2017年05月24日

[朝日新聞] 東京都議選 なれ合いを脱せるか (2017年05月24日)

小池百合子・東京都知事が自民党都連を「忖度(そんたく)政治だ」と批判すれば、自民党は小池都政を「決められない政治だ」と糾弾する。そんなつばぜり合いが激しくなってきた。

注目の都議選の告示まで1カ月をきった。小池知事が率いる地域政党・都民ファーストの会が台風の目となり、関心は今後ますます、「小池都政にイエスかノーか」の一点に集中しそうな雰囲気だ。

だが、果たしてそれだけでいいのか。いちど立ち止まって、都議が担うべき役割をおさらいしておきたい。

議員の中から首相が選出される国会と違い、都道府県の首長と議員はどちらも有権者に直接選ばれる。二元代表制といわれるシステムで、両者は地方行政の「車の両輪」の関係にある。

都議は、地域のさまざまな声に耳を傾けたうえで、知事が提案する予算の配分や政策が適切かどうかを、都民の代表としてチェックする。それには、知事と一定の距離を保ち、緊張関係にあることが不可欠だ。

だが、この20年近く知事与党の自民、公明はどうだったか。

豊洲への市場移転問題で、両党は今春、都議会に百条委員会を設けることに賛成し、土壌汚染対策をめぐる都と東京ガスの交渉の実態を追及した。改革姿勢を訴えたつもりだろうが、本来こうしたチェックは、市場の移転予算を議会として認める前に果たしておくべきものだ。

なれ合いの懸念は、都民ファーストにもつきまとう。

きのう発表の公約で、都民ファーストは市場移転に関する考えを明確にせず、知事の今後の判断を尊重したいと述べた。この先、様々な都政の課題について自分たちのリーダーの方針を健全に批判し、注文をつけられるのか。そこが問われる。

都議のもう一つの役割は、知事側と政策を競いあい、それを都政に反映させることだ。

たとえば、2030年には都民の4人に1人が65歳以上となる。だが介護の施設も人手も足りない。巨大都市の超高齢化にどう備えるか。また、東京一極集中による地方の衰退は、都も解決に乗りださねば展望が開けない課題だ。しかし小池都政では光が当てられていない。都議としてどう考えるのか。

この4年間、都議の提案で生まれた条例のうち生活に直結するものは一つもない。定数127と最大の地方議会にもかかわらず、水準は高いといえない。

反省を踏まえ、都議選にそれぞれがいかに臨むか。有権者に語るべきことは、少なくない。
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[朝日新聞] テニス八百長 手を尽くし信頼回復を (2017年05月24日)

スポーツの尊厳を傷つけ、その価値を地に落とす行為だ。

男子テニスの三橋淳(みつはしじゅん)元選手(27)が八百長に手を染めたとして、国際的な不正監視団体から永久資格停止と罰金5万ドル(約550万円)の処分を受けた。

2年前に南アフリカとナイジェリアで行われたプロの下部ツアーに参加した選手らに対し、数百ドルから数千ドルの見返りで、わざと試合に負けるよう持ちかけたとされる。

さらに、公認のブックメーカー(賭け屋)を通じ、テニスの試合を対象にした賭けも76回繰り返していた。公平・公正を疑われるとして、テニス選手は禁じられている行為だ。選手を信じ、真剣勝負に声援を送るファンを裏切った罪は重い。

監視団体は08年に設立された。怪しい動きがあるとブックメーカーから通報がある。昨年は292件の情報があり、選手や審判計9人が処分された。下部ツアーは賞金が低く、場合によっては八百長による報酬の方が高くなることも、不正が絶えない背景にあるようだ。

日本テニス協会も手をこまぬいてきたわけではない。プロ登録の際に法令順守の研修を開き、今年度からは海外を転戦する選手向けにインターネット経由の講座も始めた。とはいえ研修は1度で、参加しなくてもペナルティーはないなど、とても十分とはいえない。

スポーツ界は、競技を始める時期が低年齢化し、ジュニア世代でも国際大会を転戦するケースは珍しくない。だが、技術力の向上に注がれる力や熱意に比べ、倫理面は立ち遅れている。競技団体ごとに計画を立て、スポーツ庁も問題意識をもって、10代のうちから積極的な取り組みを始めるべきだ。

問題行為を自分から申告すれば処分を軽減する制度や、通報を受けつける窓口の整備なども検討すべきではないか。

やましいことのない選手や指導者は、そうした仕組みがあること自体を快く思わないかもしれない。だが、倫理を説くだけで十分か。広く社会に導入されている、こうした工夫も参考にしていい。

間違いを犯してしまった選手を支えることも欠かせない。

いったん処分を受けた者が現場に戻り、観客の前で再びプレーするには、社会の理解が欠かせない。本人の反省に任せるだけではなく、競技団体や統括団体の責任の下、復帰プログラム作りを進めてほしい。

包括的な取り組みが人々の信頼を取り戻し、スポーツの尊厳を守ることにつながる。
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2017年05月23日

[朝日新聞] 米抜きTPP 旗を掲げ続けるには (2017年05月23日)

環太平洋経済連携協定(TPP)は、米国の離脱ショックに揺れながらも、漂流することは何とか避けられたようだ。

米以外のTPP参加11カ国の閣僚会合が開かれ、共同声明にTPP早期発効へ向けた選択肢の検討を始めることが盛り込まれた。作業は11月までに終えるとしている。

国内総生産(GDP)で見て域内の6割を占めていた米国の離脱が、TPPの意義と経済的な魅力を損なったことは否めない。それでも発効を目指すことで11カ国がまとまったことは評価できる。

世界貿易機関(WTO)での交渉が停滞するなか、貿易自由化の主役は、二国間や地域内の自由貿易協定(FTA)に代わった。中でも規模が大きい「メガFTA」への期待は大きい。21世紀型の新たな通商ルールを目指して、その先頭を走ってきたのがTPPだ。

とはいえ、各国の考えには溝も目立つ。ベトナムやマレーシアは、巨大な米国市場が開かれることを前提に、痛みを伴う国有企業改革などを約束した。米国抜きなら協定の見直しが必要という立場だ。

カナダとメキシコにとっては、米国との北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉が喫緊の課題だ。米抜きTPPを進めることがどう影響するか、見極めようとしている。ペルーやチリは、TPPに中国を加えることにも関心を示す。

