2017年03月13日

[毎日新聞] 陸自PKO撤収 不透明さ残る政府説明 (2017年03月13日)

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政府は南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に従事する陸上自衛隊の施設部隊を5月に撤収させる方針を決めた。派遣から5年を経て活動に区切りが付いたからだという。

安倍晋三首相は厳しい治安情勢であっても「自衛隊にしかできない活動だ」と意義を訴えてきた。それだけに今回の撤収決定は唐突に映る。

南スーダンは独立後に政府軍と反政府勢力の対立が激化し、内戦状態にある。昨年7月に陸自部隊が活動する首都ジュバで大規模な武力衝突があり約300人が死亡した。

国連は民族間の「大虐殺の危険」を指摘し、政府軍の「民族浄化」に反発する閣僚や軍幹部が相次いで辞任するなど、治安や政治の情勢は混乱を深めている。

こうした不安定な現状と、停戦合意などを前提とするPKO5原則など自衛隊派遣の制約に照らし、活動継続が困難だと判断して撤収を決めたのなら、理解できる。

国際社会の平和と安定のための自衛隊派遣には意義があるが、治安情勢の悪化が進み、武力衝突に巻き込まれる危険性があると判断すれば、未然に回避するのは当然だ。

しかし、政府による撤収理由には不透明感が残る。

政府は「国造りが新たな段階に入った」という点を強調している。治安改善を任務とする新たなPKO部隊が展開し、国民対話に向けた政治プロセスが進展しているという。

菅義偉官房長官は「治安の悪化は要因になっていない」と言う。しかし、国連安保理は昨年8月、ジュバの治安が悪化しているからこそPKO部隊の増派を決めたはずだ。

南スーダンPKOを巡っては、昨年の武力衝突の様子を陸自が日報で「戦闘」と報告した。政府は「法的な戦闘行為ではなく衝突」と説明したが、すり替えだと批判された。

政府はジュバ周辺は「比較的安定している」として野党の撤退要求を拒んできた。今回の撤収判断の理由に治安情勢を含めると、これまでの説明とそごを来す恐れがある。

むしろ治安がより悪くなる前に撤収に踏み切ることで政権運営へのリスクを摘み取っておきたいというのが本音ではないか。南スーダンは米国の支援で独立したが、国際貢献に関心を示さないトランプ政権の発足が日本の判断を容易にしたとの見方もある。

今回の撤収で日本が参加するPKOはなくなる。世界では16のPKOが展開中だが、従来の停戦監視や復興から、武力を使ってでも虐殺から住民を守るように変わっている。

世界はなおPKOを必要としている。法秩序を保ちながら日本がどう国際貢献を果たしていくべきか。真正面から議論するときにきている。
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[毎日新聞] 籠池氏の招致 自民党は何が怖いのか (2017年03月13日)

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自民党と公明党は、いつまで逃げの姿勢を続けるつもりなのか。

大阪市の学校法人「森友学園」の国有地取得問題に関し、野党が求めている同学園の籠池泰典氏ら関係者の参考人招致を与党が拒んでいる。

だが、拒否の理由は理屈が立たない。学園側が開設を目指していた小学校の設置認可申請を取り下げ、籠池氏が理事長辞任を表明したことで自民党には「参考人招致は必要なくなった」との声があるが、これで幕引きするわけにはいかない。

自民党の竹下亘国会対策委員長は「民間人の招致は慎重であるべきだ」と言う。確かにそうだ。ただし、虚偽の陳述をすれば罰せられる証人喚問も含め、民間人を国会に呼んだ例は過去にも多数ある。

ましてや今回は国民の財産である国有地が格安の価格で売却されたという問題だ。解明しないのは国会の責任放棄といっていい。

これまでの国会質疑で財務省は「適正な手続きだった」と繰り返している。一方で同学園と近畿財務局との交渉記録は破棄したという。ではなぜ破棄したかと聞けば「適正で問題がないからだ」と答弁する。

これで納得しろという方が無理だ。だから関係者から話を聞く必要がある。ところが野党が求めている財務局担当者ら公務員の招致も自民党は応じようとしない。

菅義偉官房長官は「違法性のない事案に関わる参考人招致は慎重に」と語った。しかし、学園側から政治家に口利き依頼はなかったのかという疑問のみならず、不可解な点は次々と明らかになっている。

建築費の額が異なる工事請負契約書を国土交通省、大阪府、関西エアポートに提出していた点をはじめ違法性が疑われている問題は数多い。

自民党からは「違法なら捜査当局に任せればいい」との声も聞くが、既に捜査が始まっている場合には、国会に関係者を呼んでも「捜査中だから答えられない」と証言を拒まれる例が過去には多い。国政に関わる事案について、違法性があるかどうかを、まずただすのも立法府・国会の役割だ。

竹下氏は「テレビや週刊誌が取り上げるから国会で議論しようというのは違う」とも語った。本当にそう考えているとすれば、問題の深刻さを分かっていないというほかない。

籠池氏は突如、小学校の設置認可申請を取り下げたが、言い分は一方的だ。より国会招致が必要になったにもかかわらず、自民党には「籠池氏は何を言い出すか分からない」との不安が強まっているようだ。

結局、招致を拒む理由はそれかもしれない。やましい所がないなら招致を認めればいいだけの話だ。
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2017年03月12日

[毎日新聞] 津波からの復興 造成地に創生の英知を (2017年03月12日)

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あの巨大地震直後に新1年生として小学校に入学したこどもたちが、もうすぐ中学生となる。

東日本大震災の発災から6年が過ぎた11日、政府主催の追悼式が開かれ、被災した各地でも黙とうがささげられた。

津波で父親を失った千葉陽さん(41)は、岩手県の遺族代表としてことばを述べた。「あの時からもう6年でもあり、まだ6年でもあります」と語った。

津波で被災し、破壊された地域の復興はいま、大きな節目にある。


ハード面重視のひずみ
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高台などへの集団移住や災害公営住宅の整備は来春までにほぼ終了する。浸水地をかさ上げする大規模な宅地造成工事にもやっとゴールがみえてきた。

だが、住宅やインフラなどハード面の整備が進む一方で、地域や共同体をどう維持し、人口減少を食い止めるかという重い課題がのしかかっている。

岩手・三陸沿岸の大槌(おおつち)町。津波で町人口の10分の1近い1285人が犠牲となった。庁舎にいた町長が亡くなるなど、壊滅的状況からのスタートだった。

沿岸ではいま、土地をかさ上げする区画整理事業による新たな宅地・商業用地が姿を現している。中心市街を予定する地域も来春までにほぼ造成を終える見通しだ。

だが、まちづくりに早くも黄信号が点灯している。造成に時間がかかりすぎたため、他地域で住宅を再建した地権者らも多いためだ。計画した人口の半数程度しか利用が見込まれないという誤算が生じている。

あわてた町は区画整理区域に住宅を建てる人に100万円を補助する苦肉の策を打ち出した。「活性化の覚悟を示した」と平野公三町長は説明するが、すでに他区域で住宅を建てた人からは「いまさら不公平だ」と批判が起きている。

政府の復興行政は住宅整備中心だった5年間の集中期間を終え、地域の自立支援に軸足を置いた新たな「復興・創生期間」に昨年から移行している。創造的復興を掲げて高台などへの集団移住を進めたが、時間との闘いは厳しかった。

とりわけ、大槌のような区画整理事業は供給と需要にギャップが目立つ。かさ上げの規模が最大の岩手県陸前高田市では、4割超の32ヘクタールもの空き地が生じるおそれがでている。

巨大な防潮堤も、資材や人件費の高騰で整備費が想定より4割も増えたとみられている。景観を一変させてまで防潮堤を築くことへの賛否をめぐり、多くの地域は住民の対立を抱えたままである。

かさ上げや防潮堤を用いた区画整理を選んだ自治体の多くは内陸部に移住の適地が乏しいなどの事情があった。当時の選択を誤りだったと決めつけることはできないだろう。

ただ、6年以上もプレハブ仮設住宅での避難生活を強いるなど、ハード重視型の復興は深刻なひずみを生んでいる。今回の取り組みを検証したうえで期間、コストなど実態に即した柔軟な復興、防災のあり方を議論していかねばなるまい。

漁業など産業再生も道は険しい。三陸沿岸の多くはサケやサンマ、スルメイカなどが不漁に陥っている。大槌で地元水産業者が協力して復興に取り組む協同組合「ど真ん中・おおつち」の芳賀政和さんは「震災後、今が一番つらい」と打ち明ける。


再起の芽を育てよう
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ただでさえ過疎が進む中で津波に襲われ、人口減少に拍車がかかる悪循環にどう立ち向かっていくのか。これからが正念場だ。

住宅整備を終えても、国が果たす役割は大きい。生活基盤を築くうえで最も重要なのは、安定した雇用の創出である。

復興庁は被災地の要望を聞く窓口機能から一歩踏みだし、民間、NPOなどと被災自治体をつなぐ機能をもっと積極的に果たすべきだ。

政府は地方の人口減少を食い止めるため、地方創生の取り組みを全国で進めている。

観光や移住支援、地域のコンパクト化など各地の自治体が蓄積したノウハウは大いに参考になる。三陸沿岸こそ地方創生のモデルと位置づけ、情報共有を進めるべきだろう。

地域や共同体を維持するため、住民や行政によるさまざまな試みが芽を出し、育ち始めている。

大槌町では被災地の学校を統合した小中一貫制の義務教育学校が昨年、開校した。プレハブ仮設校舎で5年を過ごしたこどもたちにとって待望の新築校舎だった。防災教育と地域学習を行う「ふるさと科」を設け、卒業までの9年間一体感を養う。

隣接する大槌高校も生徒による研究会が復興の定点観測などに取り組んでいる。教育を通じて地域の担い手を育てる試みが広がっていることに注目したい。

復興は地域の自主性や努力がもちろん大前提だ。だが、ビジョンを実現させるためには国や民間のさまざまな力を集めることが欠かせない。

人口減少、高齢化など被災した沿岸地域は日本の地方が抱える課題が先行して表れた縮図でもある。復興への挑戦を国民全体で支えていく思いを新たにしたい。
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2017年03月11日

[毎日新聞] 朴大統領罷免 挫折乗り越え安定望む (2017年03月11日)

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民主化から30年という節目を迎えた韓国の政治史において極めて大きな挫折と言うべきであろう。

韓国の朴槿恵(パククネ)大統領がきのう憲法裁判所の決定によって罷免された。

憲法裁は、親友である崔順実(チェスンシル)被告の私益を図るために大統領の権力を乱用し、真相究明を妨げたことで法治主義の精神を毀損(きそん)したと断じた。

罷免による不利益よりも、朴氏の行為が憲法秩序に与える否定的影響の方が大きいという判断である。現在の混迷ぶりを考えれば理解できる結論だろう。


世論の離反招いた強権
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憲法裁は、財閥に巨額の出資をさせて設立した財団の事業などを通じて崔被告が不当な利益を得たと認定した。崔被告に公文書を見せていたことも違法だと判断した。

公的な立場にない崔被告が大統領に大きな影響を与えていたことは韓国社会に大きな衝撃を与えた。崔被告との不透明な関係は、大統領として適切なものだったとは言えない。

一方で、国民が選んだ大統領を強制退去させる事態になったことは韓国社会にとってマイナスであろう。大統領直接選挙は民主化で勝ち得た最大の成果だったからだ。

5年前の大統領選では、朴氏の父である朴正熙(パクチョンヒ)氏の名前が選挙集会でよく叫ばれた。民主化運動を弾圧したものの、同時に経済成長の立役者とされる人物だ。

朴氏は、貧しいながらも希望を感じられた父の時代を懐かしむ人々の期待を背負って政権に就いた。不正腐敗とは縁遠いというイメージも人々に期待された。

しかし、選挙戦で社会統合の必要性を訴えていた朴氏の政権運営は、実際には反対派の意見に耳を傾けようとしない強権的なものとなった。国内での記者会見も新年にしか応じず、説明責任を果たすべきだという批判も受け付けなかった。民主社会の指導者としては問題だと指摘せざるをえない。

世論は弾劾支持が圧倒的だったものの、朴氏支持者は強い反発を示している。

だが、そもそも弾劾は公職を剥奪するかどうかという政治的判断であり、刑事罰を問うものではない。冷静な対応をしてほしい。

朴氏に対しては検察が改めて捜査を行うことになるだろう。朴氏は誠実に対応しなければならない。

民主化後の大統領たちは例外なく任期末のスキャンダルに苦しんできた。大統領に権力が集中しすぎていることが背景にあると指摘され、権力を分散させる憲法改正の必要性が議論されている。改憲へ向けた合意形成は簡単ではないが、より成熟した民主主義を目指す取り組みとして注視したい。

新しい大統領を選ぶ選挙は5月上旬までに行われる。

朴政権の与党は分裂し、勢いを失っている。盧武鉉(ノムヒョン)元大統領の側近だった勢力が主流となっている最大野党「共に民主党」側が優勢で、左派色の強い政権が誕生する可能性が高そうだ。

現在の韓国では、朴政権の業績を全否定しようとする風潮が強まっている。次期政権は政策を全般的に見直そうとするだろうが、前政権を否定しようという気持ちが先走るようではいけない。


日韓合意の維持が重要
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特に、外交や安全保障政策については継続性が重要である。

韓国を取り巻く国際情勢は厳しさを増すばかりだ。

北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返しており、6回目となる核実験を行う可能性も否定できない。

金正男(キムジョンナム)氏殺害事件も北朝鮮の国家犯罪である疑いが強い。友好国だったマレーシアとの外交関係まで危うくさせる金正恩(キムジョンウン)政権の行動は常軌を逸している。

北朝鮮への対応では日米韓の連携が基本である。

ところが、共に民主党で最有力候補とされる文在寅(ムンジェイン)氏は、在韓米軍への「終末高高度防衛(THAAD=サード)ミサイル」配備や慰安婦問題に関する一昨年の日韓合意を疑問視する発言をしている。

日韓合意は、両国関係を改善の流れに戻すのに大きく寄与した。必ず守られねばならないものだ。

日韓では、北朝鮮に関する情報共有を進めるための軍事情報包括保護協定(GSOMIA)も重要だ。これがなければ、米国を含めた防衛協力にも影響が出かねない。

米軍は、THAAD配備を急いでいる。韓国の大統領選前に既成事実を作っておこうという意図は容易に読み取れる。

韓国はいまや北東アジアの地域情勢に影響を与えうる有力な国家である。次期政権をうかがう政治指導者には、外交の基本路線踏襲を明確にするよう求めたい。

重要な隣国が激動に見舞われている中、日本の長嶺安政駐韓大使は現場に不在である。慰安婦問題を象徴する少女像の問題で政府が一時帰国させたものだが、ソウルに帰任させる時期ではないか。

次期大統領には、深く分断された韓国社会を再びまとめる取り組みが求められる。大きな挫折を乗り越え安定した社会を再建してほしい。
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2017年03月10日

[毎日新聞] 大震災から6年 福島の声をどう聴くか (2017年03月10日)

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死者と行方不明者合わせて2万人近くが犠牲になった東日本大震災からあすで丸6年になる。

