まず、米景気の悪化が世界に波及し、日本企業の業績が急激に悪化した。米国では金融機関の貸し渋りが倒産や雇用の圧縮を招き、保有する住宅の価格下落で低迷していた個人消費は一気に冷え込んだ。対米輸出に頼る国の打撃は深刻である。
景気悪化が新興国に波及したことは日本企業の誤算になった。上場企業がアジア・大洋州で稼いだ営業利益は08年3月期には米国を上回り、新興国に収益源を広げた格好だった。ところが、高成長を続けた国々でも景気は減速しつつある。
コマツは中国やロシアの建設機械などの需要鈍化が逆風となり、09年3月期は7年ぶりに連結純利益が減る見通しになった。上場企業全体でも、今期は前期に比べ3割以上の連結経常減益とみられている。
日本の市場に打撃を与えたもう1つの要因は、株式の需給関係の世界的な悪化だ。金融危機深刻化で萎縮した投資家は株を売却、安全資産の米国債などに乗り換えた。借入金を使って投資していたヘッジファンドなどが資金借り換えができず、株の売却を強いられた影響も大きい。
日本企業の経営者は、今回の危機を自らの弱点を洗い出す機会にすべきだ。点検すべき項目は山積している。業績が順調に拡大し株価も堅調だった時期に、無駄な費用が膨らんでいなかったか、事業の「選択と集中」は中途半端なままではなかったか。株式持ち合いの復活に代表される内向きな戦略の正否も問われる。取得した株の価格が下がり、業績に大きく響いているからだ。
萎縮は禁物だ。業績の悪化で、研究開発投資が落ち込む恐れがある。技術や経営の革新こそが、企業価値を長期的に高め、グローバル競争に勝ち残る条件であることを、経営者はあらためて認識すべきだ。
個人投資家は18年ぶりに買い越しに転じたが、家計の資産として株式が根付くかどうか重要な局面だ。株価は伝統的な投資の尺度では説明できないほど下げ、なお相場の不透明感が強い。株式だけでなく、不動産や商品の相場も、多くの外国通貨も大きく下落した。投資家が直面する危機は、自らの生活設計を踏まえてリスクとリターンをもう一度考える、投資再出発の契機でもある。


