2020年03月25日

[東京新聞] トヨタとNTT 未来の街の日本連合 (2020年03月25日)

トヨタ自動車とNTTが「スマートシティー」分野での業務資本提携に合意した。日本を代表する「巨人」が手を結ぶ以上、人を中心にした手本となる街づくりを目指すべきだ。

両社は約二千億円ずつ相互出資した上で、共同でスマートシティーの基盤を構築していく。両社は二〇一七年、インターネットに接続するコネクテッドカー(つながる車)分野での協業で合意していたが、さらに長期的な視点で未来の街づくりを推進して相互に企業価値を高めていくため、資本提携にまで踏み切った。

スマートシティーは、渋滞などの社会的課題を新技術で克服することを目的に整備された、持続可能な都市のことだ。異業種との連携を加速するトヨタは今年一月、静岡県裾野市の子会社工場跡地(約七十万平方メートル)を活用したスマートシティー構想を発表した。トヨタが開発している自動運転の電気自動車(EV)が走り、人工知能(AI)を活用した健康チェックも行うという。

実現するには、情報通信インフラが不可欠だ。トヨタの豊田章男社長は二十四日の会見で、通信を血管に例えて「NTTは社会システムの根幹を担っている」と評価した。裾野の開発を先行事例として協業を進め、その後は他都市に拡大していく計画だ。

NTTも、米ラスベガスでスマートシティー整備に取り組んでいるほか、マレーシアでは二月から実証実験を始めた。日本ではこれから、第五世代(5G)移動通信システムを使ったサービスが本格化するが、さらに次世代の通信技術も見据えてトヨタとの連携を深めるとみられる。

スマートシティーは、日本、世界各地で計画が立ち上がり、競い合うように開発が進む。そのタイミングで両社が手を組んだことは「日本連合」が形成されたことを意味し、今後はどんな企業が参画していくかが注目される。NTTの澤田純社長が会見で、スマートシティーに力を入れるグーグルなど米巨大IT企業へのライバル心をあらわにしたのも、意気込みの表れといっていい。

一方、5G先進国の韓国でも、広範な産業界での利活用は広がっていない。スマートシティーで収集される膨大な住民データの厳格な管理も大きな課題だ。世界のライバル勢に対抗する上では、住民ファーストを徹底し、安全や暮らしやすさを重視した「日本らしさ」の確立も求められる。
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[東京新聞] 一斉休校 学童保育拡充の契機に (2020年03月25日)

新型コロナウイルスの感染症対策で休校が続く間、放課後児童クラブ(学童保育)に大きな負担がかかっている。子育て支援に必要な施設だ。厳しい運営実態に目を向け拡充策を考える機会にしたい。

一万八千二百六十一人。二〇一九年五月時点で学童保育を利用したいのにできない待機児童数だ。

感染症が発生する前で、都市部を中心にこれだけの子どもたちが利用できないほど施設はぎりぎりの運営を強いられている。

そこへ一斉休校の実施だ。学校に行けない子どもたちの受け皿となったことで負担が増した。

政府は、学校再開に向けた指針を二十四日に公表したが、感染の拡大状況によっては新学期も休校が続く地域は出るだろう。支え手の手薄な弱い部分へのしわ寄せが続きそうだ。

学童保育は共働きやひとり親家庭の小学生が放課後や夏休みなどに、宿題をしたり友達と遊んだりする居場所で、公営や民間など全国に約二万六千カ所ある。学童保育は、こうした家庭にとっては仕事を続けるための命綱と言える。

政府は一斉休校を要請する際、学童保育は原則開所するよう要請した。だが、唐突な休校要請で人繰りに苦心している。人手不足など現場の実態を政府は十分に認識しての開所要請だったようには思えない。

厚生労働省によると、十六日時点で学童保育を設置している自治体の約七割が午前中から開所する対応をとっている。それ以外でも低学年は学校が、高学年を学童保育が受け入れるなどしてやっと対応している自治体もある。

