2011年03月23日

[朝日新聞] 医療支援―分かち合いの精神こそ (2011年3月23日)

「医師も看護師も被災者です。家族の安否が確認できないまま勤務を続けている人もいます。勤務の合間に、携帯電話に家族からの着信がないか確認しているのです」

重傷患者がヘリで次々と搬送されてくる宮城県石巻市の病院で、入院患者が目にした光景である。

自らの家族より、患者への対応を優先する。被災地で働く医療従事者のプロ意識に敬意を表したい。

地震発生直後から、200近い災害派遣医療チーム(DMAT)が全国の病院から送り込まれた。阪神大震災での救急医療の遅れという教訓からできたシステムが稼働したのだ。

日がたつにつれ、慢性疾患を抱える患者への対応など日常的な医療の提供が課題となっている。多数の遺体の検案といった仕事も膨大だ。

まずは開業医中心の医師会が力を発揮する場面だ。すでに日本医師会は災害医療チーム(JMAT)への参加を募り、会員たちが被災地で活動を始めている。高速道路の通行許可や燃料の優先的な提供で支えたい。

それでも避難所の数が多いため、まだ医療が十分に届いていない。低体温症などによって避難所で亡くなる人をこれ以上、出してはならない。

医薬品はもちろん、燃料や電力も含めて支援の拡大が必要だ。自治体や厚生労働省、医師会には、情報収集の徹底と効率的な連携を期待する。

関東圏では、計画停電の医療への影響が大きい。たとえば人工透析のスケジュール変更が調整できなければ、患者の健康悪化に直結しかねない。在宅で療養しながら人工呼吸器などの医療機器を使う患者への影響も心配だ。

厚労省は停電の正式決定まで本格的に動かず、対象地域内に計2600カ所近くある在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションへの準備の呼びかけが出遅れた感は否めない。

政府は停電が命や健康に及ぼす深刻な状況を直視し、国民ぐるみの「計画節電」を実施すべきだ。そうすれば停電を回避できるのではないか。

大震災の被害で、医薬品の供給も滞るようになっている。数十万人が使う甲状腺機能低下の治療薬の場合、98%を生産する製薬会社の工場が福島県にあり、震災で生産が止まっている。

厚労省は在庫を患者に行き渡らせるため、なるべく分割して処方するよう病院や薬局に呼びかけている。

だが、生産再開までこのやり方で乗り切れる保証はない。緊急輸入などの措置をとって、患者や医師の不安を一刻も早く解消しなくてはいけない。

私たち国民の側も、不安にかられて自分だけ多く薬をもらおうなどとすることがないように努めよう。

苦難の時こそ、分かち合いの精神が大きな力を発揮する。
posted by (-@∀@) at 13:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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