2020年02月28日

[東京新聞] 新型肺炎と倒産 中小向けに集中支援を (2020年02月28日)

新型肺炎の拡大に伴い、企業倒産への不安が増大している。終息の兆しがみえない中、体力のない中小企業は崖っぷちに立たされている。政府は中小向けのピンポイント型支援策を強化すべきだ。

ここにきて愛知県蒲郡市の旅館や北海道のコロッケ業者が経営破綻した。新型肺炎の影響で経営が急激に悪化したためだ。

中小企業への打撃は、中国からの旅行客が激減した観光業界を中心に広がっている。宿泊施設のほかバスやタクシー会社、飲食店や土産店などが軒並み大幅な売り上げ減少に陥っている。

日本旅行業協会は団体旅行が禁止となった一月下旬から三月末までの中国人旅行客の減少は四十万人と予測。昨年の訪日中国人は約九百五十九万人だが、このままだと激減は必至。資金繰りが悪化する事業者も確実に増えるだろう。

コンサートやスポーツなど各種イベントの開催を見合わせるケースも一気に増えた。感染拡大を防ぐ意味では理解できる措置だ。

ただイベント関連の事業者もその多くが中小だ。会場の違約金や顧客への払い戻しなどが重なり、短期間で資金不足に陥る恐れもあり注視が必要だ。

さらに観光地に限らず飲食店への影響も懸念され始めている。中国からの輸入食材に頼る店は多い。だが供給網の寸断で在庫が底をつく店も出ており、早急に実態把握すべきだ。

事業者数ベースでは、国内の九割以上が中小企業だ。中小の製造業や各種サービス業は、雇用面も含め国内経済を支える主役である。ただ財務面で脆弱(ぜいじゃく)な事業者が多いのも事実だ。

政府は、中小向けの五千億円規模の緊急貸し付け・保証枠の拡大や、解雇防止のための雇用調整助成金の要件緩和などで対応している。各都道府県も信用保証協会がセーフティネット保証と呼ばれる仕組みを拡大し、融資を受けやすくしている。

しかし対策は所管する官公庁別にさみだれ式で行われ、やや力強さに欠ける。株価の大幅下落などで心理面での不安も広がっている。ここは政府が緊急対策をてこ入れした上で一括公表し、支援する強い姿勢をアピールすべきではないか。

新型肺炎の影響は大企業も受けている。中国からの部品調達難で生産に支障をきたす企業も多い。だが体力がある大企業が代金値下げといった負担を下請けにかけないようくぎを刺しておきたい。
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[東京新聞] ハンセン病判決 「違憲」なら再審が筋だ (2020年02月28日)

ハンセン病患者とされた男性をめぐる一九五〇年代の特別法廷の審理は「違憲」と熊本地裁が判断した。人格権などを侵害したと認めた。男性は無実を訴えており、再審の扉を開くのが筋だ。

特別法廷とは最高裁が認めた場合に裁判所以外で法廷を開く方法だ。ハンセン病患者の裁判では、隔離先の療養所や専用の刑事施設に設けられ、四八年から七二年にかけ九十五件が開かれた。

だが、ハンセン病は感染力が極めて弱く、完治できる病気になっていた。そんな医学的な根拠も無視し、誤解や偏見に基づく隔離政策は続けられた。

特別法廷でも感染を恐れた裁判官や検察官、弁護士が予防服を着て、証拠物を火箸で扱うなど異様な光景があった。公開されるべき裁判が「非公開」であったともいわれる。

最高裁は二〇一六年に「人格と尊厳を傷つけた」と謝罪した経緯がある。しかし、特別法廷の設置が差別的で裁判所法違反だったと認めただけで、違憲とは言明しなかった。その意味で熊本地裁が明確に「特別法廷での審理は人格権を侵害し、患者であることを理由とした不合理な差別で違憲」と述べた意義は大きい。

特別法廷の適否に関する初の司法判断で、法の下の平等にも反し、裁判公開の原則にも反する疑いを認めた。画期的である。

もっとも原告が求めた「検察による再審請求」は「刑事裁判の事実認定に影響する手続き違反ではない」と退けた。この判断には疑問を持つ。裁判が「不合理」な形で進行したのならば、その手続きは正当とは言えまい。

「菊池事件」と呼ばれる今回の事件は男性が殺人罪に問われ、五七年に死刑が確定、六二年に刑が執行されている。だが、男性は「無実」を訴え続けていた。正当とは言えない法廷で審理され、導かれた事実認定がなぜ正しいと言えるのか。裁判をやり直す再審手続きを踏むべきである。

今回は刑事裁判でないし、刑事訴訟法上の再審事由に該当しないかもしれない。それは裁判所に憲法違反の手続きがあろうとは法の想定しえない事態だからだ。ハンセン病とされた被告には裁判所の門さえくぐれぬ不利益が働いた事情を酌むべきである。

男性は既に死刑になり、遺族は差別を恐れ、今なお再審請求に踏み切れない。法の落とし穴があれば検察官が再審を求め、公正な裁判を実現するべきなのだ。
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[産経新聞] 【主張】新型肺炎と企業 政策総動員で徹底支援を (2020年02月28日)

産業界を挙げて新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ取り組みを加速するには、官民が危機感と情報を共有することが必要である。

大手企業では、新型コロナウイルス対策で社員の出社停止を求める企業が出ている。テレワーク(在宅勤務)や時差出勤の動きも広がっている。いずれも満員電車など人混みでの感染拡大抑制に期待がかかる。

