2017年08月12日

[朝日新聞] 南シナ海問題 有効な規範へ結束を (2017年08月12日)

島の領有権や漁業をめぐる争いが絶えない南シナ海を、何とか穏やかな海にできないか。

その一歩をめざす「行動規範」の枠組みについて、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国が合意に達した。

マニラであった外相会議での進展である。地域の緊張緩和に前向きな動きではあるが、具体的な条文作りはこれからだ。

今回はあいまいにされた法的拘束力を、きちんと定めることが必要だ。国の大小を問わず、一方的な現状変更を封じる規範をめざすべきである。

ルール制定への機運は90年代からあった。02年には、緩やかな「行動宣言」でいったん合意し、その後、規範づくりが模索されて今日に至った。

近年、多くの国が抱く懸案は明らかに中国の行動である。

スプラトリー(南沙)諸島で岩礁を埋め立てて軍事拠点化を進め、フィリピン沖のスカボロー礁に公船を居座らせるなど、身勝手な行動を重ねてきた。

今回の会議で露呈した問題は、その中国が主導権をとった点に由来する。

合意した枠組みには「国際法の原則に従う」など差し障りのない項目が並び、法的拘束力を示す内容がない。行動を縛られたくない中国による骨抜きがなされたとみるべきだろう。

このまま中国の思惑で条文作りが進められるようでは、効果的な規範はつくれまい。ASEAN諸国は今後、結束して中国との交渉にあたってほしい。

忘れてならないのは、昨夏、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が下した判決である。南シナ海の大半に歴史的権利があるとの中国の主張を全面否定し、岩礁埋め立てを非難した。

規範をめぐる協議は、判決で形勢不利となった中国側の巻き返しの舞台だったのだろう。しかし判決は今も有効であり、中国が国際法に違反している状態は変わっていない。

ASEANは今年で創設50周年。多国間協力の仕組みとして地域の安定に役立ってきたが、今後、中国が強引な介入を続ければ機能が弱まりかねない。

トランプ政権下で米国外交の存在感が薄くなっていることも背景にある。東アジア地域の安定を図るうえで、米国や日本の建設的な関与がやはり必要だ。

現状ではまだ、中国といえどもASEAN諸国を無視することはできない。加盟国の協調による外交力は発揮できる。

南シナ海を開かれた平和の海とする規範に中国を引き込み、次世代に引き継ぐ。そのための創意と努力を各国に望む。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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