2017年03月15日

[読売新聞] 米国通商政策 国際ルールに背を向けるのか (2017年03月15日)

自国に不利益なら国際的な通商ルールを無視する。一方的な対抗措置も取る。あまりに独善的な態度である。

「米国第一」を掲げるトランプ米政権の通商政策の方針が、明らかになってきた。

通商代表部(USTR)が年次報告を発表し、世界貿易機関(WTO)の決定が米国の利益を損なうなら従わない、と明記した。

WTO協定は、自由貿易促進のために守るべきルールを定める。米国の方針は、各国が利害を超えて維持してきた貿易秩序に背を向ける、と宣言したに等しい。

紛争が生じた貿易相手国に対するWTO提訴が最も多いのは、他ならぬ米国である。「勝てば、相手に従わせる。負けたら、自分の非は認めない」という、ご都合主義が通じるはずはあるまい。

見逃せないのは、年次報告が、発動すればWTO違反の可能性がある米通商法301条に言及し、市場開放を促す「強力な手段になり得る」と指摘したことだ。

301条は、米国が貿易相手国に高関税などの制裁を一方的に発動できると規定している。

自動車や半導体など、日米貿易摩擦の度に振りかざした米政権の「伝家の宝刀」だ。クリントン政権時代には、日本製高級車に100%の関税を課す案を示した。

トランプ政権は、多国間の貿易協定から2国間交渉に軸足を移すと表明している。301条をちらつかせて威嚇的な姿勢で臨むつもりならば、看過できない。

トランプ政権は、まず日米貿易の実情を正確に把握せねばならない。WTOに最近、送付した意見書でも、日本の自動車市場に非関税障壁があると批判し、農産物の高関税も問題視している。

いずれも的外れな指摘だ。

日本は輸入車に関税をかけていない。米国がやり玉に挙げる車検制度も、特定の国を狙い撃ちにしたものではない。欧州車は日本で着実に販売を伸ばしている。

米国勢は、商品開発や販売戦略などで、日本の消費者を引き付ける努力と工夫を怠っている。それが売れ行き不振の主因だろう。

農産品にしても、環太平洋経済連携協定(TPP)で、日本の牛肉関税などの大幅な引き下げが実現するはずだった。TPPから離脱し、その恩恵をみすみす手放したのは米国自身ではないか。

貿易などを幅広く協議する「日米経済対話」が来月始まる。日本側は、米国の誤解に基づく主張に屈することなく、事実に根ざした建設的な議論を深めるべきだ。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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