だが、一律の出社停止やテレワークの実施は難しい。

先行して出社停止に踏み切ったIT企業がその後、業務内容に応じて一部社員の出社を認めるなどの修正もみせている。各社が個別の事情に応じて柔軟に取り組む必要がある。

懸念されるのは中小企業への影響だ。大手企業が出社を停止し、その間の仕事を下請け企業に丸投げするようでは中小の負担が増すばかりだ。政府は「働き方改革」を促す意味でも、大手の下請けいじめを厳しく監視すべきだ。

梶山弘志経済産業相と加藤勝信厚生労働相らは経団連や連合など主要な労使団体トップと会談し、労使に時差出勤やテレワークなどの推進を求めた。官民が緊密に協力し、感染拡大の抑制を徹底することが重要だ。

特に都市部に本社や支社を置く企業では、従業員が満員電車などで新型コロナウイルスに感染するリスクが指摘されている。そうした企業は事情が許す限り従業員に時差出勤を促したり、出社停止を求めたりするなどの取り組みを進めてほしい。

中国をはじめとする訪日客の急減に伴い、地方の観光産業などでは苦しい経営状態に陥っている中小・零細事業者が少なくない。

政府は「雇用調整助成金」の支給要件を緩和している。これは売り上げ減などで経営が悪化した企業が従業員を解雇することなく、一時的な休業に対する手当の一部を補助する制度だ。

政府が今後2週間は大規模イベントなどの中止や延期を要請し、全国的に自粛ムードが広がっている。やむを得ない措置ではあるが、地域の中小企業への配慮も欠かせない。雇調金の支給要件をさらに緩和し、年度末の資金繰りを支援するなど政策を総動員しなければならない。

感染拡大の抑制と事業継続を両立するには、各社が多様な働き方を進める工夫が問われている。
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[産経新聞] 【主張】子供への虐待 悲劇への反省が足りない (2020年02月28日)

昨年1月に千葉県野田市の小学4年、当時10歳だった栗原心愛(みあ)さんが虐待死した事件で、彼女が自分宛てに書いた手紙を祖母が公開した。

手紙はこう結ばれていた。「未来のあなたを見たいです。あきらめないで下さい」。心愛さんがどのような気持ちでこれを書いたのか。想像するだけで胸が痛い。

同じ悲劇を繰り返さぬため、親権者らによる体罰禁止規定を盛り込んだ改正児童虐待防止法が4月に施行される。

厚生労働省の有識者検討会が、どんな行為が体罰に当たるかを示した指針は、頬や尻をたたく、殴る。長時間正座させる。夕飯を与えない?などを列挙した。

冗談でも「お前なんか生まれてこなければよかった」などということは子供の権利を侵害し、心を傷つける行為と強調した。

何をいまさら、の感もあるが、しつけと称しての虐待が後を絶たない現実が背景にある。

心愛さんの事件の公判で、傷害致死罪に問われた父親の被告側は「教育のためにやったことが行き過ぎてしまった」と述べている。こうした弁解を許さぬための指針である。だが、法改正も新たな指針も、そこに魂が入らなければ、ただの文面である。魂とは、関係者や社会の本気度を指す。

野田市が1月にまとめた検証報告書は、心愛さんが一時保護されてから少なくとも13回、行政機関が介入しなければならない状況があったと指摘した。

その上で「市の福祉、学校、児童相談所の誰であれ、頼れる大人が一人でもいたら救えたはず」としてそれぞれの対応を「子供への裏切り」と強く批判した。

深い反省は、全国で共有すべきものだった。

神戸市こども家庭センター(児童相談所)では今月10日未明、当直勤務を請け負うNPO法人の男性職員が、助けを求めてきた小学6年の女児に「警察に相談して」と伝え、追い返していた。

女児は近くの交番を訪れ、警察から「児童虐待がある」と通報を受けた児相が改めて保護した。そこには心愛さんの事件の反省も、子供を守るのだという気概も、全くみられない。

本来、子供を守るのは親の責務である。その親に虐待される子供は、社会を挙げて守らなくてはならない。
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[毎日新聞] 特別法廷に違憲判決 ハンセン病の差別直視を (2020年02月28日)

ハンセン病を理由に隔離施設の特別法廷でかつて開かれた刑事裁判について、熊本地裁が憲法違反と認めた。不合理な差別で、被告の人格権を侵害していると判断した。

最高裁は2016年にまとめた報告書で差別的な取り扱いだったと認めて謝罪したものの、違憲とまではしなかった。熊本地裁判決は踏み込んだ判断であり、評価できる。

問題となったのは、1952年に熊本県で起きた「菊池事件」の裁判である。被告の男性はハンセン病療養所や刑事施設の特別法廷で裁判を受け、殺人罪などで死刑となった。

特別法廷は、被告の出廷が不可能な場合などに裁判所以外で行う裁判だ。判決は菊池事件で設置した合理性を認めず、裁判官や検察官がゴム手袋をはめ、箸で証拠物を扱ったことにも言及し、差別だと明言した。

療養所の特別法廷は一般傍聴ができないため、憲法が定める裁判の公開原則に反する疑いも指摘した。

ハンセン病を理由とした特別法廷は、48年から72年までに95件開かれた。最高裁は必要性を厳密に検討すべきだが、機械的に許可していた。

最高裁の報告書は、国の隔離政策を違憲とした01年の熊本地裁判決を踏まえ、60年以降の特別法廷は違法だったと記した。一方、今回の判決は、それ以前の裁判について違憲性を認めており、意義は大きい。

今回の裁判は、菊池事件の再審をしないと特別法廷で広まった差別被害が解消されないとして、元患者6人が起こした民事訴訟だ。

判決は、裁判手続きが違憲だとしても、直ちに事実認定に影響を及ぼすとはいえないと指摘して、再審の理由はないと結論づけた。

しかし、裁判のあり方が憲法に違反している以上、その結論に誤りがないとは言えないはずである。確定裁判の見直しに消極的な司法の姿勢には疑問が残る。

昨年、ハンセン病の元患者家族に対する差別について、国に賠償を命じる判決が確定し、補償法が成立した。そして、今回の判決で特別法廷の違憲性が初めて認められた。

最高裁の報告書公表後も、ハンセン病差別の理不尽さが次々と浮き彫りにされている。最高裁はこうした流れを重く受け止め、改めて差別の歴史を直視する必要がある。
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[毎日新聞] 首相の全国休校要請 混乱招かぬ対策が必要だ (2020年02月28日)

非常事態の対応とはいえ、国民生活への影響は免れない。混乱を招かぬ対策が必要だ。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相が来月2日から全国の全ての小中高校などについて臨時休校を要請する考えを示した。期間は春休みまでで、実質約1カ月に及ぶ。長期間にわたる極めて異例の措置だ。

子どもの健康、安全を第一に考え、感染リスクを低減することが目的だという。

すでに北海道や千葉、石川で臨時休校の措置がとられていた。このうち北海道では道内の全小中学校を1週間の休校にしている。

学校は集団生活の場である。一度感染が広がり出したら、歯止めがきかなくなる恐れがある。

これまで感染対策は後手に回ってきただけに、先手を打とうという意識が働いたのだろう。

ただし、首相の表明は唐突すぎる面があるのは否めない。大規模イベントの自粛要請と同様に、政府の基本方針に盛り込まれていない内容だからだ。この措置に伴うさまざまな課題に、政府は責任をもって対応すべきである。

首相の表明を受け、各自治体はさっそく、対応を迫られることになる。混乱を最小限に抑えるためにも、首相が早期に詳しい説明をする必要がある。

影響は学校だけにとどまらない。子どもや保護者に与える負担にも留意しなければならない。

共働きや一人親の家庭の場合、休校となれば子どもが一人で自宅に待機することになる。特に子どもが小さければ親は心配だ。子どもに合わせて仕事を休んだり、自宅で働いたりできるように、勤務先の企業などの協力が欠かせない。

特に非正規労働者の場合、家にいることで給与を得られなくなれば、生活に困る面も出てくる。こうした問題への対応も検討すべきだろう。

さらに、学習が遅れることへの手当てや、学校を円滑に再開するための配慮も忘れてはならない。

政府は当面、保育所については休園を要請しないという。ただ、今後、休園を検討せざるをえない事態が来る可能性は否定できない。早めに備える必要がある。
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[読売新聞] ハンセン病法廷 司法の過ち直視した違憲判断 (2020年02月28日)

裁判におけるハンセン病患者への人権侵害に、正面から向き合った司法判断と言えよう。

約70年前に熊本県で起きた「菊池事件」を巡る訴訟の判決だ。熊本地裁は、隔離されたハンセン病療養所の菊池恵楓園などに設けられた特別法廷が「法の下の平等を定めた憲法に反する」と指摘した。

ハンセン病を理由とする特別法廷は、90以上の裁判で設置された。最高裁は2016年の報告書で、隔離の必要性がなくなった1960年以降の設置手続きは「裁判所法に違反していた」と認めたが、違憲性には触れなかった。

今回、熊本地裁が裁判手続きを規定する裁判所法の違反にとどまらず、基本的人権を保障する国の最高法規である憲法に違反する、と踏み込んだ意義は大きい。

菊池事件では、ハンセン病患者とされた男性が殺人罪に問われ、特別法廷で死刑を言い渡されて62年に刑が執行された。今回の訴訟では、菊池恵楓園の入所者らが、検察が再審請求しないのは不当だとして国家賠償を求めていた。

判決は、男性の親族でない入所者らに賠償請求権はないとして、請求を棄却した。一方で「特別法廷での審理は、被告がハンセン病患者であることを理由とした合理性を欠く差別だ」と述べた。

菊池事件の特別法廷では、裁判官や検察官が証拠品を扱う際に、ゴム手袋をはめ、箸を用いていた。今回の熊本地裁判決は、こうした偏見に基づく差別的な取り扱いを問題視したのだろう。

判決が、特別法廷について、憲法が定める裁判の公開原則に反していた疑いがある、と言及したことは注目される。

特別法廷は、裁判所が被災するなど、やむを得ない場合のみ、例外的に認められるものだ。しかし、最高裁はハンセン病を理由とした特別法廷の設置を、具体的な事情を検討せずに許可していた。

特別法廷は、社会から隔絶された療養所などに置かれた。判決が「一般国民が訪問するのは事実上不可能で、傍聴を拒否したに等しい」と述べたのはもっともだ。

最高裁は、今回の判決を真摯(しんし)に受け止め、司法が犯した過ちを直視しなければならない。

菊池事件で刑を執行された男性の親族は現在、差別を恐れて名乗り出ることができない状況にあるという。昨年11月には、ハンセン病元患者だけでなく、家族の名誉回復を図る法改正が行われた。

社会に根強く残る偏見や差別を払(ふっ)拭(しょく)することが大切である。

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[読売新聞] 全国臨時休校へ 混乱抑え感染防止に全力を (2020年02月28日)

新型肺炎の患者が児童生徒にも出始めている。感染拡大につながるリスクをできる限り低減する狙いなのだろう。

安倍首相が、全国の小中高校や特別支援学校に対し、来月2日から春休みまで臨時休校とするよう要請する方針を明らかにした。

学校は大勢の子供が集まり、ひとたび生徒が発症すると、感染が一気に広がりやすい。家庭に戻って家族にうつす恐れもある。

新型肺炎では、感染経路のわからない患者集団が各地で見つかっている。ここ1?2週間は本格的な流行を抑止するための極めて重要な時期である。

全国一斉休校という異例の措置は、危機感の表れと言える。

北海道では27日から、小中学校の臨時休校が始まっていた。東京都は都立高校など約200校で、期末試験の終了後、前倒しで春休みに入ることを決めていた。

各自治体で独自に休校の動きが広がる中、政府として、統一的な考え方を示す必要に迫られた面もあったとみられる。

ただ、一斉休校に伴う様々な混乱も予想される。

3月に予定されている期末試験はどうするのか。試験を実施しないのなら、成績評価にも影響が出るのは避けられまい。

入学試験や卒業式も控えている。いずれも子供たちに重要な意味を持つ。実施する場合、会場の衛生管理を徹底するなど、感染防止に万全を期す必要がある。

休校中の子供たちが学習を続けられるよう、宿題を出して家庭学習を促すことも求められる。授業時間が不足するケースでは、学校が再開した後、適切な補習を実施してもらいたい。

一斉休校の措置を講じる際には保護者への配慮が欠かせない。

放課後に児童を預かる学童保育などの機能が低下すれば、日中も子供の世話をしなければならない保護者が増える。一人親や共働きの場合には、仕事を休まざるを得ないことになるだろう。

従業員が休みを取りやすい環境を、各企業が整えることが大切だ。テレワークなど在宅勤務も積極的に導入したい。

休業が長引いて収入が大きく減少するようだと、生活に困る人たちも出てくる。新型肺炎の影響で子供のために休んだ人に対して、政府は経済的な支援策を検討すべきではないか。

幼稚園や保育園の休園も予想される。幼い子供を持つ保護者にも十分な配慮が必要だ。

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2020年02月27日

[東京新聞] 検察官定年延長 三権分立を損なう暴挙 (2020年02月27日)

国会での審議を経て成立した法律の解釈を、政府が勝手に変えていいはずがない。黒川弘務東京高検検事長の定年延長を巡る法解釈の変更は、国会の立法権を脅かし、三権分立を損なう暴挙だ。

安倍内閣はなぜ、こんな重要なことを、国民の代表で構成する国会での審議も経ず、勝手に決めてしまうのか。

検察庁法は、検事総長以外の検察官の定年を六十三歳と定めている。一九八一年、国家公務員に定年制を導入する法案を巡る国会審議でも、人事院は「検察官は既に定年が定められており、今回の(法案に盛り込まれた)定年制は適用されない」と答弁していた。それが立法趣旨である。

国会の決定に従えば、黒川氏の定年は六十三歳で、延長は認められないはずだが、安倍内閣は国家公務員法の規定を適用して黒川氏の定年延長を決めてしまった。

定年延長は、安倍政権に近いとされる黒川氏を検事総長に就けるためとされてはいるが、ここでは三権分立に関わる国会との関係を巡る問題点を指摘したい。

まず、政府が法解釈を勝手に変えてしまうことの是非である。

憲法は「法律案は…両議院で可決したとき法律となる」と定め、内閣に「法律を誠実に執行」することを求めている。

国会で可決した法律の解釈を、政府が勝手に変えることは、憲法違反の行為にほかならない。

それが許されるなら、国会は不要となり、三権分立は崩壊する。国会軽視、いや、国会無視ともいうべき深刻な事態だ。

違憲としてきた「集団的自衛権の行使」を、安倍内閣の判断で容認した憲法解釈の変更は許されるべきではないが、あの時ですら、有識者会議や国会審議、閣議決定など一定の手順は踏んでいた。

今回の定年延長には手順を尽くそうとの姿勢すらない。安保法以下だ。決裁すら口頭だという。国会でいくら審議しても、政府の口先で法の趣旨が変わる。これが法治国家か。どこかの国を「人治」と批判できるのか。

人事院は八一年の政府見解について、当初「現在まで同じ解釈を続けている」と答弁したが、今回の定年延長との整合性を問われると「つい、言い間違えた」と答弁を変えた。国会も軽く見られたものだ。

政権中枢の独善的振る舞いを糊塗(こと)するため、官僚たちが辻褄(つじつま)を合わせる。安倍政権ではたびたび目にする光景だが、国民への背信行為は即刻、やめるべきである。
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[東京新聞] マハティール氏 電撃辞任の混乱収拾を (2020年02月27日)

マレーシアのマハティール首相(94)が突然辞任した。選挙を経た指導者では世界最高齢。国民の人気は高く、親日的な姿勢でも知られるが、後継を巡る政争が辞意の背景。混乱の早期収拾が望まれる。

マハティール氏は一九八一年から二十二年間首相を務め、二〇一八年に九十二歳で再登板した。合わせて四半世紀近い長期政権だ。小食で酒もたばこもやらず、六十歳当時と同じ体重という。

首都クアラルンプールの各所には大きな顔写真が掛かる。本人が市街地を歩くと人だかりができるが、警備の人数は少ない。

最初の首相就任前から日本を頻繁に訪問し、戦後の高度経済成長に驚嘆。特に「個人より集団」を優先するような当時の日本の国民意識に興味を持った。

こうした日本や韓国の戦後復興ぶりを母国のお手本にと、一回目の首相就任時に「ルックイースト(東方)政策」を提唱。日本への留学を奨励して人材育成を図り、日本の経済支援や技術移転を積極的に受け入れた。

首都に立つ八十八階建ての超高層ツインビル「ペトロナスツインタワー」は日本と韓国の企業が一棟ずつを建設したことが象徴だ。

ルックイーストの根底には、マハティール氏の「アジア尊重」の意識があった。一九九七年のアジア経済危機で、自国通貨の統制を進めた同氏と、国際通貨基金(IMF)の介入を主張したアンワル副首相(当時)が対立。アンワル氏は解任、逮捕に追い込まれた。

二〇一八年、両者がよりを戻して政権を奪取し、マハティール氏は「後継はアンワル氏」と公言したが関係は再度悪化。それぞれを支持する連立与党間の闘争が激化し、今回の辞任劇につながった。

マレーシア経済は、強力な指導力を発揮した二度のマハティール政権下などで成長率4〜6%と安定的に発展してきた。近年では「(停滞気味の)日本経済をお手本に」の代わりに、個人主義の浸透など「日本の欧米化への嘆き」の声が聞かれるようになった。

しかし同氏は一八年、国連での記者会見で「日本には模範とする平和憲法がある」と述べ、敬意を表明。中国の「一帯一路」をけん制し、東南アジア諸国連合(ASEAN)では重鎮だ。

同氏は、次期首相就任までの「暫定首相」を務める。再々登板の可能性もささやかれるが、後継体制もマレーシア独自の存在感を保てるか注目される。日本との良好な関係も維持してほしい。
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[産経新聞] 【主張】歴史教科書 太子や龍馬を泣かせるな (2020年02月27日)

「新しい歴史教科書をつくる会」が推進する中学歴史教科書(自由社)が、文部科学省の検定で不合格とされた。同会が明らかにした。

「誤解するおそれがある」などとされた検定の指摘の中には、逆に誤解しないか、首をひねるものがある。歴史教科書のあり方とともに見直してもらいたい。

学習指導要領改定に伴い、令和3年度から中学で使われる教科書の検定が今年度行われている。

すべての検定が終わる今春まで結果公表は禁止されているが、同会が記者会見した。それによると自由社版で「欠陥箇所」として405件が指摘され、不合格の通知を受けた。誤記や事実の間違いは比較的少なく、7割以上にあたる292件が「生徒に理解しがたい」「誤解するおそれがある」などの理由による。

つくる会の反論はもっともな点が少なくない。たとえば、年表の中で1949年の「中華人民共和国(共産党政権)成立」の記述が「誤解されるおそれ」があるとされた。成立時は「連合政権」だというが、実態は共産党政権に変わりない。それを無視しては、かえって生徒の理解を損ねよう。

仁徳天皇をめぐる記述で「世界一の古墳に祀(まつ)られている」との記述に対し「葬られている」が正しい表現とされた。だが天皇陵は単なる墓所ではなく祭祀(さいし)の対象とされ、「祀られている」で問題ないとの同会の説明はうなずける。

聖徳太子や坂本龍馬の功績をめぐる記述にも意見がついた。その指摘は専門用語などにこだわるあまり、逆に歴史への興味を損なっていないか。

新学習指導要領で「聖徳太子」を避け、「厩戸王(うまやどのおう)」の表記を優先しようとする方針に異論が出て撤回されたことも記憶に新しい。一部教員グループが高校教科書の歴史用語から坂本龍馬らを外す案が物議をかもしたこともある。

教科書が人物ドラマや時代を通じて流れる国民の物語を欠いては無味乾燥なものになる。

戦後歴史教育では日本をことさら悪く描く自虐史観が拭えない。教科書検定でも外圧に弱い点が指摘され、中韓などへの配慮を求める「近隣諸国条項」もいまだに見直されていない。検定も自虐史観にとらわれていては、歴史を多角的にみる力を重視する新学習指導要領の趣旨にかなわない。
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[産経新聞] 【主張】小中一斉休校 北海道の決断を支持する (2020年02月27日)

新型コロナウイルスの感染拡大について政府の専門家会議は24日、「これから1?2週間が急速な拡大か収束かの瀬戸際だ」と指摘した。

「瀬戸際」の危機感を共有するなら、北海道の判断は支持されるべきである。同じ決断は、政府にも求められる。

北海道は道内全ての公立小中学校を27日から7日間、臨時休校とするよう各市町村に要請した。道内では中富良野町の小学校に通う兄弟や江別市の中学校教員など教育現場での感染が相次いでおり、これを受けた措置だ。

文部科学省は25日、同じ市町村の学校で新型コロナウイルスの感染者が複数確認された場合、感染者がいない学校も含めて市町村単位で休校や春休みの前倒し、学級閉鎖などの検討を各都道府県教育委員会に要請していた。

北海道の一斉休校は文科省の要請をはるかに上回る大規模なものだ。だが、国内の検査態勢が極めて限定的な現状では、実際の感染はより拡大していると理解すべきである。学校は過去のインフルエンザ等でも感染拡大の舞台となることが指摘されてきた。

新型コロナウイルスによる肺炎の重症化は高齢や疾病がある人ほど深刻とされる一方で、軽症や無症状の人からも感染する。一斉休校は児童生徒の健康を守るとともに、子供を媒介とする地域への蔓延(まんえん)を防ぐことに寄与する。

同じ問題意識は、北海道以外の全ての地域が共有すべきだ。これを主導すべきは文科省であり、首相官邸である。

政府は25日午後、感染症対策本部が示した「基本方針」を発表したが、会見したのは加藤勝信厚生労働相である。文科省の都道府県に対する要請は同日の夜だった。安倍晋三首相は26日になって「多数の方が集まる全国的なスポーツや文化イベントについて、今後2週間は中止や延期、規模縮小の対応を要請する」と表明した。

省庁の縦割り、さみだれ式の発表が混乱に拍車をかけているのではないか。瀬戸際の対応は、政府で一元化すべきである。

Jリーグはいち早く、3月15日までに予定していた全公式戦の延期を決めた。村井満チェアマンは「サッカーを楽しみにしていた方には申し訳ないが、ある種の国難という状況で協力する」と述べた。国民もまた、感染症との戦いに協力を惜しむべきではない。
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[毎日新聞] 新型肺炎の国会答弁 政府の態勢に不安が募る (2020年02月27日)

新型コロナウイルスの感染が広がる中、安倍晋三首相が出席して衆院予算委員会の集中審議が行われた。

立憲民主党の枝野幸男代表は、発熱などの症状が出ても検査を受けられない人がいる状況を取り上げた。

国内のPCR検査(遺伝子検査)の能力は1日3800件程度だが、24日まで1週間の実施件数は1日平均約900件にとどまると加藤勝信厚生労働相が明かした。

感染の不安があってもむやみに医療機関を受診しないように政府から国民に呼びかけてきた経緯がある。加藤氏は柔軟な運用を通知していると答弁した。しかし、実際にそれが徹底されるのか心もとない。

クルーズ船の乗客が感染して亡くなった経過を検証する質問に加藤氏が答えられず、審議が一時止まる場面もあった。国民に向け発信すべき基本的な情報の整理もできていない政府の混乱ぶりを物語る。

地域に感染がどの程度広がっているのか、仮に感染してしまった場合に適切な検査や治療を受けられるのか。政府の答弁はこうした国民の不安を取り除くにはほど遠い。

もはや日本国内で誰が感染してもおかしくない段階だ。政府が25日に決定した基本方針は受診の回避のほか、発熱時の休暇取得や時差通勤、学校の臨時休業など、国民生活に大きな影響を及ぼす内容である。

首相が責任を持って基本方針を発表し、自身の言葉で国民に理解と協力を呼びかけるべきだった。加藤氏が発表したことは厚労省任せの姿勢と危機感の不足を印象づけた。

その翌日になって首相は政府の対策本部で、全国的なスポーツ・文化イベントの2週間自粛を要請することを表明した。なぜそれを基本方針に盛り込まなかったのか。行き当たりばったりの対応に映る。

野党は「桜を見る会」の問題も追及した。前夜祭の会場となったホテル側と首相の説明は食い違ったままで、首相自ら真相を明らかにしようとしないから疑惑が深まる。

検察人事に政治介入した疑惑についても、森雅子法相や人事院が不可解な答弁を繰り返した。

政権への信頼が揺らぐ中での危機対応だ。首相は新型肺炎対策に「内閣一丸となって取り組む」と述べたが、現状の態勢では不安が募る。
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[毎日新聞] 原爆症の最高裁判決 救済の道狭めない対応を (2020年02月27日)

原爆症の認定を巡り、被爆者3人の敗訴が最高裁で確定した。

認定には、原爆の放射線が病気の原因である「放射線起因性」と、現に医療が必要な「要医療性」が認められなければならない。

3人は慢性甲状腺炎や白内障と診断され、経過観察中だった。訴訟では、こうした状態が要医療性に当たるかどうかが争われた。

最高裁判決は、経過観察にこれが認められる条件として「積極的な治療の一環と言えるような特別な事情があること」との初判断を示した。その上で3人には、この条件が当てはまらないと結論づけた。

要医療性について、国の審査方針は「疾病等の状況に基づき、個別に判断する」としか記していない。今回の判決は、審査の厳格化を求めるものと言える。原爆症認定のハードルが高くなる懸念がある。

爆心地から一定の範囲にいた人などには被爆者健康手帳が交付され、医療費の自己負担がなくなる。原爆症と認定されれば、さらに月約14万円の医療特別手当が支給される。

だが、国は認定手続きを限定的、画一的に運用してきた。それを拡大したのは被爆者が起こした訴訟だ。放射線起因性を広く認める判決を相次いで勝ち取り、それに促される形で国は審査方針を緩和した。

それでも昨年3月末時点で被爆者手帳保持者14万5844人のうち、原爆症と認定された人は5%の7269人に過ぎない。2審の被爆者勝訴を覆した今回の判決は、従来の司法判断から後退している。

広島・長崎に投下された原爆の被害実態は占領期に封印され、その後も国は積極的な掘り起こしに及び腰だった。被爆者救済が不十分な中、偏見や差別を避けるために被爆体験を隠した人も少なくない。

今回の判決は「特別な事情」に関し、病気の悪化や再発の可能性などを医学的見地から個別に考慮すべきだとの考え方も示した。補足意見では、経過観察中でも原爆症と認定される余地に言及した。

原爆の放射線被害は今後、解明が進む可能性もある。被爆者の平均年齢は82・65歳になっており、救済は時間との闘いでもある。国には、被爆者救済の道を狭めないような対応が求められる。
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[読売新聞] 衆院集中審議 新型肺炎対策を掘り下げよ (2020年02月27日)

衆院予算委員会で、安倍首相が出席して集中審議が行われた。論戦の焦点となったのは、新型肺炎の対策である。

立憲民主党の枝野代表は、政府の基本方針について「権限や財源をどう利用し、感染拡大を具体的に防止するのかが出てこない」と批判した。

首相は「今後の状況を見据え、各省庁で対策を具体化し、速やかに実行に移す」と語った。

基本方針は、患者の増加に備え、重症者に対する医療提供体制の整備や、マスクの円滑な供給などを盛り込んでいる。各省庁が連携して、必要な措置を躊躇(ちゅうちょ)なく行うことが求められる。

