2017年03月16日

[読売新聞] サウジ国王来日 脱石油へ改革を後押ししたい (2017年03月16日)

日本のエネルギー政策上、中東の大国と戦略的な関係を深化させる意義は、極めて大きい。

来日したサウジアラビアのサルマン国王が安倍首相と会談し、経済協力を軸とする「日・サウジ・ビジョン2030」を締結した。

製造業や農業、エネルギーなど幅広い分野で連携を強める。規制緩和や税制優遇を進める経済特区をサウジ国内に創設し、日本企業の進出を促すといった内容だ。

サウジは世界最大の原油輸出国であり、日本では輸入量の3割を占める。エネルギー資源の安定確保に向け、協力体制を強固にするのは、重要な意味を持つ。

首相が「中東安定の要であるサウジとの関係を力強く前進させたい」と語ったのは理解できる。

46年ぶりとなるサウジ国王の訪日は、マレーシアや中国などを巡るアジア歴訪の一環だ。1000人規模の随行者を伴う異例の長期外遊の狙いが、各国を競い合わせて、より多くの協力を引き出すことにあるのは明白である。

サルマン国王は、石油に依存した国家運営からの脱却を目指す改革に取り組む。人口増と原油安が財政を直撃し、潤沢なオイルマネーを国民に分配してきた体制が変革を迫られているためだ。

国外から投資を呼び込み、多様な産業を育成する。脱石油に向けた構造改革プランが昨年4月、息子のムハンマド副皇太子を司令塔に始動した。手をこまねいていては、王政の安定が脅かされかねないという危機感の表れだろう。

日本の持つ経験や技術、資金を提供し、サウジの国家改造を積極的に後押しすべきだ。それが、単なる石油の貿易相手国から、重層的な戦略的パートナーへと両国関係の新時代を開くことになる。

日本企業も新たな商機ととらえている。サウジが進出を促したいのであれば、雇用規制や煩雑な許認可など外資を阻んできたビジネス環境の改善が必要である。

サウジ改革の帰趨(きすう)は、中東の地域情勢にも左右されよう。今回の歴訪では、サウジ外交の多角化への思惑もうかがえる。

米国のオバマ前政権が、サウジのライバルであるイランとの関係改善を進め、対米関係は冷え込んだ。トランプ政権の中東政策が不透明な中で、「米国一辺倒」からの転換を模索している。

首相は首脳会談で、サウジとイランの対立緩和を促した。サウジは、両国の覇権争いが中東の混乱を招き、改革の阻害要因となることを認識せねばなるまい。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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