2017年02月28日

[日経新聞] メディアは民主社会の基盤だ (2017年02月28日)

「権力は腐敗する」。英国の思想家ジョン・アクトンの言葉だ。だから、厳しく監視する必要があるが、普通の人々にはそれほど時間はない。有権者を代表して監視役を担うメディアの責任は重大である。トランプ米大統領はこうした民主主義の基本ルールを理解しているだろうか。

トランプ政権とメディアの対立は激化する一方だ。気に入らない報道機関をホワイトハウス報道官の記者懇談から締め出し、記者会が4月に開く毎年恒例の夕食会にトランプ氏は参加しないそうだ。

権力とメディアの距離が近すぎるのも問題だが、ここまで溝が深まっては情報の伝達ルートとして機能しなくなる。関係が正常化することを望みたい。

日本と比べ、米メディアは党派色が鮮明である。懇談から排除された報道機関はいずれも野党の民主党寄りだ。トランプ氏は「敵」と呼んではばからない。

とはいえ、トランプ政権の一連の対応は、お気に入りメディアに意図して特ダネを流すのとはわけが違う。報道機関に最低限の取材アクセスを保障するのは、権力者の義務といってよい。

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が発達し、世論形成における新聞やテレビの影響力は下がっている。トランプ氏のツイッターには2500万人を超えるフォロワーがいる。旧来型メディアに頼らずに世論誘導したいのだろう。

SNSは考えが近い人を呼び集めるのに有効なツールであり、趣味の友人づくりなどに役立つ。だが、不確かな伝聞や嘘・デマなどがあっという間に広まるという弊害もある。事実の確認や背景の解説といったメディアの役割がなくなることはあるまい。

国民がデマに踊らされて国を誤った方向に向かわせる。こんなことは古今東西よくあったし、これからもあるだろう。そのとき、民主社会の基盤であるメディアがきちんと役割を果たせるか。米国の現状は決して他人事ではない。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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