2017年04月12日

[日経新聞] 東芝の迷走が示すグループ統治の重み (2017年04月12日)

東芝は延期していた2016年4?12月期の決算について、監査法人の適正意見が表明されないまま発表した。これ以上の先延ばしは信頼を決定的に損ねるとの判断からだが、名門企業の苦境を印象づける結果ともなった。日本の経済や市場への信頼が揺らがないかどうかも心配になる。

東芝が決算発表を延期してきた根っこにあるのは、グループ全体の経営への目配りが不十分という、企業統治(コーポレートガバナンス)上の問題である。日本企業は自社のグループ統治のあり方をいま一度、点検すべきだ。

東芝の決算で焦点となったのは、買収で傘下におさめた米ウエスチングハウス(WH)だ。WHは15年末に米原子力建設サービス会社を買収したが、このM&A(合併・買収)に関連して巨額損失が発生した。WH前会長が損失を抑えようと従業員に過剰な圧力をかけたとも指摘されている。

WHの経営を東芝がきちんと監視していたとは言いがたい。同社の綱川智社長は3月の記者会見で、WHの買収を「非常に問題のある判断だった」と語っている。債務超過への転落や株価低迷、信用失墜など東芝が支払ったM&Aの代償は大きい。

産業界を見渡せば、程度の差こそあれ、グループ会社の経営や財務の問題で信頼を落とす企業は東芝に限らない。

東京商工リサーチによれば、16年に会計処理が不適切と開示した上場企業は57社と過去最多で、その4割強が子会社・孫会社に関連するものだった。買収した海外企業の子会社で不審な会計処理が見つかり、15年3月期の決算発表を延期したLIXILグループの例も記憶に新しい。

子会社や孫会社で問題が発覚しやすくなっているのは、オリンパスの粉飾事件を契機に監査法人が監査を厳しくしてきたという要因もある。株主の視線は親会社にとどまらず、グループ全体に及ぶようになっている。

米事業に端を発する東芝の経営危機を、日本企業は対岸の出来事と見るべきではない。経営者は危機意識を持ち、国内外の業務の実態をきちんと把握できるよう、グローバルな情報伝達の仕組みを整える必要がある。

独立性の高い取締役を子会社に送り込むなど、グループ統治を強化するための手立てを企業は絶えず模索すべきだ。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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