2020年02月12日

[東京新聞] 化石燃料削減 脱原発との両立目指せ (2020年02月12日)

欧州連合(EU)とドイツが石炭など化石燃料の大幅削減計画を発表した。ただ、そのために、原子力を活用しようとの声が出ているのが気掛かりだ。脱化石燃料、脱原発の両立を進めるべきだ。

欧州委員会が先月発表した計画によると、域内の温室効果ガス排出を二〇五〇年に実質ゼロにする目標達成のため、今後十年で少なくとも一兆ユーロ(約百二十兆円)を投資し、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を支援する。

ドイツ政府も、石炭を産出する四つの州と三八年までに脱石炭を実現させることで合意した。事業者への補償などのため、四百億ユーロ(約四兆八千億円)を拠出する。

ただEUにはフランス、チェコなど、化石燃料削減のため原子力の活用を表明している国もある。将来、原発がEUの補助対象になりかねないとの懸念も出ている。

二二年までの原発全廃を決めているドイツですら、脱原発への異論が出始めた。メルケル首相与党の保守、キリスト教民主・社会同盟の広報担当者は、温暖化防止のため原発延命を容認する考えを示した。これに対し、メルケル政権は予定通り脱原発を貫く方針を強調。世論でも原発延命論は大きな声とはなっていない。

原子力の活用は、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(17)が国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書を引用する形で「原子力は、脱石炭を目指すエネルギー問題のささやかな解決策になり得る」とフェイスブックに投稿して以来、改めて注目されるようになった。

しかし、東京電力福島第一原発事故を思い出してほしい。原発は制御できず、汚染は生活全般を破壊する。IPCCの報告書も、原子力には「障壁とリスクが存在する」と指摘している。

事故を教訓に、ドイツは脱原発へとかじを切った。化石燃料削減を原子力に頼るべきではない。

化石燃料の代替となるべき再生可能エネルギーがドイツの全発電に占める割合は昨年、46%に上り、初めて化石燃料の発電量を上回った。三〇年に全発電量の65%を目指すとの目標にも着実に近づいている。

ドイツ南西部の原発は昨年末、計画通り稼働を停止した。

ドイツは、化石燃料削減による温暖化防止と、脱原発の両立を目指してEUをリードしてほしい。EUによる原発への補助などもってのほかである。
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[東京新聞] 米国の小型核 抑止どころか危険だ (2020年02月12日)

「核なき世界」を目指す動きに逆行している。米国防総省が、新開発の小型核弾頭を潜水艦に配備したと発表した。ロシアや中国への抑止力になるとするが、「使える核」が世界に広がりかねない。

小型核弾頭はW76−2と呼ばれる。トランプ政権は、二〇一八年に発表した核体制の見直し(NPR)の中で開発を予告していた。

爆発力が約百キロトンだった従来型の核兵器を改造し、五〜七キロトン程度に抑えたもので、弾道ミサイルに搭載されて原子力潜水艦から発射される。

すでに実戦配備され、核の先制使用も辞さない構えだ。

オバマ政権下で発表されたNPRは、核兵器削減を基本方針とし、新しい核保有国の出現とテロリスト集団による核兵器の入手の阻止に重点が置かれていた。

ところがトランプ政権はこの方針を転換し、ロシアや中国、そして独自に核開発を進める北朝鮮を強く意識して、武力で対抗していく姿勢を打ち出した。小型核開発は、この流れに沿ったものだ。

実戦配備について、国防総省の報道官は、「敵国による限定核攻撃が無意味であることを示し、抑止力を高める」と正当性を主張しているが、とても言葉通りに受け止めることはできない。

小型核は、被害が限定されるため核使用のハードルが下がり、使いやすくなる。すでにロシアが保有しているとされ、米国が実戦配備したことで、核戦争の危険がいっそう現実味を帯びてきた。

また原潜から発射されるミサイルは、外見だけでは小型核を搭載しているか判別できないため、相手国の過剰反応を起こしかねない、との懸念も出ている。

今年は核兵器をめぐる節目の年だ。四月からは五年に一度の核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開かれる。〇三年に広島、長崎両市を含む平和市長会議(現・平和首長会議)理事会が「核廃絶の期限」と定めた年でもある。

一七年に採択され、世界の注目を集めた核兵器禁止条約の批准国は三十五に増え、発効まであと十五カ国に迫っている。

ところが米国は昨年、冷戦時代に核軍縮を大きく進展させた中距離核戦力(INF)廃棄条約を失効させるなど、非核化への努力を無視する行動を続けている。

日本は、米国の核の傘に依存している。それでも、唯一の戦争被爆国として、米国に対して自制を求め、核兵器の削減に向けた努力を続けるよう促す責務がある。
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[産経新聞] 【主張】日鉄が工場閉鎖 地域への影響を最小限に (2020年02月12日)

日本製鉄が大規模な合理化に乗り出す。2基の高炉を持つ呉製鉄所(広島県)を全面的に閉鎖するほか、和歌山製鉄所(和歌山県)でも高炉1基を休止する。

鉄鋼需要の低迷や設備の老朽化などを背景に過剰な生産能力を削減し、経営の効率化を進めることにより国際競争力を高める。高炉以外でも国内の生産体制を縮小することにしており、同社の合理化策としては過去最大の規模となる。

ただ、地域経済への影響は大きい。特に、拠点が廃止される呉市では、地域の雇用にも深刻な打撃を与えるのは必至である。日鉄は地元自治体と密接に連携して雇用対策に全力であたってほしい。政府の支援も欠かせない。

日本の鉄鋼業は、統合による経営規模の拡大で国際競争を乗り切ってきた。しかし、中国企業の能力増などで世界市場で日本の存在感は低下している。今後も国内の合理化は避けられないとみられており、業界全体で抜本的な構造改革に取り組む必要がある。

高炉の廃休止は呉と和歌山に加え、八幡製鉄所(福岡県)も対象とする。名古屋や大阪、兵庫などの工場でも生産設備を縮小する。同社は一連の合理化で生産能力を約1割削減し、効率化を通じて収益基盤の強化を目指す。

今回の合理化で希望退職は募集せず、配置転換で対応するという。3年半後に閉鎖予定の呉製鉄所では協力工場を含めて3千人以上が働いている。その取引先の多くは中小企業で、合計2万人近くの従業員がいるという。地域への影響をできるだけ抑えるため、雇用確保を優先してもらいたい。

それでも今回の生産体制の見直しで、同社の収益力が急回復できるかは不透明である。日本の鉄鋼生産能力は、業界各社が統合を繰り返す中で合理化が遅れ、その3割ほどが余剰とされる。業界他社を含め今後も生産体制の合理化は不可欠だ。これからも拠点集約などの動きが続くことになろう。

特に鉄鋼業は中国や韓国メーカーとの激しい競合が不可避で、高い付加価値のある製品にシフトするなどの取り組みが肝要だ。国際競争にさらされる日本の重厚長大産業に共通する課題といえる。

政府も生産効率を高め、温室効果ガスの排出を削減するような鉄鋼業の取り組みを積極的に支援しなければならない。
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[産経新聞] 【主張】遺伝資源 知的財産の保護が急務だ (2020年02月12日)

政府は、和牛や果物の遺伝資源を守るため、新法案や関係法改正案を今国会に提出し、成立を目指す。

和牛やイチゴなどの新品種は日本の知的財産である。長年の努力で品種改良を積み重ねてきた国や自治体、生産者らの努力の結晶ともいえる。

質の良い和牛が海外で生産されたり、イチゴやブドウなどの新品種が海外に流出すれば、日本の農家は大きな打撃を被る。種を盗まれた畜産農家や栽培農家にとって遅きに失した感はあろう。今後は新法の制定や関係法の改正で、知的財産の保護をより一層図りたい。

政府は和牛遺伝資源を知的財産として保護するため、新法案「家畜遺伝資源不正競争防止法案」を提出する。精液や受精卵の悪質な不正利用に対し、個人で罰金1000万円以下、あるいは10年以下の懲役、法人で3億円以下の罰金を科す方向だ。

種苗法の育成者権侵害や著作権法の著作権侵害など、他の知的財産侵害への罰則と同等の罰則を科した点が特徴だ。詐欺や窃盗で取得した場合や、契約範囲を超えて輸出した場合などを差し止め請求や損害賠償の対象とした。

不正利用を経て生まれた子や孫の家畜や精液を利用した場合も取り締まりの対象とする。不正な海外流出を企てる対価に見合わないと思わせる抑止効果が期待できよう。ただ、罰則強化してもそれを上回る報酬を提示された場合、精液などの遺伝資源を不正に横流しする者が出てこないとは言い切れない。従来以上に、流通管理の強化を進めることも大切だ。

和牛遺伝資源だけではない。イチゴやブドウなど新品種の海外流出防止も喫緊の課題だ。こうしている今も被害は拡大している。

政府は優良品種の海外流出を防ぐため、今国会に種苗法改正案を提出し成立を図る。新品種に海外持ち出しや特定地域外での栽培禁止といった利用条件を付けることで流出防止につなげる。

農水省の試算だと、イチゴだけでも5年間で220億円以上の経済的損失だ。新品種の開発には莫大な時間と費用がかかる。シャインマスカットは商品化に20年近くかかった。かけた時間と費用への努力が報われなければ、品種改良への意欲を減退しよう。

世界と勝負するためにもブランドの保護育成は欠かせない。
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[毎日新聞] 野村克也さん死去 野球の奥深さ伝えた知将 (2020年02月12日)

プロ野球を代表する往年の名捕手で、ヤクルトなど4球団で監督を務めた野村克也さんが亡くなった。84歳だった。

若い頃から分析力にたけていた。京都・峰山高では無名の選手だったが、プロ球団のメンバー表を見ながら、どのチームに入ればレギュラーになれるかを考え、正捕手の年齢が高い南海(現ソフトバンク)ならチャンスありと入団テストを受けた。

テスト生ながら3年目から早くも頭角を現した。相手との心理的駆け引きにすぐれ、チームの大黒柱に定着する。1965年には戦後初の3冠王になり、その後は選手兼務で監督を引き受けた。

王貞治、長嶋茂雄という巨人の華やかなスター選手を「ヒマワリ」にたとえ、自らを「月見草」と称した。対抗心の裏側には絶えず捕手、監督としての知略があった。

解説者時代はストライクゾーンをテレビ映像で9分割し、配球を分析する「野村スコープ」が人気を集めた。「野球は間のスポーツ」と言い、1球ごとに揺れ動く選手の心理を視聴者に分かりやすく伝えた。

綿密な分析力は、ヤクルトの監督になってさらに開花する。データ重視の野球がチームに浸透し、日本シリーズを3度制した。続いて阪神、楽天の監督に招かれたのも、「ノムさん」への期待の表れだった。

自分の知識を余すところなく若手に説き、古田敦也さん(元ヤクルト捕手、監督)や田中将大投手(楽天?ヤンキース)らを育てた。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉を好んだ。江戸時代の剣術書の一節だ。相手次第で偶然の勝利はあるが、負ける時は必ず原因がある。この教えは剣術や野球だけの話ではない。

野村さんが語る野球哲学は、組織論やリーダー論にも転用され、現代社会の処世訓にもなった。

著書「野村ノート」によると、野村さんは「人生」の2文字から四つの言葉を連想するという。「人として生まれる」(運命)、「人として生きる」(責任と使命)、「人を生かす」(仕事、チーム力)、「人を生む」(繁栄、育成、継続)

