2014年10月30日

[朝日新聞] ウクライナ―親西欧の改革望む民意 (2014年10月30日)

民意は欧州への統合と改革の推進をはっきり求めた。

ウクライナの議会選挙でポロシェンコ大統領の与党など親欧州派勢力が圧勝した。これで、格段に強い基盤をもつ連立政府が発足する方向となった。

1991年の独立後、ウクライナの議会は、親西欧派と親ロシア派が拮抗(きっこう)しつつ争う不安定な状況が続いてきた。親西欧派だけで安定多数を占めるのは、初めてのことである。

今年2月の政変で親ロシア派の前大統領が退くと、ロシアはクリミア半島を併合した。さらに東部の親ロシア派武装勢力を後押しして内戦を激化させ、新政権がとった欧州連合(EU)への加盟政策などの阻止へ向けて圧力をかけてきた。

だが、ポロシェンコ氏が大勝した5月の大統領選に続き、国民はロシアの介入を真っ向から拒む選択を示した。

武装勢力の一部支配地域で投票ができなかったとはいえ、公然と主権や領土を侵す力ずくのやり方が、自らの思惑と逆の方向にウクライナ国民の大多数を向かわせたことは明らかだ。

東部での内戦は9月に停戦合意が成立した後も、政府軍と親ロシア派武装勢力との間で局地的な戦闘が続いている。これまでの紛争による死者の総数は、約3700人に達した。

停戦合意では、武装集団の国外撤退や、ロシアの兵力や武器の流入が指摘される国境の管理強化などが決められていたが、遅々として進んでいない。

ロシアが義務を果たしていない責任は大きい。米欧が制裁を緩めずにいるのは当然だ。

ロシアの経済は、制裁の影響と主要輸出品である石油の安値で苦境を深めている。プーチン大統領はウクライナ政策をただちに転換し、米欧との建設的な協力関係の回復を図るべきだ。

ウクライナの側にも、課題は山積みだ。人口4500万人の大国で、地味豊かな黒土地帯や天然資源にも恵まれている。

なのに汚職や腐敗、絶え間ない政争、極度に安い公共料金など人気取り本位の政策が、この国を深くむしばんできた。

莫大(ばくだい)な対外債務を抱え、経済は破綻(はたん)寸前だ。ロシアとの間で続く天然ガス料金の未払い問題は、またも供給停止の余波を欧州に及ぼしかねない。

EU加盟を本気で目指すなら、痛みを伴う改革に敢然と取り組むしかない。地方分権の推進やロシア語系住民ら少数派の権利保護に真剣に努め、東部の混乱を収束させることも必要だ。圧勝劇を一時の幻影で終わらせてはならない。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック