2017年05月28日

[毎日新聞] G7が対テロ・ネット規制 ISを封じ込めるために (2017年05月28日)

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主要7カ国(G7)首脳が、テロ対策での一層の連携強化に向けて、「テロ及び暴力的過激主義に関する声明」を採択した。

G7はこれまでもテロへの取り組みを重ねてきたが、今回はインターネット空間がテロに悪用されている深刻さに焦点を当てた点が特徴だ。

首脳会議の直前に起きた英マンチェスターでの自爆テロ事件では、容疑者がネット上の動画で爆弾の製造方法を学んでいたとみられている。

声明にはメイ英首相の主導で、通信サービスのプロバイダーやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)会社に取り組みの強化を求め、暴力をあおるコンテンツを自動的に検知する技術の開発を促すなどの内容が盛り込まれた。

中東のシリアを拠点とする過激派組織「イスラム国」(IS)の支配領域は米欧やロシアによる攻撃で縮小傾向にある。だが、その過激思想はネットで世界に広まり、影響を受けた若者らが欧州やアジアなどでテロ事件を起こしている。

ISは、動画など洗練された作りのサイトで若者を洗脳し、外国人戦闘員として勧誘する。中東へ行かなくても欧州でテロを起こせばよいとも指南する。出入国の監視だけでなく、バーチャルな世界での過激思想の拡散を遮断しなければ、テロを防げなくなっているのが現状だ。

このため、ネット空間の取り締まりで協力を深めることは重要だ。G7の技術力と知恵を集めて、有効な対策を編み出すことが求められる。

半面、ネット規制の技術は国家による言論介入に悪用される恐れもある。ロシアや中国では「過激主義」が反体制派を取り締まる口実にも使われる。

信仰や表現の自由は尊重されなくてはならない。ISなどの過激思想の規制とどう両立を図るかは、議論の必要があるだろう。

欧州では、移民系の若者が失業や差別など社会格差への反発から過激思想に染まりやすいことも指摘されている。G7声明がこれを認め、取り締まり強化だけに偏らない経済・社会政策も含めた「包括的なアプローチ」を確約したことは妥当だ。

捜査情報だけでなく、こうした地道な取り組みでも、各国間で情報や経験が共有されるよう求めたい。
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[毎日新聞] 安倍首相の在任 戦後3位に 「1強」のひずみは深刻だ (2017年05月28日)

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学校法人加計学園を巡る問題が大きな焦点となる中での節目である。

安倍晋三首相の在任日数が第1次内閣を含めて、きょう通算1981日となり、小泉純一郎元首相を抜いて戦後3位となる。

自民党総裁任期が延長され、安倍政権は2021年まで続く可能性がある。しかし現状は「安倍1強」のひずみが一段と目立ち始めている。

首相の友人が理事長を務める加計学園が国家戦略特区で獣医学部を新設する計画に関する一連の問題は、この「1強」状況の下で必然的に起きたと言えるかもしれない。

文部科学省の前川喜平前事務次官が内部文書は本物だと証言したことで、疑問の核心は、新設は実際に首相の意向なのか、首相の意向を盾に内閣府が文科省などの慎重論を押し切ったのか??に移っている。

既に指摘したように、各府省の幹部人事は今、内閣人事局が握っている。しかも安倍政権はさらに長期化すると思えば、官僚は自らの人事への影響をより恐れるようになる。

それが首相の意向を官僚が「そんたく」し、首相官邸に対して、言うべきことも言わなくなる土壌を生んでいないか。これはまさに「政治の本質」を問う問題である。

にもかかわらず菅義偉官房長官の対応は前川氏に対する個人攻撃が目立ち、与党も前川氏の国会招致を拒否している。そして、解明を拒む姿勢に異を唱える声は自民党の中ではごく少数だ。深刻なのはそこだ。

首相の最大目標とされる憲法改正も同様だ。首相は憲法9条の1、2項を堅持したうえで自衛隊を明記する文章を追加する考えを唐突に示した。これまで自民党内でほとんど議論されたことのない案だ。

ところが首相が言い出した途端にその具体案作りが既定路線のようにして急速に進んでいる。

安倍内閣の支持率は高水準を保っている。民進党など野党は圧倒的に数が足りない。政権が強気なのはそうした背景もあるのだろう。

小泉氏は郵政民営化など自民党内の反対派と戦う姿を示すことで人気を博した。小泉政治の評価は分かれるが、当時の自民党には表に見える活発な議論があったのは確かだ。

自由にものが言えない政治がますます進むことを恐れる。
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2017年05月27日

[毎日新聞] 自民党の「9条加憲」論議 空文化を狙っていないか (2017年05月27日)

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自民党が憲法改正推進本部の体制を見直し、自衛隊の存在を明記する「9条加憲」へ動き始めた。年内に自民党案をまとめるという。

私たちは、戦争放棄を定めた9条1項と戦力不保持を定めた同2項を維持したまま、自衛隊の保持を明文化するという安倍晋三首相の提起をすべて否定はしていない。

しかし、自民党内で取りざたされる条文案を聞くと、加憲の意図に疑念を覚えざるを得ない。

首相に近い党幹部は「9条の2」を新設する案に言及している。それが「前条の規定にかかわらず、自衛隊を設置する」「前条の規定は自衛隊の設置を妨げない」などの表現であれば、自衛隊は9条1、2項の制約を受けないとの解釈につながる。

