2017年04月20日

[日経新聞] 衆院選の区割り改定だけでは不十分だ (2017年04月20日)

衆院選挙区画定審議会が19日、小選挙区の「0増6減」などを反映した区割り改定案を安倍晋三首相に勧告した。関連法が成立すれば「1票の格差」は2倍未満に是正される見通しだ。だが今回の見直しも、格差を一時的に縮める効果しか期待できず、各党は衆参の役割分担や選挙制度の抜本改革に向けた議論を急ぐべきだ。

区割り審は昨年5月に成立した改正公職選挙法に沿って具体的な区割り案を検討してきた。青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県は定数を1減らし、19都道府県の97選挙区で区割りを変更した。2015年の人口に当てはめた格差は1.956倍となる。

政府は勧告を反映した公選法改正案を提出し、今国会で成立する運びだ。周知期間を経て、夏以降には新たな区割りで衆院選ができるようになる。比例代表も東北、北関東、近畿、九州の4ブロックで定数を1ずつ減らし、衆院定数は465議席と戦後最少になる。

近年は衆院選や参院選があるたびに全国で1票の格差をめぐる訴訟が起きている。最高裁は14年衆院選の最大格差2.13倍を「違憲状態」とした。16年参院選の3.08倍も「違憲状態」との高裁判決が相次ぎ、最高裁が年内にも最終判断を示す方向だ。

国政選挙のたびに司法が違憲性に触れた判決を下し、立法府が後追いで選挙制度を小幅改正する展開は望ましくない。衆院選は人口比に近い配分が可能な「アダムズ方式」の導入が決まっているが、次の改正は5年後だ。格差が安定的に2倍未満になるような制度と運用方法の検討が必要だろう。

参院選は都道府県が選挙区の単位で、格差の是正がさらにむずかしい。昨年は鳥取・島根、徳島・高知を初めて合区した。現行制度のままなら合区がどんどん増える見通しだ。各党では「選挙区を地域ごとのブロック制に改める」「参院を地域代表だと位置づけて格差論争から切り離す」といった案が浮上しているが、憲法改正も絡むため議論は難航しそうだ。

日本は衆参両院ともに選挙区と比例代表を組み合わせた選挙制度を採っている。法案審議や国会同意人事の権限もほぼ同じだ。二院制の国々の中でも例外的な制度といえ、立法府のあり方について根本から議論する必要がある。1票の格差を是正する対症療法的な発想だけではイタチごっこのような制度改正からぬけだせない。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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