍晋三首相に直接、判断を伝えた。

仮設施設の整備費は資材高騰などで膨らんだ。大会組織委員会の負担分を除く2000億円のうち、都外分を巡り都と関係自治体の対立が先鋭化していた。都は費用分担の大枠を当初は3月末に示すはずだった。

仮設費用は大会組織委員会が全額負担し、不足分を都が補填(ほてん)するというのがそもそもの原則だった。

競技施設を新設するコストを考えれば、都外開催は都の負担軽減でもある。開催まであと3年に迫り、この問題が準備事業全体を停滞させていた。原則に沿った都の決断にはやむを得なかった面もある。

とはいえ、サッカー競技が予定される札幌ドームの仮設費用まで都が全額負担することに、都民には割り切れぬ思いもあるだろう。

都外の自治体側も地域活性化のプラス面を考慮すれば、相応に歩み寄り、負担を分担してもよかったのではないか。

今回は神奈川、千葉、埼玉の3県知事が首相や菅義偉官房長官に負担反対を直訴し、その直後に小池知事が全額負担を決めた。

小池知事は築地市場の豊洲移転問題の判断も迫られている。7月の東京都議選を控えて、結論をこれ以上先送りしづらいという事情が働いての政治決着ではないか。

今回の問題で際だったのは、都や都外自治体、組織委が責任を押しつけ合う調整役不在の構図である。

仮設費は道筋がついたが、さらなる懸案は大会運営費の分担である。

総額8200億円の半分は組織委が負うが、残りの4100億円の分担が決まっていない。

五輪開催の「ホストシティー」との理由だけで、国やほかの自治体が都に負担を押しつける構図を繰り返すべきではあるまい。

開催総額の圧縮努力を進めながら、運営費の分担スキームの策定を急がねばならない。今回も丸川珠代五輪担当相の影は薄かった。今度こそ調整の前面に立ってほしい。
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2017年05月12日

[毎日新聞] 「9条改正」せかす首相 議論の基盤を壊している (2017年05月12日)

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衆院憲法審査会できのう予定されていた審議が見送られた。安倍晋三首相が憲法9条に自衛隊の存在を明記する改憲案のとりまとめを自民党に指示し、野党が反発したためだ。

戦争放棄と戦力不保持を定めた9条1、2項は維持したままの自衛隊明記には野党の賛同者も少なくない。それでも野党が抵抗するのは、これまでの与野党論議を飛び越えて首相が性急な改正を求めたからだ。

首相は憲法記念日の集会にビデオメッセージを寄せ、9条改正の2020年施行を目指す考えを表明した。その一方、国会の質疑では、自身のインタビューが掲載された読売新聞を「熟読していただければいい」と答弁して説明を避けた。「国会軽視」だと反発した民進党に対しては「具体的な提案を憲法審査会に提出していただきたい」と挑発した。

衆参両院の憲法審査会は与野党の合意形成を重視してきた。前身の憲法調査会から引き継がれてきたのが「改憲を政局に利用しない」という暗黙の了解だ。最高法規である憲法の改正には幅広い国民合意が必要だとの基本的な考え方に基づく。

そもそも、憲法改正案の発議権を持つ国会の頭越しに行政府の長が具体的な改憲方針を明示するのは異例だ。首相は国会における憲法論議のルールを軽んじている。

自民党内では、首相に近い議員を中心に、改憲項目の具体化作業が進まない憲法審査会への不満も募る。「両院で改憲勢力が3分の2を持っている間に」「民進党が反対したら衆院解散」との声も聞かれる。

自民党が12年にまとめた憲法改正草案では、9条2項を全面的に見直し、「国防軍」の保持を明記している。それを撤回する党内論議もないまま、首相指示に従うのか。

衆院憲法審査会で自民党は、首相指示は「あくまで党内向け」と説明し、20年施行の目標期限にも縛られないことを確認した。今後、党内の検討作業と審査会の議論との間に矛盾が生じるのは間違いない。

首相は現行憲法を「占領期の押しつけ」と批判してきた。しかし、党内外の議論を後回しにして9条改正をせかす首相の姿勢こそ、押しつけではないか。

首相は自らの発言が冷静な議論の基盤を壊していると認識すべきだ。
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[毎日新聞] 米大統領がFBI長官解任 強権で疑惑を隠すのか (2017年05月12日)

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何とも乱暴で露骨な人事と言わざるを得ない。トランプ米大統領は、任期を6年も残す連邦捜査局(FBI)のコミー長官を突然解任した。

大統領は司法省の「コミー氏はFBIを効率的に統率できない」という判断に従ったまでだと言うが、まるで説得力がない。

FBIは昨年の大統領選におけるトランプ陣営とロシアの関係を調べていた。ロシアが行ったという民主党陣営へのサイバー攻撃に、共和党のトランプ陣営が何らかの形で関わったのではないか、との疑惑だ。

FBIが捜査態勢の拡充を司法省に求めた数日後にコミー氏が解任されたとの報道もある。疑惑が一向に晴れない中で長官を解任すれば、大統領は捜査を妨害したいのか、という観測が広まるのは当然だ。

そもそもトランプ氏はコミー氏を評価していたはずだ。大統領選の対立候補クリントン元国務長官の「私用メール問題」についてコミー氏は昨年7月、「訴追に相当せず」と発表したが、投票日直前の10月末に再捜査を宣言し、クリントン氏の敗北につながったとされるからだ。

