2020年02月02日

[東京新聞] 週のはじめに考える 政策選ぶ「消費者」として (2020年02月02日)

私たちは「主権者」であると同時に、行政サービスを受ける「消費者」でもあります。安倍晋三首相率いる自民党の「一強」支配が続き、どんな弊害が出ているか。視点を変えて考えます。

× ×

日本の国家予算は二〇一九年度当初と補正を合わせて百四兆六千五百十七億円。これを一九年七月参院選時の有権者数一億五百八十八万六千六十四人で割ると九十八万八千三百四十二円になります。

単純な計算ですが、十八歳以上の有権者一人の一票が、百万円近いお金の使い道を決めることになります。一票の持つ意味は、それほど重いのです。


◆商品選べぬ市場の独占
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私たち有権者が投票する際、参考にするのは候補者や政党が訴える公約、政策や理念です。どうすれば暮らしはよくなるのか、将来の不安をなくすにはどうすればいいのか…。いろいろ考えながら、公約の是非や実現性などをじっくり比較して選びたいですよね。

でも、時々不安に思うのです。しっかり選べるだけの選択肢が私たち有権者に示されているのだろうか、と。特に、一二年の政権復帰後、安倍自民党が国政選挙で勝ち続けるたびに、その不安は大きくなっています。「一強」ゆえの不安、弊害と言っていいのかもしれません。

例えが適切かどうか分かりませんが、私たちが「消費者」としてある商品をお店に買いに行き、そこには一種類しか商品がないと仮定します。

その商品をつくる企業は一社しかなく、市場を独占している状況です。商品の品質はそれほど良くなく、値段も決して安くはありませんが、ほかに選択の余地がないので、背に腹は代えられません。

もし多くの企業が競い合って、同様の商品をつくっていたら、競争によって品質も良くなるでしょうし、価格も安くなるでしょう。市場の競争原理が働くからです。


◆競争原理働かなければ
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しかし、独占企業には価格を下げたり、品質を良くしようとするインセンティブ(動機づけ)がありません。そんな努力をしなくても消費者は自分のところの商品を買い続けてくれるからです。

消費者は結局、余計な支出を強いられたり、不十分な品質でも我慢するしかありません。その商品は生活に欠かせないので、買わないわけにもいきません。市場独占の不利益を被るのは、私たち消費者自身なのです。

極めて単純化した例ですが、この状況、何かに似ていませんか? そうです。自民党が政権を「独占」し、安倍首相が主導する政策を選ばざるを得ない日本の政治状況そのものです。政権に対する国民の信頼が厚いならともかく、七年以上も続く安倍内閣には、長期政権の「澱(おり)」のような政権疑惑が相次いで出ています。

官僚による政権中枢への忖度(そんたく)が指摘された森友・加計学園を巡る問題であり、直近では「桜を見る会」での地元支援者への便宜供与疑惑、そして現職国会議員の逮捕に至った「カジノ汚職」です。

「アベノミクス」と自称する経済政策も、「戦後外交の総決算」を掲げる外交政策も、政権が吹聴するほど目覚ましい成果が出ているわけではありません。

しかし、自民党は政権復帰した一二年の衆院選を含めて六回の国政選挙にすべて勝利しています。全有権者に占める得票割合を示す「絶対得票率」はいずれも二割程度にとどまり、有権者にそれほど支持されているわけでもないのに、です。

なぜでしょうか。共同通信社が今年一月に行った世論調査では、安倍内閣を支持する人にその理由を尋ねると「ほかに適当な人がいない」と答える人が最も多く五割近くに達していて、この割合は政権発足当初と比べてほぼ倍増です。

つまり、安倍首相に代わる指導者や自民党に代わる政権を望んでいる人も、安倍内閣を消極的に選択しているということです。新しい指導者や政権担当能力を持つ政党が出てくれば、消費者が商品を選ぶように、私たち有権者も政権を選択できるようになります。


◆政権の選択肢ない不幸
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もちろん、野党が政権の問題点を指摘することは重要です。独占企業の商品に欠陥があることを指摘すれば、商品の改良につながって、結果的に、消費者=有権者の利益を守ることになるからです。

