2008年12月02日

[日経新聞] 社説1 温暖化防止会議、様子見でなく前進を(12/2)

京都議定書に続く次期枠組みを詰める国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP14)がポーランドのポズナニで始まった。交渉のカギを握る米国はオバマ次期政権への移行期にあり、議論が様子見に終始する懸念もある。少なくとも来年末の交渉期限をにらみ、合意までの段取りにメドをつけなければならない。

枠組み交渉はオバマ米次期大統領が温暖化ガスの排出削減に積極姿勢を明確にしたことで展望が開けつつある。今回の会議で米国は表舞台には排出削減に消極的なブッシュ現政権が立つが、次期政権担当者もオブザーバー参加するから、実質的な交渉は水面下で進められる。

最大の焦点である排出削減の中期目標は、交渉期限の来年末の締約国会議(COP15)までもつれ込む見通しだ。しかし、今年の主要国首脳会議(洞爺湖サミット)で掲げた2050年に世界の排出半減という長期目標や、排出増加が著しい中国やインドなど新興国の排出抑制については、今回の会議で少しでも合意に近づけるべきだろう。

50年の排出半減について中印は先進国がまず高い目標を示すよう求めてきた。これにオバマ次期大統領は50年に1990年比で80%削減と応え、欧州連合(EU)も同60―80%減を再確認して、中印説得に足並みをそろえた。

洞爺湖サミットで議長を務めた日本は50年までに60―80%減としながら、基準年を90年にせず、現状比でと逃げている。日本の排出量は90年比で7―8%増えているから、目標は米国やEUより低い。これでは中印などの説得の足を引っ張りかねず、サミット議長国として国際合意形成に貢献できまい。

日本は中期目標についても産業分野ごとの削減可能量を積み上げるセクター別アプローチを主張したり、基準年を90年ではなく複数提案したりするなど高い目標を避ける細工に走ってきた。

だが、オバマ次期政権はセクター別の積み上げ方式も基準年変更も採用の考えがないことを明確にした。オバマ次期政権は排出量取引導入でもEUに歩み寄っており、日本が腰の引けた交渉姿勢を早く改めなければ、国際的に孤立しかねない。

欧米では温暖化防止をテコにした景気対策や産業強化策が目立つ。高い削減目標を掲げて社会や産業構造の転換を促す意図ははっきりしている。これが枠組み交渉の流れも決する。世界の動きは速い。日本が交渉はまだ半ばと悠長に構えていると、世界の潮流から取り残される。
posted by (-@∀@) at 08:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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