そうした意図を裏付けるような考え方が昨年の参院選後、右派団体「日本会議」の中から出ている。

日本会議の有力メンバーで、首相のブレーンとされる伊藤哲夫・日本政策研究センター代表は同センターの機関誌(昨年9月号)で、9条に第3項を加えて「前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない」とする加憲案を提起した。

国際法に基づく自衛権には集団的自衛権も含まれる。この案の狙いは9条の制約外しにあるのではないか。機関誌(昨年11月号)には「自衛隊を明記した第3項を加えて2項を空文化させるべきである」との主張まで掲載されている。これでは9条の堅持どころか全否定になる。

自衛隊を合憲とする政府の憲法解釈は、自国を防衛するための武力行使を合憲とした1954年の政府統一見解で確立している。

他国への攻撃を自国への攻撃とみなして防衛するのが集団的自衛権だ。その行使については、自衛のための必要最小限度を超えるとして、政府は長く違憲と解釈してきた。

安倍政権は2014年にこの憲法解釈を変更し、集団的自衛権の限定的な行使を可能とする閣議決定を行った。9条加憲の狙いが集団的自衛権の制約を解くことにあるのだとすれば、9条の空文化であり、再び国論を二分するだけだ。

自民党は条文案の検討に入る前に9条加憲の目的を明確化すべきだ。議論の順番を間違えている。
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[毎日新聞] 日本スポーツ界の女性役員 「1割」程度では情けない (2017年05月27日)

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男女共同参画社会の実現に向けて、政府は指導的地位にある女性の割合を2020年までに30%にすることを目標にしている。

世界のスポーツ界が目指すのは、さらに高い「40%」である。

6月は国内の競技団体にとって役員改選の季節だ。世界からの遅れを取り戻すべく、大幅な女性登用に取り組むべきだろう。

「40%」は、男女平等を目的とした「国際女性スポーツワーキンググループ(IWG)」が14年に発表した提言「ブライトン・プラス・ヘルシンキ宣言」の目標値である。

公益財団法人「笹川スポーツ財団」が昨秋行った調査によれば、日本オリンピック委員会(JOC)などに加盟する61の競技団体で女性役員の割合は11%に過ぎない。ゼロの団体も11あった。

体育会系の上下関係が重視され男性中心に人事が決まったり、女子競技の歴史が浅く適任者が見つからなかったりという事情はあったとしても、看過できない。

国際オリンピック委員会(IOC)は4月、各委員会を含めた女性役員の割合を38%に引き上げた。バッハ会長が就任した13年当時に比べ7割増えたという。

日本が1985年に締結した女性差別撤廃条約には「スポーツ及び体育に積極的に参加する同一の機会」の確保を掲げた項目がある。

指導的役割や意思決定への女性の参画は男女平等につながり、一般社会への模範になる。スポーツのすそ野を広げてもくれるだろう。性的嫌がらせなどの排除にも女性の力は必要だ。

スポーツ庁やJOC、日本体育協会などは4月、「ブライトン・プラス・ヘルシンキ宣言」に署名した。今後は、男女均等化計画の制定や男女別の定数制の導入など具体的な方策を示していくべきだ。

競技者に目を転じれば、IOCが策定した中長期改革「アジェンダ2020」では、参加選手の男女比を同等にすることが明記され、男女混合種目の採用が奨励されている。

指導的立場であれ選手であれ、一方の性に偏らないのが自然な姿だろう。いびつな現状を是正し、20年東京五輪・パラリンピックで日本は世界に誇れる姿を見せたい。
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2017年05月26日

[毎日新聞] 「加計学園」問題で新証言 もう怪文書とは言えない (2017年05月26日)

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もはや文書が確認できないという言い訳は通用しなくなった。

文部科学省の前川喜平前事務次官が記者会見し、学校法人「加計学園」(岡山市)が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画で、「総理のご意向」などと記された文書が「確実に存在していた」と認めた。

前川氏は今年1月、天下りあっせん問題の責任を取り辞任している。

文書を巡っては、存在が示された17日に菅義偉官房長官が「誰が書いたものか分からない」などと述べ「怪文書」扱いした。さらに「首相から指示は一切ない」と関与も否定している。

文科省での調査を実施した松野博一文科相は「存在が確認できなかった」と発表している。

だが、前川氏の会見で、その主張は崩されたことになる。

前川氏は会見で、文書に関し、昨年秋に獣医学部新設を担当する専門教育課から説明を受けた際に受け取ったと説明した。「あったものをなかったとはできない」と政権の対応を批判した。改めて調査すれば明らかになるとも話している。

文科省の当時の事務方トップの証言で、問題の局面は変わった。

前川氏によると、既存の獣医学部でない構想であることや獣医師の需給動向を踏まえることなどの4条件がもともと閣議決定されていた。

ところが「特区で議論するのは(愛媛県)今治市の加計学園という共通認識で仕事をしていた」と述べ、まっとうな行政に戻すことができずに押し切られ、行政がゆがめられたと指摘した。

文書の存在がはっきりした以上、実際に「総理の意向」があったのか、内閣府側の「そんたく」だったのかが焦点になる。

前川氏は会見で、国会での証人喚問があれば応じる意向を示している。野党は、前川氏の国会での参考人招致や証人喚問を求めている。

だが、再調査について、菅官房長官は「文科省が適切に対応されるだろう」と述べるにとどめ、松野文科相は再調査に否定的な考えを繰り返している。与党は参考人招致などに反対している。

国会の場で、前川氏に証言してもらい、真相をはっきりさせなければ、疑問は解決しないだろう。
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[毎日新聞] トランプ氏初参加のG7 価値観の共有が試される (2017年05月26日)

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きょうから始まる主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)で最も注目されるのは、初参加する米国のトランプ大統領だ。40年以上続いたサミットを変質させるかもしれない。

今のG7は、自由と民主主義、人権、法の支配といった共通の価値観によって世界を主導し、米国はこれまでその先頭に立ってきた。

だが「米国第一主義」のトランプ氏は違う。自国産業保護のため自由貿易の制限もいとわず、イスラム圏からの入国を規制し、隣国メキシコとの国境に壁を築こうとしている。

発足当初、G7の国内総生産(GDP)は世界全体の約7割を占めていた。中国など新興国の台頭で相対的な経済力が低下し、存在意義が問われるようになってきた中で、G7が前面に打ち出し始めたのが普遍的な価値観の共有だ。

この基盤を重視しないトランプ氏の米国は、G7の存在意義を突き崩す恐れがある。

トランプ政権幹部からは、中国とロシアが参加しないG7の枠組みを疑問視する声も上がり始めている。

むろん、シリアや北朝鮮など国際問題の解決に中国やロシアの協力は欠かせない。だが、G7が一線を画してきたのには理由がある。

G7はソ連崩壊後、民主化へ歩み出したロシアを加えて一時はG8になったが、2014年にウクライナ南部クリミア半島の一方的な編入という国際法に反する行動に出たため「除名」した。中国は、自由選挙のない共産党1党独裁体制だ。

米国が、中露を加えて新しい枠組みに変えようと考えているなら論外だ。中露は米英仏とともに国連安保理の常任理事国である。もう一つ同じような枠組みを作る意味はない。

日本にとってG7は、欧米主導の国際政治に参画する重要な足がかりになってきた。それが変質するのであれば看過できない。

経済格差の広がりが生む反グローバリズムの潮流を押しとどめ、国際協調に基づく解決策を探るのがG7に求められる役割のはずだ。

価値観では必ずしも相いれないトランプ氏の米国をG7にどう取り込むのか。それともG7が米国によって変質させられていくのか。

今回のサミットが重要な試金石になるだろう。
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2017年05月25日

[毎日新聞] トランプ政権と中東和平 仲介の実が問われている (2017年05月25日)

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トランプ米大統領がイスラエルとパレスチナを訪問し、中東和平交渉で仲介役を果たす意欲を示した。

和平再生へ向けて米大統領が指導力を発揮することに異論はない。問題はトランプ氏に難題に取り組む覚悟と構想力があるかどうかだ。

トランプ氏はイスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長と個別に会談後、「(双方に)和平を達成する用意がある」と強調した。ただし交渉再開の時期や、具体的方策は示さなかった。

パレスチナが独立国家を樹立し、イスラエルとの「2国家共存」を目指す和平交渉は、3年余、中断している。中東和平は双方だけでなく、イスラエルと周辺アラブ諸国の和解や、地域全体の安定化につながるものとして期待されてきた。

それだけに米大統領の役割は重要だ。クリントン大統領は1993年にパレスチナ暫定自治合意(オスロ合意)を仲介し、2000年に最終地位交渉にまでこぎ着けた。だが、それが頓挫した後は大きな進展がなかった。オバマ前大統領もむしろ消極的だった。

問題の一つはイスラエルが占領地で続けるユダヤ人入植地の建設だ。パレスチナは領土がむしばまれるとして常に反発してきた。入植地をいかに解消させるかが和平交渉で主要な議題となる。

また双方が「首都」だと主張するエルサレムの帰属を決めることも、難関と位置づけられている。

しかし、トランプ氏はネタニヤフ首相との共同記者会見で、入植地問題に一切触れなかった。アッバス議長に対しては「暴力の抑制」など課題を突きつけた。

また「2国家共存」に固執しないとした2月の自身の発言や、在イスラエル米大使館のエルサレムへの移転方針について公に修正しなかった。「パレスチナ国家」への言及もなかった。パレスチナ側からすれば、イスラエル寄りとの疑念は拭えないだろう。

トランプ氏の中東歴訪には、オバマ前大統領と異なる姿勢を示す狙いがある。サウジアラビア、イスラエルとの関係修復に加え、中東和平への意気込みもその一環と言える。

言葉だけでなく、仲介の実が問われることになる。
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[毎日新聞] 原発再稼働に頼る関電 持続可能な経営なのか (2017年05月25日)

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原子力規制委員会は福井県の関西電力大飯原発3、4号機の安全審査で、新規制基準に合格したことを示す審査書を正式決定した。

関電の原発では、同県の高浜4号機が今月再稼働した。高浜3号機も来月再稼働する予定だ。

地元同意が得られれば、年内にも原発4基が稼働する体制が整う。

関電は最終的に、老朽原発3基を含め福井県内に所有する9基を再稼働させる方針だ。大手電力会社の中でも原発回帰の姿勢が際立つ。

だが、事故に備えた自治体の住民避難計画は不十分なままだ。

大飯原発と高浜原発は十数キロしか離れていない。自然災害などで過酷事故が同時発生すれば、対応は一層困難になる。原発集中立地の問題は規制委も今まで真剣に検討してこなかった。そうした状況にもかかわらず、関電が原発再稼働を相次いで進めることは、認めがたい。

関電は、火力発電の燃料費削減により収支が改善し、電気料金を値下げできるという。短期的に見れば、確かにその通りだろう。しかし、原発に頼るばかりで持続可能な経営と言えるのか、大いに疑問がある。