被災地は復興の途上にあるが、東京電力福島第1原発事故に見舞われた福島県の苦難は現在進行形だ。

震災前202万人だった福島県の人口は190万人を割り込んだ。県内外に今も8万人近くが避難し、避難先は全都道府県にわたる。原子力災害の悲惨さは、6年の歳月を経てなお目の前に立ちはだかる。

この1年で最も被害の奥深さを気付かせられたのが、原発事故後に家族とともに避難した子供に対するいじめの問題だ。


避難いじめの深刻さ
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避難者いじめの問題を提起したのは、福島県から横浜市に自主避難してきた中学1年の男子生徒のケースだった。生徒は小学生時代に「菌」扱いされ殴られたり、150万円ものお金をせびられたりしていた。

「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからぼくはいきるときめた」

生徒はそう手記に書いた。

いじめの背景に何があったのか。

生徒と接触を続ける飛田桂弁護士は「学校は社会の縮図。子供は大人を見て弱い者を狙う」という。

避難してほどなく、生徒の家族は嫌がらせを受けていた。ゴミが福島ナンバーの車の上に捨てられたり、ポストに「福島県民は出て行け」との文書が投げ込まれたりした。

横浜の避難いじめが表に出てから、同様のいじめが次々に明らかになった。千葉では子供が「放射能がきた」といった心ない言葉を同級生から浴び、新潟では児童が担任に「菌」を付けて呼ばれていた。

福島県から全国に避難している児童・生徒は、昨年5月時点で約7800人に上る。表面化していないいじめがある可能性がある。

福島からの避難者の相談に乗る弁護士によると、差別や嫌がらせを避けるため、福島から来たことを悟られないようにひっそりと生活する人は今も多いという。

原子力災害により、古里を追われたうえに、いわれのない差別やいじめといった二重の被害を受ける。それは理不尽というほかない。

この春には、自主避難者にとって大きな制度の変更が迫っている。

福島県が避難先の自治体を通じて行ってきた住宅の無償提供が今月で打ち切られるのだ。避難者の帰還を促すのが目的とされる。

しかし、自主避難者の相談に乗る「避難の協同センター」の瀬戸大作事務局長の携帯電話には、「家が決まっていない」といったSOSが先月から相次いで寄せられている。

無償提供打ち切りの対象となる自主避難者は、福島県の集計で約2万6600人だ。福島の避難者全体の3分の1に及ぶ。

避難指示区域の避難者と異なり、自主避難者には東京電力からの定期的な賠償金はなく、住宅の無償提供が公的支援の柱だ。福島県は一昨年6月に打ち切りを決めた。除染が進み生活環境が整ったとの理由だが、仕事や子供が学校に慣れたことを理由に帰らない決断をする人もいる。

福島県いわき市から自主避難し、埼玉県毛呂山町に子供2人と住む河井加緒理さん(35)は、子供の学校を優先してとどまることを決めた。苦しい生活の中で、住宅の提供を受けることの意味は大きかっただけに、打ち切りはショックだった。


復興に必要な地域の絆
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河井さんのような母子避難や二重生活を余儀なくされている人も珍しくない。避難者の生活実態に即した対応が必要だ。

福島県が無償提供を打ち切った後、独自の予算で4月以後も無償提供を続けたり、有償での優先入居枠を設けたりするなど支援を継続する自治体もある。このままでは、避難先によって避難者間に大きな差がつくことになる。国が調整に乗り出すべきではないか。

一方で、政府指示の避難区域で新たな動きがある。

飯舘村や浪江町などの避難指示が近く、帰還困難区域を除き解除される。対象は3万人以上だ。だが、既に避難指示が解除された地域の帰還率は1割程度にとどまる。

南相馬市の小高区は昨年7月に先行して避難指示が解除された。いまだ人の姿はまばらだ。震災当時のままの荒れた家屋も目立つ。帰還するのは高齢者ばかりだと町の人は言う。戻った人の生活と健康を守る取り組みの必要性を痛感する。

それでも地域の営みは少しずつ戻りつつある。小高区では小、中、高校が4月に再開する。

将来の町づくりのため、福島に暮らす人と避難者の結びつきをどう保つのかも問われている。

小高区に長く住む広畑裕子さんは、小高で働く人たちを紹介するカラーのパンフレットを毎月発行し、県外避難者らにも送り続けている。小高のいまを知ってほしいとの思いからだという。

帰った人、これから帰る人、帰らない人……。原発事故さえなければ、同じ故郷で暮らしていたはずの人たちだ。問われているのは、その人々の声を、政府が、自治体が、そして私たち一人一人がどう聴くかだ。
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2017年03月09日

[毎日新聞] 北朝鮮 国家の卑劣さが際立つ (2017年03月09日)

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北朝鮮が自国内にいるマレーシア国民の出国を禁止した。マレーシアに滞在している自国の外交官と国民の「安全が完全に保証される」までの措置だと説明している。

金正男(キムジョンナム)氏殺害事件で警察が追っている高麗航空職員と北朝鮮大使館2等書記官を、捜査に応じないまま出国させる狙いのようだ。

2人ともクアラルンプールの大使館内にいるとみられる。警察の厳しい監視で身動きの取れない状況を打破しようというのだろう。

マレーシアのナジブ首相は「人質を取る行為」と強く非難し、自国内にいる北朝鮮国民の出国を禁じる対抗措置を取った。

異国に閉じこめられた人々の不安は想像に難くない。本人の意思に反して出国を認めないことは、移動の自由を定めた国際人権規約違反である。犯罪の疑いがある場合などは例外だが、特定の国籍であることは理由となりえない。速やかに撤回されるべきだ。

北朝鮮が出国を禁じたマレーシア人の中には国連職員もいる。北朝鮮は、国際社会全体に対する挑発と受け取られることを分かっているのだろうか。

マレーシアは事件後に北朝鮮へ戻った容疑者4人の引き渡しも求めている。北朝鮮はこれにも応じないどころか、韓国の陰謀説を主張してマレーシア批判を強めるばかりだ。友好的だった両国の関係は急速に悪化しており、互いの大使を国外退去処分にした。

事件への関与を否定する北朝鮮の猛反発は、むしろ国家犯罪ではないのかという疑念を強めている。

一方で、マレーシアを強く圧迫すれば状況を好転させられるはずだという意識も感じられる。

北朝鮮の身勝手な思い込みにすぎないものの、最近の北朝鮮の行動に共通する傾向でもある。経験の浅い金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が強気一辺倒で、独裁下で忠誠競争に走る官僚たちも強硬さを競っているのなら極めて危険だ。

北朝鮮は6日の弾道ミサイル発射について、有事に在日米軍を攻撃する部隊の訓練だったと発表した。米国にミサイル能力を誇示する目的を明示したものだが、実際にはトランプ政権を強硬な政策に追いやるだけだろう。

金正日(キムジョンイル)政権の時代には北朝鮮なりの計算をうかがわせる行動が少なくなかった。冷静さを欠いたようにしか見えない行動が目立つ現在との違いは大きい。

韓国の外相は、国連加盟国としての資格停止や国際刑事裁判所(ICC)の活用を提唱した。北朝鮮の無法ぶりを考えれば、真剣に検討されるべきだろう。
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[毎日新聞] 皇室と国会 安定継承の議論確約を (2017年03月09日)

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天皇陛下の退位に関し、衆参両院の正副議長が主催する与野党の全体会議が開かれた。正副議長は3回にわたった会議の議論を踏まえ、改めて各党派から個別に意見を聞いたうえで今月中に見解を示す考えだ。

退位の問題は、天皇の地位をどう安定的に継承するかの問題と切り離すことはできない。与野党は皇位の安定継承についての議論を次の課題とすると確約すべきだ。

皇位継承の安定を巡っては、与野党に温度差がある。

全体会議で民進党の野田佳彦幹事長は、皇族減少対策につながる女性宮家創設に触れ「可及的速やかに検討し、結論を得るべきだ」と述べ、期限を定めて国会の場で議論するよう求めた。

これに対し自民党の茂木敏充政調会長は「女性皇族の年齢からしても女性宮家の問題は先延ばしできない」としつつ「検討の在り方、検討の場は慎重な対応が必要」と語った。

自民党が議論の必要性を認める一方、議論の時期や協議機関の設置などを明言しないのは、女性宮家創設に対する党内の反対論に配慮したためだろう。

女性宮家創設は旧民主党政権の2012年に野田内閣が検討した。直ちに皇位継承の安定につながるわけではないが、将来の女性・女系天皇の布石になるとみられている。

天皇と皇族は計19人いる。天皇家は10人で、ほかの9人のうち8人は女性皇族だ。未婚の女性皇族は7人いるが、結婚した場合は皇室典範の規定により皇籍を離脱する。

対策を講じなければ、将来的には天皇家を除いて宮家が途絶え、皇室制度が立ち行かなくなるおそれもある。女性宮家はこうした事態を回避する目的がある。

皇位はかつて女性天皇、側室の子や養子によって継承された時代があった。しかし、現在は皇統の重視や人権の尊重からなくなり、皇位継承資格者の対象は狭まっている。

小泉内閣は05年、今の陛下の孫の代に男系男子がいなかった状況を踏まえて女性・女系天皇容認に動いたが、悠仁さまの誕生で立ち消えた。

野田内閣時の女性宮家創設も、直後の自民党への政権交代で棚上げになった。結論を先送りしてきたのは政治の不作為だ。とくにこの問題を避けてきた自民党は反省すべきだ。

天皇退位を実現する法整備を巡っては、特例法か皇室典範改正かで与野党の溝がなおある。皇位の安定継承の議論に確実につなげるという認識を与野党が明確にすれば、歩み寄りを後押しすることにもなろう。

天皇退位の円満決着を優先する与党が野党の譲歩を促すための「口約束」で終わってはならない。
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2017年03月08日

[毎日新聞] 原発事故から6年 巨大な負債との闘いだ (2017年03月08日)

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東京電力福島第1原発の過酷事故からまもなく6年がたつ。この月日を象徴するのは、飯舘村などに一斉に出される避難指示の解除、そして2号機で初めて垣間見えた「溶融核燃料」らしきものの姿だろう。

いつ帰れるともしれない故郷、どのような様相を呈しているのか見当もつかない原子炉内部。ついこの間までの状況を思えば、表面的には「一歩前進」かもしれない。

しかし、冷静に考えるなら、原発事故がいかに多くのものを人々から奪ってきたか、何十年も続く復興や廃炉の道のりがいかに厳しいかを示す象徴であることは間違いない。


遠く困難な廃炉への道
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福島第1原発の構内を訪れると、廃炉作業の困難さをひしひしと感じる。全面マスクが必要なエリアは大幅に減り、労働環境は改善したとはいえ、廃炉に欠かせない難関である「溶融燃料の回収」がクリアできるめどはまったく立たない。

サソリ型ロボットで2号機の原子炉直下まで調査する先月の試みは、通り道の堆積(たいせき)物に邪魔され、溶融燃料の状況を確認できずに終わった。投入された作業員は延べ800人超。想定外の作業で余分に被ばくする人も出た。建屋内の非常に高い放射線量が作業を阻み、建屋の周辺に近づくだけでも被ばく量が増える。

それでも、溶融燃料の状況がわからなければ取り出し方法さえ確定できない。

1、3号機は2号機以上に状況が悪いと考えられる。政府と東電は2021年の取り出し開始を目指すが、楽観的に過ぎる。リスクを減らしつつ作業を進めるために、ロボット開発を含め、廃炉全体の戦略や工程を抜本的に考え直す必要があるのではないか。

原発事故が日本社会にもたらした負担は、膨れあがる事故処理費からも浮かぶ。

経済産業省は福島第1の廃炉や賠償、除染などの費用の試算を、これまでの見積もりの2倍に当たる21・5兆円に引き上げた。ここには溶融燃料の処分費用などは含まれず、さらに増えることは間違いない。

しかも、看過できないのは、賠償費用の一部を託送料に上乗せして広く国民から回収する新制度の構築だ。全国の老朽原発の廃炉費用の一部も同じ仕組みで回収するという。

大手電力に加え原発事業と無関係な新電力も費用負担することになり、電力自由化の精神を大きくゆがめる。「事故対策費を含めても原発のコストは安い」と言い続けてきた政府の言い分とも矛盾する。

広く国民負担を求めるなら、まず、こうした矛盾を認めた上で、脱原発の道筋を描き直すことが先決だ。

事故処理に苦慮する現実を尻目に、着々と進む原発再稼働にも納得できない。

事故後に作られた新規制基準のもとで、すでに16原発26基の安全審査が原子力規制委員会に申請された。現在稼働中なのは3基だが、6原発12基が審査に正式合格・合格見通しとなっている。合格原発には運転40年を経た老朽原発3基も含まれる。

国民の多くが再稼働に否定的な中で、「原発依存度低下」を掲げる政府の方針との整合性はみえない。

原発ゼロでも電力不足に陥らないことは、この6年でわかった。一方で、「地球温暖化対策に必要」という見方は根強い。


再生エネにこそ投資を
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確かに、同じだけの電力を作り出すのに、原発の代わりに化石燃料を使えば二酸化炭素は増える。それが地球温暖化に与える悪影響を無視していいというわけではない。

ただ、現実をみれば、原発の稼働が進まなくとも、温室効果ガスの排出量は減少に転じ始めている。環境省によれば15年度の日本の温室効果ガス排出総量は05年度比で5・2%減、13年度比で6%減となった。

日本は20年度に05年度比で3・8%減とする目標を国際公約した。ここまでは原発抜きでも目標を前倒しで達成できたわけだが、パリ協定を踏まえたより高い目標達成には、さらなる省エネや再生可能エネルギーの拡大が必要だ。

世界のエネルギー投資も再生エネに集中するようになった。国際エネルギー機関(IEA)によれば、15年の世界の発電部門への投資総額4200億ドルのうち約2900億ドルは再生エネに対するものだ。

太陽光発電パネルや風力タービンの価格もどんどん低下している。その結果、既存の火力発電より低コストとなるケースも増えてきた。

苦境に陥った東芝や仏アレバの実情が示すように、先進国の原発産業は斜陽となりつつある。一方で、再生エネは成長産業となっていることがわかる。

日本がこうした現実に目をつぶり、再生エネ・省エネより原発維持に資源を投入し続けるなら、確実に世界から取り残されるだろう。

私たちは原発事故がもたらした巨大な負債を抱え、何十年もかけてそれを乗り越えていかなくてはならない。その闘いには支えが必要だ。

事故を二度と繰り返さないためにも原発依存から脱することを決め、その方向に歩む。それが最も強い支えになるはずだ。
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2017年03月07日

[毎日新聞] 中国全人代 世界安定の責任自覚を (2017年03月07日)

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中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が始まった。李克強(りこくきょう)首相は政府活動報告で、秋の中国共産党の第19回党大会やトランプ米大統領の誕生を意識し、内外情勢を安定させる重要性を強調した。

