2020年03月09日

[東京新聞] 米軍機事故続発 地位協定改定しかない (2020年03月09日)

米海兵隊のヘリがつり下げ輸送中の鉄製構造物を海上に落下させるなど、沖縄県で米軍機の事故が相次いでいる。事故をなくすには安全対策の徹底に加え、日米地位協定の抜本改定が必要だ。

つり荷の落下事故を起こしたのは、普天間飛行場(宜野湾市)所属のCH53E大型輸送ヘリ。二月二十五日午後、読谷村の米軍トリイ通信施設から射撃訓練用の標的を輸送中、機体が不安定になったため、トリイ施設の西約一・三キロの海上に落とした。

標的の重さは明らかでないが、戦車ほどの大きさとみられる。米軍は「船舶などがいないのを確認して意図的に投下した」と事故ではないとしているものの、現場は漁船が頻繁に出入りし観光客や釣り人も多い都屋漁港から約一キロしか離れていない。漁港には「バーン」という衝撃音がとどろいた。

状況が切迫していたら陸上に落とす、または機体もろとも墜落したかもしれない。到底軽んずべき事態ではない。読谷村では一九六五年、米軍の物資投下訓練で目標を外れたトレーラーの下敷きになり女児が死亡した。この惨劇を思い起こした村民も少なくない。

今回の事故当時の天候は安定していたという。となると、つり上げ手順や操縦ミスか、機体の不具合か。原因究明とともに再発防止策が講じられるべきだが、米軍は何の説明もせず二日後には県内で物資のつり下げ輸送を再開した。抗議のための県の呼び出しにも応じなかった。傍若無人である。

沖縄では一月下旬、本島東沖の公海に米軍ヘリが墜落(米軍発表は着水)し、乗員五人が救助される事故があった。伊江島では米軍がパラシュートで投下した箱が民有地に落下。二月中旬には、米軍嘉手納基地を離着陸する戦闘機が機体を覆うパネルを脱落させた。

県の統計では、二〇一八年までの十年間に米軍機関連の事故は約三百件発生しており、ことしもハイペースだ。県などはその都度安全管理の徹底を訴えているが、米軍の耳にはほとんど届かない。

日米地位協定上、米軍には飛行禁止区域や最低高度を守るなどの航空法が適用されない。政府も強く抗議しない。

沖縄をはじめ国民の命を米軍機事故から守るには、協定を見直して訓練に法規制をかけた上で、地元自治体などとの事前協議、および承認制にするしか根本解決策はない。同じく米軍が駐留する欧州諸国では実行されている。政府は急ぎ、行動に移すべきだ。
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[東京新聞] 新型コロナ対策 日中韓連携を強化せよ (2020年03月09日)

新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、中韓両国からの新たな入国を規制する。国民の不安解消に向けた水際対策だが、感染症の脅威に対抗するには日中韓の連携をより強める必要がある。

遅きに失したとか、適切な措置なのかとか、さまざまな批判がある入国規制の強化策である。

政府が中韓両国からの入国者に指定場所で二週間待機し、国内の公共交通機関を使わないよう要請することを決めた。中国、韓国人に発行済みの査証(ビザ)は無効とし、韓国、香港、マカオはビザの免除措置を停止する。

入国規制の強化は九日から適用し、当面三月末まで実施する。

日中韓三カ国は距離的に近く、人の往来も多い。昨年、中国人の日本への入国者数は約七百万人、韓国人は約五百万人に上り、国・地域別では一、二位を占める。両国からの観光客は、日本経済を支える大きな柱となっている。

入国規制の強化により、経済活動や観光へのさらなる打撃は避けられないが、国民の不安解消を優先したのだろう。

ただ今回の入国規制には、現段階で有効な対策となり得るのか、との疑問の声も専門家から出ている。政治的メッセージにはなり得ても、本当に科学的見地からの決定かどうかは疑わしい。

中国からの入国規制を早い段階から主張していた保守派の論客もいて、政府の対策の遅れを批判していた。今回、中韓両国に強硬姿勢で臨むことで、安倍晋三首相を支える保守層の要請に応えようとしたのなら、筋違いも甚だしい。

日本の入国規制措置に対して、中国はおおむね冷静な反応だが、韓国政府は対抗措置を取った。

日中は、習近平国家主席の国賓来日問題があり、緊密に協議していたことがうかがえる。一方、元徴用工問題などの歴史認識問題を抱える韓国との意思疎通は十分ではなかったのではないか。関係が悪化しているときだからこそ、より丁寧な説明が必要だった。

日中韓三カ国には首脳会合をはじめ、さまざまな対話の枠組みがある。

医療や保健分野を

担当する保健相会合は二〇〇七年以降、ほぼ毎年開催され、昨年十二月には、地理的にも近い日中韓は緊密に連携して感染症に対応する必要がある、と確認したばかりだ。何のための会合だったのか。

感染症には国境がない。早期収束に向け、恩讐(おんしゅう)を超えて情報交換を図り、対策を講じるべきだ。いがみ合っている場合ではない。
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[朝日新聞] タイ野党解党 民政移管はまやかしだ (2020年03月09日)