トランプ政権はコミー氏の7月の対応について「司法長官の権限侵害」としているが、10カ月も前の話を解任の理由とするようでは、ご都合主義の批判は免れまい。

トランプ氏は大統領令を差し止めた裁判官も激しく批判した。大統領は司法に対して超越した存在であり、意に沿わぬ者は相応の理由がなくても排除できるという、危険で誤った思い込みがあるのではないか。

都合の悪い報道は「フェイク(偽)ニュース」と決め付け、好意的な報道をするメディアを重用する姿勢にも同様の危うさを感じる。

だが、権力と闘ってきた米国のジャーナリズムが、それでひるむとは思えない。1973年、ニクソン大統領はウォーターゲート事件の追及をかわそうと特別検察官を解任したが、結局は辞任に追い込まれた。強権を発動しても、真実を隠し通すことはできないという教訓だ。

民主党は特別検察官による真相究明を求め、共和党内にも大統領を批判する声がある。メディアの追及も激しさを増すだろう。強権発動によってトランプ氏はむしろ自分を窮地に追い込んだように思える。
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2017年05月11日

[毎日新聞] アフリカ・中東の飢餓 支援が圧倒的に足りぬ (2017年05月11日)

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アフリカや中東で深刻な食糧危機が広がっている。

国連のグテレス事務総長は2月、アフリカの南スーダン、ソマリア、ナイジェリア北東部と、中東のイエメンで、約2000万人が飢餓に直面する恐れがあると警告した。

放置すれば、第二次世界大戦後で最悪の人道危機になりかねない。

しかし、国際社会の関心が高まっていないのが気がかりだ。

国連は44億ドル(約5000億円)の支援を国際社会に求めているが、3月までに集まったのはその1割にすぎない。圧倒的に足りない。

かつて戦争と飢餓の「暗黒大陸」とも呼ばれたアフリカは、冷戦終結後に急速な経済成長をとげ、今では「最後のフロンティア」として潜在力が期待されている。だが経済基盤のもろさも抱えている。

干ばつなどの自然現象に加え、紛争が事態を悪化させている。

南スーダンでは、民族対立による内戦で農地が荒廃し、国連は2月、北部地域が「飢饉(ききん)」に陥ったと宣言した。約26万人が死亡した2011?12年のソマリア以来で、1万人に2人以上が毎日餓死する最悪の状況を指す。

日本は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に陸上自衛隊を派遣した。また、飢餓対策に約6億9000万円の緊急無償資金協力の供与を発表した。できる支援を今後も続けなくてはならない。

貧困層の不満に乗じてイスラム過激派が浸透し、内戦状態に苦しむナイジェリアやソマリアには、経済格差解消を進める対策も必要だ。

イスラム教シーア派の武装勢力と政府軍の内戦が続く中東のイエメンでは、約50万人の子供たちが餓死する恐れがある。生き延びるために戦闘に参加する子供たちも増えているという。

最大の資金拠出国である米国のトランプ政権は、対外援助を大幅に減額する方針を打ち出している。大国としての責任が感じられない。

食糧を届ける支援関係者への相次ぐ襲撃も問題になっている。援助を阻む行為を中止させるよう、紛争当事者に強く働きかけ、供給ルートを確保する工夫が必要だろう。

危機を直視し、国際社会が一致して行動を起こすべき時だ。
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[毎日新聞] 赤ちゃんポスト10年 命を守る活動を広げたい (2017年05月11日)

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貧困や暴力などが絡んだ不慮の妊娠によって、望まれずに生まれる子供がいる。

そうした子を守ろうと、熊本市の慈恵病院が「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」を始めて10年になる。親が育てられない子を匿名で受け入れる国内唯一の施設だ。

預けられた赤ちゃんは昨年3月までに125人に上る。同病院は児童相談所と協力し実親の調査や、特別養子縁組につないで赤ちゃんが手厚く養育されるよう取り組んできた。

赤ちゃんポストをめぐっては開設当初「安易な子育て放棄を助長する」との批判があった。当時、安倍晋三首相も「匿名で子供を置いていけるものを作るのには大変抵抗を感じる」などと否定的な発言をした。

だが、最近は若者の貧困や家族の機能低下などを背景に「望まない妊娠」は増え、小中学生の出産も少なくない。同病院が受ける妊娠や出産に関する問い合わせも年間5000件を超える。ポストの必要性は感じられるようになってきた。

厚生労働省によると、無理心中以外の虐待で亡くなった18歳未満の子供は2003?14年度で計626人に上る。このうち半数近くが0歳児で、実の母親が加害者である場合がほとんどだ。

もともと日本は望まれずに生まれてきた子への対応が遅れてきた。妊娠中絶の件数が多いことも背景にある。ドイツをはじめ諸外国では赤ちゃんポストに類似した制度が古くから存在し、多くの命を救ってきたのとは対照的だ。

最近になって厚労省は産科のある医療機関、貧困や家庭内暴力の被害者を支援するNPOなどに児童福祉司を配置し、「望まない妊娠」をした女性の支援に乗り出している。

今年4月から施行された改正児童福祉法では、里親や特別養子縁組の支援を強化することになった。さらに、養子縁組をあっせんする民間団体への法規制を強化し、金銭目的の団体を排除するなどして質の向上に取り組んでいる。

それでも網の目からこぼれるケースはあるだろう。赤ちゃんポストが受け止めてきたものの重さを認め、より幅広い支援体制を構築すべきだ。どんな事情があっても生まれてきた命は守られねばならない。
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2017年05月10日

[毎日新聞] 韓国新大統領に文在寅氏 地域安定へ日韓で協力を (2017年05月10日)

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前大統領の失脚に伴う韓国政局の混乱を収拾し、安定へ向かう一歩となってほしい。

韓国大統領選で革新系の最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)氏が当選を確実にした。

2008年まで続いた盧武鉉(ノムヒョン)政権以来の左派政権となる。

この1カ月間、北朝鮮情勢は緊張し続けてきた。それを受けて保守派は、文氏の北朝鮮に対する融和的な姿勢を攻撃した。それでも結果に大きな影響はなかった。

むしろ韓国の株価は上昇し、先週は6年ぶりに最高値を更新した。半年にわたった政治の空白が終わることへの期待が大きいのだろう。

大統領選が現職の罷免に伴って行われたのは初めてだ。新政権は、罷免された朴槿恵(パククネ)前大統領の負の遺産を背負ってのスタートとなる。それを乗り越える国造りが最大の使命となろう。


慰安婦合意を基礎に
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新大統領にはまず日韓関係の安定に向けた取り組みを求めたい。

現在の日韓関係の基礎となっているのは、慰安婦問題に関する一昨年の日韓合意だ。それは、懸案だった日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結にもつながった。

ところが文氏は合意に否定的で、日本との再交渉を訴えてきた。国家間の合意を一方的に覆すようなことは許されない。

文氏は元慰安婦の考えが反映されていないと主張するが、実際には、元慰安婦の7割以上が合意に盛り込まれた事業を受け入れている。高齢の元慰安婦が存命のうちに解決策を探ろうとしたことは正当に評価されるべきだろう。

日本側は、ソウルの大使館前に建つ慰安婦問題を象徴する少女像を問題視してきた。その問題が解決されていないのに、釜山の日本総領事館前にも新たな像が建てられたことへの反発は強い。

残念なのは、少女像問題の深刻さを軽く見る傾向が韓国側にあることだ。新政権には合意の精神を踏まえた対応を求めたい。

緊迫する北東アジア情勢を考えれば、日韓の協力強化は互いにとって利益となる。それなのに近年は歴史認識や領土の問題に足を取られ続けてきた。

日韓間の懸案は、互いの国民感情を刺激しやすい。自国世論への目配りが欠かせない点で、日韓両国政府は同じ立場にある。

両国の政治指導者には、いたずらに相手を追い込んで互いに強く出ざるを得ないような悪循環を避ける責任がある。

対北朝鮮政策では日米韓の連携が基本である。文氏には、対北朝鮮政策でも現実的な対応を求めたい。

米国のトランプ政権は、軍事・外交両面での圧迫を最大限に高めて核問題の対話解決に道筋をつけるという新たな対北朝鮮政策を策定した。米国はいま、中国を巻き込んで圧迫を強めようとしている。


社会の統合が必要だ
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文氏の掲げた対北朝鮮政策はこれと衝突しかねない。特に、韓国企業が北朝鮮の労働者を雇用していた開城(ケソン)工業団地の再開は、北朝鮮に圧迫を加えようという国際的な動きに逆行している。

米国も、北朝鮮の体制転換を狙っているわけではない。最終的に対話で解決するという目標は韓国と同じだ。それにもかかわらず韓国が性急に融和策を探ろうとすれば、日米韓の連携を乱し、北朝鮮に付け入るすきを与えかねない。

新大統領が取り組まねばならない国内の改革は困難を極める。

民主化後の歴代大統領は例外なく政権末期に親族や側近のスキャンダルに見舞われてきた。大統領に権力が集中していることが背景にあると指摘され、それが財閥と権力の癒着につながったと批判される。

改革の必要性は今までも叫ばれ、大統領の権限を制限しようという努力も行われた。それでも大統領罷免という前代未聞の事態が起きてしまった。

より根本的な対策を取るために憲法改正が必要だと指摘されている。新大統領には、改革の具体策について社会の合意をまとめるという重い課題がある。

前大統領罷免と激しい選挙戦で、韓国社会における左右両派の対立は激化している。これを沈静化させる社会統合を図ることが、まずは必要だ。新大統領にとってはそれが試金石となる。
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2017年05月09日

[毎日新聞] 憲法改正提案と森友問題 首相答弁に改めて驚く (2017年05月09日)

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一体、国会は何のためにあると安倍晋三首相は考えているのだろうか。改めて強い疑問を抱かせる衆院予算委員会の集中審議だった。

まず指摘したいのは、憲法改正に対する安倍首相の答弁だ。

首相は先週、9条の1項と2項を維持したうえで「自衛隊を明記した条文を追加する」との考えを提起した。5月3日付の読売新聞朝刊でのインタビューで明らかにし、同日開かれた改憲を求める団体などが主催した集会に寄せた首相のビデオメッセージでも同様に表明したものだ。

議員側が集中審議で、その意図をはじめ、より具体的な条文の中身や考え方を聞くのは当然だ。しかし、首相は、提案は自民党総裁として示したのであり、予算委は首相の立場での答弁に限定すると強調。「総裁としての考えは読売新聞を熟読していただきたい」と突き放した。

今回「2020年に新憲法施行を」とまで明言したのは首相本人だ。ところが国会で質問されると、首相と総裁の立場を使い分け、「後は与野党で」とゲタを預けてしまう。

これではあまりに無責任でご都合主義だ。首相が狙ったという「憲法議論の活性化」も阻むことになる。

大阪市の学校法人「森友学園」問題に関する答弁にも驚いた。

この問題では最近、学園の籠池泰典前理事長が一連の交渉経過について首相の妻・昭恵氏にその都度、報告していたと明らかにしている。自らの進退にも言及した「私も妻も関わっていない」との首相答弁は一段と揺らいでいると言える。

