2020年02月14日

[読売新聞] 司法通訳 養成と質の向上が欠かせない (2020年02月14日)

在留外国人や訪日観光客の増加に伴い、事件の当事者や目撃者になる外国人が増えている。捜査や裁判に立ち会う司法通訳の確保が大切だ。

全国の地裁・簡裁で外国人が被告となり、通訳がついた事件は2018年に3757件で、5年前の1・6倍に増えた。通訳言語は38言語にも及ぶ。

裁判所に登録されている通訳は19年4月現在3586人で、5年前に比べて1割減った。最高裁は「裁判に支障は生じていない」というが、今後、事件数の増加に通訳が追いつかない事態になれば、司法の信頼を損ねかねない。

過去には、公判での誤訳が問題になったケースがあった。「通訳のレベルがまちまちで、自己流の人もいる」との指摘もある。

通訳の質を担保できるかどうかは、外国人が公平な裁判を受ける権利にかかわる問題だ。裁判員裁判では、法廷でのやり取りが重要な判断材料になるだけに、通訳の役割はより重くなっている。

法廷の通訳は、難解な法律用語を訳すなど、専門性が要求される。現在は、語学に堪能な人の中から、書類審査と裁判官による面接で適性を判断している。研修は行われているが、特別な資格はない。

具体的な報酬基準額は公表されていない。通訳からは、「算定根拠があいまいだ」「責任の重さに見合う報酬が得られない」といった不満の声が上がっている。

米国やオーストラリアでは、法廷通訳の資格制度が設けられている。ランク別の報酬規定を定めた米国の州もある。日本弁護士連合会は13年、同様の制度の創設を提言した。通訳の水準を保つ上で、検討課題となろう。

19年4月からは、東京外国語大と青山学院大が連携して「司法通訳」を養成する講座をスタートさせた。通訳技法に加えて、法律や裁判の仕組みを教え、修了者には修了証を交付する。

こうした取り組みを重ね、司法通訳のレベルの底上げにつなげることが欠かせない。

通信技術の活用も重要だ。山形地裁では、1月に判決があったフィリピン人被告の事件で、別の裁判所にいる通訳が、映像と音声をつなぐビデオリンク方式で法廷内のやり取りを通訳した。

法務省も、検察での外国人の取り調べにテレビ会議を使った通訳の仕組みを導入する。取調室と通訳がいる別の検察施設を結ぶ。

通訳の着実な確保を通じて、適正な捜査と公判審理を実現していくことが求められる。

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