2020年03月21日

[東京新聞] 新型コロナ対策 地方の底力を信じたい (2020年03月21日)

新型コロナウイルス感染症の対策について政府は専門家会議の見解を受け方針を見直し、地域の実情を踏まえた対応に転じた。柔軟な対策の実施へ、地方自治体や民間の力を生かしたい。

感染が拡大している地域は引き続き対策が必要としつつ、感染が確認されていない地域は休校や文化施設の利用自粛を解除してもいい−。専門家会議が示した見解は、いわば地域ごとの対応を求めている。政府も見解に沿った方針に改めたが、当然だろう。そもそも感染状況は地域で違いがあるからだ。

安倍晋三首相は専門家の意見を聞かずに独断で、イベント自粛や全国一斉の休校を要請した。そのやり方に自治体の首長からは疑問や反発の声が上がった。

政府の対応で仕事がなくなり生活に困る人が出かねない。子どもたちにとっては学校生活がなくなっただけではなく、人生の節目の大切な行事である卒業式の実施にも大きな影響が出た。

政府はまず、イベント自粛や一斉休校による感染拡大防止の効果がどれくらいあったのか、根拠を示し丁寧に説明すべきだ。

一方でこの間、各地域では注目したい独自の動きがあった。

感染者の増加を受け北海道の鈴木直道知事が二月二十八日に「緊急事態宣言」を出し外出の自粛を求めた。

知事の危機感は道民に伝わったようだ。感染者は減少傾向となり、宣言は終了した。地方の取り組み次第では対策が効果を上げると分かったケースではないか。

浜松市や富山市など政府の判断を待たずに学校を再開させる自治体も出始めた。

大阪府は患者増加に備え、重症度に応じて医療機関や宿泊施設に振り分ける対応を決めた。埼玉県は感染の有無を調べる検査の優先順位を明確化する方針を表明した。いずれも医療現場の混乱を避けるための独自の判断だ。

民間にも動きがある。一部のテーマパークでは換気のよい屋外施設に限定したり、入り口で来場者の体温を測るなどの対応を取りながら営業を再開している。

地域の状況を冷静に見つつ、感染防止対策と日常生活の両立を実現する。そのために自治体や民間ができることは少なくない。こうした取り組みを尊重したい。

政府は地方の努力を支える情報の提供や水際対策、経済支援、医療支援などに徹し、一律で一方的な規制には慎重であるべきだ。
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[東京新聞] 欧州で感染拡大 EUの真価が問われる (2020年03月21日)

新型コロナウイルスの欧州での感染拡大が止まらない。各国が入国制限に走るのはやむを得ない。しかし、ウイルス封じ込めのためには、欧州各国間の信頼と結束も忘れてはなるまい。

特に感染がひどいのがイタリアだ。感染者は四万一千人、死者は三千四百人を超えた。

六十五歳以上の高齢者の割合が23%と欧州連合(EU)加盟国で最も高い上、中国と「一帯一路」構想で協力する覚書を交わすなど関係を深めていた。一月末に中国との直行便を停止したが、ウイルス検査を中国と関連を持つ人に限ったため、感染を見逃した可能性もある。医療関連予算が削減され医師や看護師が足りなかったところに、感染の拡大で集中治療室や人工呼吸器の不足に拍車を掛け、医療崩壊の状態になった。

感染はEU諸国に広がり、各国は国内移動の規制を強化、欧州らしいにぎわいは消えた。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は「欧州がパンデミックの中心地」と指摘、フランスのマクロン大統領は「われわれは戦争状態にある」と緊急事態を強調した。

二十六カ国が国境検問を免除し合うシェンゲン協定が感染拡大の一因との指摘もあり、入国制限に乗り出す国が相次いでいる。当初、国境封鎖に反対していたドイツも、周辺五カ国からの入国制限に踏み切った。メルケル首相は「人口の60〜70%が感染する恐れがある」と危機感を強めていた。

シェンゲン協定は、EUの基本理念である移動の自由を保障したものだ。国境封鎖はこれに逆行するが、感染拡大を防ぐための非常措置ととらえるべきだろう。

各国はマスクの輸出禁止など自国第一の対策を進めているが、周辺国との共存共栄というEUの理念も忘れてはなるまい。

当初、存在感の薄かった欧州委員会も非EU市民の域内入りを禁じる措置を発表し、EU全体としての対策に乗り出した。各国の自国中心主義が行き過ぎないよう、指導力を発揮すべきだ。

加盟国それぞれが、歴史の苦難を乗り切ってきた知恵を持つのがEUの強みだ。感染の不安に乗じた反EUのポピュリズムに走ることなく、結束して難局を乗り越えてほしい。

トランプ大統領の米国第一主義などで今、国際社会の溝は深まっている。感染拡大は日本を含め世界が直面する難題だ。いがみ合っている場合ではない。国際協調で感染対策を進めたい。
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[産経新聞] 【主張】感染症対策本部 警戒緩めずに学校再開を (2020年03月21日)

政府が、全国一斉の臨時休校を要請した学校について、4月の新学期から可能な地域で再開する方針を打ち出した。

安倍晋三首相は感染症対策本部の会合で、自治体が学校再開を判断するための具体的方針をまとめるよう指示した。

一斉休校に意義はあったが、子供の学業は重要であり、中国・武漢発の新型コロナウイルスとの戦いは長丁場となる。緩急をつけた対応が必要で、感染状況と照らし合わせ、可能な地域の学校を再開することは妥当である。

ただし、日本が爆発的な感染拡大の脅威にさらされていることを忘れてはならない。感染拡大を阻むために社会経済活動を控えることは痛みを伴うが、無原則に緩めてはいけない。

政府の専門家会議の19日の提言が、日本が置かれた厳しい状況を説いたことを重視すべきだ。

一部地域で感染拡大が続いている。都市部などで感染源不明の感染者が増えている。これが続けば、欧州が直面しているような、患者が爆発的に急増する「オーバーシュート」という事態が日本でも起きかねないという。大規模イベントは感染拡大のリスクがあり、主催者がそのリスクを判断して慎重に対応するよう求めた。

中国や欧米と比べ、日本の感染・犠牲者数が少ないからといって油断できないということだ。

提言は、一斉休校や大規模イベントの自粛要請、国民の行動の変化など、これまでの対応には効果があったとした。そうであっても、今後について厳しい認識を示した点を重く受け止めたい。

首相が専門家会議の提言を踏まえ、大型イベントについて慎重対応を求めたのも当然だ。

大阪府の吉村洋文知事が19日夕、20日からの3連休について、大阪?兵庫間の不要不急の往来自粛を呼びかけた。国の専門家チームが18日に大阪府と兵庫県に入り、提案した。知事による突然の要請は波紋を呼んだが、感染の急拡大が懸念されているため、やむを得まい。

ただし、吉村氏と兵庫県の井戸敏三知事が話し合わずに異なる内容の発表をしたのは疑問だ。井戸氏は往来自粛をとりあえず24日までとした。期間がずれていれば、府県民が混乱する。

緊急の対応であっても、基本事項の調整を怠ってはならない。
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[毎日新聞] コロナと財政出動 国際協調で効果的対策に (2020年03月21日)

コロナショックによる景気悪化に対応するため、日米欧が大型の財政出動策の取りまとめを急いでいる。

トランプ米政権は100兆円超にも上る空前の規模の対策を議会に提案した。安倍政権も来月には緊急対策を決める方針で、与党からは15兆円超を求める声が出ている。各国の対策は、リーマン・ショック時を上回る可能性がある。

日米欧の主要7カ国(G7)首脳は今週、財政政策と金融政策を総動員し、協調して取り組む方針を確認した。これに沿った対応だろう。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、各国は外出禁止、イベント自粛、店舗休止など異例の措置を余儀なくされている。買い物やレジャー、旅行といった需要が蒸発し、倒産や失業の急増が懸念される。

安定した企業活動と雇用は経済を支える基盤だ。景気への打撃を最小限に食い止めるには、政府が積極的にお金を出して、企業や働く人を支えていくことが欠かせない。

日米などの対策の柱になりそうなのは現金給付だ。

安倍政権は全国民に給付する案で調整している。リーマン・ショック後、政府は1人に原則1万2000円の定額給付金を配布したことがあり、それを上回る額を検討している。トランプ大統領は1人10万円以上の給付を主張しているという。

だが国民の不安が根強い中、現金を配っても貯蓄に回されて消費には使われない、との見方は多い。その場合、巨額の財政出動のわりに景気刺激効果は限られてしまう。

また、国の借金が先進国で最悪の水準の日本だけでなく、米国も借金が増えている。今回の財政出動方針を受け、金融市場では財政の先行きに不安が高まり、日米の国債が売られ長期金利が上昇した。かえって景気の足かせになる恐れがある。