枝野氏は、小泉環境相ら3閣僚が政治活動を理由に政府の対策本部の会合を欠席したことも批判した。首相は「気を引き締めて取り組む」と述べた。緊張感を持って対策にあたらねばならない。

国民民主党の玉木代表は「先を見据えた緊急経済対策を講じてもらいたい」と述べた。首相は「きめ細かく対応する」と応じた。

個人消費の冷え込みや企業収益の悪化は大きな懸念材料だ。訪日中国人客は激減し、イベントの延期が相次ぐ。政府は影響を見極め、中小企業の資金繰り支援の拡充などを検討する必要がある。

新型肺炎の拡大に歯止めをかけることができるか、重要な時期である。与野党は総合的な対策について掘り下げて論じるべきだ。

野党は、黒川弘務・東京高検検事長の定年延長も取り上げた。検察庁法には規定がないため、政府は国家公務員法を適用し、黒川氏の定年を8月まで延ばした。

政府はかつて、検察官に定年延長の規定は適用されない、とする見解をまとめていた。今回の決定に際し、法解釈を変更したと説明したが、解釈変更に関する文書には日付がない資料もあった。

玉木氏は人事の撤回を求めた。首相は、定年延長は業務遂行上の必要性に基づくと説明したうえで「問題はない」と語った。

現在の検事総長は今夏が交代時期の目安だ。黒川氏は定年延長により、検事総長への道が開けた。首相に近いことから、首相官邸の意向が働いたとの見方がある。

検察は起訴権をほぼ独占し、時に政界捜査も行う。政治権力から不当な影響を受けないよう、一定の独立性が確保されている。

前例のない検察官の定年延長を判断した理由は何か。どのような経緯を経て解釈を変更したのか。政府は疑念を持たれぬように、説明を尽くさねばならない。

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[読売新聞] 違法薬物の密輸 態勢強化で確実に摘発したい (2020年02月27日)

覚醒剤など違法薬物の密輸が、深刻さを増している。人的、物的な態勢を拡充し、摘発を強化しなければならない。

全国の税関で昨年、押収された違法薬物は、約3・3トンで過去最多となった。このうち覚醒剤は約2・5トンで、8566万回分もの使用量に相当する。ゆゆしき事態と言える。

覚醒剤の密輸の典型例が、一度に大量の薬物を洋上で取引する「瀬取り」である。昨年6月には、静岡県南伊豆町に着岸した小型船から約1トン、12月には熊本県天草市にえい航された漁船から約590キロが押収された。

瀬取りの摘発には、不審な船の出入りなどの情報収集が重要だ。税関当局は漁業関係団体と協力して、監視を強めてもらいたい。

近年は、航空機や国際郵便物を利用した小口の密輸も目立つ。

成田空港では、タイからの格安航空会社便を使った密輸が相次いで摘発された。小分けした覚醒剤を複数人で運ぶ手口だ。密輸組織が多数の運び屋を現地で雇い、ツアー客に紛れ込ませて日本に持ち込ませているという。

チューブ型のボディークリームに覚醒剤を練り込んだり、入浴剤やカップ麺の粉末スープに見せかけたりして、国際郵便や航空貨物で送られてくるケースもある。

手口が巧妙化する密輸に対処するためには、水際の検査を徹底することが欠かせない。

税関当局は4月以降、空港や港湾に、高性能の検査機器を増設する。液体に溶けた違法薬物を探知する装置や、手荷物の中身を3D画像で解析できるX線CT検査機器などだ。担当職員の検査能力も向上させる必要がある。

警察庁によると、国内の覚醒剤事件の摘発者数はここ数年、年1万人前後と高止まりしている。

覚醒剤を使用すると心身が蝕(むしば)まれ、さらなる犯罪を引き起こすリスクが高まる。取引の多くに暴力団が関わり、その収益が活動を支える資金源にもなっている。

薬物犯罪を抑止するため、国内外の警察や税関当局が緊密に連携し、密輸による覚醒剤の供給ルートを断つことが大切である。

海外から密輸されるのは、違法薬物だけではない。今夏には、東京五輪・パラリンピックが開催される。テロ防止の観点から、爆発物や武器の持ち込み、不審人物の入国を防ぐことが課題となる。

大量の画像情報をAIに学習させ、疑わしい荷物をX線検査で見分ける実証実験も始まった。新技術を着実な摘発につなげたい。

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2020年02月26日

[東京新聞] 新型肺炎拡大 株価急落 今こそ国際協調の時だ (2020年02月26日)

新型肺炎の影響が国際金融市場を直撃した。日米欧や中国など各国市場の株価は軒並み急落し、パニックの様相を呈している。世界経済の防衛に向けて、主要国が協調行動を起こす時が来ている。

株式市場は先週まで新型肺炎の拡大に大きく反応していなかった。感染が中国や日本などに限定されており、主に欧米市場で楽観論が支配的だったためだ。

しかしイタリアやイランなどで感染が拡大し、「対岸の火事ではない」との空気が市場に一気に広がった。この結果、ニューヨーク、ロンドンの二大株式市場で株価が急落し、その流れは東京、上海などアジア市場に押し寄せた。

新型肺炎拡大に伴い、投資資金は金市場に流れ込んでいる。リスク回避のための安全資産として、金を買う動きが強まったと指摘できるだろう。同様に安全資産とみなされていた円の動きは鈍い。為替市場ではやや円高傾向だが上昇しても幅は限定的だ。

消費税増税などの影響で国内総生産(GDP)が低迷する中、国内感染者は増え続け最大の景気足かせ要因となっている。このため安全資産としての円の信頼が落ちたとの分析も否定できない。

一方、イタリアではベネチアでカーニバルが打ち切りとなるなど暮らしに影響が出た。市民生活の動きが市場にパニック気味の反応を引き起こした可能性もある。

新型肺炎終息の見通しはついていない。巨額投資資金が短期間で動く各金融市場では悪材料が売りの連鎖を招く事態が起こる。

現段階で求められるのは米中や日本、欧米だけでなく各主要国が足並みをそろえ強いメッセージを市場に出すことだ。国際協調型の分かりやすい情報発信は市場の動揺を抑える効果があるはずだ。

だがサウジアラビア開催の中国を含む二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、具体的な行動を盛り込んだ声明が出なかった。米中も新型肺炎報道をめぐり対立。中国が米国記者の資格を取り消し、米側も反発するなど騒ぎに発展している。

現在は覇権争いをしている場合ではない。米中は不安を増幅させるだけの無用な摩擦を直ちにやめるべきだ。同時に日米欧の主要七カ国(G7)だけでも改めて連絡を取り合い緊急声明を出すなど、即効性のある対策を求めたい。
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[産経新聞] 【主張】G20と世界株安 中国は連携強化に責任を (2020年02月26日)

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が世界経済の失速回避に向けた政策総動員を確認する共同声明を採択した。

だが、具体性には乏しく、これを見透かすように世界の株式市場は同時安の様相をみせた。過去3番目の下げ幅を記録した米国に続き、東京市場も一時、1千円超の下落となった。

それほど世界の市場が、新型肺炎を深刻な脅威と受け止めている証左だろう。市場の警句を厳しく受け止めなくてはならない。

日本を含む各国が対策に万全を期すべきはもちろんだ。手を拱(こまね)いていると、事態はますます混迷を深める。G20が足並みをそろえられるかは極めて重要だ。

残念なことに、その中心にいるべき中国は今回のG20で閣僚の派遣を見送った。国内優先なのはわかるが、これではG20の議論が深まらなかったのも当然である。

中国は特に、自国経済の悪化が世界に及ぼす影響の甚大さを重く認識すべきだ。停滞する経済活動の実態を詳(つまび)らかにし、世界に波及しないよう、どんな対策を取るのかを明確に発信する。それが各国の連携を促す前提となる。

G20では新型肺炎についての発言が相次ぎ、共同声明でリスク監視の強化をうたった。財政や金融など全ての政策手段を用いようとする方向性は妥当である。

問題は、どこまで事態が悪化するかを見極めにくく、具体的な対応で共通認識を得られなかったことだ。国際通貨基金(IMF)は今年の中国の成長率予測を1月時点より0.4ポイント下げて5.6%に下方修正したが、さらに悪化する恐れもある。現時点で的確に読むのは困難としても、足元の実態を正確に掴(つか)む作業は欠かせない。

実のところ、中国の生産網はどれほどの打撃を受けているか。企業活動が元に戻り人の移動が本格的に再開したとき、新たに感染が増える懸念はないのか。こうした中国の現状認識を共有できるかどうかが、各国の政策対応の効果を高める重要な布石となる。

リーマン・ショック後、中国の大型景気対策で世界経済が息を吹き返したころと違い、今の中国経済にそれほどの余力はない。ならばなおのこと、G20が政策対応で連携する意義は大きい。この点は感染者が多い日本も銘記しておかなくてはならない。
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[産経新聞] 【主張】肺炎の基本方針 首相が国民に語りかけよ (2020年02月26日)

政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は25日、対策の基本方針をまとめた。

同本部の専門家会議は「これから1?2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となる」と、警鐘を鳴らしている。

感染が急拡大すれば地域の医療提供体制が破綻しかねない。社会や経済の混乱が深刻化する。あらゆる方法で患者増の速度を抑えねばならない。

新型肺炎の流行自体は防げなくなり、その規模をできるだけ抑え、早期に収束させたいとの方針に転じざるを得なくなったということだ。

基本方針は、企業や団体に、時差出勤やテレワークの実施を求め、発熱など風邪症状のある人の休暇取得を促した。患者の集団が発生した自治体の支援や、地域の医療体制の整備を盛り込んだ。

それぞれの項目は急ぎ、確実に実施されるべきだ。関係者・団体の協力が必要である。

だが、政府が今後1?2週間が瀬戸際としている割には、基本方針は不十分である。危機管理で忌むべき「戦力(対策)の逐次投入」の感がぬぐえない。

まず、現状の出入国管理や渡航中止勧告を「引き続き実施する」とした点だ。日本は中国・湖北、浙江両省からの入国制限をしている。中国全土を対象とする国が増え、日本は中国人が14日間あまり過ごしてから海外へ出かける「中継地」になっているとの指摘もある。今のままでいいのか。

検査態勢も不安が募る。医師が病名を判断して投薬したり、患者が他の人にうつさないよう意識付けをしたりする上で、検査は重要だ。しかし検査態勢は整っていない。基本方針は「検査機能の向上を図る」としただけで、目標値や見通しを示さなかった。

イベント開催の是非については基準を示さず、主催者に判断を丸投げした。これでは困惑が広がるばかりだ。学校の臨時休校は、都道府県から学校設置者へ要請するとして国の関与を避け、知事から不満の声が出ている。

政府の対応に統一した強い意思が感じられない。基本方針の記者会見は対策本部副本部長の加藤勝信厚生労働相が行った。だが、本部長の安倍晋三首相も会見し国民に協力を呼びかけたらよかった。それが危機における国政の最高責任者のとるべき行動である。
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