2014年10月30日

[東京新聞] 食料自給率 別の指標も見てみたい (2014年10月30日)

政府が食料自給率の目標引き下げを検討している。カロリーベースの自給率は有力な指標だが、現実との隔たりも目立つ。「食料自給力」など新たな指標で補完する必要があるのではないか。

食料自給率は、国内で消費される食料のうち、国内産が占める割合で、政府は目標設定に生産量や消費量を熱量(カロリー量)で示した「カロリーベース」の数値を使っている。

農林水産省は二〇一〇年三月、輸入に頼っている小麦を国内で増産することを前提に、先進国で最低レベルの自給率を、それまでの目標45%から「二〇年度に50%」へと引き上げた。しかし現実には39%前後の低迷が続き、目標の達成は困難になっている。

目標引き下げを求めているのは財務省で、同省の試算ではカロリーベースを1%引き上げるために国産小麦を年四十万トン増産すると、今の制度では年間四百二十億円から七百九十億円の補助金が必要になる。国民負担の補助金に依存した50%達成は困難で、むしろ農業の担い手や農業技術の向上など改革に重点を置き、着実に自給率向上につなげるべきだとしている。農水省も、目標引き下げによる補助金削減を警戒しながらも、現実的な数値を模索している。

生きるのに必要な栄養価が基準のカロリーベースは重要な指標であることに変わりない。ただ現実との乖離(かいり)も指摘したい。

一つは「生産額ベース」で見た自給率で、一三年度は65%とまずまずの水準にある。カロリーベースでは輸入飼料で育てた牛、豚、鶏などは自給に計算されない。野菜や果物はほとんどが国内産なのに低カロリーで貢献度が低く、日本の農業の実力を的確に示しているとは言えない。もうひとつは巨大な食品ロスで、日本では食べられるのに廃棄される食品が年間約五百万トンから八百万トン。自給の柱であるコメの生産量に匹敵する。

カロリーベースの欠点を補う新たな指標として「食料自給力」が注目されている。

海外からの輸入が途絶えた場合に、国民が必要とする食料を潜在的に供給できる能力を示す指標で、英国では耕作可能な全農地で小麦を生産した場合の供給力を試算している。

日本では「農地などの農業資源、農業者、農業技術で食料自給力を構成する」というアイデアの段階だ。ぜひ具体化して食料危機に対する国民の潜在的な不安に応えてほしい。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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