重要なのは、国民の不安を和らげる生活保障や企業の資金繰り支援など効果的な対策に重点的に取り組むことだ。単なる大盤振る舞いにしてしまうと、禍根を残す。

日米欧と中国など新興国で構成する主要20カ国・地域(G20)は来週、首脳による緊急のテレビ電話協議を行う。難局の打開に向けて、協調を幅広く確認し、効果的な対策に結びつける機会とすべきだ。
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[毎日新聞] 野田虐待死で判決 子どもを守る連携強化を (2020年03月21日)

千葉県野田市で小学4年の栗原心愛(みあ)さんを虐待死させたとして、千葉地裁が父親の勇一郎被告に懲役16年の判決を言い渡した。

父親は暴力の内容をほぼ認めず、日常的虐待を否定したが、判決は母親の証言などから全面的に退けた。

裁判では、心愛さんが屈伸をさせられたり、大泣きしたりする様子を撮影した動画が証拠とされた。判決は「理不尽な支配欲から虐待を続け人格を全否定した」と批判した。

過去の虐待死事件の量刑は懲役10年前後が多かった。判決は今回、極めて悪質な事例と判断し、先例を上回る刑とした。虐待が後を絶たない中、厳しい姿勢で臨んだと言える。

亡くなる3カ月前、心愛さんは自分宛てに「未来のあなたを見たい。あきらめないで」と手紙を書いていた。あまりに痛ましい事件だった。

事件では、児童相談所や自治体の対応に多くの問題点が指摘された。国や自治体の検証で、一時保護した児相が、危険性を十分に検討しないまま帰宅させた実態が判明した。

市教委は、被害を訴えた学校アンケートの写しを父親に渡していた。

事件後、子ども保護と保護者支援を担う職員を分けるなど、児相の機能強化に向け、児童虐待対策関連法が改正された。だが、浮き彫りになった課題への取り組みは不十分だ。

政府は、児相で虐待対応に当たる専門職の増員目標を掲げ、実際に増えつつある。しかし、対応する虐待件数の伸びに追いついていない。2018年度の虐待相談は、過去最多の約16万件に上った。

職員が数年で異動するため、知識や経験が蓄積されない状況も変わっていない。一時保護をする施設も都市部で定員超過が相次いでいる。

こうした状況を直ちに改善することは難しい。児相が虐待を見逃さないのは当然であるものの、児相だけに責任を負わせず、関係機関が連携していくことが欠かせない。

児相と警察が全ての虐待情報を共有する動きが各地で進む。法務省も法務局や検察などが児相を支援する仕組みを設けた。NPO法人など民間の力を活用する取り組みもある。

各機関が特性を生かし、協力して子どもの異常を早期に把握する。同じ悲劇を繰り返さないため、連携の枠組みを強化していくべきだ。
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[読売新聞] 新型コロナ対策 警戒緩めず長期戦に備えたい (2020年03月21日)

新型コロナウイルスの感染対策は長期間に及ぼう。感染拡大を抑えるための対策を継続しなければならない。

安倍首相は政府対策本部で、感染症対策を徹底する考えを示すとともに、感染抑止の観点から、大規模イベントの開催については、引き続き慎重な対応を求めた。

世界で感染が広がり、欧州などからの帰国者の感染も見つかっている。ウイルスが海外から流入するリスクは高まっている。

政府の専門家会議は、日本の現状について、一部地域で感染者が増えており、爆発的な感染拡大の可能性があると分析した。

首相の判断は、こうした厳しい現状を踏まえたものと言える。

萩生田文部科学相は、春休みまでの一斉休校の要請は延長しない方針を明らかにした。新学期からの学校再開に向けた考え方などを盛り込んだ指針を近く示す。

感染を抑止する対策を講じつつ、日常を取り戻す道を慎重に探っていくことが欠かせない。

専門家会議の報告書では、これまでの対策について、緊急事態宣言を出した北海道では一定の効果があったが、都市部では十分ではないと懸念を示している。

イベント自粛や時差出勤などで、感染拡大のスピードは鈍ったものの、感染の連鎖を断ち切るには至っていないためだ。

換気が悪い空間や、多くの人が近距離で会話する場所などを避けるよう、専門家会議が改めて求めたのは理解できる。一人ひとりが感染を防ぐ行動を徹底したい。

専門家会議は、地域ごとの実情に応じた対応を促した。

感染が拡大傾向にある地域に、社会活動の一律自粛などの検討を求めた。感染者が少ない地域には、屋外でのスポーツや文化施設の利用など、リスクの低い活動から解除することを容認した。

