2014年10月31日

[毎日新聞] 社説:米国の金融政策 正常化の道しっかりと (2014年10月31日)

米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が、2年前に開始した量的緩和第3弾の終了を決めた。2008年秋のリーマン・ショック後、FRBが初めて足を踏み入れた異例の金融政策は、金利のある正常な世界に向け、「出口」の最初のドアをようやく通過した。

リーマン・ショックの震源地となった米国の経済は、劇的な回復を見せ、09年に一時、10%に達した失業率も6%を下回る水準まで好転した。FRBも量的緩和策終了の理由として、雇用市場の見通しに「十分な改善が見られた」ことを挙げた。経済成長が巡航速度を取り戻した以上、劇薬の投与を終えるのは、当然のことだ。

ただ、この政策が成功したと結論付けるのは早すぎよう。

リーマン・ショック直後に実施した第1弾は、極度の動揺状態に陥った金融市場を落ち着かせるうえで効果があったと認める専門家が多い。だが、第2弾、第3弾については、評価が分かれる。米経済や世界経済への影響は、この先起きることも合わせて分析する必要がある。

その「この先」だが、最大の焦点は、ゼロ金利政策が解除され、金利が徐々に引き上げられていく、正常化の道のりだ。来年半ばにも、最初の利上げがあると予測されているが、それでも、歴史的な低金利が当分続くことに変わりはない。

物価が落ち着いていても、長引く超低金利が証券市場などを過熱させ、新たな金融危機を招く危険が残る。すでに代表的な株価指数(S&P500)は金融危機後の安値から3倍近い水準まで高騰しているのだ。FRBは細心の注意を払わねばならない。

一方、金融政策の正常化が必要かつ当然とはいえ、その過程で他国の経済や金融市場を大きく揺さぶる恐れもある。

特に、量的緩和で新興国経済に流入した大量のマネーが米国へ向け逆流を本格化させると、資金が流出する国で混乱が起きかねない。従来通り低コストで資金を調達できなくなった国家や企業が返済難に陥ったり、通貨安が輸入品の価格を押し上げ、インフレを引き起こしたりする弊害だ。日欧の金融政策との違いから、ドル高・円安、ユーロ安に拍車がかかる心配もある。

量的緩和の結果、FRBの資産は約4.5兆ドル(約490兆円)に膨れ上がった。市場価値が目減りしかねない資産が、日本の国内総生産(GDP)に迫るほどの規模でFRBの元に残る。これを、どのようにして減らしていくのか。再び世界経済を危機に巻き込むことなく、政策の正常化を果たしてもらいたい。

2014年10月31日 02時30分
posted by (-@∀@) at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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