2017年06月11日

[朝日新聞] 子育て支援 待機児童解消が先だ (2017年06月11日)

政府が経済財政運営の基本方針(骨太の方針)を閣議決定した。「人材への投資」を重点課題と位置づけ、そのなかで幼児教育・保育の早期無償化や待機児童の解消を掲げた。

その財源を確保するために、財政の効率化、税、新たな社会保険方式の活用を挙げ、「年内に結論を得る」とした。新たな社会保険方式は、自民党の小泉進次郎氏らが提唱する「こども保険」が念頭にある。

子育て支援に力を入れるのは妥当だ。だが、何にどうお金を使うのか。使い道と必要な予算額がはっきりしないと、みんなで負担を分かち合おうという機運も盛り上がらない。まずは政策の優先順位を明確にし、具体的な施策と財源を一体で議論していくべきだ。

「こども保険」は、自民党の公約である幼児教育無償化を実現するために検討されてきた。子育て世帯に手当を給付するなどして経済的に支援することを狙うが、年金保険料に上乗せして財源をつくる想定のため、現役世代に負担が集中するなど課題が少なくない。

何より、「保育園に入れない」という切実な声が広がる現状を見れば、現金支給の前に最優先で取り組むべきは待機児童の解消ではないか。

安倍政権は今年度末までに待機児童をゼロにする計画を掲げてきたが、20年度末へ先送りした。保育所も増えてはいるが、働く女性の増加などに伴う需要の伸びに追いついていない。潜在的な保育ニーズを含む実態の把握と見通しが甘かったと言わざるを得ない。

政策を裏付ける安定的な財源を十分確保してこなかったため、対策が小出しになる、という構図も透けて見える。もう、その轍(てつ)を踏んではならない。

新たな待機児童解消プランでは、来年度から3年間で新たに約22万人分の「受け皿」を整備するとしているが、具体的に何をどれだけ増やすのか。

待機児童が深刻な都市部では、保育所の用地が見つけにくくなっている。保育士などが足りず、定員より受け入れ人数を減らす保育所もある。そうした課題への手立ても必要だ。

職員数の水増しや子どもへの虐待など悪質な保育所の事例も問題になりつつある。「質の確保」はどう進めていくのか。

総合的な対策のメニューと必要な予算の規模を示すことが、議論の出発点になる。

小泉内閣の「待機児童ゼロ作戦」から約15年。今度こそ達成するよう、政権の本気度を示してほしい。
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2017年06月10日

[朝日新聞] 「加計」再調査 今度こそ疑念に答えよ (2017年06月10日)

遅きに失したとは、まさにこのことだ。加計(かけ)学園の獣医学部新設をめぐる「総理のご意向」文書などについて、松野文部科学相が再調査を表明した。

朝日新聞がその存在を報じてから3週間余。この間、政権の対応は、国民を愚弄(ぐろう)するもの以外の何物でもなかった。

菅官房長官は「怪文書」と切り捨て、文科省は短期間の調査で「存在を確認できなかった」と幕引きを図った。前川喜平前次官らが文書は省内で共有されていたなどと証言し、それを裏づけるメールのコピーを国会で突きつけられても「出所不明」と逃げの姿勢に終始した。

突然対応を変えたのは、強まる世の中の批判に、さすがに耐えきれないと判断したのか。

あきれるのは、文科相が「安倍首相から『徹底した調査を速やかに実施するよう』指示があった」と説明したことだ。

怪文書呼ばわりしたうえ、前川氏に対する人格攻撃を執拗(しつよう)に続け、官僚がものを言えない空気をつくってきたのは首相官邸ではないか。反発が収まらないとみるや、官房長官は「再調査しないのは文科省の判断」と責任転嫁も図った。

こんなありさまだから、再調査に対しても「情報を漏らした職員を特定する意図があるのでは」と疑う声が出ている。

また「徹底した調査」と言いながら、文科省に「ご意向」を伝えたとされる、国家戦略特区担当の内閣府の調査は不要だというのは納得できない。

特区は首相肝いりの政策であり、国民が知りたいのは、そこに首相の個人的な思いや人間関係が入り込んだか否かにある。行政が公正・公平に行われたことを説明する責任は政権全体にあり、内閣府についても調査を尽くすのは当然である。

再調査では、前川氏をふくむ関係者に協力を依頼するのはもちろん、以下のような取り組みが求められる。

まず、信頼性を担保するために外部識者を調査に加えることだ。このような場合、第三者にすべて委ねるのが筋だ。それが難しいとしても「外の目」の存在は必須だ。文科相は消極的だが、世間では常識である。

次に、調査を最大限急ぐことだ。拙速はよくない。しかし、国会は会期末が迫る。再調査を口実に、ずるずる日を過ごすようなまねは許されない。

そして調査結果がまとまったら、首相らも出席して報告と検証の国会審議を行うことが不可欠だ。そのための会期延長も検討されてしかるべきだ。

政権の姿勢が問われている。
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[朝日新聞] 大統領の疑惑 問われる米議会の責任 (2017年06月10日)

司法の独立は民主社会の礎である。その原則も意に介さず、保身に躍起となる大統領のふるまいに暗然とさせられる。

トランプ米大統領に解任された連邦捜査局(FBI)のコミー前長官が上院で証言した。昨年の米大統領選へのロシアの介入は「間違いない」と述べた。

米世論の操作を狙ったとされるロシアの疑惑は解明されるべきだ。だがむしろ、より重大な問題は、米国の統治システムを内側からむしばむようなトランプ氏の身勝手な行動である。

「(疑惑に絡んだ元側近への捜査を)やり過ごしてほしい」「(疑惑という)暗雲を取り除いてほしい」などと再三、コミー氏に要請したという。

自らへの忠誠を迫ったり、自分は捜査対象ではないと公表させようとしたり。証言から浮かぶのは、ひたすら自分とその周辺に累が及ばないように汲々(きゅうきゅう)とするトランプ氏の姿だ。

たとえ正式な「命令」でなくとも、時の最高権力者から直接求められれば、「圧力」と受け取るのが道理だろう。

一連の行動が弾劾(だんがい)訴追の対象となる「司法妨害」を含む違法行為かどうかは、特別検察官によって調べられる。厳正な捜査を尽くしてもらいたい。

一方、司法とは別の立場から疑惑解明を進める責務を負っているのが議会である。ところが今も共和・民主両党に、党派的な思惑から疑惑を扱おうとする動きが目立つのは残念だ。

政権の支持率は4割前後と低迷しているが、共和党支持者に限ればトランプ氏の人気は8割近くとなおも絶大だ。

来年の中間選挙が気になる共和党議員の足元を見透かすように、トランプ氏は、インフラ投資拡大、大型減税、地球温暖化対策の「パリ協定」離脱など、与党で喜ばれそうな施策を次々と打ち出している。