だが民進党議員が「学園と昭恵氏はズブズブの関係だ」と指摘した途端に首相はムキになり、「品の悪い言葉はやめた方がいい」「それが民進党の(低)支持率に表れている」とお門違いの反論をしてみせた。

言葉遣いは確かに悪い。ただし、国民が聞きたいのは、そんな話ではなく真相だ。野党が籠池氏の証言ばかりを流しているというのなら、昭恵氏が記者会見や国会の場できちんと反論するよう首相が促すべきだ。

財務省も結局、手続きは適正だったと繰り返すだけで、野党の要求に応じて提出した資料も黒塗りだらけだった。これで通用すると考えているとしたら、首相と同じく国会、いや国民軽視である。
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[毎日新聞] 仏新大統領にマクロン氏 欧州結束に引き戻せるか (2017年05月09日)

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フランス大統領選は決選投票で、欧州連合(EU)の統合推進を掲げた中道・独立系のマクロン前経済相が勝利した。仏史上最も若い39歳の大統領となる。

反EUを訴えた極右・国民戦線のルペン氏は敗れた。

得票率で約66%対約34%の大差がついた。親EU派の勝利に、ドイツのメルケル首相やEU首脳陣は歓迎の声を上げている。

マクロン氏の勝因は保革2大既成政党が低迷する中、「右でも左でもない」道を掲げ、若さと新しさを前面に押し出したことだろう。

草の根の市民運動「前進」を率い、有権者からの聞き取り調査をもとに支持層を広げた。経済立て直しのため規制緩和を説く一方、弱者に配慮した政策も掲げ、既成の左右にとらわれない道を示した。

またグローバリズムを支持し、開かれたフランスを主張した。英国の離脱で動揺するEUは、ひとまず欧州分裂の危機を回避したといえる。

とはいえルペン氏は、国民戦線としては史上最多の1000万票以上を獲得した。白票などを除く投票の3分の1が反グローバリズム、保護主義、反移民の主張に賛同したことを深刻に受け止めるべきだろう。

フランスはEU統合を主導しつつグローバリズムの進展により国内で格差が広がった。恩恵を受けられなかった失業者、労働者らが既成政治やエリート、移民への不満を持つ。

排外主義的な主張を基軸とする国民戦線とルペン氏は、そうした不満をすくい上げて伸長してきた。

欧州では昨年12月のオーストリア大統領選で極右政党の候補が接戦で敗れた。今年3月のオランダ下院選で極右政党が第2党に進出した。極右台頭の懸念は消えない。

マクロン氏は議会での基盤がほとんどない。6月に実施される国民議会(下院)選で、与党勢力をどれだけ集められるかが焦点となる。既成政党と組むことになれば、新しい政治を求める国民の反感を買うことになりかねない。

EU統合策が国民に広く恩恵をもたらすことを、マクロン氏は改めて示さねばならない。分裂・分断した社会の修復にも努めねばならない。

国民の融和と欧州の結束を実現できるか、政治手腕が問われる。
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2017年05月07日

[毎日新聞] 米国抜きのTPP協議 なお戦略的な意味を持つ (2017年05月07日)

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環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加する日本政府は、米国抜きの発効を目指し、米国以外の11カ国での協議に入った。

巨大市場の米国が離脱したままでは効果が乏しいとの意見も根強い。それでも、TPPを漂流させずにアジア太平洋地域に自由貿易圏を形成することは、トランプ米政権の保護主義政策をけん制する戦略的な意味を持つはずだ。

日本は従来、米国抜きに慎重だった。だが、日米経済対話などを通じて、米国の早期翻意は困難と判断した。11カ国での発効を先行させ、将来的な米国の復帰を待つ考えだ。

ただ、各国の思惑は複雑だ。

オーストラリアやニュージーランドは日本などへの農産物輸出の増加を期待し、米国抜きに前向きだ。

一方、ベトナムやマレーシアは慎重だ。繊維製品などの対米輸出拡大を見込んでいたためだ。

また、ペルーやチリは、米国の代わりに中国の参加を望んでいる。

各国の事情は異なるが、高水準の通商ルールというTPPの成果をまず具体化することが、それぞれの国益につながるのではないか。

TPPは貿易や投資の自由化に加え、知的財産権の保護や電子商取引の促進など幅広い分野を網羅する。米国抜きというマイナス面を割り引いても、利点は多いはずだ。

多国間交渉に背を向けたトランプ政権は、各国に2国間交渉を迫る構えだ。米国の経済力をバックに相手国の譲歩を引き出す狙いだ。

米国抜きの自由貿易圏を構築すれば、米国の保護主義的な圧力に対する防波堤の役割も果たせるだろう。

米国がTPP離脱で自由貿易の恩恵を得られず、自らに不利と分かれば、米国内で復帰を求める声が高まる可能性もある。米国を多国間の枠組みに引き戻すてこにしたい。

11カ国は今月下旬にベトナムで閣僚会合を開く。経済規模が最大の日本は協議を主導し、意義が理解されるよう努めてほしい。並行して米国には粘り強く復帰を促すべきだ。

米国抜きの協定を発効させる場合、日本政府は国内手続きとして国会承認を取り直す必要がある。承認を得た現在の協定から枠組みは大きく変わる。政府はTPPの将来像を国民に丁寧に説明してほしい。
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[毎日新聞] 注目されるスギ「新建材」 林業再生へ活用広げたい (2017年05月07日)

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衰退の続いた林業に薄明かりが差し始めている。

日本の森林は国土面積の3分の2を占め、世界有数の豊富な資源がある。しかし、9割以上あった木材自給率は高度成長期の輸入完全自由化で下がり続け、2002年は2割弱にまで落ち込んだ。

それが15年に3割強にまで回復した。合板の製造技術が上がり住宅での利用が増えたり、地球温暖化対策で木質バイオマスを使う発電の需要が高まったりしたためだ。

ただし、このレベルでは満足な状態とは言えない。戦後の植林で樹齢46年以上の樹木は5割を超え、伐採期を迎えている。活用の道が見いだせず放置すれば、森林は荒廃する。

そこで、木材活用の切り札として主にスギを使った新建材・CLT(直交集成板)が注目されている。

木目が交差するように何層も板を重ねたパネルのことで、鉄骨より軽いのに、同等の強度がある。工期も短縮でき、木のぬくもりもある。

欧州では木造建築でCLTの需要が急増した。国土交通省は柱などに利用できるよう建築基準を改め、3階建て以下の建築物は原則耐火材なしで簡単に使えるようにした。

注目の高まりを受け、岡山県真庭市では国内初のCLT専用工場が昨年稼働した。東日本大震災で被災した福島県いわき市では復興公営住宅に使われることになった。

木材を多用する新国立競技場でも天井にCLTが使われる見通しだ。

課題もある。国内のCLTは外国製より価格が高い。需要を増やし、生産効率を高めることが大切だ。

新国立競技場を設計・デザインした建築家の隈研吾さんは「木を使うことが世界中で見直されている。欧州ではCLTの技術が進み、10階建ての木造マンションがある」と中高層建築物への活用を期待する。

国内では3階建て以上の木造建築物は少ない。その一部にCLTを使えば伐採期を迎えた樹木の活用が広がる。林業とそれを地場産業とする地域の活性化にもつなげたい。

森林は生態系の維持や水質浄化など多くの恵みをもたらす。森林維持には「植えて、育て、使う」サイクルを回し、安定した木材需要を作る必要がある。木材活用を後押しする方策を議論する足がかりとしたい。
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2017年05月06日

[毎日新聞] 広がるサービス見直し 快適・便利の裏側考えたい (2017年05月06日)

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ヤマト運輸が配送現場の負担を減らすため、宅配の時間指定を一部廃止する。働く環境を改善して、人手を確保しやすくする対策だ。

消費者はこれまで、企業が提供するサービスを当然と受け止め、快適さと便利さに浴してきた。

だが、その裏側に過重な労働を強いられる人はいないのだろうか。労働人口が減少に向かう時代の流れもふまえ、問い直したい点である。

サービスの再検討は、さまざまな業界で進んでいる。

ファミリーレストランのロイヤルホストは24時間営業を全面廃止した。すかいらーくや日本マクドナルドも深夜営業の店を減らしている。

イオンは、首都圏1都2県の大型店の約7割で開店時間を繰り下げた。中堅スーパーや都心の駅ビルなども相次いで、夜間や24時間の営業を見直している。三越伊勢丹は昨年から首都圏の多くの店で正月の初売りを1月2日から3日に遅らせた。

サービスを提供する時間を増やせば、消費を取り込み、業績は伸びるというのが定説だった。「冷蔵庫は24時間動いているし、配送や掃除、商品の陳列も夜の方が効率がいい」と言った経営者もいた。

そして消費者は、配達時間の指定や24時間営業、元日からの開店を便利でありがたいと歓迎した。

どちらも大切なことを忘れていたのかもしれない。サービスを生む「人」の存在だ。日本経済が順調に拡大を続け、人口減少が話題にならなかった時代だったからでもある。

欧州では、日曜休日や深夜の営業は空港やターミナル駅などの店に限られている国がある。ドイツやフランス、スイスなどだ。

規制緩和で日曜営業の百貨店も登場しているが、伝統的・宗教的に労働者を保護する考えが強い。体力と資金のある大型店の攻勢から中小の店を守る狙いもある。

そうした考え方には学ぶ点が少なくない。それに彼らの方が日本人よりもよく休み、労働生産性は高いという事実もある。

連休中、多くの人がさまざまな場面でサービスを受けているはずだ。手厚いサービスが、だれかの犠牲の上に成り立っていないか。その質の高さはこれからも持続可能なのか。改めて考える機会にしたい。
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[毎日新聞] 透明化した五輪マラソン選考 高水準の争いに期待する (2017年05月06日)

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2020年東京五輪からマラソン代表の選考方法が変わる。日本陸上競技連盟は協議による選考をやめ、同じレースで競わせる場を設ける。

主観的な要素を極力排除し、透明性を高めたものと評価できる。

新たな選考方法では、今年夏からの国内外の主要大会が「予選」と位置づけられる。設定記録や順位で「予選」を通過した選手が19年秋以降に新設される「決勝」レースに臨み、男女とも3枠ある代表のうち優勝者ら2人を自動的に選出する。

残り1人については、その後の主要国内大会で最速の記録を出した選手を含め選ぶ。

これまでは気象条件やコースの難易度が異なる複数のレースから「総合的に勘案して」選考してきた。そのため過程に不透明さや基準に曖昧さが生じ、社会問題となるケースもあった。

