2017年04月19日

[読売新聞] トルコ憲法改正 強権政治では安定を築けまい (2017年04月19日)

大統領への過度の権力集中により、社会の分断が深まり、政情は一段と不安定化するのではないか。民主主義の先行きが危ぶまれる重大な転換点だと言えよう。

欧州と中東を結ぶ地域大国のトルコで、大統領の権限を大幅に強化する憲法改正の是非を問う国民投票が行われた。賛成が反対を僅差で上回った。現在の議院内閣制から大統領制に移行する。首相職は廃止される。

改憲を推進したエルドアン大統領は、「歴史的な決定だ」と勝利宣言した。自らの長期政権に対する信任も同時に得られたと考えているのだろう。

エルドアン氏は、2003年から首相を務め、14年に大統領に転じた。現憲法では、大統領は象徴的な存在とみなされるが、実権を握ってきた。改憲により、名実共に最高権力者となり、29年までとどまる道が開かれた。

新体制で、大統領は国会の解散権を持つ。国会の承認なしに閣僚を任免し、裁判官や検察官の人事にも介入できる。立法や司法の独立が侵され、三権分立が形骸化するとの批判は避けられまい。

政権は昨年7月に、軍の一部が試みたクーデターを抑え込んだ後、野党勢力や言論機関の弾圧を続ける。拘束者は約4万人、公職追放者は10万人近くに上るという。事件後に非常事態宣言を発令し、延長を繰り返している。

国民投票も反対派の運動が封じ込められる中で実施された。賛否が拮抗(きっこう)したのはエルドアン氏の強権政治への反発の表れである。

「民主主義が後退し、独裁国家になる」という反対派の主張に、政権は耳を傾けねばならない。政教分離の国是を重んじる世俗派の間では、イスラム主義的な政策が拡大するとの懸念も根強い。

問題なのは、国内外の「敵」を攻撃し、求心力を高めるエルドアン氏の過激な手法が、国民投票後も変わっていないことだ。

国民投票の公正性を疑問視する欧州安保協力機構の監視団に向けて、「身の程を知れ」と言い放った。欧州連合(EU)が反対する死刑制度の復活に取り組み、EU加盟交渉をトルコが中断する可能性も示唆した。

シリアと国境を接するトルコは、過激派組織「イスラム国」対策や難民の受け入れに関するEUとの調整で重要な役割を担う。

相次ぐテロを阻止し、経済を好転させるには、国内融和と対外関係改善が不可欠なことを、エルドアン氏は認識せねばなるまい。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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