野球の奥深さを追求し、醍醐味(だいごみ)を伝え続けた功績が色あせることはないだろう。
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[毎日新聞] 検事長の定年延長 検察への信頼を揺るがす (2020年02月12日)

政府は検察ナンバー2の黒川弘務・東京高検検事長について、今月7日の定年を半年延長すると決めた。検察官の定年延長は前例がない。

検察庁法は、検察官は63歳、検察トップの検事総長のみ65歳に達した時に退官すると定めている。今回の措置で黒川氏は、稲田伸夫検事総長の後任に就く道が開けた。

定年延長は検察庁法に規定されていない。野党や有識者から「脱法的な扱い」との批判が出ており、10日の衆院予算委でも議論になった。

検察は行政機構に属する一方、全ての犯罪捜査が可能であり、起訴する権限を原則独占している。社会の公平・公正を守るとりでだ。特に政官界の汚職摘発を期待されている。

このため政治からの一定の独立が求められる。検事総長や検事長の任命権は内閣が持つものの、従来は検察当局の人事方針を尊重してきた。

検察当局は当初、定年となる黒川氏の後任に、同期の林真琴・名古屋高検検事長を次期検事総長含みで充てる考えだったとされる。しかし、政府の決定により、黒川氏の検察トップ就任が可能になった。

黒川氏は法務省の官房長と事務次官を7年以上務め、法案提出などで首相官邸や他省庁との調整、国会対応に当たった。こうした経歴から、「官邸に近い」と目されている。

今回の異例の人事によって、国民が検察の判断に対し、政権への萎縮やそんたくがあるのではないかとの疑念を抱く恐れがある。検察に対する信頼を揺るがしかねない。

政府は、公務運営に著しい支障が生じる場合、1年以内の定年延長を認める国家公務員法の特例を適用した。森雅子法相は「重大事件の捜査・公判に対応するため」と述べた。

だが、検察庁法に定年延長の規定がないのは、検察官が強い権限を持つためだと指摘される。一般的な公務員の特例の当てはめは納得しがたい。続投理由も説得力に欠ける。

安倍政権は内閣法制局長官人事でも内部昇格の慣例を破り、安保法制で首相の考えに近い外務官僚を登用した。内閣人事局を使った幹部人事の統制で、官僚が政権の顔色をうかがうようになったと言われる。

検察という政治的中立性が必要な組織まで、政権の都合で人事が動くようでは、今後に禍根を残す。
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[読売新聞] 水害と街づくり 安全確保を第一に考えたい (2020年02月12日)

相次ぐ災害のリスクに備え、街づくりの段階から減災のための対策を講じる必要がある。

国土交通省は、土砂災害などで大きな被害が出る恐れのある区域で、都市開発の規制を強化する。

災害の危険度を示すハザードマップで「レッドゾーン」とされたエリアについては、住宅や商業施設を中心部に集約する「コンパクトシティー」の居住誘導区域から、原則として除外する。

危険性はやや低いが、浸水などが想定される「イエローゾーン」を含む場合は、避難態勢の強化や堤防の整備など、防災指針の策定を自治体に求める。国交省は今国会に、都市再生特別措置法などの改正案を提出した。

ひとたび災害が起きれば人命にかかわる。危険の大きい場所で開発を抑える趣旨は理解できる。

既にコンパクトシティーの計画を作った275の自治体のうち、居住誘導区域にレッドゾーンを含めているところは今も13ある。イエローゾーンが入っている自治体は全体の9割超に上る。

都市計画に際して、便利さを追求するのは大事だが、やはり住民の安全確保が第一である。

実際に、昨年10月の台風19号では、ハザードマップで浸水想定区域に指定された場所で被害が相次いだ。教訓を、新たな街づくりに生かさねばならない。

ただし、直ちに対応することが難しい自治体も少なくない。

山間部の近くで土砂災害のリスクが高い斜面や、洪水や津波の被害が想定される低地でも、多くの人が暮らしている。

地域の実情に応じて、まずは防災指針の作成などを進め、減災努力を尽くすことが大切だ。

台風19号では、都市の新たな水害リスクも明らかになった。

川崎市・武蔵小杉のタワーマンションは、地下の電気設備が浸水して停電や断水が長引いた。

高層マンションは地上に居住部分を多く取るため、配電設備などは地下に配置しがちだという。

地上に設置した場合に容積率の規制を緩和するなど、防災対策を促す施策も検討に値しよう。

排水能力を超える雨水が下水管に流れ込み、地上に逆流してあふれ出す内水氾濫も多発した。台風19号で起きた建物の浸水の約6割は内水氾濫が原因だった。

一時的に水をためる地下施設の整備などを促進したい。内水氾濫を予測したハザードマップが作られた地域もある。政府や自治体は、住民に周知徹底すべきだ。

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[読売新聞] 診療報酬改定 地域医療の充実につなげよ (2020年02月12日)

2020年度の診療報酬改定が決まった。医師の働き方改革に重点を置いたのが特徴である。

地方の医師不足は深刻だ。長時間勤務が医療体制を支えている実情がある。医療機関に支払われる診療報酬を活用し、是正を図るのは妥当だ。

今回の改定では、医師の勤務環境の改善に取り組む病院に、手厚い報酬を支払う仕組みを設けた。病院が増収分を、医師の増員にあてることを見込んでいる。

1回の入院につき5200円を加算する。年間の救急搬送が2000件以上ある約900病院が対象となる予定だ。

病院が報酬の加算を受けるには、人員確保や処遇改善の計画を作成することが条件となる。

複数の医師による主治医制とするなど、交代で勤務しやすい態勢を整えることが想定される。医師は、医師にしかできない業務に専念する。オンライン会議を活用する。こうした医療現場の意識改革や業務の効率化も欠かせない。

厚生労働省は、病院が計画を適切に実施しているかどうかを把握し、効果を検証する方針という。改善が進まない医療機関に対して、指導を徹底するべきだ。

24年度からは医師の残業時間に上限が設けられ、救急医療を担う病院の医師らは年1860時間が上限となる。十分な医師を確保し、地域の救急医療に空白を生じさせない努力が求められる。

診療報酬を増額するだけでは、おのずと限界があろう。

地域に分散する病院の役割分担を進め、中核の病院に医師を集約せざるを得まい。病院の再編や統合を推進し、地域医療を守っていくことが重要だ。

都道府県を中心に、地域の医療提供体制のあり方について、検討を急がねばならない。

長寿化に対応した医療を充実させる必要もある。

政府は今回の改定で、報酬の高い急性期病床の要件を厳しくした。過剰になっている重症患者向け病床の絞り込みが狙いだ。

高齢化の進展で慢性疾患は増えている。リハビリなど回復期病床への移行が望ましい。医療費抑制の効果も期待できる。

妊婦の受診時に上乗せする「妊婦加算」は廃止された。妊娠に関係のない診療でも負担が増える、との批判を受けたためだ。妊婦に限らず、かかりつけ医と専門医の連携を促す仕組みに改める。

胎児や母体の安全を考慮した診療が行われるよう、政府が医療機関に働きかけることが大切だ。

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[朝日新聞] 遺伝子操作の時代 「坂道」を滑り落ちぬために (2020年02月12日)

世界中を驚かせた「ゲノム編集ベビー誕生」の発表から1年余。中国の裁判所は昨年末、研究者に懲役3年と罰金刑を科したが、根源的な解決は遠く、問題はくすぶり続ける。

ねらった遺伝子をピンポイントで書き換えるのがゲノム編集だ。農水産物の品種改良などに使われるが、対象がヒトの受精卵となると話は違う。

生まれる子に健康被害が出たり、思わぬ影響が子孫に受け継がれたりする恐れは拭えず、世界保健機関(WHO)の専門家会議は「現時点で臨床応用は無責任」との見解を示している。厚生労働省の委員会も、禁止のため法規制を含む措置をとるべきだとする報告をまとめた。

それでも、受精卵の段階で遺伝子の異常を修復する基礎研究は世界各地で行われ、欧米の学術団体が条件を満たせば応用も容認されうると表明するなど、予断を許さぬ状況が続く。

そんななか、立ち位置がなかなか定まらないのが日本の現実だ。生命とは何か。技術の進歩にどう向き合うべきか。社会全体で考えなければならない課題が、山積している。

■なし崩しの危うさ

1978年、世界初の体外受精児が誕生した。倫理に反するとの批判や疑問が巻き起こったが、やがて広く受け入れられ、今や日本では子どもの16人に1人がこの方法で生まれる。

90年代には、体外受精した受精卵から細胞の一部を取り出して遺伝子の状態を調べ、問題ないものを子宮に移植する「着床前診断」が可能となった。

病気や障害のある人への差別につながりかねないため、日本では重篤な遺伝性の病気を対象に診断を認めてきた。その範囲を広げるかどうか、日本産科婦人科学会で先月末から議論が始まった。失明の恐れはあるが、命に関わるとまでは言えない目のがんについて、申請があったのを受けた動きだ。

科学の進歩で病気の原因となる遺伝子の異常が次々と判明している。一方で、何を「重篤」ととらえるかは、立場や価値観、社会状況によって異なる。現行ルールはおよそ20年前につくられたものがベースになっているため、再検討する。

妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる「新型出生前診断」をめぐっても、状況は揺れる。学会の指針で、3種類の異常についてのみ、カウンセリング態勢を整えた施設での実施が認められてきた。だが、これに従わない認可外施設が横行し、対処が求められている。

受精卵のゲノム編集、着床前診断、新型出生前診断――。問われているのは、生まれてくる命に対し、遺伝子レベルでの介入をどこまで認めてよいかということだ。最初は限定的でも、なし崩しに広がってしまう「滑りやすい坂道」の上に立つことでも、三つは共通する。

■問われる「命の選別」

病気や障害を排除し、より優良と考える子孫を残そうとする思想は「命の選別」とされ、ナチスへの反省も踏まえて批判の対象だった。しかし技術革新がその意味の問い直しを迫る。

例えば、ゲノム編集によって本来生まれてくることのできない異常のある受精卵を治せるなら、それは新生児を救う「医療行為」と同じで、「命の選別」とはいえない可能性がある。ならば認めても良いのではないかとの意見が予想される。

だが現実には、治療と予防を区別するのは容易ではない。

では知能や身体能力を高めるための改変はどうか。個人の尊重を唱えるのなら、一律に禁止する根拠や理由はあるのか。

この考えを突き詰めれば、親の希望で遺伝子を書き換えるデザイナーベビーを容認せざるを得なくなるかもしれない。一人ひとりの親が自分にとって最適な選択をしたとしても、望んだ社会になるとは限らない。もたらされるのは、多様な生を認めない生きづらい世の中ではないか。そんな声にも耳を傾け、合意点を見いだす必要がある。

■パッチワークを超え

日本では新しい生殖技術が登場すると、そのつど対応を検討してきた。結果として、法律、行政機関の指針、学会による自主規制などが乱立。パッチワーク状態になっていて、貫く原則や理念は見えてこない。

第三者の精子・卵子を使った生殖補助医療や代理出産も同様だ。子の権利や福祉に直接影響する話であり、多様な角度から検討して、整合のとれた制度を築くことが不可欠だ。

政府の総合科学技術・イノベーション会議の下に生命倫理専門調査会が設けられてはいる。だがテーマは限られ、経済成長を目的とする会議体のため、人権や福祉の視点からの検討は軽視されがちだ。独立性の高い組織を設け、トータルな議論をする必要がある。国際的な動向への目配りも欠かせない。

社会として守るものは何で、新しい技術に何を期待し、許容するのか。簡単に答えの出ない問題だからこそ、態勢を整え、考えを深めなくてはならない。
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