2017年03月11日

[読売新聞] 大震災6年 きめ細かな復興支援が大切だ  (2017年03月11日)

◆街の再生計画に工夫凝らしたい◆

1万8000人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災から6年を迎えた。

壊滅的打撃を受けた被災地が完全に再生を果たすまで、国を挙げて支援を継続する。その誓いを新たにしたい。

5年間の「集中復興期間」が昨年度で終了した。政府は今年度から2020年度までを「復興・創生期間」と位置付ける。その1年目が過ぎようとしている。

被災地の自立につながり、地方創生のモデルとなる復興を実現する――。政府は、新たな5年間の目標をこう説明する。

◆解消が進む仮設住宅

復興予算の全額を国が賄った集中期間には、計画が過大になりがちだった。今後は、予算規模も縮小される。真に役立つ事業を吟味し、予算を重点投入する。メリハリをつけた支援が必要になる。

岩手、宮城、福島県などを襲った大津波は、沿岸部の人々から住居を奪った。安定した生活拠点の回復のために計画された復興住宅の完成率は、今月末で83%に達する。高台などの集団移転地の造成も、70%近く完了する。

暮らしの基盤再生は、ようやくヤマ場を越したと言えよう。

復興・創生への道筋を具体的に示し、被災地のこれからの歩みを後押しする。復興庁を始めとする政府の責務である。

JR仙台駅から南に約4キロの街中に、2万4000平方メートルの更地が広がる。仙台市内最大の仮設団地だったが、昨年10月に解体作業が始まり、今年2月には地権者に土地が返還された。

3県の各地でプレハブ仮設の解消が進む。ピーク時には12万人近くに上った入居者数は、約3万5000人にまで減った。手狭な仮設団地がなくなった光景は、復興の証しの一つだろう。

ただ、移転先の復興住宅などでは、コミュニティーの構築が、必ずしも順調には進んでいない。

仮設住宅では、行政とNPOなどの民間団体が手を組み、住民同士の交流を促す活動を展開してきた。高齢者らの買い物をサポートする団体もあった。仮設から移り、こうした取り組みが減った、と岩手県内の被災者の一人は語る。

NPOなどとの連携は、復興庁が重点的に手がけてきた手法だ。引き続き積極的に活用して、住民の孤立を防いでもらいたい。

◆にぎわいを創出しよう

無論、住宅再建がスムーズに進んでいる地域ばかりではない。岩手県大槌町では、今も人口の2割近くが不自由な仮設住まいを余儀なくされている。

従来に増して、復興の進捗(しんちょく)度に応じたきめ細かな支援を実践すべき段階に入ったと言える。

各自治体が直面する問題が、住民の流出だ。それをどう克服するかは「創生」の核心でもある。

宮城県山元町は、移設されたJR常磐線の新駅周辺など3か所に住宅地を造成し、昨年10月に「まちびらき」の式典を催した。12月には、常磐線の運行再開で仙台への通勤路線も復活した。

町は子育てのしやすさをPRする。転入した新婚夫婦らに対して、最大300万円を補助する定住促進事業も打ち出している。

約740戸分の宅地と復興住宅は、ほとんど埋まった。

順調のように見える山元町でも、住宅地の1か所では、宅地の分譲数を計画の5分の1に縮小している。被災地全体でも、集団移転などの計画戸数は、希望者の減少に応じて縮小されてきた。

規模が小さくなった街で、いかに魅力を高めるか。自治体は工夫を凝らした青写真を描きたい。

宮城県南三陸町の仮設商店街「南三陸さんさん商店街」が今月、常設の商店街に生まれ変わったのは、明るい話題だ。

こうした例はまだ少ない。住宅再建が優先される中で、市街地再生が遅れ、テナント施設が不足していることが一因だという。

にぎわいの創出は、街を魅力的にする重要な要素だ。

◆子供の心に目配りを

復興への息の長い取り組みには若い力が欠かせまい。その意味でも、福島県で小中学生の不登校が増えているのは気にかかる。

昨年度は1862人の不登校が報告され、4年連続の増加となった。幼少時に経験した震災の明確な記憶がなくても、不安定な避難生活や家族の混乱を感じ取っているケースがある。

専門家による継続的な心のケアが求められよう。

原発事故に伴う避難指示の大幅な解除で、福島は復興の正念場を迎えた。子供たちのためにも、支援を強化せねばならない。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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