世界第2位の経済大国である中国の安定は世界にとっても重要だが、中国の行動が世界の安定に影響を及ぼしていることも自覚すべきだ。

「安定を保ちつつ、前進を求める」ことが今年の政府活動の基調だ。成長率目標は昨年を下回る6・5%前後。低成長が「新常態」となった現実を受け入れたものだ。

一方で都市の新規就業者数目標は1100万人以上と昨年より100万人増やした。失業者増は社会の不安定化に直結する。安定を脅かすリスクを排除しようとする狙いだ。

難易度は高い。安定を重視すれば、ゾンビ企業の解体など合理化につながる改革は進めづらくなる。改革をためらえば、新たな産業の育成などの雇用創出は困難だ。

内需拡大が持続的な成長を実現するカギだ。そのためには農村の生活向上で都市との格差を縮小し、社会保障の充実で将来への不安を取り除くことが必要になる。

李首相は脱グローバリズムや保護主義の傾向が強まり、世界経済の不安定性が増していると警告した。米国と並ぶ貿易大国である中国が自由貿易体制を擁護するのは当然だ。

しかし、鉄鋼などの過剰生産は世界市場をゆがめている。国有企業を保護する規制も多い。トランプ政権に保護主義政策の口実を与えないためにも過剰生産能力の解消などの政策を着実に進める必要がある。

安全保障では、中国の軍備拡張が東シナ海や南シナ海など地域の安定を崩している。国防費は約7%増となり、初めて1兆元(約16兆5000億円)を超えた。日本の防衛費の3倍を上回る。自国の安全を確保しようとしても軍拡競争になれば、安全には結びつかない。

トランプ政権が国防費を増やす背景に中国の軍事的台頭があることを直視すべきだ。むしろ、北朝鮮の核、ミサイル開発を食い止め、朝鮮半島を安定化させることが安全につながるのではないか。

内政の安定を強調すれば、政治的な引き締めにつながりやすい。人権など普遍的価値の軽視は世界との協調の障害だ。李首相が台湾の蔡英文(さいえいぶん)政権や26日に行政長官選が実施される香港に強い姿勢を示したことも懸念される。

李首相は習近平(しゅうきんぺい)国家主席の突出した地位を示す「核心」の言葉を5度使った。党大会に向け、結束を示す狙いだろうが、内外に安心感をもたらすような政策が実現できなければ、真の求心力にはつながるまい。
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[毎日新聞] 北朝鮮ミサイル 自らの苦境を招く暴走 (2017年03月07日)

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金正恩(キムジョンウン)政権の無軌道ぶりは、とどまるところを知らないようだ。

北朝鮮がまた弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。4発で、うち3発は日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられる。

落下地点で漁船が操業していなかったのは偶然にすぎない。事前通報もなしに発射することは危険極まりない行為である。

北朝鮮は昨年も複数のミサイルを同時に発射し、日本のEEZ内に落下させている。同時発射を重ねる背景には、精度の高さを誇示しようとする意図を読み取れる。

なぜこのタイミングでミサイルを発射したのだろうか。

まずは、1日に始まった米韓合同軍事演習への反発が挙げられる。発足したばかりのトランプ新政権に対し、核・ミサイル開発の決意を見せつけようとしたのかもしれない。

マレーシアでの金正男(キムジョンナム)氏殺害事件の余波が広がっている中での発射でもある。事件を巡って北朝鮮は守勢を強いられているが、局面転換を図れるとでも考えたのだろうか。

しかし、独りよがりの行動は自らを苦境に追い込むだけだ。

トランプ政権は、オバマ前政権の「戦略的忍耐」政策を転換する姿勢を見せており、前政権より強硬な政策を取る可能性が高い。

米国では既に、北朝鮮をテロ支援国家に再指定する議論が強まっているという。北朝鮮による挑発は、トランプ政権を強硬路線に向かわせる効果しかないだろう。

発射は、在韓米軍への「終末高高度防衛(THAAD=サード)ミサイル」配備の必要性を強調する論拠にもなりうる。配備に反発する中国の怒りは強いはずだ。

中国の重要な政治行事である全国人民代表大会(全人代)の開会中に行われたミサイル発射は、中国のメンツをつぶすものでもあった。

中国は既に、北朝鮮からの石炭輸入を年末まで停止すると発表している。北朝鮮にとって最大の後ろ盾である中国との関係修復は、さらに遠のきそうだ。

友好国の多い東南アジアとの関係にも暗雲が漂っている。

シンガポールは昨年、国連制裁に同調して北朝鮮国民のビザなし入国を停止した。金正男氏殺害事件の舞台となったマレーシアはビザなし入国の停止に加え、北朝鮮大使の国外追放に踏み切った。

国際的孤立をさらに深めた北朝鮮の存在は、北東アジアにおける大きな脅威である。

米国のティラーソン国務長官は来週後半から日本と中国、韓国を訪問する。日米韓の連携を強め、中国とも協力を進める契機とすべきだ。
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2017年03月06日

[毎日新聞] 総裁任期延長 議論なき自民いつまで (2017年03月06日)

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自民党はきのう開いた党大会で、総裁の任期を現行の「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長する党則改正を正式に決めた。

これにより来年秋、2期目の任期満了となる安倍晋三首相(党総裁)は、3期目(2021年秋まで)も続けることが可能になる。いや、むしろ「安倍3選」のための変更といっていいだろう。それが昨年来、大きな議論もなく決まったことが今の「安倍1強」状況を象徴している。

安倍首相は大会のあいさつで「自民党は憲法改正の発議に向けて具体的な議論をリードしていく。それが自民党の歴史的使命だ」と語った。

今回決めた今年の運動方針にも改憲に関して「改正原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」と明記された。発議に触れたのは初めてで安倍首相の意向とされる。時期は明示していないものの、首相・総裁を続け、自らの手で改憲を実現したいという意欲の表れと思われる。

総裁任期は現実には首相の在任期間に直結する。それは何年が適切かは議論が分かれるところだ。

第2次安倍政権発足前、ほぼ1年で首相交代が続いていたのは、無論正常な姿とは思えない。一方で同じ政権が長く続けば、おごりや独走が目立ち始めるのが常だ。

「安倍1強」の下、自民党内では活発な議論が乏しくなり、意見の多様性も見られなくなっている。

今度の延長で「安倍3選」が既定路線となり、「安倍首相にはますます逆らえない」とばかりに「議論なき自民党」に拍車がかからないか。

懸念するのはそこだ。

自民党がこれまで「総裁3選」を禁じていたのは派閥の領袖(りょうしゅう)が総裁を競い合った派閥全盛時代のなごりだ。確かに派閥政治には弊害があった。ただし首相を狙う有力候補が目白押しで、政策も含めて党内に激しい議論があったのも事実だ。

今はどうか。例えば学校法人「森友学園」への国有地売却問題だ。

自民党では先週になって石破茂前地方創生担当相が「奇怪な話。政府・与党として解明すべきものだ」と語った。石破氏は来秋の党総裁選への出馬を目指す数少ない一人だ。ところがこうした当たり前と思われる発言も党内で広がる様子はない。

仕組みのうえでは、安倍政権は戦前の桂太郎首相を超え憲政史上最長の長期政権となることも可能になった。だが、それはいずれ行われる衆院選で自民党が勝つのが前提だ。

野党の弱さもあって依然、安倍内閣の支持率は高いが、森友学園問題をはじめ、政権を取り巻く環境が今後、どう変化していくかは分からない。自民党議員は今、国民よりも安倍首相ばかりを見ていないか。
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[毎日新聞] 敵基地攻撃能力 専守防衛を超える恐れ (2017年03月06日)

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北朝鮮の核・弾道ミサイル開発の進展を受け、攻撃される前に敵のミサイル基地などをたたく敵基地攻撃能力の議論が進んでいる。

安倍晋三首相は検討に前向きな考えを示し、自民党の弾道ミサイル防衛に関する検討チームも議論を始めた。2019年度からの次期中期防衛力整備計画をにらんだ動きだ。

敵基地攻撃能力を持つことが、憲法に反しないかどうかについて、政府は法理論的には可能としてきた。

1956年に鳩山一郎内閣は「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」として、攻撃を防御するのに「他に手段がない」場合に限り、ミサイル基地をたたくことは「法理的には自衛の範囲」との見解を示している。

