内閣府が発表した七−九月期のGDP速報は実質成長率が前期比0・1%減(年率換算0・4%減)になった。物価要因を加え、人々の実感に近い名目でみると、0・5%減(同2・1%減)と低迷感は一層鮮明だ。
中身をみても、悪材料が多い。内外需別では、輸出から輸入を引いた純輸出が減少に転落した。企業の設備投資は実質1・7%減と、前期よりもマイナス幅が拡大している。企業が景気の先行きに慎重な様子を示している。
物価も弱い。GDPデフレーターは前年同期比で1・6%減と持ち直す気配がない。輸入価格は一時の原油高で上昇しているが、肝心の国内の景気が弱いためだ。
しかも、足元の景気は、はるかに悪いと覚悟しなければならない。今回の速報値は九月のリーマン・ブラザーズ破たん以後、急激に進んだ金融危機や世界的な景気後退を織り込んでいないからだ。
たとえば、七−九月期の機械受注は電力・船舶を除く民需が大幅に減少している。タクシー運転手など街角の声を聞き取りし、先行指標として定評がある景気ウオッチャー調査でも、家計動向の現状判断指数が三カ月連続で過去最低になった。外食レストランは空席が目立って増えた。家計は敏感に自己防衛に動いているのだ。
金融危機の震源地である米国や欧州も景気後退が鮮明になっている。住宅どころかローン購入が多い自動車販売も客足が止まり、GMやクライスラーの経営が瀬戸際を迎えている。
好材料もなくはない。原油価格が反転し、最高値から半分以下に下がった。円高効果もあって、電力など公共料金や企業の原材料コストは今後、下がるはずだ。
だからといって、とても自律反転を期待できるような情勢ではない。ここは政府と日銀の政策対応が鍵を握っている。
政府は景気対策をまとめたが、肝心の第二次補正予算案は臨時国会に提出しない空気が与党に強い。それではなんのための対策か、と問う声が出るのも当然だろう。
中小零細企業の資金繰り支援や雇用対策など待ったなしである。政府はできることから手を打つべきだ。日銀も一層の金融緩和を視野に入れる必要がある。