でも、新しい商品が市場に出回らなければ、消費者は独占企業の商品を買い続けなければなりません。いつまでも、いつまでも。

野党は今、勢力が分散していて政権交代の展望は開けていませんが、政権追及に加えて、政策や政権の現実的な選択肢を示すことにも力を入れてほしい。有権者の多くもそれを待ち望んでいるのではないでしょうか。政権や政策が選択できない政治状況がいつまでも続くなんて、御免蒙(こうむ)りたい。
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[産経新聞] 【主張】マラソンの厚底靴 科学的根拠のある規制を (2020年02月02日)

マラソンの好記録続出の要因とされる厚底シューズについて、世界陸連(WA)は靴底を厚さ40ミリ以内、中に埋め込むプレートは1枚までなどとする規制を打ち出した。すでに流通している製品は東京五輪で使える。

日本の男女代表残り1枠だけでなく、これから代表選考を控えた国・地域もある。選手たちの混乱を避ける上でも妥当な判断だろう。

問題視されている靴はナイキ社製で、2016年リオデジャネイロ五輪王者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が履いて18年に世界記録を樹立した。女子の世界記録や男子の日本記録も同タイプの厚底靴から生まれている。

薄いソール(靴底)が主流だった従来の靴と違い、ナイキ社製は分厚いソールの中に埋め込まれた炭素繊維のプレートが高い反発力を生み、好記録につながったとされる。今年の箱根駅伝では8割超の出場選手がナイキ社製を履き、往復10区間のうち6区間で区間記録を更新した。

「より速く」という競技者の要求は当然で、人類の可能性を開くメーカー側の用具開発は本来なら否定されるべきではない。だが、マラソンの景色を変える新記録ラッシュには違和感を覚える。「ドーピングシューズ」との批判も的外れとは言えまい。

今回の騒動は、米大リーグで03年に強打者が使用して出場停止になったコルク入りバット、08年北京五輪などで競泳の世界記録を次々と塗り替えた高速水着をほうふつさせる。競技のあり方を根底から変えてしまう用具開発には、どこかで歯止めが必要だろう。

WAの競技規則では跳躍系種目の靴底に厚さ規制があるだけで、マラソンなどの路上種目については「使用者に不公平となる助力や利益を与えるようなものであってはならない」と、あいまいな規制にとどまっていた。

WAは厚さ規制に加え、流通から4カ月以上経過している製品を使用条件とする方針だが、それだけでは解決策にならない。靴底から生まれる反発力の上限を数値で示すなど、科学的に検証ができる規定を設けるべきだ。

競泳界では少しずつだが、高速水着時代の世界記録が塗り替えられ、人間の可能性を示している。競技の主役は選手だ。用具主導と映る現状は、マラソンの魅力を少なからず削(そ)いでいないか。
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[産経新聞] 【主張】英国のEU離脱 連合王国の一体性を守れ (2020年02月02日)

英国が欧州連合(EU)からの離脱を果たした。長期の混迷は一応終結したが、解決すべき問題が残っている。

EUからの離脱劇に刺激され、スコットランドや北アイルランドの地方議会などで「英国からの独立」を求める声が高まっているのだ。

だが、世界の安定のためにも、英国の国家としての一体性は保たれている必要がある。

英国は、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドからなる連合王国だ。核兵器を保有し、国連安保理常任理事国を務める。先進7カ国(G7)の一員で米国と緊密な同盟関係にある。自由や民主主義を尊重する世界の秩序を担う、有数の主要国といえる。

スコットランドなどの分離独立論により「連合王国」が解体に動き出せば、経済面の混乱はもとより、英国の影響力低下は必至だ。覇権志向の中国やロシアに結束して対処する上でも、英国を地盤沈下させてはならない。

ジョンソン英首相はEU離脱に伴う演説で「連合王国全ての向上を図りたい」と強調した。

2016年の国民投票ではスコットランドと北アイルランドがEU残留を、イングランドとウェールズは離脱を支持した経緯がある。スコットランドでは昨年12月の英総選挙で、分離独立を掲げるスコットランド民族党(SNP)が8割を超える議席を獲得し、独立論が再燃している。

