最近、日本企業もかかわる大規模なカルテル事件の摘発が内外で相次いでいる。憂慮すべきことだ。
米司法省がおととい、パソコンや携帯電話に使われる液晶パネルのカルテルで、シャープなど日韓台のメーカー3社が罪を認めたと発表した。
欧州委員会も今週、自動車用ガラスのカルテルで旭硝子など日欧の4社に制裁金の支払いを命じた。摘発された企業の中には、昨秋にも建設用板ガラスのカルテルで課徴金支払いを命じられたところがある。
こうした部品についてのカルテルの結果、携帯電話や自動車の販売価格も高くなっていたとしたら、多くの消費者も被害者ということになる。
国内でも、住宅の屋根などに使われる亜鉛めっき鋼板でカルテルがあったとして、公正取引委員会が大手3社を検察当局に刑事告発した。価格カルテルでの告発は17年ぶりとなる。鋼板を仕入れる板金店のような零細企業は、仕入れ価格をつり上げられても工事代に転嫁しにくい。結局は板金店がコスト増を負担しなければならなかった。
このような行為を防止するには、企業に「カルテルは割に合わない犯罪」だと思わせるだけの、抑止力のある罰則が必要だ。その点、日本の罰則はまだ軽すぎるのではないか。
今回、米国でシャープなど3社が支払う罰金の総額は、米国で過去2番目の大きさとなる5億8500万ドル(約560億円)。欧州委が4社に命じた制裁金も、過去最高の総額13億8千万ユーロ(約1700億円)だった。
日本では、罰金(上限5億円)と課徴金(大企業は違反対象売り上げの10%)の二本立てだが、二つを合計しても、こうした巨額の制裁を科す欧米に比べてまだまだ安い。
公取委は米欧にならって、企業がみずから違反を当局へ通報すれば処分を軽くする「課徴金減免制度」を導入した。この制度は鋼板カルテルの摘発などで効果をあげている。効果をさらに高めるためにも、罰金・課徴金を大幅に引き上げた方がいい。
世界経済はこれから景気の後退が進むだろう。苦しくなった企業や業界が価格カルテルに走る恐れも高まる。国際的に連携してこれを防止することは、いまの経済混乱を鎮めて市場経済を安定させるためにも必要だ。
主犯格企業の課徴金の割り増しや時効の延長を盛り込んだ独禁法改正案を政府が国会に提出しているが、棚上げされる可能性が強まっている。さらに罰則を強化することを検討しつつ、早期の成立をめざしてもらいたい。