疑惑に苦しむ大統領が自分の座を守るため、支持層の歓心を買う施策に走るならば、深刻な禍根を内外にもたらす。米国が本来、見据えるべき国際協調の視点はいっそう遠のくだろう。

大統領の政権運営をチェックし、暴走を抑えるのは、司法と議会の責任である。大統領が捜査機関への介入にまで踏みだす今、議会の責任は重大だ。

コミー氏につづき、関係者の証言聴取をさらに進め、大統領府と司法・議会が保つべき緊張関係を再確認してほしい。その上で議会は超党派で、大統領に節度ある対応を促すべきだ。

問われているのは、米国自身が世界に呼びかけてきた健全な民主主義の統治である。
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2017年06月09日

[朝日新聞] 憲法70年 「象徴天皇」不断の議論を (2017年06月09日)

「新天皇は何をよりどころにして、その象徴的機能を果たすことができるだろうか」「(国民と昭和天皇との間にあった)時代の共有感に代わるものを何に求められるだろうか」

戦後の憲法制定作業に法制局スタッフとして携わり、当時の憲法担当相を支える「三羽がらす」と呼ばれた故佐藤功・上智大名誉教授が、平成への代替わりのときに語った言葉だ。

戦前「現人神(あらひとがみ)」として崇敬の対象とされた昭和天皇と違い、現憲法のもとで初めて即位した新天皇は、これから国民とどのような関係を結び、「統合の象徴」の役割を担うのか。佐藤氏に限らず、多くの人が感じた不安であり、期待でもあった。

■退位法きょう成立へ

30年近い歳月をかけて陛下が出した答えが、昨夏のビデオメッセージだったといえよう。

「多くの喜びの時、また悲しみの時を人々と共に過ごす」「人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添う」「常に国民と共にある」

被災者を励まし、戦没者の霊を慰めるため、皇后さまとともに国内外を旅してきた陛下の姿を、多くの人がこの言葉に重ね合わせた。高齢になって身体が衰え、務めを果たせなくなったとき、天皇はその地位にとどまるべきではない――。メッセージの端々ににじむ考えも、自然に胸に入ってきた。

憲法が定める天皇の権能は国事行為のみで、それ以外に明確な取りきめはない。国の象徴という公の立場で行われることから「公的行為」と呼ばれるこうした活動が、平成時代の天皇制を支える基盤となってきたことが、今回の退位問題を機に、あらためて明確になった。

広範な世論の支持を背景に、次の代替わりを実現するための皇室典範特例法案が、きょう参院で可決・成立する。

■公的行為と憲法理念

象徴天皇とは何か、その活動はどうあるべきかをめぐって、この1年多くの議論があった。

「存在するだけで有り難い」と天皇を神格化し、宮中の奥で祈ることが最も大切な務めだとする右派の声は、さすがに社会に受け入れられなかった。

別の観点から「動く天皇」への懐疑を説く専門家もいた。公的行為の名の下、天皇の活動が無限定に広がることになれば、その存在感と権威は過度に強まり、危ういとの主張だ。

日本に破局をもたらした戦前の反省に立って、象徴天皇制が導入された。いつか来た道に戻ることのないよう、しっかりとタガをはめておかなければならないという指摘はもっともで、心しなければならない。

被災地のお見舞い、戦没者の慰霊、福祉施設の訪問など、陛下がとり組んできた活動が幅広い理解と支持を得たのは、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調主義など、憲法がかかげる理念に沿うものだったからだ。陛下の意向を踏まえつつ、内閣の補佐と責任の下で行われてきたのは言うまでもない。

国民と天皇をつなぐものとして公的行為が重要だからこそ、そこに関心を寄せ、逸脱がないよう、政府の姿勢とあわせチェックしていくことが肝要だ。

退位特例法案を審議した国会の委員会は、象徴天皇制について、国民の代表が意見を交わす格好の場となるはずだった。だが、法律を混乱なく、すみやかに成立させることが優先され、表面をなでただけで終わったのは残念というほかない。

公的行為をどう位置づけ、皇室全体でいかに担っていくか。それは、維持すべき皇族の数や規模をどう考えるかという問題と密接にかかわり、女性宮家創設をめぐる議論にも影響がおよぶ。引き続き政府・国会で検討すべきテーマである。

■代替わりを前に

退位、即位、改元と大きな行事に向けた準備が始まる。皇室への関心は高まり、「日本」を意識する機会も増えるだろう。

その風潮に乗じ、天皇や皇室を利用して、個人より国家を優先する国づくりを進める動きが首をもたげないとも限らない。残念だが、そうした体質はこの社会に抜きがたく存在する。

一方で、憲法価値に忠実な言動をつらぬく天皇を、改憲志向を強める現実政治に対置させ、期待を寄せる空気が一部にあるのも気になるところだ。

向いている方角にかかわらず天皇の政治利用につながる行いは、憲法の精神に反し、民主主義の礎を掘り崩しかねない。

そうした動きを封じるためにも、天皇や皇室に求めるもの、求めてはいけないものについてのルールを、社会全体で論議し共有する必要がある。

象徴天皇とは何か。国民との関係はいかにあるべきか。少子高齢化が進む社会で天皇や皇族の「人権」をどう考えるか。

くり返し、息長く問い続け、議論を深めていきたい。それは、「天皇の地位は、主権の存する国民の総意に基づく」と定める、憲法の要請でもある。
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2017年06月08日

[朝日新聞] 作業員の被曝 想定外ではすまない (2017年06月08日)

事故はなぜ起きたのか、内部被曝(ひばく)を防ぐことはできなかったのか、徹底した調査が必要だ。

茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで、燃料の保管容器から放射性物質が飛散し、複数の作業員が被曝した。

50代の作業員は、肺から2万2千ベクレルのプルトニウムが検出された。1年間に1・2シーベルト、50年で12シーベルトの内部被曝をするのに相当する。原発作業員の被曝限度を上回るのは確実とみられ、内部被曝としては国内で過去最悪のケースだ。作業員はいずれも体調不良を訴えてはいないというが、健康影響は長期的にフォローしていく必要がある。

事故は、燃料のウランやプルトニウムの保管状況を調べる作業中に起きた。

点検のため容器のフタを開けたところ、燃料を密封していたビニール袋が破裂し、放射性物質が飛散した。なぜ破裂したのか、作業手順に問題はなかったのか等、解明すべき点は多い。

問題は「ビニールが破れることは想定していなかった」と機構が説明していることだ。

プルトニウムは体内に取り込まれると長期間とどまり、放射線を出し続け、がんなどの原因となる恐れがある。施設外に飛散すればリスクは周辺住民にも及ぶ。どんな作業でも扱いには最大限の注意が必要で、機構の認識が甘かったのでは、との疑念を抱かざるを得ない。

