2017年03月15日

[毎日新聞] 日本とサウジ 幅広く戦略的な協力を (2017年03月15日)

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サウジアラビアの国王が46年ぶりに日本を訪れた。随行者は約1000人とも言われ、宿泊や買い物への期待から「サウジ特需」という言葉も生まれた。裕福なイメージが強いサウジならではの社会現象だ。

だが、実は将来に対するサウジの危機感は強い。輸出総額の9割を石油が占める同国では原油安による財政難もさることながら、新たな産業を育てないと石油埋蔵量の減少とともに困窮する恐れがあるからだ。

今回訪日したサルマン国王の息子であるムハンマド副皇太子は現状を「石油依存症」と呼び、2030年までに非石油分野における政府歳入を今の約6倍に増やすという「ビジョン2030」をまとめた。

これに日本の協力を盛り込んで新たに作られたのが「日・サウジ・ビジョン2030」だ。両国の「戦略的パートナーシップ」の強化を図るもので、安倍晋三首相とサルマン国王の首脳会談後に発表された。

石油大国サウジとの関係強化を歓迎したい。「ビジョン」の柱はサウジにおける経済特区の新設で、日本はサウジへの企業進出や投資の加速による経済成長が期待できる。サウジは日本の技術協力を得て新たな産業育成が容易になる。

国有石油会社サウジアラムコの新規株式公開で研究会設置に協力することにも注目したい。上場先はニューヨークやロンドンが有力とされるが、東京誘致への明るい材料だ。

サルマン国王は日本から中国へ向かう。高齢の国王が約1カ月間も歴訪し、1971年のファイサル国王後では初の国王訪日となったのは、アジア重視と日本への期待の表れだろう。サウジは元来親米国だが、米オバマ政権はサウジの反対を押し切る形でイラン核問題の合意を推進し、米・サウジ関係は悪化した。

トランプ政権との関係は悪くないが、例えば在イスラエルの米大使館がエルサレムに移されれば、イスラムの「守護者」を自任するサウジの対米関係は一気に悪化しよう。

首脳会談でサルマン国王がシリア、イエメン、パレスチナ情勢などに言及したのは、難問山積の中東情勢について、対米関係が良好な日本の理解や支援を得たいからだろう。その期待感を真摯(しんし)に受け止めたい。

とはいえサウジはシリアやイエメン情勢に関してイランを非難し、同国との断交を続けている。中東の安定にはサウジとイランの関係改善が欠かせない。イランとも率直に話せる日本は、米国が偏った政策を取らないよう留意しながら、サウジとイランの融和にも努めるべきだ。

そのためにも、幅広い分野で長期的な視野に立った、サウジとの戦略的な協力が必要である。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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