2020年03月18日

[東京新聞] 子どもたちへ スズメと遊ぼう春休み (2020年03月18日)

学校が長いお休みになり、やったあ…と喜(よろこ)んでいた子も、そろそろ退屈(たいくつ)してはいませんか? 「うちにいてもすることがないなあ」と思ったら、窓(まど)の外を見てください。小さな友だちがいますよ。

スズメです。日本で一番古い歴史(れきし)の本「古事記(こじき)」にも出てくる、身近な小鳥。冬を乗りきったこのごろは、元気よくさえずったり、好きな相手を追いかけたりしますから、観察(かんさつ)すると楽しいですよ。

観察の合間には、スズメの本を読んでみましょう。

小学校の低学年(ていがくねん)の子なら、絵本「すずめくん どこで ごはん たべるの?」(福音館書店(ふくいんかんしょてん))がおすすめです。動物園に飛(と)んできたすずめくんが、カバやクマにごはんを分けてもらうのですが、ワニのところでは…。ロシアの有名な詩人マルシャークの詩から生まれた本です。

小学校の高学年から中学生には「ある小さなスズメの記録(きろく)」(文春文庫(ぶんしゅんぶんこ))。第二次世界大戦中(だいにじせかいたいせんちゅう)の英国(えいこく)で、一人の音楽家が傷(きず)ついた子スズメと出あう実話です。

クラレンスと名づけられたスズメはやがて元気になり、戦争(せんそう)で苦しい毎日を送る人たちの心をなぐさめるのでした。クラレンスと同じようにこの本が、新型肺炎(しんがたはいえん)のせいで学校に行けず、外でも遊べない子の支(ささ)えになりますように。

もう一冊(さつ)は「スズメの謎(なぞ)」(誠文堂新光社(せいぶんどうしんこうしゃ))。鳥の学者の三上修(みかみおさむ)さんが二〇〇八年、日本のスズメの数を調べた結果(けっか)の本です。これはとても難(むずか)しい調査(ちょうさ)ですが、三上さんはさまざまな方法(ほうほう)や資料(しりょう)を使い、およそ千八百万羽と推理(すいり)しました。また一九九〇年からの二十年間で、スズメが半分に減(へ)ったという考えにもたどり着きます。

探偵(たんてい)が謎を解(と)くようなおもしろさのある本ですが、これをおすすめする理由がもう一つあります。

みなさんが大人になると、新型肺炎のような病気や地球の温暖化(おんだんか)など、難しい問題とも向き合わなくてはなりません。そのとき、思いつきで何かをしたり「温暖化なんてうそだ」とごまかしたりしては、むしろ混乱(こんらん)が広がります。

大切なのは、多くの人の意見や知恵(ちえ)を集め、きちんとした証拠(しょうこ)や調査に基(もと)づいて、しっかりした対策(たいさく)を取ることです。そんな筋道(すじみち)の通った考え方や行動を身につけるためには、三上さんの本がきっといい参考(さんこう)になるでしょう。休校が続く子たちも、学校が再開した子たちも、この三冊をはじめ多くの本を読み、そこからたくさん学んでください。
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[東京新聞] 市場の混乱 財政出動へ国際協調を (2020年03月18日)

新型コロナウイルスの影響による金融市場の混乱に拍車がかかっている。各国中央銀行による対抗措置も効かない状態だ。主要国はさらに結束し、財政出動を視野に入れた協調行動に踏み切る時だ。

米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅金融緩和に続き日銀も追加措置を実施した。だが日米が連携したにもかかわらず、株価は米国市場を中心に激しい乱高下を繰り返している。

当初、日本や中国の問題とみなされていた感染が急激に欧米諸国に広がり、市場がパニックに陥っているのではないか。投資家はリスク回避をしたくても方向感がつかめず、売り買いを交錯させているとみていいだろう。

日銀の対応に先立ち、日米欧の中央銀行は協調してドル資金の大規模供給を始めた。需要の大きいドルを市場に潤沢に流し資金循環をスムーズにさせる措置だ。

日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れ枠拡大は株価下支えが目的だ。さらに中小企業支援のために新たな融資制度も打ち出した。一方、マイナス金利のさらなる引き下げは見送ったが、地方銀行の経営環境を考慮すれば現段階では妥当だろう。

実施した一連の措置は、中期的には経済の下支え効果があるはずだ。ただ足元の金融市場の動揺を抑え切れていないのも事実だ。

株価の大幅な下落は企業の価値や財務内容を深く傷つける。経営者の心理を間違いなく悪化させ、賃上げや採用、設備投資動向などにも確実に影響を及ぼす。しかも中小零細ではこうした負の連鎖がすでに起きている。

中央銀行による金融措置が限界に近づいているのなら、残された道は財政出動しかない。政府は来月、新型コロナ関連の第三弾の対策を検討中だ。補正予算と減税を組み合わせた大規模対策を打たざるを得ないだろう。

対策の中には、一時的に収入が断たれている中小企業や非正規労働者らへのより強い救済措置を盛り込んでほしい。低利融資の拡大や返済時期の延期などが考えられるが、躊躇(ちゅうちょ)なく実施してもらいたい。

さらに金融だけでなく財政でも日米欧は可能な限り足並みをそろえるべきだ。国際協調型の政策総動員が必要不可欠なことは言うまでもない。ただ国債やETFの購入急増による日銀の財務悪化など、対策の副作用も念頭に置く必要がある。終息後、歪(ゆが)んだ市場の是正は迅速でなければならない。
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[産経新聞] 【主張】感染拡大と五輪 完全な大会へ延期準備を (2020年03月18日)

新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受けた緊急の先進7カ国(G7)首脳テレビ電話会議後、安倍晋三首相は東京五輪・パラリンピックについて「人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証しとして、完全な形で実施することで一致した」と述べた。

五輪の「完全な形」とは世界中の競技者が一堂に会し、開催都市が万全の態勢で迎える姿を指すのだろう。首相の発言は五輪の中止や無観客を含む縮小の可能性を排し、時期についての明言を避けたことで、日本政府が延期にかじを切り、G7首脳の了承を得たものと解釈する。

もちろん、決定権は開催都市の東京や日本政府にはない。決めるのは国際オリンピック委員会(IOC)である。ただし、大会の成功を約束する開催国の意向は十分に考慮されるべきだ。

現実に欧米で感染拡大が進んでおり、アフリカや南米にも波及している。世界各地でイベントの自粛が相次いでおり、各競技の五輪代表選考も滞っている。感染の収束は見通せず、7月の開会を強行しても「完全な形」の大会を望むことは難しくなる一方だ。

開催時期の正式決定まで、計画通りの大会に向けた準備を怠ることはできないが、同時進行で延期にも備えなくてはならない。

延期と一言でいっても、実際には多大な困難を伴う。会場や人員の確保は一からやり直しである。国際競技大会のカレンダーは数年先まで埋まっており、日本の都合で割り込むことはできない。

例えば1年延長すれば、来年夏には福岡市で水泳世界選手権や、米オレゴン州で陸上世界選手権が予定されている。いずれも国際競技連盟の一大イベントで巨額の放映権料などが絡み、常識では中止や時期の変更はあり得ない。

ただ、世界陸上競技連盟も国際水泳連盟もIOCの主要競技連盟だ。五輪の危機である。G7だけではなく、世界中の国や各競技連盟の協力なしに延期を実現することはできない。

17日に各国際競技連盟などと緊急の電話会議を開くIOCは、強力なリーダーシップを発揮してほしい。東京五輪を「人類が新型感染症に打ち勝つ証し」にすると、開催国が大目標を掲げたのだ。スポーツ界をはじめとする世界中のあらゆる力を結集し、完全な形の開会を実現したい。
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[産経新聞] 【主張】相模原殺傷に死刑 「事件」は終わっていない (2020年03月18日)

19人もの入所者が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負った。結果の重大性から、死刑の判断は不可避だった。

これで判決が確定しても、事件を終わりにしてはならない。肝心の再発防止策は、置き去りにされたままだ。

相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で平成28年7月、入所者ら45人が殺傷された事件の裁判員裁判で横浜地裁は、殺人罪などに問われた元職員、植松聖被告に死刑判決を言い渡した。

被告は公判中も「重度障害者は周囲を不幸にする不要な存在」などと身勝手な主張を繰り返した。到底許しがたい、ゆがんだ差別感情である。弁護側の、被告は大麻による精神障害で心神喪失状態だったとする主張も退けられた。

問題は、事件の教訓が何も残されなかった点である。裁判の終わりとともに、忘れ去られることを危惧する。

安倍晋三首相は29年1月の施政方針演説で「決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止策をしっかりと講じる」と述べた。

厚生労働省は当初、法改正の趣旨説明資料に「二度と同様の事件が発生しないよう法整備する」と記載したが、「治安維持の道具に使うべきではない」との指摘を受けてその文言を削除した。

被告が措置入院の退院後に犯行に及んだことを受け、退院後の支援計画作成に警察も参加するとした当初の改正案は野党や医療関係者から「監視の強化になる」などの反発を受けて頓挫した。

こうして骨抜きとなった改正案は、29年9月の衆院解散で廃案となった。その後の動きはない。

平成13年、大阪教育大学付属池田小学校で児童8人を殺害した男も措置入院の2年後に犯行に及んだ。男に死刑を言い渡した大阪地裁の裁判長は判決の朗読後、「子供たちの被害が不可避であったはずはない、との思いを禁じ得なかった。せめて、二度とこのような悲しい出来事が起きないよう、再発防止のための真剣な取り組みが社会全体でなされることを願ってやまない」と述べた。

願いは通じることなく相模原の事件は起きてしまい、なおも手付かずのままである。
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[毎日新聞] 一斉休校の長期化 再開への目安を具体的に (2020年03月18日)

新型コロナウイルスの影響で政府が全国の小中高校などに一斉休校を要請してから2週間あまりが過ぎ、一部の自治体では学校再開の動きが出始めている。

一方で、多くの自治体では事実上、春休みが終わるまで休校が続く。このため、新年度に学校をスタートできるかが焦点となっている。

子どもの健康を最優先するのは当然としても、長期間の休校が家庭や地域に与えている影響も考慮しなければならない。政府も再開のタイミングを計っている。

今、各地で課題となっているのはまず、子どもの居場所づくりだ。

共働きや一人親の家庭では、子どもに合わせて仕事を休めない親も多い。そのため、各地の学童保育が受け皿となっている。

働く親にとっては朝から預けられることが不可欠だ。だが、職員を確保できず、対応できていないところもある。学童保育に負担がかかりすぎないように、子どもの預かり場所として閉館中の図書館を活用するなどの工夫を一層進めたい。

学童保育は狭い場所に子どもが集まるため、感染リスクが懸念されている。だが、消毒液などが不足して防止対策が十分取れないケースもあるという。国などが責任をもって必要な物資を支給すべきだ。

子どものストレスや運動不足にも配慮が必要となる。人が密集しない環境で、運動したり遊んだりすることも大事な対策だ。

各自治体には、公園で遊ぶ子どもを見かけた住民から感染を心配する声も寄せられているという。国などは誤解されないように丁寧な説明をする必要がある。

政府の専門家会議は19日にも、感染症対策に関する新たな報告を出す。文部科学省はこれを踏まえ、学校を再開する際の判断基準となる指針を公表する方針だ。

一斉休校は安倍晋三首相の政治判断で要請され、説明不足に批判が集まった。再開を最終的に決めるのは自治体だが、今度の指針が逆に判断を丸投げするようでは困る。感染拡大の状況などに応じた具体的な内容であることが求められる。

政府は各自治体が地域の実情を踏まえ、柔軟に判断できるように環境を整えなければならない。
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[毎日新聞] G7首脳がコロナ協議 個別対策と協調の両立を (2020年03月18日)