00年シドニー大会金メダリストの高橋尚子さんは04年アテネ大会に向け、選考レースの一つで2位に入ったことから後の大会を回避したところ落選し、物議を醸した。

昨年のリオデジャネイロ大会では、選考レースで設定記録を破り優勝した福士加代子選手がその時点で内定にならず、約1カ月後の別の選考会に強行出場する意向を示した。

新たな選考方法は透明性だけでなく、調整能力や安定性、勝負強さを求めた点も特徴だ。選手は最低でも「予選」と「決勝」にピークを合わせ、結果を出さなければならない。

代表がすべて決まる20年春まで約3年という時間を作ることで、早い時期からマラソンに取り組む選手が増えそうなのも強化の観点から望ましい。

もちろん課題はある。

特に男子は、アフリカ勢に大きく水をあけられている。真夏の五輪代表を冬から春にかけてのレースを中心に選ぶ構図は従来通りで、暑さに強い選手が選ばれるかわからない。

日本の長距離界は駅伝とマラソンが両輪だ。双方を両立させていく方策も考えていかねばならない。

選考レースは8月から始まる。マラソンは見るだけでなく、今や一般の人々も楽しむスポーツだ。幾多の関門を乗り越えるハイレベルの代表争いが日本のマラソン文化を一層育むことを期待したい。
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2017年05月05日

[毎日新聞] 首相の「9条改正」発言 重要な提起ではあるが (2017年05月05日)

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安倍晋三首相が憲法改正について「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言した。さらに戦争放棄を定めた9条に自衛隊の存在を明記するなどの案を示した。

施行時期の目標を明らかにし、具体的な改憲項目を明示した踏み込んだ発言だ。改憲実現に向けた意思を改めて明確にし、国会や国民の活発な議論を促す狙いなのだろう。

自衛隊の憲法明記を支持する意見は根強くある。公明党も「加憲」論議の対象としている。改憲派も護憲派も9条を憲法論議の要と捉えるなか首相の提起はそれなりに重要だ。

しかし、議論のテーブルに載せるには、あまりに多くの問題がある。

まず、首相が施行時期を東京五輪開催年に重ねたことだ。両者は何の関係もない。自民党総裁の3選を見据え、任期中に改憲を実現したい思いからの後付けの理屈に聞こえる。

国会軽視の姿勢も問題だ。衆院の憲法審査会は参政権や国と地方などの課題を巡り有識者を呼んで議論している。自民党は野党第1党の民進党との調整を重視している。

改憲案を審議する権限は憲法審査会にしかない。その頭越しで公明党などの改憲容認勢力さえ固めればいいという話ではないだろう。

首相は9条改正について1項の戦争放棄と2項の戦力不保持を堅持しつつ「自衛隊を明文で書き込む」ことを提起した。2項を抜本改正し国防軍などを創設するという従来の考え方からは退いたように見える。

自衛隊は政府解釈で合憲とされ、災害派遣や国連平和維持活動(PKO)などを通じて国民に定着し、高く評価されている。

にもかかわらず、首相は一部の憲法学者らの「自衛隊違憲論」を引き合いに9条改正を主張した。これは説得力に欠けるのではないか。

一方、今の自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力」を超え、違憲となる「戦力」に相当するという議論もある。明記される自衛隊の位置付けが戦力不保持の規定とどう整理されるか、はっきりしない。

首相が言う「新しい憲法」という表現からは、米国による「押しつけ憲法」から脱却したいことへのこだわりもにじむ。

9条は国のかたちを定める核心部分だ。扱いは丁寧であるべきだ。
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[毎日新聞] スマホ時代の睡眠不足 夜型では子供は育たない (2017年05月05日)

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子供はもっと眠る時間が必要ではないか。

日本の子供は睡眠が足りていない。文部科学省が2015年に公表したデータによると、深夜0時以降に寝ている中学生は2割、高校生では半数近くで、午後11時以降に寝る小学生も15%に上っている。

学年が上がるほど睡眠不足を感じる子供は増え、高校生では3人に1人だ。さらに寝る時間が遅い子ほど自己肯定感が低く、イライラする傾向もある。気持ちがざらつくのだ。

米国の国立睡眠財団によると、小学生の望ましい睡眠時間は9?11時間、中高生でも8?10時間という。

個人差はあろうが、早い時間に寝ないと得られない睡眠時間だ。

国際機関が先進諸国の15?64歳を調べたところ、欧米諸国は平均で8?8時間半以上寝ているが、日本は7時間43分。大人の夜型生活に子供が引きずられている面もあろう。

文科省データで気になるのは、スマートフォンなどとの接触時間が長い子ほど、寝る時間が遅いことだ。1日に4時間以上接する中学生の半数が、午前0時以降の就寝だ。

寝る直前まで接する小学生の4割、中高生は半数以上が「朝ふとんから出るのがつらい」と答えている。

スマホなどの画面から出る青色光を夜に浴びると体内時計が狂い、睡眠の質も悪化するといわれている。

ここまでスマホが行き渡った社会で、完全に遮断することは無理だろう。「寝る前にスマホは持たない」など、できる工夫をすべきだ。

睡眠学者で国立青少年教育振興機構の鈴木みゆき理事長は「脳と体をメンテナンスするのが睡眠。幼児期から高校時代は脳が育つ時で、眠りは極めて重要」と指摘する。

睡眠が不足すると、認知能力や記憶力、集中力が落ちる。さらに気持ちをコントロールする力も低下するという。学習への影響とともに、荒れやいじめの一因とも考えられる。

データでは、学校のある日とない日で、起きる時間が2時間以上ずれることがよくある子ほど「午前の授業が眠くてしかたがない」と答える割合も高かった。

きょうは「こどもの日」。夜にスマホから離れるなど、できることから眠りを改善したい。やはり「寝る子は育つ」のだ。
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2017年05月04日