負担増に日本学童保育学会は子どもの居場所としての役割を学童保育に「丸投げ」されたとの緊急声明を出した。現場の混乱と困難を考えれば当然の危機感だろう。

職員である指導員は発達段階や家庭環境の違う子どもたちに向き合う専門性が求められる。だが、全国学童保育連絡協議会によると非正規職員が公営施設でも半数近い。全体の半数以上が年収百五十万円未満だ。

不安定な雇用、不十分な待遇でも子どもに寄り添う担い手に頼っているのが実情である。

政府は三十万人分の定員拡充を進めているが、需要に追いついていない。施設の充実や職員の待遇改善に政府や自治体のさらなる財政支援は欠かせない。政府は学童保育は重要な子育て支援策と認識し態勢強化を図るべきだ。
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[産経新聞] 【主張】医療態勢 「爆発」への受け皿整えよ (2020年03月25日)

中国・武漢発の新型コロナウイルスをめぐり、政府の専門家会議が爆発的に患者が急増する「オーバーシュート」への懸念を示した。最悪の事態に備え、地域の医療態勢を整えることが焦眉の急となっている。

感染拡大を防ぐため、密閉空間、人の密集、近距離の会話の3条件を避ける生活にはストレスもあるだろう。だが、ここで警戒を緩めてはならない。事態が厳しさを増す恐れは十分にある。

感染のピーク時には今ある感染症の指定病床では足りなくなる。政府が示した推計モデルに基づき、都道府県は患者を重点的に受け入れる医療機関を設定し、そこへの医療従事者の増員などを急ぐべきである。

現在は原則、軽症患者も入院させているが、患者が急増する事態となれば、重症者を優先する医療態勢に移行せざるを得ない。

入院は酸素投与が必要な肺炎患者や、合併症のある患者などに限ることになる。入院治療が必要ない軽症者や無症状の感染者は自宅療養とする。

当然である。高度な医療を必要とする患者に優先的に提供し、救える命を確実に救うようにしなければならないからだ。回復した患者を速やかに引き受ける一般病院や搬送手段も必須である。

新たに患者を引き受ける一般病院のスタッフには、感染防止の教育を徹底してもらいたい。医療従事者の感染による地域の医療機能の低下を防がねばならない。彼らの安全確保は極めて重要だ。

専門家会議は軽症者をめぐる家族内感染の防止をめぐり、政府と自治体に重要な提言を行った。

軽症者は自宅療養が原則だが、新型ウイルスに弱い高齢者や基礎疾患のある家族と同居すれば、重症患者を生むかもしれない。

専門家会議は、このような場合には軽症者が宿泊施設などで療養するか、同居の家族が一時的に別の場所に滞在するよう促した。

軽症者の隔離について、米国は宿泊施設や学生寮などを、韓国は研修施設を用いて進めている。

日本でも大阪府が休止していた病棟や宿泊施設への振り分けを表明している。政府や自治体が迅速かつ積極的に準備しておかなければ間に合わなくなる。

政府や都道府県知事がリーダーシップをとって取り組むべき喫緊の課題である。
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[産経新聞] 【主張】中学教科書検定 偏向記述是正が不十分だ (2020年03月25日)

来春から使われる中学教科書の検定結果が公表された。戦後の造語である「従軍慰安婦」が再登場するなど、検定を経てもバランスを欠いた記述が残っているのは、うなずけない。

学習指導要領改定に伴い、各教科の内容が一新される。特に検定結果が注目される社会科では地理、歴史、公民の各分野を通し、北方領土や竹島、尖閣諸島について指導要領に沿い日本の固有の領土と明記された。記述が充実したことは望ましい。授業でも、教員が歴史的経緯などをしっかり理解して教えてもらいたい。