さらに政府は、先制攻撃とは区別し、第一撃を受けたり、ミサイルに燃料を注入するなど敵が攻撃に着手したりした時点で、敵基地攻撃が可能になるとの見解も示している。

しかし、こうした政府の見解はあくまで法理を説明したものだ。現実の状況をあてはめた時、数多くの問題点が浮上する。

ポイントの一つは「他に手段がない」場合をどう考えるかだ。

日米安全保障条約によって、米国は日本防衛の義務を負っている。

米軍が「矛」としての打撃力を持ち、日本は憲法や専守防衛のもと「盾」である防御力に徹するという役割分担になっている。

いざという時、在日米軍による報復攻撃という手段がありながら、自衛隊が敵基地攻撃をすることは、日米の役割分担の枠組みを超える。

さらに大きいのが装備の問題だ。日本は専守防衛のもと攻撃的防衛力を持たないことを原則にしてきた。

敵基地攻撃で考えられる装備には、精密誘導爆弾を搭載した戦闘機や、弾道ミサイル、巡航ミサイルなどがあるが、自衛隊はこうした装備を持っていない。

敵基地攻撃をするためには、まず敵基地の場所を正確に把握し、次に敵の防空用レーダーの機能をつぶし、そのうえで敵基地をたたくわけで、それぞれに装備が必要だ。

専守防衛の武器の体系を抜本的に変える必要が出てくるだろう。

防衛費は大幅に増え、逆に安全保障環境を悪化させかねない。

そもそも、移動式発射台や潜水艦から撃たれるミサイルの発射場所をどう把握し、正確にたたくことができるのか。実効性や費用対効果への疑問も尽きない。

課題はあまりに多いのに、軍事的な対抗策に議論が偏り過ぎていないだろうか。そんな状況で首相が前のめりに検討する姿勢を示していることに懸念を覚える。
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2017年03月05日

[毎日新聞] 香港の首長選 中国介入が自治を崩す (2017年03月05日)

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中国の特別行政区、香港のトップである行政長官(任期5年)選挙の候補者が出そろった。26日の投開票に向けて選挙戦が本格化する。選挙委員会(定数1200人)による投票で、直接選挙ではない。しかし、複数候補の出馬で一定の競争原理は働く。中国は介入せず、委員の自主的な投票を見守るべきだ。

候補者は3人だが、事実上、香港政府ナンバー2だった林鄭月娥(りんていげつが)前政務官とナンバー3の曽俊華(そうしゅんか)前財政官の対決とみられている。

立候補には選挙委員150人以上の推薦が必要で、中国の意中の候補とされる林鄭氏は親中派を中心に半数に近い579人を集めた。香港メディアは「中国政府の出先機関が林鄭氏への支持を働きかけた」と伝えている。曽氏は民主派からの支持も得て立候補にこぎつけた。

2014年に世界標準の民主化を求める「雨傘運動」が起きた際、学生らに厳しい対応を取った林鄭氏に対する批判は根強い。住民全体を対象にした世論調査では曽氏への支持が林鄭氏を上回る。本番は無記名投票のため、曽氏は親中派の切り崩しで逆転を狙っている。

香港返還から20年。約束されていたはずの「1国2制度」に基づく高度な自治が揺らいでいることが、対中不信につながっている。昨年9月の立法会選挙では香港独立を志向する「本土派」と呼ばれる反中勢力が進出したが、中国の介入もあり、2人が議員資格を失った。

今回の行政長官選でも中国の介入を批判する論評を掲載した新聞社が脅迫などを受け、主要なメディア団体が言論の自由を訴えて共同声明を発表する事態が起きている。

香港人自らが代表である行政長官を選ぶことが「高度な自治」の前提のはずだ。しかし、中国の意中の人物とされる候補が選出されることが慣例化し、直接選挙の洗礼を経ない長官の資質への疑念も強まっている。梁振英(りょうしんえい)長官は中国の信頼を失って再選を断念した。2代目長官だった曽蔭権(そういんけん)被告は先月、在任中の不正で有罪判決を受けた。

香港社会への中国の介入も目立ち始めた。香港の出版社関係者が次々に失踪し、中国で取り調べを受けた事件は記憶に新しい。1月末には中国指導部に近い中国出身の富豪が香港中心部のホテルから姿を消し、経済界にも懸念が広がった。

香港の利益を代表し、中国に毅然(きぜん)と物を言えるような人物が必要だ。次期長官は直接選挙実現に向けた選挙改革を再始動させる責任も負う。

中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席は外交、内政で「包容力」の重要性を強調している。まずは、香港の同胞に「包容力」を示すべきだ。
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[毎日新聞] 森友学園 検査院任せは筋違いだ (2017年03月05日)

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国有地取得を巡る交渉が、大阪の学校法人「森友学園」の要求通りに進んだのはなぜか。

政治家が関与した疑いがある以上、政府・与党は会計検査院任せにはせず、国政調査権に基づく真相の解明を進めるべきである。

学園の籠池(かごいけ)泰典理事長が自民党の鴻池祥肇参院議員の事務所に、小学校開校を巡り役所への口利きを依頼していた記録が発覚した。依頼は、2013年8月から昨年3月にかけて15回に上る。

「政治力で早く結論が得られるように」「賃借料をまけてもらえるようお願いしたい」などと露骨な要求が記されている。そこから浮かび上がるのは、政治家を通じて執拗(しつよう)に利益を得ようとする学園側の姿勢だ。

実際に、財務省近畿財務局や国土交通省大阪航空局との交渉は理事長の意向に沿う形で進んだ。

記録によると、財務局は当初、国有地購入による取得しか認めなかったが、理事長が「8年間は借地で、その後購入とできないか」と事務所に要望した結果、売却を前提とした10年間の定期借地契約になった。

年間約4000万円の賃料提示にも理事長は「高すぎる。何とか働きかけしてほしい」と事務所に求め、年間2730万円に減額された。

さらに売買契約に切り替えた際も一括払いでなく分割払いとなる。

理事長の要望に応じて財務局や航空局がルールを次々と変更した経過が見て取れる。財務省は「政治家から不当な働きかけはない」と答弁しているが、判明した事実とは大きく食い違う。

学園の小学校設立の認可を巡る審議にも不可解な経緯があった。大阪府の審議会は財務面に不安があることなどから認可を保留したが、1カ月後の臨時会では一転して、条件付きながら認可適当と答申した。理事長はこの間、大阪府議に「小学校の件、よろしくお願いします」と要請していた。

もはや理事長らの参考人招致が不可欠だろう。ところが、政府や自民党は会計検査院を盾に野党の要求を拒んでいる。

検査院の検査は、売却価格が適正だったかどうかという外形的なチェックにとどまる。交渉過程で不正がなかったかどうかを解明することまでは期待できない。

安倍晋三首相の昭恵夫人は小学校の名誉校長に就任し、問題発覚後に辞退した。学園の寄付集めには首相の名が一時使われており、首相は全くの第三者ではない。

首相がもし「利用された」と考えるのであれば、理事長らの国会招致で事実の解明を図ることが自らの利益にもなるのではないか。
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2017年03月04日

[毎日新聞] トランプ税制 公正な競争ゆがめるな (2017年03月04日)

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トランプ米大統領が「歴史的な税制改革」を目指している。就任後初の議会演説では詳細に踏み込まなかったが、法人税改革と中間層向けの減税に意欲を見せた。

