2019年09月30日

[東京新聞] 気候危機 想定外はあり得ない (2019年09月30日)

太陽や風雨が世界中で人をあやめる時代、若者たちの未来には暗雲が垂れ込め、国連も「具体的なアクション(行動)」を求めている。もはや気候対策に先送りは許されず、想定外は、あり得ない。

英紙ガーディアンは、激しさを増す異常気象への危機感を反映し、「地球温暖化」を「地球過熱化」と言い換えることにした。「気候変動」は「気候危機」とした。

今月初め、カリブ海の島国バハマを襲ったハリケーン「ドリアン」の勢力は、五段階中三番目から最大の「カテゴリー5」へ、わずか二日で急成長を遂げている。米航空宇宙局(NASA)の観測によると、温暖化で米フロリダ沖の海水温が上昇し、「嵐の燃料」になっているという。

温暖化による台風の異変は、ここ数年、日本でも明らかだ。

日本近海の海水温も高くなり、上陸寸前に至ってなお、勢力を強める傾向がある。

温暖化による台風の巨大化に関しては、かねて国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などが警鐘を鳴らしてきた。

ところが「災害大国」と言われながらもこの日本では、気候変動に対する危機感が欧州ほどに強くなく、共有も進んでいないのではないか。その象徴が停電だ。台風15号による停電は千葉など七都県九十万戸におよび、懸命な復旧作業にもかかわらず、長引いた。

今回の被害で、送配電網のもろさが露呈した。強大化する台風への備えが甘かったということだ。

東電は「台風の大きさを考慮に入れず、想定が過小だった」と釈明した。原発事故を起こした東電に「想定外」はあり得ないはずではなかったか。温暖化の加速による「命にかかわる暑さ」の時代。エアコンは命の綱だ。「気候危機」に対応する送配電網の強靱(きょうじん)化、電源の分散配置は急務だ。

二十三日、ニューヨークで開かれた「国連気候行動サミット」は、過去二回の「気候変動サミット」とは違い、「行動」の二文字が強調されている。

サミットを前に、日本を含む世界約百六十カ国の若者が、具体的な気候対策を求めるデモを展開した。政治や企業、大人たちの不作為が、今現に多くの人の命を危うくし、若者たちの未来を脅かしているからだ。怒っているのはスウェーデンの少女だけではない。

「気候対策をサボるのは、学校をサボるより悪い」。若い世代の訴えに大人として向き合う時だ。
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[東京新聞] <消費税10%に>景気減速の懸念は強く (2019年09月30日)

消費税率が十月から現行の8%から10%に引き上げられ、飲食料品などに軽減税率が導入される。少子高齢化時代を迎え、社会保障財源を確保するのが目的だが、景気減速に対する懸念も根強い。

今回の消費税率引き上げは、二〇一二年の三党合意に端を発する。〇九年に政権に就いた旧民主党は当初、消費税増税を否定していたが、その後一転して増税を主張。野田佳彦首相当時の一二年、当時5%だった税率を、二段階で10%に引き上げることに旧民主、自民、公明の三党が合意し、消費税増税を柱とする一体改革関連法を成立させた。旧民主党はこの過程で分裂、この年十二月の衆院選で惨敗して野党に転落した。

後を継いだ自民党の安倍晋三首相は成長重視の経済政策を採り、消費を冷やしかねない消費税増税には消極姿勢がうかがえる。

当初は三党合意通り、一四年四月に税率を8%に引き上げたが、10%への増税については経済情勢を理由に当初の一五年十月から二度延期した。今回の引き上げでは社会保障政策を高齢者重視から子育てや現役世代を含めた全世代型に転換するため、消費税の使途を変更して踏み切った。さらなる税率引き上げにも否定的だ。

そもそも消費税は、政権にとって長年「鬼門」であり続けた。

さかのぼれば、自民党の大平正芳、中曽根康弘両首相が導入を目指したが、世論の反発が強く、いずれも断念。現行の消費税導入を主導した竹下登首相は導入二カ月後、リクルート事件への反発などもあって退陣を余儀なくされた。

消費税には財政再建や社会保障財源の確保という大義名分があるにせよ、モノやサービスに広く課税する「大衆課税」として、有権者に根強い反発があったためだ。低所得者の実質的な税負担が重くなる逆進性も指摘されてきた。

さらに懸念されるのは、景気への影響だ。一九九七年、それまでの3%から5%に引き上げた後、景気は悪化し、日本経済は長い低迷期に入った。8%に上がった二〇一四年は増税前に駆け込み需要が膨らみ、その反動で増税後に個人消費が冷え込んだ。

政府は今回、ポイント還元制度や軽減税率などの対策を組み合わせて負担感を和らげようとしているが、消費への影響は本当にないのか、注視する必要がある。

税収を増やすための増税が消費や景気を冷やし、全体の税収を下げては本末転倒である。
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[産経新聞] 【主張】消費税増税 円滑な実施に全力挙げよ 社会保障支える意義を説け (2019年09月30日)

10月1日に消費税率が10%に引き上げられる。少子高齢化が進む中で年金や医療、介護の社会保障費が膨張しており、その財源を安定的に賄うための増税である。

税収が景気に左右されにくい消費税は、将来にわたって社会保障制度を維持していくための貴重な財源だ。消費税を社会保障に充てる目的税化しているのもこのためである。

安倍晋三首相はその意義と、増税の必要性を改めて国民に説明し、幅広い理解を得られるように努めてもらいたい。

≪上手にポイント活用を≫

5年半前に5%から8%に引き上げられた際には、増税前に大規模な駆け込み需要が生じた。その分、増税後の反動減が大きくなり個人消費の低迷が長引いた。

その反省を踏まえて、今回の増税では飲食料品の税率を据え置く軽減税率を導入するほか、キャッシュレス決済によるポイント還元などの対策を実施する。

これらの効果もあって、今回は一部の家電製品などを除き、大きな駆け込み需要は起きていないようだ。反動減に対する懸念は前回よりも小さいといえよう。

しかし、軽減税率の導入で店頭には複数の税率の商品が並ぶ。それにポイント還元も加わり、小売り現場では混乱が予想される。政府は増税後も消費者や事業者に対する制度の周知に努め、円滑な実施に全力を挙げてほしい。

欧州で生活必需品などに広く適用されている軽減税率は、消費者の痛税感を緩和するとともに、低所得者の税負担を軽くする制度である。今回は酒類を除く飲料や食料品、それに定期購読の新聞を軽減対象とした。消費の落ち込みを防ぐ役割も期待できる。

