2017年03月15日

[読売新聞] 残業上限規制 過重労働の横行改める契機に (2017年03月15日)

長時間労働に歯止めをかけ、多様な人材が活躍できる環境を整える。過重労働が蔓延(まんえん)する現状を改める契機としたい。

残業時間の上限規制に関する協議で、経団連と連合が合意した。残業は月45時間、年360時間までを原則とする。繁忙期などには特例として年720時間、月平均60時間まで認める。

焦点だった繁忙期の1か月当たりの上限は、「100時間未満」とすることで事実上決着した。

100時間を巡り、経団連は「以内」、連合は「未満」を主張して譲らず、安倍首相が連合の意を汲(く)んで裁定した。

「働き方改革」を断行しようという首相の意思の表れだろう。労使の合意は、大きな前進だ。

政府は合意を反映した働き方改革実行計画を近く策定し、関連法案の早期の国会提出を目指す。

労働基準法は、労働時間を1日8時間、週40時間までと定めるが、労使協定を結べば、残業が可能だ。月45時間、年360時間以内が基準だが、強制力はない。しかも、協定で特例を定めれば、基準を無制限に超過できる。

実質的に青天井で残業が認められる現状を改め、残業時間の上限を法定化する。違反に対する罰則も設ける。過重労働を抑制する上で、その意義は大きい。

「月100時間」は、脳・心臓疾患による労災認定基準に準拠する。「過労死ライン」ぎりぎりの残業を許容することに対し、過労死遺族らは強く反発している。

繁忙期の特例上限は、超えてはならない最終ラインだ。上限いっぱいの残業を肯定する趣旨ではない。経営側は、その点を肝に銘じる必要がある。やむを得ず特例を適用する場合も、月45時間の原則に近づける努力が求められる。

労使合意は、終業と始業の間に一定時間を確保する「インターバル制度」の普及も掲げた。企業に導入の努力義務を課す。従業員の疲労回復のために有効な制度である。政府の支援も拡充したい。

課題は、残業規制が当面、適用されない建設・運送業などの扱いである。実効性のある規制の在り方を検討すべきだ。

電通の過労自殺問題などでは、残業時間の過少申告や「隠れ残業」が発覚した。上限が規制されても、守られなければ意味がない。監督・指導体制の強化が不可欠だ。

企業は人手不足感を強めている。業務の量や内容が変わらなければ、残業は減らせない。情報通信技術(ICT)の活用などで効率化を図ることが重要である。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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