2017年02月28日

[読売新聞] 残業の上限規制 実効性確保へ一致点見いだせ (2017年02月28日)

際限なく残業が認められる現状を改め、長時間労働に歯止めをかける。そのためには、労使双方が納得できる制度とすることが大切である。

残業時間の上限規制を巡り、経団連の榊原定征会長と連合の神津里季生会長が会談した。政府が3月中に策定する働き方改革の実行計画に向けて、合意形成を目指して協議を続ける。

政府は、残業時間の上限を年720時間とする案を提示している。月平均60時間だ。繁忙期に残業が長くなり過ぎないように、1か月当たりの上限も設ける。

年間の上限について、労使に意見の隔たりはない。焦点は、1か月の上限をどう設定するかだ。

政府は、脳・心臓疾患による労災認定基準を踏まえ、「月100時間」「2か月平均で80時間」とすることを検討している。いわゆる「過労死ライン」である。

経団連は、大筋で受け入れる意向だ。連合は、過労死リスクが高まるなどとして、強く反対してきた。労使が合意しなければ、残業規制は頓挫しかねない。早急に一致点を見いだしてほしい。

労働基準法は、労働時間を1日8時間、週40時間までと定めるが、労使協定を結べば残業が可能だ。その場合、月45時間、年360時間以内が基準だが、強制力はない。しかも、協定で特例を定めれば、基準を無制限で超過できる。

月100時間超の残業が可能な協定も散見される。過労死は後を絶たない。電通の過労自殺問題を契機に、長時間労働に対する国民の問題意識は高まっている。

政府案は、月45時間の基準を法定化した上で、特例にも上限を定める。違反には罰則を設ける。規制が空洞化していることを踏まえれば、一歩前進と言えよう。

いきなり厳し過ぎる上限を設けても、実効性は上がるまい。法定の上限の範囲内で、企業ごとに労使が協議して、職場の実情に合った個別の上限を定める仕組みとするのが現実的ではないか。

残業規制の枠外となっている研究開発や建設・運送業などの扱いも課題だ。業務の特殊性に配慮しつつ、適切な規制の在り方を工夫する必要がある。

終業と始業の間に一定時間を確保する「インターバル規制」の普及も進めねばならない。

残業の上限規制は、あくまで過労死防止が主たる目的だ。これにより、仕事と家庭の両立や女性の活躍が直ちに実現するわけではない。さらに踏み込んだ長時間労働の是正策が不可欠である。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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