東日本大震災前、関電は発電量に占める原発比率が5割を占め、電力会社で最も高かった。震災後はその分、火力発電の燃料費がかさんだ。電気料金を2度値上げし、顧客離れを招いた。岩根茂樹社長は「最大の経営戦略は再稼働」と語る。

だが、風力や太陽光発電のコストは低下し続けており、世界のエネルギー投資は再生可能エネルギーに集中するようになった。一方で先進国の原子力産業は斜陽化している。

安倍政権も長期的には、原発依存度を引き下げる方針だ。そもそも、老朽原発の安全対策費が想定を上回るかもしれない。大事故を起こせば、会社の存続すら危うくなる。

原発に左右されない経営体制の構築こそが、関電にとっても長期的な利益にならないか。大阪市と京都市は「経営体質の強化と安定化につながる」として、脱原発依存を関電の株主総会で提案してきた。

大飯原発では今後、地元同意手続きが焦点となる。事故の影響を考えれば、同意の範囲を立地自治体に限らず、避難計画の策定が義務づけられた原発30キロ圏に拡大すべきだ。
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2017年05月24日

[毎日新聞] 英コンサート会場爆破 欧州は対テロで再結束を (2017年05月24日)

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多くの人が集まり警備が脆弱(ぜいじゃく)なソフトターゲットがまた狙われた。

英国中部マンチェスターのイベント会場で爆発があり、80人を超す死傷者が出た。

若者に人気が高い米女性歌手のコンサートが終わり、観客が帰路につくところだった。10代の若者が多数犠牲になったとみられている。

警察は自爆テロとみている。無差別に市民を狙った卑劣な犯行は許されない。

英国のテロでは、2005年に52人が死亡したロンドン同時爆破テロ以来の犠牲者数となった。

今年3月にもロンドンの国会議事堂近くで、男が車で通行人を次々とはねるテロ事件があり、当局は警戒を強めていた。それでも起きた今回の事件は、テロを防ぐ難しさを改めて突き付けた。

欧州各国で相次ぐテロは、市民を不安に陥れ、これに乗じて移民やイスラム教徒の排斥を訴える極右勢力が伸長している。テロへの恐怖が分断を広げることにならないか懸念されている。

事件が起きたマンチェスターではテロで鉄道が止まり、帰宅できなかった観客らに宿泊所を提供しようという住民の呼びかけがツイッターなどで広がっている。分断でなく連帯を呼びかける声の広がりは心強い。

欧州では近年、自国第一主義の風潮が台頭している。英国は昨年6月の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた。移民に職を奪われることへの不安などをあおった勢力がEU離脱への支持票を押し上げたためだ。

だが、市民社会を脅かすテロは欧州共通の脅威である。それだけに、テロ対策で各国は再結束を図らねばならない。

メルケル独首相は事件を受け、英国とともにテロと戦う「我々の決意を強めるだけだ」と強調した。マクロン仏大統領も英国民への「哀悼と連帯」を表明した。

EU離脱交渉では英国に厳しい姿勢を見せている欧州各国からの連帯表明は、危機感の表れだろう。

イタリアでは今週末、主要7カ国(G7)首脳会議が行われる。憎悪と分断をあおるテロの脅威に立ち向かうために、連帯を確認しなければならない。
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[毎日新聞] がん患者と働く環境 受動喫煙の防止が重要だ (2017年05月24日)

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「(がん患者は)働かなければいいんだよ」。受動喫煙対策を議論する自民党厚生労働部会での大西英男衆院議員の発言だ。子宮頸(けい)がんの経験者である三原じゅん子参院議員が職場での受動喫煙に苦しむ患者の立場を訴えたことへのヤジである。

批判された大西議員は「(がん患者らの)気持ちを傷つけた」と謝罪した。がんと診断される人は年間100万人を超えると予測され、働き盛りの人も多い。がん患者の就労支援の切実さを改めて考えたい。

がんやぜんそくなどの病気を抱えながら働いている社員、妊娠中の女性などは職場での立場が弱い人が多い。「会社に迷惑をかける」と退職を余儀なくされ、差別を恐れて病気を隠している人もいる。

「『喫煙可能の店で無理して働かなくていいのではないか』との趣旨だ」と大西議員は釈明する。しかし、政府による社会保障費の抑制政策の中で、無理をしても働かなければ生活できない人がいることにも思いをはせるべきだ。

打ち合わせや接待、送別会などで喫煙可の飲食店に行くことを拒めない人もいる。非正規雇用労働者の中には、条件の良い勤務先を選べず、嫌でも喫煙店で働き続けざるを得ない人も少なくないだろう。

安倍政権は「1億総活躍社会」の看板を掲げ、仕事と生活を両立できる「ワーク・ライフ・バランス」の実現などを目指した「働き方改革」に取り組んでいる。がん対策推進基本計画でも重要な項目の中に、治療をしながら働き続けられる支援が挙げられている。

そのためには社員の健康に配慮した職場の環境整備を進めなければならない。肺がんや心疾患をはじめ受動喫煙による健康被害については、国内外で多数の医学論文が警鐘を鳴らしている。すぐに被害が発生するわけではないので、現在健康な人には実感がわかないだけだ。

乳幼児突然死症候群と受動喫煙との因果関係を裏付ける調査もある。リスクを避けようがない胎児や子どもにまで被害が及ぶことを重く考えないといけない。

社会的に弱い立場の人々や子どもが健康被害にさらされていることに想像力を働かせ、思いやりのある議論を政治に期待したい。
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2017年05月23日

[毎日新聞] 文科省の「総理の意向」調査 これで幕引きとはいかぬ (2017年05月23日)

