日銀が企業金融の支援に乗り出すのは、金融不安に覆われていた1998年以来のことだ。
企業がお金のやりくりに苦労する年末が迫っている。今月中旬の定例会合を待たずに、臨時の金融政策決定会合で対策を講じたのは妥当な判断と言える。
年末と来年3月の年度末に向けて、必要なお金が十分に企業に行き渡るよう、日銀は資金供給に最善を尽くしてほしい。
米リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)で欧米の金融危機が深刻化し、日本でも社債などの買い手が少なくなった。企業は市場からの資金調達が難しくなっている。
日銀の対策は、金融機関に対する資金供給の条件を緩和して、結果的に企業に資金が流れやすくすることを狙ったものだ。
まず、日銀が金融機関に資金供給する時に受け入れる担保の範囲を、今の基準より低い格付けの社債などに広げる。
社債などを担保とした低利貸付制度も来年1月に設け、年度末の資金需要に備える。どちらも4月末までの時限措置だ。
「日銀から資金を借りる担保になる」との安心感で社債を買う金融機関が増え、企業が資金調達しやすくなるはずだ。
社債発行を見送った大企業が銀行借り入れを増やし、それが中小企業向け融資を減少させている弊害の解消にも役立とう。
だが、金融機関経由では、企業に十分な資金が届くかどうか不明確だ。効果が薄いようなら、日銀が社債を買い上げる「直接供給」も検討すべきだろう。
米経済の景気後退が確認された1日、ニューヨーク市場の株価が急落し、2日の東京市場は平均株価が再び8000円台を割り込んだ。日米欧がそろって景気後退入りし、先行き不安は一段と高まっている。
株安で銀行の自己資本が減り、「貸し渋り」が加速する懸念はぬぐえない。倒産増加による不良債権の拡大も続いている。
金融機能の維持・回復には、資本増強が欠かせない。地方銀行などへの公的資金注入を可能にする、金融機能強化法改正案の成立を急がねばならない。
政府による、貸し渋りの実態把握や防止も重要だ。政府系金融機関や地方自治体などと連携した、中小企業向け融資の拡充など、きめ細かな対応が必要だろう。