[毎日新聞] 介護保険改革が残す課題 地域の主体性を高めよう (2017年05月04日)

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介護保険関連法改正案が今国会で成立する見通しとなった。

介護保険の給付総額は制度発足当初の3・6兆円から現在は10・4兆円となり、2025年度には21兆円まで増える見込みだ。

今回の改革は高齢者の要介護度の平均値が改善するよう自治体に求め、地域が抱える課題の解決を促す内容だ。給付費の抑制と共に、高齢者の生活の質を高め、地域住民の生きがいにつながる可能性がある。

改革の方向性には賛成だ。ただし、どのように自治体と住民の「自立」を図っていくのかという課題が残されている。

高齢者の介護予防や重度化の防止は、介護保険を運営する市町村の重要な役割である。改正法案では各自治体がヘルパーの数や利用度など地域の抱える課題をデータ分析し、事業計画に重度化防止の内容や目標を記載することを義務づけた。国は目標の達成状況を公表し、効果を出した自治体に財政支援をする。

埼玉県和光市や大分県では多くの職種が連携し、要介護認定率を改善することに成功している。こうした好例を全国に広げようというのだ。

ただし、要介護度の高い人や改善の見込みのない人をよりコストの高い医療機関に回し、認定率の改善を図る自治体が出てくる恐れもある。介護費が減っても、医療費が増えてしまっては本末転倒だ。

認定率の変化という「結果」だけでなく、地域ケア会議の開催状況などの「プロセス」も評価した上で国は財政支援するという。自治体の努力を的確に反映できるかがカギだ。

また、高齢者への介護サービスを障害者支援事業所も行えるよう規制が緩和される。介護保険にない就労支援サービスを受けて働くことで、要介護度が改善した例もある。多様な事業所の参入が期待される。

社会福祉法も同時に改正され、小さな圏域ごとに生活課題を解決する体制づくりを市町村に義務づける。地域住民が主体となる「地域共生型福祉」を進め、高齢者を孤立や疎外から守ろうというのである。

これまでは介護サービスの削減と負担増で制度の維持を図ってきた。「質の転換」を目指す今回の改革の成否は、自治体や住民がどれだけ本気で取り組むかにかかっている。
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[毎日新聞] 国立公園のブランド化 自然の保護と活用両立を (2017年05月04日)

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環境省は昨年度から「国立公園満喫プロジェクト」を始めた。

国立公園を世界水準の「ナショナルパーク」としてブランド化し、訪日外国人旅行者(インバウンド)が長期滞在したいと望む目的地にする狙いがある。

2020年に訪日外国人を4000万人に倍増させる政府の「観光ビジョン」の一環で、「阿寒」(北海道)や「慶良間諸島」(沖縄県)など8カ所がモデル地区に選ばれた。

環境省は計約200億円の予算を計上しており、訪日客向けの観光ツアー開発やガイド育成、高級ホテルの誘致、多言語に対応した情報提供など、官民が連携した取り組みが今年から各地で本格化している。

日本の多様な自然の素晴らしさを多くの外国人に知ってもらうことは、良いことだ。訪日客を地方に誘導する効果もあるだろう。

ただ、過度な利用は自然を壊し、観光資源としての価値も失わせる。保護と活用の両立をしっかりと図っていく必要がある。

選定された8カ所では、環境省や地元自治体、観光協会などが参加する地域協議会が設けられ、具体的な計画をまとめている。「阿寒」では、立ち入り制限されているマリモの群生地のエコツアーや眺望の良い場所へのカフェの設置を検討するなど、各地で「自然への新たなアプローチ」が模索されている。

保護と活用の両立には、保護すべき区域と観光に活用する区域を明確に分けることが欠かせない。自然への影響を適切にモニタリングする体制を整えておくことも大事だ。

渡嘉敷村と座間味村の2村にまたがる「慶良間諸島」では、渡嘉敷村が観光客から環境協力税を徴収し、自然環境の保全にあててきた。座間味村も今回、導入する方針だという。自然の活用が保護に貢献する好循環を生み出してほしい。

全国に34ある国立公園は国土の5・8%を占めるが、環境省の自然保護官は約300人しかいない。体制の強化は以前からの課題だ。

軽井沢や上高地(ともに長野県)のように、外国人が先に魅力に気づき、その後に国立公園となった場所もある。訪日客向けのプログラム作りが、日本の魅力の再発見にもつながることを期待したい。
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2017年05月03日

[毎日新聞] 施行から70年の日本国憲法 前を向いて理念を生かす (2017年05月03日)

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全20巻に及ぶ昭和万葉集は、戦前から戦後への激動期を、人びとがどんな感覚でくぐり抜けてきたかを伝える貴重な記録集だ。

1947年5月3日に施行された新憲法はこう詠まれている。

<やけあとのつちもめぶきてあをみたりほこなき国をはるふかみつつ>(金田一京助)

「ほこなき国」とは「武器を持たない国」を指す。焦土に残った木々の緑が深まる中で平和憲法が誕生した情景を歌ったのだろう。

それから70年。日本国憲法はきょう古希を迎えた。


民主主義の裾野広げる
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現行憲法の源流は、敗戦直前に日本が受諾したポツダム宣言にある。