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「初めに結論ありき」の調査で幕引きを図ろうとしても、結局疑念がくすぶるのではないか。

学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画を巡り、松野博一文部科学相は「総理のご意向」などと書かれた文書の存在は確認できなかったと発表した。

新学部設置に関係する高等教育局長や専門教育課長ら7人に聞き取りし、同課のパソコンにある共有フォルダーのデータを調べた。7人は「作成したことはない」「見た記憶はない」などと回答し、共有フォルダーにも残されていなかったという。

聞き取り時間は10?30分で、調査はわずか半日で終了した。

松野文科相は文書の真偽について「文科省に捜査する能力はない」と明言を避けつつ、追加の調査は必要ないとの立場だ。

毎日新聞の同省関係者への取材では「専門教育課がまとめたもの」とする証言も出ている。文書に名前が出てくる元衆院議員も「99%この通り」と話している。

特区担当の内閣府と文科省のやりとりを示す今回の文書が作成されたのは、昨年9?10月にかけてとされる。翌11月には政府が獣医学部の新設を決めている。

そもそも安倍政権が作った内閣人事局のもとでは、官僚による「そんたく」が生まれやすいと指摘されてきた。同局が各府省幹部の人事権を握っているからだ。これでは、個々の官僚が政権に不都合な情報を提供するとは考えにくい。

国家戦略特区は、2013年に安倍政権が創設した。首相が議長を務める諮問会議が認定する。特定地域に限り、省庁の規制を緩和して経済活性化を目指すものだ。

原則として、首相、政府が選んだ有識者、特区を望む自治体などで会議を構成するため、認定に向けて話が進みやすくなる。他方で、意思決定に恣意(しい)的な要素が入らないとも限らない。

今回のケースは、同学園の理事長が安倍晋三首相と友人関係にある。

安倍政権の看板政策として特区構想を進めるのであれば、むしろ説得力のある調査を通して政策決定の透明性を証明することが、政権にとってもメリットになるのではないか。
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[毎日新聞] トランプ政権のイラン政策 宗派間の対立をあおるな (2017年05月23日)

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イラン大統領選で対外融和を重んじる現職のロウハニ大統領の再選が決まった翌日である。サウジアラビアを訪問していたトランプ米大統領は、イスラム圏から集まった約50カ国の首脳らを前に演説し、イランの孤立化に協力するよう訴えた。

イランはシリアを含めた中東各地でテロなどを支援していると言うのである。だが、トランプ氏が掃討を目指すスンニ派イスラム教徒主体の過激派組織「イスラム国」(IS)は、シーア派イスラム教徒を虐殺の主たる対象に含めてきた。

だからシーア派国家イランの武装組織はISと戦い、米オバマ政権下では米主導の有志国連合と間接的な共闘も見られた。トランプ氏がイスラムの聖地を擁するサウジを初の外遊先に選び、対IS戦への結束を訴えたことは理解できるが、なぜイランの孤立化を図るのか。

トランプ氏はISを含むテロ組織との戦いを「善と悪の戦い」と形容した。確かにイランは米国指定の「テロ支援国家」とはいえ、地域大国のイランを悪の側とするのは単純のそしりをまぬかれない。宗派対立や分断をあおる発言は慎むべきだ。

イランは2015年、米欧など6カ国と核開発に関する合意を結び、経済制裁の解除にこぎ着けた。ロウハニ師が大統領選で対米強硬派のライシ前検事総長に圧勝したのは、現政権の対外融和路線が国民から支持されたことを意味しよう。

それは米国にとっても前向きな出来事であるはずなのに、トランプ政権はイランに対して挑発的な発言を繰り返す。イランが反発して自ら核合意を破棄することを期待しているような節がある。

トランプ政権はサウジに12兆円もの武器支援を約束した。イランと断交中のサウジには米国との関係改善は心強かろう。米国が北大西洋条約機構(NATO)のような多国間の安全保障の枠組みを提唱したのも有意義なことだ。

かといって米・サウジがイランとの対立を深めるのは危険だ。米・イランは1980年から断交中とはいえ、歴代の米政権はイランとの歩み寄りを模索してきた。イランとの対立一辺倒では複雑な中東問題に対処できない。米国は多くの国々と幅広い連帯を図るべきである。
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2017年05月22日

[毎日新聞] 「点字毎日」創刊95年 確かな情報提供続けたい (2017年05月22日)

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週刊の点字新聞「点字毎日」が創刊から95年を迎えた。高度で複雑な情報ツールが生まれても、視覚障害者の社会参加に点字の果たす役割の重さは変わらない。

毎日新聞社が1922年5月に創刊した当時、英国では一般ニュースを点訳した新聞が発行されていた。

しかし点字毎日は独立した編集室を持ち、視覚障害者向けのニュースを自主取材して編集した。戦時中や大震災の発生でも休刊しなかった。

点字毎日の発刊はユニバーサル社会への社会的関心を高めさせた。創刊後まもなく点字教科書を作製し、創刊から3年後に公布された普通選挙法で点字投票が認められた。

視覚障害者が点字で情報を得て、考え、行動する。点字毎日はそういう点字文化を普及させる役割を担ってきたとも言えよう。

それが今、点字離れを指摘する声が出ている。

全国視覚障害者情報提供施設協会の調査では、全国の点字図書館などでの点字図書の貸出数は30年前の約4割に落ち込んだ。一方で音声図書の貸し出しは3倍以上に増えた。

情報技術(IT)の発達で、市販のスマートフォンで専用アプリを使えばメール内容を音声で聞くことができる。活字にかざすだけで音声に変換するソフトも開発されている。

音声機器は日常生活を送るうえで便利である。それでも、専門的な文献を理解するためには点字を学ぶ必要がある。要点を把握して自分の考えや主張をまとめるのは点字でなければ難しい。

大学や国家資格では点字による受験もできる。点字を使うことで仕事の職種を広げたり業務内容を深めたりすることができる。社会活動の範囲は格段に広がる。

支援活動をする人たちは「正確な情報を受け取り、読み解くには点字が必要だ」と語る。点字を巡る環境は厳しいとはいえ、点字への信頼や期待は依然として高い。

公共空間のバリアフリー化は今では当然の施策になった。視覚障害者が安全に暮らし、安心して社会活動を送るには、確実な情報を提供することが欠かせない。

5年後の創刊100年に向けて、点字の持つ可能性をさらに広める努力を積み重ねていきたい。
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[毎日新聞] 自民憲法本部の体制刷新 首相の政略ばかり目立つ (2017年05月22日)

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安倍晋三首相(自民党総裁)の指示を受けて、自民党が党憲法改正推進本部の体制刷新に動き出した。

幹事長や政調会長ら党四役も推進本部の役員に加わり、年内の改憲案作りを目指して作業を急ぐという。

そこから浮かぶのは、人事権を行使してでも党内の憲法観を一色に染め上げようとする首相の意図だ。

党憲法改正推進本部は、衆参両院の憲法審査会で幹事などを務める議員が主要メンバーになってきた。船田元氏や中谷元氏らである。

「憲法族」と呼ばれる彼らは、前身である憲法調査会以来の伝統で与野党の協調を旨としてきた。

ところが、安倍首相が党内論議を飛び越して「憲法9条への自衛隊明文化」や「2020年までの施行」を提起したため、推進本部の幹部らからは「熟議を積み重ねるべきだ」といった不満がくすぶっていた。

したがって、今回の体制刷新は、「挙党態勢作り」を名目にした憲法族の封じ込めと見るべきだろう。

この手法は、集団的自衛権行使をめぐる憲法解釈の全面変更に際し、首相が内閣法制局長官の首をすげ替えた一件を思い起こさせる。

しかも、憲法族の封じ込めは、自民党が与野党協調路線から一方的に離脱することを意味する。

首相が連携相手として意識しているのは、「加憲」を模索してきた公明党と、教育無償化を改憲の柱とする日本維新の会だけだ。議論は自公維3党で十分ということだろう。

首相としては、せっかく衆参両院で改憲に前向きな勢力が3分の2以上を占めているのに、野党にひきずられて改憲項目の絞り込みが進まないと「宝の持ち腐れ」になると考えているのかもしれない。

党内のまとまりに欠ける民進党にはもちろん問題がある。しかし、2大政党制が前提の小選挙区制を採用していながら、野党第1党を最初から度外視するかのような姿勢は、憲法の平穏な運用を妨げる。

すでに首相に近い議員からは、9条改正を来年の自民党総裁選や次期衆院選に絡める声が出ている。憲法を首相の政略に利用する発想だ。

自分の思いを遂げることにのみ熱心なようだと、憲法は決して定着しない。長期政権のリーダーにふさわしい賢慮を、首相に求める。
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2017年05月21日

[毎日新聞] 小規模町村の住民総会 検討に値する選択肢だ (2017年05月21日)

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地方の人口減少が、自治の仕組みに影響を与えつつある表れだろう。

人口約400人の高知県大川村が住民による「町村総会」の設置について検討を始めた。町村議会を廃止し、予算などの議案を住民が総会で審議する制度だ。

過疎が進む町村で地方議員の成り手が不足する中、直接民主制的な手法で議会の機能を代替させようという議論だ。実現には多くの課題があるが、検討に値しよう。

憲法は地方自治に関し、首長と地方議員双方を住民が直接選ぶよう定める。ただ、地方自治法は町村が議会を置かずに有権者の総会にかえることもできると規定している。

大川村が住民による総会を検討しているのは、定数6の村議の後継ぎ不足が高齢化などから深刻で、制度の維持が危ぶまれているためだ。

町村総会は戦後の短期間、東京・八丈小島の旧宇津木村で実施された例がある。

とはいえ、いまの町村で実現するハードルは高い。

地域の高齢化が進み入院したり、施設に入所していたりするお年寄りは多い。総会の出席者をきちんと確保できるかがまず、課題となる。

総会で議論するテーマの範囲や具体的な運営方法をどう決めるかもポイントだ。首長が総会の司会を務めるようでは、行政へのチェックが形骸化してしまう懸念もある。

それでも、実現困難だと決めてかかるべきではあるまい。

情報技術(IT)を活用して総会に出られなくても議論に参加できるようにしたり、公正さに留意した運営ルールを策定したりすることなどで課題はある程度解決できよう。

さきの統一地方選で、町村議の無投票当選はすでに全体の2割を超している。成り手不足は一層深刻化していくはずだ。町村総会は住民が行政に直接関わり、自治に関心を持つ機会ともなる。国も後押しを検討すべき段階ではないか。

もちろん、地方議会のあり方を見直すことで対処していく道もある。

小規模町村の地方議員については兼業を前提とし、会議は出席しやすい夜間の開催を原則とするような改革もひとつの方法だろう。大川村の動きを、議論を深めていくきっかけとすべきだ。
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[毎日新聞] がん対策の基本計画 治療しながら働くために (2017年05月21日)

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がんは種類にもよるが早期治療で8?9割は治る病気となった。

政府が近くまとめる第3期がん対策推進基本計画には、がん検診の受診率の向上とともに、患者の雇用継続への支援策が盛り込まれる。病や障害を持っていても働き続けられる社会にしなければならない。

政府の総合的がん対策は、2006年に成立したがん対策基本法から本格化した。全国どこに住んでいても適切な治療が受けられることを目指して基本計画が策定された。この10年間でがんの治療技術は進歩し、治療体制も各地で整備されてきた。

ただ、がん検診の受診率はまだ30?40%台にとどまる。科学的根拠が不十分な検診も散見される。日本では企業や健康保険組合が自主的に取り組む職場検診が約半数を占めているが、検診内容や受診率は十分に把握できていないのが現状だ。

第3期計画では、国や自治体が国民に対してきめ細かい受診勧奨をする「組織型検診」の導入が盛り込まれる。欧州では広く実施されており、死亡率の減少が確認された科学的根拠に基づく検診法を広め、受診率や発見率の向上を図るという。

患者にとっては入院や自宅療養で仕事を休まざるを得ない期間がある。治療が長引き、退職を余儀なくされる人もいる。「体力が低下した」「薬物治療による倦怠(けんたい)感や関節痛などの副作用」「会社に迷惑をかけたくない」といった理由が多い。

女性の場合は、乳がんや子宮がんなど若い世代もかかりやすいがんが多い。出産や育児での休暇の取得とも重なって、会社内での理解が得られにくいことが懸念される。

職場の理解の促進、きめ細かい相談支援体制の整備は不可欠だ。

経済的な支援も必要だ。傷病手当金制度は支給開始から最長1年6カ月に限られ、その間に一時的に仕事に復帰した期間も算入される。もっと患者のニーズに合わせた柔軟な運用が必要ではないか。

政府は長時間労働の改善などの「働き方改革」を進めている。情報通信機器を活用して時間や場所の制約を受けずに働ける「テレワーク」を推進することも課題の一つだ。

日本人の2人に1人が、がんになる時代である。多様で柔軟な働き方を広めていかねばならない。
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2017年05月20日

[毎日新聞] 「共謀罪」法案委員会で可決 懸念残しての強行劇だ (2017年05月20日)

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国会の焦点となっている「共謀罪」法案が、自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数により衆院法務委員会で可決された。

多くの懸念を残したまま、与党は質疑終局の動議を出して審議を打ち切った。極めて乱暴な採決だ。

国際組織犯罪防止条約を締結するために必要な法整備だと政府は説明する。条約に加われば、捜査共助や犯罪人の引き渡しなどメリットがある。確かに締結は必要だろう。

ただし、共謀罪法案がなくても条約の締結ができると民進党や共産党など野党は主張する。政府・与党との溝は埋まっていない。審議を尽くすのが言論の府の姿のはずだ。

「共謀罪」法案は、277もの犯罪について、計画・準備段階での処罰を可能とするものだ。対象は組織的犯罪集団に限定される。とはいえ、一般人が警察の捜査対象となり、監視社会に道を開くことへの懸念は依然残っている。

実行後の犯罪を罰する日本の刑事法制の基本を大きく変える法改正でもある。捜査権の乱用による副作用は見過ごせない。

仮に「共謀罪」法案が必要だとしても、不安を最小化するかたちでの法整備が求められるはずだ。

そのため、対象犯罪を大幅に絞り込むことと捜査権乱用の歯止め策を法案に具体的に書き込むことの二つが必要だと私たちは主張してきた。

中でも対象犯罪のさらなる限定は不可欠だ。政府は、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定される罪を選択したと説明する。だが、組織犯罪との関連性が明らかに薄い犯罪が含まれている。政府が前面に押し出したテロ対策とも無縁と思える犯罪も少なくない。

可決された与党と日本維新の会の修正案は、対象犯罪の絞り込みには手を付けず、微修正にとどまった。まったく不十分な内容だ。

金田勝年法相は、ペーパーを棒読みしたり、担当局長の発言を繰り返したりするなど不安定な答弁ぶりが目立った。不信任決議案は否決されたが、適格性には疑問符がつく。

まだまだ議論は足りない。衆院を通過したとしても、参院ではいったん立ち止まり、法案の問題点を洗い直すべきだ。このまま成立させることには反対する。
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[毎日新聞] 天皇退位法案を閣議決定 国民に伝わる国会審議を (2017年05月20日)

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天皇陛下の退位を実現する政府の皇室典範特例法案が閣議決定された。退位は、終身在位をとる明治以降の現行制度では初めてとなる。