一方で、歴史の近現代を中心に日本をことさら悪く描く自虐史観に基づく記述が相変わらずある。例えば「従軍慰安婦」という不適切な記述が検定をパスした。「戦時体制下の植民地・占領地」との見出しを掲げた本文の脚注には、「戦地に設けられた『慰安施設』には、朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた(いわゆる従軍慰安婦)」とある。

「従軍慰安婦」は、平成8年に検定結果が公表された中学教科書に一斉に登場した。だが「強制連行説」が否定され、「従軍」と冠した記述がなくなるなどの是正が進んだ。戦場における性の問題がからみ、中学であえて扱う必要があるのか、疑問も出て一時は扱われなくなった経緯がある。

別の教科書も、慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官談話を要約して取り上げている。教科書にも禍根を残す河野談話の見直しは欠かせない。

朝鮮人労働者らの徴用についても「過酷な条件の下での労働を強いられた」などと「強制連行」と誤解させるような記述がまかり通っている。

そうした自虐史観の見直しに取り組んできた「新しい歴史教科書をつくる会」が推進する自由社版歴史教科書が不合格になったのは残念である。検定まで自虐史観にとらわれていないか。

東京五輪・パラリンピックについて「振り返ってみよう」といった五輪関連の記述も目立つ。新型コロナウイルス感染拡大の影響で五輪延期が検討されており、大幅な自主訂正が予想される。

何が起こるか分からない時代である。一面的な記述を排し、多角的に考える力を養う教科書の編集と検定のあり方をいま一度、見直してもらいたい。
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[毎日新聞] 政府の学校再開指針 方針転換も根拠が見えぬ (2020年03月25日)

新型コロナウイルス対策で、文部科学省が一斉休校を続けてきた学校の再開に向けた指針を公表した。

政府による全国一律の休校要請は打ち切られた。指針は、全国の学校が新学期から再開することを前提に作られており、感染防止対策を促す内容となっている。

そもそも一斉休校は、安倍晋三首相の政治判断によって今月2日から始まった。専門家の意見には基づいておらず、一律の対応が必要な根拠は不明確なままだった。

政府は、19日の専門家会議の報告を基に、再開の判断基準を示す方針だった。だが、会議では、再開への明確なゴーサインは出ていない。にもかかわらず、政府は「原則再開」へとかじを切った。

萩生田光一文科相は記者会見で「国民の感染拡大防止への意識が高まっている」と説明した。しかし、根拠としては不十分だ。もともと一斉休校に根拠がなかったために、方針転換する理由も示しづらいのではないか。

休校の長期化は市民生活に大きな影響を及ぼした。学習の遅れや、保護者が仕事を休めない子どもの居場所づくりなど、さまざまな課題が浮かんだ。こうした状況から、政府は軌道修正を迫られたのだろう。

だが、都市部を中心に感染者が増え続けている。一斉休校が始まった当時と比べ、状況が良くなっているとは言い難い。

子どもを本当に学校へ行かせて大丈夫なのかと、不安を募らせている保護者もいる。

感染の拡大に直面している自治体は、まず新学期から学校を再開するかどうかの判断を迫られている。再開を認める根拠が不明瞭で、判断基準も示されなければ、迷うところも出てくるだろう。

しかし、指針の内容は、換気の徹底など再開後の留意点を示すにとどまっており、再開判断の参考にはならない。

指針は、学校で今後、感染者が出た場合の対応として、それぞれの地域の感染拡大の状況などを総合的に考慮し、休校の必要性を判断することも求めている。

それも自治体任せでは混乱しかねない。政府は相談に応じる仕組みを整える必要がある。
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[毎日新聞] 同一労働・賃金スタート 実効性確保は企業の責任 (2020年03月25日)

非正規労働者の待遇改善を企業に求める「同一労働同一賃金」の制度が、4月1日からスタートする。まずは大企業の非正規労働者とすべての派遣労働者が対象で、2年目から全面実施となる。

2018年に成立した働き方改革関連法に基づく対策だ。非正規労働者の賃金は正規労働者の6割程度にとどまってきたことが背景にある。

改正法は同じ企業に勤める正規・非正規の労働者の間で、不合理な待遇差や差別的取り扱いを禁じた。パートや有期契約の労働者だけではなく、派遣労働者も含めた点に意義がある。

厚生労働省の指針では、基本給や賞与は勤続年数や能力・成果が同じ場合は、原則同額を払うこととしている。差を認めるのは、転勤や異動が正社員に限られる場合などだ。

通勤手当や出張旅費、休憩室や社宅の利用など福利厚生については、正規・非正規で区別しないよう求めている。

合理的に説明できない待遇差は認められない。

実効性を確保するのは各企業の責任だ。企業の現金などの内部留保は18年度で463兆円に上る。格差を放置せずに、積極的に待遇改善に取り組むべきだ。

制度開始でコストが増えることに伴い、非正規労働者の雇い止めが起きることが懸念される。こうしたことがあってはならない。

新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、景気の先行き不安を待遇改善回避の言い訳にする企業も出ているようだ。しかし、それは通用しない。

手当や福利厚生と異なり、基本給の引き上げを進めるには昇給・評価の仕組みが必要だ。しかし、整備されていないことが多い。この点から改善していくべきではないか。

派遣労働者の待遇改善は、派遣料金の引き上げにつながる。派遣サービスを利用している企業は、応分の負担を引き受けるべきだ。

非正規労働者は既存の労働組合に加入していないことが多いが、労組が企業に適切な対応を要求していくことが大切だ。

同一労働同一賃金は欧州で主流だが、日本の法整備は立ち遅れている。着実な実施が求められる。
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[読売新聞] 企業の資金繰り 官民で万全の支援策を講じよ (2020年03月25日)

新型コロナウイルスの感染拡大で、苦境に陥った企業は多い。官民挙げて、資金繰り支援に万全を期さねばならない。

政府は金融界に協力を要請した。金融機関には運転資金の確保に関する相談が、企業から殺到しているという。

訪日客の激減やイベント自粛でサービス消費が大きく落ち込み、飲食店やホテル・旅館などで売り上げが急減している。

患者の増加が著しい欧米では、経済活動の停滞が目立つ。輸出企業への打撃も避けられまい。

ただでさえ、決済が集中する年度末は資金需要が高まる。連鎖倒産や失業が広がらぬよう、金融機関は借金の返済猶予や新規融資などに迅速に応じてもらいたい。

決算が赤字、負債が資産を上回る「債務超過」になった、といった形式で判断するのではなく、事業の実態や企業ニーズに丁寧に耳を傾け、柔軟に対処すべきだ。

政府は、中小・小規模事業者に対し、政府系金融機関を通じて実質無利子・無担保で融資する5000億円規模の特別貸付制度を創設した。信用保証制度の拡充などを含めると、企業への支援策は総額で1・6兆円規模に上る。

自治体も独自の措置を講じている。積極的に活用したい。使い勝手が悪ければ、利用条件の緩和などを検討することが大切だ。

信用保証付きの融資を利用するには、企業は市区町村長の認定を受け、金融機関か最寄りの信用保証協会に申請する必要がある。

一部の自治体では認定を受けるための申し込みが急増し、融資に時間がかかる恐れが出ている。資金繰りは一刻を争うことが多い。人員の増強などを図り、手続きを円滑に進めねばならない。

金融の目詰まりを防止するには、政府・日本銀行による側面支援が欠かせない。

日銀は今月、企業金融の支援策として、金融機関に金利ゼロで資金を貸し出す制度を新設した。融資に回すお金を確保しやすくする狙いがある。必要に応じて、機動的に追加策を発動すべきだ。

金融機関の財務基盤が安定していることも重要になる。

地方銀行や信用金庫などの自己資本は今のところ、十分な水準にある。だが、保有株式の株価急落で今年3月期に損失計上を迫られる公算が大きい。不良債権の処理も増える可能性があろう。

万が一、自己資本比率が大幅に低下する金融機関が出てきた場合には、金融庁は、公的資金の注入をためらうべきではない。
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[読売新聞] 学校再開の指針 気を緩めず感染防止の徹底を (2020年03月25日)

新型コロナウイルスへの警戒を怠らず、学校生活を徐々に取り戻していくことが大切だ。

文部科学省は、全国の教育委員会に、新学期から小中高校などを再開するにあたっての指針を通知した。これを受け、各教委は4月からの再開に向けた準備を進める。

国内の感染状況は、ばらつきがあり、政府の専門家会議は、地域の実情に合わせて活動の再開を探るよう促している。

全国一律の休校措置に区切りをつけ、各地域の判断で、学校活動を本格化させていくのは、現実的な対応と言える。

休校の期間中、自宅待機を強いられ、生活が不規則になり、ストレスをため込んでいた子も少なくない。新学期の開始を日常に戻る足がかりとしたい。

子供の面倒を見るために仕事を休まざるを得なかった保護者らの負担も和らぐだろう。

重要なのは、学校での集団感染を防ぎ、子供たちや地域の人々の健康を守ることだ。

文科省の指針は、再開時の留意事項として、児童生徒や教職員による毎日の検温や換気の徹底、会話時のマスク着用を挙げた。手洗いの励行などの指導も求めた。

集団感染が起きやすい「換気の悪い密閉空間」「人の密集」「近距離での会話」の3条件が重なる状況を避けるよう促した。授業や給食の際、向かい合って座らないといった工夫が求められる。

子供が発熱したといった情報が円滑に伝わるよう、学校と保護者が緊密に連絡を取り合う態勢を整えなければならない。

家庭では、免疫力を高めるため、十分な睡眠やバランスの取れた食事にも留意したい。

長期の休校の影響で、学習に遅れが出ている児童生徒への目配りも欠かせない。補習の実施や、宿題を課して家庭学習を促すといった取り組みも進めたい。

学校再開後、児童生徒や教職員らが感染した場合、再び休校や学級閉鎖などに踏み切ることをためらうべきではない。保健所などと連携し、感染拡大を防ぐ措置を講じることが肝要である。

患者の発生状況に応じて、どんな対応策を取るか。各教委や学校で、あらかじめ定めておくことも検討に値しよう。

子供たちに、感染者やその家族、医療従事者らへの差別意識が生まれないようにする努力も必要だ。教員らは偏見やいじめにつながりかねない行為に目を光らせ、適切に指導してもらいたい。
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[朝日新聞] 学校再開へ 学びの確保を柔軟に (2020年03月25日)

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための全国一斉の休校措置が、新学期から解除されることになり、文部科学省が再開に向けた指針を公表した。

近距離で話をする時のマスク着用や換気の徹底などを指示するとともに、再開後、子どもや教職員に感染者が出た場合は、学級や学校単位で休業することを認める内容となっている。

安倍首相の要請で唐突に始まった一斉休校には多くの疑問があった。感染状況や通学範囲の広さ、往来の激しさなどは、地域によって異なる。自治体が学校ごとに危険度を見極め、柔軟に判断する方が理にかなう。

休校をめぐっては他にも、小さな子がいる保護者が働きに出られない▽代わりになる学童保育の施設の方が感染リスクが高い恐れがある▽栄養は給食が頼りという子もいて、健康が損なわれる▽給食業者や非常勤職員の働く場が失われる――などの指摘が出ていた。万全とはいえないが、指針はそうした課題の克服にも目配りしている。

授業が来月始まっても、本人や家族に基礎疾患があるなどの理由で、登校に不安を持つ家庭もあるだろう。各校は個々の状況把握に努め、そうした場合には出席を強いることのないように留意してもらいたい。