SNPは14年住民投票での分離独立否決でもあきらめず、再度の住民投票を目指している。実現には英議会の認可が必要で、現時点でその見通しは立っていない。

だが、EU離脱でスコットランド経済が打撃を受ける可能性がある。EU復帰のための分離独立論が英国を揺るがし続ける恐れがある。関税の扱いで英本土と一線を画された北アイルランドもアイルランドとの統一機運が高まりかねない。両地域の経済状況などにも配慮しつつ、「連合王国」の動揺や崩壊を防ぐ必要がある。

ジョンソン首相は、EUとの自由貿易協定(FTA)締結交渉を進めるが、重要なパートナーと位置づける日本とのEPAを早期に策定したい考えだ。

日本は英国と自由や民主主義、人権、法の支配などの普遍的価値を共有している。日英協力関係を一層深めていくべき時である。
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[毎日新聞] 海自護衛艦が中東へ 「一般化」してはならない (2020年02月02日)

海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が中東海域へ向け、きょう横須賀を出港する。今月下旬にオマーン湾などで情報収集活動を始める。

武装した実力部隊の海外派遣という重い政治判断だ。国会の徹底した議論を経るべきなのに、政府は昨年12月に閣議決定し、1月10日に河野太郎防衛相が派遣命令を出した。

ようやく通常国会が開会し、与野党の議論が本格化してきたところである。事前に決めた予定ありきで派遣を進める政府の対応は問題だ。

この間、年明けに米国がイラン司令官を殺害し、イラン側がイラクの米軍駐留基地にミサイル攻撃を行った。さらなる武力衝突に至ってはいないが、情勢は緊迫したままだ。

米・イランの紛争に巻き込まれる危険はないのか。「武力の行使が行われている状況ではない」との現状認識を示すだけでは不十分だ。政府は今後の情勢が変化するリスクも含め国会で丁寧に説明すべきだ。

また、防衛相の判断で部隊を動かせる「調査・研究」が法的根拠でいいのか。この点についても議論が尽くされたとは言い難い。

公明党は今回、特例として容認したものの、国会審議の中で、調査・研究名目の自衛隊派遣を「一般化」しないことの確認を求めた。

安倍晋三首相は「一般化することは毛頭あり得ない」と応じつつ「総合的な勘案の中において慎重に判断する」と付け加えた。

これではなお懸念が残る。そのつど判断すれば一般化には当たらないとの意味にも受け取れるからだ。

原油の9割を中東に依存する日本として、タンカー航路の警戒監視に役割を果たす意義は否定しない。

ただし、自衛隊は憲法上、海外での武力行使が禁じられ、危険な地域・海域への派遣には法的な制約がある。いつでもどこでも調査・研究で派遣できることになれば、なし崩し的に「普通の軍隊」に近づく。

シビリアンコントロール(文民統制)の面でも問題は大きい。そのため公明党は閣議決定手続きとその国会報告を派遣容認の条件とした。

しかし、菅義偉官房長官は閣議決定文書を国会議員に配布したことをもって「報告した」とみなす考えを示している。国会に対する政府の姿勢は不誠実と言うほかない。
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[毎日新聞] 札幌が冬季五輪立候補 新たな理念打ち出せるか (2020年02月02日)

札幌市が2030年冬季五輪・パラリンピックの開催地に立候補することが正式に決まった。

26年大会も名乗りを上げたが、18年に北海道胆振東部地震が起き、途中で招致を断念した。今回実現すれば、1972年以来の開催となる。

札幌の計画には新設の競技会場は一つもなく、72年大会時のものを含む既存施設が活用される。ボブスレーなどそり競技は、維持費の問題で休止している98年長野五輪のコースを改修する方向で交渉中だ。スピードスケートも、帯広市の屋内リンクで実施する計画が立てられている。

札幌以外では、米国のソルトレークシティーと、スペイン初の冬季大会開催を狙うピレネー・バルセロナが招致に関心を見せている。

これまで開催地は、原則7年前の国際オリンピック委員会(IOC)総会で決まっていた。しかし、大会の肥大化から立候補都市が少なくなり、7年前に決めるという規則は五輪憲章から削除された。