憲法は天皇の地位を「日本国民の総意に基づく」と定める。近く始まる国会審議では国民に伝わる丁寧な議論を求めたい。

天皇退位の議論は、昨年8月の陛下のおことばに始まった。政府の有識者会議が論点を整理し、退位後は「上皇」とすることなどを決めた。

一方、今の陛下一代の特例か将来の天皇も対象とする恒久制度化かなど政治的対立がある課題は、衆参両院の正副議長が主導した。

与野党協議を踏まえた国会見解は、今の陛下一代の特例法としつつ、これを将来の退位の前例とする位置付けを持たせた。

特例法案は与野党の政治的な妥協の結果だが、議論の過程では多くの論点が浮かび上がった。

陛下の「お気持ち」が退位に結び付けば、天皇の行為が国政に影響を与えてはならないとする憲法4条に抵触しないかと指摘された。

憲法2条は皇位継承を「国会の議決した皇室典範」の規定に委ねており、特例法ではなく皇室典範改正が筋だという議論もあった。

与野党が合意に至った経過は必ずしも明らかではない。憲法に関わる問題でもあり、主権者である国民に理解される審議が必要だろう。

特例法案の策定過程には疑義があった。政府が主要政党に示した当初案が、国会見解の内容から逸脱していたためだ。

法案名の表現を国会見解の「天皇」ではなく「天皇陛下」とし、陛下の「お気持ち」という文言を明記しなかったのが、その例だ。

安倍晋三首相はもともと「今上天皇」という表現へのこだわりがあったという。今の陛下を示すため、一代限りの特例の意味合いが強まる。

最終的に国会見解と同じ表現に戻った。首相の関与の有無は不明だが、内閣提出法案である。当初案の真意を安倍首相にも聞く必要がある。

皇族減少に関する付帯決議も焦点だ。婚約される秋篠宮家の長女眞子(まこ)さまは結婚後、皇室を離れる。女性宮家創設を含めた検討が必要だ。

皇室の将来を見据え、国会も責任ある議論を喚起すべきだ。
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2017年05月19日

[毎日新聞] トランプ政権のロシア疑惑 特別検察官は徹底捜査を (2017年05月19日)

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米トランプ政権とロシアの不透明な関係を調べるため、米司法省はモラー元連邦捜査局(FBI)長官を特別検察官に任命した。米国の民主主義は健在と感じさせる、きわめて妥当な措置である。

疑惑は昨年の大統領選挙期間中からくすぶっていた。サイバー攻撃などで選挙介入を図ったとされるロシアとトランプ陣営の関係者が癒着していたのではないかとの疑いだ。

疑惑を捜査していたFBIに対し、トランプ大統領は今月、コミー長官を解任した。捜査をやめさせる政治的圧力との見方がもっぱらだ。

しかも、次々に浮かぶ疑惑についてトランプ政権の説明ははっきりしない。特別検察官の設置に消極的だった与党共和党も、もはや設置に反対しきれないと判断したのだろう。

解明すべき問題は多い。米メディアによれば、ロシア当局者との不適切な接触で更迭されたフリン前大統領補佐官について、トランプ氏はコミー氏に捜査終結を求め、機密情報を報じた記者は投獄すべきだとも主張したという。

また、過激派組織「イスラム国」(IS)について、同盟国イスラエルが慎重な扱いを求めていた機密情報をロシアに渡した疑いもある。

無論、司法省幹部が言うように、特別検察官の設置は国民の関心に応えるもので、犯罪や不当行為が確認されたわけではない。

だが、トランプ氏は反省すべきである。不都合な報道をするメディアを「フェイク(偽)ニュース」と決め付け、自らの説明責任を真剣に果たそうとしない同氏自身が特別検察官の設置を招いたといえるからだ。

トランプ氏は大統領選での得票や就任演説の聴衆の数についても強硬に異を唱え、「代替的事実(オルトファクト)」という奇妙な言葉が米国から世界に広まった。強弁すれば客観的事実も変えられるという危険な思い込みがトランプ氏にはあるようだが、捜査当局には通用しまい。

特別検察官のモラー氏は2001年から13年までFBI長官を務め、捜査経験が豊富だ。今回の事件は、ニクソン大統領の辞任につながったウォーターゲート事件を意識してロシアゲートと呼ばれる。広がりを見せる特異な事件に、客観的で冷静なメスが入ることを期待したい。
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[毎日新聞] 大規模サイバー攻撃 安全策の徹底迫る警鐘だ (2017年05月19日)

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コンピューターウイルスの破壊力を見せつける出来事だった。先週末から世界で被害をもたらした大規模サイバー攻撃である。

影響は終息しつつあるようだが、警戒を緩めてはならない。むしろ、新たな攻撃への危機意識を高め、備えを万全にする必要がある。

米マイクロソフト社の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の古いバージョンで見つかった欠陥が攻撃の標的になった。ウイルスに感染すると、コンピューター内の情報が暗号化されて使えなくなり、復元に金銭を要求される。

たちまち約150カ国に被害が拡大する異例の事態となった。英国の多くの病院やスペインの大手電話会社も含まれる。ただ、警察や専門家は、はるかに深刻なサイバー攻撃があり得るとして、企業経営者らに対策を呼びかけている。

対策といっても、日常の基本動作が中心だ。ソフトの更新を怠らず、データは必ずバックアップを作成。欠陥への修正ソフトが配布されたら速やかに適用し、不審な添付ファイルは開かない??などである。

今回は、マイクロソフトが3月に修正ソフトを配布していたにもかかわらず、被害が続出した。予防策が迅速に実行されるにはどうしたらよいか、知恵を絞る必要がある。

日本国内の被害は18日現在で20件あまりと欧州に比べて限定的なようだ。しかしその結果、危機感が募らないというのでは困る。政府や企業は、今回の出来事を貴重な警鐘と受け止め、安全策を強化してほしい。

被害を拡散させた原因が、米国家安全保障局(NSA)から流出した攻撃目的のソフトウエアである可能性にも注目したい。

NSAはウィンドウズの欠陥を発見しながら、即座にマイクロソフト社へ通告するのではなく、自ら欠陥を突くサイバー兵器を開発した、と非難されている。

テロ対策という言い分もあるかもしれない。しかし、国家がサイバー兵器の「軍拡」を競えば、兵器がハッカーの手に渡り、最終的に私たち一般市民の日常や安全が脅かされる危険も高まる。

サイバー兵器の管理や制限などについて、国際的な議論を活発化させる契機とすべきだ。
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