言うまでもないが、学校再開は警戒を緩めていいという合図ではない。政府の専門家会議は都市部などでの大規模流行に警鐘を鳴らしている。校内にはいなくても、周辺地域で感染者が急増した場合はただちに休校に切り替えるなど、臨機応変の対応が求められる。

また、開校か閉鎖かの二者択一ではなく、他に取りうる手段も用意しておきたい。学年や学級別に授業日を設ける分散登校など、密集を避けつつ授業を進める工夫があっていい。休校にする場合も、学校施設を開放して自宅で一人になる子たちの居場所をつくることはできる。

気になるのは休校に伴う学習の遅れだ。9年前の3月に起きた東日本大震災では、被災した学校の多くは4月中下旬まで、遅いところでは5月下旬まで始業がずれ込んだ。その後、夏冬の休みを短くしたり、土曜授業を行ったりして取り戻したという。当時の知見も生かし、児童生徒や教員の負担が過大にならない方法を探ってほしい。

ネットを使った授業動画や、デジタル教材による自習の試みも広がっている。ただ、自宅に機器があるかどうかや自学自習ができる環境か否かは家庭による差が大きく、教育格差を広げかねない面もある。対面学習の重要性に変わりはない。NPOなどと連携し、学習支援事業の強化もあわせて進めたい。
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[朝日新聞] 河井夫妻 議員の職を辞すべきだ (2020年03月25日)

国民の代表である国会議員には、重い政治的、道義的責任がある。疑惑が報じられて約5カ月、公設秘書の刑事責任が問われる事態となっても、説明責任を果たせないようなら、自ら議員の職を辞するほかあるまい。

昨夏の参院選広島選挙区で初当選した自民党の河井案里氏の選挙運動をめぐり、案里氏と夫で前法相の克行衆院議員のそれぞれの秘書が、車上運動員に法定上限を超える報酬を支払った公職選挙法違反(買収)の罪で起訴された。

案里氏は改選数2の広島選挙区の2人目の公認候補として、党本部主導で擁立された。立候補表明から投開票まで4カ月しかないなか、党本部からもう1人の候補者への10倍にあたる1億5千万円の政治資金を受け取り、物量作戦を展開した。

この選挙運動で主導的な役割を果たしたのは克行氏とされる。朝日新聞が入手した陣営のLINE(ライン)のやりとりの画像からは、克行氏が広報車の走行ルートや集会の開催まで、事細かく指示していた様子がうかがえる。違法な報酬支払いに克行氏は関わりがないのか、他に違法性を疑われる事案はないのか、捜査当局は全容解明に全力を尽くしてほしい。

広島地検は案里氏の秘書について、公判を迅速に進める「百日裁判」を申し立てた。禁錮刑以上が確定し、連座制が適用されれば、案里氏の当選は無効になり失職する。

まさに議員の身分に直結する重大な局面なのに、夫妻はそれぞれ、わずか数行の「お詫(わ)び」のコメントを出しただけで、公の場での説明はなかった。「刑事裁判の行方を注視したい」(案里氏)、「事実関係や刑事責任は裁判において明らかになる」(克行氏)とは、他人事すぎる。

説明責任から逃げ回ったまま、国会でまともな議員活動ができるとは思えない。朝日新聞の先日の世論調査では、夫妻は責任をとって議員を辞職するべきだとの回答が70%に達した。政治に不可欠な国民の信頼という支えも既に失われているのではないか。

克行氏は疑惑が発覚して辞任するまで、法務行政をつかさどる法務省のトップだった。その政治責任の重さを自覚するなら、案里氏とともに議員の職を辞すべきだ。

案里氏を擁立し、その選挙戦を全面支援した安倍首相と自民党執行部の責任も重い。夫妻に説明責任を果たすよう求めることもなく、このまま本人任せを続けることは許されない。夫妻が自ら進退を判断できないのであれば、政治的なけじめを求めるのが党の役割だ。
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