決定時期は定まっていないが、IOCとの協議が順調に進んだ場合、早ければ来年にも開催地が決まる。

今回は招致意欲を示す3都市について、30年以降の大会も含めて判断される可能性もある。実際に夏季大会は24年パリ、28年ロサンゼルスでの開催が同時に決まった。

世界的に開催を望む都市が減り、五輪の将来が危ぶまれている。地元向けに新幹線の延伸や観光客誘致を強調し、開発効果や経済成長ばかりを五輪に求める時代ではない。

懸念もある。開催経費は26年大会招致時の約4500億円に比べ、3100億?3700億円と絞り込んだ。だが、北海道経済が低迷する中、予算が膨張していけば公費負担の増加は避けられない。会場整備では、自然保護への配慮や雪不足への対応にも神経を注ぐべきだ。

26年大会招致前に行った市民アンケートでは「賛成」「どちらかといえば賛成」の肯定的意見が約67%だった。今夏は東京五輪のマラソンや競歩、サッカーが札幌で行われるが、運営能力だけでなく、地元の理解を広げられるかも試される。

約半世紀前に五輪を開催した札幌が、東京に続いて再び大会を招致する価値とは何か。その意味を考え、新たな理念を打ち出してほしい。
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[読売新聞] 中国の新型肺炎 長期戦を想定し万全の備えを (2020年02月02日)

中国の新型肺炎の拡大が収まらない。日本でも長期戦に備えた対策を強化する必要がある。

新型肺炎について、世界保健機関(WHO)が緊急事態を宣言した。

2009年の新型インフルエンザや、アフリカでのエボラ出血熱の流行などに続き6度目だ。すでに感染は世界に広がっており、遅きに失した感が否めない。

政府は新型肺炎を感染症法に基づく「指定感染症」とする政令の施行日を、当初の2月7日から1日に前倒しした。ウイルス検査を断る人が出ていただけに、入院勧告などを可能にする法的権限を明確にする措置は妥当だろう。

中国本土の感染者数は1万人を超え、03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の患者数を上回った。患者数は連日、大幅に増えており、感染の裾野が大きく広がっていることがうかがえる。

チャーター機で日本に帰国した人の中から、症状がないにもかかわらず、ウイルス検査で陽性と判定された人が見つかった。発熱やせきなどの兆候が見られないと、そもそも検査の網にかかりにくいことに注意が必要だ。

感染者が気づかずに出歩けば、感染が容易に広がる恐れがある。国内で日本人から日本人への感染が静かに進行している場合、追跡は難しくなるだろう。

現在、患者は感染症の指定医療機関に送られている。しかし、感染が国内で持続し、軽症の患者が急増する事態になれば、一般の病院での対応方法なども考える必要があるのではないか。

感染拡大のスピードを抑えるためにも、政府には引き続き万全の対策が求められる。

患者を診察する医師や、対策を決める行政機関にとって、新型肺炎の症状や感染力、致死率などを正確に把握することが欠かせない。中国政府はこれまでに判明したデータを、積極的に国際社会に開示していくべきだ。

今後、日本国内の患者が徐々に増えていく恐れはあるが、今のところ、新型肺炎の毒性はSARSや中東呼吸器症候群(MERS)ほど強くなく、感染力は麻疹(はしか)より弱いとみられる。

国民一人ひとりがとるべき対策は、通常の風邪やインフルエンザと変わらない。手洗いやうがいを励行し、高齢者や持病のある人を守ることが重要だ。

過剰な反応で、社会生活に支障が出ることが懸念される。デマに惑わされず、患者をいたずらに排除しないよう留意したい。

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[読売新聞] 桜を見る会 公文書の管理がずさん過ぎる (2020年02月02日)

衆参両院の予算委員会で、首相主催の「桜を見る会」の問題を巡る審議が続いている。政策遂行に支障を来さぬよう、政府は、疑念の払拭(ふっしょく)に努めなければならない。

第2次安倍内閣発足後の2013年から招待者が膨れ上がり、安倍首相の後援会関係者が多数招かれていた。内閣府が正式な招待状を発送する前に、首相の事務所が、後援会関係者に案内状を送っていたことも分かった。

首相は陳謝したうえで、「推薦すれば招待されるだろうとの安易な推測で作業を進めてしまった」と釈明した。「公私混同」と批判されても仕方あるまい。

見過ごせないのは、公文書のずさんな扱いである。

公文書管理法は、保存期間1年以上の文書は名称などを記録し、廃棄する際にも記録を残すことを義務づけている。

11?17年度の招待者名簿はこの対象だったが、内閣府は必要な措置を取らなかった。前例踏襲に陥り、ルール違反を重ねた。担当者らの意識の低さは目に余る。

政府は18年度に、名簿の保存期間を1年未満に変更している。個人情報を持ち続けるリスクを避けるため、と説明する。著名人も出席するイベントであり、消去すべき個人情報とまで言えるのか。

名簿は既に廃棄され、招待者の選定手続きが適正だったかどうか、検証できなくなっている。公文書の適切な作成・保管の重要性を改めて示していよう。

政府は、今年の桜を見る会の開催を中止し、招待基準や規模を見直す方針だ。名簿の保存期間の延長を検討すべきではないか。

安倍内閣の下では、財務省による決裁文書の改ざんや、厚生労働省の毎月勤労統計の不適切な調査もあった。長期政権の緩みが背景にあるとすれば、問題だ。行政への信頼を損ないかねない。

首相は国会で、公文書管理に関し「政府を挙げてさらなる方策を検討する」と表明した。管理を担う専門人材の育成にも力を入れる考えを示した。改善の方向性は示されている。立法府として、それが着実に実現するか、監視していくということではないか。

週明けからは、来年度予算案の本格的な質疑が始まる。100兆円を超える大型予算である。その規模や各施策の妥当性について十分な検証が求められる。

感染が拡大する新型肺炎への対処や不安定な中東情勢への対応など、課題は山積している。政策論議に力を注ぐべきである。

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[朝日新聞] ふるさと納税 制度のひずみ直視を (2020年02月02日)

ふるさと納税の新制度の対象から大阪府泉佐野市を外した総務省の判断を、大阪高裁がほぼ全面的に認める判決を出した。

かつての制度でたびたびあった通知や要請に従わず、アマゾンギフト券などで多額の寄付を集めたことを理由にした是非が、問われていた。

国と自治体の争いを審査する第三者機関の国地方係争処理委員会は昨年、「直ちに、かつ、一律に」対象外とすることは、法律が認める範囲を越えるおそれがあると勧告。総務省は再検討を求められたが姿勢を変えず、市側が提訴していた。判決は、総務省の判断や基準は裁量の範囲内だとした。

泉佐野市は不服として上告する方針で、決着にはなお時間がかかりそうだ。

本来は対等で、協力し合うべき国と自治体の関係がなぜ、ここまでこじれたのか。

総務省は裁判の書面で、今回の案件を「国家の統治機構の構成主体間の内部解決にゆだねられるべき事柄」としている。

節度のない泉佐野市のふるまいは、判決が指摘するように、厳しく批判されて当然だ。

一方で、総務省は自治体と信頼関係を築く努力をどこまで重ねたのか。「上下・主従」の目線はなかったか。法廷闘争にまで発展した要因を、省みる必要がある。

そもそも、ふるさと納税は制度設計の甘さから、さまざまなひずみを抱えたままだ。

判決が言うように、「寄付という経済的利益の無償供与の法的枠組み」であれば、返礼品を認めないのが筋だろう。利用が伸び悩み、寄付をする人の税優遇を手厚くする法改正をして、理念よりお得感を際立たせてきたのは、総務省だ。

首里城再建など、返礼品がなくても多くの金額を集める寄付もあるが、専用サイトでは商品から選ぶ方式がなお目立つ。

高所得者ほど税の優遇が大きく、返礼品もたくさん受け取れる問題では、上限額を定率から定額にすることなどを検討すべきだ。寄付者が多くいる都市部の自治体から、財源が流出する課題への対策にもなる。

ふるさと納税の影響で、川崎市では今年度に56億円の住民税の減収が見込まれ、東京都世田谷区は新年度には70億円にふくらむと見る。さらに増えれば、教育やインフラの維持などにも支障をきたしかねない。

自治体が福祉などに使う民生費は10年間で、9兆円あまり増えた。地方財政と税制の全体を見回した改革も求められる。

そのなかで、ふるさと納税が果たす役割とは何か、どんな姿が望ましいのか。納税者としても考えたい。
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