2020年02月13日

[東京新聞] 日鉄製鉄所閉鎖 雇用への配慮を手厚く (2020年02月13日)

日本製鉄が呉製鉄所(広島県)の全面閉鎖を発表した。巨額赤字が見込まれる中、異例の措置に踏み切った。鉄鋼メーカーは地域経済の担い手でもあるだけに、雇用面での配慮を強く求めたい。

呉製鉄所は日鉄が傘下に収めた旧日新製鋼の生産拠点で、一九五一年に建設された。計画によると二〇二三年九月に閉鎖となる。

日鉄は二〇年三月期決算で四千四百億円の赤字に転落する。生産拠点の集約化によるコスト削減に追い込まれたとみていいだろう。

まず指摘したいのは、巨大工場を持つ鉄鋼メーカーは、自動車産業と並んですそ野が極めて広いという点だ。自治体への法人税納付だけでなく、雇用やさまざまな取引で地域の暮らしを支える柱だ。

呉製鉄所も関連企業を含め約三千人の従業員が働く。さらに広島県内だけで百社を超える取引企業がある。閉鎖後、影響を受ける人々の数は、働き手の家族も含めれば膨大な数に上るはずだ。

企業の生き残りに向けた合理化策の実施はある程度理解できる。しかし、雇用面で最もしわ寄せを受けるのは現場で働く人々だ。非正規の従業員も含め、可能な限り手厚い配慮を期待したい。

業種は違うが、日産村山工場(東京都武蔵村山市など)がゴーン前会長の決断で閉鎖された際、地元は大きな影響を受けた。従業員たちが通っていた商店の多くが廃業し、街並み自体が変わった。

呉製鉄所の場合も従業員が利用する飲食店やスーパー、理容室、ガソリンスタンドなど、街全体が影響を受けるだろう。地元を救うため県や市も協力して知恵を絞ってほしい。

今回の閉鎖決定の背景に、中国メーカーとの厳しい競争があるのは間違いない。かつて日鉄が技術指導した宝武鋼鉄集団など中国の鉄鋼産業は、粗鋼生産ベースで世界トップだ。日鉄は世界三位を保っているがじり貧状態が続く。

さらに米中貿易対立の影響などで中国市場自体の需要が低迷し、鉄鋼産業の先行きも不透明だ。新型肺炎の影響も出てくるだろう。

今後、業界トップ企業の厳しい合理化策が、国内の他メーカーに波及する恐れは否定できない。国内の鉄鋼業界で働く人は約二十万人だ。ここは経済産業省を軸とした行政面でのフォロー、金融界による財務面での支えなど、官民一体の支援体制を早急に強化すべきだろう。
posted by (-@∀@) at 12:40| Comment(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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