2019年12月31日

[東京新聞] 大晦日に考える 「残った掛け」の返し方 (2019年12月31日)

昔は、庶民にとって大晦日(みそか)というと、掛け取り、つまり売掛金の集金人との攻防のクライマックスみたいなところがあったようで、江戸の川柳には、どうも、その手の柳句が多いですね。

貸し借りは、年内にすっきり払い、払ってもらって、というのが理想ですが、それぞれの懐具合もあってなかなかそうもいかない。

<元日や今年もあるぞ大晦日>という川柳など、一見ナンセンスギャグのようですが、さにあらず。どうにか、掛け取りとの攻防をしのぎ、平和な正月にたどり着いた途端、もう暮れの心配をして、ああ今年の大晦日も大変だと慨嘆する、というのが句意でしょうか。


◆世界中で異常気象
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<晦日そば残った掛けはのびるなり>。これも大晦日の句です。年越しの掛けそばの「掛け」と売掛金の「掛け」を掛け、麺の「のびる」に支払いの「延びる」を重ねたうまい一句ですが、私たちも何だか大きな「残った掛け」を先延ばしにして年を越すような心持ちがしないでもありません。

投票で決まる恒例の「今年の漢字」から一年を振り返ってみましょう。といっても、一位の「令」ではなく、その他のトップ10。それぞれの漢字を選んだ理由を見ると、四位「変」、五位「災」、さらに六位「嵐」、七位「水」、八位「風」、九位「天」と、実に六つに天変地異というか大嵐というか、15号や19号が記録的大雨などで甚大な被害をもたらした台風がからんでいるのです。

異常な気象現象は、台風の凶暴化だけでも、日本だけの話でもありません。欧州やインドは今年、熱波に見舞われ、フランスでは史上最高気温の四六度を記録。異常な高温・低温、異常な少雨・多雨は各地で見られ、大規模な山火事も頻発しました。

多くは地球温暖化が背景にあると考えられています。米海洋大気局によれば、今年七月の世界の平均気温は史上最高を記録。北極圏の海面上にある氷の面積も最小記録を更新したといいます。


◆当事者に「救助」の責任
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折も折、今年は、明日スタートする温暖化防止の国際的取り決め「パリ協定」の準備を整える年でした。そのために各国が集った今月の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)では、各国のCO2削減目標の強化こそ合意されたものの、強い表現は盛り込めませんでした。ルールも全体の合意に至らず先延ばしに…。国連のグテレス事務総長は率直に「がっかりした」とツイートしました。

今年も、世界中であれだけの異変を経験し、せっかく協定も動きだすのに、私たちはなお、本気で危機感を共有し、この途方もない問題に取り組む体制をつくれていない。これをこそ、大きな「残った掛け」だと感じるのです。

何にせよ、温暖化に歯止めをかけるため、さらには、腰の重い政府を動かすために、私たちは今にも行動を起こさなければならないのですが、一つ心配なことが…。

話は半世紀以上遡(さかのぼ)って、一九六四年。一人の女性がニューヨークの自宅アパート前で暴漢に刺殺される事件がありました。その様子を実に三十八人ものアパートの住人が部屋の窓などから目撃していたのに、襲われてから死亡するまで半時間以上もの間、誰一人救助はおろか警察への通報さえしなかったのだといいます。なぜか−。

「こんなにたくさんの目撃者がいるのだから誰かが救助や通報をするだろう」といった心理が働いたためと考えられています。被害者の名から「キティ・ジェノヴィーズ事件」と呼ばれ、心理学でいう「傍観者効果」の典型例として知られています。

世界中で異常気象や災害という“事件”が起きていて“目撃者”はほとんど無数といっていいほど多数。どうでしょう。自分じゃなくても誰かが何とかするだろう、という傍観者効果がこれほど働きやすい構図もないのでは。

しかし、私たちは目撃者である前に当事者です。傷ついた地球の“救助”に責任があります。

何も海外には飛行機でなくヨットで行こう、などというのではありません。極端に「意識が高い」行動は誰もができることではない。個々がほんの少しだけ、環境を意識したエネルギーの使い方、企業や商品、あるいは政治家の選び方をするだけで、効果は絶大のはず。なにしろ、個々の効果は小さくても、当事者はほとんど無数にいるのですから。


◆恐怖する子どもたち
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過日、ノーベル賞の授賞式から帰国した吉野彰さんが、欧州で接した子どもたちのことを、こう語っていたのが印象に残りました。「(地球環境の未来について)彼らは恐怖心を持っている」

私たちの「残った掛け」を、未来の世代につけまわすわけにはいきません。来年こそ−。いろんな意味でいい年にしたいものです。
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[産経新聞] 【主張】ウクライナ停戦 露の侵略行為は許されぬ (2019年12月31日)

1万3千人もの犠牲者を出したウクライナ東部の紛争をどう終結させるか。重要なのは、ロシアの侵略行為がなければこの紛争は起き得なかったということである。

今月、フランスとドイツが仲介するウクライナとロシアの首脳会談が約3年ぶりに行われた。

双方は、年内に全戦闘地域での停戦を実現し、全ての捕虜を交換することで合意した。29日に捕虜の解放が始まったが、武装勢力が実効支配する地域の扱いでは前進がなく、和平の道筋はまだ見えてこない。

ウクライナ東部紛争は2014年3月、ロシアが同国南部クリミア半島を併合したのに続いて勃発した。ロシアの支援を受ける東部2州の親露派が、独立やロシア編入を訴えて中枢施設を占拠し、ウクライナ政府軍との大規模戦闘に発展した。

14年7月には、マレーシア機が戦闘地域の上空で撃墜された。国際捜査グループは、ロシア軍所属の地対空ミサイルが使用されたことを特定している。

和平協議で焦点となっているのは、親露派支配地域をどうウクライナに復帰させるかである。15年2月の和平合意は、この地域に「特別の地位」を与えることや、ウクライナによる東部国境管理の回復をうたった。

その具体化で行き詰まっている。ロシアが「特別の地位」を前面に押し出しているのに対し、ウクライナは国境管理の回復を優先させるべきだと考えている。

そもそもロシアがウクライナ東部に介入したのは、この地域に「高度の自治権」を持たせ、ウクライナに連邦制を導入させる思惑からだった。そうしてウクライナが欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)に接近するのを阻止しようと考えた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、連邦制は受け入れられず、クリミアも東部もウクライナ領だと力説している。喜劇俳優出身で手腕を疑問視された同大統領だが、毅然(きぜん)と正当な主張をしていることを評価すべきだ。

クリミアを一方的に併合し、東部でも自国の影響力を残そうとするロシアの行動は到底容認されない。ロシアは前提条件を付けずにウクライナから手を引くべきである。北方領土をロシアに不法占拠されている日本は、ウクライナと認識を共有せねばならない。
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[産経新聞] 【主張】辺野古の工期延長 より丁寧な説明が必要だ (2019年12月31日)

防衛省が、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事の工期延長を発表した。

海底に軟弱地盤が確認され、改良工事が必要となったためで、当初5年と見積もっていた工期を9年3カ月に修正した。辺野古の飛行場が使用可能になるまで8年としていた期間は12年に延び、2030年代以降へずれ込むことが確実となった。

3500億円以上だった総工費の試算が、9300億円に膨れ上がる。うち1千億円を地盤改良に費やすという。

普天間飛行場の移転先が辺野古しかない状況に変わりない。そうであれば、地盤が軟弱で現行計画では滑走路として使用できない以上、工期延期はやむを得ない。と同時に、あまりにずさんな現行計画の見通しの甘さを、政府は猛省しなければならない。

