2008年12月18日

[毎日新聞] 社説:米ゼロ金利 大胆な政策は細心の注意で (2008年12月18日)

米国がついにゼロ金利の世界に足を踏み入れた。中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、さらに量的緩和も導入し、金融面であらゆる手段を動員すると宣言している。世界最大の経済が予想以上に速いスピードで悪化していることへの強い危機感が伝わってくる。

かつて日本が、数年をかけ徐々にゼロ金利や量的緩和へと向かったのに対し、FRBは一挙に異例の政策手段へと突き進んだ。昨年9月に年5・25%あった政策金利は、わずか1年3カ月でゼロの領域だ。1930年代の大恐慌の研究者で、日本の先例にも詳しいバーナンキFRB議長は、政策の遅れが深刻なデフレや恐慌を招くと警戒したのだろう。

金利を動かして経済のかじ取りをする中央銀行が、金利をなくすことは禁じ手といえる。望んで選択する中銀はないだろう。ただ踏み切った以上、政策の効果を最大限発揮してほしい。

大胆な政策は、市場機能をゆがめる副作用も心配だ。ここはFRBだけでなく、財政を担う政府や民間部門も総力を挙げて、経済の活性化につながる策を実行する必要がある。

米経済は特にリーマン・ブラザーズの破綻(はたん)があった9月以降、悪化の度合いが加速度的に増した。雇用では、農業部門を除いた就業者数が、9月からの3カ月で125万人以上も減少した。今後も一層の悪化が懸念される。

一方、企業の資金繰りは厳しさを増しており、FRBが金融市場に大量の資金供給を続けても、実際に企業が借り入れる際の金利は高止まりしている。

FRBは、流れが滞っている資金を消費者や企業にまで行き渡らせようと、住宅ローンや自動車ローンなどを証券化した商品を積極的に購入していく方針だ。さらに、長期国債の買い入れも検討するとしている。しかし劣化の恐れがある民間の証券も含め、FRBが保有する資産を急膨張させると、ドルの信用が低下し、世界経済をより混乱させる危険性もある。

実際ドルは、米国の金利が約16年ぶりに日本を下回ったことを背景に、円やユーロに対して下落している。円高には、輸入品や海外の資産を割安で購入できるメリットもあるが、急激な変動は景気にさらに冷水を浴びせることになり、注意が必要だ。

オバマ次期米大統領は、「政府の取り組みも極めて大事だ」と述べ、財政面からの景気テコ入れの重要性を強調した。本格的な景気刺激策は政権移行を待たなければならないという事情も、FRBが異例の政策に踏み切らざるを得ない背景になったのではないか。

政権のバトンタッチから間を置かずに、有効な景気対策が実行されるよう、米議会と次期政権には万全の準備を望みたい。
posted by (-@∀@) at 08:20| Comment(0) | TrackBack(1) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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