米国内外で特に注目を集めているのが「国境調整税」と呼ばれる措置だ。企業が米国製品を輸出して得た所得は法人税を免除する一方、輸入された製品や部品には高率の税金を課す。税の形をした事実上の輸出補助金であり、輸入制裁金と言える。

国境調整税は、共和党のライアン下院議長が提案したものだが、雇用創出のため輸出推進、輸入制限を唱えるトランプ氏が同調する可能性はある。下院議長案が、現行35%の法人税率を20%へ引き下げることを盛りこんでいるのも、「法人税15%」を選挙戦で唱えたトランプ氏と方向が重なる。

輸入品を法人税で差別する国境調整は、世界貿易機関(WTO)のルール違反となる恐れがある。ただ、米政府は、このほど議会に提出した年次通商報告の中で、WTOの勧告や裁定に必ずしも従わないとの方針を打ち出した。「米国第一主義」の通商政策実施に向け、先手を打ったような形である。

世界一の大国が、国際秩序に背を向け、なりふり構わぬ輸出優遇や輸入排除に走れば、WTOなど多国間の約束が空洞化する一方、対抗措置の広がりにより、世界経済が収縮することにもなりかねない。

もっとも、国境調整税導入のハードルは高そうだ。与党内にも問題視する向きがあり、すんなり導入されるとは考えにくい。

とはいえ、法人税の大幅引き下げは共和党が目指しているばかりか、トランプ氏の公約でもある。その財源として、国境調整税から得られる税収は魅力的なのだろう。だが、国境調整税導入によるコストが販売価格に転嫁されれば、大企業、特に輸出企業が受ける恩恵の対価を、一般の消費者が「値上げ」という形で支払うことになる。中間層の負担軽減と矛盾する政策だ。

国境調整税の支持者は、ドル高を招く政策であるため、価格への打撃は軽減されると主張する。だが、外国為替市場は、さまざまな要因で日々変動するものだ。課税によるコスト上昇分を相殺するドル高が教科書通りに起きる保証はない。

ムニューシン米財務長官は米メディアのインタビューで、大規模な税制改革案を「近い将来」とりまとめ、8月までに関連法を成立させる意向を明らかにした。米国の税制とはいえ、世界に大きな影響を与える可能性がある。日本政府は他国と協調し、米国に公正な制度やルール順守を促していく必要がある。
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[毎日新聞] 石原氏記者会見 結局は責任逃れなのか (2017年03月04日)

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豊洲市場(東京都江東区)への移転をめぐる疑問に正面から答えたとは言えないだろう。

石原慎太郎元東京都知事が日本記者クラブで記者会見した。

会見は石原氏の希望で行われた。石原氏は先月、「逃げているとか、隠れているとかの屈辱を晴らしたい」「言うべきことを言う」と述べ、弁明の機会を求めたのだ。

石原氏としては、豊洲市場をめぐる混迷は石原都政に根ざしているとして攻勢を強める小池百合子知事に反論したかったのだろう。

石原氏は、豊洲市場への移転を決めたことについて「裁可した責任はある」と認めたが、一連の問題は都議会を含めた都庁全体で決めてきたことだと強調した。

こまかな対応を問われると「いちいち報告を受けていない」と繰り返した。これでは責任逃れと受け取られても仕方ない。

経緯を押さえておきたい。

石原氏が知事に就任したのは1999年だ。東京ガスの工場跡地だった豊洲が市場の移転先候補に挙がっており、長く石原氏の秘書を務めていた浜渦(はまうず)武生副知事が2000年に東京ガスとの交渉役となった。

01年1月、豊洲市場用地の土壌から環境基準の1500倍のベンゼンが検出されたが、都はその年の末、豊洲への移転を正式決定した。

さらに08年には基準値の4万3000倍のベンゼンが検出されたが、都は移転の契約を結んだ。

なぜ、高濃度のベンゼンなどが検出された豊洲への移転が決められたのか。石原氏は「豊洲移転は知事就任時、既定路線だった」との従来の主張を繰り返すにとどまった。

会見で最も焦点になったのは、11年3月に都と東京ガスが結んだ土地の売買契約と土壌汚染対策の費用負担に関する協定書の妥当性だ。

東京ガスの負担は586億円のうち78億円のみで、それ以上の責任を負わない「瑕疵(かし)担保責任の放棄」が明記されたからだ。最終的に都の土壌汚染対策費は約860億円にまでふくれあがった。

この点について石原氏は、浜渦氏に任せていたとし、報告は受けていないと述べた。主要な建物下の盛り土がされなかった問題も、具体的に判断した記憶はないという。

専門家や行政各部署の責任者の判断を尊重してきたというが、結局は丸投げだ。これが行政手腕を誇ってきた石原氏のセリフなのか。

石原氏は20日、東京都議会が設置した調査特別委員会(百条委員会)で証人として喚問される。浜渦氏も喚問予定だ。関係者が委員会に出席し、真摯(しんし)に対応することが、豊洲移転問題の解明には欠かせない。
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2017年03月03日

[毎日新聞] 宅配の問題 過剰な便利さの再考を (2017年03月03日)

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宅配最大手のヤマト運輸が、荷物の取扱量抑制に向けて労使で協議を始める。慢性的に人手が足りない配達の現場から「もう限界だ」との声が上がったためだ。

インターネット通販の普及で、業界が運ぶ荷物は増加の一途にある。荷を扱う現場では再配達や時間指定配達などに追われ、長時間労働が日常的になっている。

背景には「送料無料」「即日配達」など、利用者による利便性の追求と、それに応えて顧客を囲い込もうとする競争がある。だが、だれかに過重な負担を強いて提供されるサービスは長続きできない。

業界や通販会社が持続可能な宅配のあり方に取り組むだけでなく、便利さの恩恵を受ける利用者の意識の転換も必要だろう。

国土交通省によると、業界が扱う荷物量は2015年度に37億個を超えた。この10年間で約8億個も増えている。

このうちヤマトは17億3000万個で、今年度は19億個に迫る。13年から佐川急便に代わって、ネット通販最大手のアマゾンから宅配業務を受託した結果、個数が急増した。

ヤマトの配送担当者は全国に約6万人いるが、多い時期は1人で1日150?200個を宅配しなければいけないという。残業せずには処理できない量だ。

このため、ヤマトの労組は、来年度の扱い量が今年度実績を超えないように経営側に対策を求めている。会社は、時間指定配達のうち一部の時間帯廃止や夜の時間帯繰り上げなどを検討する方針だ。

業界としても、駅での宅配ボックス設置やコンビニでの受け取り普及を対策にあげる。

国交省の調査によると、受取人の不在による再配達は宅配便全体の約2割になる。扱う荷物が多いのに加え、むだ足に終わることが長時間労働や心身の消耗を招く。

こうした問題を招く原因の一端が、国交省による利用者調査で明らかになっている。

再配達になった理由を聞くと「配達が来るのを知らなかった」が最も多いが、これとほぼ同じ4割が「再配達してもらうのを前提に不在にしていた」と回答した。むだ足を踏ませても構わないという意識が読み取れる。

ネット通販の普及で、日々の生活は快適で便利になったが、荷物を運ぶのは生身の「人」だ。労力はかかるし、それに伴う対価も生じる。

社会に欠かせない基盤となった宅配の未来がこのままでは揺らぎかねない。利用者もどこまで利便性を求めるか、再配達や夜間配達に別料金の形で負担に応じることを含め、再考しなければならない。
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[毎日新聞] 森友学園 教育機関と言えるのか (2017年03月03日)

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果たして教育機関を名乗る資格があるのか。学校法人「森友学園」の実態が明らかになるにつれて疑念が深まる。

学園が運営する幼稚園の運動会で「安倍(晋三)首相がんばれ。安保法制、国会通過よかったです」などと園児に選手宣誓をさせていた。この映像を見て異様さを感じた人は少なくないはずだ。

