欧州連合(EU)の欧州委員会は自動車用ガラスの価格カルテルを摘発。日本板硝子の子会社など4社に対し、総額で過去最高となる約13億8000万ユーロ(約1700億円)の制裁金支払いを命じた。米司法省も液晶パネルの価格カルテルで、シャープなど3社に計5億8500万ドル(約550億円)の罰金を科した。
企業活動のグローバル化に伴い、国際的なカルテルも増えている。独禁当局の調査が厳しくなること自体は当然だろう。経営者はカルテルがユーザー企業や消費者への背信行為であることを自覚し、未然防止に努めるべきだ。制裁金などの額によっては、経営を揺るがすリスクがあることも肝に銘じる必要がある。
自動車用ガラスの制裁金は、日本板硝子の英国子会社が約3億7000万ユーロ、旭硝子が約1億1400万ユーロとなった。日本板硝子の場合、前期の経常利益300億円強を大きく上回る額だ。同社は欧州の裁判所への提訴も含め今後の対応を検討するとしているが、大きな痛手には違いない。
欧州委は昨年も送電設備やファスナー、業務用ビデオテープなどのカルテルを相次いで摘発。三菱電機やYKK、ソニーなどの日本企業に制裁金を命じた。
液晶パネルのカルテルは日米韓とEUの独禁当局が調査を進めてきたとされる。シャープは今回、米司法省と1億2000万ドルの罰金支払いで合意したが、日本の公正取引委員会や欧州委の調査はまだ続いている。
国際カルテルの問題では、企業の法令順守が第一であることは言うまでもない。一方で独禁当局にも課題がある。世界的に見た公平性を確保するため、制度や運用ルールをなるべく標準化すべきではないか。
例えば制度面で、EUは行政処分、米国は刑事罰といった違いがある。不正行為を摘発する基準や、制裁金、罰金の程度も異なる。1件のカルテルで各当局がバラバラに処分や罰金などを決めると、企業の負担が過重になる恐れもある。自国や域内の産業保護のため、外国企業に厳罰を科しているのではないかとの疑念を生む可能性もあろう。
競争政策の国際的な枠組みづくりは、世界貿易機関(WTO)の交渉テーマとして提案されたが、途上国の反対で頓挫した経緯がある。日米欧で情報交換などカルテル調査の協力は進んでいるが、独禁法の制度・運用の国際標準化も推進すべきだ。