日米欧など主要7カ国(G7)の首脳が新型コロナウイルスの感染拡大の収束に向け、テレビ電話会議の形式で協議した。

共同声明は「地球規模の健康危機で、世界経済に重大なリスクをもたらしている」とし、「金融・財政政策を総動員する」ことを確認した。

中国で感染が広がった昨年末以降、G7が対応を話し合ったのは初めてだ。先進医療技術を持ち、世界経済をけん引する主要国として治療薬の開発を主導し、長期的な景気悪化を回避する役割と責任がある。

世界中にパニックを起こさないために国際協調の重要性をメッセージとして発した意義は大きい。

それでも、ニューヨーク株式市場は大幅に反落し、金融市場の動揺を抑えることはできなかった。共同声明だけでは収束の見通しがたたないことへの懸念が要因だろう。

まずは、日米欧が各国事情に応じた感染対策を重点的に実施する必要がある。その際、禁物なのは、自国第一主義に走るあまり、国際協調を乱してしまうことだ。

人の往来が活発な日米欧は特定国からの入国禁止や国境の一部封鎖などを実施している。やむを得ない措置だが、これが排外主義につながらないよう留意する必要がある。

トランプ米大統領が欧州からの入国禁止を決めた際、事前調整がなかったと欧州は反発した。協調を進めるには十分な意思疎通が不可欠だ。

トランプ氏がワクチン開発に取り組むドイツ企業に資金を提供する見返りに、優先的に入手できるよう求めていたと独メディアが報じた。米側は否定したが、ドイツは「独占は許されない」と反発している。

米国では11月の大統領選をにらんで政治的な思惑が先行しがちだ。初動対応に遅れたトランプ政権は国内対策ばかりに目を向け、欧州を悪者にしている。これではG7としての総力を発揮できない。

国境を越えるグローバル化で、富だけでなく、リスクも瞬く間に世界に広がる。新型コロナの感染拡大はそれを実証した。

危機の封じ込めには、自国第一主義を自制し、国際協調を強化することが欠かせない。中国を含めて連携の幅を広げ、定期的な協議を継続していくことが重要だ。
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[読売新聞] 関電外部調査 内向きの企業体質を改めよ (2020年03月18日)

電力を使うユーザーの目線が欠落し、透明性を軽んじる。そうした内向きの企業体質を抜本的に改めない限り、信頼回復はおぼつかない。

関西電力役員らの金品受領問題で、第三者委員会が調査報告書を公表した。高浜原子力発電所がある福井県高浜町の元助役側から金品を受領したのは75人。総額は3億6000万円で、期間は1987年から30年以上に及んだ。

関電は当初、社内調査を行ったが、確認したのは、2006年以降の約20人の金品受領にすぎない。元検察官らで構成する第三者委が調べ直した結果、広範な癒着があぶり出されたと言えよう。

経済産業省は関電に対し、電気事業法に基づき、再発防止を求める業務改善命令を出した。関電は、第三者委から「明らかな法令順守違反」と指弾されたことを重く受け止め、組織の立て直しに全力を挙げねばならない。

注目すべきは、関電側が金品の見返りとして、元助役側に対して様々な便宜を図っていた構図を第三者委が認定したことだ。

元助役は原発関連の警備会社役員やメンテナンス会社の相談役を務めていた。関電側からこれらの会社への事業発注は約900億円に上る。発注予定額などの情報提供や、事前に発注を約束したケースは120件以上あった。

関電の社内調査では、情報提供は金品の見返りと認められず、発注も不適切とは言えない、と評価していた。社内調査の認識に甘さがあったことがうかがえる。

問題発覚後の経営陣の対応を見ると、ガバナンス(企業統治)の欠如が甚だしい。

社内調査の報告書が提出された後、当時の会長、社長、相談役は3人だけで相談し、問題を公表しないことを決めてしまった。情報漏えいの懸念があるとの理由で、取締役会へも報告しなかった。

元助役から1億円超を受領して国税局から指摘を受け、修正申告で追加納税した元副社長に対し、報酬を増額する形で納税分を穴埋めしていたことも、第三者委の調査で新たに判明した。