この際重要なのは、市街地に囲まれた普天間飛行場の危険を取り除くため、辺野古への移設が重要である点を、政府が今まで以上に丁寧に説明していくことだ。

工期延期で、普天間飛行場の返還時期も大幅に遅れる。

厄介なのは、工期延期が一筋縄ではいきそうにないことだ。

玉城デニー知事は「辺野古移設では普天間飛行場の一日も早い危険性の除去につながらないことが明確になった」と述べ、普天間飛行場の即時運用停止を求めた。

防衛省は令和元年度中にも県に地盤改良工事のための設計変更を申請する方針だが、県は許可しない構えという。またしても法廷闘争に持ち込むつもりか。

知事はこれ以上、移設工事を妨げたり、不毛な訴訟合戦に入ったりすべきでない。人口密集地である普天間から、人口が少ない辺野古に移設する方が理にかなっている。辺野古移設に代わるアイデアは見当たらない。

知事は人口密集地にある普天間飛行場周辺の県民の安全確保と、沖縄を含む日本の平和を守る抑止力確保のため、移設容認に転じてもらいたい。日米安全保障条約に基づき、米軍基地をどこに設けるかという外交・安保政策は政府の専管事項だからである。

工期延期をきっかけに移設反対運動は活発化するだろう。政府は辺野古移設の意義を県民に丁寧に説き、工事を着実に進め、早期の完成に努めるべきである。
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[毎日新聞] 安倍政治、この1年 ほころび隠せぬ最長政権 (2019年12月31日)

今年、日本は令和の新しい時代を迎えた。その節目の年、政治は未来に向けた一歩を刻んだろうか。残念ながら答えはノーだ。

夏の参院選で自民、公明両党が引き続き多数を制し、11月には安倍晋三首相の通算在任期間は史上最長となった。だが安定した基盤を生かして中長期的な課題に成果を上げたとは到底言えない。むしろ内政、外交ともに停滞感が漂ったのが実情だ。

秋の内閣改造で入閣した閣僚2人が相次いで辞任。税金の私物化が指摘される「桜を見る会」の疑惑は広がる一方で、安倍内閣の看板政策のカジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐっては贈収賄容疑で東京地検特捜部の捜査のメスが入った。政権は今、逆風の中で、そのほころびを隠せなくなりつつある。


国会から逃げた首相
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この1年、一段とあらわになったのは長期政権のおごりやひずみである。国会軽視どころか、議論を封じて逃げる姿勢も際立った。

首相は秋の臨時国会後、「国会では政策論争以外の話に多くの審議時間が割かれてしまった」と講演で語った。「桜を見る会」の問題など、取るに足らない話だと言いたげだ。

しかし、首相が出席する衆参予算委員会の開催回数は今年、格段に減った。審議の機会そのものを閉ざしたのは首相と与党である。

「議論封じ」を象徴したのが、金融庁の審議会が6月、夫婦の老後資金は公的年金だけでは「約2000万円不足する」と試算した報告書をまとめた一件だ。

報告書に多くの批判があったのは確かだが、人口減少が続く中、年金や医療、介護など社会保障政策の将来像を与野党、さらには国民全体で議論する好機となったはずだ。

ところが直後の参院選で争点になるのを恐れて、麻生太郎副総理兼財務相は報告書を受け取らず、報告書をなかったことにしてしまった。

失政も目立った。来年度からの大学入学共通テストで予定されていた英語民間試験と国語、数学の記述式試験が見送られたのもその一つだ。

萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言に批判が殺到したことから大慌てで見直したものの、問題点はかねて指摘されていた。政治主導で進められた改革に文科省がブレーキをかけられなかった大失態だった。

毎月勤労統計の不正調査も明らかになった。基本を忘れた不適切な調査を厚生労働省が長年続けてきたのは信じられないような事態だった。

内閣人事局が創設され、官僚が人事を恐れて、首相におもねるようになったと言われて久しい。「桜を見る会」に関する情報を政府が隠すのも首相の関わりを認めたくないからだろう。だが子供だましの釈明をするたびに疑惑が広がる現状を見ていると、官僚の質も劣化してきたように思えてならない。


行き詰まる外交課題
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アベノミクスを掲げて7年。依然景気回復の実感は乏しいという国民は多い。首相は先送りしてきた消費増税に踏み切ったが、これに伴う景気対策は大盤振る舞いで、国の借金の将来世代へのつけ回しは続く。

外交はどうか。首相とトランプ米大統領との関係は総じて良好だったと認めるが、日米貿易協定は対等な結果とはならなかった。

韓国との関係は「戦後最悪」と言われる状態に陥った。文在寅(ムンジェイン)大統領との会談が実現したとはいえ、改善の道筋はついていない。

ロシアとの北方領土交渉は深刻だ。首相はプーチン大統領と27回も会談を重ね「日本固有の領土」との長年の主張まで封印して譲歩したにもかかわらず解決は遠のいている。

対北朝鮮では米朝関係の変化を受け、首相は金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談を「前提条件なしに実現したい」と突然表明したが、めどは立たない。最重要課題としてきた拉致問題も動く気配はない。

首相は再来年秋までの自民党総裁任期の延長は考えていないと語る一方で、現在の任期中に宿願としてきた憲法改正を実現したいと言う。

ただし、それは日程的に相当難しそうだ。ならば何を政治遺産として残したいと考えているのだろう。実は、それが見つからず、政権維持自体が目的となっていないだろうか。

まず、首相は謙虚に7年間を総括し、負の遺産を残さぬことに力を注ぐべきだ。首相にものを言えない状態が続く自民党も変わる時だ。来年こそ、与野党挙げて国会の行政監視機能を取り戻したい。
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[読売新聞] 日本酒の輸出 個性ある香りや風味を世界に (2019年12月31日)

日本酒は産地ごとに様々な香りや風味が楽しめる。個性豊かな日本の文化として、世界に広げていきたい。

自民・公明両党の2020年度の与党税制改正大綱に、輸出を専門に行う日本酒の製造場の新設を認める規制緩和が盛り込まれた。輸出用であれば、生産量が少なくても製造できるよう、政府は酒税法の改正も行う。

日本酒は国内市場が低迷し、需給調整の観点から、新規事業者の製造免許を認めていない。一方、海外で日本酒の人気が高まり、ベンチャー企業などから新規参入を望む声が上がっている。

規制緩和により、事業者が個性的な日本酒を生み出し、販売方法に工夫を凝らせば、輸出拡大に弾みがつくのではないか。

和食ブームが追い風となり、日本酒の年間輸出額は18年に初めて200億円を突破した。輸出量は約2万6000キロ・リットルで、5年前に比べて6割増えた。

とはいえ、白ワインの変種と見なされるなど、海外で広く受け入れられているとは言い難い。

稲作が盛んな日本では、豊かな自然の中で良質な水に恵まれ、古くから酒造りが営まれてきた。各地の酒造元は、伝統の味を守りつつ、品質を磨き上げた。

こうした日本酒の歴史や魅力を、ワインのソムリエのように伝える人がいれば、海外での普及を後押しするに違いない。

政府は、輸出する日本酒に貼るラベルの参考案を公表した。味や産地のほか、飲むのに適した温度、相性のいい料理などを記載してもらう。海外の消費者の理解を助ける狙いはうなずける。

日本と欧州連合の経済連携協定には、ワインや日本酒などの産地を正しく表示する規定がある。偽物の流通を防ぎ、ブランド価値を守る取り組みが重要である。

輸出された日本酒が、海外から新たな観光客を呼び込む効果も期待される。酒蔵を巡るツアーなど、日本酒に魅せられた外国人が楽しめる企画を工夫したい。

気がかりなのは、日本人自身の日本酒離れである。とりわけ若者が飲まなくなっている。

新潟大学には日本酒を研究するセンターが設立され、「料亭・花街の文化」「きき酒の理論」といったテーマで講義が行われている。日本酒の価値を再認識してもらう試みとして注目される。

年末年始に帰省する人は多いだろう。家族や友人と語らいながら、故郷で育まれてきたお酒を味わってみてはどうか。

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[読売新聞] 復興庁延長 被災地支える体制確保したい (2019年12月31日)

東日本大震災からの復興は進んだとはいえ、まだ途上である。被災地を支えていく体制の確保が欠かせない。

震災後10年の期間限定で創設された復興庁を、2021年3月以降もさらに10年間存続させる方針が閣議決定された。福島県の支援を主な目的としている。原発事故の被災地の再生に、国が前面に立つのは理解できる。

12年に設置された復興庁は、首相の直轄組織で、各省庁からの出向者ら約500人で構成される。復興政策の立案や関連予算の一括要求を行ってきた。

様々な相談を1か所で受け付ける「ワンストップサービス」は、自治体から評価が高い。被災地の要望をくみ取る機能を果たしてきたと言えよう。

復興庁には、省庁の縦割りの弊害を排し、被災地復興の司令塔としての役割を、引き続きしっかり担ってもらいたい。

今回の期限延長に伴って、復興庁にはこれまで蓄積したノウハウを、自治体や関係機関と共有する機能が追加された。

近年、全国で地震のほか、台風や豪雨の災害が続いている。復興庁の経験を、様々な被災地の再生に生かすことが求められる。

現在、災害に対する国の政策は、復興庁のほか、内閣府が担当している。内閣府の90人余りの担当者は、南海トラフ地震や首都直下地震などの被害想定や、防災計画の策定を手がけている。

与党内には、東日本大震災に特化した復興庁の延長ではなく、自然災害全般に対応する「防災・復興庁」の創設案もあった。

ただ、新省庁の創設は、国土交通省や総務省なども絡む再編となるため、難航が予想される。再編の仕方によっては、屋上屋を重ねる結果にもなりかねない。当面は、復興庁と内閣府で臨む現在の体制が現実的ではないか。

震災から8年半が経過し、ピーク時で47万人を数えた避難者は、現在5万人を切っている。津波に見舞われた岩手、宮城両県での生活基盤は整いつつある。

両県に関する復興事業は、今後5年間での達成を目指している。ハード面の対策に加え、被災者の心のケアなど、ソフト面の支援を着実に進めたい。

延長5年目の25年度には、政府内で復興庁の組織の在り方が改めて検討される見通しだ。東北3県を中心とする被災地の復興状況を踏まえながら、支援の規模に見合った組織となるよう、適切に見直すことが大切である。

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[朝日新聞] 2019―2020 観覧席にいるあなたへ (2019年12月31日)

東京都・日の出ふ頭の待合所で、傘をさしたネズミに会ってきた。「バンクシー作品らしき」落書きである。描かれた場から切り離され、都に「落書きは容認できないが、」と注記されつつ、「お正月」の演奏が流れる中でうやうやしく展示されたネズミは生気を失っている。

私たちが鑑賞しているのは高名なアーティストであるバンクシーという名札? それとも、オークションでは億の値がつく作品の値札、だろうか。

■素っ裸で疾走する人

バンクシーの作品集にも傘をさしたネズミは収録され、こんな小文が添えられている。

「人類(ヒューマン・レース)ってやつは、もっとも愚かで不公平な類の種族(レース)だ。大半のランナーは、まともなスニーカーやきれいな飲み水さえ持っていない。/生まれつきすごくラッキーなランナーもいて、そいつらは道の途中でも手厚くケアされるうえに、審判まで味方みたいだ。/多くの人が完全に競争をあきらめて、観覧席に座りこんで、ジャンクフードを食べながらヤジを飛ばすのも不思議じゃない」(廣渡太郎訳「Wall and Piece」)

「令和元年」の祭りばやしが鳴り響いた2019年の日本でも、そんな光景をあまた目にした。社会の分断? それにしては見物人が多すぎやしないか。

こんなゲームはおかしい。

みんなが抗議の声を上げれば、ルールは変えられる。なのに多くの人はずっと手前であきらめて、観覧席に退却する。

なぜだろう?

小文はこう結ばれる。

「人類(ヒューマン・レース)に必要なのは、もっと大勢のストリーカーだ」

ストリーカーとは「素っ裸で人前を疾走する人」(自然科学系英和大辞典)。努めて穏当に意訳すれば、空気を読まず、秩序を攪乱(かくらん)する人、という感じか。

観覧席で飼いならされるな。

許可なく生存し、嫌われ、迫害されてもなお文明を食い破る可能性を秘めているネズミは君の究極のお手本だ――バンクシーはそう言っている。たぶん。

■小さな島の小さな話

それにつけてもランナーと見物人を分かつものは何だ? 問いを携え瀬戸内海の島に渡る。

広島県・尾道港からフェリーで50分、人口500人弱の百島(ももしま)で、今月15日までアートイベント「百代の過客」が開かれた。企画・運営したのは、島に移住した20代の男女4人。「芸術とプロパガンダ」など三つのテーマをしつらえ、作家や識者、一般参加者が語らう対話企画を主軸に、昭和天皇の肖像をコラージュした作品などを展示した。

「不便な島だからこそ、作品とじっくり向き合い、考えてもらえると思いました」。島に住んで約3年、映像作家の八島良子(やしまりょうこ)さん(26)は話す。

ところが、先行したあいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」で、天皇コラージュの作者の映像作品が苛烈(かれつ)な批判にさらされ、「余波」は百島にも及んだ。広島県や尾道市に抗議が寄せられ、会場には急きょ警備員が配置された。

「ひどい展示だった」。ネットには罵詈(ばり)雑言が連なった。だが、会場で罵詈が飛ぶことはほとんどなく、不快や不可解は、「なぜこんな展示を?」の質問として発せられることが多かったと八島さんは振り返る。

対話企画の最終回、登壇した作家と、「公金を使って不快な作品を展示するのはおかしい」という参加者が対立した。公金は今回使われていないと説明するも、「許せない」「不快な芸術もある」と議論は続いた。そして最後、参加者が「同意はできないが、あなたのような人がいることは理解する」と言い、二人は握手を交わしたという。

過疎が進む小さな島で生まれた、とてもとても小さな話。でも、そこからしか始まりようのないお話。観覧席を出なければ見ることのできない風景。

■橙と「百代の過客」

「永久に止まらずに歩き続ける旅人」。そんな意味が「百代の過客」にはあり、企画した4人はこう思いを込めた。「芸術は時に挑発的でもありますが、それは複雑な社会を表現し、自由な精神を求めて戦い続けているからです。本企画が『私たちはどこに向かって歩き続けるべきか』という一つの問いかけとなることを期待します」

会場を出て、帰りのフェリーの時間まで島内を歩く。路地に入れば、朽ちた何戸もの廃屋に行き当たる。年かさの男性が黄色い実を収穫していた。橙(だいだい)だ。「正月飾りをする人が減ってダメになりかけてたんだけど最近の健康ブームで国産の需要がものすごく増えた」と一息で説き、ひとつくれた。イベントの中傷ビラがまかれたと聞いていたので、それとなく水を向けると「もっと人が来るかと期待してたんだけど。でも最近ちょっと有名になったみたいね。よかったね」と言って笑った。

月日は百代の過客にして、行(ゆき)かふ年も又(また)旅人也(なり)

(松尾芭蕉「奥の細道」)

来年は子(ね)年。さて、どこに向かって歩き出しましょうか。
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2019年12月30日

[東京新聞] 年の終わりに考える 人肌からデジタルへ (2019年12月30日)

♪トヨタ、ミツビシ、ソニー、トウシバ…。セルビアの首都ベオグラードのレストランで、生バンドが日本人客のために演奏してくれた曲の歌詞です。メロディーは「上を向いて歩こう」でした。

一九九九年、北大西洋条約機構(NATO)はセルビアを空爆しました。ミロシェビッチ大統領(故人)による独裁体制を攻撃するためです。その関連取材でひんぱんに現地に赴きました。

テレビ画面に飛行機の形をしたマークが出ると、それはイタリアの空軍基地から爆撃機が出撃した合図。汽笛のような空襲警報が鳴り響く中、爆撃が始まります。


小さくなった好循環
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レストランで地元の方に「なぜ日本人がバルカン半島の戦争に興味を持つのか」と聞かれたことがあります。セルビアなどバルカン諸国は日本との縁が比較的薄い。だが街では日本車を見かけ、空爆で破壊された跡地では日本製クレーン車が活躍していました。

当時の欧州で日本について知られていたのはアニメの「キャプテン翼」とサッカーの中田英寿選手、それに多くの企業名でした。

付加価値の高い製品を生み出し、それで得た資金を再び開発に投じる。この循環は世界経済をリードしていました。ところが二十年後、循環が描く円の規模は随分小さくなってしまいました。

代わりに今、経済界を席巻しているのは米中の巨大IT企業群です。国内でもIT関連企業は存在感を増しています。

デジタル。すべてのIT企業が存在の基盤とする概念です。日本の製造業も当然、デジタル技術を使いますが、製品を作るための手だてにすぎません。

デジタルの核心部分には、無数の半導体が埋め込まれた電脳世界が広がります。そこには常に新たな技術がつぎ込まれます。IT企業は、その「デジタルの泉」ともいうべき空間から次々サービスを紡ぎ出します。


一つの道を究めない
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「車をつくり続けたい」「おいしいビール製造にこだわりたい」。デジタル世界ではこうした一つの道を究めるといった考え自体ほぼありません。自前で新たなサービスを生み出せない場合、他企業の買収という道を選びます。

九七年、すでにソフトバンクの経営トップとして活躍していた孫正義氏にインタビューをしました。孫氏は「デジタルは私の生涯のテーマ」と述べました。

トヨタ自動車との提携に昨年踏み切った孫氏は、車を「半導体の塊になるだろう」と予測しました。車を究め続けた企業との共同作業で、巨大IT企業が人々の利便性に役立つどんなサービスを生み出すのか期待は膨らみます。

今年、フェイスブック(FB)のデジタル通貨「リブラ」が注目を集めました。スマホがあれば簡単にお金を振り込むことができ、銀行口座を持つことができない多くの人々が恩恵を受ける。FBはこう言ってリブラを売り込みます。しかし日米欧の先進各国はリブラに強く反発し、発行延期となりました。

デジタル技術は情報の漏えいが問題となります。しかし、それ以上に問題なのは情報が集約しやすい点です。言い換えれば運営者が情報を独占できるのです。

リブラが世界中で使われれば、FBの経営陣は膨大な人々のお金の使い道を知ることが可能になります。その点に日米欧の民主主義国は本能的に拒否反応を起こしたのではないか。

中国がデジタル人民元を導入しようとしています。間もなく実現するはずです。開かれた議会での審議がない国では、大胆な決定が素早くできます。

さらに中国政府の狙いが国民の利便性の向上だけではなく、情報管理の強化にあるとの指摘も否定できないでしょう。

しかし、中国に後れを取るからといって日本など民主主義国がデジタル通貨の導入を急ぐ必要はない。ゆっくりでもいいから議論を尽くすことがデジタルを活用する上で最も大切です。


知らない誰かに…
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日本には百年以上の伝統を誇る企業が中小を中心に無数にある。そこから生み出される有形無形のサービスの内側には、人肌感覚のもてなしが広がっています。老舗側は顧客の気持ちを知り尽くしています。

デジタルの世界でも人工知能(AI)などを駆使して顧客の気持ちは把握されています。スマホには自分の関心の高い分野や製品の情報が自動的に流れてきます。便利ですが、同時にそれは知らない誰かに自らの関心事を捕捉されていることでもあります。

来年以降も間違いなくIT産業は経済的規模を拡大し続けます。暮らしに溶け込んでいくデジタルについて、より注意深く学ぶべき時が来ています。
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[産経新聞] 【主張】回顧2019 令和日本が歩み出した 政治は行動力を示すときだ (2019年12月30日)

平成から令和へ?。

御代替わりが、202年ぶりの譲位によって実現した歴史的な年となった。

天皇としての務めを全身全霊で果たされてきた上皇陛下に対して多くの国民が感謝し、今上(きんじょう)陛下の即位を寿(ことほ)いだ。

「即位礼正殿の儀」の際、皇居の空にめでたい虹がかかった。日本は令和の時代を明るいムードで歩み出したといえよう。

大嘗祭(だいじょうさい)をはじめとするさまざまな儀式はつつがなく営まれた。即位パレードでは、沿道で祝福する人々に、天皇、皇后両陛下が笑顔で手を振られた。海外からも多くの賓客がお祝いに駆けつけた。

≪明るい国柄が示された≫

古くからの文化と伝統を重んじ、天皇を国民が敬愛する日本の明るい国柄や、世界から好まれている現代日本の姿が示された年となったのではないか。

御代替わりに限って改められる元号の「令和」は、日本最古の歌集「万葉集」から引用された。漢籍(中国古典)からではなく、国書(日本古典)から作られたのは初めてだった。

天皇、皇后両陛下は26日、台風19号などの被災地見舞いのため、宮城、福島両県を訪ねられた。在位中、国民と苦楽を共にされた上皇、上皇后両陛下を彷彿(ほうふつ)とさせるご訪問だった。

天皇は「日本国および日本国民統合の象徴」という極めて重い立場にある立憲君主である。新しい天皇陛下や御代替わりの儀式を目の当たりにしたことを通じて、国民が「天皇と日本」について改めて考える契機となったはずだ。

一方で、皇位の安定継承策を固めなければならない危機にあることも事実だ。天皇の長い継承の歴史のありようが、国民に十分には知られていないことも浮き彫りになった。

初代の神武天皇から第126代の今上陛下まで、一度の例外もなく貫かれてきた原則は、父方をさかのぼれば天皇を持つ皇族による男系(父系)の継承である。来年4月の立皇嗣の礼の後、政府は継承策の検討を本格化させる。正確な知識が議論の前提とならねばならない。女系継承の安易な容認で皇統の断絶を招かないよう政府や宮内庁は皇位継承の原則を国民に説明しなければならない。

危機は、それにとどまらない。激動の国際社会の中で日本丸の針路が問われている。

昨年の本紙主張「回顧2018」は、「米中が対決局面に入った」と振り返った。新冷戦ともいうべき米中両国の対立は、日本と世界にとって戦略環境の激変であり、危機である。

新冷戦の行方は日本の平和と独立、繁栄を左右する。傍観者でいられないはずの日本だが、その針路は今年、定まらなかった。

≪定まらぬ日本丸の針路≫

日本や米国など先進7カ国(G7)が主導してきたのが、自由と民主主義、法の支配、人権を尊重するこれまでの国際秩序だ。

共産党独裁政権が統治し、香港や新疆ウイグル自治区での人権弾圧が問われ、南シナ海などで国際法を無視する中国が覇権国になることは望ましくない。

日本が選択すべきは、米国やその同盟国と協力して、中国の脅威を抑止する道のはずだ。

だが、今年の安倍晋三政権を振り返ると、米中の狭間(はざま)で右往左往している印象が拭えない。

トランプ米政権と強固な同盟関係を保った点は評価できる。日米貿易協定は来年1月1日発効の運びとなった。だが、対中関係が「完全に正常な軌道」にあると唱え、習近平中国国家主席の来年の国賓招致を目指しているのは不可解極まる。対中関係が良好と考える国民はほとんどいまい。香港やウイグル弾圧の最高責任者である習氏を国賓にしていいのか。

今年の漢字を問われた河野太郎防衛相は「尖」を挙げた。中国は尖閣諸島を狙っている。南西防衛の強化は重要課題である。

北朝鮮の核・ミサイルの脅威も去らず、拉致被害者は帰ってこない。安倍政権は、これらの危機にもっと行動力を発揮すべきだ。

国会や与野党も、日本と国民を守るという最大の責務を果たしたとはいえない。香港やウイグルの人権問題を憂えて、国会決議を出すことすらなかった。取り組むべきことをせずに、お粗末な「桜を見る会」の問題で攻防を繰り広げても得るところはない。
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[毎日新聞] 診療報酬の改定 人件費は「聖域」ではない (2019年12月30日)

少子高齢化で医療費の抑制が求められる中、医師らの人件費が「聖域」扱いされてはいないだろうか。

診療報酬は国が定める医療サービスの価格で、総額を管理する。医師や看護師らの人件費や物件費に充てられる「本体」と薬や医療材料の「薬価」に分かれる。

今回の2020年度改定では、本体を0・55%引き上げることが決まった。額では2400億円程度増える。薬価は1・01%下げたものの、削減効果は半減する。

薬価引き下げで浮いた財源を、本体増額に回す手法は常態化している。人件費分は7回連続の引き上げだ。この対応は当然なのか。

診療報酬では、物価や他産業の賃金動向を人件費に反映する必要性はあるだろう。

ただ、財務省によると、1990年代後半以降、賃金や物価水準が上昇しなかった。一方、診療報酬本体の水準は上昇傾向をたどっている。

18年度の平均年収は、国公立をのぞく医療法人の病院長で約3042万円、医師は約1641万円。診療所の院長は約2807万円だ。

改定率は、財務省と厚生労働省に日本医師会が加わって調整するが、過程は不透明だ。日医は組織内から自民党国会議員を出し、政治的な影響力を持つ。官邸を巻き込んだ駆け引きで決着するのが実態だ。

医療費は18年度で約43兆円と見込まれている。高齢化で今後さらに増加していく。制度を支えるため、75歳以上の人が窓口で支払う自己負担を、一部で引き上げる方針も決まっている。

医療費負担を分かち合う立場から、本体引き上げの妥当性をより厳しく検討しなければ、制度の持続可能性にも疑問符が付きかねない。

今回は、救急病院に限定した特別枠が設けられた。人員配置を手厚くし、長時間労働が常態化している勤務医の負担軽減が狙いだ。

過去にも、勤務医の待遇改善を促すため、医科の中で外来と入院に改定率を分けた例がある。

重視する政策をわかりやすく打ち出すためにも、今後も、特例的な枠を設けてよいのではないか。

重点化でメリハリを付け、医療費膨張の歯止めにつなげていく努力も必要だ。
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[毎日新聞] スポーツボランティア 地域社会を支える喜びに (2019年12月30日)

スポーツの国際競技会が日本で連続開催されるのを機に、ボランティア熱が高まっている。

2021年までの3年間は、日本で「ゴールデン・スポーツイヤーズ」と呼ばれる。ラグビー・ワールドカップに続き、来年は東京五輪・パラリンピック、21年は関西で生涯スポーツの世界大会「ワールドマスターズゲームズ」が開かれるためだ。

この3大会のボランティア応募者は、落選した人も含めて30万人以上に及ぶとみられる。中でも東京五輪・パラリンピックの競技会場で活動する「大会ボランティア」は、8万人の募集に20万人の応募があった。

ビッグイベントでの活動に限らず、全国にこの機運を広げようという取り組みも始まっている。

国内競技団体を束ねる日本スポーツ協会とNPO法人「日本スポーツボランティアネットワーク」、笹川スポーツ財団が活動推進の協定を結んだ。今後は大会主催者の紹介や研修会の開催、運営ノウハウや調査結果の提供で協力していく予定だ。

スポーツボランティアといっても、大会の手伝いだけではない。地域では指導者や審判、組織の役員もボランティアであり、子どもの保護者が担い手になるケースが多い。

ところが、少子化などの影響でスポーツを始める子どもが少なくなり、新たに運営に関わる大人も減ってきた。組織は硬直化し、役員や審判の高齢化は深刻だ。

これまで人材確保は地域の直接的な人間関係に依存していた。だが、インターネットによる情報共有が盛んな現代ならではの工夫もできるだろう。「ボランティア人材バンク」のようなシステムで、需要と供給を合致させることも一案ではないか。

東京マラソンが始まった当初、ボランティアの運営に携わった笹川スポーツ財団によると、マラソンの抽選に外れた人がボランティア活動に回ったり、逆に活動に参加した人がランニングを始めたりする例があるという。定期的にスポーツを観戦する人は、活動の実施率が高いという調査結果もある。

スポーツを「する」「見る」「支える」が結びつき、日常の中で喜びを共有すれば、地域のつながりは深まる。ボランティアへの意欲を無駄にしない環境作りを求めたい。
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[読売新聞] 養育費見直し 不払いを許さぬ対策も必要だ (2019年12月30日)

両親が離婚しても、子どもが経済的な不利益を被らないようにすることが大切である。

離婚後に支払われる養育費の算定基準を、最高裁の司法研修所が見直し、公表した。新たな基準に基づく養育費は、家計の支出動向の変化を踏まえて、月額1万?2万円の増額となるケースが多いという。

養育費の算定方法を定める法令はない。夫婦が話し合いで合意できない場合、家庭裁判所の調停などで活用されてきたのが算定基準だ。夫婦の年収や子どもの人数などを、基準の算定表に当てはめれば、養育費を導き出せる。

2003年に公表されたが、基準作成に使う統計データが更新されず、現状の生活実態に合っていない、といった批判があった。見直し自体は妥当だろう。

ただ、16年以上も同じ基準を使い続けてきたことには疑問が残る。今後は数年に1度程度の頻度で見直し、社会情勢の変化に柔軟に対応する必要がある。

日本弁護士連合会は「養育費が低く算定される」として、受取額が増えるような独自の基準を16年に提言している。今後、裁判所が基準を見直す際には、厚生労働省や弁護士会、有識者から幅広く意見を聞くことも求められよう。

懸念されるのは、養育費の不払いが目立つことだ。

厚労省の16年の調査では、養育費を受け取っている母子家庭は24%にとどまった。養育費の不払いは子どもの貧困に直結する問題であり、見過ごせない。

相手と関わりたくないといった理由から、養育費についてきちんと話し合わないまま離婚してしまう人もいる。民法は、離婚時に養育費を協議して取り決めるよう求めている。取り決めに対する理解を広げることが欠かせない。

来春には改正民事執行法が施行され、裁判所が自治体や金融機関に対し、養育費を支払わない人の勤務先や預金口座の情報提供を命じることが可能になる。相手側の給与など、財産の差し押さえが容易になるだろう。

兵庫県明石市は、養育費を受け取れない1人親に、年最大60万円の支払いを立て替える制度を設けた。大阪市は、養育費の支払額を取り決める公正証書の作成費用を補助している。注目される自治体の支援策と言える。

欧米には、政府や州が養育費を立て替えたり、強制的に徴収したりする仕組みがある。日本でも、不払いを許さない対策を国として検討してはどうか。

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[読売新聞] 暴力団抗争 厳重に監視して市民を守れ (2019年12月30日)

暴力団の抗争に市民が巻き込まれるような事態は、何としても防がなければならない。

兵庫や愛知、大阪など6府県の公安委員会が暴力団対策法に基づき、山口組と神戸山口組を「特定抗争指定暴力団」に指定することを決めた。両暴力団による対立抗争が、激しさを増しているためだ。

6府県の10市が「警戒区域」に設定され、区域内では、計約130の組事務所への立ち寄りが禁じられる。組員が5人以上集まったり、対立する組事務所近くをうろついたりすることもできない。

違反行為が確認されれば、ただちに逮捕できるのが特徴だ。組員の活動は大幅に制限されよう。

今回の指定は、2012年に福岡県の道仁会と九州誠道会(当時)に適用されて以来、2例目になる。前回は、指定後に抗争事件が起きず、1年半後に解除された。一定の抑止効果が期待できる。

15年に山口組から神戸山口組が分裂して以来、120件の抗争事件が起きている。山口組の中核組織で名古屋が拠点の弘道会が支配力を強め、山健組など関西を地盤とする暴力団が反発したことが分裂の背景にある。

抗争は今年8月以降、特に激化し、3件の銃撃事件で、4人が死傷した。先月、神戸山口組幹部が射殺された事件では、自動小銃が使われ、15発も発射された。

両暴力団とも規模が大きく、勢力は広域にわたる。規制が及ばない警戒区域外で活動を強めることも懸念される。警察は、厳重な監視を怠ってはならない。

看過できないのは、住宅街や繁華街が抗争の現場になっていることだ。抗争事件が起きた兵庫県尼崎市では、市内の小学校で登下校の見守り活動が強化された。周辺住民の不安は察して余りある。

過去の暴力団の銃撃事件では、市民が犠牲になった例もある。03年の前橋市のスナック乱射事件では、客3人の命が奪われた。悲劇を繰り返してはならない。

暴力団の監視に加え、銃器犯罪の積極的な摘発が求められる。ここ数年、拳銃の押収数は減少傾向だが、隠匿方法が巧妙になっているとの指摘がある。警察は拳銃の入手ルートを解明すべきだ。

覚醒剤の密売や高齢者を狙った特殊詐欺などを通じて、暴力団は活動資金を得ている。徹底捜査で、資金源を封じる必要がある。

組員に離脱を促し、企業などの協力を得ながら社会復帰を後押しする。組織の弱体化に向けた地道な取り組みも欠かせない。

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[朝日新聞] 安倍政権2019年 有権者がみくびられている (2019年12月30日)

ことしも荒涼たる政治の光景が続いた。歴代最長になった安倍政権の三つの問題点が、はっきりと見えている。

第一に「責任の放棄」、第二は「国会軽視」、第三が「官僚の変質」だ。

いずれも民主主義の基盤を掘り崩している。この一年のできごとをたどれば、事態の深刻さが増しているのがわかる。

■不都合に背を向ける

「事実関係を確認して説明責任を果たしたい」

秘書が有権者に香典を渡した菅原一秀前経産相は10月、こう言って辞任した。翌週、妻の参院選での公職選挙法違反疑惑で引責した河井克行前法相も同じような発言をした。

だが、2人は何も語らないまま年を越そうとしている。

安倍首相は、ただ「任命責任は私にある」と言っただけだ。

この政権で説明責任が果たされないのは、毎度おなじみである。不都合なことに、ことごとく背を向ける姿勢が、森友学園や加計学園問題でも疑問が残っている事実を思い出させる。

説明から逃げ回るのは、政策論議においても同じだ。

6月、麻生財務・金融相は金融庁審議会の部会報告書の受け取りを拒んだ。「老後に2千万円必要」という内容が参院選に不利だとみて幕引きを急いだ。国民の不安や疑問には何ら答えていない。

首相も変わらない。北方領土問題で2島返還に方針転換をしておきながら「交渉方針について述べることは差し控える」。

沖縄の普天間飛行場の移設問題は「辺野古が唯一の解決策」と繰り返すだけ。2月の県民投票で反対が7割を超えた事実には目もくれない。

政権内では政治責任も軽んじられている。

茂木敏充前経済再生相は、選挙区で秘書が線香を配って批判されたが、外相に起用された。大臣室で現金を受け取って経済再生相を追われた甘利明氏も、自民党税制調査会長に就いた。

未曽有の公文書改ざんでも、麻生氏が続投したのだから、もう怖いものなしということか。

■国会軽視、極まる

一方で、政権は世論の動向を気にかける。内閣支持率の底堅さが「安倍1強」の力の源泉になっているからだ。

「桜を見る会」の中止を即決したのも世論を見ての判断だ。でも、そこで終わり。数々の疑問には答えない。つまり、いったんやめれば批判は収まる。そのうちに忘れられる。そんな見立てなのだろう。

ずいぶんと、有権者もみくびられたものだ。

政権はこれまで何度も、その場しのぎのほおかむりで事態の沈静化を図り、内閣支持率の続落をしのいできた。

政権が批判される舞台は徹底的に回避する。それで「国会軽視」がどんどん進んでいる。

野党は4月に参院予算委の開催を求めて委員3分の1以上で要求書を提出した。国会規則に従えば「委員長は委員会を開かなければならない」。しかし、予算委は10月の臨時国会まで開かれなかった。

野党の参考人招致要求も、ほとんど無視され続けた。

国会軽視の極め付きが、自衛隊の中東派遣だ。国会を素通りし、年末に閣議決定だけで決めてしまった。

政権の長期化に伴い、官僚も変質した。政治主導の名のもとで、とりわけ官邸の意向に付き従う姿が目につく。

文化庁は9月、慰安婦を表現した少女像などが話題になった「あいちトリエンナーレ」への補助金の不交付を決めた。専門家の審査で採択されたものを、官僚の判断で止めた。菅官房長官らが事実関係を確認すると言い出したあとだ。

■公僕の矜持はどこへ

桜を見る会での内閣府の対応も目に余る。招待者名簿などの再調査を拒む官房長官に必死で歩調を合わせている。

首相の推薦枠でマルチまがい商法の元会長が招待された可能性を問う野党議員に対し、担当者は「調査の必要はない」。電子データの廃棄についても、実務上は履歴の確認はできるというのに、調査はしないという。

官僚の応答からは、公文書が「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」だという認識がうかがえない。公文書を破棄、隠蔽(いんぺい)、改ざんまでした土壌が、ますます広がっていると懸念せざるをえない。

この政権で発足した内閣人事局が幹部人事を差配し始めてから、官僚の「忖度(そんたく)」が目立つようになった。

裏を返せば、政治による官僚統制が進んだといえる。もはや官僚が社会に貢献するという公僕としての矜持(きょうじ)を失い、政権に貢献する従者になっているかのようだ。

この政権は、民主主義をどこまで壊してゆくのだろう。

答えは第2次安倍政権のこの7年間で明らかだ。

有権者が政治の現状を漫然と放置し続けるのであれば、どこまでも壊されてゆく。
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2019年12月29日

[東京新聞] 年の終わりに考える 和解の記憶増やしたい (2019年12月29日)

皇居のお堀の脇に、銀色をした高い建物があります。「昭和館」です。国立の施設で、戦中、戦後の庶民生活を伝えています。

小学生の社会科見学で選ばれる定番コースだそうです。確かに、首都圏からたくさんの小学生の団体が来ていました。

人気の秘密は、なんと言っても昭和時代の服や生活用品の実物が展示されていることです。

最も大きい展示物は「旋盤」でしょう。石川県の軍需工場に設置されていたものです。高速で回転する加工物を削り、部品に仕上げる機械です。


◆海外からの若者たち
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戦争末期には人手が足りなくなったため、勤労動員の学生たちが旋盤を動かしていました。

昭和館にはどこにも説明はありませんが、実は動員、徴用された人の中には、日本本土以外から来た若者もいたのです。

日本が統治していた朝鮮半島や、日本と戦争状態にあった中国から来た人たちが、工場のほか、炭鉱や製鉄所などで長時間、過酷な労働に従事させられました。

「もし、彼らのことが昭和館のような公共の場所で紹介されていたら、彼らも心が安らぎ、問題はもつれなかったはずです」

戦時中の強制動員を研究している専門家の一人が、そう話していたのが耳に残っています。

問題とは、元徴用工の人たちが起こした一連の訴訟のことです。一九九〇年代以来、日本と韓国で長い裁判が続きました。その結果、二〇一八年十月になって韓国の大法院(最高裁)は、日本企業に賠償を支払うよう命じる確定判決を出したのです。

その後、対立は経済、安全保障の分野にも広がりました。二十四日に一年三カ月ぶりの日韓首脳会談が中国で実現し、関係改善の動きがようやく見えてきました。


◆ぶつかる国民の物語
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ただ、根本的な原因は、日本と韓国の歴史認識の食い違いです。歴史とはそもそも、その国の事情に合わせた「国民の物語」として記憶されるものです。一つの歴史が、国によって違った内容で記憶されるのです。歴史学を専門とする、米コロンビア大学のキャロル・グラック教授の指摘です。

日本と中国、韓国の間では摩擦が起きやすい構造があります。

「過去の戦争についてのそれぞれの国民の物語がぶつかり合い、現在において政治的かつ感情的な敵対心が生まれている」(『戦争の記憶』講談社現代新書)と、教授は説明しています。

一方日本側は、一九六五年の日韓国交正常化の際に結ばれた請求権協定で「完全かつ最終的に決着した」とされていることから、謝罪にも賠償にも応じていません。

戦時中、外国人への強制労働を行ったドイツは、各地にあった関連の施設を保存しています。

例えば首都ベルリン郊外にあるザクセンハウゼン強制収容所。今は追悼博物館となっています。四五年までに数十万人が、強制労働させられたそうです。

今年の夏、ベルリンから電車で四十分ほどかけて、現地に行ってみました。

欧州各地からの観光客で大変な人出でした。さらに地元の高校生たちも、バスで訪れていました。展示は写真や記録文書などを網羅した、詳細なものでした。


◆隣国の価値を再認識
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強制労働をさせたドイツの企業は基金を通して、多くの被害者への補償を行いました。日本とは単純に比較できないとはいえ、歴史を語り伝えようというドイツの人たちの強い意志を感じました。

逆に、自分たちの記憶や物語をぶつけ合い、「記憶の政治」を進めれば何が起きるのでしょうか。今年一年、われわれはそれを、実際に体験しました。

メディアに刺激的な記事が増え、交流が減り、経済にも影響が出ました。

日本と韓国は隣国として多方面で密接につながっています。このことを、改めて認識する結果になったともいえるでしょう。

歴史の記憶を全面的に書き換えるには大変な労力が必要ですが、新たな歴史を加え、「共通の記憶」に変えることはできると、グラック教授は言います。その例はハワイの真珠湾です。

二〇一六年十二月、日米の首脳が、そろって、この地を訪問しました。初めてのことでした。

そして、太平洋戦争の開戦につながった一九四一年の真珠湾攻撃を振り返りながら、犠牲者を慰霊したのです。

安倍晋三首相は、この時「日本は平和国家としての歩みを貫く」と重ねて誓っています。

こうして「戦争の記憶」は、新しい「和解の記憶」に生まれ変わったのです。

日韓の間でも、記憶を新たにする努力を始めたい。きっとできるはずです。
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[産経新聞] 【主張】エジルの中国批判 全体主義のリスク正視を (2019年12月29日)

サッカー英プレミアリーグの強豪アーセナルのメスト・エジルがツイッターに投稿した中国批判が波紋を広げている。一連の騒動で浮き上がるのは他国の「表現の自由」も許さない、共産党独裁の全体主義国家、中国の異質ぶりである。

元ドイツ代表で3度のワールドカップ(W杯)に出場したスター選手のエジルはトルコ系で、敬虔(けいけん)なイスラム教徒であることも知られている。

エジルは中国国内でイスラム教徒の少数民族、ウイグル族が弾圧されているとして「コーランが焼かれ、モスクは閉鎖され、宗教学者は次々に殺されている」などと書き込んだ。

これを受けて中国国営の中央テレビは予定していたアーセナル戦の放送を取りやめた。中国版のスマートフォン・サッカーゲームはエジルを登録から除外した。中国の外務省もサッカー協会もエジルを批判した。異様なのは政府、サッカー界、メディアなどが一斉に排除に向く姿である。

同様の騒動はバスケットボール界でもあった。10月、米NBAのロケッツ幹部が香港のデモを支持するツイートをしたことに中国から批判が集中し、試合の放送や配信が中止となった。スポンサー企業の撤退表明も相次いだ。

「表現の自由を支持することはNBAが持つ長年の価値観だ」としたアダム・シルバーコミッショナーの発言に、中央テレビは「言論の自由は絶対ではない」と論評した。外務省の耿爽(こうそう)報道官は「中国側と交流や協力をするには、中国の民意を理解しなければ通用しない」とも述べた。

中国国内に言論の自由はない。中国との協力を望むなら、他国であろうともそのルールに従え、ということなのだろう。

現実には、NBAも欧州のサッカー界も巨大な中国資本に支えられている。ロケッツもアーセナルも、発言は個人のものでチームは関わっていないと釈明に躍起だった。中国マネーを背景とする恫喝(どうかつ)に屈した格好である。

ポンペオ米国務長官は「中国はNBAに対して影響力を行使し、関係者が自らの政治的意見を自由に表明することを封じた」「米実業界は、中国国内でビジネスを行うことに対するリスクに気付きつつある」と述べた。スポーツ界にとどまらず、全ての関係者が共有すべき認識である。
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[産経新聞] 【主張】韓国憲法裁「却下」 文政権は国の約束を守れ (2019年12月29日)

慰安婦問題の日韓合意を「違憲」だとする元慰安婦らの訴えを韓国の憲法裁判所が却下した。

だが、その理由を聞くと呆(あき)れるばかりだ。憲法裁は日韓合意が法的な履行義務のない「政治的合意」にすぎず、効力も不明だとしたからだ。

国際法を守るべき韓国政府をたしなめてしかるべき憲法裁が、正当な国家間の合意を否定するのは間違っている。国同士の約束を守るという信義など、どうでもいいのか。これでは諸外国も韓国政府と約束ごとは結べまい。

文在寅政権は合意を完全に履行しなければならない。

韓国では最高裁とは別に、憲法裁判所が置かれ、憲法に関わる案件を審理している。今回の訴訟は慰安婦問題で「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった平成27年の日韓合意に対し、元慰安婦らが起こした。合意により日本側に賠償を求める道が閉ざされ財産権などが侵害されたほか、合意内容が十分に説明されず、知る権利が侵害されたなどと主張していた。

もともと、昭和40年の日韓国交正常化に伴う請求権協定で、日本は韓国に無償3億ドル、有償2億ドルを支払った。韓国側は個人補償は韓国政府の責任で行うと明言している。すべて解決済みで、いわれのない要求である。

憲法裁が日韓合意は「政治的合意」にすぎないとしたことを盾に、請求権が残るかのように主張するのも誤りである。合意内容などが十分説明されたか、されないかにかかわらず、すべては韓国政府に責任がある。

慰安婦問題で日本政府はできる限りのことをしてきた。

日韓合意に基づき、日本政府が拠出した10億円を元に、元慰安婦のための「和解・癒やし財団」が韓国で設立された。元慰安婦の7割以上が財団による現金支給事業を受け入れた。その財団を一方的に解散したのは文政権だ。

いわゆる徴用工訴訟で韓国最高裁は日本企業に賠償を命じた。憲法裁の判断はこれと同根だ。人事への介入など法を恣意(しい)的に運用してきた文政権の意向に沿い、韓国側の合意不履行や白紙化まで正当化するのは理不尽この上ない。

日韓合意は東アジアの安全保障上の懸念が強まる中で関係改善を目指してかわされた。日韓関係の悪化で喜ぶのは誰か。合意を守らず国益を害すのは韓国なのだ。
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[毎日新聞] 無認可幼稚園の支援 自治体格差のない制度に (2019年12月29日)

幼稚園としては無認可だが、地域の幼児教育の一端を支えてきた「幼稚園類似施設」と呼ばれる施設が各地にある。文部科学省は来年度、こうした施設の利用に支援金を支給する事業を行う。

10月から始まった幼児教育・保育無償化の対象にはなっておらず、施設や利用者から不満の声が上がっていたためだ。

類似施設に定義はないが、園庭の広さなど幼稚園設置基準を満たせない小規模なところが多い。それでも、欧州の障害児教育がルーツだったり、自然体験が活動の中心だったりとそれぞれ特色があり、教育に賛同した親が子どもを通わせている。

自治体の中には既に支援しているところも多いが、国の視野からは外れた存在だった。来年度事業では、保護者の負担を子ども1人あたりで月額7000円程度軽減することを想定している。国として支援に乗り出したことは評価できる。

併せて来年度は、自治体に委託して、施設の実態や今後の支援のあり方に関する調査を行う。再来年度に開始を予定している本格的な支援制度につなげたい考えだ。

ただ、事業には課題も多い。

国の今年の調査では、自治体が支援の対象にしている施設は全国で200程度あった。対象外も多数あるはずだが、数も実態も分からない。

幼児教育の質を確保する上から、国による支援の対象にするには何らかの線引きがいる。文科省は「自治体が地域にとって重要と判断し、現に支援しているかどうか」を基準に支援の可否を決める方針だ。

だが、自治体によって取り組みには大きな温度差がある。施設を長年支えてきた市がある一方で、一度も訪問調査したことすらない市もある。その市に施設の必要性を正しく判断できるか懸念が残る。

線引きが自治体任せになれば、施設がどこに立地するかによって扱いに不公平が生じるおそれがある。

国と地方は今後、再来年度に向けて支援のあり方を協議する。

まず、支援の対象外だった施設も含めた実態把握が欠かせない。それを基に、国自身が支援基準を明確に示すべきだ。「全ての子どもの健やかな成長の支援」を国が掲げる以上、制度の穴をなくす責任がある。
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[毎日新聞] カジノ汚職と誘致活動 まずは立ち止まるべきだ (2019年12月29日)

カジノ事業参入を巡る汚職事件を受け、カジノ整備の是非について議論が再燃している。

秋元司衆院議員は、事業参入を図る中国企業側からの収賄容疑で逮捕された。2017年9月の衆院解散当日、議員会館の事務所で現金300万円を受け取った疑いがある。

当時、秋元議員は、カジノを含む統合型リゾート(IR)担当の副内閣相兼副国土交通相だった。IR実施法の制定に携わっている。贈賄側から何らかの働きかけがあったとすれば、法の正当性が揺らぐ。

にもかかわらず、菅義偉官房長官は「早期に整備効果が実現できるよう、必要な準備は進めたい」と繰り返した。カジノは訪日客増や地方の活性化につながると主張して、スケジュールは変えない方針を示した。

しかし、元副大臣が逮捕されるという重大性に照らせば、こうした姿勢は理解しがたい。事態の深刻さを認識していないのではないか。

政府は来月、カジノ事業者を審査して免許を与えるカジノ管理委員会を設置する。整備の基本方針も来月中に決定し、21年1月から自治体の誘致申請を受け付ける予定だ。

参入外国企業絡みの汚職事件に発展した以上、いったん立ち止まるべきだろう。東京地検特捜部の捜査結果も踏まえて、カジノ整備の問題点を検証するのが先決である。

カジノ事業者を実際に選定するのは、誘致を目指す自治体となる。大阪府・市は他に先駆けて、事業者の募集要項を発表した。

参入を狙う外国企業は、住民にPRするなど攻勢をかけている。自治体は事業者との面会の際、複数の職員で対応して記録を残したり、会食を禁止したりしている。

それでも癒着の芽は残る。大阪では、府と市がアドバイスを依頼したコンサルティング会社の社員が、事業者側から接待を受けていた。

多くの自治体は住民の理解が不十分なまま動いている。横浜市の市民説明会では、財政上の理由からカジノの必要性が強調される半面、計画には具体性がなく、参加者から不満の声が出ていた。

そもそもカジノは、治安悪化やギャンブル依存症などが懸念され、反対論は根強い。カジノが地域にとって本当に必要なのか再考すべきだ。
posted by (-@∀@) at 12:20| Comment(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] 犯罪被害者 きめ細かな施策で支えたい (2019年12月29日)

犯罪に巻き込まれた人や遺族は心身に深い傷を負う。平穏な生活を取り戻せるよう、きめ細かな支援を広げたい。

被害者支援の総合対策をうたう「犯罪被害者基本法」が今月、成立から15年を迎えた。事件の発生直後から捜査、裁判、判決後に至るまで、被害者の視点に立った施策を推進するよう、国や地方自治体に求めている。

基本法の制定後、精神科医によるカウンセリングや治療を公費で受けられるようになった。刑事裁判で被告に直接質問したり、刑について意見を述べたりできる「被害者参加制度」が導入された。

被害者を取り巻く環境は大きく改善したと言えよう。

ただ、事件で傷ついた被害者が手続きを理解し、自ら行動を起こすには困難を伴う。被害者の相談に乗る民間の「被害者支援センター」は全都道府県に設置された。支援が着実に届くよう、適切な助言や情報提供が欠かせない。

自治体による支援も重要だ。

名古屋市はヘルパー派遣や配食サービスを行う制度を独自に設けている。事件のショックで、家事や育児など日常生活が困難になる被害者が少なくないためだ。

神戸市は、家族を失うなどして学校に通えなくなった子の教育関係費用の一部を補助する。「事件の現場となった自宅に住みたくない」といった理由から転居を望む人が、公営住宅に優先的に入居できる制度を持つ自治体もある。

課題は、地域によって取り組みに温度差があることである。犯罪被害者支援に関する条例を定めている市区町村は、全体の約3割にとどまる。自治体が独自に見舞金を支給する制度を導入しているところも限られている。

7月の京都アニメーション放火殺人事件のように、被害者や遺族が全国各地に住んでいるケースでは、居住自治体によって受けられる支援が異なりかねない。こうした現状を是正するため、各自治体の努力が求められる。

経済的な問題も大きい。死傷した場合に支払われる国の給付金制度では、申請から支給まで時間がかかり、支給額も被害回復には十分ではないとの声が多い。

裁判で損害賠償が認められても、加害者側に支払い能力や意思がなく、被害者が泣き寝入りする事例は後を絶たない。

加害者が被害者に思いを致すことができなければ、真の更生は望めまい。刑務所などの矯正施設で、被害者の心情や窮状を理解させる教育を充実させる必要がある。

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posted by (-@∀@) at 12:11| Comment(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする