2017年03月20日

[日経新聞] 保護主義に反対できないG20では困る (2017年03月20日)

「米国第一」を掲げるトランプ米政権との間で、主要国や新興国がしっかりとした国際協調を築く難しさが浮き彫りになった。

トランプ政権が誕生してから初めてとなる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、異例の展開となった。

G20はこれまでに採択した声明で、貿易や投資の面で「あらゆる形態の保護主義」に対抗する方針を繰り返し確認してきた。

各国が関税を高くしたり、不当な補助金で輸出を増やしたりすれば、報復の連鎖を通じて世界経済に大打撃を与えるからだ。大恐慌などで学んだ教訓である。

それなのに今回のG20は米国の反対を受けて声明から「保護主義に対抗」の文言を削除し、代わりに「経済に対する貿易の貢献の強化」と指摘するにとどめた。こんな中途半端なG20では困る。

多額の貿易赤字を削減したい米国の立場に配慮し「過度の世界的な不均衡の縮小」に努力する、との表現も声明に盛り込んだ。

トランプ政権は環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を決め、米国の利益を損なうような世界貿易機関(WTO)の決定に従わない方針すら示している。保護主義的な姿勢は大いに心配だ。

次は各国・地域の首脳の番だ。公正なルールに基づく自由貿易のあり方は、首脳自らが討議するに値するテーマである。

トランプ米大統領を交えた5月の主要7カ国(G7)、7月のG20の首脳会議で、保護主義に戻らない方針を再確認してほしい。

今回のG20の数少ない成果は、外国為替政策だ。「為替の過度な変動や無秩序な動き」が経済に悪影響を与えるとの認識を共有するとともに、通貨の競争的な切り下げを回避するという従来の方針を踏襲したのは評価できる。

トランプ氏はかつて日本を「通貨安誘導」と批判していたが、日米の財務相による意思疎通が進んだ点もひとまず金融市場の安定につながる材料だろう。

今後もトランプ政権の対応に各国や国際社会が振り回されることが予想される。G7やG20はもちろん、国連やWTOといった場での合意形成はますます難しくなると覚悟しておく必要がある。

米国は政権交代直後の方針転換を国内外に印象づけたい面もあるのだろうが、建設的な態度で各国と真摯な対話を重ね、国際協調に努めるよう改めて求めたい。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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