ただ、その線引きは外食が対象外となるだけに複雑だ。食料品を持ち帰る場合の税率は軽減税率が適用されて8%のままだが、店内の飲食コーナーで食べると、10%の標準税率となる。飲食コーナーがある店は、消費者が混乱しないように注意してほしい。

ファストフード業界では、店頭での混乱を避けるため、持ち帰りと店内飲食の料金を統一する動きもある。この場合、店内飲食は事実上の値下げとなるが、一部商品を値上げすることで調整を図るという。消費者にとって分かりやすい取り組みといえよう。

ポイント還元も課題が多い。クレジットカードやスマートフォン決済などキャッシュレスで買い物した場合、政府の補助で後日、一定のポイントが還元されて負担を軽減する仕組みだ。来年6月までの時限措置だが、一般の中小小売店では5%分、コンビニエンスストアなど大手企業傘下の中小店は2%分と還元率が異なる。

さらにポイント還元制度への参加を申請した中小店は全体の4分の1程度にとどまる見通しだ。これでは消費者は戸惑うばかりだろう。制度に参加する店舗は専用ポスターを掲示する。消費者も上手な利用を心がけたい。

≪景気変調に警戒怠るな≫

政府がポイント還元の導入を決めたのは、先進各国に比べて遅れているキャッシュレス決済を推進するためでもある。だが、結果的に混乱が深まるようでは元も子もない。増税に関する相談窓口を充実させるなど、国民の理解を促す取り組みも加速すべきである。

消費税率を2%引き上げると、家計負担は約5・7兆円増えるが、政府は、軽減税率や幼児教育の無償化などの対策があるため実質2兆円程度の負担増にとどまると試算している。前回よりは、増税が与える景気への影響は相対的に小さいという見立てだ。

しかし、税率が2ケタとなる心理的な負担は小さくない。米中貿易摩擦の激化などで世界経済の先行き不透明感も強まっている。増税による景気への影響を過小評価すべきではない。

もちろん、景気が失速する恐れがあれば、適切な財政・金融政策を果断に講じて、景気の腰折れを防がなければならない。

安倍首相は2度にわたり消費税10%への引き上げを延期した。7月の参院選前には与党内で3度目の延期論も台頭した。政権内の揺らぎを感じ取ったからこそ、事業者に「本当に増税は実施されるのか」という疑心暗鬼が広がり、増税準備が遅れたのは否めない。

だからなおのこと、首相には自ら先頭に立って増税の円滑な実施を確実に果たす責務がある。
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[毎日新聞] 外国人の不就学問題 国主導で直ちに解消策を (2019年09月30日)

小中学校に通う年齢の外国籍の子どもが、実際に通学しているかどうかについて、文部科学省は全国の市区町村を対象に初めて実施した調査の結果を発表した。

不就学の可能性がある子どもは、住民登録する同年代の17%に当たる2万1701人に上った。不就学が確認されたのは1000人だった。早急な実態把握が必要だ。

1990年の入管法改正で日系3世に「定住者」の在留資格が認められて南米からの移住者が急増した。近年は中国やベトナムなどアジアの人々が増加している。そうした中で不就学の問題が浮上してきた。

一部の自治体は対策を進めてきた。製造業が盛んで外国人の多い岐阜県可児市は16年前から外国籍の子どもがいる世帯の訪問調査を続け、日本語教育にも取り組んでいる。

一方で、文科省の調査では、就学状況を把握する取り組みに関して「特に実施していない」と答えた自治体が65%もあった。住む自治体によって、就学環境が異なる現状はおかしい。

不就学の問題を自治体任せにしてきた国は、今年に入ってようやく文科省内のチームで検討を始めた。3月に都道府県と政令市に就学促進を求める通知を出し、6月にはチームが就学状況の把握や日本語教育強化を盛り込んだ報告書をまとめた。ただ、遅すぎたといわざるを得ない。

学校での教育は日本で暮らしていくための出発点となる。教育を受けられなければ就職先も限られ、社会で孤立する懸念もある。

外国人は、憲法が定める教育の義務や権利の対象外ではある。しかし、日本も批准した国際人権規約は「教育についてのすべての者の権利を認める」と記している。

文科省は、今回の調査をもとに就学促進に向けた課題を明確にし、有識者会議の議論も踏まえ、具体的な施策を検討するという。

今年4月に施行された改正入管法で、外国人労働者の受け入れが拡大された。日本で働く外国人が増加していけば、将来、外国籍の子どももさらに増えていくと見込まれる。

国主導で直ちに不就学児の解消策を講じるべきだ。もちろん、日本語教育の充実など、受け入れる学校側の態勢整備も求められる。
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[毎日新聞] 消費税率が10%に 納得できる国の将来像を (2019年09月30日)

消費税率があす8%から10%に引き上げられる。導入から30年の今年、税率が2桁に乗る節目となる。

日本総合研究所によると、家計の負担は1世帯平均で年3万円程度増える。痛みを求める以上、政府は効果的な使い道を考え、安心して暮らせる社会の将来像を示すべきだ。

日本は急速な高齢化と人口減という構造変化に直面している。政府は膨張する社会保障費の多くを借金に頼り、その残高は1000兆円を超えた。無責任なつけ回しに歯止めをかけなければならない。

消費税は高齢社会を支える貴重な財源だ。所得税や法人税と異なり税収が景気に左右されにくい。幅広い層が負担するため、人口が減っている現役世代に負担が集中しない。

課題は低所得者ほど負担が重くなる逆進性だが、今回、食料品などは8%に据え置く軽減税率が導入される。痛税感を和らげ、消費の落ち込みを防ぐ効果が見込める。

持ち帰りと店内飲食で税率が異なるなど消費者が戸惑う場面も予想される。だが消費税の重要性が増す中、軽減税率の果たす役割は大きい。

店側は増税後の価格を明記したチラシを掲示するなど周知を図っているが、今後はさらに丁寧に対応してほしい。政府も人手の少ない中小店舗などへの支援に努めるべきだ。

加えて混乱を招きそうなのは、約50万の中小店舗で始まるポイント還元である。軽減税率も含めると、何をどの店で買うかによって、負担する税率はもっと複雑になる。

増税による景気冷え込みを抑える対策は必要だ。だが、これだけ分かりにくくなると逆効果だろう。

もともと税率10%は自民、公明、旧民主3党による2012年の合意に基づく。ベースとなったのは、団塊の世代がすべて75歳以上となる25年度までの社会保障費の推計だ。

高齢化のピークは、団塊ジュニア世代が65歳以上となる40年度だ。政府は社会保障費が25年度より3割超も多い約190兆円に膨らむと推計している。安倍晋三首相は「再増税は今後10年不要」と主張したが、負担増の議論は避けて通れない。

高齢社会を乗り切れる社会保障制度を作り、必要な負担と給付の青写真を示す。そのうえで国民に理解を求めるのが政治家の役割だ。
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[読売新聞] 臨時国会 将来見据え本質突く論戦を (2019年09月30日)

臨時国会が近く召集され、本格的な論戦が始まる。直面する内外の課題にどう対処するか。野党は政府批判に終始するのではなく、施策の内容に踏み込んで論じてもらいたい。

質疑の焦点の一つは、日米が合意した新たな貿易協定である。政府は、承認案を提出する。

米国産牛肉や豚肉にかける関税の引き下げは、環太平洋経済連携協定(TPP)を超えない水準で決着した。自国産業保護を目的に相手国に対して圧力をかけるトランプ米政権と交渉し、現実的な落とし所を探った結果だ。

国内の農家にどんな影響が出るか。対策をどう講じるか。冷静に検討することが欠かせない。

保護主義の広がりを防ぎ、自由な貿易体制を維持することは、日本の国益に資する。TPPの参加国の拡大や、別の経済圏の構築など、通商政策のあり方についても意見を交わすべきだ。

社会保障制度も論点となる。厚生労働省は、年金財政の健全性について点検結果を公表した。経済が順調に成長した場合、モデル世帯では、現役男性の平均収入の50%の給付水準を維持できる。

野党からは、試算の前提条件が甘いとの指摘が出ている。経済成長の見通しなど、前提の置き方を丁寧に説明することが大切だ。

少子高齢化は急速に進む。経済の活力を中長期的に維持し、持続可能な社会保障制度を築くことこそ、本質的な課題と言える。

高齢者雇用の拡大や子育て支援の充実など、広範な分野の施策を効果的に進めることが肝要だ。

政府は、政策の方向性と狙いを分かりやすく示す必要がある。野党が問題点を指摘し、代替策を提起することで、国会審議を充実させることができよう。

憲法論議を前進させることも、臨時国会の課題だ。野党には、改憲に積極的な安倍内閣の下での憲法論議に抵抗感が根強い。

最高法規のあり方を不断に論じるのは立法府の役割だ。共通投票所の設置などを盛り込んだ国民投票法改正案を速やかに成立させたうえで、憲法本体に関する討議を再開しなければならない。

立憲民主、国民民主両党などは衆参両院で統一会派を結成して、臨時国会に臨む。

閣僚発言の揚げ足取りを繰り返し、政策論争を置き去りにすれば、国民から批判を受けよう。

会派内で、政策をすり合わせ、質問内容を精査する。質疑の質を高め、行政監視能力を向上させていく姿勢が求められる。

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[読売新聞] 総合取引所 魅力ある市場への第一歩に (2019年09月30日)

世界のマネーを日本市場に呼び込み、経済活性化につなげる一歩としなければならない。

東京証券取引所などを傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)が、様々な上場商品を扱う「総合取引所」を設置することが確実となった。

世界の主要市場は、総合取引所が主流だ。JPXも国際的な市場間競争に臨む態勢が整う。着実に実現を図る必要がある。

JPXが、商品先物を扱う東京商品取引所(東商取)株を対象に実施した株式公開買い付け(TOB)が成立した。

全株式の97%の応募があり、JPXは今後、速やかに残りの株式をすべて買い取る方針だ。

JPXは10月1日付で東商取を子会社化する。来年7月にはJPX傘下の大阪取引所に、東商取から金属や農産物の取引を移管し、国内初の総合取引所を誕生させる運びとなっている。

東商取がJPXグループに入ることで、多様なニーズに対応可能となる。商社や機関投資家など、国内外からの取引参加者が増え、市場の活性化が期待できよう。

とはいえ、日本では最大のJPXでさえ、欧米やアジアの主要市場と比べると、規模も機能も見劣りするのが実情である。

特に、先物などの商品市場では大きく水をあけられている。

世界の商品市場の取引高は、2004年から17年までに約8倍に増えたが、日本では反対に、5分の1に急減した。

日本の商品市場の縮小が続けば、適正な市場価格の形成や商品取引のリスク・ヘッジ(回避)機能は損なわれかねない。

総合取引所化を契機に、取引を活発にするには、取り扱う商品の種類を拡充していくことが求められる。日本経済の規模や国際的な地位に見合う、充実した市場に育てることが大切だ。

気がかりなのは、各取引所を所管する金融庁や経済産業省など、省庁の縦割りが残ったことだ。

このため大阪取引所に移管される農産物などと、東商取に残る原油や石油製品は、別々の市場に分断される。総合化のメリットは減殺されてしまう。

市場参加者の利便性を重んじるのなら、商品市場を一元化するべきではないか。

JPXとは別に、通貨や金利の先物などを扱う東京金融取引所もある。金融庁や市場関係者は、残された課題の解決を急ぎ、「世界で戦える市場」の実現に全力を挙げてもらいたい。

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[朝日新聞] 対イラン外交 緊張緩和へ、粘り強く (2019年09月30日)

米国の強硬姿勢に引きずられることなく、仲介者としての立場を堅持し、中東の緊張緩和に向け、粘り強く外交努力を続けることが日本の役割である。

米ニューヨークでの国連総会を舞台にした、米国のトランプ大統領とイランのロハニ大統領の直接対話は実現しなかった。直前に起きたサウジアラビアの石油施設への攻撃を受け、両国の対立は深まるばかりだ。

そんな中、安倍首相が両氏と相次いで個別に会談した。6月のイラン訪問時に続くロハニ師との会談では、「地域の平和と安定に建設的な役割を果たしてほしい」と強く自制を求め、その後、トランプ氏に会談内容を伝えた。

トランプ氏は軍事行動には慎重だが、経済・軍事両面でイランへの圧力を強めており、偶発的な衝突の恐れは否定できない。米国の同盟国であり、イランとも長年友好関係にある日本が、意思疎通の橋渡しをすることには大きな意義がある。

ただ、今回の緊張の発端は、米国が昨年、イランの核開発を制限する多国間合意から一方的に離脱したことだ。首相はイランに自制を促すだけではなく、核合意に復帰し、経済制裁を解除するようトランプ氏に働きかける必要がある。

ロハニ師はニューヨークでの記者会見で、現在の核合意を上回る制限を受け入れる可能性に言及した。しかし、あくまで制裁解除が交渉の前提であり、米国の姿勢が変わらなければ、対話の糸口はつかめない。

サウジへの攻撃を、トランプ氏はイランによる犯行と断じ、核合意にとどまる英仏独も「イランに責任がある」との見解を示した。一方、首相は国連総会での演説で「国際経済秩序を人質にする卑劣極まる犯罪」と批判しつつも、攻撃主体には触れなかった。米政府内には日本に同調を求める声もあるが、国連による調査結果を待ってからでも遅くはあるまい。

一方、ホルムズ海峡などで船舶の安全を守ろうという米主導の「有志連合」には、英国に続き、バーレーン、豪州、サウジ、アラブ首長国連邦(UAE)が参加を表明した。

日本は態度を明らかにしていないが、自衛隊を派遣すれば対イラン包囲網に加わったとみられ、仲介者としての貴重な立場を失うことは間違いない。これまでの慎重姿勢を貫くことが、賢明な判断といえよう。

首相は一連の会談後の記者会見で「(両国とパイプを持つ)日本ならではのかじとりが求められている」と語った。その言葉通り、対話による事態打開を最優先に、核合意の立て直しに全力で取り組むべきだ。
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[朝日新聞] 温暖化と海 未来を水没させぬよう (2019年09月30日)

地球温暖化にともなって、近年、海面が上昇するペースが加速している――。そんな特別報告書を、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がまとめた。

温室効果ガスの排出を減らさないと、高潮などの災害や漁業の不振が深刻になり、命や暮らしが脅かされる恐れが大きくなるという。四方を海に囲まれた日本は、強い危機感をもって対策を急ぐべきだ。

IPCCは世界の科学者でつくる組織で、温暖化について総合的に分析している。今回の特別報告書は「海洋・雪氷圏」にテーマを絞り、日本を含む36カ国の専門家104人が約7千の科学論文を精査した。

いわば、科学にもとづく現状分析と将来予測である。いまそこに気候変動の深刻な危機があるという事実から、目を背けてはならない。

特別報告書によると、世界の平均海面は20世紀の初頭から現在までに16センチほど上昇した。近年、かつての2・5倍ものペースに加速し、毎年3・6ミリずつ上がっている。

IPCCは「温暖化で南極やグリーンランドなどで氷のとける量が増え、水温の上昇にともなって海水が膨張していることが背景にある」という。

温暖化対策の国際ルール・パリ協定にもとづき、産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑えたとしても、今世紀末の海面上昇は最大59センチになる。対策をとらないまま温室効果ガスの排出が増え続ければ、世界の海面は最大1・1メートルほど上昇する恐れがあるとしている。

影響は深刻である。

100年に1度の記録的な高潮が今世紀半ばには、標高の低い都市や島国など毎年どこかで起きるようになる。温暖化で台風が強まるとの予測もあり、沿岸部に都市が連なる日本にとって人ごとではない。

海水温の上昇や、二酸化炭素を吸収することによる海水の酸性化が進めば、海の生態系への打撃も避けられない。特別報告書によると、何も対策をとらないと海の動物は今世紀末に15%も減り、漁獲量は20?24%ほど落ち込む恐れがある。

国連の気候行動サミットで多くの国々が対策強化を約束したが、温室効果ガスの排出が多い中国や米国、日本などは動きが鈍かった。主要排出国は率先して削減に努めてもらいたい。

そうした緩和策の効果が出るまでには時間がかかる。防潮堤や土地のかさあげなど、海面上昇への備えを万全にする適応策も忘れてはならない。

南太平洋などには、水没の恐れがある小さな島国もある。日本は支援に尽くしたい。
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2019年09月29日

[東京新聞] 週のはじめに考える さあ、本屋に行こう (2019年09月29日)

冠につく言葉で思い浮かぶのは、「プラハの」春とか「金鳥の」夏とか「核の」冬とか、ほかの季節は、まあ、そんなところですが、秋は別格。

「食欲の」「スポーツの」「芸術の」と多彩です。そして、本稿が寄り掛かるのは「読書の」−。

しかし、読書の周辺、活字文化の現状を眺めれば、何ともお寒い状況というほかありません。新聞でも書店の窮状が繰り返し伝えられています。各紙記事によれば、書店の数は一九九〇年代、全国で二万二、三千軒はあったのに、もう一万軒ほどが閉店しており、「無書店自治体」も増えているといいます。何というか、むしろ「読書の冬」の趣…。


◆「読書時間ゼロ」5割
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書店苦戦の理由はいくつもありそうですが、フランス政府が重く見たのはインターネット通販の影響でした。数年前、小規模書店保護を目的に、ネット書籍販売での配送料無料サービスを禁止する法案が議会で可決されました。米ネット販売大手を意識した、いわゆる「反アマゾン法」。当時、文化相は「わが国が持つ本への深い愛着を示した」と語っています。

ほかにもっと端的な理由を探すなら、やはり「活字離れ」という

ことになりましょう。昨年二月、全国大学生協連が発表した学生生

活実態調査の結果は衝撃でした。

電子書籍も含め一日の読書時間が「ゼロ」という学生が五割を超えていたのです。今年公表された数字でも、48%。状況は変わっていません。

フランス流が最良だとは言いませんが、書店がどんどん消えていく、若い世代から読書の習慣が失われつつある、という事態はやはり「国難」ととらえるべきでしょう。しかし、わが国政府に危機感は感じない。というより、それをよしとしている節さえあります。


◆「文学なき国語教育」
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文科省が打ち出した国語教育改革。二〇二二年度に変わる高校の学習指導要領や二一年からの大学入学共通テストの「国語」で、実用が重視され、文学が激減すると懸念が強まっています。

教科書で読んだ作品から、ある作家への興味が広がった、といった経験をお持ちの方も少なくないはずですが、本紙で日大文理学部長の紅野謙介氏が解説しているところによれば、必修の「現代の国語」には、小説などのフィクションや詩歌は入らない。法律や契約をめぐる実用的な文章を中心とした教材になりそうだといいます。

もう一つの必修「言語文化」も七割が古典で、近代の評論、小説を読む機会は圧倒的に減るらしいのです。

なぜ実用に傾いたのか。紅野さんはこう言っています。「政財界の要望でしょう」

実用性の高い論理的読解力を重視するという発想のようですが、『文学界』九月号の特集「『文学なき国語教育』が危うい!」では、現役高校教師たちが「文学で論理は十分学べる」と訴え、地球物理学者が理系的な問題発想や思考には文学や芸術の「感性や美意識」こそが必要だと語っています。

さらに、一五年に国立大学に対して出された文科相通知の一件へと想は連なります。人文系学部の廃止や社会的要請の強い分野への転換を求めたのです。「社会的要請」とは、つまり「政財界の要望」? 国立大の人文系学部長らの会議が抗議の声明を出すなど「文系軽視」への批判が起こりましたが、既に文学部廃止などの変化が起きているようです。

活字文化の一端を担い、本同様、「離れ」に苦しむ新聞も含めるならば、もっと端的なメッセージがあったことにも思い当たります。「新聞を読まない人は自民党支持者」。麻生副総理のご託宣です。

確かに、日本語でも英語でも、「読む(read)」には「見抜く」の意味があります。そう考えてくると、政権の側にあるのは、ただ経済への貢献重視という発想ではない気がしてきます。「本や新聞を熱心に読む国民はやっかいだ」という底意を読み取るのは穿(うが)ち過ぎというものでしょうか。


◆書店主フィクリー
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でもまあ、そうであってもなくても、私たちが本を「読む」べきなのは間違いないでしょう(できれば、新聞も!)。難しい話は別にしても、泣かせ、笑わせ、考えさせてくれて、知らない世界へと目を見開かせてくれる。そんな経験をしない方がいい、という理由は見当たりません。

最後に、本と書店にまつわる、お薦めの一冊。『書店主フィクリーのものがたり』(ガブリエル・ゼヴィン著、早川書房)です。一六年の本屋大賞・翻訳小説部門一位の作品ですが、作中にこんな言葉が。「本屋のない町なんて、ほんとうの町じゃない」。さあ、地元の書店へ行きましょう。
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[産経新聞] 【主張】令和初の防衛白書 「GDP1%」で守れるか (2019年09月29日)

令和初の防衛白書は、北朝鮮が「核兵器の小型化・弾頭化を既に実現しているとみられる」との分析を初めて示した。

日本に向いた弾道ミサイルに核弾頭が搭載される意味合いは極めて大きい。大量破壊兵器・ミサイルについて「廃棄に具体的進展は見られない」とも指摘した。白書が説くように北朝鮮は「重大かつ差し迫った脅威」だ。日本はミサイル防衛に加え、長射程の巡航ミサイル戦力充実を急ぐ必要がある。

中国からも目が離せない。

安倍晋三首相は日中の外交関係について「完全に正常な軌道に戻った」と語っている。

だが、中国が軍事面では活動を拡大・活発化させている現状が、白書から分かる。

今年度の日本の防衛予算は約5兆2千億円だが、中国は公表ベースだけで約20兆2千億円だ。平成元年度から30年間で約48倍、最近の10年間でも約2倍半に膨れ上がり、核・ミサイル、海上・航空の各戦力を「広範かつ急速に強化」している。中国海空軍は太平洋や日本海へ盛んに進出し、尖閣諸島周辺では海軍が「恒常的に活動」するようになった。

白書は、中国を「安全保障上の強い懸念」と記すが、さらに踏み込んで脅威と位置づけ、対応していくべきだろう。

安全保障協力の章では韓国の記載順を昨年版の2番目から、4番目へ格下げした。韓国海軍による海上自衛隊機への火器管制レーダー照射などはこの章で記述されたが警戒は怠れない。韓国の軍事動向に関する章で反日的行動を記述、分析した方がよかった。

白書が「テクノロジーの進化が安全保障のあり方を根本的に変えようとしている」と強調した点も特徴だ。各国は宇宙、サイバー、電磁波といった新領域の軍事利用や無人機、AI(人工知能)など先端技術の開発を急いでいる。

白書は新領域での自衛隊の能力強化の方針を説くが、看板倒れになりかねない。例えば中国のサイバー部隊は3万人とされる。自衛隊は今年度約220人だ。日本の防衛費は近年も微増にとどまり、国内総生産(GDP)比1%を依然超えていない現実がある。

厳しい安保環境を説き、自衛隊の取り組みを掲げても、予算や人員の確保なしに国民の安全は保てまい。安倍首相は防衛費の思い切った増額を決断すべきである。
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[産経新聞] 【主張】日本ラグビー 準備と団結の快勝である (2019年09月29日)

ラグビーとは、なんと人を興奮させ、感動させる競技だろう。ワールドカップ(W杯)日本大会に世界ランク1位で乗り込んだ優勝候補の一角アイルランドを、日本代表が19?12で破った。前回大会の初戦で強豪の南アフリカを破った一戦に続く大金星である。

ただし、4年前に世界中のメディアを飾った「奇跡」の言葉は、もはやふさわしくない。前回大会の実績をベースに世界一といわれる厳しい練習と徹底的な研究を重ね、自信と確信を胸に大会に臨んでいた。十分な準備の末に堂々、互角に渡り合っての快勝である。

主将のリーチ・マイケルは「30分だけ喜んで、次のサモア戦の準備をしたい」と冷静に話した。初戦の不調から先発を外れたが、途中出場で試合の流れを変えた。快勝の殊勲者でもある。

リーチはニュージーランドから来日し、日本の高校、大学で学び日本国籍も取得した。日本代表の出身国は他にも豪州、トンガ、韓国、サモア、南アフリカなど多士済々だ。そんな彼らが日の丸に涙し、君が代を斉唱して「ワンチーム」の標語の下に団結する。今大会の日本代表はそんな集団だ。

勝負を決めたのは、トライを挙げ、最終盤のスチールでアイルランドにとどめを刺した日本の切り札、快速ウイングの福岡堅樹だった。故障明けの途中出場で、期待された仕事を見事にこなした。それぞれが自身の役目を果たし、持ち味を存分に発揮する。それが理想的な組織である。

前回大会では南アを下しながら8強に進むことはできなかった。リーチも話したように、続くサモア、スコットランド戦に万全の準備で臨んでほしい。

日本代表の連勝もあり、大会は大いに盛り上がっている。

外国同士の試合でも、会場はほぼ満員の観客で埋まり、歓声に包まれている。ウルグアイ対フィジー戦が行われた被災地の釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムでも1万4千人の観客が興奮し、ボランティアの笑顔に見送られて満足げに会場を後にした。

スポーツに熱狂し、一喜一憂する様は、幸せな光景である。

願わくば日本代表の快進撃がこのまま続き、さらに大会を盛り上げてほしい。そしてこの興奮を、来年の東京五輪・パラリンピックにつなげたい。
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[毎日新聞] 関電会長らに多額金品 原発マネーの汚染を疑う (2019年09月29日)

関西電力の八木誠会長や岩根茂樹社長ら幹部20人が、高浜原発のある福井県高浜町の元助役(故人)から約3億2000万円相当もの金品を受け取っていた。社会的な儀礼の範囲をはるかに超える金額である。

岩根社長は「一時的に保管した」「個人で管理していたことは不適切だった」と釈明した。だが、原発事業を推進する電力会社が、原発立地自治体の関係者から金品を受領していたこと自体、コンプライアンス(法令順守)意識の欠如は明らかだ。

しかも、東日本大震災による東京電力福島第1原発事故で原発への信頼が揺らいだ後も金品の受領が長年、続いていた。非常識極まりない。

金品提供者だった元助役には、関電が原発工事を発注した関連会社から資金が流れていた。国税当局の調べによれば、工事を請け負った建設会社から手数料名目で約3億円が支払われていたという。

元助役が受け取った「手数料」が、結果として関電の電気料金に上乗せされていた格好だ。岩根社長は「還流があったという認識はない」と強弁するが、原発マネーの不透明な流れに疑念は深まるばかりである。

全国の電力会社の中で関電は原発依存度が特に高い。一方、過疎化が進んでいた高浜町は原発に目を向けて誘致に走り、地元経済は原発事業に支えられてきた。

元助役は地元の有力者だった。岩根社長は金品を拒めなかった理由を「お世話になっており、関係悪化を恐れた」と説明している。原発を巡る関電と自治体との持ちつ持たれつの癒着の構図を疑わざるを得ない。

菅原一秀経済産業相は「原子力の立地地域の信頼にかかわる」と関電を非難した。「厳正に処する」という姿勢には、安倍政権の推進する原発再稼働路線が揺らぐことに対する危機感も垣間見える。

今回、税務調査をきっかけに、原発利権にむらがる「原子力ムラ」の実態の一端が浮かび上がった。だが、資金の流れや具体的な金品授受などの詳細は明らかになっていない。

関電は社内調査を昨年9月に終えながら、結果をすぐに発表しなかった。第三者委員会を設置して真相を究明し、ウミを出し切るときだ。さもなければ、原発事業への信頼回復はおぼつかない。
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[毎日新聞] 公的病院の再編・統合 逆にゆがみを広げないか (2019年09月29日)

厚生労働省は再編・統合を促す公立・公的424病院を公表した。

団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、今後も医療費は増加する。特に日本は諸外国に比べ人口当たりの病床が多く、入院医療費を押し上げていると指摘されている。

中でも、重症の人を診て医療費も高くなる急性期病床は、必要数を大きく上回る。公立・公的病院は、急性期病床の削減が進んでいないことが課題だった。

再編・統合で病床数の削減が必要だというのは、理解できる。

ただし、全国の病院は約8000カ所あるが、約7割は民間病院だ。病床数でみても約6割を占める。民間、公立などを問わず、将来の医療ニーズにあった提供体制を整えることが再編・統合の本来の趣旨だ。

民間病院の経営にむやみに介入するわけにもいかないため、公立病院など、手を付けやすいところから進める形だ。医療提供体制にゆがみを広げることにならないだろうか。

公立病院は戦後、離島や人口の少ない地方など、民間医療機関の進出が見込めない地域で医療を提供する役割を担ってきた。今もその役割は変わらない。救急、小児などの採算がとりにくい部門や、災害などの分野を担うことも期待されている。

近くに他の医療機関がなければ配慮することにはなっているが、対象となった病院の患者にとっては寝耳に水の話だろう。「受診できる病院が遠くなるのではないか」「出産できる病院を探すのも大変だ」などと、不安が生じても無理はない。

厚労省は、可能な人は入院から在宅に移って訪問診療や介護サービスで支えることも想定する。患者や住民に対して、丁寧な情報提供も必要になってくる。

再編・統合を強制することはできず、具体的な検討は今後、各病院や都道府県ごとの地域医療構想調整会議にゆだねられる。

厚労省は今回、比較の対象として民間病院についても同様のデータを取っている。地域医療構想調整会議に示す方針だ。データ公表には病院側の抵抗感もあろうが、オープンに議論した方がよいだろう。

いまの進め方は拙速だ。民間病院と併せて、地域の医療体制のありかたを検討すべきだ。
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[読売新聞] 進む法曹離れ 司法の基盤が揺らぎかねない (2019年09月29日)

司法は三権の一角を担う。その先細りが懸念される状況である。

司法試験の合格者数の減少傾向が続いている。今年の合格者は1502人で4年連続の減少だ。政府が目標に掲げる「1500人」をかろうじてクリアしたにすぎない。

受験者にいたっては4466人で8年前の半分である。ここ数年、毎年700人?1000人単位で減っているのは深刻だ。

このまま、法曹離れに歯止めがかからなければ、国民に対する司法サービスの低下を招く。司法の基盤が揺らぎかねない。

最大の原因は、法科大学院を中核とする法曹養成制度がうまく機能していないことである。

74校が乱立した法科大学院の多くは、十分に合格者を輩出できなかった。これまでに廃止や、学生の募集停止の表明に追い込まれた大学院は39校を数える。

一方で、法科大学院を修了しなくても司法試験の受験資格を得られる予備試験を経て、法曹を目指す人が目立つ。法科大学院で実践的な教育を行い、即戦力を育てるシステムの空洞化は明らかだ。

政府は、大学法学部3年と法科大学院2年の計5年で修了できる「法曹コース」を設けることで打開を図る方針だ。法科大学院在学中の司法試験受験も可能にし、現在より約2年早く、受験資格を得られるようにするという。

時間の短縮で、学費など学生の負担が軽減する面はあろう。ただ、法曹コースを作っても、法科大学院修了者の合格率が現在の29%から大きく改善しなければ、法曹離れは食い止められまい。

法曹コースについては、47大学が開設の意向を示しているが、かつて法科大学院を開設しながら撤退したところも含まれる。大学と、連携する法科大学院は法律家を育てるカリキュラムを整備し、教育内容を充実させねばならない。

司法制度改革が目指した、多様な人材の活用も進んでいない。

社会人経験者で法科大学院に入学する人は少ない。司法試験合格率の低迷が続いているため、思い切って挑戦する決心がつかない人もいることだろう。

新たなビジネスの創出やグローバル化の進展で、司法が必要とされる分野は広がっている。様々なバックグラウンドを持つ人が法律家になる意義は大きい。

社会人が仕事を続けながら勉強できる夜間コースの拡充や通信制の導入を、政府は検討してはどうか。補助教員を手厚くするなど法科大学院も努力してほしい。

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[読売新聞] 「置き配」の普及 利用者の不安を払拭できるか (2019年09月29日)

消費者が安心して利便性を実感できるサービスとすることが大切だ。

宅配業者が配達物を手渡さず、玄関先などに置いて済ませる「置き配」が広がりつつある。

インターネット通販大手のアマゾンジャパンや楽天、「ゆうパック」などを展開する日本郵便は、配送方法に「置き配」を選べるサービスを導入している。不在時の再配達の削減が目的だ。

ネット通販の拡大で、2017年度の宅配便取扱量は42億個を超えた。一人暮らしや共働き世帯の多い都市部では、再配達率が18%に及ぶ。政府は20年度に全国で13%程度に減らす目標を掲げる。

国土交通省の試算では、再配達率が約20%の時、余計にかかる労働力は、年間でドライバー約9万人分に相当する。再配達による人件費や輸送費のコストは大きい。効率化は喫緊の課題だ。

アマゾンは10月、人口約11万人の岐阜県多治見市で「置き配」の実証実験を行う。希望すれば対面の受け渡しも行うが、原則として消費者が玄関先や自転車のかごなどを置き場所に指定する。

配達員は在宅・不在にかかわらず、指定場所に荷物を届け、利用者に写真を送信する。

荷物の盗難や破損などの事故はないか。再配達の連絡や配達を待つ手間が省けることで、消費者の利便性は向上するか。再配達率は下がるのか。普及に向けた課題を検証することが重要である。

国民の間には、トラブルへの不安が依然として強い。

国交省の調査では「置き配」を「利用したことがない」「利用してみたいと思わない」との回答が6割を超えた。盗難への不安を理由に挙げる人が多かった。

配達票に記載された個人情報が見られることへの懸念もある。ヤマト運輸や佐川急便は対面での受け渡しを重視する立場から、「置き配」の導入は見送っている。

利用者の不安の払拭(ふっしょく)には、事業者の適切な対応が欠かせない。

アマゾンは荷物が盗まれた時は原則として補償するとしている。利用条件は事業者ごとに異なる。消費者は「置き配」を選ぶ際、トラブル時の対応も確認し、納得した上で申し込む必要があろう。

コンビニエンスストアや駅の宅配ボックスなど自宅外で受け取れる場所は増えている。

スマートフォンやパソコンで、配送状況の確認や配達先の変更を行えるサービスもある。荷物の重要度や生活スタイルに応じ、選択肢を使い分けたい。

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[朝日新聞] 米の弾劾調査 混乱を避けつつ究明を (2019年09月29日)

米国の政治がいっそう波乱含みになってきた。政争の激化で内政も外交も大きく揺れる事態を心配せざるをえない。

トランプ大統領に対し、議会下院が弾劾(だんがい)裁判に向けた調査を始める。下院の多数を占める野党民主党が、大統領の疑惑を本格追及する構えを固めた。

疑惑は、旧ソ連のウクライナ首脳とトランプ氏との電話でのやりとりをめぐるもの。トランプ氏が今年夏、バイデン前副大統領についての疑惑を調べるよう、ウクライナ当局に圧力をかけた疑いがもたれている。

バイデン氏は来年秋の米大統領選で野党候補になるかもしれない有力者だ。そのライバルを追い落とす材料探しのために、外国首脳に協力を強いたとすれば、明らかな権力の乱用だ。

トランプ氏は3年前の大統領選の前にも、クリントン候補への攻撃にロシアの協力を仰いだとの疑惑がある。特別検察官が捜査したが、訴追には至らず、灰色の決着に終わった。

トランプ氏は今回も政治的な陰謀だと反発している。だが、弾劾手続きは憲法に基づく立法府による行政府への正統な権限の行使だ。議会の調査には真摯(しんし)に協力すべきだ。

米国史上、弾劾調査に入った前例は3件しかない。ニクソン氏は弾劾相当との議決を目前にして自ら辞めた。そのほかは、ビル・クリントン氏の不品行をめぐる弾劾と、19世紀にあった初の事例で、ともに上院での裁判は無罪で終わっている。

今回も、上院は与党共和党が多数を占めるため、トランプ氏が辞職に追い込まれる可能性は低いとの見方が強い。だが調査の過程でトランプ政権の新たな問題や、隠蔽(いんぺい)工作などが浮上する事態も否定できない。

政権・与党と野党との対立は深刻だ。すでに米政治の分断は社会と経済に深い影を落としてきた。年内にも予算論議が紛糾し、再び政府機関の閉鎖に陥る恐れもある。与野党には分別ある議会運営を望みたい。

国際社会から見れば、対外政策への波及を警戒せざるをえない。90年代後半、クリントン政権が海外で踏み切った軍事行動の背景に、弾劾の疑惑から国民の目をそらす動機があるのではないかと取りざたされた。

それでなくとも米国第一主義のトランプ氏は、国際秩序を安定させる責任を嫌う。大統領選に向け、さらに場当たり的な外交に出る不安は拭えない。

米国の威信が退潮するなか、紛争や摩擦の解決に向けては、他の主要国の役割が求められる度合いが強まるだろう。欧州や日本など主要国は、米国の独断的な姿勢をいさめつつ、国際協調を守る道を探るほかない。
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2019年09月28日

[東京新聞] 補助金の不交付 明らかな権力の検閲だ (2019年09月28日)

「表現の不自由展・その後」が中止された「あいちトリエンナーレ2019」を巡り、文化庁は補助金の不交付を決めた。手続きを理由としているが、明らかな権力による検閲だ。撤回を求める。

文化庁は二十六日、交付が内定していたトリエンナーレへの補助金約七千八百万円を交付しないと発表した。実行委員会の中心で、補助金を申請した愛知県に対して「芸術祭の円滑な運営を脅かす事態を予想していたにもかかわらず、文化庁の問い合わせまで申告しなかった」と説明している。

変な理屈だ。芸術展は基本的に「性善説」の上に成り立つ。展示作や観覧者を脅かす悪意を前提としては開けない。不自由展の再開が検討される中で、手続きを口実に狙い撃ちにしたかのようだ。

萩生田光一文部科学相は「検閲には当たらない」と言う。しかし「退廃芸術」を排除しようとしたナチス・ドイツを持ち出すまでもなく、政治が芸術に介入するのは危険極まる。政策の基本的な計画で「文化芸術の『多様な価値』を活(い)かして、未来をつくる」とうたう文化庁が、多様な価値観を持つ芸術家の表現活動を圧迫し、萎縮させる結果になるのではないか。

大村秀章知事は「憲法が保障する表現の自由に対する重大な侵害だ」と強く批判し、裁判で争う意向を示した。補助金カットに伴う県財政や県民の負担を考えれば、もっともな対応といえよう。

不自由展は、元慰安婦の象徴とされる少女像や、昭和天皇の肖像を用いた版画を燃やす作品などを展示。激しい抗議が寄せられた。「ガソリンの携行缶を持ってお邪魔する」という脅迫文さえ届き、わずか三日で中止となった。

実行委を構成する名古屋市の河村たかし市長は「日本国民の心を傷つけた」と述べた。だが自由な民主国家である日本の名誉を傷つけ、社会と国民を圧迫するのは、むしろこうした行為ではないか。政治家や官僚は意に沿わない芸術家や作品に目を光らせるより、暴力や圧力でものごとを動かそうとする風潮こそ戒めるべきだ。

少女像などに不快な感情を持つ人がいるのは無理もない。だが仮に像を撤去したとしても、慰安婦を巡るこの国の負の歴史まで消せるわけではない。社会の問題を誠実に問い続ける芸術家の創造活動は、私たちに都合の悪いものや直視したくないものを作品に昇華させて提出する。

私たちが芸術展で見てとるべきは、そこにある。
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[東京新聞] 関電不正 原発マネーの闇を暴け (2019年09月28日)

原発の立地対策にと、電力会社が地元に流した資金が、当の電力会社のトップのもとへ還流されていたという。本はといえば電気料金か。にわかには、信じ難い事件である。原発マネーの闇は深い。

菅原一秀経済産業相のコメントを待つまでもなく「事実なら言語道断」の事件である。

関西電力の八木誠会長、岩根茂樹社長らが、関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役(故人)から二〇一八年までの七年間に総額約三億二千万円を受け取っていたことが金沢国税局の税務調査などで明らかになった。

関電から高浜町内の建設会社に支払われた原発関連の工事費の一部が、「顔役」と呼ばれる元町助役の仲介で、還流されていたという。元助役には工事受注に絡む多額の手数料が渡っていたとみられている。電力会社から地域に流れた「原発マネー」が、巡り巡って電力会社の経営トップのもとへ−。ならば前代未聞の不祥事だ。

原発を引き受けてくれた自治体には、電源三法交付金など巨額の原発マネーが流れ込み、「ハコモノ」づくりに注ぎ込まれ、多くの利権を生んできた。

歳入の大部分を原発マネーに依存してきた自治体では、財政のゆがみのもとにもなってきた。

今回、関電トップに還流されたとみられる資金も、本はといえば、恐らく電気料金だ。

福島の事故以前、発電量の五割以上を原発に依存してきた関電は「原発停止で発電コストがかさむ」と言い、値上げをちらつかせながら「早期再稼働が必要だ」と訴えてきた。

3・11後、再稼働した原発は計九基。このうち四基が関電の原発だ。今年四月、原子力規制委員会が、期限までにテロ対策を完了できない原発の停止を求める方針を打ち出した。その時も「電気料金を値上げする事態もある」と、幹部が不満を漏らしていた。

経営者個人に還流される資金があれば、電気料金の維持や値下げに回すべきなのだ。

地元住民のみならず、電力消費者に対しても重大な背信行為である。

八木会長は三年前まで、原発推進の旗振り役である電気事業連合会の会長だった。原発そのものに対する不信も一層深まった。

事態はもはや、社内調査の域にはない。国税、そして検察当局は速やかに摘発のメスを入れ、原発マネーによる底知れぬ汚染の闇を暴くべきである。
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[産経新聞] 【主張】北朝鮮が領海主張 無法行為に厳正対処せよ (2019年09月28日)

国際法による「領海」の定義を教え、排除しなくてはならない。

日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)にある「大和堆(やまとたい)」周辺海域で8月、北朝鮮公船とみられる船舶が海上保安庁の巡視船に対し、小銃で威嚇した。

北朝鮮側は無線で、海保の巡視船に「領海からの退去」を要求したのだという。耳を疑う。この海域は国連海洋法条約が定めた日本のEEZ内で、日本だけが水産資源管理の権利を持つ。いつから北朝鮮の領海になったのか。

北朝鮮の行動は、巡視船への投石から小銃による威嚇と、年々エスカレートしている。食糧難の続く北朝鮮は漁業を「戦闘」と位置付け必死だ。まずは違法操業を繰り返す漁船に対し、公務執行妨害や漁業法など国内法に基づく強制捜査を徹底すべきである。

石川県能登半島沖の日本側EEZ内で8月23日、北朝鮮側は海保の巡視船に対し無線で「領海である。即時退去せよ」と通告した。付近には、北朝鮮海軍のような旗を掲げた小型高速ボートのほか、北朝鮮国旗を塗装した大型貨物船も航行していた。いずれかが無線発信したとみられる。

現場海域は、北朝鮮領海から遠く離れている。国連海洋法条約の規定で領海とは、基線から最大12カイリ(約22・2キロ)まで国家が設定した沿岸国の主権が及ぶ水域である。名乗った場所が領海になるのなら国際法はいらない。

見過ごせないのは、北朝鮮側が軍艦旗や国旗を明示し、日本側の主権行使に対抗する姿勢を明確にしていることだ。領海を主張し、小銃で威嚇した際、北朝鮮漁船は現場海域にいなかった。自国漁船の直接の保護が目的ではなく、露骨な挑発行為である。

小銃で威嚇され厳重抗議した日本政府に対し、北朝鮮は「専属経済水域への不法侵犯を自衛的措置で追い払った」などと反論している。自分たちにしか通用しない論法であるのは明白である。

日本海屈指の好漁場である「大和堆」は大正15年、海軍水路部の測量艦「大和」が精密測量を行い、その艦名にちなんで名付けられた。「大和」は昭和に入って海軍除籍となり、空いた艦名を引き継いだのが巨大戦艦「大和」である。命名にもこうした歴史がある「大和堆」は、必ず守らなくてはならない日本の海である。
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