教育基本法は思想が偏らないよう教育の政治的中立を求めている。園児にこうした宣誓をさせることが法を逸脱しているのは明らかだ。

政治について理解する力が身についていない幼児に、大人の思想を押しつけるのは教育ではなく、まさに洗脳である。

子供の健全な成長に影響を及ぼしかねない深刻な事態だと受け止めなければならない。

この幼稚園は教育勅語を園児に暗唱させており、新設予定の小学校でも素読させるとしている。

明治憲法下の教育理念である教育勅語は忠君と国家への奉仕を求めていた。1948年、「基本的人権を損ない、国際信義に対して疑いを残す」などと衆参両院で排除と失効確認が決議された。公式決議の意味は重く、教育現場での暗唱はふさわしくないはずだ。

強引に戦前回帰を進めようとする籠池(かごいけ)泰典理事長らの姿勢は時代錯誤と言わざるを得ない。

学園を監督する大阪府は、教育基本法の趣旨を踏まえた教育内容に改めるよう指導を徹底すべきだ。

教育以前の問題も相次いでいる。職員に「犬臭い」と非難されるなどの嫌がらせを受けたとして元園児の保護者が損害賠償訴訟を起こした。「よこしまな考え方を持った在日韓国人や支那人」という差別表現のある文書を保護者に配り、府が事情を聴いたことも明らかになっている。

学園は4月の小学校開校を予定しており、大阪府の審議会が認可を検討してきた。しかし、申請時から学園の財政状況や教育内容を不安視する意見が多く、「思想教育のよう」と懸念を示した委員もいる。

大阪府が認可を延期する方向で検討に入ったのは当然だ。学園を巡る疑念を拭い去ることができない限り、認可はすべきではないだろう。

学園の国有地取得を巡っては政治家に口利きを依頼していた疑いも浮上した。自民党参院議員の鴻池祥肇元防災担当相が理事長夫妻と面談していたことを明らかにした。

鴻池氏本人は財務省や国土交通省への働きかけを否定している。しかし売却の経緯に不可解な点が多く、国民の関心も極めて高い。安倍内閣として厳格に真相を究明するよう改めて求める。
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2017年03月02日

[毎日新聞] トランプ演説 軍事偏重より外交力を (2017年03月02日)

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米国の精神はよみがえり、偉大な米国の新たな章が始まっている??。トランプ米大統領は連邦議会での施政方針演説で力説した。

1月20日の就任時に比べれば明るくソフトな演説だった。だが、さかんに拍手を送る共和党議員に対し野党民主党の議員は硬い表情が目立ち、国内の分断を印象付けた。

大統領は説いた。「ささいな争い」は過去のものとして「夢を共有する勇気」を持とうと。だが、米国の伝統的な価値観や「エスタブリッシュメント(既成の権威)」を嘲笑してきたのは当のトランプ氏だ。

一部メディアを「フェイク(偽)ニュース」「人々の敵だ」と攻撃したのもトランプ大統領だ。民主党はおいそれと超党派の協力はできまいし、演説を境にメディアとトランプ政権の融和が進むとも思えない。

共和党内にも不満はくすぶる。民主党の女性議員らは大統領選でのトランプ氏の女性蔑視発言に抗議して白いジャケット姿で出席した。議会にもさまざまな亀裂が走っている。

最も注目されたのは「米国史上最大級」の軍事費増額だった。今年10月からの会計年度で、約1割増となる540億ドル(約6兆円)の増額を図る。その財源として省庁の非国防費を大幅に減額するというのだ。

その根底には、強大な軍事力によって他国の挑発や攻撃をけん制するとともに戦争になれば確実に勝つという、冷戦時からの思想がある。トランプ政権が手本とするのは、「強い米国」を掲げた1980年代のレーガン政権(共和党)だろう。

トランプ大統領は北朝鮮や中国の不穏な動きに対抗するにも軍拡が必要だと思っているようだが、軍事偏重の危うさもある。約120人の退役将軍らが「危機の多くは軍事的手段だけでは解決できない」とする書簡を議会に送ったのはもっともだ。

国際社会の危機に対して米国は動いてくれるのか、という不安もあろう。米国の軍事力は従来、世界の「公共財」とみられていた。だが、トランプ大統領はオバマ政権同様、「米国は世界の警察官ではない」との姿勢を取り、同盟国には防衛費の負担増を求めてきた。

この日の演説では、自分は米国の代表であり世界の代表ではないと言明した。一連の発言は「米国ばかり頼らず、米国も同盟国も軍事費を増やそう」と言っているようにも聞こえる。そんな姿勢がロシアや中国の軍拡を呼ぶことも想像に難くない。

折から国連安保理ではシリア制裁決議案に中露が拒否権を使い、トランプ国連外交は早くもつまずいた。冷戦中と違って多様な勢力がせめぎあう今日、世界を説得して動かせる信用と外交力こそ大事ではないか。
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[毎日新聞] 世耕経産相 異常な情報管制の発想 (2017年03月02日)

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経済産業省が、日中も全ての執務室に施錠するなど異例の情報管理ルールを導入した。

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【経済産業省はこんな建物】

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<経産省が取材限定ルール 異例の全執務室施錠>

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<CNN、NYタイムズも>トランプ政権、10メディア排除

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<メディア排除>「国民の知る権利侵害」メディア猛反発

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<情報公開法>割れる開示・不開示、役所に都合よく

記者の取材活動を大きく制約する措置で、報道を通じて国民が政策立案をチェックするという機会を奪いかねない。

経産省によると記者の入室は原則として禁止され、執務室外の会議室で職員と面談することになった。省内には外交関係を含めて機微に触れる情報が多いことから庁舎管理を徹底したというのが、同省の説明だ。

もちろん、国や企業の利益を損なうような機密情報の流出は防がなければならない。しかし、機密情報を扱う機会が多い外務省や防衛省、警察庁などでも執務室を施錠しているのは一部の部局にとどまる。経産省の措置は突出している。

さらに看過できないのは、取材対応を課長・室長級以上の管理職に限定した上でメモを取る職員を同席させ、内容を広報室に報告させるというルールだ。幹部らの自宅周辺での取材も原則受け付けず、やむを得ず受けた場合は広報室に報告しなければならない。

これでは、取材を受けても役所にとって都合のいい建前しか話せないのではないか。担当者と本音の議論をして、政策の問題点を探るといった取材は困難になる。

役所が宣伝したい情報ばかり提供するのでは、役所への信頼感は失われる。国民は政策の是非を判断する材料を得られない。今回のルールは、国民の意見や批判を受けて役所が再考し、より望ましい政策に改善していくという道を封じる情報管制になりかねない。

経産省は元々、自由闊達(かったつ)な雰囲気を誇りにしてきた役所ではなかったか。そもそも、なぜ今、新ルールを導入したのだろう。

世耕弘成経産相は「個別の案件とは関係がない」と否定するが、政界などでは先月の日米首脳会談前の報道と関係あるのではないかと受け止められている。

経産省が作成に関わった経済協力の内容が会談直前に報じられ、国会で安倍晋三首相が野党の批判を浴びた。そのため、政府内で情報漏れが問題になったという。

経産省の対応に関し、菅義偉官房長官は記者会見で「一定のルールを敷くのは自然なことではないか」と理解を示した。しかし、山本有二農相は「閉鎖社会を作るイメージなら、もう少し検討を加える必要があるのでは」と指摘し、山本公一環境相は「好ましいことだとは思っていない」と述べた。

世耕氏はNTT広報部報道担当課長の経歴があり、広報のプロを自任していたのではないか。このルールは早急に撤回すべきだ。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする