2017年08月12日

[朝日新聞] 東芝の混迷 投資家の視線は厳しい (2017年08月12日)

経営の混迷が続く東芝が、定められた日程より大幅に遅れて、16年度の決算と有価証券報告書の公表にこぎつけた。

とはいえ、決算をチェックした監査法人の意見は「限定つき適正」にとどまった。

15年に不正会計が発覚した後、改善に努めてきたはずなのに、全面的なお墨付きは得られなかった。株式が上場されている東芝への不安や不信は、株式市場の信用にもかかわる。

投資家の視線は厳しい。東芝、監査法人、そして東京証券取引所は、それぞれの責任を果たさねばならない。

まずは東芝である。

決算の監査では、株式の上場廃止につながる「不適正」を免れたものの、決算を正しく行うための管理体制については「不適正」とされた。不正会計を受けて経営陣を刷新した東芝は「不備はない」と反論しているが、指摘を真摯(しんし)に受け止め、体制を改めて精査するべきだ。

経営の先行きに不安を持たれるもう一つの要因が、半導体事業の売却交渉の迷走だ。

経営危機を招いた原発事業の巨額損失を穴埋めする切り札だが、提携先の米企業との対立が泥沼化。売却契約が予定より大幅に遅れ、上場維持に必要な今年度中の完了が不透明になっている。6月の株主総会では、一部の大手機関投資家が社長らの選任案に反対した。経営陣は能力が疑われていることを自覚すべきだろう。

監査のあり方にも、疑問がないわけではない。

作業が長引いたのは、巨額損失をいつ認識したかをめぐり、担当したPwCあらた監査法人と東芝の間で溝が埋まらなかったためだ。利益を水増しした2年前の不正とは異なるが、決算の信頼性にかかわる問題だ。

どちらの言い分に理があるのかは判然としないが、PwCあらたの判断や対応が適切だったか、日本公認会計士協会は調査に乗り出した。問題点をしっかり洗い出してほしい。

投資家の間では、東芝株の上場が維持されるかが注目されている。不正会計を受けて、東証は東芝を、内部管理体制の改善が必要な「特設注意市場銘柄」に指定した。すでに2年近くになるが、審査は続いている。いたずらに時間がかかれば「大企業に甘い」と見られかねない。

株式市場が経済のインフラとして健全に機能するには、正しい企業情報がすみやかに開示され、ルール違反には厳正に対処するという公正さが何より大切だ。関係者はこのことを忘れてはならない。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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