民政移管は形だけではないか。内外からそう指摘されてきたタイの政治の実情があらわになったと言えよう。

タイの憲法裁判所は先月、野党・新未来党の解党を命じた。党首から多額の資金を受けたことが政党法に違反するとの理由だ。党首ら幹部16人の政治活動も10年間禁止するとした。

この党は軍の政治介入を批判して人気を集め、昨年3月の下院総選挙で第3党に躍進した。与野党が拮抗(きっこう)する下院からその勢力が消えることで現政権に有利に働くことは間違いない。

5年以上に及ぶ軍政から、選挙に基づく民主的な政治体制に復帰したのは昨夏のことだ。とはいえ、首相に選ばれたのはクーデターの当事者で軍政トップを務めてきたプラユット氏である。軍が実質的に政治を支配する制度が温存されている。

憲法裁も軍が後ろ盾の現政権の影響下にあるとされる。自分にとって煙たい政党は司法を利用して排除するというのでは、超法規的に権限をふるった軍政と変わらない。そんな強権政治は国民の支持を得られまい。

今世紀に入り、タイの政治は混乱が続いた。農村や都市貧困層へのばらまき政策で人気を得たタクシン元首相を支持する勢力と、これに反発する既得権益を持つ階層や都市中間層との対立が、定着したと思われた民主主義を揺るがせた。

双方とも選挙の結果に納得せず、大規模な街頭行動は時に暴力的な衝突に発展し、主要道路が封鎖されたり、国際空港が占拠されたりするなど首都機能がマヒする事態も起きた。これが軍に秩序の回復という口実を与え、2006年と14年に軍事クーデターを招いた。

ただ、両者には違いがある。06年には当時の軍トップが直ちに暫定的な措置だと表明し、1年3カ月後には選挙が実施された。ところが、プラユット氏は選挙まで5年を要し、その後も政権を握っている。これでは、国家の混乱収拾ではなく、自らが権力にしがみつくのが目的だと言われても仕方あるまい。

いま必要なのは、国民和解であり、そのための格差の是正である。プラユット氏自身、公正な社会の創出や不平等の縮小などを政策目標として掲げている。反対勢力を弾圧で抑え込めば、社会の分断が深まるだけだという現実を認識すべきだ。

タイには日系企業5千社以上が進出し、生産拠点となっている。その混乱は日本経済にも響く。解党命令に懸念を表明した欧米と足並みをそろえ、真の意味での民政へ歩むよう促す必要がある。それこそが、タイの社会の安定と国際社会からの信頼回復につながるはずだ。
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[朝日新聞] 道交法の改正 高齢者への対策さらに (2020年03月09日)

高齢ドライバーの事故を減らすため、運転免許証を更新する際に「実車試験」を義務づけることを柱とする道路交通法の改正案が、先ごろ閣議決定された。75歳以上で一定の違反歴のある人が対象となる。

75歳以上で免許を持つ人は、この10年で2倍近くに増えた。免許人口あたりの死亡事故は75歳未満の2・2倍と高く、対策の強化は待ったなしだ。

更新時に判断力や記憶力を調べる認知機能検査はあるが、死亡事故を起こした高齢者の約半数は、ここで「問題なし」と判定されていた。実際に運転してもらって技能を確認し、水準に達しなければ免許を失効させるというのは理にかなう。

難しいのは、どんな試験を課し、対象をどう定めるかだ。とりわけ違反歴で線を引くことには、事故の被害者から疑問が出ている。同じく高齢運転者による死亡事故例を見ると、8割以上は過去3年以内に違反行為をしていない。実効性の薄い試験になってしまうのではないかとの懸念だ。かといって対象を広げ過ぎると、反発が予想され、更新業務にも支障が出る。

実績を積みながら引き続き良案を探るしかないが、70歳以上に課せられる講習時の「実車指導」との連携を図れないか。これも技能の点検が目的だが、あくまで「指導」のため、免許の返納を促すことしかできない。異状が認められれば、強制力のある「実車試験」につなぐ仕組みを検討すべきだろう。

改正案には、安全運転サポート車限定の免許の創設も盛り込まれた。選択肢が増えるのは良いが、過信は禁物だ。ペダルの踏み間違いを防ぐ機能は、一定の速度を超えると働かないし、信号の見落としなどには効果がない。「不安があれば返納」という意識を社会に定着させることが、何より重要である。

そのために欠かせないのが、ハンドルを握らなくても生活できる環境を整えることだ。免許を自主返納した人へのバス・タクシー代の補助や、ボランティアによる外出の手助けなど、各自治体で様々な取り組みが進んでいる。企業やNPOなどの協力も得て、地域の実情に応じた方策を考えていきたい。

高齢者対策とあわせ、「あおり運転」を法律に定義し、飲酒運転と同等の罰則を科すことも、今回改正のねらいだ。警察は、道交法の他の規定や刑法の暴行罪なども適用して取り締まってきたが、こぼれ落ちるものがある一方、法の拡大解釈につながるとの批判もあった。

交通や運転に関するルールは市民の生活に密接にかかわる。時代や状況に応じて、適切に見直しを重ねることが大切だ。
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