社会的な批判にさらされることを恐れて隠蔽(いんぺい)に走り、不祥事を重ねた身内はかばう。自社の都合ばかりを優先した経営陣の姿勢は非難を免れない。

「劇的に意識を変えるため、代表権のない会長に社外の識見ある経営者を招くべきだ」と第三者委は指摘した。関電の森本孝新社長らには、外部の厳しい視点を取り入れた経営改革が求められる。
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[読売新聞] G7首脳会議 感染拡大の阻止へ指導力示せ (2020年03月18日)

拡大する感染症を克服するため、国際協調体制を築くことが重要だ。

先進7か国(G7)の首脳は、新型コロナウイルスに関してテレビ会議を行った。世界的な衛生上の危機と位置付けて、緊密な協力を確認する声明を発表した。

感染はまず中国で広がり、年明け以降、韓国や日本などに飛び火した。今月に入って、欧州や米国でも患者が増えたことで、ようやくG7として対応に乗り出した。後手に回った感は否めない。

世界的な蔓延(まんえん)を防ぐため、切迫感を持って対処すべきである。

当面重要なのは、欧州での感染拡大のスピードを下げ、重症化を防ぐ手立てを整えることだ。

イタリアの感染状況は深刻で、死者は2000人を超えた。医療スタッフの感染も相次いだ。イタリア政府は、医師や看護師を適切に配置し、集中治療の設備の増強を急がなければならない。

水際対策も重要だ。オーストリアなどがイタリアからの入国を制限したのに続き、ドイツも、フランスなどとの国境を原則として封鎖する措置をとった。

欧州連合(EU)は、国境審査を撤廃するシェンゲン協定により自由往来を促進してきた。国境管理を徹底し、防疫体制を強化するのは、やむを得まい。

無用な混乱を生まないよう、相手国の理解を得ながら措置を講じることが肝要だ。EUが調整役を担うべきである。

G7の声明は、治療法の研究やワクチンの開発・製造に共同で取り組む方針を盛り込んだ。世界保健機関(WHO)と連携し、途上国を含めて、各国がウイルス対策を強化することが大切だ。

感染の実態を解明し、治療法を確立するには、多数の症例を蓄積している中国の貢献が不可欠だ。世界の研究者や医師に十分な情報を開示することが求められる。

ウイルスの発生源について、中国政府は「中国とは限らない」などと主張する。中国外務省の副報道局長が米国による陰謀説を唱え、米政府は抗議した。

共通の敵が目の前にいるのに、大国が批判し合う姿は見苦しい。責任の重さを自覚し、感染症対策に注力してもらいたい。

G7の首脳は、世界経済が失速するリスクに備えるため、あらゆる政策手段を用いることで一致した。各国政府は、景気動向などを見極めて、機動的に金融・財政政策を発動する必要があろう。

持久戦を念頭に置いた息の長い取り組みが欠かせない。
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[朝日新聞] 春闘回答 賃上げの流れ絶やすな (2020年03月18日)

春闘での経営側の回答が、低調な出足になっている。景気悪化や新型コロナウイルスの影響で経済の見通しは不透明だが、そういう時こそ、これまでのもうけの蓄えのある企業は積極的に働き手に報いるべきだ。

労働組合の中央組織である連合の第1回集計結果によると、ベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた賃上げ率は平均で1・91%と、前年の初回集計を0・25ポイント下回り、7年ぶりに2%を割り込んだ。鉄鋼など製造業を中心に、ベアゼロの回答も相次いでいる。

日本経済は米中貿易摩擦や消費税率引き上げなどで昨年来弱含み、企業の売上高や経常利益もやや悪化している。企業側の慎重姿勢は、こうした状況を反映したものだろう。

だが、企業全体でみれば過去数年間、好業績を重ね、利益水準はまだ高く、財務体質もおおむね健全だ。一方で、賃金は上昇が続いたものの勢いは鈍く、労働者側の取り分の割合は低迷している。

賃上げは景気回復に遅れがちだ。それなのに、景気が揺らぐと真っ先に賃金が抑えられるのでは、働き手への分配はなかなか増えない。経営難の企業は別として、長期的な視点で人材への投資を継続すべきだ。

