欧米市場では個人消費の冷え込みで薄型テレビなどの販売にブレーキがかかり、米家電量販店2位のサーキット・シティが昨年11月に経営破綻に追い込まれた。円高も収益の足を引っ張り、海外売上比率の高いソニーなどの打撃は大きい。
日本の電機産業は1990年代初頭に世界を席巻したが、その後のデジタル化やソフト化の波に乗りきれず、地盤沈下が続いてきた。
携帯電話ではノキア(フィンランド)、携帯音楽プレーヤーでは米アップル、半導体メモリーでは韓国サムスン電子など重要市場の多くで、主導権を海外勢に握られた。
電機各社は当面の策として人員削減や投資縮小を打ち出しているが、それだけでは不十分だろう。事業モデルの転換が避けて通れない。
日本の電機産業は多数のプレーヤーが同じ市場に参入し、激しい競争をバネにコストや品質に磨きをかけてきた。だが、規模の利益がモノをいうデジタル時代には、この「切磋琢磨(せっさたくま)」型のモデルは通用しにくい。
例えば最近の携帯電話は膨大なソフトウエアを搭載している。日本メーカーは独自仕様のソフトにこだわっているが、これだと1社当たりの開発負担が膨らみ、コストは高止まりする。その結果、日本企業は携帯市場で国際競争力を持ち得ていない。業界の再編集約を加速し、規模の利益を発揮できる体制を整えることが、復活への第一歩だろう。
もう一つはグローバル化への再挑戦だ。パナソニックは今春から欧州の白物家電市場に参入する。国内で蓄積した省エネや節水技術がどこまで外で通用するか、注目したい。
電機と並んで自動車業界も業績悪化が著しいが、日本車メーカーは海外企業に比べて環境技術などで一日の長がある。世界経済が正常化すれば、復活が期待できる。だが、電機の先行きはそれほど楽観できない。今回の業績悪化をテコに思い切った改革を進められるかが問われる。