こうした個別の事情を乗り越えていく道筋はまだ見えない。議論を深める機運をいかに保ち続けるか。日本の提唱で7月に首席交渉官会合を開くことになったが、11カ国の中で経済規模が最大の日本がリーダーシップを発揮する機会である。

米国に直言することも日本の役割だ。

日米経済対話でも、日米間の通商問題に焦点をあてがちな米国に対し、日米によるアジアの通商ルール作りなど多国間の枠組みの意義を、粘り強く説き続けなければならない。日本が先頭に立ち、米国をTPPに呼び戻す可能性を探ることが、11カ国の結束を維持することにもつながる。

アジア太平洋地域では、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の議論も進む。日本が高いレベルでの自由化を目指しているのに対し、中国は緩めのルールで新興国や途上国を取り込む動きを強めるとみられる。

この地域で水準の高い自由化を実現していくためにも、先導役としてTPPの旗を掲げ続けることが欠かせない。
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[朝日新聞] 中台関係 現状維持が安定の道だ (2017年05月23日)

中国との関係を重んじる国民党から、台湾の独立を志向する民進党へ。政権の交代を果たした蔡英文(ツァイインウェン)総統が就任してから、20日で1年になった。

この間、中台関係に大きな変動はなかったものの、少しずつ緊張が増している。

蔡政権の姿勢は、対立を避けるために抑制的だったと評価できる。一方の中国・習近平(シーチンピン)政権は、国際的に大きな非難を招かない程度の抑圧や牽制(けんせい)を重ね、台湾への圧迫を強めてきた。

民進党の元職員、李明哲氏が中国で「国家の安全に危害を与える活動をした」として拘束されたのは、その一例だ。2カ月が過ぎても連絡がとれず、国際人権団体が釈放を求めている。

きのう始まった世界保健機関(WHO)年次総会には、09年以来続いた台湾代表の出席ができなくなった。中国の働きかけは明らかだろう。

窓口機関の間で行われた中台対話は中断しており、中国から台湾への観光客は減った。

圧力をかければかけるほど、台湾社会で中国への反感が強まるのは当たり前だ。

いまの対立のもとは、中国が主張する「一つの中国」の原則を台湾が認めるのか、という問題をめぐるものだ。

この原則は、台湾を中国の不可分の領土とする考えを含む。だから蔡氏は正面から答えずに「現状維持」を強調して接点を探った。それでも習政権は「答案はまだ完成していない」と、問いを突きつけている。

台湾海峡に横たわる問いは、それだけではないはずだ。

台湾では1991年、当時の李登輝政権のもとで、対中政策の基本方針となる「国家統一綱領」を定めた。その中で、中台統一への必要条件として、中国の民主化をかかげた。

後に綱領は事実上廃止され、話題にならなくなったが、台湾社会の底流には中国の民主化をめぐる問題意識がある。

台湾自身が80年代以降、民主化を経て今日に至っているからでもある。自由にものを言えるのか。政治に参加できるか。いつまで一党独裁が続くのか。習氏は答えられるだろうか。

中国は一方的な要求を改め、自らを見つめ直し、民主化への歩みを探るべきだ。それなしに台湾の民意が中国になびくことはあるまい。

現在の中台関係は「冷たい平和」と評されている。それでも貿易や人の往来は活発に続いている。この交流を広げつつ、中台とアジア太平洋地域の安定を図ることしか、いまの中台関係の中で選べる道はない。
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2017年05月22日

[朝日新聞] 安倍政権 知る権利に応えよ (2017年05月22日)

疑惑がもたれれば、必要な文書を公開し、国民に丁寧に説明する。政府として当然の責務を果たす気があるのだろうか。

安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画に関する文書について、松野博一・文部科学相は「存在を確認できなかった」との調査結果を発表した。職員への聞き取りや、担当課の共有フォルダーなどを調べた結論だという。

調査は実質半日で終了した。個人のパソコンは確認せず、「必要もないと考えている」とし、追加調査もしないという。あまりにも不十分で、問題の沈静化を図ったとしか見えない。

焦点の一つは、学部新設で「総理の意向」があったかどうかだ。意思決定までの過程を文書で残すことが、文科省の行政文書管理規則で定められている。しかし同省は報道等で出た該当文書を探しただけという。これで調査といえるのか。再調査をすると同時に、事実関係の確認も徹底すべきだ。

今回の政府の対応に、多くの国民が「またか」と感じているのではないか。学校法人・森友学園問題でも、情報公開への後ろ向きな姿勢が際立った。

NPO法人「情報公開クリアリングハウス」は19日、学園との交渉記録を公開するよう国に求め、東京地裁に提訴した。財務省に残っているはずの電子データの証拠保全も申し立てた。

三木由希子理事長は「国の姿勢を見過ごせば、これからも国民に必要な情報が次々と廃棄され、情報公開制度は成り立たなくなる。私たちの権利に対する重大な挑戦だ」と指摘する。

別の市民団体も、財務省が面会記録などを廃棄したのは公用文書等毀棄(きき)罪にあたるとして幹部らを刑事告発した。

多くの人が怒り、疑問を抱き、もどかしく感じている。

そもそも森友問題が浮上した発端は、地元の大阪府豊中市議が、国有地の売却価格の公開を求めたのに、国が黒塗りにして隠したことだ。市議が公開を求めた裁判で、国は今も「開示すれば不当に低廉な金額で取得したような印象を与え、学園の信用、名誉を失墜させる」と主張する。国有地は「国民共有の財産」であることを忘れたのか。

国民主権は、政府が国民に情報を公開し、施策を検証できてこそ実のあるものになる。情報公開に対する国の後ろ向きな態度は、国民主権を支える「知る権利」を脅かすものだ。

「公正で民主的な行政の推進」を掲げた情報公開法の理念に、政府は立ち戻るべきだ。
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[朝日新聞] イランの選択 対外融和の流れ加速を (2017年05月22日)

せっかく改善した国際社会との関係を逆戻りさせたくない。そんな国民の思いがまさったのだろう。イランの大統領選挙で、対外融和を進めてきた現職のロハニ大統領が再選した。

核開発をめぐる2年前の国際合意により、米欧による制裁は緩められ、イランの孤立的立場はわずかずつ変わりつつある。その流れが加速するよう、国民は期待を寄せたのだ。

大統領は選挙後のテレビ演説で「イランは世界と協調する道を選んだ」と述べた。その言葉どおり、今後4年間、緊張緩和の努力を重ねてほしい。

選挙は、保守穏健派の現職大統領に、保守強硬派のライシ前検事総長が挑む構図だった。

核合意は、国連安保理常任理事国とドイツの6カ国にウラン濃縮などの縮小を約束したが、ライシ師はそうした米欧との妥協を嫌う姿勢を示した。

そのライシ師が4割近くの票を集めたのは、国民の間に核合意の「果実」が浸透していない現実への不満があるからだ。

合意後、石油生産は回復し、インフレも収まったが、失業率は依然高い。世論調査では国民の7割が「暮らしは上向いていない」と答えている。

イランの体制では、最高指導者ハメネイ師が最終決定権をもち、大統領の権限は限られる。国民の不満が高まれば、「外国に譲歩しても利益はない」と説く強硬派が伸長し、ロハニ政権は苦境に陥りかねない。

中東では、同じイスラム教の中でシーア派のイランとスンニ派の国々の間で緊張が続く。スンニ派の盟主サウジアラビアとイランは昨年国交を断った。

イランの軍部はミサイル開発を続け、シリアやイエメンの内戦などに深く介入している。

イランの動向は、中東だけでなく国際情勢の安定にも影響する。強硬派や軍部の独走を抑え、穏健派が政権を着実に運営していくには、国際社会からの支援も必要だ。

その意味で、事態をこじらせるような無責任さが目立つのが米国である。オバマ前政権が核合意づくりを率先したものの、米議会はイランへの強硬姿勢を崩さず、トランプ大統領もイランへの敵視を隠さない。

トランプ氏はサウジ訪問で、イラン以外のイスラム諸国との首脳会議を開き、「イラン包囲網」とも映る動きを見せた。

中東の和平を実現するには、米国とイランの関係改善は必須条件である。イラン国民が示した融和の意思にこたえるためにも、トランプ政権はロハニ政権との歩み寄りを探るべきだ。
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2017年05月21日

[朝日新聞] 入試英語改革 「話せる」授業どう作る (2017年05月21日)

センター試験の後を継ぐ「大学入学共通テスト」の大枠が示された。大きく変わるのは英語だ。マークシートでは測れない話す力と書く力も問うために、英検やTOEFLのような民間の検定試験を使うという。

語学は、使えてこそ意味がある。「読める」「聞ける」だけでなく、「話せる」「書ける」もめざすのは当然だ。

ただ、2020年度入試、つまり今の中3から実施するという方針には疑問がある。

計画通りなら、各高校は新入生を迎える来春までに、この四つの技能をきちんと教えられる体制を整えないといけない。

果たして間に合うのか。そこまで急ぐ必要があるのか。

準備不足のまま改革に踏み出せば、困るのは生徒たちだ。

今の学習指導要領も、4技能を総合的に養うことを求めている。だが実態はどうだろう。

高3を対象にした2年前の抽出調査では、文部科学省が求める「日常の事柄について単純な情報交換ができる」(英検準2級程度)という水準を超えた生徒は、「話す」が1割強、「書く」は2割にとどまった。

これは読解・文法中心の授業を脱しきれない現実を映す。スピーチや討論に取り組む教員が「圧倒的に少ない」と、文科省自身が調査で指摘している。英語を教える教員自身の英語力も、国の目標に達していない。

学校の授業で話す力、書く力が十分身につかなければ、生徒たちは塾や英会話教室に頼るだろう。お金があり、都会に住んでいれば、事前に民間試験を何度も「お試し」で受けて場慣れすることもできる。貧富や住む地域による有利・不利の差が、今以上につきかねない。

なによりも授業改善を急ぐ必要がある。研修を徹底して教員の腕を磨くのがいいのか、外部講師の力を借りるべきなのか。それともネットや動画を使って学ぶ方法が効くのか。これらを組み合わせる道もあるだろう。検討してもらいたい。

文科省は「民間試験の導入後も、23年度まで現行方式の英語試験も残す」という選択肢も示している。高校や大学に戸惑いがあるのを受けたものだろう。

22年度には新指導要領が実施され、地理歴史などの科目再編がある。入試改革のタイミングはその時にも来る。今回の方針に無理はないか、現場の声にじっくり耳を傾けてほしい。

受験は生徒にとって大きな負担ではあるが、将来役に立つ力をつける機会にもできる。だからこそ、できる限り公平な仕組みに仕上げたい。
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[朝日新聞] 米政権の疑惑 外交への波及を憂う (2017年05月21日)

法治国家としての米国の真価が問われるだけではない。国際秩序の安定という観点からも心配される事態である。

昨年の大統領選にロシアが関与した疑惑で、米国が揺れている。連邦捜査局(FBI)の捜査をトランプ大統領が妨げようとした疑いも浮上した。

司法省は高い独立性をもつ特別検察官を任命した。捜査が進む今後、米国の政治はこの疑惑をめぐる紛糾が続きそうだ。

朝鮮半島の緊張や南シナ海問題、中東の混迷などの懸案の中で、米国は安定を築く役割を果たすべき立場にある。しかし、内政の混乱が続けば米国の対外政策にも影を落とすだろう。

コミーFBI前長官を突然解任するなど強引な対応を重ねたトランプ氏の責任は重い。捜査に全面協力し、国民への説明も尽くして、政権運営の正常化を急ぐべきだ。

特別検察官になった元FBI長官のマラー氏には当然、厳正な捜査を進めてもらいたい。

トランプ氏による捜査妨害の疑いは重大である。コミー氏に捜査の中止を求めていたという報道が事実ならば、弾劾(だんがい)訴追に値する。米国が世界に唱えてきた「法の支配」の原則は今後、説得力を失うだろう。

大統領選前後のトランプ陣営とロシアの関係も、十分に解明されなくてはならない。

選挙中のクリントン陣営からのメール流出に、ロシアは関与したのか。トランプ陣営とロシアの間に癒着があったのか。米ロ両国が健全な関係を取り戻すうえでも真相究明が必要だ。

トランプ氏とロシアの関係をめぐっては、米国の同盟国イスラエルから提供された機密情報を自ら、ロシア外相に伝えていた問題も報じられた。

違法ではなくても、提供国の同意を得ずに機密情報を他国に渡せば、同盟関係にひびが入る事態になりうる。トランプ政権をどこまで信頼できるのか、日本を含む世界の対米同盟国に重い疑念を広げかねない。

政権発足から4カ月、トランプ氏の軽率さや身勝手さを示す言動があとを絶たない。国民の支持率も低迷を続けたままだ。

それでも本人はなおも「自分ほど不公平に扱われた政治家はいない」と開き直っている。

国の指導者として尊重すべき司法・情報機関やメディアとの不毛な対立はやめて、山積する課題に真摯(しんし)に取りくむ政治姿勢をなぜ示せないのか。

大統領の権力を監視するのは、司法、議会、メディアの役割である。米国の民主主義の底力が引きつづき試されている。
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2017年05月20日

[朝日新聞] 「共謀罪」採決 国民置き去りの強行だ (2017年05月20日)

「法案の内容を知らない」63%、「いまの国会で成立させる必要はない」64%、「政府の説明は十分ではない」78%――。

「共謀罪」法案をめぐる朝日新聞の最新の世論調査の結果だ。首相がその厚さを自慢する内閣支持層についてみても、回答状況は順に60%、56%、73%と同じような傾向にある。

法案への理解がまったく進んでいないにもかかわらず、自民、公明両党はきのうの衆院法務委員会で、日本維新の会と共同で提出した修正案の採決を強行した。

国民の声に耳を傾け、施策の必要性を説明し、不安の解消に努める。政治に求められるこうした責務を投げ出し、数の力で主張を押し通す政権の体質が、ここでもあらわになった。

委員会で本格審議が始まったのは先月19日。以来、思わずため息の出る光景が続いた。

金田法相に代わって刑事局長が答弁を引きうける。ようやく法相の出番が来たと思ったら、後ろに控える別の役人が耳打ちする内容を、ただ繰り返す。かみ合わぬやり取りが続き、時間だけが空疎に過ぎる。

これが、与党が一方的に採決のめどに設定した「審議時間30時間」の実態である。

犯罪が行われなくても、計画し準備に乗りだした段階で処罰するのが法案の目的だ。捜査当局が法を恣意(しい)的に運用したり、「計画」「準備」を察知するためにゆきすぎた監視や情報収集に走ったりするのではないか。そんな懸念はぬぐえず、なお多くの疑問が残されたままだ。

277の罪に広く共謀罪を設ける理由も判然としない。かつて同じ趣旨の共謀罪法案が国会に提出された際、自民党議員の立場で修正案づくりに携わった早川忠孝弁護士は、今回、参考人として委員会に呼ばれた。

「一つ一つ検討すれば、さらなる絞り込みができる」と提言したが、そうした地道な作業はついに行われなかった。

維新の意向を受けていくつかの手直しはされた。だが、いずれも問題の本質に迫るものではなく、見るべき点はない。

むしろ維新は、捜査当局の力を高める必要があるとして通信傍受の範囲を広げるよう唱えていた。共謀罪が導入されれば、次は摘発のための手段を与えよということになると心配されたが、それを先取りする話だ。

政府が現時点での傍受拡大を否定する答弁をしてきた手前、与党は同調を見送ったが、この3党連携は極めて危うい。

民意を置き去りにした強引な国会運営に、強く抗議する。
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[朝日新聞] 退位特例法案 後世に残す本格審議を (2017年05月20日)

天皇陛下の退位を実現するための「皇室典範特例法案」が閣議決定された。内容は既に明らかになっていた要綱に沿うものだが、条文の書きぶり、構成など全体像がはっきりした。

改めて思うのは、典範本体と特例法の「二階建て」になることに伴うわかりにくさだ。

たとえば、典範本体には皇族の範囲をさだめる条文がある。しかし、陛下の退位に伴って新たに設けられる「上皇」「上皇后」はそこには記載されず、特例法だけの規定となる。

逆に、皇位継承順第1位(皇嗣)になる秋篠宮さまの敬称は特例法を見ても不明で、典範を開いてはじめて「殿下」だと確認できる。ほかにも、上皇は皇室会議のメンバーになれないなど、両方の法律を突き合わせなければわからない事項があり、不便というほかない。

皇室は主権者である国民の総意の上になり立つ。その国民の理解をあえて妨げるような立法形式がとられたのは、退位をあくまでも例外扱いし、典範本体には手をつけたくない安倍政権の意向が働いたからだ。

今回は、いまの陛下の退位をすみやかに実現させるために、合意づくりを急がねばならないという事情があった。本来の姿ではないとしながらも、多くの識者が政権の姿勢を踏まえ、「特例法やむなし」との立場をとったのは、そのためだ。

しかし皇室をめぐっては、皇族の数と活動をこの先どう維持していくかという難題がある。「女性宮家」創設への理解が広がりつつあるが、それには典範本体の改正が不可欠だ。

名称は旧憲法当時のものを引き継いでいるものの、典範も国会のコントロール下におかれる点で他の法律と変わらない。これからの時代の皇室像を描き、必要に応じて手直しをする。そう発想を改める必要がある。

今国会での成立に向けて特例法案の審議が始まる。これまで各党・会派の間で話し合われた論点についても、改めて国会の場で考えを表明し、政府の見解をただし、それを会議録に残していかなければならない。

昨年来、退位のあり方を検討するにあたって、現行典範、さらには明治典範の制定時の資料が参照され、議論を根底で支えたのを忘れてはならない。

象徴天皇の役割は何か。陛下が大切にし、多くの国民が支持してきた「公的行為」をどう位置づけるか。高齢社会における代替わりはどうあるべきか。

現時点での考えを整理し、将来の主権者国民に届ける。審議にかかわる者すべての務めだ。
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2017年05月19日

[朝日新聞] 日韓関係 首脳交流の早期復活を (2017年05月19日)

意見の違いはあれど、互いに前向きな関係を築いていきたい。その明確な意思は確認できたといえるだろう。

韓国の文在寅(ムンジェイン)政権が発足して1週間あまり。文大統領の特使らが来日し、安倍首相や岸田外相らと会談した。

特使は首相に、日韓首脳が両国を相互訪問するシャトル外交の再開を求める文大統領からの親書を手渡した。首相も再開に前向きな姿勢をみせたという。

シャトル外交は2004年、小泉純一郎、盧武鉉(ノムヒョン)の両首脳(当時)によって始まった。

靖国神社参拝を含む歴史問題や竹島問題など両国間には様々な懸案がある。世論が過敏に反応し、政治の選択肢の幅を狭めることもしばしばだ。そんな関係だからこそ、両首脳が気兼ねなく定期的に会おうという賢明な試みだった。

いまも脆弱(ぜいじゃく)さが残る日韓の絆を強めるうえで、シャトル外交の復活は効果的だろう。韓国で新政権が発足したのを機に、早期の再開を目指すべきだ。

その際、双方が気をつけなければならないことがある。

シャトル外交は、諸懸案を乗り越えるための枠組みだったはずが、実際は振り回され、先送りや中断を繰り返した。両国は政治的な問題を経済、文化など他分野と切り離し、たとえ関係がこじれても、対話の窓は閉ざさないと肝に銘じるべきだ。

シャトル外交は6年前、当時の李明博(イミョンバク)大統領の訪日を最後に止まっている。この時は、慰安婦問題をめぐって決裂した。

文氏は、大統領選の公約の一つとして慰安婦問題をめぐる日韓合意の再交渉を掲げたが、今回来日した特使はそれを求めなかった。ただ、韓国国内に情緒的に受け入れがたい雰囲気が強いことを説明した。

日本国内には、元慰安婦を支援する財団に政府予算を拠出したのだから、義務は終えたという意見がある。一方、韓国にもソウルの日本大使館前などにある少女像は民間団体が設置したため政府は関与できない、といった指摘がある。

いずれも「日韓両政府の協力」がうたわれた合意の精神に反する主張だ。今後も互いの立場をふまえた十分な配慮と行動を重ね、国民的な合意に育てていく以外に道はない。

安倍首相は特使に「日韓合意を含む二国間関係を適切にマネージしていく」と語った。

ナショナリズムをあおる動きを抑え、隣国との友好の価値を積極的に国民に説く。日韓のリーダーには、そんな思慮に富む外交姿勢が求められている。
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[朝日新聞] 関電の原発 再稼働に展望あるか (2017年05月19日)

福井県の関西電力高浜原発4号機が再稼働した。関電の原発が動くのは16年3月以来で、3号機も来月上旬に続く予定だ。

2基の運転を禁じた大津地裁の仮処分は大阪高裁が取り消した。大飯原発3、4号機も原子力規制委員会の審査が事実上終わっており、関電は今年秋の再稼働を目指している。

ただ、事故時の住民の安全確保や使用済み核燃料の処分といった、根本的な問題は何ら解決されていない。なし崩しの再稼働に改めて反対を表明する。

高浜原発の30キロ圏には約18万人が暮らす。関係自治体と国は事故の発生に備えた広域避難計画をまとめている。

しかし昨夏の避難訓練では、悪天候時にヘリや船が使えず、一部地域が孤立する恐れが浮かんだ。いざとなれば避難者の車が殺到し、渋滞で逃げ遅れるのではとの懸念も根強い。

朝日新聞の調べでは、高浜周辺の住民が身を寄せる避難所のうち126カ所が、土砂災害などの警戒・危険区域にあった。

福井県には廃炉が決まったものも含めて15基の原子炉が集中する。複数の原発で同時に事故が起きたらどうするのか。対策はほとんど手つかずだ。

使用済み核燃料をめぐる難題も方向性が見えない。

原発敷地内の貯蔵プールは満杯が迫る。関電は、電力消費地の関西への立地を念頭に、「20年ごろに中間貯蔵施設の場所を決める」と福井県に約束した。しかし関西側の警戒感は強く、いっこうにめどは立たない。

高浜原発では、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を用いたプルサーマル発電が実施される。使用済みになったMOX燃料は青森県六ケ所村に建設中の再処理工場でも扱えないため、当面はプールに保管し続けるしかない。

関電は、運転開始から40年を超す3基を含め、現有する9基の原発を使い続ける姿勢を変えないが、重大な課題の解決を先送りにしたままの再稼働は無責任だ。

福島第一原発事故から6年。節電の定着や電力自由化の影響で電力需給は安定してきた。関電は原発が動けば収支が改善し、電気料金も値下げできるとするが、そうした経営面のメリットを除けば、再稼働を急ぐ理由は乏しくなってきている。

大株主の大阪市と京都市は今年も「脱原発依存」を求める議案を6月の株主総会に出す。消費地の視線は依然厳しい。

原発頼みの経営構造でどこまで展望はあるのか。関電は脱却の道筋を真剣に考えるべきだ。
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2017年05月18日

[朝日新聞] 皇室の将来 議論の先送り許されぬ (2017年05月18日)

秋篠宮ご夫妻の長女眞子さま(25)が、婚約にむけて準備を進めていることが明らかになった。お相手の小室圭さんは大学時代の同級生だという。心からお祝いを申し上げる。

一方でこの慶事は、皇室が直面している課題をあらためて浮き上がらせた。

皇族の数の減少である。皇室典範の定めにより、眞子さまは結婚すると皇籍を離れ、一民間人となる。いまのままでは、30代以下の皇族は7人、うち女性が6人という構成になる。

結婚した後も女性が皇室に残れるようにする「女性宮家」構想が打ち出されたのは5年前、野田内閣のときだ。

皇室活動の将来に危機感を抱くとともに、眞子さまと妹の佳子さまが結婚を考える年ごろになる前に手を打たなければ、という配慮が働いたといわれる。三笠宮家、高円宮家の女性皇族にとっても、制度の作り方によっては、その後の人生に大きな影響が及ぶ。

しかし、女性皇族の結婚相手や生まれた子の身分・地位をどうするかなど、慎重な検討を要する論点が浮上。三つの具体案を示したペーパーを公表し、引き続き議論を深めることを呼びかけたところで、政権交代が起きた。その後、安倍内閣はこの問題に取り組む姿勢を見せず、今日に至っている。

天皇陛下の退位のあり方などをめぐる衆参両院正副議長による今年3月の「とりまとめ」には、「女性宮家の創設」が検討課題として明記された。

政権はこれにも拒否反応を示してきた。退位特例法案の国会審議が間もなく始まるが、付帯決議に女性宮家の考えや検討の時期をどう盛りこむかが、与野党折衝の焦点になっている。

安倍政権がかたくなな態度をとり続けるのは、女性宮家が女性・女系天皇に道を開くことになりかねないと見るからだ。そうやって手をこまぬいているうちに、事態は抜き差しならないところに進みつつある。

約700年前に天皇家から分かれ、戦後、皇籍を離れた旧宮家の男性を皇族に復帰させる案を唱える人もいる。だが国民が素直に受け入れ、これまで皇族に寄せてきたのと同じような思いを抱くことができるか、大いに疑問がある。国民の支持なしに皇室制度は存立しない。

政府はどんな対応策を考え、いかなる手順で人びとの合意形成を図るつもりなのか。

これまでのような先送り・不作為は、もはや許されない。政府をチェックする役割を負う国会もまた、責任を問われる。
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[朝日新聞] 加計学園問題 疑問に正面から答えよ (2017年05月18日)

政府はすべての国民に公正・公平に向き合い、首相との距離によって対応に差が出るようなことがあってはならない。

民主主義国家の当たり前の原則が掘り崩されているのではないか。そう疑わせる問題が、朝日新聞が入手した文部科学省作成の文書で明らかになった。

文書には、岡山市の学校法人が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、特区を担当する内閣府が文科省に対し「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」と手続きを進めるよう促した記録がある。

この学校法人は、安倍首相が「腹心の友」と呼ぶ人物が理事長を務める「加計学園」。

記載が事実であれば、内閣府が「総理のご意向」をかざして首相の友人に便宜をはかろうと動いたととれる。首相と政府の信頼に関わる重大な事態だ。

事実関係をすみやかに調べ、国民に説明する責任が首相と関係省庁にはある。

経緯はいかにも不自然だ。

文科省関係者によると、文書は昨年9月から10月にかけて作成。松野文科相が、学園の求める18年4月の開学について、教員確保など準備が整わない可能性を指摘し、難しいとする考えを示していた記述もある。

ところがわずか数カ月後の今年1月、内閣府と文科省は18年4月に開校する1校に限り、特例で獣医学部設置を認めると告示。加計学園が特区事業者に認定された。他の大学からも手があがっていたのに「獣医学部空白地域に限る」との条件があとから追加された。

獣医学部の新設が認められたのは52年ぶり。加計学園は愛媛県今治市から36億7千万円分の市有地を無償で受けとる。

一連の経緯や首相のかかわりについては、これまでも野党が国会などでただしてきた。

野党側は、長く認可されなかった学部新設が同学園に限って認められたことに「首相と理事長の個人的な関係が影響したのではないか」と指摘する。

これに対し首相は「友人だから会食もゴルフもする。でも、彼から頼まれたことはない」と自らの関与を否定してきた。

「安倍1強」と言われる強い権力と周辺の人脈、不可解な政府の決定――今回の構図は、首相と妻昭恵氏の関与の有無が問われている森友学園への国有地売却問題とも重なる。

松野文科相は「現状では文書の存在を確認していない」と述べた。森友学園問題での財務省のような、事実究明に後ろ向きな態度は許されない。
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2017年05月17日

[朝日新聞] 一帯一路構想 中国の資質が問われる (2017年05月17日)

かつてシルクロードは、絹、陶磁器から学術、宗教まで様々なものを伝え、東西文化の懸け橋となった。

その歴史になぞらえ、「一帯一路」は陸と海の交易路を意味するという。そんな名前の経済圏構想を中国が打ち出し、130カ国以上の代表を招いて北京で国際会議を開いた。

中国から欧州に至る輸送インフラの整備を軸とし、沿線国での投資を活発化させる狙いだ。習近平(シーチンピン)国家主席は巨額の援助や融資枠を表明した。

欧米の世論が反グローバル化に傾く中、中国が経済交流の旗振り役として期待されている面がある。巨大な経済力を背景に重責を担うのは必然だろう。

ただ、構想はもっぱら中国資本の進出を促すもので、「新植民地主義」との批判もある。ともすれば自国中心主義に走る従来の姿勢が変わらないのなら、協調的な国際開発の推進役としての資格が疑われる。

中国は外交で不都合な事態が起きると、国際経済のルール違反に問われかねない手段で相手国に制裁を加えてきた。

2010年に人権活動家・劉暁波(リウシアオポー)氏のノーベル平和賞授賞が決まると、ノルウェー産サーモンの通関規制で中国の輸入を激減させた。南シナ海問題で対立するフィリピンの果物も、検疫強化と称して輸入を止めた。

最近は韓国との間でミサイル防衛システムの配備をめぐり対立し、韓国への中国人の団体旅行を制限している。

経済圏づくりをめざす前に、こうした粗雑な振る舞いとは決別しなくてはならない。

国内総生産が11兆ドル超の中国に対し、関係国の多くはその数十分の1か、100分の1に満たない。中国は「内政干渉はしない」とするが、投資1件だけでも小国への影響は大きい。その自覚と自制が求められる。

中国自身が十分に対外開放されているかどうかも問われる。中国に投資する外国企業への制限の多さは、欧州などから改善要求が出ている。また、国内で情報の流れを管理し、世界中の市民が使うソーシャルメディアを遮断しているのは矛盾だ。

さらには中国の軍拡との関連の問題もある。南アジアでの港湾整備は、海軍力増強と無関係なのか。疑いを拭うには相当の対外的な説明と透明性の担保が欠かせない。

習氏は会議で「開放型の世界経済を守る」「公正透明な国際経済ルールを構築する」と言明した。千里の道も一歩から。一帯一路構想は、中国の自己点検から始めてもらいたい。
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[朝日新聞] 対北朝鮮政策 複眼思考で制裁強化を (2017年05月17日)

こんな行動を繰り返す限り、孤立を脱する道は開けないことが今も分からないらしい。

北朝鮮が日本海に向け、またミサイルを発射した。北朝鮮メディアは、新型の地対地中距離ミサイル「火星12」で、「試射は成功した」と伝えた。

国際社会は、核・ミサイル開発を自制するよう警告を強めてきた。トランプ米政権は「戦略的忍耐」は終わったとし、軍事的な圧力を増していた。

その一方で、トランプ大統領は金正恩(キムジョンウン)氏との会談の可能性にも言及した。北朝鮮の行動次第で緊張の事態は変わりうるという硬軟両様のシグナルだった。

それに対する答えが、米本土に達する大陸間弾道ミサイルの一歩手前ともみられる新型ミサイルの発射だった。

米国が軍事行動に動く寸前まで迫り、核兵器や多種のミサイルを備えた国として渡り合いたい――。そんないつもながらの稚拙な考えが透けて見える。

しかし、こんな瀬戸際政策で活路は決して開けない。

国連安保理は、北朝鮮が核・ミサイル実験を続けるなら「さらなる重大な措置をとる」とする報道声明を出した。

このままの状態が続けば、北朝鮮の生命線と言われる石油の禁輸措置も現実味を帯びるだろう。引きつづき中国を筆頭に、国際社会は制裁を徹底する努力を強めるべきだ。

ただ、北朝鮮が今も米国との本格的な対話の再開を望んでいることに変わりはあるまい。

北朝鮮はこれまで、緊張を高めた後で、何もなかったかのように米国との対話を呼びかける変化を見せてもきた。

北朝鮮が体制の保証を取り付けたい最大の相手は米国であり、金政権の真剣な対応を引き出せる場は米朝協議しかない。

圧力で北朝鮮の改心を待つだけなら、核・ミサイル開発の流れは変えられないだろう。

北朝鮮外務省の高官は先日、元米高官と欧州で話し合いの場をもった。日米韓に中ロを加えた6者協議の参加国は、北朝鮮の微妙な変化に目をこらし、効果的な交渉の席に引き込む努力を惜しんではならない。

トランプ氏と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、圧力と意思疎通の双方の道をにらむ構えだが、安倍首相からは圧力を繰り返す単調な発言しか聞こえない。

北朝鮮問題をめぐっては、制裁であれ、融和であれ、どちらか一辺倒の硬直化した政策では打開につながらないことを各国が経験済みだ。日本も米韓との調整を強め、複眼的な結束行動で臨むよう努めるべきだ。
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2017年05月16日

[朝日新聞] 沖縄復帰45年 犠牲いつまで強いるか (2017年05月16日)

日本に復帰して45年がたった沖縄は、いまも過重負担にあえぐ。国土のわずか0・6%に、米軍専用施設の7割がある。

朝日新聞などが実施した県民世論調査で、この基地の集中を「本土による沖縄への差別だ」とみる人が54%にのぼった。

先の大戦で本土を守る「捨て石」にされて以来の苦難を身をもって知り、あるいは経験者の姿や話を直接見聞きしてきた世代を中心に、こうした思いが広がるのは当然だろう。

政府はことあるごとに「沖縄の基地負担軽減」を口にする。だが名護市の稲嶺進市長は「県民が実感できる状況にない」と話す。これも、ごく自然な受けとめということができる。

米軍普天間飛行場の移設のための埋め立て工事が、同市辺野古沿岸部で先月から始まった。県が求める協議に応じず、所定の手続きも踏まず、6割を超す「辺野古ノー」の民意を無視しての着工である。近年、沖縄以外のどこで、このような乱暴な措置がとられただろうか。

辺野古の他でも、負担軽減とは正反対の事態が相次ぐ。

約1年前、ウォーキング中の女性を襲って殺害したとして米軍属が起訴された。夏以降、本島北部のやんばるの森で、オスプレイが使うヘリコプター着陸帯の建設が強行され、年末にはそのオスプレイが名護市安部の海岸に落ちて大破した。

先月、恩納村の米軍基地内にあるダム工事現場で工事業者の車に流れ弾が当たり、先月と今月には米軍嘉手納基地でパラシュート降下訓練が行われた。危険な訓練なので別の基地に集約し、そこでのみ実施するという日米合意は無視された。

軍用機による騒音や環境汚染は日々発生・継続している。翁長知事はきのう発表した「復帰の日コメント」で、基地の存在を「沖縄の更なる振興発展の最大の阻害要因」と指摘した。

沖縄県民は敗戦直後に公民権を停止され、国会に代表を送れなかった。平和主義や基本的人権の尊重をうたう憲法を、施行から四半世紀遅れて、復帰の年にようやく手にしたものの、基地がもたらす現実の前に、その理念はかすんで見える。

この島の人々の声に耳を傾けよう。まだ間に合う。政府は辺野古沿岸の埋め立て工事を中止し、すみやかに沖縄県との話し合いの席に着くべきだ。

国民一人ひとりも問われる。無理解、無関心から抜けだし、沖縄の歴史と現実にしっかり向きあう。知ること、考えることが、政権のかたくなな姿勢を改めさせる力になる。
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[朝日新聞] 憲法70年 国民分断する首相方針 (2017年05月16日)

衆参両院で3分の2を超える自民、公明、維新など「改憲勢力」の数の力で、安倍首相が提案した憲法9条改正を発議させる――。そうした構図が見えてきた。

首相は先週末、自民党憲法改正推進本部の保岡興治本部長に対し、衆参の憲法審査会に提案する案のとりまとめを急ぐよう指示した。それに先立つ同本部の幹部会では首相補佐官が、自公維による国会発議が首相官邸の意向だと発言したという。

一連の首相の指示は二つの意味で筋が通らない。

ひとつは、憲法改正を発議する権限は国会にあるということだ。行政府の長である首相が自らの案を期限を切って示し、強引に動かそうとするなら、「1強」の暴走と言うしかない。

二つ目は、衆参の憲法審査会で現場の議員たちが培ってきた議論の基盤を崩すことだ。

憲法改正原案を審査する役割を持つ憲法審は、2000年に設置された旧憲法調査会以来、小政党にも平等に発言機会を認めるなど、与野党協調を重んじる運営を続けてきた。

憲法は国の最高法規だ。通常の法案や予算案以上に、その扱いには幅広い政党間の合意形成が求められる。

だからこそ憲法審の議員たちは、与野党を超えた合意づくりを心がけてきた。その関係を、首相が壊したのは今回が初めてではない。

第1次政権だった07年の年頭会見で「憲法改正を私の内閣でめざしたい。参院選でも訴えたい」と表明。与野党の協調ムードを踏みにじった。

それでも首相の前のめり姿勢は変わらない。12年末には改憲の国会発議のハードルを衆参の3分の2以上の賛成から過半数に下げる96条の先行改正を持ち出し、野党や世論の反発を受けて封印した。

改憲にこだわる首相の姿勢と国民の思いには落差がある。

本紙の世論調査では、今回の首相の改憲提案を47%が「評価しない」とし、「評価する」の35%を上回った。首相の言う9条改正についても「必要ない」が44%で、「必要だ」は41%だった。民意は二分されている。

首相に一番力を入れてほしい政策を聞くと、社会保障29%、景気・雇用22%と続き、憲法改正は5%に過ぎなかった。

憲法改正は、多くの国民が必要だと考えた時に初めて実現すべきものだ。

首相の意向だからと、世論を二分する改正を数の力で押し通せば、国民の間に深い分断をもたらす恐れがある。
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2017年05月15日

[朝日新聞] 憲法70年 地方自治を成熟させる (2017年05月15日)

明治憲法に地方自治の条項はなかった。国が知事を任命するなど、徹底した中央統制のもとで国全体が戦争に突き進んだ。

その反省から、日本国憲法は第8章に4条の条文を設けて、中央の権力から自治体が自立することをめざした。

自治体は行政権と立法権をもつ「地方政府」として、中央政府と向き合う形になった。

中央政府は主に全国規模の課題に権限を持ち、地方政府はそれぞれの地域やくらしに根ざした仕事と権限を担う。「地方自治は民主主義の最良の学校」といわれるのも、住民により近い自治だからこそ、参加しやすく、学ぶことが多いゆえだ。

公権力を国と地方に分散し、抑制と均衡を働かせることで乱用を防ぎ、人権を守る。それも憲法に込められた精神である。

憲法を具体化するための地方自治法は、憲法と同じ日に施行された。

70年の節目に、改めて問う。地方自治は機能しているか。

答えは残念ながら、不十分だと言わざるをえない。

■息切れする分権改革

1960年代には「革新自治体」が相次いで誕生した。70年代には先進的な自治体が国に先んじて施策を競い合い、「地方の時代」と呼ばれ始めた。

一方で「3割自治」とも言われ続けた。自主財源は3割ほど、仕事も国に指図される機関委任事務が多かった。ほとんどの自治体が各省庁の補助金をあてにし、戦前からの中央集権構造にどっぷりつかっていた。

事態が動き出したのは、自民党長期政権から、分権改革を唱えた細川連立政権に交代した93年である。

衆参両院が地方分権をすすめる国会決議をした。「東京への一極集中を排除」して、「中央集権的行政のあり方を問い直し」、「時代にふさわしい地方自治を確立」すると明記した。

選挙制度改革などとともに、東西冷戦後の国の統治機構を見直す動きの一環だった。

住民の要望は多様だ。国が画一的な政策で全国一律に対応するより、住民に近い自治体に判断を委ね、責任を持たせた方が効果的で効率的だと考えられた。そして分権改革の最大の成果である機関委任事務の廃止が2000年に実現した。

政府と自治体の関係は「上下・主従」から「対等・協力」に変わった。中央集権構造の解体の始まりを告げる「地方自治の夜明け」――のはずだった。

だが、いま分権改革は息切れしている。いや、むしろ逆行しているようにさえ見える。

■安倍政権の集権回帰

象徴は、安倍政権による「地方創生」である。

首相は「地方の自主性」を強調するが、実態は国主導だ。

自治体が目標値を明記した計画を提案し、スポンサーである国が採否を決める。これでは判定者の国が自治体の上に立つ。主従関係そのものだ。

分権改革の先行きは明るいとは言えない。理由は二つある。

ひとつは、安倍政権に地方自治を軽視する傾向が見られることだ。米軍普天間飛行場の移設をめぐる、沖縄県への強権的な姿勢がその典型だ。

5年前に自民党がまとめた改憲草案も、自治体の権限や自主性を弱めようという意図が透けている。

たとえば、地方自治は「住民に身近な行政」を旨とするという一節を書き込む点。それと憲法が認める自治体の財産管理権や行政執行権を削除する点だ。

自治体を国から与えられた仕事をこなす下請け機関に押しとどめ、中央集権への回帰をめざす方向性が見て取れる。

「安倍1強」のもと、ただでさえ、行政府に対する立法府の歯止めが効きにくいのに、これでは地方のチェック機能も弱体化しかねない。

改革に展望が見えない二つめの理由は、自治体側に中央依存体質が残っていることだ。

国の旗振りに応じ、全国各地で画一的なプレミアム商品券発行に走る。まちづくりの計画立案をコンサルタントに丸投げする……。地方行政が「お任せ」を続けているうえ、地方政治では議員の政務活動費の乱費が後を絶たない。これでは国と対等に渡り合えるはずもない。

■自治体も意識改革を

人口減少による地方の疲弊に目を向ければ、従来の国主導の手法の限界は明らかだ。自治体の側が主導する意識改革が欠かせない。

振り返れば、公害対策も福祉政策も景観問題も情報公開も、自治体が国より先に政策をつくってきた。原発事故後は、自然エネルギー開発の先陣を切る自治体も多い。

地域の課題は地域の力で解決する。そんな社会をつくるには財源や権限を思い切って自治体に渡し、役割と責任を拡充する必要がある。

そうやって地方自治を成熟させることが、住民が主役のまちづくりの土台になる。
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2017年05月14日

[朝日新聞] 中国国産空母 周囲脅かす軍拡やめよ (2017年05月14日)

もはや中国を脅かす国がないのに、なぜ軍拡を続けるのか。これは多くの国々の人々が共有する疑問といっていい。

中国初の国産空母が先月、進水した。それはアジアと世界の平和と安定に資するのか。逆に脅威というべきではないか。

現在、中国軍が保有している空母「遼寧」はウクライナから買って改修したもので、すでに南シナ海などで航行を重ねている。これは訓練段階であり、今度の新たな空母がいよいよ実戦用なのだという。

実際の就役は2、3年後だ。設備を取り付け、試験を繰り返さねばならないからだ。

上海でも1隻を建造中と伝えられるが、空母を常時運用するならさらに数隻必要になる。艦載機や護衛艦艇をそろえた形で本格運用されるまでには、まだ時間がかかりそうだ。

とはいえ中国は高性能の潜水艦や駆逐艦の数も着々と増やしてきた。1980年代以来の海軍力増強の重大な到達点として、この国産空母がある。

中国政府が繰り返す「平和的発展の道を歩み、防御的国防政策を堅持する」という公式見解は、とてもうのみにできない。

たしかに、経済大国となった中国の権益は、世界中に及ぶ。航路の安全を図ることは重要であり、中国のみならず各国の利益につながる。東アフリカ・ソマリア沖の海賊対策では、中国の軍艦も商船を保護する活動に実績を残している。

求められるのは、国際協調のもとで、透明性をもって発揮される抑制的な軍事力の運用である。そうでなければ他国の脅威になるだけだ。間近で圧力にさらされる東南アジアの国々にとっては、なおさらだろう。

南シナ海域では、中国海軍が艦艇を派遣して島や岩礁の支配権をベトナムなどから奪ってきた経緯がある。中国側は、島々はもともと中国領だったと主張するが、一方的な言い分に過ぎない。実力の行使は決して許されない大国のエゴである。

空母の問題では、米国海軍がいま、北朝鮮を威圧している。そのやり方の適否に議論の余地はあるものの、少なくとも東アジアで展開する米空母の存在そのものを脅威と受けとめる周辺国はほとんどない。

ところが中国の方は、そもそも北朝鮮に最大の影響力をもつ国として果たすべき抑止の役割をまっとうしないばかりか、北朝鮮以外の国々に対し、空母の保有で威圧感を与えている。

中国は、危うい軍拡路線を改めるべきである。力の誇示で、大国としての信頼は築けない。
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