機構によると、事故のあった燃料研究棟には密閉状態で放射性物質を取り扱う設備もある。だが、今回はこの設備を使わず、作業員は防護服を着ていたが、顔全体を覆う全面マスクではなく、口や鼻を覆う半面マスクを着用していたという。

通常、被曝のリスクのある現場では全面マスクをつける。今回はそもそも被曝を想定しておらず、半面マスクも念のためつけたのだというが、作業現場の安全管理のあり方としても十分だったのか、疑わしい。徹底して検証してほしい。

原子力機構は15年、高速増殖原型炉「もんじゅ」をめぐり、原子力規制委員会から「安全に運転する資質がない」と指摘された。使用済み燃料再処理工場「東海再処理施設」でも、放射性物質のずさんな管理が明らかになっている。

今回事故のあった燃料研究棟は廃止の方針が出され、閉鎖に向け放射性物質の種類や状態の確認が進められている。研究開発の役割を終え、気の緩みはなかったのか。放射性物質を扱う際のリスク認識について、機構は厳しく再点検すべきだ。
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[朝日新聞] 湾岸の混乱 米は分断政策を改めよ (2017年06月08日)

中東のペルシャ湾岸地域が、にわかに混迷している。

世界有数の天然ガス産出国であるカタールに対し、世界最大級の産油国サウジアラビアや、アラブ首長国連邦など近隣国が国交の断絶を表明した。

資源経済の豊かな湾岸諸国の間で、ここまで対立が深まるのは異例の事態である。

緊張がさらに高まれば、エネルギー資源の市場の動揺や金融取引の混乱など、世界経済への影響が心配される。

「カタールがテロを支援している」とサウジは批判しているが、実際には対岸の大国イランの問題が背景にある。

アラブの盟主を自任するサウジは、イスラム教シーア派のイランと長年反目しており、昨年断交に踏み切った。

一方、カタールは海底のガス田をイランと分け合っている。サウジと同様、スンニ派の親米国ではあるが、イランとの関係も重視せざるを得ない。

そうした立場の違いが一気にこじれたのは、トランプ米大統領が先の中東訪問の際、性急な政策を打ち出したからだ。

「親イラン」「反イラン」に中東を実質的に分断し、イラン包囲網を築くとの強硬姿勢である。その波紋が続くなか、カタールの首長が国内で「イランは地域にとって重要だ」と発言したと報じられ、それにサウジが反発して断交したとされる。

トランプ氏は関係国に自制を求めるのが本来の役目だ。ところがツイッターでカタールを非難し、対立の火に油を注いでいる。大国の責任を忘れた軽率なふるまいというほかない。

カタールには、米空軍の中東最大の基地がある。ここが過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦の拠点でもある。イランの首都テヘランではきのう、不穏な襲撃事件もおきた。

中東全体の混乱拡大を防ぐために、米国は早急に姿勢を改め、地域の安定化に有効な政策を発信すべきだ。仲介に動き出したトルコやクウェートなど地元の外交努力にも期待したい。

日本は原油の3割をサウジから、天然ガスの2割弱をカタールから輸入している。政府は推移を見極め、事態の収拾へ何ができるか模索してほしい。

今回の混乱が示すのは、大国のイランを封じ込めようとすれば、かえって中東を不安定化させるということでもある。

40年近くイランと断交したままの米国は、正確な中東の見取り図を描けていないのではないか。イランと外交関係を維持してきた日本は、このことを米国にしっかり伝えるべきだ。
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2017年06月07日

[朝日新聞] 高校野球 多様な視点を生かして (2017年06月07日)

全国高校野球選手権大会が、8月7日に開幕する。今月中旬からは代表校を決める地方大会も始まり、甲子園に向けた球児の夏が本格化する。

日本高校野球連盟には先月、2人の女性理事が誕生した。前身の全国中等学校野球連盟時代を含め、71年の歴史で初めてだ。企業やさまざまな団体で女性の幹部が活躍する中、遅すぎたくらいだが、新たな視点で、球児の活躍を支援するために力を発揮してほしい。

背景には、八田英二会長の意向がある。昨夏の選手権大会。女子マネジャーの甲子園練習への参加を大会本部が制止したことに疑問の声が寄せられ、今春の選抜大会から条件付きで外野ノックのボール渡しなどに限り、参加を認めた。この件をきっかけに、女性の意見が欠かせないと感じたという。

理事会は35人で構成され、運営のあり方を議論する。

新理事の一人、寺田千代乃氏は引っ越し会社「アートコーポレーション」社長だ。就任の記者会見で寺田氏は「少子化や女性の活躍は世の中でも課題だ。国民的な行事の存続のために意見を言いたい」と述べた。

多様な観点での発想が運営に反映されるよう、男性や野球経験者では気づきにくいことも積極的に提言してほしい。

甲子園に女性が登場した歴史はまだ浅い。女性の野球部長が初めてベンチ入りしたのが1995年の夏。翌96年夏、記録員のベンチ入りが可能になり、女子部員がスコアをつける姿はこの20年で定着してきた。

日本高野連によると、16万人を超す野球部員のうち推計で約8%が女子という。マネジャーや記録員のほか選手もいる。大会でプレーはできないが、茨城や埼玉の地方大会では開会式に女子部員が参加した。

時代の変化を踏まえつつ、全国の野球部をどう支え、高校野球を発展させていくか、考えるべき懸案は多い。

とくに優先すべきは、選手の健康管理だ。高野連は、引き分け再試合を避けるため、決められた回から得点しやすい状況で攻撃を始めるタイブレーク制導入の議論を続けている。

従来のやり方を望む選手やファンもいるだろう。一方で、過度の負担は選手の故障につながりかねない。慎重な検討が必要だ。女性も多い応援・観客席の環境を整えることも課題だ。

甲子園大会は来年、春が第90回、夏は第100回の節目を迎える。高野連は様々な意見を聞きながら、一歩ずつ必要な改革を進めていってほしい。
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[朝日新聞] 加計学園問題 説明責任は首相にある (2017年06月07日)

加計(かけ)学園の獣医学部新設の舞台になっている国家戦略特区は、首相官邸のサイトで「総理・内閣主導の枠組み」と説明されている。一方、安倍首相は国会で、特区の仕組みについて「私の意向というのは入りようがない」と答弁した。

普通は両立しない主張だ。

仕組みを確認する。

この制度を使って、どの地域でどんな規制改革をするか。その計画は、首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議で議論し、それを受けて首相が認定する。首相は、国際会議で「国家戦略特区では、岩盤規制といえども、私の『ドリル』から無傷ではいられません」といった発言もしている。

「私のドリル」だが、「私の意向」ではない。あえて解釈すれば、前者は規制緩和の大枠、後者は具体的な事業者選定について、と言いたいのだろうか。

今回の獣医学部新設では、候補を事実上、加計学園だけに絞り込む条件がついた。道筋を付けたのは、昨年11月9日の諮問会議での決定だ。

首相は国会で「(諮問会議の)民間議員の皆さんは大変怒っている。正々堂々たる一点の曇りもない議論をしてきたのに、総理の意向で決めたかのごとく言われるのは憤懣(ふんまん)やるかたない、と」とも述べた。

民間議員の支持もあっただろう。だが事実上、他の候補を退ける「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」との条件は、首相や官房長官、内閣府の担当閣僚らも加わった諮問会議名での提案だった。

議事要旨によると、特区の山本担当相は「重点課題について、直ちに実現に向けた措置を行うよう総理からご指示をいただいた」「関係各省と合意が得られたものをとりまとめた」などと背景を説明している。

こうした合意形成が政府内でどう行われたのか。その舞台裏をうかがわせるのが、文部科学省が内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」と言われたと記録された文書だ。文科省の前次官に続き現役職員も「文書は省内で共有されていた」と朝日新聞に証言した。

事業者の具体的な絞り込みについて、首相や官邸側の意向が実際に働いたかどうかは、現時点では不明だ。実態を明らかにするために、官邸と各省での決定過程の徹底検証が不可欠だ。

首相主導の特区の事業者に、首相の「腹心の友」が理事長である加計学園が決まった。それだけに、公平性や透明性について、首相は一段と重い説明責任を負っている。
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2017年06月06日

[朝日新聞] 首相らの答弁 不信が募るばかりだ (2017年06月06日)

驚き、あきれ、不信がいっそう募る。きのうの国会で、安倍首相の友人が理事長を務める加計(かけ)学園に関する首相らの答弁を聞いた率直な感想だ。

獣医学部新設に関し、文部科学省が内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」などと言われたと記録された文書について、政府は「存在を確認できない」で押し通してきた。同省の前川喜平・前事務次官が本物だと証言しているのに、だ。

きのうの国会では民進党議員が、この文書が添付されたとみられるメールの写しに記載があった文科省職員10人の名前を読み上げ、文書の内容が省内で共有されていたのではないか、とただした。

文科省幹部は「いま名前を挙げていただいた人と同姓同名の職員は実際にいる」と認めた。

民進党議員が文書の再調査を求めたのは当然だろう。だが松野文科相は「出どころ、入手経緯が明らかにされていない場合は、その存否や内容の確認の調査は行わない」などと拒んだ。

信じられない。この論法が通用するなら、あらゆる内部告発が「出どころ、入手経緯が不明だ」として、あったことがなかったことにされかねない。

国民の知る権利への重大な背信行為でもある。

政権に有利であれ、不利であれ、文書やメールの存在を示す一定の根拠があれば、まずは事実を調べる。それが責任ある行政のとるべき対応ではないか。

再調査もせず、なかったことにして葬ろうとする姿勢をみていると、政府が事実として発表することは信じられるのかという疑問さえ浮かぶ。

首相は国会で「問題の本質は岩盤規制にどのような穴を開けていくかだ」と述べた。だが問われているのは、そこに中立性や公平性、透明性が担保されていたのかどうか、いわば「穴の開け方」なのだ。

首相がかつて学園の監事を務めるなど理事長との親密な関係に加え、妻昭恵さんも含む家族ぐるみの付き合いだ。首相側近の萩生田光一内閣官房副長官も一時、学園から月10万円の報酬を受け、今も名誉客員教授だ。きのうの審議では、首相夫妻のミャンマー訪問に理事長が同行したことも明らかになった。

政権と加計学園のこんな関係が、国家戦略特区の決定過程をゆがめなかったかが問われるのは当たり前だ。「印象操作だ」という首相の批判は通らない。

国会が閉会すれば、いずれ忘れられる。首相らがそう考えて幕引きを急いでいるとしたら、国民も甘く見られたものだ。
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[朝日新聞] いじめ自殺 教委不信、深刻な危機 (2017年06月06日)

学校や教育行政への信頼が、深刻な危機に直面している。

いじめとの関連が疑われる生徒の自殺について、教育委員会や教委が設けた第三者機関の調査に遺族が不信を抱き、再調査やメンバー交代などを求める。そんな例が仙台、青森、茨城・取手などで相次いでいる。

現にあるルールへの理解を欠き、事実に向きあおうとしない教委の態度が浮かびあがる。

大津市で起きたいじめ自殺の教訓から、4年前にいじめ防止対策推進法が生まれた。

法律は、いじめの「疑い」があれば「重大事態」ととらえ、特別な組織を設けて調査をし、被害者に情報提供するよう定めている。いじめの確証がなくても、可能性を前提にまず動くことを求めているのだ。

その認識はどこまで浸透しているか。取手市教委は第三者機関を設けるのと同時に、「重大事態ではない」という不可解な議決をしている。調査の起点で遺族の不信を招いた。

残された家族が何より望むのは「何があったのか」を知ることだ。事実の解明なしには、加害者の反省も、校内や地域の動揺の収拾も、再発防止もありえない。むろん被害者側が納得できるはずもない。

一連の問題事例では、事実の追究が甘かったことも、学校や教委に都合よく事を済ませようとしているとの疑いを招いた。教委の公正・中立が疑われることなく適切な調査が行われるよう、被害者側にその手順や進み具合を説明し、理解を得ながら進めることが肝要だ。

スピードも求められる。解明が中途半端に終わる原因に、全校アンケートなどの時期が遅いことが指摘される。いじめ防止に取り組むNPOは、うわさや報道に影響されて記憶が塗り替わらないよう、「発生・発覚から3日以内」を提唱する。

この時期は学校側も当面の対応で手いっぱいだろうが、文部科学省が3月に定めたガイドラインは、重大事態の報告があれば、市教委などから職員やスクールカウンセラーを派遣できると書いている。支援の用意はある。校長ら管理職は初動対応の重要性を胸に刻んでほしい。

いじめ自殺の多くは、危険の兆候がありながら、共有されず見逃された結果起きている。

生徒や保護者が相談しやすい環境作りが必要だ。校外に相談窓口や子どもの居場所を設け、学校や教委と連携していくような仕組みを考えられないか。

悲しい事件を繰り返さないよう、生徒会や保護者の会合でも話し合いを深めてもらいたい。
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2017年06月05日

[朝日新聞] 首長の免責 住民と議会の重い責任 (2017年06月05日)

京都市長は市の土地買収をめぐり2005年に26億円の賠償を命じられ、一部を払った。

神戸市議会は09年、市の外郭団体への補助金約50億円の返還を求められた市長らに対する賠償請求権を放棄した。

住民訴訟で、首長に高額な損害賠償を命じる判決が相次ぐ。そんななか賠償金額に上限を設け、それ以上は免責できる改正地方自治法が先週、成立した。

改正のポイントは二つだ。

ひとつは、首長や職員の賠償額の上限を条例で定められるようにすることだ。

首長らが高額な賠償請求を恐れ、思い切った政策判断をしにくくなりかねないと指摘されている。行政の過度の萎縮を防ぐ効果を期待できる。理にかなった判断だと評価する。

住民訴訟は地方自治法に定められた裁判手続きで、住民個人が直接の不利益をこうむらなくても、行政のあり方をただすために起こせる。同様の仕組みのない国政に比べて、首長や職員はより厳しく責任を問われる立場にある。

むろん安易な免責は許されない。住民訴訟が自治体を監視する役割を果たしてきたのは確かであり、法改正で住民訴訟の機能を損なうことがあってはならない。このため、上限額設定の要件を「重大な過失がないとき」としたのは当然だ。

上限額の目安は、国が政令で定める。国会審議では、会社法が代表取締役らの賠償限度額を「年収額の6倍」としている例が紹介された。一案だろう。

改正の二つめのポイントは、議会が賠償請求権を放棄する議決をするときは、監査委員から意見を聴くことだ。

ただ、住民訴訟は監査請求を経たうえで提訴される。再び監査委員に意見を求めることに、どこまで意味があるのか。

国会審議では、民進党などが訴訟係属中の放棄を原則禁止するよう求めた。賠償責任をあいまいにしたまま放棄の是非を判断するのを避けるためにも、採り入れるべきだった。

分権をすすめる時代に、議会の行為を制限するのは極力避けるべきだと考える。一方で、参考人からは「首長と議会がなれ合っていれば違法行為のやりたい放題だ」との批判が出る実態もある。こうした安易な放棄議決だとすれば容認できない。

賠償請求権を放棄するなら、議会はその理由を説明し、広く理解を得る責任を負う。

安直な免責や無責任な請求権放棄を横行させないためには結局、住民が首長と議会を厳しくチェックしてゆくしかない。
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[朝日新聞] ヘイト対策 根絶へさらに歩みを (2017年06月05日)

朝鮮半島など国外にルーツがある人々に向けて「帰れ」「死ね」といった罵声をあびせ、社会からの排斥をあおる。こうした言動の解消を目指した「ヘイトスピーチ対策法」が施行され、3日で1年が経った。

東京・新大久保や大阪・鶴橋をはじめ、多くの在日コリアンが生活する地域でのデモや街宣行動は減少傾向にある。川崎市や大阪市では、差別をあおるデモを繰り返した団体や個人に、裁判所が一定範囲での活動を禁じる仮処分決定を出した。

「不当な差別的言動は許されない」と明記した国の対策法ができた成果だといえよう。

一方、ネットやSNS上では、匿名を隠れみのにした排外的な表現が後を絶たない。

大阪のNPO法人・コリアNGOセンターには、今も「絶対に在日朝鮮人を日本から追い出す」と脅すメールが届く。

日韓の歴史認識をめぐる摩擦や北朝鮮の核・ミサイル実験が報じられるたび、緊張を強いられる人々がいる。「韓国にお帰りください」といったメッセージが今も届くというフリーライターの李信恵(リシネ)さん(45)は「社会の根っこの偏見や差別意識は変わっていないと感じる。対策法という骨組みはできたが、肉付けはこれからです」と話す。

対策法に罰則はもうけられていない。一方で同法は自治体に対し、相談窓口を置くことや人権教育の充実、啓発活動などの施策を、地域の実情に応じて講じるよう求めている。

しかし集会を事前規制するガイドラインや、条例づくりの動きがあるのは川崎市、名古屋市、神戸市などひと握りだ。自治体を後押しするためにも、国は定期的に実態調査し、手立てを示してほしい。居住地によって泣き寝入りを余儀なくされる人をうんではならない。

全国で初めてヘイトスピーチ抑止条例をつくった大阪市は今月、在日コリアンに「ゴキブリ」「殺せ、殺せ」などと発言するデモの動画を「ヘイト」と認定し、内容や日時などを公表した。条例では投稿者の実名を公表できるが、動画投稿サイトの運営会社の協力が得られず、ネット上の呼称を公表した。

今後、市は投稿者の実名を把握するために条例の改正も検討するという。実効ある抑止に向けた先行自治体の模索を、他の自治体も参考にしてほしい。

大切なのは一人ひとりが、同様の言動を受けたらどんな風に感じるか、想像することだ。家庭や学校、職場で、社会的少数者の尊厳を傷つける言動を許さないという意思を共有したい。
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2017年06月04日

[朝日新聞] 原発と地域 再稼働への同意権拡大を (2017年06月04日)

周辺で暮らす人々の不安を置き去りに、原発がまた続々と動きだそうとしている。

九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)ではこの春、佐賀県知事と玄海町長が再稼働に同意した。関西電力大飯(おおい)原発(福井県おおい町)も先月、新規制基準に適合し、福井県知事とおおい町長の同意手続きへ進む。

事故に備えた住民避難計画をつくる周辺30キロ圏では、首長や住民から再稼働反対の声が相次ぐが、電力事業者は耳を傾けない。再稼働への同意を得るべき「地元」は、原発の立地市町村と道県に限っているからだ。

東京電力福島第一原発事故の被害を経験した日本で、事故前と同じ手続きを繰り返す限り、住民の不安はぬぐえない。

「地元」の定義を見直し、少なくとも30キロ圏の自治体に同意権を認めるよう改めて訴える。

■被害に差なし

同意権は法令上の権限ではない。自治体と電力事業者が結んでいる安全協定にある「事前了解」の規定がおもな根拠だ。

玄海原発の30キロ圏にある佐賀県伊万里市(人口5万5千人)。塚部芳和(よしかず)市長は昨夏、再稼働への反対を明言した。

福島原発事故後の13年に30キロ圏の福島県南相馬市を訪ね、「周辺と立地自治体とで被害の差はない」と痛感した。立地自治体並みの事前了解を含む安全協定の締結を九電に求めたが、九電側は拒んだ。「いくら反対してもかやの外。事故のリスクだけは負わされる。あまりに理不尽だ」と塚部市長は憤る。

周辺では長崎県の3市長も反対を表明した。だが、県境をまたげば知事でも同意権はない。

15年以降、川内(鹿児島県)、伊方(愛媛県)、高浜(福井県)の3原発が立地自治体だけの同意で再稼働した。

福井県に隣接する京都府や滋賀県は同意権の拡大を訴えてきた。北海道函館市は、海を挟んで23キロ離れた大間原発(青森県)の建設差し止め訴訟を起こした。被害が及ぶ恐れがある地域がなぜ「地元」と認められないのか、という問いかけだ。

■地域の目を安全向上に

朝日新聞の社説はこれまでも同意権を持つ地元の範囲を広げるよう主張してきた。より多くの自治体が同意手続きで原発の安全性をチェックすればその向上が期待でき、住民の信頼につながると考えるからだ。

安倍政権は、新規制基準は世界で最も厳しく、原子力規制委員会が適合だと認めれば安全性は確認される、との見解だ。

ただ、国際原子力機関(IAEA)が求める5層の安全防護策のうち、新規制基準がカバーしているのは4層までだ。

第5層は原子力防災だ。1?4層が突破されて原発外に放射性物質が拡散する事態を想定し、住民を避難させて被曝(ひばく)を防ぐ「最後の壁」だ。国は福島原発事故後、その計画づくりを30キロ圏の自治体の責務とした。

自治体が原発の安全性の確認を国任せにせず、自分たちが担う避難計画の実効性も含めてまだ不十分だと判断すれば、再稼働に待ったをかける権限を与えることは当然ではないか。

判断には専門知識も要る。福島原発事故の独自検証を続ける新潟県のように、専門家組織を設けることも有益だろう。

■国会で議論を

同意権の範囲拡大には、ほとんどの立地自治体も否定的だ。

立地自治体は、電源三法に基づく国の交付金や住民の雇用確保など、財政・経済面で原発の恩恵を多く受けてきた。「同意権を持つ自治体を増やせば、それだけ原発は動かしにくくなる」との警戒感がにじむ。

「安全協定の本来の意味に戻るべきだ」。金井利之・東京大教授(自治体行政学)は話す。

60年代以降、立地自治体が協定締結に動いたのは、電力事業者に事故やトラブルの情報を隠させず、必要に応じて「もの申す」ことで、住民の安全・安心につなげるためだった。

「不安や懸念を抱く自治体が周辺にあれば、何を問題視しているか、広く一緒に議論すればいい。安全性はさらに高まり、立地自治体にもプラスのはずだ」と金井さんは言う。

各自治体が安全面のみを中立的に判断できるよう、原発の稼働の有無で財政・経済面の受益に差が出ることがないようにする制度づくりも考える必要があると説く。

そうした制度を考えるのは、国の役目のはずだ。

安倍政権はこれまで、地元同意の範囲は「国が一律に決めるものではない」(世耕弘成経済産業相)と傍観してきた。

ただ、「地元」をめぐる電力事業者・立地自治体と周辺自治体の分断を放置し、周辺の異論も無視したままの原発再稼働をこれ以上続けてはならない。

30キロ圏の自治体の同意を再稼働の条件として法令に明記するなど、やり方はいろいろ考えうる。事故から6年余り、積み残されている重要課題として、国会で論議していくべきだ。
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2017年06月03日

[朝日新聞] パリ協定 米離脱でも結束守れ (2017年06月03日)

「米国第一」の身勝手な振る舞いに、怒りを禁じ得ない。

トランプ米大統領が、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」からの離脱を表明した。

米国は、二酸化炭素など温室効果ガスの総排出量が、中国に次ぐ世界2位だ。パリ協定は、今世紀後半に世界全体の排出量を森林や海による吸収分以下にする「実質ゼロ」をめざしており、離脱は大きな打撃となる。

温暖化対策に積極的な欧州の主要国や、中国、日本などは米国への失望や協定の維持を表明した。まずは国際社会が結束し、繰り返しトランプ氏に再考を促していかねばならない。

パリ協定合意への長年の交渉では、化石燃料を大量に使いながら経済発展を果たした先進国と、成長の恩恵を十分に受けていない新興国・途上国が、利害対立を乗り越えた。目標や具体策は各国にゆだね、強制力もないが、190を超える国が温室効果ガス削減に取り組むことになった。協定は画期的で、人類共通の財産と言ってよい。

合意を主導した国の一つが米国だったが、トランプ政権はその功績を捨て去ろうとしている。石炭産業などを念頭に、パリ協定が雇用創出の重しになっていると主張しており、国内での支持基盤固めを優先した。

しかし、その米国内でも強い批判が噴出している。

石油関連を含む産業界では、温暖化対策をビジネス機会ととらえる取り組みが既に加速している。離脱は米国への国際的な信頼やリーダーシップを揺るがし、他の政策にも悪影響を及ぼす。トランプ氏はなぜわからないのか。

米国は、温暖化対策で途上国を支援するための国連基金への拠出を停止する考えだ。海面の上昇で国土が水没しそうな島国もあるだけに、対策の遅れをどう防ぐかが当面の課題となる。

さらに心配なのは、地球環境への危機感が目先の自国第一主義に押されて後退することだ。

異常気象による災害や凶作は世界各地で頻発している。米国に振り回されて時間を空費してはならない。日本の政財界には、温暖化対策が一部の産業に逆風になるとして消極的な意見も聞かれるが、対策強化が世界の潮流と見定めるべきだ。

地球温暖化は、人類の将来をにらんだ超長期の課題だ。

一時的に足並みが乱れても、持続可能な地球環境を維持するという目標に向け、着実に前進していく意思を持たねばならない。そして、有効な対策づくりに知恵を絞る努力を続けていきたい。
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[朝日新聞] 郷土の資料 歩みを次代に残すため (2017年06月03日)

全国の公立図書館で、所蔵するさまざまな「学校史」のページが刃物で切り取られたり、引きちぎられたりしている例が相次いで見つかった。日本図書館協会の調査では、27都道府県の65館で、356冊、約2500ページが被害を受けていた。

残念だが図書館の本が傷つけられることは珍しくない。今回は、親しみやすい学校史だったので注目されたが、資料価値の高いものはほかにもある。郷土の歩みを記録した文献の収集・保存のあり方を考え直すきっかけにしたい。

貴重な本や雑誌は閲覧にとどめ、館外利用を認めないのが通例だ。だが、貸し出したものについては返却時に点検の機会があるが、自由閲覧後、開架式の棚に戻されたらチェックは後回しになる。異状に気づくのが遅れ、結果として大切な本が適切に扱われてこなかった。

最多の10館で被害が確認された愛知県内の学校史をひもとくと、各時代を生きた人びとの息づかいが感じ取れる。

高等女学校でも日露戦争後、髪の真ん中を高くした「二百三高地まげ」が流行したこと。第2次大戦末期、空襲がいつ、どこにあるかを、女子生徒が「こっくりさん」で占っていたこと。1959年の伊勢湾台風のとき、遺体収容作業への協力を求められた高校が、生徒たちの精神的負担を心配して断ったというエピソードもあった。

制服や校則、授業料、進路の変遷がたどれ、卒業生の回想を多く掲載した学校史もある。教育史などの研究にとどまらず、近年ブームの自分史づくりにも活用されているという。

被害を受けた多くの館は閲覧を申込制にした。一方、群馬県や滋賀県など以前から閲覧用と保存用の複数収集に取り組み、自由なアクセスと保管とを両立させているところもある。

学校史の価値が再確認されたことで、思わぬ効果も生まれている。愛知県図書館は、任意の寄贈に頼ってきた姿勢をあらため、これからは貴重な郷土史料として体系的に収集・保存していく方針を打ち出した。

地域の核となる小中学校は、少子化に伴う統廃合で減っている。この60年で小学校は全国で6千校以上、中学校は3千校以上閉鎖された。平成の大合併で姿を消した自治体の資料も、同じく地域のかけがえのない財産だが、散逸が心配されながら、十分な手当てができていないケースが少なくない。

先人の歩みを後世に伝える。それは、いまを生きる私たち世代の大切な使命だ。
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2017年06月02日

[朝日新聞] 東京五輪準備 長い混迷から抜けだせ (2017年06月02日)

開幕まで3年というのに、不安と不信は深まるばかりだ。

2020年東京五輪・パラリンピックの経費負担について、関係機関が大筋合意した。しかし、東京以外の会場で開催される競技の運営経費をめぐる話し合いは整わず、先送りされた。関係自治体と、いつ、いかなる形で調整がつくのか。行方は依然として見通せない。

迷走を招いたものは何か。

まず、招致当時の猪瀬直樹都知事らがまとめた基本計画のずさんさが挙げられる。

この段階では他都市との競争に勝つことを優先するあまり、試算は甘くなりがちだ。それにしても、総経費7300億円とされていたのが、昨夏「3兆円超の可能性」との指摘があり、人々を驚かせた。その後1兆3850億円にまで縮まったが、節約が唱えられると、詳しい説明のないまま1千億単位で数字が削られるのだから、ふつうの市民の理解を超えている。

招致当時はコンパクト五輪の理念を掲げ、たとえばセーリングは東京湾で行う予定だった。だが防潮堤整備に巨費が必要とわかり、急きょ神奈川県にもっていくことにした。いま県と都の折衝が難航している最大の原因は、この会場移転に伴う漁業補償費の負担問題だ。

第二は、くり返し指摘してきたことだが、こうした混乱を乗り切るリーダーシップの不在だ。本来、各団体や組織の間に立つべき大会組織委員会や五輪相が役割を果たせていない。

昨秋、会場再編問題を協議した際、国際オリンピック委員会の役員の前で、組織委、都、国の責任者が感情むき出しでやり合ったのは、連携不足と相互不信を象徴する光景だった。

第三に、随所に顔を出す政治的な思惑と駆け引きである。

小池都知事が唱えた五輪計画の見直しは一定の効果をあげ、求心力を高めた。だが課題を調整して収束させる能力を欠き、さらに夏の都議選をにらんで、小池氏から主導権を奪おうとする自民党や首相官邸の動きが、対立に拍車をかけた。

国立競技場の建て替え問題に始まってゴタゴタが絶えない状態に、国民の間には五輪に対する嫌悪感すら漂う。

このプロジェクトにかかわる組織と人間が、それぞれの立場と責任を再確認し、信頼関係を築くことでしか、推進力は生まれない。そのうえで、人々の理解を得るには、徹底した情報開示と丁寧な説明が不可欠だ。

五輪の準備状況を確認するための国際大会が、来年から順次開かれる。もう猶予はない。
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[朝日新聞] 対北朝鮮政策 独自の外交力の発揮を (2017年06月02日)

北朝鮮が3週連続となる弾道ミサイルを日本海に向けて発射し、日本の排他的経済水域に落ちた。

幸い船舶などの事故には至らなかったが、日本海には米原子力空母が展開中だ。傍若無人で危険極まりない北朝鮮のふるまいは、愚かというしかない。

北朝鮮はおそらく国際社会、とりわけ米国との対話の足音が聞こえてきたと、勝手な解釈をしているのだろう。

トランプ米政権は、軍事的圧力を高める一方、最近は「金正恩(キムジョンウン)体制の転換を求めない」「対話での問題解決を目指す」などの発言が目立つようになった。

石炭の輸入制限など、制裁に本腰を入れたかに見えた中国もこれまで以上の圧力の強化には慎重な姿勢をみせ始めた。

自らは何の譲歩もせずに対話を始めたい。その前に挑発を重ねて関係国を防衛力強化に向かわせ、地域の安全保障の枠組みにきしみを生じさせたい――。何度も繰り返してきた北朝鮮の戦術が透けて見える。

相次ぐミサイル発射を受けた在韓米軍への新型迎撃ミサイルシステムの配備は、北朝鮮にとって中国と米韓の対立をあおる格好の材料と映るのだろう。

日本に対しても露骨な挑発をしかけている。

北朝鮮外務省は最近、日本に対する軍事攻撃の目標について論評した。今までは在日米軍基地を狙っていたが、日本の対応次第で「標的は(米軍基地以外に)変わるしかない」とした。

日本国民の安全にかかわる問題である。北朝鮮の動向を十分警戒し、核・ミサイル技術の進展を正確に見極める必要があるのは言うまでもない。

ただ、北朝鮮はミサイル実験のたびに新たな技術を手に入れたと喧伝(けんでん)するが、実際の成果については米韓の国防当局筋などから慎重な見方も出ている。

軍事上の分析とともに欠かせないのは、彼らの意図を冷静に読み解き、交渉による緊張緩和を探る外交力の発揮である。

北朝鮮との間では日本人拉致問題が解決していない。

日朝が国交正常化に向かうための「ストックホルム合意」を発表して3年の歳月が流れた。

当局間の水面下での接触は今も続くが、大きな進展をみていない。北朝鮮は、核・ミサイル問題は米国との協議事項だと主張する。それでも日本は何とか対話のチャンネルを維持しており、説得する機会はある。

米韓と連携しつつ独自の役回りを模索する。硬軟織り交ぜた外交で、この異常な状態を落ち着かせねばならない。
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2017年06月01日

[朝日新聞] 個人情報 理解深め活用と保護を (2017年06月01日)

さまざまな情報が活用される便利な社会にしたい。同時に自分の個人情報はしっかり守りたい――。このふたつの要請の両立をめざす改正個人情報保護法が施行された。12年ぶりの大幅な制度変更である。

この間、技術の進歩をうけて社会は大きく変わった。

例えば、大勢の人の買い物履歴を解析し、消費者の好みにあう商品を開発したり購入を勧めたりするビジネスが広がった。いわゆるビッグデータの活用だ。便利な半面、知らないうちに自分の情報がやり取りされ、思わぬ使われ方をするのではないかとの不安がつきまとう。

改正法は「匿名加工情報」という考えを導入。個人を特定できないように情報の一部に手を加えることを条件に、本人の同意がなくてもデータを外部に提供できるようにした。

基本ルールが示されたのは結構だが、「35歳男性」とするのか、それとも性別は省き、年齢も「30代」とするのかなど、具体的な加工方法は業界の判断に委ねられる部分が大きい。

それらをどう定め、情報を管理し、利用するか。消費者から苦情が寄せられた場合にどう対応するか。それぞれの業界で、わかりやすく公正な指針と窓口を整備してほしい。

懸念されるのは、旧法が施行された際に起き、今もあちこちでみられる過剰反応である。

町内会が会員名簿を作らなくなったのがその一例だ。しかし、災害などに備え、本人の同意を得たうえで、手助けが必要なお年寄りや体の不自由な人の情報を把握しておくことは、その人の命を守り、地域の安全を保つことにつながる。

国の個人情報保護委員会は、名簿作成の際の注意事項などをホームページにのせている。常識に沿った対応をしていれば、問題になることはまずない。疑問があれば事務局に問い合わせてもいい。その質問と答えがまた掲載されれば、全体の理解が深まっていくだろう。

過剰反応を戒めるべきは行政や警察も同じだ。

災害や事故のとき、被害者や行方不明者の氏名を一律に伏せることがしばしばある。安否情報が共有されないまま、混乱が続いた例が現にあった。また、報道を通じた事実の伝達が進まなければ、教訓を引き出し、ともにするのも難しくなる。

情報が円滑に流通し、人びとがアクセスすることによって、社会は強く、豊かになる。

活用と保護のバランスをどうとるか。試行錯誤を重ねながら答えを見いだしていきたい。
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[朝日新聞] 原子力規制委 原点忘れず改革続けよ (2017年06月01日)

原子力規制委員会の委員長に更田(ふけた)豊志委員長代理が昇格する人事が先週、国会で同意された。規制委を発足から5年間率いてきた田中俊一委員長は9月の任期満了で退く。

更田氏は国会での所信聴取で「独立性と透明性の確保を基本として、国内外から信頼の得られる原子力の安全確保に最善を尽くす」などと述べた。

福島第一原発事故で原子力規制行政全体が出直しを迫られるなか、その中核の規制委を田中氏とともに当初から引っ張ってきただけに、発言には自負と決意がにじんだ。

だが、規制委の課題は多い。二つ指摘したい。

まずは原発の審査についてである。

たとえば、「相当困難」と説明していた40年超運転を立て続けに認めていることや、規制委の元委員から「過小評価だ」との指摘が出ている地震や火山噴火のリスクの見積もりについて、国民の多くが納得しているとは思えない。原発の集中立地への対応やテロ対策といった課題もある。

規制委には、閉鎖的との指摘も聞かれる。一般の人にもわかりやすい言葉で自らの考えを説明する努力を重ねつつ、外部からの指摘や助言には謙虚に耳を傾け、より広い納得が得られる審査を目指してほしい。

もう一つは、機器の性能要求や書類チェックなど原発を動かす前の審査を偏重しがちだとされてきた日本で、現場での規制の実効性をいかに高めるかだ。

日本は自然災害が多いだけに施設面の基準が厳しくなるのは当然だろう。その上で、国際原子力機関(IAEA)は昨年、日本の規制業務をチェックし、事業者の危機対応能力を現場で見抜くなど、規制業務を深化させることが必要だと勧告した。

原発の抜き打ち検査も可能にする法改正が今の国会で行われたが、そうした手法で事業者に厳しく指摘できる人材をどう増やすか。海外研修などで最低でも3年はかかるという。

07年のIAEA点検では、原子力の推進と規制の分離などを勧告されながら、手をこまぬいている間に福島第一事故が起きた。更田氏は国会で「事故以前に強く声を上げることができなかったかという後悔と反省を覚えた」とも語った。

新委員長として同じ思いを抱くことがあってはならない。更田氏は委員5人のうち唯一の創設メンバーとなる。原発事業者に毅然(きぜん)と向き合うという原点を忘れず、事故に学んだ規制改革を徹底させていく責務がある。
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2017年05月31日

[朝日新聞] 加計学園問題 論点をすり替えるな (2017年05月31日)

安倍首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画をめぐり、前文部科学事務次官の前川喜平氏が新たな証言をした。

昨年9?10月、和泉洋人・首相補佐官に首相官邸に複数回呼ばれ、新設を認める規制改革を早く進めるよう求められた。和泉氏はその際、「総理は自分の口から言えないから、私が代わって言う」と述べたという。

事実なら、すでに明らかになった内閣府からの求めに加え、首相補佐官も「総理」の名を直接あげて、文科省に働きかけていたことになる。

証言は、国家戦略特区という政権の目玉政策に公私混同があった疑いを抱かせる。国政への信頼がいっそう揺らいでいることを政権は自覚すべきだ。

信じられないのは、事実関係を調査し、国民に対して説明する姿勢が首相らにまったく見られないことだ。

菅官房長官は記者会見で政府として調査はしないとし、「前川さんが勝手に言っていることに、いちいち政府として答えることはない」と突き放した。

首相は国会で「改革を進めていくうえでは常に抵抗勢力がある。抵抗勢力に屈せずにしっかりと改革を前に進めていくことが大切だ」と述べた。

だが今回、問われているのは特区で獣医学部新設を認めることの是非ではない。トップダウンで規制に風穴を開ける特区である以上、首相が指導力を発揮すること自体は当然あろう。

問題はその手続きが公平、公正で透明であるかどうかだ。

行政府として当然の責務を安倍政権は軽んじている。そう思わざるをえない証言や文書がこれだけ明らかになっている。

特区であれ、通常の政策であれ、行政府として、それを進める手続きが妥当であると国民や国会から納得がえられるようなものでなくてはならない。

なのに首相は自ら調べようとせず、「私が知り合いだから頼むと言ったことは一度もない。そうではないというなら証明してほしい」と野党に立証責任を転嫁するような発言をした。考え違いもはなはだしい。

政府が説明責任を果たさないなら、国会が事実究明の役割を担う必要がある。前川氏はじめ関係者の国会招致が不可欠だ。

自民党の竹下亘国会対策委員長が前川氏の証人喚問について「政治の本質になんの関係もない」と拒んでいることは、まったく同意できない。

問われているのは、政治が信頼に足るかどうかだ。それは政治の本質にかかわらないのか。
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