自治体ごとに感染状況を踏まえた判断が求められよう。

患者急増に備えた医療体制の整備も重要である。

専門家会議は、重症者を優先して治療する必要性を指摘している。症状が軽い患者は自宅療養とし、入院の対象は、重症者や合併症のある人に絞る。

重症者を受け入れる病床の確保を通じて、医療崩壊に至らないようにすることが大切だ。

各地の保健所などで、感染の経路を追跡する調査を担える人材が不足している。感染拡大を防ぐため、感染者の集団を早期に把握する体制を拡充すべきだ。
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[読売新聞] サリン事件25年 最新技術を活用しテロを防げ (2020年03月21日)

教訓を生かして、新たなテロの脅威に備えることが大切である。

オウム真理教による地下鉄サリン事件から25年が経過した。事件では東京の地下鉄に猛毒のサリンがまかれ、13人が死亡、6000人以上が負傷した。

未曽有の化学テロに世界が衝撃を受けた。日本の安全神話を揺るがす事件だったと言える。

事件を機に化学テロへの対応が課題となり、全国9都道府県警に核・生物・化学のテロ対応専門部隊が創設された。自衛隊や消防との合同訓練など、組織を超えた連携も深まった。毒劇物の取引に関する規制も強化された。

事件当時、医師らは手探りで被害者の救命に奔走した。2001年の米同時テロ直後には、米議会などに炭疽(たんそ)菌が付着した手紙が送りつけられた。ウイルスや細菌を使ったテロも懸念される。

あらゆる事態に対応できる医療体制の確立が求められる。

教団はヘリを使って首都上空にサリンを散布することを計画していた。今では小型無人機ドローンで危険物を標的まで運べる。南米ベネズエラでは18年、大統領の演説中に爆薬を積んだドローンが空中爆発する事件が起きた。

原子力発電所やコンビナートが標的になれば、甚大な被害が出かねない。ドローンの電波から飛行地点を特定する検知器や、妨害電波で操縦不能にする装置が開発されている。空からの攻撃に対する備えを固める必要があろう。

近年、海外では、駅や劇場といった不特定多数の人が集まるソフトターゲットが狙われるケースが目立つ。過激派組織「イスラム国」が関係したパリやベルギーのテロは記憶に新しい。

こうした犯行を防ぐ上で注目されるのが、人工知能(AI)を使って不審者を発見するシステムだ。体の小刻みな震えなどをAIが測定し、犯行前に興奮しているテロリストを見分けるという。実用化に向け、精度を高めたい。

地下鉄サリン事件の凶行に手を染めたのは、世紀末に終末思想を掲げた教団に救済を求めて集まった若者たちだった。オウムの後継団体には今なお、入信する若者が後を絶たない。

インターネットの普及に伴い、カルト的な思想の拡散が容易になったことにも注意が必要だ。

ネットを通じて海外の過激思想に感化され、自国で犯行に及ぶ「ホームグロウン型」のテロの脅威も増している。警察など関係当局は警戒を怠ってはなるまい。
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[朝日新聞] 新型コロナ対策 不安に応える発信を (2020年03月21日)

都市部を中心に経路のわからない新型コロナウイルス感染者が見つかっており、患者の爆発的増加がいつ起きてもおかしくない――。政府の専門家会議がそんな見解をまとめた。

懸念された北海道では拡大が抑えられているものの、海外からの帰国者の感染例も相次ぎ、水際対策の再強化を余儀なくされる状況だ。さらなる長期化に備えた態勢の構築が必要だ。

まず急ぐべきは、対策の最前線を担う地域の保健所へのテコ入れである。ウイルス検査や入院先の手配、感染経路の追跡、電話相談への対応など、業務は多岐にわたる。過重労働が続けば疲弊し、ミスも起きる。

非常勤者を含めスタッフの増強を図るとともに、可能な業務から外部委託も進めるべきだ。政府・自治体は必要な措置や支援を惜しんではならない。

丁寧で迅速な情報発信の大切さは言うまでもない。

おととい公表された専門家会議の見解は、データを示しながらなるべく平易な言葉を使い、市民にひろく呼びかける内容になっている。夜遅くに始まった会見も約2時間に及んだ。それでも、詳しい説明や確認を望む声は今後も続くだろう。

たとえば見解は、感染状況に応じて地域を三つに分け、収束傾向にある地域や感染者の出ていない地域では、屋外でのスポーツや観戦、文化・芸術施設の利用など、感染リスクの低い活動から自粛を段階的に解除する考えを示した。

方向性に異論はないが、主催者側とすれば、地域とはどの範囲か、感染状況を誰に、どう確認すればいいのか、そのイベントに適したリスク低減策として何が考えられるかなど、相談できる先がほしいだろう。

専門家会議の機能や人員を拡充し、科学的分析力とあわせ、情報の収集力・発信力を強化することが求められる。

政府全体で顔をしっかり見せて、最新の知見や対策をきめ細かく提示し続けることが、人々の理解を得るうえで不可欠だ。説明を嫌い、厳しい質問から逃げてきた安倍政権だが、健康に関わり、社会・経済生活を大きく揺るがしているこの問題に、これまでの姿勢は通じない。

その意味で、きのうの政府対策本部での首相の対応には疑問がある。専門家会議の見解を受け、学校については再開に向けて指示を出したものの、同じく自らの唐突な要請で始まったイベントの自粛に関しては明確な言葉で語らなかった。責任をどう自覚しているのだろうか。

専門家が学識に基づいて検討し、その成果を踏まえて政治が判断し、説明する。どれか一つが欠けても事は成就しない。
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[朝日新聞] 内戦のリビア 各国は軍事介入やめよ (2020年03月21日)

9年にもおよぶ内戦から抜け出す糸口が見えない。地中海に面した北アフリカの国、リビアの厳しい現実である。国際社会は一致して、和平に向けた努力を尽くして欲しい。

リビアでは、4年ほど前に国連の仲介で暫定政府が出来た。だが、東部を拠点とする武装組織「リビア国民軍」がこれを拒否したため、戦乱が続く。昨年4月には国民軍が暫定政府のある西部トリポリに向けて進軍を始め、戦闘が激化した。

国連や関係国の働きかけで一時的な休戦にこぎつけ、今年2月には双方が停戦協議の席に着いた。だが休戦は直ちに破られ、交渉は暗礁に乗り上げた。

混迷をいっそう深めているのは外国の介入だ。国連の認める暫定政府をトルコやイタリアなどが支援する。国民軍はロシアやサウジアラビアなどの後押しを受け、米国も支持している。

とりわけトルコとロシアの責任は重い。トルコは昨年末に暫定政府と軍事協定を結び、派兵を始めた。ロシアは民間軍事会社が数千人の傭兵(ようへい)を送り込んでいるという。石油の豊富なリビアでの影響力確保や、シリアでの対立が絡みあっている。

武器や兵士の流入が止まらなければ和平は望むべくもない。ロシアとトルコの首脳は国際会議で、国連安保理決議が求める武器禁輸の順守や、軍事支援の停止を明言した。国際社会への約束を破ることは許されない。

安全保障への影響は国内にとどまらない。国境管理がままならず、国際テロ組織アルカイダ系の団体や過激派組織「イスラム国」(IS)にあらたな活動場所を与えている。マリやソマリアなど周辺国の武装組織にも武器が流れ、アフリカの治安を悪化させている。

深刻な人道危機に目をつぶってはなるまい。国連によれば、リビアでは約35万人が家を追われ、90万人が援助を必要としている。流れ込む移民につけ込むブローカーも暗躍する。地中海をボートなどで渡り、欧州に向かう移民や難民は昨年まで6年続けて10万人を超し、沈没などによる死者は2万人に迫る。

国家統治の崩壊で心配されるのが衛生状態の悪化である。国連と欧米など9カ国は今週、暫定政府と国民軍の双方に「人道的休戦」を求めた。新型コロナウイルスへの対策に注力するよう促すためだ。

同様に内戦の続く中東イエメンで3年前にコレラが蔓延(まんえん)し、100万人を超す集団感染を生み、2千人以上が死亡したことは記憶に新しい。

危機をこれ以上深めてはならない。暫定政府と国民軍を支える国々がすべきは、軍事援助ではなく、和平への説得である。
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