「基本的人権の尊重」「平和的傾向の責任ある政府の樹立」などの要求がそれだ。明治憲法は抜本的な改革が避けられなくなっていた。

日本政府は独自に改憲試案を作成したものの、旧憲法の修正にとどまっていた。このため、連合国軍総司令部(GHQ)民政局のスタッフ25人が原案を書き、実行を迫った。

このように現行憲法がGHQという圧倒的権力の下で制定されたことは疑いようがない。

それでも私たちは、戦後日本の建設にこの憲法が果たしてきた役割を高く評価すべきだと考える。

理由の第一は、民主主義の裾野を格段に広げたことだ。

国家を支配する最高の力、すなわち主権が、天皇から国民に移った。憲法による最大の変化だ。

言論の自由や生存権は、永久に侵せない基本的人権として保障された。法の下の平等原則によって男女同権が社会規範になった。憲法施行に先立ち、46年4月の衆院選からは婦人参政権が実現している。

第二は、廃虚から経済を復興させる礎になったことである。

民主化政策に伴う国民所得の平均化は国内の市場規模を拡大させた。55年時点で8・6兆円に過ぎなかった名目国内総生産は、72年に早くも10倍以上に膨張している。国民生活は明らかに豊かになった。

さらに特筆すべきは、平和国家としての自己像を定着させたことだ。

時々の国際情勢に応じて日本の安全保障政策はさまざまな圧力にさらされたが、憲法9条は一線を越えないよう引き戻す力になってきた。


混じり合わない水と油
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防衛力の整備を最小限に抑え、国家資源を経済に優先投入する路線は、憲法制定時の首相・吉田茂によって敷かれた。

国際政治学者の高坂正尭(こうさかまさたか)は「完全非武装論と憲法改正論の両方からの攻撃に耐え、論理的にはあいまいな立場を断固として貫いた」と吉田の現実主義を肯定的に評している。

この憲法は誕生してから一度も改正されていない。世界の近代憲法の中で極めて珍しいことだ。

しかし、そのことは憲法をめぐる政治状況が健全であることを意味しているわけではない。

まず、基本的な憲法観についての深い断絶がある。

自民党は、自主憲法の制定を主眼に結成された。その思想の根底には、意に沿わぬ憲法を無理に保有させられたという屈辱感がある。

そして現在、この「押しつけ憲法」論を最も濃厚に引き継いでいるのが、安倍晋三首相だ。

他方で復古的な保守への反作用として、憲法には一切手を触れさせまいとする原理主義的な護憲勢力があった。戦前の軍国主義に対する嫌悪感が出発点になっている。

この両者は永遠に混じり合わない水と油のように反目し、憲法に対する冷静な議論を妨げてきた。

憲法を全否定する姿勢も、憲法を神聖視するのも、極論である。

特に隔たりが著しいのは、9条と日米安全保障条約のとらえ方だ。

戦争放棄と戦力不保持を規定した9条は、戦後体制の産物だ。これに対し、安保条約は東西冷戦という新たな国際環境が産み落とした。

両者は日本の安保政策にとって表裏一体の関係にある。ところが、異なる時代背景を持っているため、運用にあたっては著しく複雑な論理を必要としてきた。

この結果、9条は解釈変更が繰り返され、集団的自衛権行使を容認した安保関連法の審議過程では、国論を二分する論争に発展した。

さらに現行憲法の構造的な特質として、法律に対するグリップ力の弱さを指摘しなければならない。

典型は92条だろう。地方公共団体に関して「地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」と規定しているだけで、具体的な内容は法律に任されている。

もしも「地方自治の本旨」とは何かが踏み込んで定義されていれば、米軍普天間飛行場の移設をめぐる政府と沖縄県の対立は異なる展開になっていたかもしれない。

ケネス・盛・マッケルウェイン東京大准教授の研究によると、ドイツ基本法(憲法)は地方分権の記述が3割を占めるのに対し、日本の憲法は全体の3%に過ぎないという。

憲法は国家の根本原則を定めたものだ。どこまでが憲法領域で、どこまでが法律領域かは、国によって異なる。ただ、統治の基本ルールを憲法に明示していなければ政府の恣意(しい)的な行動を招く可能性がある。


国際主義を深化させる
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安倍政権の長期化が見込まれる中で、憲法論議はまったく新しいステージに上りつつある。すでに衆参両院で改憲を容認する勢力が3分の2以上を占め、自民党は改憲項目の絞り込みを目指している。

衆参の憲法審査会では、大災害の発生など緊急事態時に国会議員の任期延長を例外的に認める条項や、地方の人口減少に対応して参院議員を都道府県の代表に定義し直す案などが、検討対象に挙がっている。

時代の変化に合わせた統治ルールの修正はあってもいい。

だが、自民党の改憲論には「手始めに」の狙いがついて回る。任期延長などを導入部として本丸の9条改正に迫る思惑が透けて見えるため、議論が堂々巡りになってしまう。

結局は、主要な与野党間で9条についての共通理解が必要になる。

まずは憲法論議をより前向きなものにしていくために、国際協調主義の深化を訴えたい。

自国エゴに基づく防衛論を主張したり、逆に日本だけ軍事と無縁であればいいと考えたりせず、国際平和を追求する中で9条の今日的なあり方をとらえ直すことだ。

南スーダンの国連平和維持活動(PKO)から陸上自衛隊が撤収すれば、部隊での日本のPKO参加はゼロになる。

21世紀に入り、PKOは武力を使ってでも住民保護を優先する流れが強まっている。9条の平和主義を維持しながら、日本がどう世界の安全に貢献するかは、苦しくても答えを出さなければならない課題だ。

海洋国家・日本の生命線は、世界との平和的なつながりである。現行憲法の役割を、グローバルに発展させることで、後ろ向きの「押しつけ論」から脱却できるはずだ。
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