連合の集計では、ベア分が明確に分かる回答を平均すると、ベアは昨年同時点の0・62%から0・44%に落ち込んだ。足元の物価上昇率は0・5%を上回っており、ベアではまかない切れていないことになる。消費を支えて経済の好循環を実現するには、程遠い水準だ。

中でも解せないのは、自動車最大手、トヨタが7年ぶりにベアを見送ったことだ。豊田章男社長は組合への回答に際して「これからの競争の厳しさを考えれば、既に高い水準にある賃金を、引き上げ続けるべきではない」とまで述べている。

確かに自動車業界は変革期にある。だが、トヨタは好業績を続けており、十分に社員に報いることこそ、競争力を高めることにつながるはずだ。

この回答は春闘全体に悪影響を与えかねない。連合の神津里季生会長は、近年ベアの額を明らかにしていなかったトヨタが「ベアゼロ」を公表したことに疑問を投げかけ、「この局面でマイナス心理を出すことはあってはならない」と指摘した。

春闘は今後、中小企業の回答が本格化する。連合の現時点の集計では、中小の回答は定昇込みで2%を上回り、ベアも昨年並みと、大手を上回る傾向にある。中小の賃金の底上げは長年の課題だ。大手との格差縮小のためにも、賃上げの流れを強めていく必要がある。
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[朝日新聞] 関電の経営陣 統治の根幹が問われる (2020年03月18日)

経営悪化の責任としてカットしたはずの役員報酬を、会社がこっそり補填(ほてん)する。福井県高浜町の元助役(故人)から多額の金品を受け取り、追加納税することになった元役員らには、その分の穴埋めをする――。

関西電力でまたも驚くべき事実が明らかになった。電気料金値上げを強いられた消費者、そして給与や賞与を減らされた関電従業員への背信であり、社会をあざむく行為である。電力供給を担う公益企業の統治の根幹が厳しく問われている。

関電は東日本大震災後に原発が止まり、12年3月期に赤字へ転落。直ちに役員報酬のカットを始め、19年6月まで続けた。その間(かん)、電気料金を2度値上げし、社員にも痛みを強いた。

報酬補填は16年夏に始まり、元助役との関係が表面化した19年秋までに、18人に計2億6千万円が支払われた。同社には役員が退任後も嘱託として残る慣習があり、「月給」の支払いに上乗せした。このからくりは、金品受領問題を調べた第三者委員会の報告書で指摘された。補填は当時の森詳介会長と八木誠社長の2人で決めたという。

また追加納税分の穴埋めは、それぞれ相談役と会長になっていた両氏と、岩根茂樹前社長=14日に辞任=の3人の協議によるもので、対象とされた4人のうち1人に対し、すでに一部の支払いが済んでいる。

経営首脳の規範意識のなさ、会社法など各種法令の抜け道を探って企業統治を形骸化させる行いに、言葉を失う。

そもそも関電は、元助役からの金品受領について2年前に国税当局の指摘を受け、調査をしながら自ら公表しなかった。社内の取締役を集めた「研修会」なる場で概要が伝えられたが、「公表せず」との判断に誰も異議を唱えなかった。

その研修会に出席していた一人が、今般、副社長から社長に昇格した森本孝氏だ。就任会見で「信頼回復に取り組む」と繰り返したが、人々の胸にどこまで届いたか。旧体制との連続性を優先するような姿勢は、会社そのものの存続を危うくすると肝に銘じるべきだ。

第三者委の報告で、原発をめぐる関電と元助役との癒着は、当初いわれていた以上に根深いものであることがわかった。関電側は元助役が関係する複数の会社に次々と工事を約束・発注し、法外な接待を重ねる一方で、75人もの役員・社員が金品を受け取っていた。

刑事告発を受けた検察当局、大阪市を始めとする株主、そして政府、国会。それぞれが与えられている権限に基づき、関電の「闇」を徹底解明する責務を負うことを忘れてはならない。
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