2015年10月04日

[読売新聞] シンドラー判決 保守管理は五感任せにしない (2015年10月04日)

製品の安全保持のためには、構造を熟知していなければならない。保守管理の当然の原則が示されたと言える。

2006年6月に東京都港区のマンションで、シンドラーエレベータ社製のエレベーターが扉の開いた状態で上昇し、住人の高校生が挟まれて死亡する事故があった。

業務上過失致死罪に問われた保守点検会社「エス・イー・シーエレベーター(SEC)」の会長ら3人に対し、東京地裁は執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。3被告は控訴した。シンドラー社の元課長については無罪とした。

SECは06年4月から事故機の保守管理を担当し、事故の9日前に点検を実施していた。最大の争点は、事故原因となったブレーキ部品の異常摩耗の発生時期だった。鑑定などに時間を要し、裁判は長期化した。

判決は、点検時には既に摩耗が発生していたと判断し、放置したSEC側の過失責任を認めた。

重視したのは、SECが事故機の構造を十分に調べないまま保守管理を請け負っていた点だ。シンドラー社から点検マニュアルも入手していなかった。

基本構造はどれも同じと考え、経験に頼って点検にあたる。こうした安易な姿勢はSECに限らない、との指摘もある。

「点検は五感の作用で足りると軽く考えていた」。安全軽視の体質を指弾した判決は、業界全体への警鐘と言えよう。

一方、05年3月まで保守管理を行っていたシンドラー社の元課長が無罪となったのは、「点検時に異常摩耗が起きていたことを示す根拠はない」との理由からだ。

もっとも、判決は、事故を招いたブレーキ部品を採用したシンドラー社についても、「問題が大きい」と指摘した。製品の安全を最優先すべきメーカーとして、重く受け止めねばならない。

シンドラー社製エレベーターでは、12年にも金沢市で同様の死亡事故が起きている。保守点検会社に対する注意喚起など、事故の教訓を生かしたメーカーとしての取り組みは十分だったのか。

港区の事故を受け、国土交通省は09年に二重ブレーキの装着を義務化した。ただ、それ以前に設置されたエレベーターには改修義務がなく、装着は全国の約70万台の2割弱にとどまるという。

エレベーターは誰もが日常的に使う設備だ。メーカーや保守点検会社、ビルなどの施主は、安全確保に万全を期す責任がある。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(1) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
⇒”争点”間違い。国交省の長年の「機能欠陥」(非常用ブレーキなし)の放置が問題。◆30年も前から”機能欠陥”を認識しつつ、何度も事故を繰り返してきた。本事故を契機に再発防止策「戸開走行保護装置」(=多重防護化←二重ブレーキ)を開発・搭載した、、欧米より随分遅れたが。(現在、約60万台弱の既設分で未搭載)
参照:「シティハイツ竹芝エレベーター事故調査報告書」
■”戸開暴走”は、部品の故障・外乱ノイズ・パッドの異常磨耗・保守ミス等様々な要因で起こりえます、、事故調査報告書に示されるように。これら全てに対応できるように「戸開走行保護装置」でもって多重防護化が図られたもの。(”戸開暴走の開始”を検出したところで、強制的に”かご”を制止する)
■”機能欠陥を保守で補える”としたことが大きな間違い。コスパを優先?
Posted by 藤沢一郎 at 2015年10月21日 08:12
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック