2020年02月05日

[東京新聞] 検事長の人事 政治介入という悪例だ (2020年02月05日)

政府が定年間近の黒川弘務東京高検検事長の勤務を半年間延長した。次期検事総長に充てる目算だとされる。検察庁法の定めにはなく、公正たるべき検察に政治の介入を許す悪例となるのを恐れる。

「禁じ手の人事だ」「汚点になる」−検察OBや官僚らからも批判が噴出している。それほど前代未聞の出来事だ。

検察庁法では定年を検事総長は六十五歳、検事長を含む検察官は六十三歳と定めている。黒川氏は今月七日に定年を迎えるはずだったが、半年間の延長を閣議決定した。異例の人事は国会でも取り上げられ、森雅子法相は「重大、かつ複雑な事件の捜査・公判に対応するため」と答弁した。

だが、そんな単純には受け止められてはいない。現在、検事総長である稲田伸夫氏が慣例どおり、おおむね二年の任期で今年八月までに勇退すれば、黒川氏を後任に充てることが可能になるからだ。

確かに国家公務員法では、公務に著しい支障が生じる場合に勤務の延長を認めているものの、検事長の勤務延長の前例はない。立憲民主党の枝野幸男代表は「検察官の定年は検察庁法で定められ、国家公務員法の規定を使うのは違法、脱法行為だ」と批判する。

事件捜査の畑よりも法務官僚としてキャリアが長い黒川氏については、政権との距離が近すぎるとの評がある。それを枝野氏は問題視したのだ。

もともと検事総長の後任には「政治色がない」とされる林真琴名古屋高検検事長が就任するとの見方が有力だった。ところが、今回の閣議決定で、後任が入れ替わってしまう見通しになった。

つまりは官邸による人事のコントロールが検事総長にまで及ぶ危うさが露呈したわけだ。「この人事は法務省の中で決定した」と首相は国会で答弁したが、本当なのか。二〇一三年に「憲法の番人」たる内閣法制局長官に、集団的自衛権行使の容認派だった外交官を充てた異例の人事と重なる。

検察庁はかつてロッキード事件や金丸信・元自民党副総裁の脱税事件など、政権中枢の腐敗を摘発した歴史を持つ。首相経験者をも逮捕しうる検察トップが、官邸の指一本で差し替え可能ならば、そんな検察を誰が信頼できるだろうか。

「政治との距離」を誤ると、中立・公正の看板が傾いてしまう。政治からの独立−当たり前の姿勢がゆがめば、厳正な政界捜査など望むべくもない。
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[東京新聞] 米大統領選 民主党は多様性生かせ (2020年02月05日)

トランプ流の破壊と分断を次の四年間も認めるか否かの選択である。米大統領選がアイオワ州での党員集会を皮切りに始まった。政権奪還を狙う民主党には多様な勢力の結集が必要だ。

十一月三日の投票まで長丁場の大統領選。前半の焦点は民主党の指名候補選びだ。メディアの関心が高いアイオワと第二戦のニューハンプシャー州(十一日)で勢いをつけられるかどうかが指名争いの行方を左右する。

その大事な初戦の結果発表が集計トラブルで大幅にずれ込み、民主党は出はなをくじかれた格好だ。前回の大統領選ではハッキングや偽情報流布によるロシアの選挙介入が深刻な問題になった。選挙システムの信頼性を高めることは急務である。

アイオワでの出口調査によると、各候補の政策よりも「打倒トランプ」ができ得る候補かを重視する人が多く、六割以上に上った。

そのための第一の課題は党内対立の克服だ。前回の選挙では、指名を争った左派のサンダース上院議員の支持層を中道派のクリントン氏が取り込めなかったことがトランプ氏に敗れた大きな要因だった。指名候補には党内を束ねられる力量が求められる。

同時に民主党は持ち味の多様性を生かすべきだ。オバマ前大統領は女性、若者、それに黒人やヒスパニック(中南米系)らマイノリティー(少数派)の連帯に乗って勝利をたぐり寄せた。

一方、政策面を見ると、主要候補が共通して重視するのは格差是正だ。

左派のサンダース氏とウォーレン上院議員は富裕層への増税、中道派のバイデン前副大統領、ブティジェッジ前サウスベンド市長は法人税率引き上げをそれぞれ公約に掲げる。こうして得た税収を社会保障や教育の財源に充てると主張する。

米国は有数の格差社会である。米連邦準備制度理事会(FRB)の報告書によると、上位1%の富裕層が全米総資産に占める割合は一九八九年の23%から二〇一八年には32%に拡大した。

これに対し下位半分の人の占める割合は4%だったのがわずか1%に低下した。格差は社会不安や政治不信を招き、階層の固定化を進めて社会の活力を削(そ)ぐ危険を持つ。放置できない課題である。

民主党は格差問題をはじめとする政策議論を深め、トランプ政治への対抗軸を示してほしい。
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[産経新聞] 【主張】米民主党指名争い 米国第一への代案を示せ (2020年02月05日)

11月の米大統領選で野党・民主党候補者指名争いが3日のアイオワ州党員集会で始まった。

7月の党大会までにトランプ大統領に「勝てる候補」が勝ち残るか、米国の有権者とともに注視したい。トランプ氏の再選阻止を旗印に掲げるのであれば、「米国第一主義」に対抗するビジョンを示すべきだ。

初戦はトラブルで集計作業が遅れたが、大学無償化や国民皆保険導入を訴える最左派のサンダース上院議員の優勢が伝えられた。

富裕層や既得権者を標的に、格差拡大に憤る若年層を熱狂させる同氏の言動には「社会主義者」の評判がある。アイオワ州に続き11日のニューハンプシャー州予備選で連勝すれば、情勢は同氏の有利に傾く。

だが、「米国第一主義」のトランプ氏と過激な変革を訴えるサンダース氏という両極端の対決となれば、米国社会の分断が一段と進む可能性がある。

民主党候補が支持者を第一に政敵をののしり、エリート層を攻撃するポピュリズム(大衆迎合主義)に傾けば、トランプ氏と大差ない。その結果、米国がより内向きとなること自体、世界最大のリスクとの指摘もある。

有力な穏健派でオバマ政権で副大統領を務めたバイデン氏は出遅れた。経験と即戦力を訴えているが、「世界の警察官ではない」と宣言したオバマ氏との差別化を図ることが求められる。

ブルームバーグ前ニューヨーク市長の存在も無視できない。

巨額の資産を武器に大規模州の予備選などが集中する3月のスーパーチューズデーへの参入をもくろむが、左傾化する党の中核支持層をどうつかむかが課題だ。

一方のトランプ氏は、ウクライナ疑惑をめぐる上院弾劾裁判が無罪評決となる見込みで、4日の一般教書演説が2期目をにらむ事実上の公約となる。

その中身は「米国第一」の姿勢がより鮮明となり、同盟国に米軍駐留経費の負担増を迫る一方で、「力による平和」を追求しイランなどには威圧的な外交姿勢を誇示するものとなるだろう。

世界の秩序は中露の権威主義国家の挑戦によって危機にあり、米国の不在を許さない。だからこそ大統領選では、自由と民主主義という価値観の守護者としての覚悟を論じ合ってほしい。
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[産経新聞] 【主張】新型肺炎 デマを排し正しい情報を (2020年02月05日)

東京都の小池百合子知事は1月31日の記者会見で「そのような事実はない」と語気を強めて否定した。新型コロナウイルスによる肺炎をめぐりインターネット上に拡散した「東京五輪中止」のデマに対してだった。

民放テレビニュースは「和歌山県内で感染者が確認された」とするネット上の誤情報を報じ、番組ホームページで謝罪した。

国内だけではない。中国などでも「患者が逃げた」「バナナを食べると感染する」「イチゴを食べると予防になる」といった誤情報が飛び交っている。

デマは混乱しか招かない。これらを排すためにも正しい情報の開示が求められる。受け手の側も情報を正しく取捨選択する術(すべ)を身につけなくてはならない。

デマはまた、往々にしてヘイト(憎悪)表現を呼ぶ。ウイルスは国籍、民族を選ばない。「中国人は帰れ」「中国人立ち入り禁止」といった言説は誤りである。

防疫上の対象者はあくまで感染が拡大する中国湖北省や中国全土の居住者、滞在者であり民族を対象としたものではない。

同根の誤りは、イタリアの音楽院が日本人、韓国人を含む全ての東洋人のレッスンを一時停止した騒動や、フランスの地方紙が新型ウイルスの記事に「イエローアラート(黄色い警告)」と見出しをつけ、黄色人種全てへの警戒を示唆したことにもみられる。

感染の拡大を防ぐために水際対策を徹底し、広く厳しい渡航制限を求めることと、デマやヘイト表現を蔓延(まんえん)させることは全く次元が異なる。混同してはいけない。

災害や感染症に対峙(たいじ)するとき、必ずといっていいほど、デマが蔓延する。東日本大震災の原発事故では放射能汚染をめぐる悪質なデマや中傷に苦しめられてきた。熊本地震の際には、「ライオンが逃げた」とされる偽造映像が拡散された記憶も新しい。

新型肺炎をめぐるデマの横行に対しては、フェイスブックやグーグル、ツイッターなどの米IT企業が、ソーシャルメディアで虚偽情報が拡散するのを防ぐ対策を打ち出した。

熊本地震で「ライオン」の誤情報を投稿した当時20歳の男性は偽計業務妨害の容疑で逮捕された。デマやヘイト表現の発信や拡散は恥ずべき行為である。厳しく対処することも必要である。
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[毎日新聞] 厚底靴の条件付き認可 開発と競技の公正両立を (2020年02月05日)

陸上長距離の記録が飛躍的に伸びると評判になっている厚底シューズについて、ワールドアスレチックス(世界陸連)は条件付きで使用を認めるルールを発表した。

全面禁止なら混乱は必至だったが、従来の市販品は使用できることになった。東京五輪まで半年を切った今、現実的な判断といえるだろう。

注目を集めているのは、ナイキ社のシューズ「ヴェイパーフライ」シリーズだ。分厚い靴底はクッション性があり、衝撃吸収力にすぐれている。その中にはカーボンファイバー(炭素繊維)のプレートが埋め込まれ、これが反発力を生む構造だ。

長距離種目では、靴底の厚さや反発力について明確な規則がなかった。新規則では厚さ40ミリ以下、埋め込むプレートは1枚までなどの条件が付いた。違反が疑われる場合は審判が選手に靴の提出を求める。

他の大手メーカーも新製品の開発を進めているが、用具の競争は一定の基準に沿って行われるべきだ。

用具をめぐっては、過去にも競泳の高速水着やスピードスケートのスラップスケート、ジャンプのスキー板の長さなどが議論を呼んだ。

義足のランナーが健常者の大会に出ようとして却下された例もある。義足の推進力が有利に働くとの理由だが、スポーツ仲裁裁判所でこの判断は退けられ、出場が認められた。

用具の「助力」の是非に加え、「公平性」の視点も必要だ。今ではトップ選手の多くが用具メーカーとスポンサー契約を結んでいる。このため、好記録を期待できる別の企業の製品を使いたくても、契約違反になって使えない問題が起きている。

選手の健康や安全に用具の発展が悪影響を及ぼすこともある。高校野球などでは金属バットの性能が高まって打者が優位となり、投手の負担が増大している。結果的に投球数が多くなり、肩肘の負傷につながる。このため、「飛ばないバット」の導入を求める声も一部から出ている。

用具の進化はこれからも続く。しかし、スポーツの醍醐味(だいごみ)は、人間同士の力のぶつかり合いだ。

勝敗が用具の良しあしで決まってしまうようでは、競技スポーツのあるべき姿とはいえまい。技術開発と競技の公正さの両立を目指し、基準は常に検討されるべきだろう。
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[毎日新聞] デジタル課税のルール 米による骨抜き許されぬ (2020年02月05日)

巨大IT(情報技術)企業に対するデジタル課税を巡り、新たな国際ルールを議論してきた日本など137カ国・地域が原案に大筋合意した。年内の最終合意を目指すという。

米国のグーグルやアマゾンなどはネットでのサービスを通じ、国外で巨額の利益を得ている。なのに現地では税金を少ししか払っていない。現状では、法人税を課せるのは工場などがある国に限られるからだ。

ルール案は、工場などがなくてもネットの利用者がいる国では課税できる仕組みにする。税の公平な負担に向けて必要な対応である。

とはいえ国際的な課税は各国の利害が衝突しやすい。合意を実効性ある内容にできるか、難題は多い。

とりわけ問題なのは米国が今回、ルールに従うかは企業の判断に任せる「選択制」を提案したことだ。

巨大IT企業が現状維持を選ぶと、ルールが決まっても骨抜きになってしまう。日本や欧州など多くの国が懸念を示したのは当然だ。

ただ、却下すると、米国が議論から抜けて、議論自体が成り立たなくなる恐れがある。今後の検討課題とせざるをえなかった。

米国はもともと「デジタル課税は米国狙い撃ち」と反発してきた。ルール案は米国に配慮して、対象をITに限定せず、高収益のグローバル企業に広げた。しかし、政治力の強い米製薬企業の税負担も増す可能性があるため、米国は今度は選択制を持ち出したようだ。

トランプ米政権はこれまでも貿易や地球温暖化問題で国際協調を軽視してきた。今回も米国の利益を優先したとみられても仕方がない。

世界経済を混乱させる恐れもある。欧州各国は以前から巨大IT企業への独自課税を検討してきた。ルールが決まれば見送る方針だが、骨抜きにされると発動を辞さない構えだ。米国は報復関税を示唆しており不毛な対立に突入しかねない。

今の国際課税制度は約100年前に作られ、工場を持つ製造業が前提だった。世界経済の急速なデジタル化に制度が追いついていない。

デジタル経済の健全な発展には、国際的な税制を公平な仕組みにすることが欠かせない。ルールの議論を欧州と主導してきた日本も、米国に協調を促す必要がある。
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[読売新聞] 巨大IT規制 不当な取引を防ぐ第一歩に (2020年02月05日)

デジタル市場での巨大IT企業の力は強い。取引の透明性や公正性を高めることが重要だ。

政府は新たなIT規制法案の概要をまとめた。IT企業に情報開示を徹底させ、国がチェックする。

具体的には、契約を変更する場合、取引先に内容と理由を事前通知することなどを、IT企業に義務づける。対応状況を記した報告書を国に年1回提出させる。

従わない場合は、経済産業省が是正勧告や措置命令を出す。

立場の弱い個人・中小事業者が不利な取引を強いられることを防ぐ。その狙いは妥当である。

当面の対象は、大規模なネット通販サイトと、スマートフォンの「アプリストア」を運営する事業者だ。前者はアマゾンや楽天、ヤフーなど、後者はグーグルとアップルが該当するとみられる。

ネット市場は、もはや社会に欠かせない基盤となっている。健全な取引環境を整えたい。

公正取引委員会が実態調査を始めたデジタル広告も、いずれ規制対象になる可能性がある。政府はITビジネスの進化を踏まえ、制度を不断に見直す必要がある。

当初は、不利な条件の押しつけなど、不当な行為を列挙して禁じる案も検討したが、見送った。

特定の行為を禁止しても、漏れるケースが出てくる恐れがあるためだ。「優越的地位の乱用」を禁じた独占禁止法と重なる部分が多いことも考慮したのだろう。

先行する欧州連合(EU)の事例を参考にした仕組みで、過剰な規制は技術革新を阻害しかねないとの指摘にも配慮した。

課題は、規制の実効性だ。

経産省は、IT企業の報告書を有識者などで作る新組織で評価して、公表する方針という。

年1回の報告で状況を把握できるのか疑問は残る。出店業者からの相談を受け付ける窓口を常設するなど、日常的な情報収集も充実させることが大切だ。

不当行為が見つかれば、公取委が独禁法に基づいて速やかに対処しなければならない。政府内での円滑な連携が求められる。

ネット通販の「楽天市場」を巡って、楽天は、一定額以上の買い物をした利用者への送料を一律無料にすると発表した。店側の負担になるため、一部の出店業者は反発し、撤回を訴えている。

不公正かどうか判断が難しい問題だ。同様のケースは今後増えていこう。政府は、IT分野に詳しい人材の育成を含め、監視機能の強化を急いでもらいたい。

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[読売新聞] 厚底靴容認 競技の公平性さらに追求を (2020年02月05日)

東京五輪まで半年の時点で、スポーツ用具を巡る混乱を回避する必要があったのだろう。

陸上長距離レースで多くの選手が履いている米ナイキ社の厚底靴について、世界陸連(WA)が条件付きで容認する新ルールを発表した。好記録が相次ぎ、選手の一部から「不公平だ」との意見が出ていた。

新ルールは、靴底の厚さが40ミリ以下、反発力を増すために靴に埋め込むプレートは1枚とした。市販されているナイキ社の「ヴェイパーフライ(VF)」は厚さが40ミリ未満、プレートは1枚で、東京五輪での使用が可能となる。

VFは広く普及し、昨年の東京五輪マラソン代表選考レースでも日本代表に内定した男女4選手のうち3選手が履いていた。残りの代表を争う選考レースで、VFが禁止されれば、条件に大きな差が生まれかねなかったと言える。

4月30日以降の大会で使う靴は、その4か月前から市販されている必要があるとの規定も新ルールに盛り込まれた。

男子マラソンのキプチョゲ選手(ケニア)が非公認レースで2時間を切った際に履いた厚底靴は、プレートが3枚あり、試作品のため、禁止の対象となる。

従来の規則は「競技者に不公平な助力や利益を与えてはいけない」という原則中心だった。新ルールは、既に普及した靴は容認する一方、特定の選手だけが有利になるものには歯止めを掛けた。緊急措置的な意味合いがあろう。

今回の厚底靴問題は、スポーツの公平性と用具の技術開発との関係を改めて問いかけている。

スポーツの歴史を振り返ると、用具の改良が記録の向上に役立ってきた面がある。パラリンピックの陸上選手の義足のように、競技の普及に貢献した例も多い。

ただ、VFはクッション性と反発力を両立させた技術により、マラソン選手らが地面を蹴って前へ進む力を飛躍的に向上させた。

速く走る、高く跳ぶといった人間本来の能力を競い合う陸上スポーツの本質に影響を与える可能性があるのは否定できない。

プロ野球で使うボールに反発係数の基準があるように、多くのスポーツでは科学的根拠を基に用具に関する規制を設けている。

陸上競技の靴についても、靴底の反発力の上限数値を設定すべきだという意見がある。検討に値するのではないか。

競技団体には、スポーツの根幹である公平性を不断に追求する取り組みが求められる。

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[朝日新聞] 若者とがん 前へ進むための支援を (2020年02月05日)

進学や就職、結婚、出産、子育て……。10代半ばから30代のAYA(アヤ)(思春期・若い成人)世代は、多感な時期を経て、さまざまな人生の節目を迎える。

病気などで長期の治療が必要になった時、不安や孤立感を強めやすい世代でもある。どんな支援が必要か。がんの治療などで病院が模索を続け、専門家と患者らが研究会で議論を重ねていることを手がかりに、社会全体で考え、実行していきたい。

大阪市立総合医療センターは2年前、AYA世代専用に27床の病棟をつくり、がん患者を中心に受け入れている。

病棟には患者と家族が交流できる場を設けた。周りから取り残されるという患者の焦りを和らげるため、スタッフの活動は医療分野以外に広がる。病院と学校を通信回線で結んで遠隔授業を実現し、センターで働く多様な職種の人たちが協力し模擬の職業説明会を開いてきた。

いち早く15年にAYA世代の病棟を設けたのは静岡がんセンター(静岡県長泉町)だ。学業から経済的な問題まで幅広い悩みを「よろず相談」で受け止める。医療ソーシャルワーカーの御牧(みまき)由子さんは「社会に壁があれば、一緒に乗り越えていけるよう解決策を探します」。ハローワークと出張相談会を開くなど、病院外の機関に協力を仰ぐ。

一般社団法人「AYAがんの医療と支援のあり方研究会」(名古屋市)には、医療関係者や学者、がん経験者とその家族らの有志が集う。副理事長で国立国際医療研究センター医師の清水千佳子さんは「医療関係者の努力だけでは限界がある」と訴え、全国14の医療施設をモデルに地域の様々な機関との連携に力を入れている。

こうした試みに、どれだけ応えられているだろうか。

教育現場では、広島県教委が昨秋、高校からの遠隔授業で病院に教員がいなくても出席扱いする方針を示し、教員配置を原則としてきた文部科学省も配置不要に転じた。高校生が病室で授業を受けた広島大学病院の医師は「目標ができれば治療への意欲も増します」と指摘する。

ただ、このような事例はまだ少ない。特に高校は、院内学級が一定数ある小中学生と比べて対策が遅れている。国と自治体が協力し、広島と同様の仕組み作りを急いではどうか。

就労をめぐる課題も山積している。治療中の職場の同僚を支える動きは少しずつ広がってきたが、新たに働くことを目指す人への門戸は狭いままだ。

支援の必要性は世代や病名を問わない。「若者とがん」を例に、皆が夢や希望に向かって歩んでいける社会にしたい。
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[朝日新聞] 新型肺炎 合理的な対策を着実に (2020年02月05日)

新型肺炎による中国本土の死者は400人を超えた。医療態勢の不備が指摘されるなか、02?03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)を上回った。日本政府としても、浮上した課題を整理し、様々な展開を想定しながら適切な対応を探りたい。

発生地の湖北省武漢市からチャーター機で帰国した人々に、政府は用意した宿泊施設から2週間外出しないように要請してきた。検査で陰性だった人にも施設での滞在を求めるのは、法律の規定にはない措置だ。

日を重ねるにつれてストレスもたまるだろう。生活面での要望にていねいに耳を傾けるとともに、ケアにあたるスタッフの心身の疲労にも目配りしてもらいたい。これまで、宿泊環境の整備や施設のある地元自治体・住民への説明など、後手にまわった事項は多々ある。今後への重要な教訓だ。

中国からの渡航制限に踏みきる国が増えるなか、日本も今月から、過去2週間以内に湖北省に滞在した外国人と、同省発行の中国旅券をもつ外国人の入国を認めないことにした。

未知の病原体を国内に入れない「水際対策」の重要性は言うまでもない。一方で強制を伴う措置については、プラスとマイナス双方の効果を考慮してその採否を決め、発動する場合にも行きすぎのないよう慎重に判断しなければならない。

世界保健機関(WHO)がウイルスの潜伏期間を2?10日とみていることを受けて、政府は「2週間」としていた施設滞在期間を「10日」に短縮すると発表した。この件に限らず、最新の知見を踏まえ、合理的な対応に努める必要がある。

あわせて、ウイルス検査をする対象を広げることが、きのう決まった。国内でも人から人への感染が確認されており、患者のさらなる増加や重症者の発生も予想される。そうした事態にも対処できるよう態勢を整えることが欠かせない。海外の例も参考にしながら、診察・治療の指針づくりを急いでほしい。

経済への影響も懸念される。

中国からの旅行客の激減は、既に各地の観光関連産業に打撃を与えている。中国内に立地する日本企業の生産・販売拠点にも操業の停止や制限が広がる。中国経済が減速すれば世界にとって強い逆風になる。

そうでなくても昨年10?12月期の日本経済は、米中貿易摩擦や消費税率の引き上げなどで、かなりの幅のマイナス成長になったとの見方が強い。

政府・日銀は予断をもたずに足元の動向を精査し、情報を発信する必要がある。資金繰りの実態なども見極め、状況に応じて対策を準備するべきだ。
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